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大澤剛氏(以下、大澤):大澤でございます。本日は、株式会社ディジタルメディアプロフェッショナルの2023年3月期決算説明会にご参加いただきありがとうございます。

本日のアジェンダです。2023年3月期決算と取り組み成果、続いて2024年3月期業績予想について私からご説明し、その後、2024年3月期の重点施策について一部動画も交え、山本がご説明します。

会社概要

2023年3月期の決算と取り組み成果をご説明する前に、まずは当社の概要と強みについて簡単にお話しします。当社は、2002年7月に大学発のベンチャー企業として発足以来、グラフィックス技術を核にして事業を行ってきました。GPU IPが任天堂のゲーム機に採用されるなど、大きな成果を出してきました。

近年は、アルゴリズム・ソフトウエアからハードウエア、ならびにエッジからクラウドにわたる一貫した開発体制、製品・サービスを提供できることを強みとし、お客さまや社会課題の解決に貢献しています。

2023年3月期ハイライト

それでは、2023年3月期のハイライトからお話しします。売上高は前年同期比39パーセント増と、過去最高を更新しました。

営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、単独決算だった2020年3月期以来、3期ぶりに黒字を達成しました。

ロボティクス分野は、顧客の研究開発案件の減少により、プロフェッショナルサービス事業を中心に減少したものの、アミューズメント分野が大幅に拡大し、セーフティ分野及びその他IP分野も拡大しました。

2023年3月期 決算 損益計算書(P/L)概要

P/Lの概要です。製品事業、IPコアライセンス事業の売上拡大により、売上高は23億2,200万円、前年同期比6億5,400万円の大幅増収となり、増収率は39.2パーセントとなりました。

営業利益は黒字転換し、2,700万円となり、前年同期から1億5,300万円の増益となりました。

経常利益は前年同期比1億5,100万円の増益となり、2,800万円の黒字、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比1億7,900万円の増益となり、2,200万円の黒字となりました。

昨年5月13日に公表した、期初の業績予想と比較すると、売上高は約2パーセントの減収となりましたが、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は上振れて着地しました。

2023年3月期 決算 事業別・分野別売上高概況

事業別・分野別の売上高です。

まず、事業別です。IPコアライセンス事業は、デジタル機器向けGPU IPライセンス、AI/GPU IPランニングロイヤリティ収入及びセーフティ分野のリカーリング収益が拡大したことにより、売上高は2億6,100万円、前年同期比50パーセントの増収となりました。

製品事業は、主に量産向けのグラフィックス半導体「RS1」の売上が大きく伸長したことにより、売上高は19億5,600万円、前年同期比63パーセントの大幅増収となりました。

この分野では、その他に業務用車両の周辺監視用途「ZIA C3キット」、量産ドローン向けカメラモジュール、「Cambrian ビジョンシステム」などの売上を計上しました。

プロフェッショナルサービス事業は、セーフティ、ロボティクス、アミューズメント分野のGPU、AI関連受託開発サービスの売上を計上したものの、ロボティクス分野顧客の研究開発案件が減少したことを主要因として、売上高は1億400万円、前年同期比65パーセントの減収となりました。

分野別です。セーフティ分野は、OTA(Over the Air)案件を含むリカーリング収益に加えて、業務用車両の周辺監視用途「ZIA C3キット」の売上を計上したことにより、売上高は1億7,000万円、前年同期比4パーセントの増収となりました。

ロボティクス分野は、「Cambrian ビジョンシステム」などの製品事業が伸長したものの、前述したとおり、顧客の研究開発案件減によりプロフェッショナルサービス事業が減少したことから、売上高は1億8,500万円、前年同期比22パーセントの減収となりました。

アミューズメント分野では、「RS1」の大型受注に対応した量産出荷により、売上高は18億2,100万円、前年同期比58パーセントの増収となりました。

その他の分野では、デジタル機器機向けGPU IPライセンスに加え、AI/GPU IPランニングロイヤリティが好調に推移し、売上高は1億4,400万円、前年同期比29パーセントの増収となりました。

2023年3月期 決算 貸借対照表(B/S)概況

B/Sです。2023年3月末の流動資産は36億8,300万円と、前年度末から8億9,900万円増加しました。これは主に、売掛金及び契約資産が4億4,400万円、現預金が4億3,300万円増加したことによるものです。

固定資産は1億5,800万円、前年度末から5億2,900万円減少しました。これは主に、投資有価証券が4億9,900万円減少したことによるものです。資産合計は38億4,200万円となりました。

負債は7億1,700万円、前年度末から3億4,100万円増加しました。これは主に、買掛金が2億9,200万円増加したことによるものです。

純資産は31億2,400万円、前年度末から2,800万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益計上により、利益剰余金が2,200万円増加したことによるものです。

事業規模が拡大したことにより、自己資本比率は81.3パーセントと減少しましたが、運転資金や研究開発体制の充実に向けた投資資金を、引き続き十分に確保しています。

2023年3月期 注力分野の取り組みと成果 セーフティ分野

続いて、2023年3月期の注力分野の主な取り組みと成果についてお話しします。まず、セーフティ分野では、エッジからクラウドにわたるサービスを提供できる強みを活かし、既存プロジェクトからOTAを含むリカーリング収益を獲得するとともに、新規顧客や既存顧客の新規プロジェクト向けに、新規ライセンスやプロフェッショナルサービスを提供しました。

より広範なセーフティ分野への事業拡張については、研究開発を継続しています。また、交通量調査などのPoC案件に進捗がありました。

2023年3月期 注力分野の取り組みと成果 ロボティクス分野

ロボティクス分野では、まず、「ZIA SLAM」「ZIA MOVE」の機能の磨き込み、精度向上を行いました。

「Cambrian ビジョンシステム」のビジネスについては、競合他社に対する優位性が評価され、自動車業界を中心に製造業への販売、商談が拡大しています。また、いわゆる三品産業である食品、医薬品、化粧品向けの引き合いも活性化しています。

2023年3月期 注力分野の取り組みと成果 アミューズメント分野

アミューズメント分野では、業界で初めてとなる、リアルタイム3Dエンジンと高性能・高圧縮動画エンジンをワンチップ化した「RS1」により、美しい映像表現と遊技機筐体コスト削減を両立することで、遊技機のプレーヤーやメーカーに価値を提供しています。

稼働が好調な6.5号機や、スマートパチスロを含むパチスロ向けを中心に、量産出荷を継続しました。2022年12月に、「RS1」を搭載した「ZEEG筐体」の販売が10機種ならびに10万台を突破したことをリリースしましたが、それ以降も機種の追加や量産が続いており、機会を見てアップデートしたいと考えています。

2023年3月期 注力分野の取り組みと成果 その他分野(デジタル機器向けIP)

デジタル機器向けのIP分野では、お客さまのデジタル機器のアプリケーション、搭載SoCに最適な小サイズ、低消費電力、高性能なIPを提供しています。

当社のAI/GPU IPを搭載したお客さまのデジタル機器の累計出荷は1億5,000万台を超えており、前期も新たに「ZIA DV720」が「REGZA 4K」テレビに採用され、ロイヤリティ収入の計上が始まっています。

また、現行製品の性能を大きく上回るAI IPプロセッサーの開発が大詰めを迎えています。こちらは、山本よりご説明します。

2024年3月期 通期連結業績予想

最後に、今期、2024年3月期の通期連結業績予想についてご説明します。売上高は26億円、前年比12パーセントの増収、営業利益、経常利益は1億5,000万円を予想しています。

後ほど山本からご説明しますが、新たに策定したパーパス「Making the Image Intelligent」のもと、「安全安心社会の実現」「社会課題の解決」に貢献するとともに、画像処理半導体の安定成長を目指します。

分野別にご説明します。まず、アミューズメント分野では、「RS1」の安定成長を見込んでいます。メーカーの部材調達や製造キャパシティ確保に課題があることを織り込んでいますが、あるメーカーの決算説明会で触れていたのは、「部材調達や製造キャパシティの課題が緩和されれば、マーケットや自社の業績は想定より伸びるであろう」ということです。当社もそれを期待しています。

セーフティ分野では、引き続きエッジからクラウドに対応する「ZIA SAFE」シリーズの強みを活かし、既存顧客深耕、新規顧客獲得を行い、より広範なセーフティ分野向けもPoC中心からスケールを目指します。

ロボティクス分野では、「ZIA MOVE」「ZIA SV」「Cambrian ビジョンシステム」等の強みにより、自律走行ロボット、協働ロボット市場を攻略していきます。

その他IP分野では、GPU IPランニングロイヤリティ等の安定ビジネス基盤に加え、新規IPビジネスを獲得していきます。

以上で、私のパートを終わります。ご清聴ありがとうございました。

Our Purpose

山本達夫氏(以下、山本):今期の重点施策についてご説明します。本日はご参加いただき、どうもありがとうございます。

今期から、当社の存在意義ともいえる「パーパス」を定義しています。「Making the Image Intelligent」、つまり「画像を知能化する」ということです。

画像インテリジェンスの力を使い、ステークホルダーに価値をもたらす非常に優れた先進的な製品・サービスを提供していきます。

2024年3月期 重点施策 画像の知能化について

「画像の知能化」について補足します。当社は創業以来、GPUや低消費電力IP、あるいは画像処理、コンピューティング、AIなどに注力してきました。

昨今、非常に話題になっている「ChatGPT」は、基本的にテキストを入力するAIのチャットサービスですが、すでにベータ版が使用可能な「GTP4」は、画像を入力に用いることができるようになっています。現在、世界中の監視カメラのデータなど日々生成される膨大なデータは、処理するすべもなく、ほとんど捨てられている状況です。

しかし、このような新しい画像処理AIシステムにより、画像の中からいろいろな洞察やパターンを抽出するなど、非常に大きな価値が生み出されるのではと考えています。

現在、「GPT4」のデモが見られるようになっていますが、例えば、アヒルがギターを弾いている写真を見せると、「これはちょっとおかしいのでは?」と指摘してくれるような状況です。

世界中の監視カメラの画像を用いた気候変動の検証やテロの防止、車載カメラを使った自動運転、カメラを使ったロボット制御、医療などさまざまな分野で、画像の知能化が大きな力を発揮すると考えています。

当社の事業である安全運転支援サービス「ZIA SAFE」も、車載カメラの画像から生み出される価値として安全運転を実現しています。また、「ZIA MOVE」はロボット制御ですが、こちらもカメラを使ったロボットの自律運転という大きな価値を生み出しています。

あるいは、カメラをロボットアームに付けてピッキングする「Cambrian ビジョンシステム」など、当社が行っている事業はすべてと言ってよいほど画像の知能化に結び付いています。

さらに、AIの画像処理では、画像そのものをクラウドに送ってしまうことによるプライバシーの問題があるのですが、エッジAIで画像処理を行い、必要なデータのみ抽出してクラウドに送ることにより、この問題を解決できます。

以上のように、画像の知能化により、今後指数関数的に非常に大きな価値が生み出されるだろうと私は考えています。

2024年3月期 重点施策 新体制(2023年4月1日)

既存分野と新規分野のバランスの取れた成長を目指すことを目的として、2023年4月1日に新しい組織を立ち上げています。

テクノロジー製品事業部とロボテックモビリティ事業部の2つを新設し、既存のLSI及びIPビジネスと、新規分野のロボティクス及びセーフティ関連分野にそれぞれ注力できる体制を作りました。

また、ハードウエア、ソフトウエア、及びAI開発グループを開発本部に統合し、リソースの最適化と設計資産の共有化を進めていきます。また、より市場の要求に基づいた製品を開発するため、開発本部内に製品企画グループを新たに設けています。

2024年3月期 重点施策 DMPの強み - ドメイン最適化を可能にする技術

当社の強みは、ドメイン最適化を可能にする技術を持っていることです。DMPはAI等の処理をハードウエアを含めてドメインに最適化することが可能です。

AI処理はデータを学習して推論する流れになりますが、それを実行する環境にクラウドやエッジがあります。実際の開発プロセスとしては、アルゴリズムを開発し、ソフトウェアを最適化して、ハードウエアに実装します。

このアルゴリズムからハードウエア実装まで一貫した開発により、お客さまの試作からデプロイ、例えば量産へのスムーズな移行をサポートできることが、他社に比べて当社の大きな強みとなっています。

それを支えるDMPの製品・サービスとして、クラウドでは安全運転支援システム向けサービス「ZIA Cloud SAFE」、エッジでは「ZIA MOVE」「ZIA SAFE」などのソフトウェア統合開発プラットフォームがありますし、ハードウエアでは「ZIA DV700シリーズ」というAI推論プロセッサーを提供しています。

2024年3月期 重点施策 DMP注力分野

当社の注力分野(バーティカル)はロボティクス、アミューズメント、セーフティの3つです。それぞれ違った分野ではありますが、これらを支えている技術基盤は共通です。それは、GPU、省電力IP、コンピュータビジョン、エッジ&クラウド コンピューティング、AIなどであり、その上に3つの分野が密接に関係しながら、開発が行われています。

2024年3月期 重点施策 アミューズメント

それぞれの分野について詳しくご説明します。アミューズメント分野はスライド下部のグラフのとおり、2020年を境に縮小傾向が底打ちしている状況です。特に「RS1」の主戦場であるパチスロは、5年ぶりに70万台を回復するなど、業界の回復をけん引しています。

背景として、6.5号機とスマスロの登場により、機種の入れ替えが進んでいることが挙げられます。また、「RS1」はこの業界唯一の2D・3Dの両方を搭載したLSI、つまりパチンコ・パチスロ双方に対応できる唯一のチップとしてシェアを伸ばしています。

現在はセガサミー社が中心ですが、今後さらに新しいお客さまのタイトル出荷が増加していくと見込んでいます。ジーグ社はサミー社とユニバーサルエンターテインメント社の合弁会社ですが、ジーグ社の共通筐体が業界に普及しており、この2社以外のお客さまでも採用が進んでいることから、さらに「RS1」のシェアが拡大していくと考えています。

2024年3月期 重点施策 ロボティクスとスマートモビリティの取り組み

「ZIA MOVE」はロボット向け統合ソフトウェア開発プラットフォームで、当社はローコストを強みとし、環境の変化に非常に強い「VSLAM」を搭載した自律運転のパイプライン、ソフトウェアを提供しています。

この特徴を活かし、流通、製造、ビル、建設現場で使用される、いわゆるサービスロボットを提供しているAMR/AGVベンダーとの協力関係を強めながら、今後はライセンスを中心にこの分野のビジネスを推進していきます。

「ZIA SAFE」「ZIA Cloud SAFE」は、それぞれエッジとクラウドの安全運転支援向けソフトウェア開発プラットフォームで、認識性能が非常に高く、クラウドとエッジを組み合わせた柔軟でスケーラブルなシステム構成が可能である特徴を活かし、今後ドラレコ以外のセーフティ市場として、監視カメラ、公共交通機関、ビル、学校などを開拓していきます。

また、「ZIA SAFE」をモデルベース開発(RTMaps)に対応させることにより、自動車OEMやTier1、建機などのマーケットに参入していきたいと考えています。

このモデルベースとは、自動車の開発等でよく使われている開発手法です。従来の開発は仕様書を作り、ソフトウェアを書き、それを組み合わせて試験後に出荷する流れでしたが、モデルベースでは、その機能ブロックをモデル化し、組み合わせ、シミュレーションしながら開発していきます。

そのため、開発期間が30パーセントから50パーセント短縮でき、手戻り等も少なくすることができます。複雑化している自動車等のソフトウェアを効率よく開発する仕組みとなっています。

「ZIA SAFE」は、現在ドラレコを中心にソフトウエアを提供していますが、今後このようなモデルベースの開発フローに対応するようブロック化・モデル化し、プラグインでできるようなかたちにして、前述した新しいマーケットに提供していきたいと考えています。

2024年3月期 重点施策 ロボティクスとセーフティの連携

ロボティクスとセーフティの連携も非常に重要な分野と考えています。「ZIA SAFE」と「ZIA MOVE」はそれぞれカメラ、画像を使ったシステムですが、この協調動作によってロボット自律走行中の画像解析及びMAPによる画像解析位置を可視化し、これをさらに「ZIA Cloud SAFE」につなげることにより、BIG DATA解析に基づく傾向分析や、外部システムとの連携による新しいサービスの創造ができると考えています。

スライドは少し細かく記載しているのですが、「ZIA MOVE」というロボット自律走行システムから送られてくる画像を「ZIA SAFE」がリアルタイムに解析し、さまざまな解析結果をクラウド側に送って新しいサービスを提供するというものです。

2024年3月期 重点施策 Cambrian Vision System

「Cambrian ビジョンシステム」は、米国に本社があり、イギリスに開発拠点を置くCambrian 社のビジョンシステムで、当社は国内で独占販売権を持ってビジネス展開しています。

市販ロボットのアームにカメラを付け、アームを制御してピッキング、組み立て、挿入、ケーブルのハンドリングなど、複雑な作業をこなすシステムで、現在複数のお客さまの組み立てラインへの導入が始まっています。

自動車メーカーあるいはTier1のお客さまへの試験導入も進んでおり、今後はインライン化、量産ラインの投入が加速する見込みです。

その中で非常に重要なのは、主要なロボットベンダーとの連携です。これまでユニバーサルロボット社、KUKA社、ABB社など、海外の有力なアームベンダーと接続してお客さまに提供しているのですが、それに加えて、Doosan社という韓国の大手アームベンダーと、日本のファナック社、デンソーウェーブ社のロボットとも接続ができており、日本国内でのビジネスをさらに加速できるものと考えています。

ディーラー網も日本全国にできつつあり、今後はディーラー、ディストリビューターやSIer自身によるデモ作成や販促力の強化を当社が支援することによって、このビジネスの手離れを良くし、さらに拡販していきたいと考えています。

2024年3月期 重点施策 Cambrian Vision System

「Cambrian ビジョンシステム」は非常に競争力があり、競合に対する明らかな優位性が認められています。例えばペットボトルのような透明なもののピッキングもできますので、新たな分野も開拓できるようになりました。

スライド左側にはピッキングの処理スピードとワークのサイズを示しており、Cambrianはピッキングの対象物を0.2秒で認識します。この市場での我々の競合は何社かありますが、どの会社のピッキングシステムでもワークの認識にはおよそ数秒かかります。しかし、Cambrianはアームがほとんど止まらないと言っていいくらいの圧倒的なスピードで物をつかみにいきます。

右側の「ワークの色と外部照明」をご覧ください。カメラを使用してロボットを動かす際に、お客さまが一番頭を痛めているのは照明で、照明が変わるとロボットの動作も変わってしまうのが非常に大きな課題となっています。Cambrianは外部照明の影響をほとんど受けず、むしろ、逆光などがあっても正確にピッキングできます。

また、透明なパーツでもピッキングが可能です。我々が知る限りでは、現在この業界で、透明の物体を認識するビジョンシステムはCambrianだけだと思っています。そのデモ動画をお見せしたいと思います。

(動画流れる)

2024年3月期 重点施策 Cambrian Vision System

こちらは、透明のペットボトルをピッキングし、次の工程に供給する仕組みです。

2024年3月期 重点施策 AI推論プロセッサーIP

当社は、AI推論プロセッサーIPのライセンス事業を行っています。ハードウエアのIPとして、FPGAからASICにまで実装でき、ファクトリーオートメーション、建機・農機からコンシューマ製品までさまざまな分野への対応が可能です。

2024年3月期 重点施策 AI推論プロセッサーIP A3000

当社のAI推論プロセッサーIPが実際に使われている例です。REGZAテレビのチップに当社の「DV720」が実装されています。当社のIPは、その他日本国内あるいは海外の大手のコンシューマーエレクトロニクスのハイボリューム製品にも採用されています。

テレビの場合は、AIがテレビの画像を認識し、シーンを理解した上で遠近を判断してフォーカスをつけたり、肌などの色調を変えたり、テレビに接続しているインターネットの状況に応じて画像ノイズを調整、低減したり、解像度を上げたりすることが可能です。

現在、当社では次世代AI推論プロセッサーIP「A3000」を開発中で、その性能はDV700シリーズに比べて約6倍です。こちらは、今年の後半からライセンスを開始する予定です。

2024年3月期 重点施策 今後の成長に向けて

最後に、今後の成長に向けての施策をご説明します。ZIAプラットフォームとCambrianを中心としたAI製品ビジネスへの強化として、具体的には先ほどお伝えしたような「Cambrian ビジョンシステム」のインライン化の加速や、「ZIA MOVE」においてはロボットベンダーとの協力関係の強化を図ります。

「ZIA SAFE」に関しては、ドラレコ以外の市場参入と、モデルベースをサポートすることによるOEMの展開、「ZIA SAFE」 と「ZIA MOVE」、セーフティとロボティクスを連携させることにより、新たな価値を創造していきます。

また、アミューズメント、IP製品のシェア拡大と付加価値増大により力強い成長を継続していきます。具体的には、「RS1」シェア拡大や新AI推論プロセッサーIPの投入を進めていきます。

ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:アミューズメント分野の競合状況について

司会者:「現段階のアミューズメント分野での競合状況を教えてください」というご質問です。

山本:アミューズメント業界は、3社がグラフィックスチップを供給している状況です。以前は4、5社ありましたが、現在は当社とヤマハ社、アクセル社の3社にほぼ絞られます。

当社のグラフィックチップは、2Dとリアルタイムの3Dグラフィックスの両方を搭載する唯一のチップであることが強みです。特にパチスロ業界に対して非常に強いポジションにいます。アクセル社とヤマハ社は、主にパチンコの2Dのムービーを主体としたタイトルが中心です。

質疑応答:「RS1」の採用状況について

司会者:「『RS1』の採用状況を教えてください」というご質問です。

大澤:個別のタイトルについては控えさせていただきますが、先ほどお伝えしたように、昨年12月に、「RS1」を搭載した「ZEEG筐体」の販売が、10機種ならびに10万台を突破したというリリースを出しました。リリース以降も「ZEEG筐体」の出荷は継続しており、タイトル数も伸びていますので、機会を見てアップデートできればと考えています。

質疑応答:「RS1」のスマスロ対応と、シェアの拡大について

司会者:「『RS1』は話題のスマスロに対応していますか? また、『RS1』の顧客の広がりについて教えてください」というご質問です。

大澤:スマスロに対応しており、採用されています。ジーグ社が主要なお客さまであることは間違いありませんが、先ほど山本からも話があったとおり、ほかのお客さまもいます。ただし、「ZEEG筐体」は業界標準を狙って拡販を続けているため、その流れで我々のシェアも拡大するのではないかと考えています。

質疑応答:eve autonomy社との関係について

司会者:「ヤマハ発動機社とティアフォー社の合弁会社である、eve autonomy社との関係を教えてください」というご質問です。

山本:eve autonomy社とは直接の取引関係はありません。ヤマハ発動機社とは、人材交流や協業の協議が活発化していますので、今後の新しい開発案件に期待していただければと思います。

質疑応答:新規提携やM&Aに対する考え方について

司会者:「新規提携、M&Aに対する考え方を教えてください」というご質問です。

山本:M&Aについては、注力事業・分野において、我々の競争力強化や補完につながるような案件があれば常に積極的に検討しており、今後も継続していきます。

質疑応答:配当や自社株買いなどの、資本政策に対する考え方について

司会者:「配当や自社株買いなどの資本政策に対する考え方を教えてください」というご質問です。

大澤:当社は、将来の事業展開を総合的に勘案しながら、事業拡大のための成長投資や、経営体質の強化のための内部留保、株主還元などを適切に分配することを、利益配分の基本方針としています。

成長戦略、業績、資金需要などを総合的に勘案し、利益配分を決定しており、前期は黒字化、今期は黒字の拡大を予想しています。このように黒字の拡大基調が安定すれば、自ずと株主還元を検討するタイミングが来るだろうと考えています。

質疑応答:現在の株価ついて

司会者:「現状の株価をどのように考えているのでしょうか?」というご質問です。

大澤:株価は当社の業績や経営状況、ならびにお客さまの経営状況、一般的な経済要因、市場動向など、さまざまな要因によって形成されていくものと理解しています。当社が株式市場から高い評価を得るためには、業績を向上させることと、今日の決算説明会のようにIRも充実させていくことに尽きると思っています。引き続き、このような分野を強化したいと考えています。

質疑応答:「ZEEG筐体」への「RS1」搭載について

司会者:「ジーグ社のWebサイトでスマスロ『北斗の拳』を調べると、「ST230-AN」が採用されたようです。この筐体には御社の「RS1」が搭載されているという認識で間違いないでしょうか?」というご質問です。

大澤:ジーグ社のWebサイトは我々も見ています。「RS1」が直接どのタイトルに採用されているかはお話しできませんが、スマスロ『北斗の拳』に採用との記載がある筐体に「RS1」が採用されていることは事実です。