会社概要
岡野帝男氏:本日は株式会社北川鉄工所の決算説明会にご来場いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の岡野帝男です。会社概要を含めて、決算概要、2025年度の事業計画についてご説明します。
まず、会社概要についてご説明します。スライドに記載のとおり、当社は広島県府中市に本社を置いています。創業は1918年で、100年を超える歴史のある会社です。
府中市は人口3万5,000人程度の小さな町ではありますが、ダイカストの自動車部品を作っているリョービ、北川精機、ヤスハラケミカルを含めて、4社の上場企業があります。実は青山商事も府中市が発祥です。それ以外の上場会社も府中市から多数出ており、ものづくりが非常に盛んなところです。
当社グループ全体では2,275名、単独では1,410名の従業員を抱えています。
会社概要
事業概要についてです。当社の組織体制としては、工作機器事業のキタガワ グローバル ハンド カンパニー(KGh)、産業機械事業のキタガワ サン テック カンパニー(KST)、金属素形材事業のキタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(KMT)があります。
また、事業構造転換の一環として、2023年に半導体関連事業に参入しています。2023年にシステム精工とケメット・ジャパンをM&Aし、2024年4月に2社を合併して北川グレステックに商号変更しました。なお、その他事業として、ウォーターカッターといった特殊工作機械などを取り扱う事業も行っています。
会社概要
セグメント別の売上高比率です。スライドのとおり、工作機器事業、産業機械事業、金属素形材事業の3つで売上高の90パーセントを占めています。また、2023年度からの新規事業である半導体関連事業は、2024年度の売上高で25億円、4パーセント程度になっています。
会社概要
工作機器事業の内容です。KGhカンパニーでは、工作機器(ワークホールディング)を扱っています。具体的には、旋盤用チャック、NC用の円テーブル、ロボットハンドの取り扱いもしています。それらに加えて、ジョーの自動交換ができる「BR-AJC」など、自動化・省人化に向けた新しい製品も開発しています。中でも「ワーク」、「ワーク」というのは材料のことですが、「ワーク」を固定させるための旋盤用パワーチャックは国内の工作機器メーカーを含めて6割程度のシェアを占めています。
アフリカを除く世界中にお客さまを有しており、海外の売上高比率は約46パーセントとなっています。
会社概要
産業機械事業の内容です。KSTカンパニーでは、各地域にあるようなコンクリートプラント(CP)のほか、建設用クレーン「ビルマン」を作っています。スライドの写真は、人が乗る大型「ビルマン」です。東京でもかなりの数の「ビルマン」が建っています。
さらに、アウトレットモールなどによくある立体駐車場や、混練造粒機「ペレガイア」というペレットを作る環境機械も作っています。
北は北海道から南は沖縄まで営業拠点を有しており、全国各地で事業を行っています。
会社概要
金属素形材事業の内容です。KMTカンパニーでは、鉄系鋳物の製造を行っています。また、鋳物製品の機械加工として、ユンボのようなショベルカーやトラック、自動車部品を製造しています。
お客さまの57パーセントは自動車部品関係、残り43パーセントは建設機械・農業機械の部品関係になります。
会社概要
半導体関連事業を担う北川グレステックについてです。先ほどご説明したとおり、半導体分野への事業進出を目的として、2023年7月にシステム精工とケメット・ジャパンをM&Aしました。昨年4月にこの2社を合併して、北川グレステックに商号変更しています。
事業としては、半導体やハードディスクに関連する製造装置、研磨消耗品の製造販売に加えて、自動化・省人化といったファクトリーオートメーションの提案を行っています。具体的には、スライド右側に記載しているCMP(研磨)装置やハードディスク製造装置、半導体を研磨する時に使うダイヤモンドスラリーという溶剤などを販売しています。
連結決算概要
2024年度の決算についてご報告します。売上高は、金属素形材事業における国内受注の減少や、2023年12月にタイ工場を閉鎖したことにより、前期比42億8,700万円減の572億8,000万円となりました。
一方で営業利益については、産業機械事業および半導体関連事業において利益率が改善したことにより、前期比1億9,200万円増の18億7,200万円となりました。経常利益については、持分法による投資利益が増加した一方で、為替差益の減少などにより、前期比9,400万円減の23億1,500万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は12億4,600万円を計上しています。
セグメント別業績
セグメント別の売上高です。KGhカンパニーおよびKMTカンパニーは減収減益となりましたが、KSTカンパニーおよび半導体関連事業は収益率が向上し、全体の収益を押し上げています。それぞれのカンパニーについては、次ページ以降でご説明します。
KGhカンパニー 市況状況
KGhカンパニーの市況についてご説明します。まず、工作機械の受注推移です。スライドのグラフでは、青色の棒グラフが国内の内需、グレー色の棒グラフが海外の外需を示しています。
みなさまご承知のように、半導体と同様、工作機械も景気の波があります。2022年にいったん山を迎え、2023年から緩やかに下降していますが、2024年にかけては外需で回復傾向が少し見られました。
KGhカンパニー 決算概要
そうした状況の中で、国内については、中小企業を中心とした設備投資の低迷や、自動車産業の減産・減速によるデザインチャック等の販売の伸び悩みが影響し、減収となっています。
海外については、競合他社との競争激化や、中国やヨーロッパ市場での生産縮小の動きもある中で、インド向け・中国向けの大型案件を獲得し、販売拡大に成功したことにより、増収となりました。ただし、カンパニー全体では、国内の低迷を海外でカバーできず、減収となっています。
利益面では、新本社工場完成による一過性の費用も重なり、減益となっています。
KSTカンパニー 市況状況
KSTカンパニーの市況についてです。スライドのグラフは、国内の建設投資見通し・生コン出荷量・コンクリートプラント販売高の推移です。生コンの出荷量は、国内全体で1億立方メートルあったところから、現在は6,600万立方メートルまで下降しています。
業界として取扱高は減ってきていますが、本日の『日本経済新聞』にも掲載されていたとおり、生コンの立方メートル単価が4月から3,000円上がり、東京都内では1立方メートルあたり2万5,000円ほどになっています。高いところではそろそろ3万円台になるところも出てくるといわれています。このような販売単価の引き上げにより、プラント設備への投資余力が出てきているため、プラントのマーケット自体は安定しています。
建設投資については60兆円を超える状況が続いており、引き続き建設機械の需要は堅調に推移するものと考えています。
KSTカンパニー 決算概要
KSTカンパニーの決算概要です。大きく3つの事業がありますので、それぞれご説明します。まず、コンクリートプラント事業については、生コン単価の上昇に伴い、好調な市況が継続しています。各企業の旺盛な投資需要を取り込むことができており、増収につながっています。
クレーンを扱っている荷役機械事業については、公共投資、民間投資ともに好調に推移しました。具体的には、高速道路のリニューアル向けの床版取替機や、ダム建設用のクレーンやタワークレーン等になりますが、案件が非常に大きかったことも増収につながっています。
立体駐車場事業については市場の縮小傾向が続いており、売上高は前期比21.2パーセント減となりました。これは材料費・人件費の高止まりや、期中計画の見直し・延期などによるものです。
カンパニー全体では、市況の好調を受けて前期比1.3パーセントの増収となりました。営業利益についても、立体駐車場事業の収益改善に加え、収益性の高いコンクリートプラントのメンテナンス工事が好調に推移したことにより、増益となっています。
KMTカンパニー 市況状況
KMTカンパニーの市況についてご説明します。スライドのグラフは、自動車生産台数の推移です。コロナ禍以前の水準まで回復が進んでいます。足元では世界的にEV需要の成長スピードが鈍化している状況も見受けられますが、市況はほぼ横ばいと考えています。ただし、米国政府による関税政策がどのように影響してくるかは注視したいと思っています。
KMTカンパニー 市況状況
スライドのグラフは、農業機械の出荷実績推移です。国内が減少傾向にあることに加え、海外への輸出も減少傾向にあります。これらのことから、農業機械の市況はなかなか厳しいのではないかと考えています。
KMTカンパニー 市況状況
建設機械の出荷実績推移です。輸出のうち欧米については、景気の減速や住宅市場の低迷、金利の高止まりなどの影響を受け、弱含みで推移しています。国内市場についても同様で、全体的には横ばいから少し右肩下がりになってきています。
KMTカンパニー 決算概要
KMTカンパニーの決算概要です。国内については、自動車部品、農業機械・建設機械部品ともに受注が減少し、減収となりました。海外についても、採算性の観点から2023年12月にタイの工場を閉鎖した影響により、減収となっています。
カンパニー全体としては、不良率削減や生産性の改善、単価の引き上げを行ったものの、収益性の高い国内自動車部品の受注が減ったことにより、減収減益となりました。
KMTカンパニー 海外子会社の状況
海外だけ取り上げてみると、タイ子会社は工場を操業停止しており、事業清算に伴う管理費用と資産の売却益を一部計上しています。
メキシコ子会社についてです。メキシコ工場の上期は、ハイブリッドカーの需要が拡大したことにより売上高が堅調に推移したものの、稼働率・不良率などの問題により残業や休日出勤が増加し、人件費の負担が収益を圧迫しました。また、当社の売上高はドル建てですが、材料等の支払いがペソ建てになっていることにより、ドル安ペソ高で為替が推移したことが、収益悪化の要因となりました。
下期にかけては、メキシコ工場で生産されるエンジン車向けの部品の出荷が低調に推移したことにより、大幅な減収となっています。年間を通しては、不良率などオペレーション改善によるコスト削減は進んだものの、人件費や材料費等の高騰分の価格転嫁交渉が軟化したこともあり、前期比で減益となりました。
半導体関連事業 市況状況
スライドのグラフは、世界の半導体市場の規模です。2023年は世界的なインフレやそれに伴う利上げ、地政学リスクの高まりや個人消費、企業の設備投資等の影響で、半導体需要が低迷しました。
一方、2024年はAI関連投資の好調に伴い、需要が拡大しているメモリ製品やGPUなどのロジック製品が半導体市場を牽引したこともあり、前年比19パーセント増と再び成長率が上昇すると予想されています。なお、年間数値は例年6月に公表されるため、2024年についても予測値となっています。
2025年については、AI関連ではデータセンターの投資の継続に加えて、AI搭載端末の増加といった裾野の広がりが半導体需要の拡大にも寄与すると見込まれています。
今後の世界経済は緩やかに拡大していくと思っていますが、米国政府による関税政策がどのような影響を与え、世界の景気がどのように動いていくかによって、ここの予測も大きく変わってくる可能性があることは否めません。
半導体関連事業 市況状況
スライドのグラフは、世界のハードディスクの市場規模です。システム精工はハードディスクの製造装置を作っていましたが、ご覧のとおり右肩下がりになっています。
ご承知のとおり、パソコンや一部のエンタープライズ用途では、ハードディスク需要が減少しています。一方で、データセンターやクラウドサービスの拡大に伴い、大容量で高耐久性を求められるストレージ領域では、依然としてハードディスクが重要な役割を果たしています。特にAIやIoTの普及によるデータ生成量の著しい増加が、10テラバイト以上の超大容量ハードディスクの需要を下支えしている状況です。
半導体関連事業・その他事業 決算概要
半導体関連事業・その他の決算概要です。スライド上段は半導体関連事業です。ハードディスク製造装置の大型案件を売上計上したことや、消耗品の販売、受託加工の受注が堅調に推移し、増収増益となりました。売上高は25億1,200万円、営業利益は5億8,600万円となっています。なお、当事業の2023年度は半期分しか含まれていないことから、増減率については算出していません。
スライド下段はその他事業です。2024年度は利益が出ていませんが、それ以前にその他事業に属していたドローンなどを取り扱う無人航空機(UAV)事業については、事業化の見通しや商品開発状況、商品リリース後のリスクを鑑みて、今年3月に事業の撤退を決定しています。無人航空機事業のリソースについては、今後成長が期待される分野へ配分していく予定です。
特別利益及び特別損失
特別利益および特別損失はスライドのとおりです。
連結海外売上高の推移
連結海外売上高の推移です。タイ工場の閉鎖を主要因に、2024年度は前期比で8億円ほど減少しています。海外の売上比率については、全体の売上が減少となったことから、前期と同じ約19パーセントとなっています。
設備投資概要
設備投資の状況です。本社再構築関連への設備投資としては、KGhカンパニーで18億円の投資を行い、新工場を作りました。また、新規事業である半導体関連事業への設備投資で3億円、メキシコでの新規受注案件にかかる設備投資として、自動車のEV化後も残る部品であるデフケースの生産にかかる2億円をこの中に含めています。
連結キャッシュフロー概要
連結キャッシュフローについては、スライドのとおりです。フリーキャッシュフローは34億2,300万円、現金同等物の期末残高は112億800万円と順調な進捗となっています。
連結貸借対照表概要
連結貸借対照表です。売掛金の回収が進み、売上債権が前期比で約23億円減少しています。また、本社の新工場建設により固定資産が約18億円増えています。一方、有利子負債については22億円ほど減少し、140億4,600萬円となっています。
主要指標推移
主要指標の推移です。自己資本の増加を主因に、ROEは前期比0.2ポイント減少の3.1パーセント、ROICは税引後営業利益の増加により前期比0.3ポイント上昇の3.0パーセントとなっています。
キャピタリゼーション(Cap)比率については、自己資本の増加と借入金の返済により前期比3.7ポイント減少の25.2パーセントとなりました。EBITDAについては、タイ工場分の減価償却費減などにより前期比1億9,000万円減の49億8,000万円となっています。
事業計画概要
2025年度の事業計画についてご説明します。売上高は、工作機器事業における海外売上高の拡大により、583億円を見込んでいます。
営業利益については、半導体関連事業における大型案件の完了により、前期比17億円の減収、経常利益については、2023年に発生した持分法による投資利益の影響剥落などにより18億円を見込んでいます。親会社株主に帰属する当期純利益については、タイ工場などの固定資産の売却益の計上により、24億円を見込んでおり、現状では年度を通じて増収増益の計画を立てています。
なお、昨今話題の米国政府による関税政策の影響については、合理的に見積もることが非常に困難であることから、業績予想には織り込んでいません。今後、業績予想の修正に必要性が生じた場合は、速やかに開示します。
セグメント別事業計画
セグメント別の事業計画です。売上高、営業利益とも半導体関連事業の減収減益が非常に大きく影響しています。共通費用の増加については、人件費の増加やDX投資にかかる費用や、無人航空事業の撤退にかかる費用の増加も含まれています。
KGhカンパニー 計画概要
KGhカンパニーの計画概要です。国内については、人手不足などを背景に省人化・自動化の需要が根強いことから、増収計画としています。
海外については、大型チャックの販売や供給体制の強化を進める他、現在インドにチャックの工場を作っています。この夏から生産を始め、秋口以降に本格生産に入る予定となっており、インドを中心としたグローバルサウスへの販売強化を進めることで増収計画としています。
カンパニー全体では増収増益の計画で見込んでいます。
KSTカンパニー 計画概要
KSTカンパニーの計画概要です。3つの事業に分けてご説明します。コンクリートプラント事業については、受注残の着実な消化およびメンテナンスニーズ等の取りこぼし防止により、増収計画としています。
クレーン事業がある荷役機械事業についても、受注済みの案件の確実な実行により、顧客要望の具現化による付加価値向上によって増収する予定としています。内製比率の向上により、収益性の増強を図っていきたいと考えています。
立体駐車場事業については、先ほどもご説明したように、全体的には市場が縮小傾向にあることに加え、材料費・人件費の高止まりによる計画見直しや延期が継続することから、減収の見込みとしています。
カンパニー全体では増収増益の予定としています。
KMTカンパニー 計画概要
KMTカンパニーの計画概要です。国内は自動車部品の受注落ち込みを主要因として、減収を見込んでいます。メキシコ工場についても、エンジン車向け部品の出荷が低調に推移することで減収の見込みとしています。
カンパニー全体としては、生産性の改善や採算ベースによる単価の引き上げ交渉を地道に継続しています。これが2025年度に影響し、販売価格への転嫁が進むことで収益計画がプラスに転じる予定としています。売上高は243億円、営業利益は2億円と、減収増益の計画を立てています。
KMTカンパニー 海外子会社計画概要
KMTカンパニーのうち、海外子会社の計画概要です。タイ子会社については工場の閉鎖が完了しており、土地建物を含む固定資産売却益を計上しています。
メキシコ子会社については、生産規模に応じた人員の最適化、間接費の見直し、生産性改善によるコスト削減など、抜本的な改善策を上期に集中的に行っています。
以上のことから上期は赤字となるものの、改善効果によって下期には黒字転換することを目指しています。エネルギーなどのコスト増については、単価の引き上げ交渉を引き続き行っていく予定です。
半導体関連事業・その他事業 計画概要
半導体関連事業・その他事業の計画概要です。半導体関連事業については、ハードディスク関連の大型関連案件が完了したことと、成長に向けた研究開発コストの増加により、減収減益を見込んでいます。また、半導体業界向け製品のラインナップ拡充に向けて開発施策を進めていきます。
半導体業界については、やはり次の世代で新しい機械をラインに入れていただくことが一番の収益の源になると考えています。そのための製造装置の開発、研究費はどうしても先行することから、減収減益で計画をしています。
その他事業ではウォータージェットや、ライトマシニングセンターという木工の切削機、摩擦接合機などを作っています。特にウォータージェットについては微細加工が可能なため、新規顧客の開拓を進めます。これらの結果、その他事業では営業利益1億3,000万円、営業利益率10.4パーセントを見込んでいます。
特別利益及び特別損失 計画概要
特別利益および特別損失についてです。タイ工場の土地建物の売却益の他、老朽化によりさいたま市にある東京工場社宅を売却しており、その含み益を含めて特別利益が出る予定となっています。差し引き14億6,300万円がここで計上されます。
設備投資計画概要
設備投資計画です。中期経営計画でもご説明したように、次の時代に向けて、必要な設備投資を積極的に行っていきます。
具体的には、本社再構築関連にかかる設備投資に7億円を予定しています。また、KGhカンパニーでの省人化・生産性向上にかかる設備投資として、3億5,000万円を予定しています。具体的には、新工場「FactoryⅠ(ファクトリーワン)」を自動化する上で、無人搬送車(AGV)を含めた自動化に対する設備投資になります。
その他、半導体関連事業のうち研究開発・試作では、長岡の新工場建設に4億円、設備等に3億円の計7億円を予定しています。全社のDX関連にかかる設備投資としては2億5,000万円を予定しています。以上、合計約52億円の設備投資を予定しています。
主要指標計画値
主要な指標計画値についてです。親会社株主に帰属する当期純利益24億円を計画していることから、ROEは前期比2.5ポイント上昇の5.6パーセントを見込んでいます。ROICについては、営業利益が若干減少することから、前期比0.3ポイント減少の見込みです。
Cap比率については、自己資本の増加により前期比0.8ポイント減少の24.4パーセントを見込んでいます。EBITDAについては、営業利益が減少するものの、成長に向けた設備投資に伴う減価償却費の増加により、前期比約1億円増の51億円の見込みです。
以上が2025年度の目標数値です。
株主還元
株主還元についてです。みなさまもご存じのとおり、株主のみなさまへのさらなる利益還元の姿勢を明確にするため、今年4月18日に配当方針の変更を行っています。これまでは連結配当性向30パーセントを配当の基本方針としていましたが、2025年度より年間50円を下限とし、安定配当に加えてスライドの表に記載している利益に応じた段階的な連結配当性向を目標に実施することとしています。
なお、2024年度は期末配当25円、年間配当50円を予定しています。
株主還元
以上の方針を2025年度の利益計画に当てはめると、配当性向30パーセントで年間78円の配当となる予定です。今回、大きく配当性向を変えることにより、株主のみなさまにより多くの配当とともに、上期下期に分けた年度での配当ではなく、中間期での配当の実施を継続していきたいと考えています。
中計初年度の取り組み
昨年11月には中期経営計画を発表しています。取り組みの初年度となりますので、あらためてご説明します。
「チャレンジする人財の育成」では、評価あるいは報酬制度の見直しに着手する予定です。チャレンジした人に対する表彰制度の導入や、コミュニケーション強化、社員の声を経営に活かすための年代別オフサイトミーティングも計画しており、今年5月末から開始する予定です。また、リスキリング宣言の実施等、社員のさらなる能力開発の支援や、それを支援する取り組みを実施していきたいと考えています。
「低採算からの脱却」では、省人化や自動化、コスト削減、顧客ニーズを捉えた付加価値の高い製品・サービスの提供を行えるよう対応力を強化していきます。また、間接業務を含めたビジネスプロセスの再点検によるオペレーション再構築に向けた取り組み、DX活用による生産性向上に向けた人材育成プログラムの構築に着手しています。
我々はものづくりの会社です。顧客ニーズをしっかりと把握し、その中でニーズに基づいた新しい製品の開発も継続的に進めていくことによって付加価値を高め、日本のものづくりを維持していきます。
「新領域への挑戦」では、各カンパニー事業における、既存の製品や技術の再点検による新領域開拓に向けた技術転用、環境負荷低減・省人化・コスト削減などの社会課題を含めた課題解決に資する製品技術の開発、そして新領域進出に向けたヒト・モノ・カネのリソースの最適化を図っていく予定です。
私も社長に就任して本当に思うことですが、やはり日本のものづくりは世界にないものを作っていかない限り、付加価値は付けられません。そのような意味では、日本は複雑なものに対してチャレンジし、それを製品化した上で付加価値を付けて売る、それが大きなものになるのではないかと考えています。
大量生産ではもう中国に勝てません。そのような意味で、研究開発により一層力を入れていきたいと考えています。
トピックス
最後に、2024年度のトピックスをいくつかご紹介します。1つ目は、KGhカンパニーの新本社工場「FactoryⅠ」の完成です。KGhカンパニーの工場は、現在「FactoryⅡ」と物流倉庫を含めて全体が完成しています。
2つ目は、ジョー自動交換システムの技術賞受賞です。旋盤搭載の標準チャックに対応したジョー自動交換システムが「2024年 精密工学会中四国支部」の技術賞を受賞しています。まさに人手不足が懸念される製造現場での高精度な自動化と省人化を実現するシステムだと考えています。
トピックス
3つ目は、取扱説明書電子化での年間約7トンの紙使用量削減です。KGhカンパニーではSDGsの一環として、製品の取扱説明書を電子化し、2024年7月以降順次実施しています。これにより、年間約7トンの紙の削減につながるものと想定しています。
4つ目は、国内最大規模の大型ウォータージェットの納入です。ウォータージェットは超高圧の水を噴射して材料を切断する加工機械であり、2025年に納入した大型機械は当社のウォータージェットでも最も大きく、国内でも最大規模になるのではないかと思っています。これは夜間運転にも対応しており、夜中でも自動で切断できます。
トピックス
5つ目は、CO2の吸収・固定化コンクリート製造技術開発への参画です。鹿島建設を代表とするNEDOのプロジェクトに、当社がメンバーとして参画します。実証設備を活用した技術開発を開始しており、コンクリート製造過程でのCO2排出量を実質ゼロ以下とすることを目標としています。
当社は排水、スラッジ水を高濃度化し、かつCO2を固定した状態のまま有効利用することを目的とした排水処理設備技術を提供します。現在、当所でテストを繰り返しています。
岡野氏からのご挨拶
以上、2024年度決算および2025年度事業計画についてご説明しました。2025年度については、米国政府による関税政策が世界に与える影響に過敏に注視しながら、1年間動いていきたいと考えています。ご清聴ありがとうございました。