2024年9月期第1四半期決算説明
小椋一宏氏(以下、小椋):みなさま、こんにちは。HENNGE株式会社代表取締役社長の小椋です。当社グループの決算説明動画をご視聴くださり、ありがとうございます。
本日は、取締役副社長の天野から2024年9月期第1四半期の業績と業績見通しに対する進捗についてご説明した後、私から成長戦略と当四半期の所感についてお話しします。どうぞよろしくお願いします。
連結業績サマリー (対前年同期⽐、3か⽉累計⽐較)
天野治夫氏(以下、天野):取締役副社長の天野治夫です。まず、2024年9月期第1四半期の連結業績についてご説明します。
連結業績サマリーは、スライドのとおりです。当四半期は、2023年11月10日に開示した通期業績予想に対して、概ね順調に推移しています。
売上⾼の推移
連結売上高の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。HENNGE One事業の売上高は、すべてリカーリングの性質を持っています。これまでと変わらず、四半期ごとに増加する傾向となっており、順調に推移しています。
売上⾼ (対前年同期⽐、3か⽉累計⽐較)
連結売上高の前年同期比は、スライドのとおりです。HENNGE One事業の売上高は、前年同期比で順調に推移しました。
売上総利益の推移
売上総利益および売上総利益率の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。
売上総利益 (対前年同期⽐、3か⽉累計⽐較)
売上総利益および売上総利益率の前年同期比は、スライドのとおりです。為替変動やセキュリティ強化などによるHENNGE One事業のインフラコスト増や、開発人員の拡充などがあったものの、ARPU(ユーザあたり単価)の上昇などの結果、売上総利益率は上昇しました。引き続き、高い水準を維持しています。
営業費⽤の構造 (対前年同期⽐、3か⽉累計⽐較)
営業費用の構造の前年同期比は、スライドのとおりです。売上原価は、為替変動やセキュリティ強化などによるHENNGE One事業のインフラコスト増、開発人員の拡充などにより増加しました。人件費等は、人員の増強が進んだことに加え、2023年4月の営業職手当の導入などにより、増加しました。
広告宣伝費は、販売パートナーとの連携強化を目的とした活動に注力するなど、引き続き積極的な活動を実施しましたが、減少しました。その他販管費については、主に人員増に伴う社内システムの利用料や、対面での活動が盛んになったことに伴う旅費交通費等が増加しました。
営業費⽤の構造 (対前四半期⽐)
営業費⽤の構造の前四半期比は、スライドのとおりです。人件費等は、人員の採用が進んだものの、退職に伴う賞与の調整や、その他の特別賞与の減少などの一過性の要因が重なった結果、微減しました。
広告宣伝費は、販売パートナーとの連携強化を目的とした活動に注力するなど、引き続き積極的な活動を実施しましたが、減少しました。その他販管費については、主に採用関連費用において、積極的な採用活動を実施したものの、前四半期と手法が異なった結果、減少しました。
売上⾼と営業費⽤の推移
売上高と営業費用の四半期での推移は、スライドのとおりです。棒グラフが営業費用、赤の折れ線グラフが売上高を表しています。2つのグラフは同じスケールで示されているため、これらのギャップが営業利益の大きさとなります。
この数四半期を経て、営業費用の伸びに対して、売上高の伸びが年々相対的に大きくなっており、安定的に利益を増やすことができるモデルになってきていることが、見て取れると思います。また、売上高が右肩上がりで推移している一方で、特に広告宣伝費などの費用の投下タイミングによって、四半期の営業損益が変動することも確認できると思います。
私たちの属するマーケットは、ますます成長していくフェーズです。第1四半期では、営業利益が通期業績見通しに対して大きく出ていますが、第2四半期以降でもしっかりと将来の事業成長のための投資を実施し、今後の成長を作り出していきたいと考えています。
従業員(アルバイトを含まず)の構成
当四半期末時点での従業員の構成と人数は、スライドのとおりです。
従業員(アルバイトを含まず)の推移と構成
従業員数の過年度からの推移は、スライドのとおりです。当四半期は、通期目標50名超のところ、全社で4名の純増となりました。期初計画の達成に向けて、引き続き人材獲得力の向上による体制強化を図っていきます。
事業トピックス
事業の進捗についてご説明します。事業トピックスはスライドのとおりです。
第1四半期の広告宣伝活動
当四半期においても、さまざまな広告宣伝活動を実施しており、アクティビティの量が多くなっていると感じています。イベントの対象、開催方法、開催期間や規模はさまざまですが、当四半期においては約40件のイベントを行いました。
詳細としては、販売パートナーとの連携強化を目的としたパートナー向けのイベントや、顧客獲得のための販売パートナーとの共同イベントなどを実施しています。それ以外にも、HENNGEの認知度向上を目的としたイベントへの参加など、当期のポリシーを踏まえた活動を推進しました。今後も引き続き、ARRの成長に資する活動を実施していきます。
HENNGE One KPIのハイライト (対前期末⽐、3か⽉進捗)
KPIの進捗についてご説明します。前期末からのHENNGE Oneの各KPIの進捗は、スライドのとおりです。
HENNGE One KPI (対前年同期末⽐)
HENNGE OneのKPIの前年同期末比はスライドのとおりです。
HENNGE One平均⽉次解約率の推移
HENNGE Oneの平均月次解約率は、スライドのとおりです。企業の統廃合やクラウド移行の戦略自体の見直しなどが、従来の主な解約理由となっています。当四半期の解約実績についても同様の事由が多く、その傾向に大きな変化はありません。
なお、現時点では引き続き、非常に低い解約率を維持していると考えており、理論上の平均契約年数は25年以上となっています。
HENNGE One契約企業数と契約ユーザ数の推移
HENNGE Oneの契約企業数と契約ユーザ数の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。引き続き、販売パートナーとの連携強化が進んだことにより、比較的中小規模の契約を安定して獲得しています。
その結果、新規契約企業数は堅調に増加しました。一方、比較的大きめの企業の解約などにより、契約ユーザ数は前四半期と比較して微増となりました。
HENNGE One ARRとARPUの推移
HENNGE OneのARRとARPUの四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。当四半期のARPUは、前期までに実施してきた既存顧客のプラン移行による影響が落ち着いたものの、新規顧客獲得が堅調に進んだことなどにより、上昇しました。
また、当四半期のARRは、契約企業数とARPUが堅調に推移したことから増加しました。
2024年9⽉期の⽅針
2024年9月期の通期業績見通しに対する進捗についてご説明します。
2024年9月期の方針としては、HENNGE Oneの中期的なARR成長の加速を目指すべく、新機能・新サービスを継続的に創出し、顧客へ展開するとともに、人材獲得力の向上による体制強化を図ることを掲げています。
HENNGE One事業については、契約企業数とARPUの向上によって、ARRの年間20パーセント以上の持続的な成長を目指します。マーケティング活動については、年々高まるセキュリティに対する需要を捉えるべく、販売パートナーとの共同イベントなど、さまざまな広告宣伝活動を実施するとともに、HENNGEの認知度向上のための各種イベントも実施していきます。
人員計画については、今後のさらなる成長のために全方位的な採用を行い、全社で50名超の純増を目指します。また、より高い付加価値を生み出すことのできる体制を意識した採用も推進します。昨年度に引き続き、人材獲得力の向上に資するような各種施策も検討していきます。
連結業績⾒通し (通期)
連結業績見通しはスライドのとおり、2023年11月10日に発表した通期業績予想から変更ありません。
売上⾼の進捗
事業別の売上高の過年度からの推移と、通期見通しに対する当四半期の進捗は、スライドのとおりです。当四半期は、概ね順調に進捗しています。
営業費⽤(原価+販管費)の進捗
広告宣伝費と、広告宣伝費を除いた営業費用の過年度からの推移と、通期見通しに対する当四半期の進捗は、スライドのとおりです。広告宣伝費を除いた営業費用については、今後もより高い付加価値を生み出す組織を構築し、拡大していくことが重要であるとの考えから、まずは組織内でのコミュニケーションをより活性化するためのオフィス増床などを、第2四半期以降に予定しています。
また、より高付加価値で信頼性の高いサービスを提供し続けるため、HENNGE One事業のセキュリティ強化のための投資などを引き続き予定しています。それ以外にも、将来成長のための費用投下を継続していきます。
経営理念
小椋:当社の成長戦略についてご説明します。HENNGEの経営理念は「テクノロジーの解放」です。私たちはテクノロジーが大好きで、テクノロジーが世の中を良くしていくと強く信じています。この力をできるだけたくさんのお客さまに届けることにより、世の中を少しでも良い方向に動かしたいというのが私たちの思いです。
HENNGEは創業以来25年以上、「テクノロジーの解放」を理念として掲げており、さまざまな分野・方法でテクノロジーを解放してきました。その結果、SaaSはテクノロジー解放のための最もフェアで洗練された効率的な手段であるという考えに至っています。そのため、私たち自身もSaaSを提供していますし、お客さまのSaaS活用を通した変革を応援していきたいと考えています。
LTV最⼤化
このようなテクノロジーの解放を通して、私たちがお客さまに届けているテクノロジーの総量、私たちの理念の実現の証左となるのが、LTV(ライフタイムバリュー)、すなわち私たちが保有している契約の総価値です。私たちはLTVの最大化を成長戦略に掲げています。
LTVの最大化、つまり、将来にわたって得られる累計売上総利益額の最大化を追求することで、更なる事業成長のための投資を増額しても安定的に利益を増やすことができるモデルを、堅固なものにしていきたいと考えています。
現在、平均契約年数(Y)と、売上総利益率(r)はすでに高い水準にあります。よってLTVの最大化にはARRの最大化が必要であるという状況です。そのため、私たちは投資対効果の高い活動を積極的に行い、ARRを積み増すことに注力します。
ARR最⼤化
ARRは3つの要素に分解できると考えています。契約企業数(N)、平均ユーザ数(n)、そしてARPUです。
成⻑戦略の進捗 (HENNGE One)
HENNGE One事業における3つのKPIの実際の推移は、スライドのとおりです。HENNGE Oneを主力とする当社グループのビジネスは、基本的にサブスクリプションモデルで、当期中に獲得した契約は解約されない限り積み上がっていき、翌期以降の売上の基盤となっていきます。ご覧のとおりHENNGE OneのARRは順調かつ安定的に積み上がってきています。
2021年9月期から2023年9月期まで、ARR成長率の更なる向上のため、新規顧客の獲得体制を強化しつつ、お客さまに提供できる価値を増やし続け、そしてその価値をお客さまにしっかり伝え、理解を促す活動を通して、契約企業数とARPUを伸ばしてきました。今後もこのサイクルを継続させることで、中期的なARR成長を加速させたいと考えています。
最後に当四半期の所感についてお伝えします。
ここ数四半期の契約企業数の伸びからもわかるように、新規顧客の獲得は着実に進捗しており、マーケットの裾野は引き続き広がっていると考えています。
前期までの人員増強の成果として、営業メンバーもさまざまな地域へ赴いて活動を行っており、マーケティング活動に関しても2日、3日に1件レベルでのイベントの出展などが実施できています。営業利益は進捗していますが、将来の成長に向けた活動はこれからも実施していく予定であり、ガイダンスに沿った着地を想定しています。
お客様の変⾰を応援するHENNGE Oneファミリー
HENNGE Oneはこれまでパワフルな新機能や新サービスを追加し続けることで価値向上を実現してきました。現在開発中の「File DLP」や、2023年10月に販売開始した「kickflow」など、新しい取り組みも継続して行っています。
今後もお客さまに届けるテクノロジーの総量を最大化するため、HENNGE Oneの価値向上にとどまらず、お客さまのSaaS活用の分野で必要となる新製品、新機能、新サービスをどんどん追加・提供していきます。また、HENNGE Oneの利用促進を通して、SaaS活用によるお客さまの生産性向上をこれからも強力にバックアップしていきます。
HENNGE One ARRの成⻑戦略
ご説明したような活動を通して、CAGRが20パーセント台中盤となる中期的なARR成長を実現します。まずはHENNGE OneのARR100億円以上の水準を目指します。
これからも認知度や接触可能な潜在顧客の数を向上させつつ、営業体制や販売パートナーとの連携強化や新機能の開発とリリースを行い、HENNGE Oneの付加価値を高めるサイクルを積極的に行うことで、その先も成長し続けられるモデルを確立したいと考えています。
以上、駆け足でしたが、当社の2024年9月期第1四半期の決算についてご説明しました。本日はお忙しい中、当社の決算説明動画をご視聴くださいまして、誠にありがとうございました。
司会者:質疑応答に移ります。なお、事前にご質問いただくことが多いと想定した項目については、当社のIRサイトでQ&Aを開示しています。また、昨年12月22日に開催した第27期定時株主総会での質疑応答の要旨も掲載していますので、併せてご覧いただければ幸いです。
質疑応答:広告宣伝費の減少要因と見通しについて
質問者:今回の決算の数字はかなり良く見えますが、広告宣伝費についてもう少しご解説いただきたいです。水準が低かったのは、使い切れなかったからなのか、それともCAC(顧客獲得単価)が下がったために使わずに済んだのかなど、空気感を教えてください。加えて、第2四半期以降はどうなるかも併せてご解説いただければと思います。
小林遼氏(以下、小林):執行役員CFOの小林です。当四半期の広告宣伝費の金額は前年同期と比較すると低い水準に見えるかと思いますが、昨年は「HENNGE NOW!」という対面方式のイベントを自社で開催するなどにより、コストが発生しました。
今回はそのような大きめのイベントがなかったため金額としては減少しているのですが、活動量自体はそれなりにあり、中小規模のイベントに参加・登壇などすることにより、我々のプレゼンスを高めていく活動はしっかりと実施しています。
活動量と金額との相関は、各四半期に開催するイベントの内容、形式や規模がさまざまなため一概にあるとは言えません。結果として当四半期は1億円いかないくらいの水準に収まっています。現時点では広告宣伝費の通期予算に対して大きく乖離する状況ではなく、第2四半期以降も、しっかりと期初に計画した活動を実行していく予定です。
質問者:想定どおりの範囲で動いているという理解でよろしいでしょうか?
小林:現時点では想定外のことが起きているわけではなく、ある程度は我々が計画したとおりに動いていると認識しています。
質疑応答:採用の進捗について
質問者:採用について、当四半期は4名の純増ですが、通期目標50名超に対する社内での進捗を振り返っていただけますか? また、その背景として離職が想定よりも多かったのか、採用数が少なかったのかなどをお聞きしたいです。
小林:4名の純増というのは、決して強くない数字だと思っています。そのため、第2四半期以降にしっかりと挽回できるような施策を考えながら活動に移しているのが現状です。現時点では、通期目標を変えるような状況にはないと考えているため、50名超の人員増強を目指してがんばっていければと思っています。
なお、営業費用の構造において、人件費は前四半期比で減少しており、その理由としては、退職者が出たことに伴う賞与の調整もありました。つまり、入退者の数字は開示していないのですが、入社した方はたくさんいたものの、退職した方も一定数いた、とご理解いただければと思います。
質疑応答:SecureNaviへの出資について
司会者:「SecureNaviへの出資額、出資比率、持分法適用の有無、および狙いなどを詳しく教えてください」というご質問です。
小林:SecureNavi株式会社は、ISMSやPマーク取得のオートメーションツールを提供している会社です。我々の出資額や出資比率は非公開のためあまり多くはお伝えできませんが、SecureNaviは今回のラウンドで4億6,000万円の資金調達をしています。
我々はマイノリティ投資を行っており、四半期報告書においても特に開示していないことからも、持分法を適用していないとご理解ください。
また、今回の投資の狙いでもありますが、我々が以前からマイノリティ投資を行っているのは、HENNGE自体のARRを底上げしていくための活動の一環です。自分たちで開発することももちろんですが、シナジーのある会社への投資を通じて、我々が販売できるものを増やしたり、我々のサービスの増強につながったりしていければという考えで実施しています。
今回、ISMSやPマークといったセキュリティに関連するような商材は、我々のビジネスとのシナジーが高いと考えています。まだ本当に投資し始めて間もないため、この先の状況を見ていただければと思います。
質疑応答:HENNGE OneのKPIについて
司会者:HENNGE Oneについて、前期末までに実施してきた既存顧客のプラン移行が終了し、当四半期はその影響が落ち着いているかと思います。あらためてKPIの契約企業数、契約ユーザ数、ARPUについてコメントをいただけますか?
小林:前期までは、新機能を搭載し、2021年10月から適用されているプランを既存顧客に向けて展開してきました。それがいったん終わり、当四半期はその影響がほぼなくなっている状況です。その中で引き続きARPUが上がっていることは、みなさまに2021年10月からのプランの価値をご理解いただいて、新規獲得につながっている成果なのではないかと思っています。
契約企業数に関しては、前期は各四半期で100社前後の獲得がありましたが、それと比較すると当四半期はやや少なく見えるかと思います。これに対して我々は悲観的になっているわけではなく、マーケット自体はまだ広がっている状況で、リードをしっかり獲得できていると思っていますし、この先にまた伸びが期待できるのではないかと考えています。
契約ユーザ数については、前四半期と比べて平均が少し下がっており、総数があまり伸びていないのは事実です。中小規模のお客さまが安定的に入ってきている状況は変わらないのですが、当四半期に解約したお客さまの中に比較的規模の大きい企業がありましたので、その影響もあったと思っています。
この解約理由などについては、従来からの解約理由から特に大きな傾向の変化はなく、何か特別な理由があって解約されたというわけではありません。我々としては今後も注視して、解約を防止できないか考えながらお客さまに真摯にアプローチしていきたいと思っているところです。
天野:ARPUに関しては、今年4月にHENNGE Oneの価格改定が予定されており、これはARPUをもう一段上昇させる起爆剤となるようなアクションです。
小林:そこも見据えて、しっかりと新しい機能も付けつつ、お客さまに我々の価値を理解していただくのが重要だと考えています。
天野:どんどん価値を提供していき、ARPUもどんどん上げていこうというところです。
天野氏からのご挨拶
本日はありがとうございました。ご覧いただいたとおり、第1四半期、特にFY2024の始まりとしては順調な滑り出しとなりました。気を緩めることなく、通期の業績目標の達成に向けて、今後の成長のための型作りをしっかりと行っていくことを全社一丸となって進めていきたいと考えています。引き続き、よろしくお願いします。