2024年3月期 第2四半期決算説明会 目次

大貫美氏:明豊ファシリティワークス株式会社、代表取締役社長の大貫でございます。これより2024年3月期第2四半期の決算説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

本日は、ご覧の内容でご説明させていただきます。

2024年3月期 第2四半期 決算サマリー

2024年3月期第2四半期の決算サマリーをご説明いたします。

第1四半期には、日本コンストラクション・マネジメント協会及び国際コンストラクションプロジェクトマネジメント協会の各賞におきまして、ご覧の当社プロジェクトが受賞しております。

第2四半期累計期間の業績は、受注増に伴いまして売上高・各利益を上方修正しております。また、期初から実施した社員の処遇向上への取り組みにより、賃上げ促進税制が適用される見込みとなったことから、通期純利益予想についても上方修正しております。これらの修正を踏まえ、年間配当金を32円から34円へ修正いたしました。

2024年3月期 第2四半期 決算概要 ①PL

損益計算書でございます。

優秀な人材確保を目的とした社員の処遇向上による人件費の増加と、将来の売上安定に寄与するDXのさらなる推進に伴う開発費用の増加等を、売上高の増加によって吸収し、当第2四半期累計期間の各利益は過去最高となりました。

2024年3月期 第2四半期 決算概要 ②BS

貸借対照表でございます。

賞与の増額支給及び法人税等の納税により、総資産及び負債がスリム化しております。

経常利益の推移

直近5年間の経常利益の推移をお示ししております。

現在プロジェクト進行の出来高は高い水準で推移しておりますが、建設投資に関する発注者の判断は、引き続き慎重な状況で推移すると想定し、現時点では、通期経常利益は保守的に前年同等を見込んでおります。

社員数の推移

第2四半期末の従業員数は、前事業年度末に対し1名増加の255名となっております。引き続き、優秀な人材の採用に取り組んでまいります。

オフィス事業

続きまして各セグメントの状況についてご説明いたします。

はじめにオフィス事業についてご説明いたします。アフターコロナにおける働き方改革の方向性やオフィス移転の可否を検討する構想段階の意思決定から、移転プロジェクト立上げ後の「設計・調達・移転」に至るまでを、社内の専門家チームによってワンストップで支援しております。

在宅勤務の定着化や東京都心オフィスビルの空室率増加等の影響によって、オフィス事業の売上高は前年同期比8.6パーセント減となっておりますが、大企業のグループ統合移転や中央官庁等における働き方改革支援と執務環境整備に関する引き合いは増加しており、今後もオフィスのハード、ソフト両面における当社独自のサービスをご提供できる機会は増えるものと考えております。

CM事業

CM事業についてご説明いたします。急激な建設物価上昇の下で発注者の意思決定が一層難しくなる中、新築・改修や設備更新、脱炭素化や環境施策検討等に関して、当社は上流工程である基本計画策定段階のサービスを一層充実させ、プロジェクトの早期立上げを支援しております。

公共案件につきましては、この第2四半期累計期間においても、国土交通省や文部科学省等の中央官庁や多くの地方自治体、国立大学等の施設におけるCMプロジェクトを受託することができました。

民間におきましても、大型の研究施設や工場、学校法人施設の再構築など、既存顧客、新規顧客共、多くの引き合いを頂戴しております。

また、4月に新設した脱炭素CM部を中心に、脱炭素化ロードマップ策定や具体的な脱炭素化施策の支援を行っており、ZEBなどの認証取得をご支援する機会が増えております。これらによりましてCM事業の売上高は前年同期比11.5パーセント増となっております。

CREM事業

次にCREM事業についてご説明します。今年度は、新規顧客を含む大企業の多拠点改修同時進行型プロジェクトや自治体の公立学校改築計画、金融機関の各施設再編等について活発に稼働をしております。

CREM事業においては、当社システムであるMPSによる個別プロジェクト毎の進捗状況の可視化や工事コスト、スケジュール管理及び保有資産のデータベース化による施設管理情報一元化を併せてご提供する機会が増えており、多拠点施設整備計画の効率化において当社CMの価値が評価されております。これらの結果、CREM事業の売上高は、前年同期比4.6パーセント増となりました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業

DX支援事業についてご説明します。DX支援事業は、当社がCMサービスの可視化、効率化を目的として自社開発したクラウドシステムを、社内で10年以上活用してきた実績を踏まえて、顧客向けとして、顧客の働き方や施設の維持保全等のDX化を支援するシステムとして構築し、ご提供しているものです。当社のCMサービスと一体化してご提供するほか、システム単体としてもご提供しております。

今年の1月には、DX支援事業を全社横断型で推進する「DX推進部」を新設し、さらに機能を追加するシステム開発等を行い受注拡大に取り組んでおります。これらのことからDX支援事業の売上高は、前年同期比207.3パーセント増となりました。

23年度3月期 第2Qの状況について

続きまして、2024年3月期第2四半期の状況と今後の取り組みについてご説明させていただきます。

まず投資と業績の関係についてご説明いたします。今年度は、優秀な人材の確保及び社員の処遇向上による人件費の増加と、将来の売上向上に寄与するDX事業のさらなる推進に伴う開発費用の増加を実施いたしました。

第1四半期の業績は、これら費用増と急激な建設物価上昇による進行中プロジェクト一部停滞の影響を受けております。一方で、第2四半期は、受注増による高水準の出来高に転じ、人件費及びDX費用を吸収するかたちで売上増を実現しております。

建設プロジェクトの環境変化から当社の業績を見ますと、本第2四半期累計期間は、物価上昇や人手不足等により、建設プロジェクトにおける意思決定に発注者がより時間をかける傾向が見られた一方で、プロジェクト推進の難度が高まり、プロジェクト立上げや事業計画見直しにおいて、発注者側のプロである当社CMサービスへのニーズが一層拡大した状況となっております。

建設プロジェクトの環境変化

建設プロジェクトの環境変化につきましては、2012年度から今年度までのグラフのとおり、近年の建設投資全体は増加傾向にあり、また世界情勢の変化や資源高の中、建設就業者数は減少を続け、建設の需要増に対して供給力が不足する構図となっています。

このことから建設資材物価及び建設物価はこの2年から3年で急激に上昇しており、昨今の建設プロジェクトにおける発注者の意思決定は一層難しい状況にあると言えます。

建設プロジェクトの環境変化と当社の業績推移

同様に2012年度から現在までの当社の状況をお示ししております。当社は、建設プロジェクトの環境変化を背景に成長を続けております。

売上高は、元請け費用を伴うアットリスクCMからマネジメントフィーのみのピュアCMへの移行によって2015年度から減少し、2019年度以降の売上高はピュアCMがメインとなっております。

昨今の急激な物価上昇に伴う建設プロジェクトの環境変化の中で、当社は積極的な採用で体制を強化しつつ、高度なマネジメントノウハウを蓄積して社員のナレッジを高め、生産性の向上を実現させております。

生産性向上と受注リピート率の推移

スライド左側は、2012年度と今年度の当社の生産性向上に関する指標の変化を示しております。右側は、同期間における新規顧客の受注と既存顧客からのリピート受注の割合を示しております。

過去10年余りで直接時間1時間当たりの売上粗利は1.75倍となり、既存顧客からのリピート受注は7割強と安定しております。長期にわたって継続的に生産性とサービス価値向上に取り組んでおります。

セグメント別 売上粗利

セグメント別の売上粗利を前年度同時期との比較で示しております。急激な物価上昇を背景にCMへのニーズは向上しております。

CREM事業では、多拠点同時進行型プロジェクトのニーズが高まり、DXを併せて活用することで顧客の価値を向上させ、DX支援事業の売上も向上しております。また、当社の強みである製薬、食品、化粧品等の工場、研究所へのサービス提供も増加しております。公共CM、鉄道、学校等のプロジェクトにつきましてもCMへのニーズは堅調に推移しております。

DX支援事業の取り組み状況

DX支援事業の取り組み状況についてご紹介いたします。当社は、20年以上前からプロジェクトマネジメントに積極的にICTを活用して、サービス品質向上と業務効率向上に努めてまいりましたが、現在はオフィス、CM、CREM各事業とDX推進事業が一体となったサービスを提供する「DX推進フェーズ2」に取り組んでおります。

自社開発システムMPSによって、すべてのプロジェクト情報をデジタル化し、顧客と当社の間で可視化・一元管理することで、アウトプットの正確性とスピードを向上させ、同時にプロジェクトリスクを軽減することで、より難度の高い顧客の意思決定を支援しております。

また、情報をデータベース化することによって、当社社員は効率的に新たなナレッジを共有し、学習しながらプロジェクトを推進することに取り組んでおります。今後このフェーズ2の完成度をさらに高めて行く予定です。

建設プロジェクトの環境変化とCMが果たす基本的な役割

現在の建設プロジェクトの環境変化とCMが果たすべき基本的な役割についてご説明します。急激な物価上昇等、建設プロジェクトの環境が変化する中で、CMに求められるサービスレベルは各段に高まっています。

当社は「フェアネス・透明性」の理念を軸に、ここに示しておりますプロジェクト立上げ支援など、特に上流工程でのリスク検証精度を高め、顧客が納得感をもって早期に意思決定できることをCMサービスの重要な目的の一つとしております。

急激な物価上昇対応につきましては、この数年で蓄積した専門的なノウハウや独自に分析したコストデータベースを設計・施工者選定やコスト推移管理に活用し、発注者支援事業のサービスレベルを高めております。

対処すべき今後の取り組み

対処すべき今後の取り組みを3点ご説明いたします。

一つ目は、社会の変化に伴う発注者ニーズの変化を見据え、発注者と受注者の二者による標準の建設プロジェクトへ公正な競争環境を醸成し、発注者側のプロ(CM)を加えた三者体制によって、発注者へのより高い価値提供を実現してまいります。発注者支援を軸としながら、受注者の環境も良く理解し、建設プロジェクト全体の円滑な推進に貢献すべきと考えております。

二つ目は、サービス品質向上の源泉となる人材への投資、発注者支援事業の価値向上のためのDXへの投資を優先して行ってまいります。

三つ目は、ナレッジの共有を高め、優秀な人材によるチーム形成とリーダーの成長によってCMの価値を向上させてまいります。チームで高い成果を出すことを重視し、自らに対する謙虚な姿勢と仲間へのリスペクトを風土として互いに成長する組織を作っていきます。

中⻑期ビジョンと人的資本経営への取り組み

中長期ビジョンと人的資本経営のへの取り組みについて改めてご紹介いたします。「フェアネス・透明性」の企業理念の下、社員一人ひとりが高い志をもって、自らの成長と達成感を実感し、顧客側のプロとして発注者支援事業の無限の可能性を追求して社会に貢献することを、当社の人的資本経営の方針としております。

それに対して、社員が定めた「唯一無二の存在」「家族が誇れる会社」「発注者支援事業そのもので社会貢献」という今後10年の弊社のビジョンを軸に、明豊の社員一人ひとりが「顧客側のプロ」として社会に貢献できる存在となるよう人材育成に取り組んでまいります。

ESG/SDGsへの取組み

ESG/SDGsへの取り組みについてご説明いたします。「フェアネス」「透明性」の企業理念の下、ガバナンスの基盤として隠しごとのない経営を貫き、当社のサービスにおいてもプロセスをすべて可視化しております。

環境につきましては、社内に米国資格のLEED AP3名、CASBEE建築評価員48名が在籍し、顧客の環境負荷低減や長寿命化の実現支援を通じて、社会的な脱炭素化の推進に貢献しております。

社会につきましては、CM方式による公正な競争環境の提供や可視化された情報の提供による顧客の意思決定の納得性など、より透明性を重視した社会の実現に取り組んでおります。

またDX推進によるワークライフバランスの向上やCSR団体、支援が行き届いていないこども食堂への支援活動を行っております。

ESG投資

ESG投資として、2023年10月に東京都発行のグリーンボンドへ新たな投資を行いました。また、日本学生支援機構発行のソーシャルボンドへの投資も行っております。

TCFDへの取り組み

当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、自社の気候変動 関連リスク及び機会の整備と開示を行っております。自社のCO2削減への取り組みにつきましては、現在2020年3月比で35.4パーセント削減しております。

2024年3月期 業績見通し

2024年3月期の業績見通しについてご説明いたします。

弊社は、大きな社会の変化の中で、顧客側に立つプロとして顧客の建設プロジェクトの目標達成を支援し、さらに広い視野でのCMの需要創造と価値提供に向けて取り組んでおります。

今期の通期業績見通しにつきましては、期初から実施した社員の処遇向上への取り組みが、賃上げ促進税制の適用要件に該当される見込みとなったため、当期純利益を上方修正し、7億1,500万円を見込んでおります。

一方で、物価上昇や慢性的な人手不足等により、引き続き設備投資に慎重な姿勢が維持されることも予想されますので、現時点では、通期の売上高は期初の計画値である48億円、営業利益及び経常利益は、共に9億7,000万円を見込んでおります。

2024年3月期 業績予想

ただいまご説明しました2024年3月期の業績予想です。売上高、営業利益、経常利益は、期初の計画どおりとしております。年間配当金は32円から34円に修正しております。

業績の推移

直近5年間の業績推移をお示ししております。

1株あたり年間配当金の推移

過去10年ほどの1株あたり年間配当金の推移でございます。当社事業の発展をご支援してくださる株主のみなさまに対する適切な還元を目指し、配当方針として配当性向55パーセント程度の他に、今期は1株あたり年間配当金の下限を34円とし11期連続の増配を予定しております。

以上をもちまして2024年3月期第2四半期の決算説明を終了いたします。ご清聴いただきまして誠にありがとうございました。今後ともぜひご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。