個人投資家向け説明会
鶴岡裕太氏:本日はお忙しい中、BASE株式会社の個人投資家向け説明会にご参加いただき、ありがとうございます。代表取締役の鶴岡でございます。本日は、私からBASEグループの事業概要と中長期及び2023年12月期の経営方針についてご説明します。
はじめにBASEの動画をご覧ください。
(動画流れる)
代表あいさつ
BASEは私が在学中の2012年12月に設立しました。昨年12月で創業から丸10年経ち、今年が11年目の企業です。
経営陣
こちらが弊社の経営陣です。上級執行役員制度を導入し、スライドに記載している5人がそれぞれの領域で責任を持って経営を行っています。
ミッション
我々はミッションに「Payment to the People, Power to the People.」を掲げ、こだわりを持ってプロダクトを生み出しています。
特に「Power to the People.」は、すべてのプロダクトのテーマになっており、我々の働く原動力でもあります。インターネットを通じて個人やスモールチームの力をエンパワーメントしたり、大企業しか持っていなかった大きな力をインターネットにより民主化し、誰でもそこにアクセスできるようにしたりしています。このような取組みを通じて、より多様で豊かな未来に貢献していきたいと考えています。
基本的にはすべてのプロダクトにおいて、個人、スモールチーム、スタートアップがターゲットになっています。
サービス概要
サービス概要です。当社のサービスは大きく分けて3つあります。冒頭の動画でもご覧いただきましたが、「BASE」は創業時からご提供している主力サービスです。個人やスモールチームのネットショップ向けに必要なツールやソリューションを提供しており、ショップ作成支援・決済支援を行っています。
そして昨今、非常に成長しているのが「PAY.JP」です。「PAY.JP」はEC支援の「BASE」とは異なり、決済のみの支援となっています。ITのスタートアップや制作会社が自社で作ったWebサービスに、APIで決済サービスを提供しています。
「Pay ID」は、グループの中で唯一、購入者に向けてご提供しているサービスです。「Pay ID」ではワンクリックでモノが買えたり、好きなショップを簡単にお気に入り登録することができたりと、購入者向けの機能を備えています。
「BASE」「PAY.JP」「Pay ID」は決済を扱っているという点では共通しているものの、KPI、ユーザーはすべて異なっています。その点にご留意いただき、この後の数字等を見ていただければと思います。
サービス概要
我々グループの主な事業領域は、Eコマース・決済・金融です。スライドでは、それぞれのサービスにおいて、どのような付加価値を提供しているのかを分類しています。
「BASE」はネットショップ作成ツールですが、深掘りすると、簡単にネットショップが作れるというEコマースとしての付加価値を提供していることに加え、決済機能・金融機能も備えており、Eコマース・決済・金融すべてが含まれているプロダクトです。
「Pay ID」「PAY.JP」に関しても、それぞれのプロダクトの中にEコマース・決済・金融が内包されているサービスとなっています。
創業からの10年
創業から10年の大まかな軌跡です。2022年終了時点のグループGMVは約2,000億円となりました。GMVはGross Merchandise Valueの略で、「BASE」「PAY.JP」を使っていただいている加盟店が生み出している流通総額です。
したがって、この流通総額が増えれば増えるほど我々の業績も大きくなっていきます。過去10年はGMVの成長にフォーカスし、スライドに記載しているような外部のパートナーにもご協力いただくことで、直近では2,000億円にまで成長しています。
BASEグループの次の10年の方針
ビジネスモデルについてです。我々の売上高・売上総利益は「GMV×テイクレート(付加価値)」で生み出されています。スライドの横軸は2,000億円分の対象顧客(GMV)を示しており、彼らに対して、金融サービスやネットショップ作成などのさまざまな付加価値を提供しています。
売上については、我々の生み出しているGMVの中でどの程度の付加価値を提供できるかというかけ算になっているため、社内では「GMVを伸ばす機能」もしくは「テイクレートを作る機能」の2つにほぼすべての開発が分類できるかたちで構成されています。
そのため、今後10年においては、GMVをさらに伸ばすために、「BASE」「PAY.JP」を成長させるのはもちろんのこと、それ以外の領域に取り組む可能性も大いにあると考えています。
また、縦軸のテイクレートを向上させることも大切ですので、「BASE」等でさらなる価値創造を目指します。さらに、現在の2,000億円から数千億円まで拡大が予想されるGMVに対して「Pay ID」や金融サービス、もしくはそれ以外のサービスなどにより付加価値を乗せ、さらなる売上・売上総利益を生み出すために、さまざまなプロダクトを提供していきます。
ネットショップ作成サービス「BASE」
それぞれのサービスの概要についてご説明します。「BASE」はテレビCMも行っていましたのでご存知かもしれませんが、誰でも簡単にネットショップを作ることができるプロダクトです。
ストアフロント型の特徴
「BASE」は、ストアフロント型ECと言われるEC作成サービスです。「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「Amazon」はショッピングモールを持っているモール型ECに分類されますが、「BASE」はモール型ではなく、独立型でオンリーワンの自社ネットショップを即座に作れることを特徴としています。
直近のGMVは1,000億円を超えていますが、集客については基本的にショップオーナー自身が行っています。
「BASE」は大手ショッピングモールのように価格比較できる商品を多く取り揃えているというより、ショップが独自に作っているもの、そこでしか買えないものを販売している加盟店が多いというのも特徴です。
個人やスモールチームから圧倒的に選ばれるサービス
国内のシェアについてです。我々が個人やスモールチームをメインのターゲットにしているというのもありますが、国内では45パーセントを超えるみなさまから選ばれるサービスです。
累計ショップ開設数が190万ショップを突破
足元では190万ショップを超える加盟店にネットショップを作っていただいています。「ネットショップ開設実績5年連続No.1」ということで、日本国内においては「ネットショップを作るなら『BASE』だよね」という認識が徐々に浸透しているのを感じています。
(注)累計ショップ開設数は、2023年6月1日に200万ショップを突破しました。
GMVの成長
当社は創業から丸10年が経ちますが、直近のGMVは1,189億円と成長を続けています。その中でも2020年は非常に伸びています。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響によりオフライン消費が急減し、オンラインに消費が一気に流れてきましたので、想定を超える勢いで「BASE」をご利用いただいた影響が表れています。
一方、昨年は再びオフライン消費が回復し始め、オンライン消費は相対的に弱かったのですが、それでも前年を超える成長が続いています。コロナ禍を乗り越え適切な成長速度に戻り、今後も着実に成長していくのではないかと考えています。
「BASE」で開設されたショップの特徴
「BASE」で開設されたショップの特徴についてです。ミッションでもお伝えしたように、我々は個人やスモールチームがメインターゲットで、実際に「BASE」を使っていただいている方の4分の3を個人が占めています。
法人もいらっしゃるものの、数名程度の運営規模です。「BASE」は長年スモールチームにコミットしているのが特徴であり、その点が他社サービスとの大きな差別化になっています。
「BASE」で開設されたショップの特徴
多くのショップオーナーがSNSを利用しており、自身のブランドとしてネットショップを作成したり、仕入れではなくオリジナル商品を販売したりしていることも「BASE」の大きな特徴だと言えます。
ネットショップ作成サービス「BASE」
サービスの特徴として、大きく4つのポイントがあります。「BASE」は簡単にネットショップを作ることができ、決済システムも簡単に利用できるノーリスクなサービスです。売上規模が大きくなっても安い手数料に変更することができます。新たにネットショップを始める方だけでなく、売上規模が大きくなった加盟店でも使いやすいプラットフォームです。
全てのショップに最適な料金体系
料金体系についてです。昨年4月から、月額有料プランを新たに提供し始めました。以前は基本的に月額無料プランのみで、サービス利用料として決済金額に対して3.0パーセント、決済手数料は3.6パーセント、プラス1回あたり40円の手数料をいただいていました。
これまでは新たにネットショップを始める方にずっとフォーカスしていたのですが、売上規模の大きな加盟店にも「BASE」をご利用いただけるフェーズにまで成長しました。
売上規模が大きな加盟店にも長く「BASE」を使っていただくために月額有料プランを設定したことで、加盟店の規模感に合わせた手数料率にアジャストすることができています。
つまり、新たにネットショップを作りたい方、売上規模が大きくなった加盟店ともに「BASE」をご利用いただけるような料金体系になっています。
競争優位性のある料金プラン
料金プランについて、他社との比較を記載しています。昨年、新たに設定した月額有料プランの決済手数料は決済金額に対して2.9パーセントです。これまでは、決済金額に対して6.6パーセント、1回あたり40円の手数料と設定していましたが、それでも個人やスモールチームの方々に日本で一番支持していただいていました。
個人やスモールチームについては、プロダクトの機能やブランディングなど、さまざまな要素があって継続してご利用いただけていたと思います。ただし、売上規模が大きな加盟店のご利用が増えてきたため、昨年からは新しい料金体系に変更しています。
その甲斐あって、昨年から他社のサービスに流出してしまうショップもかなり減っています。また、これまではほぼなかったのですが、他社から「BASE」への乗り換えも見られるようになりました。
中長期におけるGMVを最大化するため、戦略的な投資を行ってきたことが、ようやく実ってきていると感じています。
拡大するユーザー層
我々はこれまで売上規模の比較的小さな個人とスモールチームのみをターゲットにしていましたが、昨年行った戦略的な手数料の引き下げにより、ターゲットが徐々に拡大し、GMVのTAMは大きくなっています。
以前は獲得できなかった売上規模のショップも獲得できていますし、他のサービスから流入も含め、今後は徐々に大きなマーケットに進出していけたらと考えています。
「BASEかんたん決済」
「BASEかんたん決済」についてご説明します。「BASE」では、ネットショップを作るだけでなく、「BASEかんたん決済」で決済システムも簡単に導入できるのが特徴です。
他社のネットショップを作ることができるプラットフォームの場合、「決済システムは別の会社で契約してください」と言われることが多いのですが、「BASE」は決済も一括してご利用いただけます。
誰でもかんたんに使える機能
ご覧のとおり、標準的な機能から拡張性のある機能まで、数多くの機能を提供しています。
誰でもかんたんに使える機能:標準機能の事例
ショップのデザインを簡単に変更することができたり、顧客管理ができたりと、スマートフォンさえあれば、高度な機能でも簡単に利用できるのが「BASE」の特徴です。日に日にさまざまな機能が追加されることも含め、他社のプロダクトと比べて、十分差別化ができています。
誰でもかんたんに使える機能:標準機能の事例
昨今話題のAIですが、我々も積極的にこの分野に取り組んでいます。「BASE AI アシスタント」は商品の説明文を自動生成できますし、直近では、新しく登録される商品説明文の約半分がAIアシスタントを活用しているというデータもあります。したがって、今後はAIを通じて運営業務の効率化も支援できると考えています。
誰でもかんたんに使える機能:拡張機能「BASE Apps」の事例
業務効率化と他のプラットフォーマーとの連携についてです。現在、「Instagram」「TikTok」といったプラットフォーマーとの連携を強化しています。
誰でもかんたんに使える機能:その他の取組みの事例
ネットショップを作るだけでなく、実店舗でのポップアップにも簡単に挑戦していただけます。また、昨今では金融サービスにも力を入れており、迅速な資金調達など、ネットショップ作成と決済以外の付加価値も提供しています。
購入者向けショッピングサービス「Pay ID」
購入者向けショッピングサービス「Pay ID」を持っていることも、BASEの大きな特徴です。通常のストアフロント型EC作成サービスは、マーチャント側に対してネットショップを作る機能しか提供していませんが、BASEでは購入者向けに「Pay ID」を提供することで、「BASE」で作られたショップでお買い物する購入者の方は、「Pay ID」で決済が簡単に行えることに加え、ショッピングアプリから好きなショップを簡単に見つけることができます。
購入者向けショッピングサービス「Pay ID」の成長
直近では、1,100万人を超える購入者に「Pay ID」を活用してショッピングをしていただいています。
BNPL「あと払い(Pay ID)」の提供開始
今年4月には「あと払い(Pay ID)」の提供を開始しました。これまで「BASE」の加盟店等で買い物をする場合、クレジットカードがなければ購入できませんでしたが、「Pay ID」は、IDを作っていただくことで我々が自社で与信をし、ワンタップで買い物ができるようなサービスになっています。
BNPL「あと払い(Pay ID)」の提供開始
また、GMOペイメントサービスとの提携により、我々は貸倒リスクを負わないかたちで、トップラインの成長を追求できるスキームで提供していますので、ご安心いただければと思います。「BASE」のショップや「Pay ID」を使っている購入者にも、しっかりと満足していただけるかたちになっています。
ショップ事例
こちらは「BASE」を通じて作られたショップの一例です。スマートフォンがあれば作ることができ、各ショップの特徴に合わせた多様なECサイトに仕上げることが可能です。
オンライン決済サービス「PAY.JP」
続いて、「PAY.JP」についてです。冒頭でもお伝えしましたが、こちらは「BASE」と異なり、ネットショップを作る機能はなく、決済に特化しています。決済システムを導入するためのAPIをスタートアップのみなさまに提供しており、自社サービスに簡単に決済システムを導入することができます。
オンライン決済サービス「PAY.JP」
シンプルな料金体系、スムーズに組み込むことができるAPI、そして強固なセキュリティが特長で、現在、多くのスタートアップやWeb制作会社にご利用いただいています。
GMVの成長
直近のGMVです。「PAY.JP」は「BASE」とは異なり、加盟店のジャンルが多様です。「BASE」の場合、アパレルブランドなどのオンラインの物販ECが多く、コロナ禍では大きく成長しました。その後オフライン消費が回復してくると、どうしてもオンライン消費が減速するため、成長が緩やかになりました。
しかし、「PAY.JP」をご利用いただいているマーチャントはより幅広く、リオープニングの影響も限定的で、成長を続けていることが「BASE」とのトレンドの差になっています。
セグメント
ここからは財務指標についてです。こちらでは、2022年12月期の業績と今期の経営方針についてご説明します。各事業セグメントに含まれるサービスは、スライドに記載のとおりです。
収益構造
BASE事業における収益構造についてです。BASE事業の売上総利益は、GMV、テイクレート及び原価率に連動しています。テイクレートは、売上高を決済ベースのGMVで割った比率で、売上高にはショップと購入者からいただく手数料が含まれており、売上原価には、「BASE」が決済代行会社に支払っている手数料が含まれています。
収益構造
「PAY.JP」の収益構造も、BASE事業とほぼ同じです。
グループGMV
続いて、BASEグループにおけるGMVの成長についてご説明します。すでに各事業のご紹介においてGMVの推移はお伝えしていますが、ここであらためて記載しています。
成長率は高い水準を継続しており、2022年12月期のグループGMVは約2,000億円規模にまで成長しました。特にPAY.JP事業の伸びが大きく、GMVの成長を力強く牽引しています。
一方のBASE事業については、リオープニングの影響に伴うオフライン消費の回復で、2022年の期初に経営陣が想定していた以上に、オンライン消費が減速する1年となりました。この数年、国内のオンライン消費が前年比で減少することはありませんでしたが、2022年は業界全体において前年比で減少した月があるなど、厳しい1年となりました。
しかし、月額有料プラン等の提供などにより、これまで以上に多様な加盟店にご利用いただけるようになり、前年比で増加の着地となりましたし、今後は再び成長軌道に乗っていけるのではないかと考えています。
売上高
連結売上高についてです。GMVの成長に伴い、長期的に見ると大きく成長していますが、昨年は前年比で減収となっています。その要因となったBASE事業の減収の背景についてご説明します。
昨年4月より、これまで以上に幅広い売上規模のショップにご利用いただくことを目的に、固定費をいただく代わりに、より安い手数料率で利用できる月額有料プランの提供を開始しました。提供開始から利用は順調に広がり、直近ではBASE事業におけるGMVの約半分が、月額有料プランをご利用いただいているショップから生み出されています。
このプランの提供によって、既存のショップにはより長く使っていただけるようになり、競合他社のサービスを利用していた方の「BASE」への乗り換えも発生しています。しかし、従来よりも安い手数料率で利用されるショップが増えたことで、昨年のBASE事業における売上高は減少しました。
昨年は、減収のニュースでご心配をおかけしたかもしれませんが、戦略的な手数料の引き下げによるものであり、その成果は徐々に表れてくると考えています。
事業別売上高構成比の推移
事業別売上高構成比の推移です。事業によって売上総利益率が大きく異なるため、構成比の変動は連結売上総利益率の変動要因となっています。2022年12月期は、BASE事業で戦略的なテイクレートの引き下げを行った結果、売上高が減少したことに加え、PAY.JP事業が大きく成長したため、BASE事業の構成比は低下しています。
売上総利益の推移
連結売上総利益の推移です。BASE事業における戦略的なテイクレートの引き下げにより、同事業の売上総利益が減少し、連結売上総利益も前年比で減少しています。また、売上総利益率についても、BASE事業の構成比が低下したことと、テイクレートの引き下げに伴う売上総利益率の減少により、連結ベースでも減少となりました。
販管費の推移
販管費については、2022年上半期まで、テレビCM等の認知系マーケティングを中心としたプロモーションに積極的に投資をしてきました。その結果、みなさまに「ネットでお店を作るなら『BASE』」としっかり覚えていただき、目標としていたサービス認知度に到達することができました。2022年の下半期以降、マス向けマーケティングは大きく縮小していますので、プロモーション費用も前年比で大きく減少しています。
一方、人員数については増加しています。また、外部人材も活用しているため、人件費とその他費用が増加しています。
人員数の推移
こちらは人員数の推移です。
営業損益
営業損益については、販管費は縮小したものの、BASE事業の戦略的なテイクレートの引き下げにより、売上総利益が減少したため、営業損失は拡大しています。
中長期の経営方針
最後に、グループの経営方針についてご説明します。中長期的には、「BASE」「PAY.JP」の対象顧客を拡大し、「Pay ID」や「YELL BANK」等の金融サービスにより付加価値を増加させることで、グループ全体の売上総利益の成長と価値創造の最大化を図ります。また、販管費を抑制することで筋肉質な財務体質に転換し、2025年12月期の営業損益黒字化を目指して経営していきます。
2023年12月期の経営方針
2023年12月期についても、中長期の方針に則って経営していきます。昨年までは、主に「BASE」のマーケティングと開発体制の強化に大きく投資してきましたが、今年からは販管費を抑制しながら、売上総利益の成長を第一に目指していく方針です。
「PAY.JP」については、引き続きグループGMVの成長を牽引すべく、力強い成長を目指していきます。
「Pay ID」では、BNPLの後払い等を通じて、購入者に提供する付加価値をより強化していきたいと考えています。
「YELL BANK」を中心とする金融サービスに関しては、既存のプロダクトをより磨いていき、「BASE」のショップのキャッシュフロー改善に取り組むことで、我々の売上総利益につなげていきたいと考えています。
2023年12月期 業績予想
今期の業績予想です。BASE事業のテイクレートの引き下げは2022年12月期中の4月に実施したため、通期で新しい手数料率の影響が出る今期は、売上総利益を前年比で成長させることのハードルは高いものの、前年比での増加を目指しています。販管費については、プロモーション費を縮小することで、前年同期と同水準になるように抑制する方針です。
売上総利益の見通し
売上総利益の見通しです。期初の想定どおり、第1四半期は順調に推移しています。
販管費の見通し
販管費の見通しです。こちらも期初の想定どおりに進捗しています。
ガバナンス体制
ESGに関する取組みも引き続き強化していきます。ガバナンス体制については、こちらのスライドをご覧ください。
サステナビリティに関する方針
サステナビリティに関する方針は、こちらのスライドをご参照ください。
私からのプレゼンは以上です。
質疑応答:売上総利益の見通しについて
「売上総利益の見通しについて、第2四半期以降改善するように見えますが、要因は何でしょうか?」というご質問です。
基本的に、売上総利益はGMVの伸びと連動しています。したがって、第2四半期以降にGMVが成長し、それに伴って売上総利益が伸びるということです。何か特別な要素を織り込んでいるわけではなく、GMVのトレンドはそのように見通しています。
質疑応答:Webでショップを横断して商品検索ができない理由について
「他社のCtoCプラットフォームやモール型ECのように、Webでショップを横断して商品検索できないのはなぜですか?」というご質問です。
冒頭でもご説明しましたが、「BASE」の大きな特徴はストアフロント型で、こちらは「BASE」を利用するショップオーナーの特徴でもあります。例えば、コカ・コーラの飲料やナイキの靴など、一般的にコモディティ化している商品を販売するのではなく、そのショップならではの商品やオリジナルのブランドの商品を販売していることから、モールに出店しても検索ワード数が少ないため、モールと相性があまりよくないことが要因です。
一方で、2022年以降、「Pay ID」という購入者向けのサービスも積極的に展開しています。「Pay ID」アプリの中では商品を検索して購入することができるため、そちらから「BASE」で販売しているショップや商品をご確認いただければと思います。
質疑応答:株価対策について
「株価対策に関して、どのような方針を持っていますか?」というご質問です。
株価対策については、資本政策を担当する専門チームが常に検討し、機動的に動けるように準備しています。
また、2025年12月期の営業損益黒字化を目指していますが、それまでは成長戦略のための投資により赤字が継続し、必要となる運転資金も拡大する見通しです。また、M&A等も成長戦略の一環として検討しています。
したがって、現在保有している資金の使途については、これらの成長戦略と株式市場からの評価を考慮しながら、検討していきたいと考えています
質疑応答:「あと払い(Pay ID)」について
「『あと払い(Pay ID)』について、初速はどのような状況か、ユーザーの反応を教えてください。また、今後成長していくにあたり、大規模な投資を行うのでしょうか?」というご質問です。
「あと払い(Pay ID)」は4月以降にリリースされたため、現状はまだ詳細についてお話しすることができませんが、基本的には想定どおり、ユーザーのみなさまにご利用いただいているという認識です。
ただし、改善が必要な点も多々あります。今後も改善を進め、より多くの方々にご利用いただけるようにしていきます。また、現時点では大規模な投資は考えていません。
質疑応答:赤字が継続する主な要因について
「赤字が継続する主な要因は何でしょうか? 黒字化するタイミングはいつでしょうか? 黒字化達成のために何がハードルになりますか?」というご質問です。
先ほどのご説明と重複しますが、2025年12月期に営業損益を黒字化することを目指しています。その目標に向けて、さまざまなプロダクトを作っています。我々としては、2025年の黒字化だけでなく、中長期的なトップラインの成長も大切です。そのための戦略的な投資を幅広く行っていることが赤字の背景にあります。
しかし、月額有料プランの提供などによりGMVが順調に成長してきているほか、テイクレートの向上のためにさまざまな機能開発を進めています。また、販管費の抑制等による財務体質の筋肉質化も徐々に進むため、これらの取組みを着実に実行することで、黒字化を達成していきたいと考えています。
質疑応答:最近の「BASE」の競合環境について
「最近の『BASE』の競合環境について教えてください」というご質問です。
2020年は、新型コロナウイルスの影響により「BASE」などのプロダクトの成長がマーケット全体で認識されました。その結果、2020年、2021年と大きなITスタートアップからも「BASE」のようなプロダクトがリリースされる状況が続きました。しかし足元の状況を見ると、その勢いは緩和されつつあり、競合環境も比較的緩やかになってきていると感じています。
したがって、油断はできませんが、我々がすべきことをしっかりと実行し、マーケットのリーダーとして市場の成長を牽引していきたいと考えています。
質疑応答:長期目標について
「ここから10年先を見据えて、強化したい分野や注力サービスなど、長期目標について教えてください」というご質問です。
基本的には「GMVの拡大」と「テイクレートの向上」の2つが、当社とって非常に大切で、注力している領域です。
GMVに関しては、「BASE」「PAY.JP」ともに成長のポテンシャルが十分にあります。これらのサービスのGMVを成長させながら、新たな領域へのチャレンジや、M&Aなどを通じた事業拡大も検討しています。これらの取組みを通じて、GMVの拡大を図りたいと思っています。
また、次の10年に関しては、「テイクレートの向上」にこれまで以上に強くこだわっていきたいと考えています。過去10年間はGMVだけにフォーカスしていましたが、会社のメンバーが増え、より幅広い取組みができるようになってきました。テイクレートもGMVと同様に成長させることができれば、売上高・売上総利益を2次曲線的に成長させることができます。
また、「BASE」だけでなく「PAY.JP」の利用ユーザーに対しても提供できる新機能が多くありますので、そのような新機能を活用していただき、テイクレートを伸ばしていきたいと考えています。
質疑応答:「YELL BANK」などの金融サービスの成長について
「『YELL BANK』など、金融サービスはリスクが大きいように見えますが、どのような対策をして、成長させていく方針でしょうか?」というご質問です。
「YELL BANK」は最近非常に成長しているサービスで、ショップが将来の売上を先に引き出すことができる資金調達機能を提供しています。
将来発生するであろう売上債権をBASEが買い取り、将来の売上が実際に発生した時に回収する仕組みですので、そのショップの将来の売上をより正確に予測することが、このサービスの肝です。
現時点では、さまざまなデータを活用して将来の売上を予測し、着実に回収できている状況です。我々としてもリスクマネジメントを徹底しながら、慎重にサービスの拡大を進めています。
一方で、我々はショップのキャッシュ・フローに介在し、ショップの売上から優先的に資金を回収できるポジションにいます。このように、よいポジションで資金提供できているという意味では、他の金融サービスと比べてリスクを低く抑えながら、サービスの成長が実現できていると考えています。
質疑応答:「PAY.JP」が最近好調な理由と今後の成長戦略について
「『PAY.JP』が最近好調な理由と今後の成長戦略を教えてください」というご質問です。
スライドに記載のとおり、「PAY.JP」のGMVは順調に成長しています。「PAY.JP」の加盟店は非常に多様で、オンラインだけではなくオフラインのフィットネス事業を営んでいる方などもいます。したがって、リオープニングの影響でオンライン消費が減速しても、GMVがマイナス影響を受けづらいことが、「PAY.JP」の特徴です。
新規のお客さまも順調に増えており、「PAY.JP」を利用している既存の加盟店もそれぞれが順調に成長している状況です。今後も、基本的にはスタートアップや制作会社を支援し、利用を促進していきます。
「PAY.JP」では、当面は新規加盟店の獲得と、既存加盟店の成長サポートに注力しながら、GMVの成長にコミットしていきたいと考えています。
質疑応答:今後のマーケティングの方針について
「投資家から忘れられないためにも、テレビCMを積極的に実施すべきではないでしょうか? 今後のマーケティングの方針についても教えてください」というご質問です。
ここ数年、テレビCMを実施し、主に認知度に指標を置いていましたが、2022年の前半に目標を達成しました。競合他社が追い上げてくるような動きはなく、テレビCMを行わずとも継続して強いポジションを維持できている状況です。そのため、現在はコスト抑制の観点からも、テレビCMなどのマスマーケティングは抑えています。
現時点ではすぐにテレビCMを再開する予定はありませんが、競合他社の動きを含めた外部環境や自社の状況を鑑み、必要に応じて検討していきます。
質疑応答:「BASE」の今後のプロダクト開発の方針について
「『BASE』の今後のプロダクト開発の方針を教えてください」というご質問です。
「BASE」は2022年に月額有料プランをリリースし、より大きな加盟店でも「BASE」が利用しやすくなっただけではなく、売上規模の大きなショップ向けの機能も強化しています。
例えば、ショップの顧客管理を容易にする機能や、AIアシスタントのような機能など、さまざまな業務を簡単に効率化できる機能があります。また、マーケティングやCRMを通じてお客さまと新たにつながったり、エンゲージメントをより高めることも可能です。
このように、新しくネットショップを始める方向けの機能だけでなく、売上規模が大きくなったショップオーナーに必要とされる機能も、引き続きリリースしていきたいと考えています。
質疑応答:「BASE」のリオープニングの影響について
「『BASE』の事業環境について、リオープニングの影響はどの程度継続するでしょうか? 再び昨年の業績動向に戻る可能性はありますか?」というご質問です。
こちらもマクロ環境の影響が大きいため、我々としては、昨年の業績の動向に戻るかどうか明言することができませんが、足元では、昨年の冬以降、事業環境は回復傾向にあると感じていますし、我々のKPIにもしっかりと表れています。そのため、現時点では、今年は昨年ほど厳しい状況にはならないと予想しています。
2022年は、リオープニングの影響でオンライン消費が減速し、「BASE」以外のECも全体的に厳しい1年でしたが、今年以降は徐々に明るい兆しが見えてくるのではないかと考えています。
質疑応答:海外展開について
「グループとして海外展開は考えていますか?」というご質問です。
現時点では具体的なプランはありませんが、インターネット上でプロダクトを作っている以上、国境によってユーザーのアクセスが制限されたり、特定の地域の方しか利用できないといった状況は望ましくないと個人的には考えていますので、いずれは海外のユーザー向けにショップを開設できるようにしたり、決済サービスを利用できるようにしたいと思っています。
現状では、海外の購入者も「BASE」のショップで買い物することが可能であり、ショップの開設ができないだけですので、いずれは海外の方がショップを開設できるようになればよいと考えています。
鶴岡氏からのご挨拶
本日はお忙しい中、ご視聴いただきありがとうございました。我々はIRページなどで適宜情報を発信していますので、そちらをご覧いただきながらコミュニケーションを取らせていただければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。