2024年6⽉期第1四半期決算説明

内山英俊氏(以下、内山):まずは、成長戦略からお話ししていきます。2023年9月26日に事業計画及び成長可能性資料を開示しましたが、ご説明の機会が株主総会しかなかったため、この場をお借りして当社の成長戦略についてご説明します。

unerryにおいては四半期ごとの売上や利益が第3四半期に偏重するなどの事情もあるため、年度を通じて中長期的に見ていただくことも重要であると考えています。

したがって、冒頭で成長戦略をご説明した後、第1四半期の決算についてご報告したいと思います。

ミッション・ビジョン

unerryとは、「“グローバルリーダーを目指す”、リアルとデジタルを融合させたデータエコシステムカンパニー」であると位置づけています。

「心地よい未来を、データとつくる。」ことをミッションとしており、どのような店舗や街に行っても、どのような情報に触れていても、unerryの行動データが自然と使われている、「unerry, everywhere」をビジョンとして掲げています。

会社概要

私がデータサイエンスの修士号を取得したことから、データエコシステムカンパニーを2015年に創業し、昨年の7月に上場しました。当社には、非常にパワフルな経営陣が揃っていると自負しています。

デジタルツインIDでデジタル・リアルを融合させたデータエコシステム

当社は世界で40億人を超えるスマホ市場の中で、デバイスIDを主とする人流データを中心に国内外で3.9億ID、網羅的に保有しており、これをデジタルツインIDと呼んでいます。

今期はデジタルツインIDを用いて、購買データやテレビ、屋外広告、アプリ、Webサイトなど、ありとあらゆる生活者行動と連携するデータエコシステムカンパニーに変貌することを、新しい絵姿として提示しています。

2028年6⽉期に売上⾼100億円を達成、その先にグローバル市場における事業拡⼤を構想

このデータエコシステムを活用して国内外のDX需要を確実に獲得し、今後は年平均36パーセントの高成長を実現し、2028年6月期には100億円を目指していきたいと思っています。

加えて、北米・アジアを中心にさらなる事業展開を図り、グローバル市場において、データエコシステムの確立を目指していきます。

総合的なサービスをユーザーに展開する横断型なエコシステムポジションを確⽴

世の中にはメガプレイヤー、プラットフォーマーと呼ばれる企業があり、その多くは自社のお客さまに対して、垂直型のプラットフォームを構築していると思います。

unerryが目指すポジションは、プラットフォーマー、携帯キャリア、さまざまなアプリ・ECサービス・SNSサービスの企業など、その全社と連携した「横断型エコシステム」の確立であり、日本だけではなくてグローバルにおいてもその基盤を作り上げていきます。

データエコシステムで実現する社会「環境知能」

その実現によって、消費の90パーセント以上を占めるリアルな社会とデジタルが融合した「環境知能」を構築し、小売・外食や消費財メーカー、不動産・自治体・官公庁における、あらゆる課題の解決に資する仕組みを作っていきたいと思っています。

リテールDX事業から相乗効果を⽣み出す新事業展開

こちらも新しい図です。現状、unerryが提供している主な事業を記載しています。

「1.リテールDX事業」は主に小売・外食に対するDXサービス、「2.リテールメディア事業」は主に消費財メーカーに対する行動変容サービス、「3.スマートシティ事業」は不動産や官公庁に対するDXサービスです。

日本においてはこの3つを循環させることによって、事業・データ・価値のエコシステムがしっかりと増大していくと考えています。

「4.グローバル事業」では、この日本モデルをグローバルに派生させ、主に北米、そして東南アジアに向けた市場を展開していくことを目指しています。

伸びる市場に対して展開する4事業で売上⾼100億円へ

この4つの事業を組み合わせることによって、年平均36パーセントの成長を果たし、2028年6月期に100億円の売上を目指していきたいと思っています。

unerryが歩んでいく市場は、今後⾶躍的成⻑が⾒込まれる

リテールDX、リテールメディア、スマートシティには、国内・国外それぞれに非常に大きな市場ができ上がっており、かつ成長市場となっています。

unerryは、この市場の中心の会社として位置づけ、しっかりと成長を果たしたいと考えています。

パートナーとの共創による営業戦略

unerryは100名弱の会社のため、自社のリソースのみで日本中、また世界中のお客さまに対してサービスを提供することに限界があると考えています。

したがって、多くの大企業やお客さまとリーチしている企業と積極的に提携することにより、迅速かつ大型の案件の獲得を推進していきたいと思っています。

SDGsに貢献する事業展開

unerryの仕組みは、売上に伴う事業だけではなく、SDGsに貢献する事業展開だと考えています。

例えば、1番の混雑の解消、2番のウォーカブルな街作りによるCO2の削減、3番のプラットフォームを通じて、いろいろな企業の新規サービスを作るための仕組みの提供にも資すると思っています。

リアル⾏動データプラットフォーム「Beacon Bank」

成長戦略に基づき、サービス概要についても簡単に触れていきます。

私たちが提供しているのは「Beacon Bank」というサービスです。3.9億IDのリアル行動ビッグデータ、そしてそれをAIで解析し、「①分析・可視化サービス」「②行動変容サービス」「③One to One サービス」を提供しています。

1. リテールDX事業: ① 分析・可視化サービス

「分析・可視化サービス」には、主なサービスとして「ショッパーみえーる」があります。これは日本全国、どの店舗の来店者も一発で明らかになる、「ショッパー」が「見えーる」というサービスです。競合企業の分析をするために導入していただくことが多くなっています。

「ショッパーみえーる」はSaaSサービス、つまり月額課金型のサービスのため、「カスタマイズして自社のデータをもっと詳しく見たい」という場合には、スライド右側の「リアル行動データ可視化・分析」で、カスタマイズしたツール、またはレポートをご提供しています。

1. リテールDX事業: ② ⾏動変容サービス

分析サービスがあるからこそ、「行動変容サービス」という広告サービスがあります。

こちらは、お客さまの店舗に来店する可能性が高い方を、当社のデータから分析して広告を配信し、その方が来店、または購買したかまでしっかりと計測できる仕組みです。今までネットには当たり前にあった仕組みを、リアルな社会に実装した非常にユニークなサービスです。

1. リテールDX事業: ③ One to One サービス

「One to Oneサービス」は、人流データだけではなく、購買データ、Webのデータ、ありとあらゆる生活者データを1つのデータに融合し、パーソナライズされた情報を「LINE」やアプリ、Web、デジタルサイネージを通じてお届けするシステムのソリューションサービスです。

ここまでが、リテールDX事業のご説明となります。

2. リテールメディア事業 :主要⼩売における店頭購買を最⼤化できる⾏動変容サービス

リテールメディア事業では、複数の小売事業者と連携・提携しています。その方々のデータとunerryのデータを組み合わせることで、消費財メーカー向けの広告サービスを実現しています。

そのために必要な分析や配信、効果計測の仕組みを、unerryが一元的に提供することによって、リテールメディアをしっかりと広げていきたいと思います。

3. スマートシティ事業 :全国都市の⼈流可視化・⾏動変容サービス

スマートシティ事業です。現状は国・自治体の公募受託が中心であり、開示しているように、東京都の主要なスマートシティプロジェクトなども推進していますが、今後その主体は不動産企業や商社等の民間に移っていきます。

その方々に向けたBtoBサービス、ダッシュボードのようなツールを提供します。さらに、これからはいろいろな街のデータが集約されるプラットフォームとして都市OSがどんどん出来上がっていきます。そこに対するデータ提供やサービス提供を行っていきたいと考えています。

4. グローバル事業:北⽶・アジア版Beacon Bank

グローバル事業です。本年はGroundLevel Insights社に投資しています。主に北米において、既設ビーコンの登録、人流データ連携モバイルアプリの拡大、そのデータに基づいた「可視化サービス」と「行動変容サービス」の展開を実現をしていきたいと思っています。

北米では、すでにこのプロダクトが出来上がっており、事業展開がちょうど始まったところです。アジアでは、初号のプロジェクトが動いています。

「ビッグデータ × AI × 提携・クロスセル」を背景に、リカーリング性の⾼い収益モデルを構築

主な特徴は4点です。この4点すべてが、リカーリングを生み出す収益モデルに直結しているところがunerryの特徴です。

リアル⾏動ビッグデータ(屋内外の⼈流データ)

まずは、リアル行動ビッグデータです。私たちは、屋外はGPS、屋内はBluetoothビーコンと呼ばれるセンサーによって、屋内外3.9億IDの行動を把握をしています。月間800億件以上の位置情報のログ、216万個のビーコンがあるという、非常に網羅性の高い人流データです。

リアル⾏動ビッグデータ(ビーコンプラットフォームの技術特許)

ビーコンが216万個もある理由についてご説明します。

ビーコンは、特定のモバイルアプリとしか反応しない技術です。そのため、unerryが創業される前は、いろいろな企業が自社でアプリを作り、自社でビーコンを設置するのが通例でした。

しかし、これでは取得できるデータの量や配信できる情報に限界があり、大きなビジネスにつながらないことが課題でした。

unerryが2015年に創業して最初に提供した「Beacon Bank」では、ビーコンがすでに店舗に設置されている場合、unerryにご登録いただければ、3.9億IDのいろいろな百数十個のアプリが一斉に反応します。このビーコンとアプリのプラットフォームを作ったことが、unerryの根幹の特徴です。

当社は日本・米国・中国で特許を保有しているため、この特許を活かした米国事業の展開を視野に入れています。

リアル⾏動ビッグデータ(個⼈を特定しない安全なデータ)

人流データは非常にセンシティブなデータではあるものの、人流データ単体においては個人情報ではなく個人関連情報という取り扱いです。

一方で、センシティブなデータのため、unerryとしては、アプリダウンロード時にきちんとオプトイン、つまり利用規約またはプライバシーポリシーにデータ取得について記載し、それにご同意いただいたエンドユーザーのみデータを取得しています。

この取り組みは非常に評価していただいており、位置情報業界団体であるLBMA Japanから、「ロケーションプライバシーマーク」を取得しています。

独⾃AI×カスタマーサクセス⼒

unerryのデータだけを活用しても、売上は向上しません。このデータにAI、そして当社のデジタルマーケティングに精通しているチームを組み合わせることによって、顧客企業の売上向上を実現してきました。

独⾃AI×カスタマーサクセス⼒

例えば、スライド中央の下段にある「来店可能性予測AI」では、当社のAIが「来店可能性が高い方はどのような方なのか」を独自に分析し、その方にピンポイントで情報を配信する仕組みです。

このように、お客さまのコストを下げながらも、しっかりと売上向上に資する、AIの開発等を進めています。他にも自社で数限りなくAIを開発していることが強みです。

事業提携・クロスセル

お客さまの売上を向上させる仕組みも、100名弱の企業で届けるには限界があるため、数多くの企業と提携することで、顧客開拓を実現しています。

そして、いったん獲得したお客さまに対しては、「分析・可視化サービス」「行動変容サービス」「One to One サービス」のどのサービスから入っていただいても、しっかりとクロスセルがされ、顧客単価つまり売上が上がることを実現しています。

事業提携・クロスセル(① 顧客数の増加)

こちらのスライドには、代表的な顧客企業のみを記載していますが、2024年6月期第1四半期において、リカーリング顧客数(4四半期連続でのお取引、または3ヶ月以上連続でのお取引)は89社となっています。

事業提携・クロスセル(② 顧客単価向上)

こちらは、250店舗のスーパーマーケットの成長例です。月額15万円の「分析・可視化サービス」から、月額100万円で「まずは20店舗の『行動変容サービス』を試して、紙のチラシを削減し、デジタルを使った集客を行ってみよう」となり、これが非常に効果があり、「今までの手法よりよかった」と言っていただくことが多くあります。

そこから100店舗、250店舗と増やしていくことで予算が上がり、そこまでいくのであれば、アプリや「LINE」もどんどん活用しようと、さらに予算が上がり、「One to One サービス」をクロスセルすることになります。

このアップセル・クロスセルの2つを行うことで、1リカーリング顧客から、非常に多くのリカーリング売上を実現しています。

リカーリングを⽣み出す収益モデル

「分析・可視化サービス」「行動変容サービス」「One to One サービス」のいずれもリカーリング性の高い安定収益であり、その結果はスライドの一番右側に記載のとおりです。第1四半期における、リカーリング売上高比率は96パーセント、リカーリング顧客1社当たりの売上高は2,100万円以上、リカーリング顧客数は89社となっています。

技術・プラットフォームの優位性

技術・プラットフォームの優位性についてです。技術的優位性として、ビーコンシェア技術、独自AIへの投資、そして独自の次世代IoTの技術特許があります。

プラットフォームの優位性は、強いネットワーク効果を生み出すこと、そして「分析・可視化サービス」「行動変容サービス」「One to One サービス」をすべてワンストップで提供でき、業界を牽引するプライバシー対応ができているところです。

競合サービスに対するunerryの優位性

競合企業についてご質問をいただくことがありますが、日本市場においては主に携帯キャリアだと思います。

携帯キャリアは基地局からデータを取得するため屋外のみ、かつ250メートル単位での把握となってしまいます。また、広告等のマーケティング利用の許諾が得られておらず、大まかな商圏分析が主な用途となります。

一方で、unerryは、屋外・屋内において、非常に高い精度での位置測位が可能であり、かつ、しっかりと同意していただいてから取得しているため、「分析」「広告」「One to One」に活用でき、顧客企業の売上アップにつながるところが最大の優位性です。

業績ハイライト

斎藤泰志氏(以下、斎藤):2024年6月期第1四半期の実績についてご説明します。まずは業績ハイライトです。第1四半期の売上高は前年同期比でプラス9パーセントの4億9,000万円、粗利は前年同期比でプラス10パーセントの2億1,400万円にとどまっているものの、本年度は第3四半期への売上偏重を見込んでおり、おおむね計画どおりの結果となっています。

また、リカーリング顧客数は89社と前年同期の約1.5倍となり、堅調に増加しています。リカーリング顧客のNRRは110パーセントとなり、アップセル・クロスセルによって、既存のリカーリング顧客の売上も堅調に増加しています。

サービス別売上⾼

サービス別売上高です。売上高全体では9パーセント増加にとどまったものの、これは前年度の特殊要因の影響であり、計画どおりの結果となっています。

当社の売上は第3四半期に偏重する傾向があります。しかし、前年度はコロナ禍でお客さまの「行動変容サービス」の利用時期をある程度、分散することができ、第1四半期の売上割合を増やすことができました。

一方で、今年度は新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴って客足が戻ったことから、お客さまのサービス利用時期が第3四半期偏重に戻りました。そのため、第1四半期だけの比較で見ると、伸びが低くなっています。ただし、2期間の平均成長率では39パーセントと順調に増加しています。

サービス別の売上を見ると、「分析・可視化サービス」が前年同期比でプラス28パーセントと一番伸びており、「One to One サービス」は前年同期比でプラス2パーセントとなりました。「行動変容サービス」は前年同期比でプラス6パーセントとなっていますが、平均成長率ではプラス87パーセントと、リテールメディアの伸びが大きく貢献しています。

リカーリング顧客の主要指標

リカーリング顧客の主要指標です。リカーリング顧客数は89社と、堅調に増加しています。リカーリング年間顧客単価も高水準を維持しており、リカーリング売上高比率は96パーセントとなりました。NRRも100パーセントを超えた水準を継続しており、アップセル・クロスセルも順調に進んでいます。

原価

直接原価は、主に「行動変容サービス」「One to One サービス」が中心となりますが、全体では1ポイント改善しています。

間接原価は、原価に占める割合が小さいながらも2ポイント上昇しています。これは主にデータ量拡充に伴うインフラ費用増加が要因となります。

サービス別粗利(売上 ‒ 直接原価)

サービス別粗利は、売上同様に「分析・可視化サービス」がプラス25パーセントと、一番伸びています。粗利全体では売上と同様に、前年同期からの伸びは低くなっていますが、2期間の平均成長率ではプラス28パーセントと順調に増加しています。

サービス別粗利率(売上 ‒ 直接原価)

サービス別粗利率では、「分析・可視化サービス」が88パーセントと安定的に高水準を維持しています。

「One to One サービス」は、戦略価格提示の影響が一巡して35パーセントと回復中であり、「行動変容サービス」は28パーセントと直近四半期では回復傾向となりました。

粗利率全体では、「分析・可視化サービス」の売上割合が増えたことで44パーセントとなり、前年同期比で1ポイント向上しています。

販売費及び一般管理費

販管費率は前年同期比で2ポイント増加していますが、直近四半期では金額・比率ともに下がっています。

内訳について、手数料・支払報酬は、セキュリティ強化などサーバー費用が増加しました。業務委託費は、外部を活用した大型の開発案件がなかったため、低水準となっています。販管費の半分以上を占める人件費は、人員増によって前年同期比では増加していますが、前四半期と比較すると、採用費の抑制によって減少しています。

当期純利益

以上の結果、当期純利益はマイナス2,900万円となり、前年同期比でプラス100万円となりました。今年度も売上の第3四半期偏重を見込んでいるため、利益の大部分は第3四半期での計上を見込んでいます。

通期業績予想に対する売上高進捗率

通期業績予想に対する売上高の進捗率は17パーセントとなっています。過去2期間の平均に比べ2ポイント下がっていますが、今年度は第3四半期偏重となっており、計画どおりの推移となっています。

中期戦略の各事業における進捗

内山:ここからは、今期のビジネスアップデートについてご報告します。

中期戦略における各事業の進捗です。リテールDX事業においては、利益率の高い「分析・可視化サービス」の拡販が今回進展をしています。今期の見通しとして、第2四半期以降は案件確定も続いており、リテールDX事業においてはこれまでの成長率を維持できると思っています。

斎藤が先ほど申し上げましたが、「行動変容サービス」について新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、どのように変化したかをお伝えします。コロナ禍の期間においては、12月や1月のような繁忙期に集中してお客さまを集客したいというニーズよりも、そのニーズを年間を平均してならしていきたいという要望の方が多かったのではないかと振り返っています。

一方で、今期は5類に移行されているため、この12月にしっかりとピークを立てます。さらに、1月は正月、3月は新生活が始まる時期であることから、この時期に向けてしっかりとピークを立てていきたいというニーズが強まったことが、昨年度と比較した時の大きな変更点です。

第3四半期への偏重という課題は解決しなければなりませんが、今期は第3四半期への偏重がより強まってしまったというのが実情です。

リテールメディア事業は、前年同期比よりも非常に大きく成長していますので、消費財メーカーの新規顧客が増大しています。今期の見通しにおいても、今期の売上貢献は大きくなると見込んでおり、「行動変容サービス」は伸長の見込みです。

スマートシティ事業では、第1四半期の売上貢献はまだまだ少ないものの、大型の公募案件は複数獲得済みです。スライド右側に今期の見通しがありますが、獲得した公募案件は主に3月請求になっているため、非常に大きな売上が3月に発生する見込みです。

3月は当社では第3四半期となりますので、今期にスマートシティ事業の売上をしっかりと立てたことによって、第3四半期に対する偏重がさらに強まっています。

偏重についてはもう少しならせるよう尽力していきたいと思いますが、お客さまの事情も考慮した結果、第3四半期への偏重に一定量戻ることとなりました。

また、グローバル事業については、投資先のGroundLevel Insights社との共同商品を確立し、営業を開始していきます。今期の売上貢献はあまり大きくないため、北米の着実な実績を積み上げていきたいと思っています。

三菱食品との資本業務提携

三菱食品株式会社(以下、三菱食品)とは2023年8月14日に資本業務提携を締結しており開示しています。

三菱食品の小売事業者3,000社・メーカー6,500社という非常に強い取引ネットワークと、従前から持っている食品業界に対する深い理解、そしてunerryにおける国内1.5億IDの生活者行動ビッグデータ、さまざまなメディア接触データ、小売業界での豊富な分析実績を組み合わせることによって、非常に大規模なリテールメディアのプラットフォームを共同構築できます。

これまでも1年以上ご一緒していましたが、より強く進めていくために資本業務提携に至っています。

データブリックス社とグローバル市場を見据えたデータコラボレーション

データブリックス社は、主に米国におけるユニコーン企業で、「Databricks Marketplace」というプラットフォームを展開しています。こちらのプラットフォームの日本展開における最初のパートナーとして当社を選んでいただきました。9月からさまざまな企業に対し、当社の持っている人流データの提供を開始しています。

インティメート・マージャー社と連携しオン・オフの統合サービスを開始

10月にインティメート・マージャー社と連携しました。インティメート・マージャー社のWebサイトから得たデータと、unerryのリアルな実在店のデータを組み合わせることによって、Webサイトに来た人がどの店舗に来たのかまでわかる、オンラインとオフラインを統合できるマーケティング効果測定サービスを始めています。非常に強い提携だと思っています。

質疑応答:脱コロナによる顧客広告予算の偏重について

斎藤:「コロナ禍が明けた今期のほうが、顧客は広告費用を使い、各四半期に分散しようとするのではないでしょうか?」というご質問です。

前々期においては、当社の小売事業者などのお客さまは年末から3月末に向けて多くの広告予算を使う傾向にありましたが、前期はコロナ禍において「お店に一定量のお客さまを集めたい」というニーズがシーズンを問わず強く、「行動変容サービス」の売上が各四半期に分散する傾向へと変化した影響で第1四半期から大きく売上を立てることができました。

一方で、今期においては5月に新型コロナ感染症が5類に移行した影響により店舗の来店者数が増えてきたため、広告配信での集客を年末、年始、3月に向けて配分しようという意向が出たという背景があり、前々期以前の程度の第3四半期への売上偏重に戻っています。

質疑応答:第3四半期の売上偏重について

斎藤:「本年度の進捗は計画どおりとされていますが、本当に第3四半期偏重になるということでしょうか? そのあたりについてもう少しご説明をお願いします」というご質問です。

もともと第3四半期に偏重することが、ある程度想定はできていました。当社予算は、ある程度案件の積み上げで作っており、現状の契約上、第3四半期に売上が立つものが多く存在しているためです。

内山:1点補足します。第3四半期に売上が立つことは昨年度も、その前年度においてもまったく同じ傾向だったと思います。

ただし、昨年も計画としては第3四半期に偏重すると考えていましたが、結果として、昨年は第1四半期に計画以上の売上が立ったというのが実情です。したがって、unerryにおいては年度を通じてしっかり見ていただくことのほうが重要だと思っています。

そしてスマートシティにおいて、第3四半期に売上が立つということは、新しい要因として今期できたものです。その点が昨年からのもう1つの変動要因です。

質疑応答:売上高の業績値について

斎藤:「スライド37ページに『概ね計画通り』という表現がありましたが、『概ね』という表現から、なにか計画どおりではない要素もあったということでしょうか?」というご質問です。

売上全体では予算どおりに着地しています。この「概ね」をつけた意味としては、サービス別売上が少し計画よりも動いていたということです。これはお客さまの予算をサービス別にどういった配分で使うかが状況に応じて変わる等の事情などが関係しています。サービス別売上が計画からずれたため、「概ね」という表現をつけました。

質疑応答:三菱食品との提携について

「三菱食品との提携について、アップデートがあればお聞かせください」というご質問です。

内山:先ほどご説明したとおりですが、まず三菱食品とは1年以上お取引があり、今年8月に資本業務提携を結びました。

資本業務提携前後の一番の違いについてご説明します。

昨年まではunerryが持っているサービスを三菱食品経由で販売していただくということが主でしたが、資本業務提携の締結後は、三菱食品が持っているデータとunerryが持っているデータを合わせて共同商品や共同プラットフォームを作り、主に消費財メーカーや小売事業者にしっかりとサービス提供をしていくという、1歩も2歩も踏み込んだ提携になっています。取り組みとして非常に大きく動いていますので、今後期待していただけると考えています。

質疑応答:海外における競合他社について

斎藤:「国内のビジネスモデルを海外に展開するとのことですが、海外に同様のサービスはあるのでしょうか?」というご質問です。

内山:海外でunerryと同様のサービスを提供している会社があるかと言われると、当社の調査の範囲においては「ない」というのが回答です。

ただし、同じ「ような」サービスということならば、例えばPlacer.aiやRadar.comがありますが、どちらも未上場の企業が提供しています。

したがって、「大きな競合のサービスがありますか?」というご質問であれば、「現状はない」というお答えになります。unerryの現状の仕組みは、海外においても強く、勝てるのではないかというのが私の見立てです。

「なぜ競合がなかったのか?」というご質問もいただいています。今までアメリカでは、例えば、人流データ活用の広告サービスのみを事業とした会社や、分析だけを行う会社はありました。これらの単体のサービスでは、事業のスケーリングが果たせなかったのではないかと私は推察しています。

一方で、分析も広告もシステムもすべて提供し、きちんとクロスセルできる当社のビジネスモデルは秀逸だと考えており、だからこそ日本市場においても唯一スケールできたプレイヤーではないかと自己分析をしています。

質疑応答:クロスセルのメリットについて

斎藤:「『分析・可視化サービス』の粗利が飛び抜けており、ここに特化したほうが効率的な気がします。クロスセルのメリットをもう一度教えてください」というご質問です。

内山:「分析・可視化サービス」「行動変容サービス」「One to One サービス」はそれぞれに顧客単価が異なることと、入りやすさが異なることが大きな違いです。

「分析・可視化サービス」は、最安で月額15万円からご契約いただける、非常に入りやすいサービスです。粗利も高いので、より多くのお客さまに安価で提供できるのが特徴です。

ただし、そこからしっかりと売上を作っていく局面においては、「分析・可視化サービス」だけでは難しくなります。例えば「行動変容サービス」は月額100万円からで、「One to One サービス」は月額200万円以上のサービスになるため、より単価の高いサービスをクロスセルすることのほうが、売上形成に非常に意味があります。それが大きなメリットです。

質疑応答:「One to One サービス」鈍化の要因について

斎藤:「One to Oneサービスが伸びていない理由を教えてください」というご質問です。

内山:「One to One サービス」が伸びていないというよりは、会社として力点を置く順番が影響している点があります。今期1番に力点を置いているのが「分析・可視化サービス」で、2番目が「行動変容サービス」、3番目が「One to One サービス」です。

「分析・可視化サービス」は粗利率が高く、リカーリング顧客の底上げができる一番最初のエントリー商品となることが、「分析・可視化サービス」を伸ばす最大の理由となります。

「One to One サービス」は、昨期の戦略価格提示等において、粗利率が少し変動しやすくなる特徴があったため、今期は「分析・可視化サービス」、その次に「行動変容サービス」をしっかりと打ち出していくことにしました。

2点目に、マーケットのニーズがあります。振り返ると、2022年6月期はコロナ禍の最中であり、お客さまからは「分析・可視化サービス」のニーズが非常に高まりました。

一方で、2023年6月期はコロナ禍が明ける直前の期ですが、「しっかりと顧客を取っていきたいけれど、ピークを作りたくない」というお客さまが多かったので、「行動変容サービス」が非常に売れた年ではないかと思います。

それに加えて、世の中でDX化が盛んに叫ばれたため、「DX=アプリ・システムの開発」というニーズが非常に多く生まれた年でもありました。unerryの3つのサービスの中では、「One to One サービス」が該当します。したがって、戦略価格を提示してでも「One to One サービス」をしっかりと取りに行こうというのが昨期の判断でした。

今期は、すでに新型コロナウイルス感染症が5類に移行したこともありますので、「分析・可視化サービス」によって、しっかりとお客さまを増やしていきます。その結果としてリカーリング顧客数が増えています。

「分析・可視化サービス」を増やすことで裾野を広げ、「行動変容サービス」をクロスセルしていく戦略に移ってきています。

質疑応答:今期収益の四半期別の水準について

斎藤:「今期収益の四半期別の水準について教えてください」というご質問です。

今期の四半期別収益の具体的な数字については開示していませんが、イメージとしては、前期よりも前々期の傾向、第3四半期の偏重にかなり近いものを想定しています。

内山:2期前の第1四半期の進捗率が18パーセント弱、今期の第1四半期が17パーセント強と、2期前の進捗とほぼ同水準となると思います。

昨年は予想以上に売上が上がったと見ており、2期連続で39パーセントの平均成長を達成していることのほうが重要だと考えています。

質疑応答:リカーリング年間顧客単価について

斎藤:「リカーリング売上高比率が上がっているにもかかわらず、全体の伸びが小さいのは、新規顧客の獲得が進んでいないということでしょうか?」というご質問です。

内山:まず、新規顧客の獲得はかなり順調に進んでいます。リカーリング売上高比率は90パーセントから96パーセントですので、ほとんどの売上はリカーリング顧客によって実現できているということです。

ここで一番見ていただきたいのは、スライドの一番左の図において、リカーリング顧客数が相当増えたということです。一方で、リカーリング顧客と言っても、新しいリカーリング顧客と以前からいるリカーリング顧客では客単価が違います。

リカーリングの年間顧客単価が約2,100万円で、平均すると下がってはいますが、これは新しいリカーリング顧客が増えたことによって全体の単価が下がったということです。

比較的高水準を維持していますが、ご質問いただいた新規という点については増えており、結果リカーリング顧客に転換している数も増えてきています。

しかし、新規乗り換えの顧客が増えたことによって、リカーリング顧客単価が少し薄まってきたというのが実情です。

質疑応答:デジタルツインIDについて

斎藤:「3.9億IDということですが、2.4億IDは海外でしょうか? 地域としてはどこでしょうか?」というご質問です。

内山:北米です。アメリカとカナダで2.4億IDとなります。アジアについてはまだ開示していないという状況です。

質疑応答:クライアントの広告費用の分散について

斎藤:「広告費用の分散について、先ほどのお話では、お客さまが第1四半期の広告を減らすという判断であれば、そもそも予算の規模が小さくなっているのではないでしょうか?」というご質問です。

内山:当社の広告サービスの原資がどこにあるのかをぜひご理解いただければと思いますが、まず一番の原資は紙のチラシです。もともと、クリスマスや新生活、正月等、年末になればなるほど、紙のチラシは増えていきます。

その予算執行は、だいたい年間の販促計画によって決まっているというのが実情です。今期は年末年始にしっかりと売上を立てていきたいというお客さまが多かったこともあり、今回特に「行動変容サービス」を中心に、当社の第3四半期、1月から3月に偏重してきました。

したがって、顧客が広告を打たなくなっているのではなく、お客さまはもともとの販促計画に基づいており、当社が想定した以上に第3四半期に寄ったという印象です。

質疑応答:人材採用の進捗について

斎藤:「人材採用の進捗は順調でしょうか? 傾向に変化があれば教えてください」というご質問です。

内山:採用は非常に堅調で、人件費においては販管費に変えているものもありますが、昨期の第4四半期、特に4月に新卒を含めて入社があり、そこから人件費が上がってるということはあります。

今期においてもほぼ予定どおりの採用ができています。世の中では一般的に、エンジニアが採用しづらいと言われていますが、unerryにおいては、貴重なデータがあることと、大規模なインフラを運営できることに魅力を感じている方が多く、ありがたい話ですが、エンジニアやデータサイエンティストの採用が非常に堅調に進んでいます。

質疑応答:サードパーティCookie規制の影響について

斎藤:「サードパーティCookie規制によって、業界においてはユーザーの属性が掴みにくくなるというデメリットが生じていると思います。そのような業界変化の中で、もし御社固有のプラスマイナスの影響があれば教えてください」というご質問です。

内山:まず、unerryはサードパーティCookieは使っていません。そのため、このCookie規制そのものがunerryに影響を与えるということはないとご理解ください。

Cookieとは、Webサイトに来た方に対し、WebブラウザでIDを発行するという仕組みですが、unerryはアプリからデータを取得していますので、このサードパーティCookie規制そのものによる影響はありません。

一方で、サードパーティCookieが使えなくなることによって、私たちにはプラスの影響があります。サードパーティCookieが使えないため、「unerryのような仕組みを使わなければならない」と理解される小売企業、外食会社そして消費財メーカーが増えてきています。これは当社にとっては、ポジティブな影響があるとご理解いただければと思います。

質疑応答:第1四半期の原価上昇の原因について

斎藤:「原価率の改善に取り組まれていると思いますが、今期第1四半期では上昇しています。前期第4四半期の直接原価が上昇したのは、戦略的価格提示の影響も一因と説明がありましたが、第1四半期で上昇した原因は季節性によるものでしょうか?」というご質問です。

サービス別原価率について、スライドに示していますが、基本的にはほぼ横ばいで推移しています。「分析・可視化サービス」については高い粗利の水準を維持しており、「One to One サービス」は回復傾向にあり、「行動変容サービス」についても同水準で推移しています。

この傾向は続くと予想しています。あとはサービス別構成比率において粗利率の最も高い「分析・可視化サービス」の売上を上げていく、もしくは業務効率化や利益率の高いサービスを推進することで、全体の利益率を上げていきたいと考えています。

内山:第1四半期をYoYで見ると、直接原価率は逆に1ポイント改善しています。粗利では第1四半期44パーセント、前年同期比でプラス1パーセント粗利率が上がっていますので、直接原価としては改善していると思っています。

一方で、間接原価率は2ポイント悪化しています。これは主にインフラ費用、特にデータ量が海外含め非常に大きく増えていますので、それによる影響だと思います。

質疑応答:間接原価の上昇傾向について

斎藤:「間接原価は今後も右肩上がりで予想されているのでしょうか?」というご質問です。

基本的に間接原価は、データ量が増えていけばインフラ費用も増えていく傾向があります。ただし、その増加傾向については、売上の増加よりも収まるかたちで推移していくのではないかと見ています。

質疑応答:各事業のサービス対応について

斎藤:「各サービスと各事業がどのようなメッシュで対応しているのか教えてください」というご質問です。

各事業がどのサービスに対応しているかについてご説明します。

リテールDX事業は「分析・可視化サービス」「行動変容サービス」「One to One サービス」すべてのサービスに対応しています。また、スマートシティ事業も同じくすべてのサービスに対応しています。

リテールメディア事業は主に「行動変容サービス」に対応しています。グローバル事業については、現状では「行動変容サービス」及び「分析・可視化サービス」に対応しています。

内山:スマートシティ事業はどちらかというと「分析・可視化サービス」が要素としては大きくなると考えています。

質疑応答:第3四半期偏重に関する開示について

内山:「第3四半期依存について、開示の仕方がミスリーディングだったのではないでしょうか? コミュニケーション不足ではないでしょうか?」というご指摘もいただいています。

私たちもわかる範囲でしっかりと開示しているつもりですが、みなさまへの開示の仕方については、これからも誠意を持って取り組んでいきたいと考えています。

繰り返しとなりますが、今期の第3四半期について、改めて私の口からお伝えします。第3四半期の偏重は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、小売事業者さまが12月から3月にかけてしっかりと集客や販促のピークを作っていきたいと考えていることと、スマートシティ事業の開始によって、主に請求が3月に偏ってしまったこと、この2つが主な要因です。これは2期前の偏重とほぼ同じくらいの偏りになっていくと見ています。

「それは最初から読めなかったのでしょうか?」というご質問もあると思います。当社としては、第3四半期の偏重をより改善するように心がけてきましたが、これについてはお客さまの事情もあり、今期は偏重してしまったということです。その点をご理解いただければ幸いです。

計画どおりと開示していますが、計画値については2期前の偏重も織り込んで立てたものです。昨年もそのように計画を立てていたのですが、昨年は計画値よりも第1四半期は上回って着地しました。実態をそのままお伝えしますと以上のような背景となります。

質疑応答:公共事業の前払い請求について

斎藤:「公共事業は前払い請求できるのではないでしょうか?」というご質問です。

これはおそらく、売上の分散ができるのではないかというご質問だと思います。こちらについては、会計基準上の売上計上タイミングが、どうしても第3四半期に集中してしまうため、前払い請求したとしても、第3四半期に計上しているという状況です。

質疑応答:海外のビーコンについて

斎藤:「海外のビーコンは何個ですか?」というご質問です。

内山:これからまさに、「Beacon Bank」という仕組みを海外展開していくところですので、今日の時点では、現状での海外のビーコンの数は、まだ開示していません。海外事業の進展については、今後しっかりとみなさまにご報告していきたいと考えています。

別の話として、実際に海外のお店に行くと、私たちもプロですので、ビーコンが入ってるかどうかわかるのですが、多くの小売事業者においてビーコンが実際に導入されていることは間違いない事実です。私が直接足を運んで調べた結果です。

一方で「そのビーコンは使われているのか?」というと、そうでもありません。7年から8年前の日本の状況に極めて近いというのが私の感覚です。

したがって、このビーコンを登録し、いろいろなかたちでご利用いただけるという当社のサービスは非常に大きなニーズがあるのではないかと考えています。

質疑応答:2028年100億円のロードマップについて

斎藤:「2028年6月期の100億円のロードマップについてご説明をお願いします」というご質問です。

内山:こちらのスライドにお示ししています。繰り返しになりますが、unerryは、四半期ごとに見ていくと、アップダウンがあるというのが実情です。

年度により、第1四半期は計画以上に進捗したり、そうではなかったりということがありますが、年度を通じてしっかりと成長を果たしていくことが重要です。その年のニーズに合ったかたちに変えながらサービスを提供しています。

今期から5年間かけて36パーセント成長を目指し、成長エンジン4つすべてを伸ばしていきます。リテールDX事業が堅調に下支えしつつ、一番大きな伸びしろがあるのが、スマートシティ事業です。

全国都市の人流「分析・可視化サービス」「行動変容サービス」について、どの街に行ってもunerryのデータがデファクトで使われている状況を目指していくことにより、現状のリテールDX事業と同じくらいの売上が出せるのではないかと考えています。

リテールメディア事業はグラフの水色の部分ですが、主に消費財メーカーという当社からすると新しいお客さまです。この売上が、純増で乗ってくることになります。

グローバル事業では、日本で培ったものをこの事業に展開していきます。おそらく主軸は北米になると思われますので、この北米事業をしっかりと伸ばしていきながら、100億円を目指していきたいと思っています。

斎藤氏からのご挨拶

unerryでは、どの街に行っても、どの店に行っても、実はunerryのデータが自然と使われていて、みなさまの生活の質がよくなったり、買い物が楽しくなったりする「unerry,everywhere」を推進しています。

それによって大きく成長していきたいと思っていますので、今後とも応援をよろしくお願いします。本日はご参加いただき誠にありがとうございました。

説明会に寄せられたその他の質問と回答

2024年6⽉期第1四半期決算説明会終了後、説明会内で十分にご回答ができなかったご質問や、多くの方にいただいたご質問について、SNSにて補足するかたちで、質疑応答を公開いたしました。本記事において、あわせて掲載いたします。

SNS掲載 - 質疑応答:第3四半期偏重に戻った理由

質問:第3四半期の売上偏重は前期まで改善していたはずですが、なぜ今回また戻ったのでしょうか? また計画通りとすれば事前にわかっていたのではないですか?

回答:第3四半期の売上偏重は経営課題と認識し、年間計画の提案、月額サービスの販売、小売以外への拡販を図ってきました。

しかし新型コロナの5類変更に伴って想定以上に年末から3月にピークを作っていきたい顧客希望が強いこと、また小売以外に始めた街づくりの売上計上が3月に集中していることから、前前期程度への第3四半期売上偏重に戻っているのが今期の状況です。

計画どおりとなっている理由としては、第3四半期売上偏重という経営課題解消に取り組むものの、予算策定時には蓋然性を見極めるため、例年の第3四半期売上偏重を織り込んだ計画を策定していたためです。

昨年は第1四半期で計画以上の売上(第3四半期偏重の解消が一定の成果があった)となったため、今期の増収幅が小さく見えていますが、受注見込みとしては比較的堅調に積み上がってきています。

SNS掲載 - 質疑応答:原価率・販管費率が増えた要因

質問:原価率、販管費率が増えている要因を教えてください。

回答:原価のうち、直接原価率はYoYで1ポイント改善(57パーセント→56パーセント)、間接原価率は2ポイント増加(14パーセント→16パーセント)しています。

前期より「分析・可視化サービス」の売上構成比率が増えたことで直接原価率は改善しました。データ量拡充によるインフラ費用増で間接原価は増えましたが、対売上高は大きくないので収益全体への影響は軽微です。

販管費率はYoYで2ポイント増加(36パーセント→38パーセント)しましたが、主な要因は人件費・採用費です。うち、採用費もかなり大きいので、新規採用を多く行った前期第4四半期より費用は減少しており、売上推移や利益水準を見ながら適切にコントロールしていく費用と考えています。

SNS掲載 - 質疑応答:グローバル事業の進捗

質問:グローバル事業(主に北米)の進捗について教えてください。

回答:2023年5月にGroundLevel Insights社に投資をした後にデータ基盤を構築し、8月から正式に販売を開始しました。

同社を通じてビーコン登録、Beacon Bank SDK提供、「分析・可視化サービス」の営業活動が活発に行われております。

日本事業で構築した仕組みの横展開となること、投資先のGLI社による営業展開であることから、インフラ費用以外の原価や人件費負担は過大にならないことは強みです。

今年度の業績への影響は軽微ですが、来年度以降の確実な収益化を目指しております。

SNS掲載 - 質疑応答:One to Oneサービスの売上成長について

質問:「One to Oneサービス」が伸びていない理由を教えてください。 回答:「One to Oneサービス」の売上は初期開発と月額サービスに分かれますが、粗利の変動幅が大きい初期開発部分を積極的に受注していないことが要因です。

今期は、「One to Oneサービス」は一定量の成長とし、スケールしやすく粗利の安定性が高い「分析・可視化サービス」と「行動変容サービス」の伸長に注力していきます。

SNS掲載 - 質疑応答:行動変容サービスのマーケットニーズについて

質問:(クライアントの)広告予算規模が小さくなっているのではないでしょうか?

回答:unerryが提供する広告は「紙チラシのデジタル化」や「従来の手法では効果が見えなかった広告の可視化」が価値となります。

したがって通常の広告とは異なる新市場となります。この市場においては規模は増加しています。

SNS掲載 - 質疑応答:KPIの優先順位について

質問:顧客数増加と単価アップのどちらを優先するのでしょうか?

回答:どちらも優先事項ではありますが、売上の90パーセント以上はリカーリング顧客で説明できますので、リカーリング顧客数の増加が最重要のKPIであり、その次にリカーリング顧客単価の維持となります。

リカーリング顧客単価を維持するには、新しいリカーリング顧客の単価向上が必要となります。

上記を踏まえ、新規顧客からのリカーリング化(顧客数増)と、クロスセルによる単価向上の2つを今期も取り組んでいきます。

SNS掲載 - 質疑応答:伸びている事業、儲けの出ていない分野

質問:今一番伸びている事業、儲けの出ていない分野や事業は何ですか?

回答:「分析・可視化サービス」と「行動変容サービス」はスケールしやすい事業です。儲けの出ていない分野は特にありませんが、「One to Oneサービス」は初期費用部分の粗利の変動があるのでスケール化ではなく安定的に成長させる予定です。

内山:第1四半期決算説明会のフォローは以上となります。たくさんご質問をいただいてありがとうございました。これからも投資家のみなさまには定期的に情報提供をさせていただくようにします。