目次

辻庸介氏:マネーフォワードの辻でございます。本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。それでは、2022年11月期の上半期の決算説明を開始いたします。

アジェンダですが、事業内容、全社ハイライト、各ドメインの業績、成長戦略の進捗、その他の戦略的な取り組み、最後に今後の業績見通しの順にご説明します。

創業10周年にあたっての御礼

はじめに、当社はおかげさまで創業10周年を迎えることができました。これもひとえに、みなさまに支えていただいた賜物にほかならないと思っています。社員一同を代表し深くお礼申し上げます。ありがとうございます。

創業10周年にあたって特設サイトを公開(https://10th.moneyforward.com/)

10周年にあたり、特に大きなイベントは行っていませんが、特設サイトを公開していますので、よろしければご覧ください。

MISSION / VISION

事業内容をご説明します。従来と変わらず、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを掲げて事業を進めています。

ミッション・ビジョン実現に向けた取り組みを通じ、サステナブルな社会づくりを推進

「User Forward」「Society Forward」「Talent Forward」と、3つのサステナビリティの重点テーマ、マテリアリティを掲げて事業を進めています。

SaaS×Fintech領域で、国内最大級のユーザー基盤とプロダクトラインナップを提供

売上の内訳はスライドに記載のとおりです。法人向けでは、バックオフィス向けSaaSは60パーセント弱、SaaSのマーケティング支援が12.6パーセント、ファイナンスサービスが5.8パーセントとなっています。

「マネーフォワード ME」に代表される個人向けサービスが14.3パーセント、金融機関向けのサービスが7.8パーセントという内訳になっています。

外部環境の変化に伴い、事業機会が急激に拡大

スライドをご覧のとおり、事業機会が拡大しています。特に今回はインボイス制度が非常に注目の高い領域だと思いますので、後ほどご説明します。

2022年11月期 第2四半期ハイライト

第2四半期の全社業績のハイライトです。お約束している通期見通しの達成に向けては、順調に進捗していると思っています。第2四半期の売上高の実績は、見通しレンジの上限を超えて着地することができました。

売上高は前年同期比27パーセント増の50.9億円、最重要指標としているSaaSのARRは前年同期38パーセント増の139.8億円、特にBusinessドメインの法人向けのARRが前年同期比45パーセント増と強く伸びています。EBITDAはマイナス15.8億円で、売上総利益は32.2億円となりました。

連結従業員数は1,610名で、特に「マネーフォワードクラウド」の中堅領域のセールス&マーケティングや、開発のメンバーが増えています。また、インドネシアのクラウド会計・人事労務のリーディングカンパニーのMekari社に出資を行い、筆頭株主になっています。こちらについても後ほど詳しくご説明します。

2Q連結売上高は前年同期比+27%

売上の内訳をドメイン別にご説明すると、Money Forword Businessドメインが前年同期比43パーセント増、個人向けのMoney Forword Homeドメインが前年同期比19パーセント増、Money Forword Financeドメインが大きく伸びて前年同期比56パーセント増となっています。Money Forword Xドメインに関しては前年同期のフローが大きかった影響もあり、前年同期比マイナス38パーセントとなっています。

SaaS ARRは前年同期比+38%の高成長を継続

SaaSARRは、Homeプレミアム課金が前年同期比19パーセント増、Business個人事業主が前年同期比26パーセント増、Business法人が前年同期比45パーセント増、Xのストック売上高が前年同期比19パーセント増、Financeのストック売上高が前年同期比74パーセント増になっています。特に法人向けのARRと、Money Forword Financeドメインの請求代行事業のストック売上高が成長しています。

中堅企業向けARR増加がBusinessドメインの法人ARR成長を牽引

中堅企業向けのARRは、今回は特に投資を加速していることもあり、より詳細に開示しているのが1つのポイントになります。スライドのグラフの、2020年11月第4四半期から2021年11月第2四半期までをご覧ください。法人向けのARRの純増額は11.6億円ですが、そのうち従業員50名以上の中堅企業のARR純増額が3.7億円になっています。一方で、直近の2021年11月第4四半期から2022年11月期第2四半期をご覧いただくと、法人向けのARRが21.3億円で前年同期比1.8倍伸びています。特に中堅企業の純増額が11.7億円で、同3.2倍と強く伸びています。現状でも、中堅企業が非常に力強く伸びているため、成長投資を加速しているところがポイントです。

全社売上総利益/バックオフィス向けSaaS事業 “Gross Margin Rate” 推移

全社売上総利益は63パーセントとなっています。こちらは広告代理店事業などが入っている関係や、エンジニアの人件費の増加などにより少し下がっています。スライド右側のグラフでは、新たに過去からのバックオフィス向けSaaS事業についてのGross Margin Rateをお示ししています。これはグローバルSaaS企業の定義に合わせた管理会計ベースの数値となっており、こちらの定義に基づく粗利率は約80パーセントと高い水準を維持しているのがご覧いただけると思います。

EBITDA (四半期推移)

EBITDAはマイナス15.8億円で、広告宣伝費を除くとプラス1.5億円になっています。

費用内訳(売上原価・販売費及び一般管理費)

費用の内訳です。今回は全体で約72億円となっており、積極的な広告宣伝費の投下を継続しています。また、新卒採用を含む採用数が増えているため、人件費と採用教育費も増加しているところが大きなポイントです。

広告宣伝費に関しては、「マネーフォワードクラウド」に投資を集中しています。人件費については、Money Forword Businessドメインを中心に人員を拡充しています。

従業員数の推移

従業員数の内訳です。現在1,610名の内訳はスライドに記載のとおりになっています。Money Forword Businessドメインの人員は987人で、上半期で1.3倍に増大しています。中堅企業向けのセールス、カスタマーサクセス、マーケティングにかかわる人員は1.5倍、プロダクト開発にかかわる人員は1.4倍となっています。

他のポイントとして、後ほどご説明しますが、People Forward本部(人事関連部署)でグローバルな開発体制の構築に向けてNon-Japaneseのメンバーの採用やオンボーディングに関わる人員が増加しています。

2Q見通し比較(売上高 / SaaS ARR)

第2四半期の見通し比較です。こちらは上限を少し上振れるかたちで、50億8,500万円で着地しています。SaaSのARRも139億円となっています。

2Q見通し比較(EBITDA)

EBITDAも見通しのレンジ内で着地しています。

中長期の事業成長に備え、強固な財務基盤を維持

バランスシートです。今回はMekari社へ61億円の追加出資を実行しました。同時に、長期の借入40億円を実行しているため、手元流動性を強化していくということで、現預金が300億円以上になるかたちです。

2022年11月期 第2四半期 ハイライト

ここからはドメインごとにご説明していきます。まずMoney Forword Businessドメインは、先ほどお伝えしたように第2四半期の売上高は前年同期比43パーセント増となりました。内訳としては、課金顧客数が全体で21万人を超え、前年同期比28.3パーセント増となりました。法人課金顧客数も10万人弱で、前年同期比25.4パーセント増となっています。

ARPAは全体が前年同期比11.2パーセント増で、法人は特に伸びが強く前年同期比15.9パーセント増となっています。こちらは中堅企業ユーザーの増加およびARPAの向上によって、前四半期比で3.5パーセント増と大きく増加しています。

ARRは全体が108億円で前年同期比43パーセント増、法人では95億円で前年同期比45パーセント増となっています。先ほどお伝えしたとおり、特に中堅企業のARRが増え、前年同期比121パーセント増となっています。

顧客解約率は2.2パーセントです。例年この時期は確定申告の影響でユーザーの解約が少し増えますが、前年同期に比べても改善しているため、特に大きな問題ではないと認識しています。

Businessドメイン 四半期 売上高推移

Money Forword Businessドメインの、四半期の売上高推移の内訳です。スライドに記載しているグラフの一番下からご覧ください。ストック売上(個人事業主)が前年同期比27パーセント増、ストック売上(法人)が前年同期比44パーセント増、スマートキャンプ社の売上高も力強く伸びており、前年同期比40パーセント増になっています。

課金顧客数とARPAの成長が加速

こちらが内訳になります。先ほどお伝えしたとおり、課金顧客数とARPAの成長が加速しており、課金顧客数は前年同期比28.3パーセント増です。法人のARPAが9万6,333円で、着実に伸びているのがグッドニュースだと思います。

バックオフィスSaaS『マネーフォワード クラウド』の5サービスが、「ITreview Best Software in Japan 2022」 のTOP50に選出。 うち、4サービスが各カテゴリにおいてトップの評価を獲得

トピックです。「マネーフォワード クラウド」の5サービス、「マネーフォワード クラウド勤怠」「マネーフォワード クラウド会計」「マネーフォワード クラウド請求書」「マネーフォワード クラウド給与」「マネーフォワード クラウド経費」がTOP50のサービスに選出いただきました。

そのうち4つのサービスが、各カテゴリにおいてトップの評価を獲得しており、プロダクトを提供している我々としてはうれしいニュースでした。

『マネーフォワード クラウド』の新CMが「第59回ギャラクシー賞」CM部門で受賞

「マネーフォワード クラウド」の新CMをご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。人形がカスタマーペインをコミカルに表現しながら訴えていくようなCMで、ギャラクシー賞という名誉ある賞を、IT企業として唯一受賞しました。当社のプロダクトやブランド認知拡大に、大きく貢献してくれていると思っています。

サービス認知度の向上に伴い、テレビ等へのメディア露出が大幅に増加

昨今のサービスの認知度の向上に伴い、テレビ等へのメディア露出が大幅に増加しています。ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、スライドに記載しているような番組で取り上げていただきました。

導入事例(1/2)

導入社数も増えており、「マネーフォワード クラウド会計Plus」も企業にご利用いただき、スライドに記載のとおりユーザーが順調に増加しています。

導入事例(2/2)

「マネーフォワード クラウド会計Plus」以外の「マネーフォワード クラウド給与」「マネーフォワード クラウド勤怠」「マネーフォワード クラウド経費」「マネーフォワード クラウド社会保険」「V-ONEクラウド」「HiTTO」等のサービスでも、上場企業から中堅・IPO準備企業まで、引き続き幅広いお客さまにご利用いただけるようになってきています。

Homeドメイン 四半期 売上高推移

続いて、Money Forword Homeドメインについてご説明します。Money Forword Homeドメインは、継続的に伸びています。プレミアム課金の売上が前年同期比21パーセント増、金融関連サービスの売上が前年同期比34パーセント増、メディア・広告売上が前年同期比9パーセント増で、ミックスでは前年同期比19パーセントの成長となっています。

『マネーフォワード ME』利用者数 / プレミアム課金ユーザー数推移

「マネーフォワード ME」の利用者数が1,330万人を突破し、課金ユーザーは38.7万人で、順調に成長しています。

グループジョインしたNext Solution社とのPMI推進

また、先日発表したNext Solution社のグループジョインですが、PMIを推進しており、セミナーなどを通した送客を実施しています。Next Solution社のファイナンシャルプランナーが「マネーフォワード ME」ユーザーに対し家計を改善する情報をご説明するとともに、保険商品等の紹介を行っています。

Xドメイン 四半期 売上高推移

Money Forward Xドメインについてです。ストック売上は前年同期比で18パーセント伸びているのですが、フロー売上が大型案件のあった前年同期比で落ち込んでいます。

『マネーフォワード Fintechプラットフォーム』を通じて、金融機関とそのユーザーのDXを更に促進

「マネーフォワードFintechプラットフォーム」ということで、金融機関とそのユーザーのDXをさらに促進していくサービスを行っています。

金融機関と共創案件による提供サービス数は引き続き増加

また、提供サービス数は引き続き増えており、85件まで増加しています。

金融機関の法人顧客向けのDXソリューションを強化することで、ストック売上比率60%を目指す

今、特に力を入れているのがストック売上比率の向上です。従来お伝えしているとおり、2024年11月期において60パーセント以上を目指しています。法人向けサービスの売上比率は現状は10パーセントですが、これを30パーセント以上にし、ストック売上比率を60パーセントにしようということで、ビジネスモデルの再構築に取り組んでいます。

特に「Mikatano」ブランドで、「Mikatano資金管理」や「Mikatanoワークス」というサービスを提供しています。とても評判がよいかたちで導入決定が広がっています。これらのサービスがより多くの金融機関で使っていただけるものになってくると、ストック売上が伸びてくると思っています。

地域金融機関の顧客向けに提供する『通帳アプリ』のダウンロード数が300万を突破

通帳アプリについてです。地銀のお客さまに提供している通帳アプリですが、合計で18行の地域金融機関に導入いただいており、300万ダウンロードを突破しています。

Financeドメイン 四半期 売上高推移

Money Forward Financeドメインは、去年1年は厳しい年でしたが、融資体制やマネジメント体制の見直しを図りました。今期は成長が再加速し、足元はストック売上は前年同期比75パーセント増と伸びてきています。フロー売上に関しても前年同期比49パーセント増です。

Money Forward Financeドメインに関しては、請求・決済代行事業と売掛金の早期資金化事業の2つが大きな柱ですが、ともに順調に伸びています。

Biz Forward、決済代行サービスを提供するペイジェントと業務提携

Biz Forwardは、MUFGと合弁で作った会社ですが、請求・決済代行サービス「SEIKYU+」を提供しており、ペイジェントさまとの業務提携を進めています。

4つの成長戦略

続いて、成長戦略の進捗についてご報告します。成長戦略は、ご覧の4つを掲げています。

様々なステージの企業に対応可能なラインナップ

1番目は、バックオフィス向けSaaSのプラットフォームとしての提供価値向上と、Go-to-Market戦略の最適化です。

ユーザーに応じて、効率的なセールス&マーケティングを展開

ユーザーに応じて効率的なセールス&マーケティングを展開していくところに力を入れています。規模に関してはARRなどの詳細を記載していますので、ご覧いただければ幸いです。

中堅企業向けにバックオフィス4領域(経理財務・人事労務・法務・情報システム)にプロダクトを展開

プロダクトラインナップも、おそらく国内で一番揃ってきているのではないかと思っているのですが、クラウド領域においてバックオフィスの4領域が充実してきたというところです。

高いプロダクト開発力を武器に、各種プロダクトにおいて機能追加・改善を実施

なかなか表に出てこないのですが、開発力が我々の競争優位性を支える重要な強みだと思っており、ご覧のように、さまざまなプロダクトで多くの機能追加や改善などが行われています。

プロダクトの継続的な改善による付加価値の向上(1/2)

具体的には、例えば「マネーフォワード クラウド会社設立」アプリです。企業も増やし、スタートアップも増やしていきましょうという流れが、岸田政権下で起こっていますが、このような追い風の中で、会社設立がスマホで簡単にできるというサービスを提供しています。

また、「マネーフォワード クラウド人事管理」では、履歴管理がほしいというご要望が多いのですが、そのような機能を開発しています。

プロダクトの継続的な改善による付加価値の向上(2/2)

さらに、「マネーフォワード クラウド請求書Plus」で見積書が作成できるようにもなりました。「マネーフォワード クラウド契約」は、「Slack」との連携で、「Slack」上でも通知を受け取ることが可能になりました。わざわざログインしなくても「Slack」上で処理ができるというところで、付加価値の向上を進めています。

柔軟性の高いクラウドERPとしてのユニークなポジショニング

従来お話ししているとおり、我々は業務フローやシステムの柔軟な変更に対応して、1個1個のモジュールで使用が可能で、高い拡張性がある点が特徴です。

中堅企業ユーザー向け事業の各KPIが大きく成長

特に今回はいろいろな投資家の方からご意見もいただき、上期のマーケティング投資の効果であったり、中堅企業向けの各KPIをより開示しようという姿勢で、開示する範囲を広げています。

まず、ARRの純増額が前年同期に比べて3.2倍に大きく伸びています。アポ獲得件数も、マーケティングなどのさまざまな努力により、前年同期比の2倍となっています。リード獲得件数も2.3倍になっています。

中堅企業向けにはマーケティングを行ってから実際に受注し、売上になるまでは、半年あるいは1年後と、どうしてもタイムラグがあるのですが、リード獲得件数が伸びているため、下半期、そして来期の成長につながる種まきができているのではないかと思っています。

新規獲得したユーザーのARPA向上、解約率改善により新規中堅企業ユーザーのLTVは前年同期比の1.9xに

また、従業員規模が大きな企業での導入や、複数プロダクトの受注が増えたことで、新規獲得したユーザーのARPAが向上しています。解約率も改善しており、ライフタイムバリューも前年同期比で1.9倍になっています。

中堅企業のユーザーの顧客解約率も0.7パーセントに改善し、一度使っていただくと継続的にご利用いただけるプロダクトになってきていると思います。

全国の会計事務所との強固なパートナーシップ

こちらは毎回お話ししていますが、我々にとって会計事務所さまとのパートナーシップが強い武器となっています。国内従業員規模上位100会計事務所さまのうち71パーセントが、当社の「マネーフォワード クラウド」を導入いただいています。

士業事務所向けの顧問先管理サービス『マネーフォワード クラウドパートナー』をリニューアル

士業さまから強いご要望がありながら、なかなか対応できずご迷惑をおかけしていましたが、士業事務所さま向けの顧問先管理サービスのパートナー画面も、オペレーションが楽になるような大幅リニューアルができています。

ドメイン間のシナジーにより、ユニークな提供価値を創出

2番目のシナジー創出についてです。「マネーフォワード クラウド」のユーザーに対して、グループ会社のスマートキャンプの「BOXIL」などで、マーケティングの支援をさせていただいている点と、「マネーフォワード ME」で作っていたサービスをMoney Forward Xドメインの金融機関、具体的に言うと三井住友信託銀行さまが手掛ける初めてのアプリを共同開発するということで、シナジーが生まれています。

また、中小企業向けのDXポータルでは「Mikatano ワークス」があります。先ほどご説明したように、地域金融機関19社が参画されています。地域金融機関のお客さまに対してDXを進めることで、今後、クラウドの各種サービスの展開も進めていきたいと思っています。

スマートキャンプ社はSaaS企業のマーケティングを総合的に支援

スマートキャンプ社についてです。SaaS企業のマーケティングを、上流から総合的に支援しています。認知・比較・顧客管理・マーケティング支援・商談化・購買というかたちで増えています。

スマートキャンプの全社売上は、上半期において前年同期比で39パーセント伸びています。この成長は、特に主要事業の「BOXIL SaaS」のオーガニックリード数が前年同期比で58パーセント増えたことが大きな要因となっています。

地域金融機関の個人顧客向けのDXソリューションとして、『BANK APP』を来春リリース予定

Money Forward Xドメインにおいては、個人のお客さま向けのDXソリューション「BANK APP」を来春リリース予定です。こちらは口座開設から資産管理、資金移動まで、あらゆる銀行サービスをスマートフォンで提供するもので、栃木銀行さまへの導入が決定しています。

マネーフォワードケッサイ、広島銀行との連携を拡大

「マネーフォワード ケッサイ」は広島銀行さまとの連携を拡大し、広島銀行さまのお客さまに対して売掛金の早期資金化サービスを提供しています。

当社のM&A戦略及びグループジョイン / 出資の実績

3番目のPMIについてです。我々の現在までのM&A戦略およびグループジョイン実績は、こちらのスライドに記載したとおりになっています。

高い成長率を誇るインドネシア最大級のSaaS企業であるMekari社に$48mn(61.2億円)を追加出資

出資実績について、今回は特にMekari社をご説明したいと思います。現在、アクティブ顧客が3万5,000社以上で、エンドユーザーが80万人以上とインドネシアで最大級のSaaS企業です。

我々の持分比率は42.9パーセントです。議決権を持つ持分比率は10パーセント強ですので持分法には該当していませんが、私も社外取締役として以前より関わりながら、一緒に成長を推進してくれています。

また、Corporate Strategy & Development室に当社の従業員が1名出向しており、先方の事業成長に協力しています。

インドネシアは日本と違い、SaaSのマーケットがまだまだ成熟していないため、比較的早い段階でMekari社がさまざまな会社をM&Aを通じて複数サービスを提供しているのが興味深い点だと思います。このようなこともあり、ARRは過去4年間で11倍以上拡大しています。

今後の成長が期待されるインドネシア市場

インドネシアを選んだ理由については、ご縁があったこともありますが、2025年の予測における人口が2.8億人、GDPが690兆円で世界第6位、GDPの成長率が5.3パーセントと、ご存知のとおり東南アジアでNo.1の市場規模になっていることです。

また、若い方の割合も高く、クラウドサービスが拡大する余地も大きいため、重要なマーケットとして見ています。

一方で、日本と比べて法人が出せる金額が小さいという課題があります。その点に関しては、たとえば給与の前払いや、金融サービスなどFintechサービスに展開していくことが、このような新興市場では必要だと思っており、そちらの取り組みも随時進めています。

2017年にグループジョインしたクラビスが提供する自動記帳サービス『STREAMED』は成長が更に加速

2017年にグループジョインしたクラビス社についてです。グループジョイン後、順調に伸びており、今では4,460社の士業事務所さまに使っていただくサービスになっています。証憑連携の機能も拡充して、改正電子帳簿保存法にも対応しており、多くの士業事務所さまに使っていただいています。

昨年グループジョインした『HiTTO』を社会保険労務士法人との連携により全国に展開

昨年グループジョインしたHiTTO社は、社内向けのAIチャットボットの会社です。こちらも当社のパートナーである社会保険労務士法人スマイングさまに導入が決まりました。スマイングさまの顧問先企業への導入を推進して、グループジョインの成果を上げていこうと進めています。

インボイス制度の開始が大きな追い風となるクラウドサービスを多数展開

4番目に、既存のアセットを活用した、新たな事業やプロダクトの開発についてです。 インボイス制度の開始が大きな追い風になると考えています。

ご覧のとおり、青色の部分が当社のインボイス関連サービスとして取り組めるプロダクトがあるところです。すでにかなりのプロダクトで取り組みを広げています。

インボイス制度の開始により、請求書の発行・保存における、クラウド対応が不可欠

インボイス制度にはいろいろな工程があるのですが、3点ポイントがあります。

1つ目がインボイス発行の電子化、2つ目がインボイス保管のデジタル化です。これはデジタルでも紙でも、受け取った情報をデジタル化して保管する部分です。

これにより、請求書発行過程の上流でデジタル化が促進されるため、当然後続の会計システム利用の工程でもクラウド化のニーズが高まります。つまりこれが3つ目のポイントです。クラウド会計や消費税申告の活用局面も今後増加するだろうと見ています。

インボイス制度の認知度は低く、中小企業では3割に留まる。認知している場合でもシステム面で対応済 の企業はいまだ限定的、インボイス制度導入に向けてクラウドサービスの需要が喚起されると想定される

一方で、インボイス制度の認知度はまだまだ低い現状があります。スライドのとおり、中小企業では31パーセントくらいにとどまっており、認知している場合でも、システム面で対応済みの企業はまだまだ限定的です。これから対応しないといけない状況でどう対応したらよいかという問い合わせが今後増えてくると思います。

インボイス制度開始に伴う新たなニーズに幅広く応えるプロダクトラインナップ

繰り返しになりますが、このような中で我々としては、中小企業・士業事務所や中堅企業、個人事業主といった各ユーザーのタイプごとに、提供サービスを用意しています。

スライド左列に示している「会計・申告」「請求書発行・送付」「受領」「保存」という作業工程に応じた各種サービスがありますので、一気通貫のサービス提供が可能です。こちらに今後は着実に取り組んでいきます。

インボイス制度の開始に向けて、機能リリース及び拡充を推進

インボイス制度の開始に向けて、さまざまな機能のリリースおよび拡充を推進しています。証憑自動取得機能については、ECサイト等のサービスと連携しておくと、取引の明細だけでなく領収書や電子請求書の証憑データも自動で取り込んでくれるサービスを開発しました。

また、消費税申告については、インボイス制度に向けて大変になると想定される作業をシステムで簡単に自動集計し、処理できるサービスを開発しています。

(参考)インボイス制度の開始による影響と新たに発生するニーズ / 対応プロダクト

ちなみに、インボイス制度の開始による影響と発生するニーズ、対応プロダクトということで、スライドにお示ししています。

制度改正の内容ですが、インボイス制度に関しては適格請求書のみ仕入れ税控除対象になるというところで、受領側と発行側にそれぞれ影響があります。右隣には我々の対応するサービスをお示ししています。発行者側においても、請求書の控えの保存が義務化されるため、発行側の請求書およびその控えの電子化ニーズが高まります。

さらに、すでに施行されていますが、電子帳簿保存法の改正があります。電子請求書・その控えの電子保管が義務化されているということで、こちらも受領側と発行側それぞれに、このような制度改正による影響が見込まれています。

経営の最重要課題としてプロダクト開発力の強化に取り組み、エンジニア組織のグローバル化・英語化を推進

その他の戦略的な取り組みについてお話しします。我々はプロダクト開発力の強化を、経営の最優先事項の1つとして置いていますが、現在、エンジニア組織の人員が前期末から半年で1.4倍になっています。Non-Japaneseのメンバーも33パーセントと高い割合で推移しています。

国内での採用も強化しており非常に競争力はあると思うのですが、日本のエンジニアの需給バランスを考えると、我々の成長を実現していく上では、海外のNon-Japaneseの方々の採用にも対応していかないといけないと考えています。

他社では十数年前にすでに舵を切っているところもありますが、我々もグローバル化していこうという流れで、エンジニア組織で英語化に対応していくことを意思決定しています。

グローバル化推進施策として、エンジニアに対する英語研修の実施や、全社的な会議の同時通訳の提供、またベトナムに、ホーチミンに続くハノイ拠点の開設などを進めています。

さらに、インドでの拠点の立ち上げを今進めており、CTOの中出が現地に飛んで取り組んでいます。今後の中長期の成長を考えると必須だと思っており、社内的には一部負荷、コストもかかるのですが、確実に進めていきたいと思っています。

私も今、そのような海外からのメンバーとランチを食べるなどコミュニケーションを取っているのですが、彼ら彼女たちは本当に優秀ですし、本当にハングリーで誠実な方々ばかりなので、素晴らしいメンバーがジョインしてくれていると思っています。

2回目のLeadership Forward Programを実施

人材関連では、我々の組織が拡大化しているため、やはりマネジメント層をより強化していくことが喫緊の課題です。そのようなこともあり、去年に引き続きLeadership Forward Programを開催しました。

これまでに128名ものメンバーが3ヶ月にわたり参加し、私や社内の経営メンバーが講師となったり、また外部の方々に力をお借りしたりして、メンバーのリーダーシップを鍛えるといったかたちで、時間とコストをかけて学ぶ機会を提供しています。

テクノロジーを活用したメンバーのオンボーディング支援と課題把握を推進

また、リモートワークが続く中でも多くのメンバーがジョインしてくれているため、オンボーディング支援サービス「Onn(オン)」や、パルスサーベイ「MF Selfie Map」を用いて、メンバー自身の状況を確認して適切な対応をしていく支援に力を入れています。

株主構成

株主構成についてです。全体の株主数は、1万人を超えてきています。海外機関投資家さまの比率が若干減り、国内の機関投資家さまと個人投資家さまが増えてくださっています。

中期的な成長投資に関する方針及び2022年11月期の見通し

最後に、今後の業績の見通しについてです。2022年度の連結売上高の見通しについては、これまでと変更はなく、前年同期比で30パーセントから40パーセント増を見込んでいます。

第3四半期の売上高は51.8億円から54.1億円と、前年同期比で35パーセントから41パーセント増、またSaaS ARRに関しては146億円から150.3億円で、前年同期比で39パーセントから43パーセントの成長をそれぞれ見込んでいます。

また、法人ARRの成長の加速に向けて、第3四半期も引き続き投資を行っていきたいということで、18億円から20億円の広告宣伝費を投下予定ですので、EBITDAはマイナス22億円からマイナス17億円の赤字を見込んでいます。

損益見通しは、費用対効果や投資効果を、継続的に見ていくことが大事だと思っていますので、翌四半期の見通しを開示しています。第1四半期や第2四半期の投資を見て、より投資効果のよいものに振り分け、いろいろと入れ替えながら、逐次意思決定をしていきます。

第3四半期は先ほどお伝えした広告宣伝費を投下していきますが、第4四半期にどのくらいの広告宣伝費を投下するかは、直近の効果を見ながら決めていきたいと思っています。

売上も伸びていますので、2023年11月期以降は戦略上必要な投資の実行と損益の改善の両立を目指し、2022年11月期が損失額のボトムだと考えています。

2022年11月期の業績見通し(SaaS ARR)

我々が重要視している、SaaSのARRについてです。こちらは加速をしていくかたちで、前年同期比で40パーセント増から50パーセント増の、157億円から168億円の成長を見込んでいます。

特にMoney Forward Businessドメインにおける法人向けARRは、前年同期比プラス47パーセント以上ということで、108.5億円以上の実現を目指しています。また、2023年度における早期のSaaS ARRの200億円の達成を目指します。

ユニットエコノミクスを重視しており、CAC Payback Periodは24ヶ月から36ヶ月以内を目線として、投資の健全性を保ちながらトップラインを伸ばしていきたいと思っています。

2022年11月期 第3四半期の見通し

第3四半期の見通しです。繰り返しになるので割愛しますが、売上高、SaaS ARR、EBITDAの見通しを、ご覧のように想定しています。

2022年11月期 事業ドメイン別売上高(下限)見通し

事業ドメイン別の売上高における、下限の見通しについては、Money Forward BusinessドメインのバックオフィスSaaS事業が前年同期比39パーセント増、SaaSマーケティングが前年同期比24パーセント増、Money Forward Homeドメインが前年同期比23パーセント増、Money Forward Xドメインが前年同期比6パーセント増、Money Forward Financeドメインが前年同期比24パーセント増をそれぞれ超える成長を見込んでおり、全社では前年同期比で30パーセント増以上を目指します。

事業領域及びサービス拡充によりTAMは継続的に拡大

我々は「お金の課題を解決する」というミッションに即した、いろいろなビジネスを展開しています。TAMの大きな、5.4兆円の巨大な成長市場において、シェアを伸ばしながら、中長期の会社価値の向上に向けて、引き続き進んでいきたいと思っています。

私からのご説明は以上です。