個人投資家向けIRセミナー
大亀裕貴氏(以下、大亀):株式会社ダイキアクシスの大亀裕貴でございます。本日はこのような機会を設けていただき、ありがとうございます。
昨年10月末に、KCR総研さまから個人投資家向けの会社説明の機会をいただいたのですが、私にとって初めての投資家向けの説明会でしたので、少し緊張していました。今回は2回目ということで、当社の会社説明を初めて聞いていただく方もいると思いますので、現在の進捗なども踏まえてご説明できればと思います。よろしくお願いします。
自己紹介
あらためて自己紹介いたします。私は、大亀裕貴と申します。愛媛県松山市出身で、現在は東京に住んでいます。職歴としては、大学新卒で日立製作所に入社し、電力事業部の営業担当として2年間従事しました。
2018年にダイキアクシスに入社し、海外営業を1年担当しました。その後、取締役常務執行役員を拝命し、2019年からは経営管理本部を中心にいろいろな取り組みを行ってきました。そして、本年1月に専務取締役/CIO・CGOに就任し、全社の経営戦略および海外事業戦略の担当としていろいろな取り組みを進めています。
Agenda
本日は、大きく4つのアジェンダに沿って、当社についてご説明できればと思います。
1. 会社概要 / コーポレートスローガン
初めに、会社概要についてです。「PROTECT×CHANGE」というコーポレートスローガンを一番重要に考えて、企業活動を行っています。
「Mission/Vision」は企業使命ですが、会社としてあるべき姿として、地球の環境を守りながら未来を変えていくという使命を持っています。水の事業を軸として、さまざまな地球環境・生活環境を守ることで、持続可能な社会の実現に貢献し、社会の未来を変えていこうと取り組んでいる企業です。
「Value」は企業姿勢のことですが、従業員としてあるべき姿として「守るべきものは守り。変えるべきものは変える。」ことを大事にしています。昨今は本当に変化の激しい時代になりました。新型コロナウイルスやウクライナ情勢など、めまぐるしい世の中の変化に柔軟に対応しながら、維持すべきものと変化させてより良くすべきものを明確にしながら、より強く持続可能な組織を目指していきたいと考えています。
1. 会社概要 / 沿革
会社の歴史についてです。ダイキアクシスは2005年7月に誕生した企業です。創業の起源は、私の祖父の大亀孝裕が、1958年に愛媛県松山市にタイルと衛生陶器の商社である大亀商事を設立したことが始まりです。
1989年にホームセンター事業を中心としたダイキ株式会社を設立しました。その後、ホームセンター事業は2005年にDCMホールディングスと経営統合し、DCMダイキとなりました。
現在の当社代表であり、私の父である大亀裕は、創業事業である住宅機器の卸売りおよび水処理には成長性および将来性があると見込んでいました。そのため、それらの事業とホームセンター事業を完全に事業分割させるかたちで誕生したのが、ダイキアクシスの始まりであり、現在は東証プライム市場に上場している企業になります。
1. 会社概要 / グループ概要
グループ概要です。当社グループは大きく3つの柱で成り立っています。
1つ目が、スライド左側に示した環境機器関連事業で、青色の四角で囲んだところがダイキアクシスとそのグループ会社を表しています。国内には排水処理事業を中心に、グループ会社と子会社が計4社あります。海外には東南アジア・アフリカを中心に、8つのグループ会社を有しています。
2つ目に、スライド中央付近に緑色で示したのが住宅機器関連事業で、ダイキアクシス本体を中心に事業を営んでいます。それに加えて、愛媛県の松山市と新居浜市に、住宅機器関連の事業を行っている子会社が計3社あります。
3つ目に、スライド右から2列目に示したのが再生可能エネルギー関連事業です。こちらは、子会社のダイキアクシス・サステイナブル・パワーを中心に事業を行っています。昨年10月には、サンエイエコホームという神奈川県藤沢市の太陽光発電関連に事業を行う会社がグループに参画し、再生可能エネルギーについても注力していこうと考えています。
1. 会社概要 / グループ概況
グループ概況についてです。連結の売上高は2021年12月期で378億円でした。各事業別の内訳として、一番大きいのが環境機器関連事業の53パーセントとなっています。その中でも、浄化槽および排水処理システムの事業が最も大きな割合を占めています。
次に大きいのが住宅機器関連事業で、42パーセントとなっています。その中でも、建設関連業者向けの住宅設備の卸売や施工の事業が大きな割合を占めています。再生可能エネルギーにも現在注力しているところですが、まだ全体の3パーセントといったところで推移している状況です。
1. 会社概要 / ESG経営
ESG経営についてもご説明します。当社は、2018年頃から経営テーマとしてESG経営を掲げています。創業者としても、環境および社会へ貢献するという思いが創業の背景にありました。
これまでの歴史を経て、水処理や再生可能エネルギーに関する事業を営むことで、事業活動・企業活動を通じた環境および社会に対して貢献ができたと思っています。今後もそのようなテーマを掲げて経営を進めていきます。
また、内部に関しても働き方改革や、外国人やジェンダーに配慮した組織作りという観点から、グローバルな理解と多様性を持った組織を作り上げていこうと心がけています。
そして、これらの事業活動・企業活動を支える基盤としてガバナンスがあると思っています。コーポレートガバナンスコードの改定もあったことから、プライム市場上場企業として高いガバナンスが求められています。
株主さまやその他のステークホルダーのみなさまに対して情報をクリアに開示することによって、いろいろな提携や連携ができると思っています。また、ガバナンスをしっかり持って経営を管理監督することで、社内外で発生しうるリスクのマネジメントを行えると考えています。このように、ESG経営を推進していこうと考えています。
1. 会社概要 / ESG経営
具体的なESG経営に関する啓発活動をご紹介します。取り組みの一例として、愛媛県の松山本社のビルは、自社技術を活用して、飲料水も含めて地下水を利用しています。また、バイオディーゼル燃料の活用も進めており、自社ビルの空調ボイラーや社有車の一部をバイオディーゼルで賄うことによって、CO2排出削減にできる限り貢献していこうと取り組んでいます。
加えて、組織として啓発活動も行っています。コロナ禍も落ち着いてきている中ですが、テレワークの規定を制定して、コロナ禍で定着した働き方の多様化を推進しています。
東京オフィスに関しては、完全にフリーアドレス化しており、組織文化をどんどん変革させていくという目標をもって取り組んでいます。これらは、「PROTECT×CHANGE」のCHANGEの部分として施策を進めています。
また、コロナ禍によって、組織の中でもいろいろと分断された部分があります。コロナ禍が落ち着いてきている状況ですので、私も含めた役員が全国の各拠点を回りながら、いろいろな課題を見つけ出し、それに対応する解決策や組織文化の醸成を行っていきたいと考えています。
2. 成長戦略 / 2025年中期経営計画概要
成長戦略です。昨年末に、2025年までの中期経営計画を出しています。当初は2019年から2021年までの3ヶ年での中期計画として、2019年に発表しスタートしましたが、新型コロナウイルスの影響によって、国内外で大幅な環境変化がありました。そのため、昨年2月に2021年から2023年までに延長した計画へ刷新しました。
また、東証市場の再編によって、さらに長期的な視点に立った持続的な成長戦略を開示することが必要だと考えました。そのため、2025年12月期を最終年度とする定量目標をもった新たな中期経営計画を発表したということです。
成長戦略としては、スライド下段に記載した7つの項目を中心に考えています。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【海外展開】
ここからは、それぞれの成長戦略の具体的な取り組みについてお話ししていきます。まず、環境機器・排水処理の海外展開についてです。こちらは、浄化槽・生活排水処理装置を中心に進めていきます。海外売上高は昨年末で14億9,000万円となっており、2026年までに売上高50億円を目指していきたいと考えています。
コロナ禍でなかなか計画どおりに進めていけなかった部分もありますが、コロナ禍が落ち着きはじめ、日本人社員もどんどん海外に出向いて、営業活動や生産拠点の設立を行っていますので、今後も注力していきたいと思っています。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【海外展開 代理店網】
販売ネットワークについてです。アジア・アフリカ各国において、生産拠点や代理店網を31社で構築しており、代理店を通じて浄化槽の拡販戦略を行っていきます。
生産拠点としては、合弁会社と一緒に作った小型浄化槽の製造拠点が中国に1ヶ所、国内・海外輸出用の浄化槽を製造する工場がインドネシアに1ヶ所、委託工場としてダイキアクシス・インディアの浄化槽工場がインドに1ヶ所あります。
さらに、新たな工場計画として、インドに自社の製造拠点を今年9月稼働予定で現在建設中です。また、スリランカについても浄化槽の組み立て工場を来月頃に稼働する予定で進めています。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【海外展開 インド・スリランカ】
それぞれの生産拠点における生産の状況についてです。インドに関しては、インド国内の浄化槽需要が非常に高まっています。委託生産工場はもともと月産20台の状況でしたが、生産設備の増強を行ったことで、現在は月産30台となっています。
しかし、生産状況がまだまだ受注に追いついておらず、インドネシアからインドへ輸入している状況です。したがって、インドでの営業活動はかなり進んでいると言えます。
それに応じて、独自運営の工場設立を決定しました。現在はカプセルタイプといわれる浄化槽しか作っていないのですが、インドの新工場では、スライド左下の写真のような円筒タイプの浄化槽を製造していきます。
そして、将来的な月産台数としては30台から60台へと増産できるような体制を整えていきます。また、インド国内での需要が増えれば、今年9月に建てる新工場はインド北部にありますが、さらに南・東・西と、インドの広大な土地に新たな工場の計画を立てていきたいと考えています。
スリランカについては、2021年5月にもともとパートナーだった代理店の浄化槽部門の機能を取り込み、独自でDAIKI AXIS ENVIRONMENTという会社を設立しました。
スリランカにおいても浄化槽の需要は増えてきており、来月頃からここを現地製造拠点としてアッセンブリー、つまり浄化槽の組み立て工場の建設を開始予定です。ただ、今はスリランカの情勢が少しよくないため、そちらも見ながら取り組みを進めていきます。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業【製品開発】
排水処理事業の国内状況と成長戦略をご説明します。初めに製品開発です。
もともとは生活排水処理の浄化槽を中心に取り組んできましたが、今は産業排水処理にも注力していこうとしています。その新たな開発として、1つ目は、蒸発濃縮装置という生物処理に適さない高濃度の化学系排水を蒸発濃縮処理する処理システムの構築をしています。2つ目に、腐植土や特殊素材を活用しての臭気除去、そして汚泥減容に優れた排水処理システムの研究開発を進めています。
さらに、新たな市場への取り組みとして、排水量の少ない食品関連工場における高濃度有機系排水に対応できる産業排水処理装置の取り組みも行っています。このように従来型の有機系の処理に加えて無機系も強化しており、需要の高まる新たなお客さまへの取り込みや、多様なニーズに応えるために、産業排水処理の研究開発を注力的に行っていきます。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業【ストックビジネスの拡大】
ストックビジネスの拡大も成長戦略として掲げています。メンテナンス事業についても年々拡大を進めており、大手コンビニチェーンなどの外食産業への営業を注力し、メンテナンス案件を増やしながらストックビジネスとしての収益拡大を計画しています。
また、生産性向上ではメンテナンスシステムの構築を行っています。法定点検義務の管理業務に対応した新ITシステムとして、協力業者と連携しながら生産性を高めて業務を進めることを施設管理ストックビジネスの中で行っています。
2. 成長戦略 / 住宅機器関連事業【安定から成長への転化】
住宅機器や住宅設備の卸事業では、安定から成長への転化をテーマとして掲げています。その1つがEコマースサイトの多角展開として、DCMとのコラボサイトに加え、全国対応のリフォーム受付サイトを独自で構築することです。このように住宅設備関連事業の展開を進めていきます。
また、商圏や商材の拡大が重要と考えているため、M&Aを通じて収益寄与の拡大を計画しています。今までは四国を中心に住宅設備卸売ネットワークを進めてきましたが、今後は受注拡大のために、雇用と育成を拡大しながら全国展開を進めていければと考えています。
2. 成長戦略 / 再生可能エネルギー関連事業
再生可能エネルギーに関する成長戦略のご紹介です。冒頭にご説明したとおり、再生可能エネルギー関連事業は子会社のダイキアクシス・サステイナブル・パワーが中心に行っています。
この会社の基本理念は、社会全体の低炭素化実現、つまりカーボンニュートラルに向けた取り組みに貢献し、持続可能な地球環境の実現を目指すであり、大きく分けて4つの事業に取り組んでいます。
1つ目は太陽光と風力のFITを用いた売電事業です。2つ目は太陽光発電施設の設計、施工、販売、保守です。3つ目はバイオディーゼル燃料の製造およびプラントの販売、維持管理です。そして、4つ目は水熱処理装置の設計と販売です。
このように、今まで売電事業を中心に運営事業者としての実績を積んでいます。また、この実績をもとに他の事業のクライアントに対して、太陽光、風力、カーボンニュートラルディーゼルオイルなど再生エネルギーの最適ミックスを提案可能な体制を整え、CO2排出削減に向けた取り組みに貢献していきます。
2. 成長戦略 / 再エネ事業【太陽光発電事業】
再エネ事業のそれぞれの分野についてご説明します。太陽光については従来行っていた部分ですが、ホームセンターDCMの店舗屋根を有効活用してFITの売電事業を行っています。現在では発電所数として130サイト、売上総利益として4.3億円が確保できる事業です。
2. 成長戦略 / 再エネ事業【太陽光発電事業】
2021年10月にグループインして、子会社化したサンエイエコホームが保有する既設野立太陽光発電所23ヶ所に基づき、再エネ事業として長期的な事業運営に貢献させていきたいと考えています。
さらに、環境機器関連事業や住宅機器関連事業のお客さまからもいろいろなご意見をいただき、当社が営むすべての事業と営業活動を進めて協業することで、シナジー効果を発揮させていきたいと考えています。その1つの事例として、サンエイエコホームが営農型太陽光発電として農業と福祉を関連させた事例を始めましたので、スライドでご紹介しています。
2. 成長戦略 / 再エネ事業【風力発電事業】
風力発電では昨年度、小形風力発電FIT売電事業を新たに10サイトで開発し、現在は合計21サイトで稼働開始を予定しています。純国産の中形機開発への参画についても情報を示していますが、当社グループであるダイキアクシス・サステイナブル・パワーのブレード部分の生産にダイキアクシスも協力しています。来年の4月頃を目処に、純国産の風力発電機を販売できればと思います。
2. 成長戦略 / 再エネ事業【バイオディーゼル事業】
バイオディーゼル事業のご説明です。こちらは低炭素化実現だけではなく、水を汚染する廃食油を事前に回収して、さらにエネルギーに変換するという、水汚染問題やエネルギー問題の本質を捉えた事業だと考えています。もともとは愛媛県の自社プラントのみで事業を展開していましたが、昨今の関東エリア、また世界的にも需要増加を勘案した結果として、まずは関東エリアの事業拡大を計画しています。
2. 成長戦略 / M&Aの推進
M&Aの推進についてです。当社の水環境と住宅設備のビジネスを中心にM&Aを進め、スライドにあるとおり、商圏や商材を拡大しながら、全社の事業規模の拡大に結び付けていきます。
2. 成長戦略 / 財務戦略
財務戦略では、2020年9月にサステイナブル認証付きの新株予約権を発行しています。総額20億円を調達予定で現在のところ50パーセントを行使済みで、金額にして11.4億円を調達できています。資金使途としては「海外浄化槽事業」「工場建設およびBOO/BOTの運営事業」「インドでの海外飲料水事業『Water-KIOSK』」「太陽光発電事業」になります。
現在は、少し株価が低迷しており行使が進んでいない状況ですが、海外展開も進めているため、必要に基づき情報を開示して株価を上げて行使を促進したいと考えています。また、資金調達については、ESGに関連した方法を模索しながら検討していきたいと考えています。
3. 業績概要 / 経営成績の概況【連結業績推移】
業績概要についてご説明します。スライドのグラフは、2012年からの連結業績の推移を表したものです。
3. 業績概要 / 経営成績の概況【2021年12月期決算概要総括】
昨年末の決算概要の総括としてまとめたものです。連結売上高が約378億円、前期比で約109パーセント、連結営業利益が11.1億円、前期比で約107パーセントで終わりました。コロナ禍においても、環境機器住宅機器や国内の大型案件、新しい商材の営業活動を進め、引き合いを増やすことで、受注が増えていきました。
3. 業績概要 / 経営成績の概況【2022年通期業績予想】
今年度の通期業績予想ですが、連結売上高が400億円、連結営業利益が11.5億円の予想を立てています。営業利益率が前期比の99.9パーセントの予想となっているのは、人件費の面で従業員のベースアップを4月から行っていることによるものです。また、原材料の高騰も少し含まれている部分があり、このように予想しています。
3. 業績概要 / 経営成績の概況【2022年第1四半期実績】
先週の5月13日に発表した、本年度の第1四半期実績です。連結売上高は110.2億円、前期比で約111パーセント、連結営業利益は4.5億円、前期比で約101パーセントです。業績は順調ですが、季節変動もある事業のため通期の業績は据え置いています。
4. 株主還元
株主還元をご説明します。配当推移ですが、我々は企業価値を継続的に拡大しながら株主に対する利益還元を行うことを、重要な経営課題として掲げています。
今後の配当政策の基本方針としては、株主さまへの安定的な利益還元と会社の継続的な成長を実現するために、各期の連結業績と配当性向、内部留保を総合的に勘案した上で配当を行っていきます。本年度は第2四半期末が12円、そして期末12円の合計24円を計画しています。
4. 株主還元
株主優待については、「ダイキアクシス・プレミアム優待俱楽部」を導入しています。「ダイキアクシス・プレミアム優待俱楽部」サイトでさまざまな商品や、導入企業の優待ポイントと合算が可能な共通株主優待コインと交換が可能になっていますので、こちらもご参照いただければと思います。
以上で私からの会社説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
質疑応答:インドでのビジネスについて
質問:インドでのビジネスはいろいろと難しいことがあると思います。実際のところ予定どおり進捗していますか?
大亀:ご質問のとおり、インドでのビジネスについてはいろいろと難しい部分があります。ただ、進捗としては確実に進んでいます。よい部分としては、インド国内で浄化槽の認知度がかなり高くなっており、引き合いおよび受注に関しては政府、民間ともに増えています。そちらについては業績でしっかり示していきたいと思っています。
その他の難しい部分としては、政府関係の引き合いで多くありますが、プロセスにかなり時間がかかることで、最終決定までなかなかスムーズに行かないケースが多くあります。政府組織に関しては、決定権者のパワーバランスや人数の多さによって、かなり時間を要する部分もあるため、営業活動や働きかけを行いつつ待つ部分が多くなりますので、現地政府とはよい関係を築きながら進めていきたいと考えています。
質疑応答:インド水環境省からの受注案件の進捗状況について
質問:インド水環境省から受注した公園内のトイレや手洗いからの排水を再利用した浄化槽プロジェクトの中で、DDA管理下には同様の計画対象の公園が1,100ヶ所あり、新たな提案をしていると表記がありました。このIRの発表から1.5年程度経過しようとしていますが、提案の進捗状況はいかがでしょうか?
大亀:こちらは情報開示を行ったインド水環境省からの受注案件ですが、引き続き提案は進めている状況です。しかしながら、デリー政府内の組織変更があり、日本語で言うと、デリー水委員会となる組織の変更がありました。現地からは実質、どの案件もストップ中と聞いており、働きかけを行ってはいますが少し時間がかかりそうです。
質疑応答:営業利益に対するコスト対策について
質問:第1四半期決算において、売上は前年度比10パーセント増、しかし営業利益が10分の1との表記がありました。為替損益がなければ、経常利益が前年同期比を下回ったかたちとなっていたかと思います。主に原価が膨らんでいることが原因だと思いますが、資材高騰や輸送費、またのれん償却などのコスト対策を教えてください。
大亀:利益の圧縮といいますか、利益がそれほど伸びていないという状況ですが、資材高騰については第1四半期に関してはそこまで影響はありません。各事業において、通期を見ると今後大きく影響している部分はあると思いますので、そちらについては見込んでいますが、営業活動として販売価格や販管費の圧縮などを反映させられるように、営業を中心に努力していきたいと考えています。
輸送費に関しては、海外における輸送費がかなり大きく膨らんでいます。海上輸送費はコロナ禍以前と比較すると4倍、5倍になっており、インドで営業活動を進め需要が旺盛になっている状況の中で、インド国内の生産状況として供給が間に合っていないことから、インドネシアからの輸入にて対応しています。その部分において利益を圧迫しているという部分はあります。
また、スリランカでも、小型の浄化槽については日本から輸出している状況もあり、海外での営業活動は進んでいますが、輸送費の高騰による利益圧迫が非常に大きいです。ただ、そのような営業活動において、需要はかなり増えている状況もありますので、先ほどご説明したとおり、インドでは今年9月から、スリランカでは来月ごろからを目処に生産を開始できるようなかたちで工場設立を進めています。
質疑応答:ダイキアクシスの競合企業、強みと弱みについて
質問:ダイキアクシスの競合企業はどこですか? また、競合企業より強みがある部分はどこですか? できれば弱みもお願いします。
大亀:複合事業ですので、競合企業については、それぞれの事業ごとにあると考えています。また、強みの1つは、会社全体として環境、水を軸にして複数の事業を絡めた提案が可能なことだと思います。全社的な弱みに関しては、創業地の中四国では知名度がある程度高いと考えていますが、全国的、世界的にはまだまだ知名度が低く、好環境経営、好環境事業に取り組んでいる企業として、もっとアピールする必要があると考えています。
それぞれの事業について少しご説明すると、国内での環境機器、排水処理については、浄化槽関連の競合ならフジクリーン工業さまがシェアNo.1ですので、かなりの競合であると考えています。
排水処理事業に関しては、総合水処理メーカーとして、研究開発から自社での製造、設計、および施工販売、またはメンテナンスと一貫した対応ができることはかなり強みだと考えています。一方で、弱みについては、浄化槽に関しては日本国政府の基準をもとに生産する認定品であることから、価格競争に陥りやすいというのが難点だと思っています。産業排水処理事業では、それに応じてニッチな市場に対応しながら、付加価値を付けて開発を進めています。
住宅設備の関連事業については、競合はいろいろな商社企業だと考えています。メーカーの直売店なども最近は力を入れていますので、競合になってくると考えています。地域ごとに同様の卸売企業を営んでいる会社が多くありますので、対応を広げるためには、M&Aなどのアライアンスを考えながら取り組んでいく必要があると考えています。
質疑応答:再生可能エネルギーの事業に関する将来計画について
質問:再生可能エネルギー関連の事業は利益率が高いと思いますが、将来的にどの程度まで伸ばす考えをお持ちでしょうか? 売上、営業利益の比率で教えてください。
大亀:再生可能エネルギーの事業に関しては、現在もっとも注力しているのが太陽光関連の部分です。その中で売電については営業利益率50パーセントを考えています。また、太陽光の施設販売、物売りに関しては粗利で30パーセントから40パーセントほどを考えています。将来的にどの程度まで伸ばすかという点については計画を立てている最中ですが、5年後に再生可能エネルギー事業として25億円は達成していきたいと考えています。
質疑応答:浄化槽の価格帯と競合他社に対する優位性について
質問:御社の浄化槽について、競合他社との優位性と価格帯を知りたいです。
大亀:浄化槽の価格帯については、サイズによって変わるため、一概にはなんとも言えないところです。優位性については、先ほどお伝えしたとおり、国内では国が定めた基準をクリアした認定品しか製造および販売ができないということもあり、製品ごとに差や付加価値を付けがたいものとなっている製品ですので、価格競争の製品となっている状況です。
ただ、当社としては、従来FRPという成形しやすいプラスチック素材を中心に製造していたのですが、小型浄化槽などの一部については再生可能な素材であるポリプロピレンを使ったものを開発するなどして、少しでも他社との差別化が図れるような開発を進めていますし、今後も推進していきます。
また、海外には浄化槽というものがありませんので、日本の政府が認めた製品として打ち出しています。海外にはない技術ですし、小型でオンサイトでの処理ができるものとして、各国で大きなメリットを認知いただきながら、受注や引き合いが進んでいるという状況です。
質疑応答:浄化槽のパテント戦略について
質問:浄化槽のパテント戦略はどうなっていますか? 海外で真似されることはありませんか?
大亀:現状では、真似をされてしまいます。日本では政府が定めた基準ですので、浄化槽についての特許を取得することが難しいのですが、海外でのパテント戦略に関しては検討中です。ただ、浄化槽に関しては、その技術だけを真似しても性能が発揮しきれないという特徴がありますので、メンテナンスなどを行うことが非常に重要だと考えています。
日本では環境の法令によって浄化槽のメンテナンスが義務付けられていますが、海外ではメンテナンスなどを行う習慣がありません。特に、私たちのターゲットとする新興国は、そこまでコストを掛けられないという状況もあります。日本では高度経済成長期において健康被害が出たことから、環境改善をするための法令が制定されてきた歴史があり、現地でも営業を中心にその歴史を紹介しています。
我々としては、環境がトレンドの中心である現在において、ターゲットとする新興国の政府や自治体も環境改善に関連する法令を制定し、しっかり監視することを望み、浄化槽の営業活動と併せて働きかけを行っているという状況です。
質疑応答:純国産の風力発電機の売り先と売り方、売上見込みについて
質問:共同開発している純国産の風力発電機の売り先と売り方、売上見込みを教えてください。また純国産で競合は日本にいますか?
大亀:日本国内で流通している中形の風力発電機については、純国産のものはないと理解しています。共同開発をする中で、日本の風況に合ったものを開発できるように、リコーやゼファーといった他社と共同して開発を進めているところです。
売り先などの今後の見通しや、現在取り組んでいる開発事業に関しては、環境省の事業でもあることから、情報がなかなかオープンにできないという部分が多くなっています。当社グループとしての関わり方が開示できるような状況になればお知らせしようと考えています。
質疑応答:具体的な目標数字を入れた中期経営計画の発表予定について
質問:具体的な目標数字を入れた中期経営計画を発表する予定はありますか?
大亀:ご質問は、昨年末に出した2025年までの定量目標を年度ごとに落とし込んだ具体的な目標数字のことかと思いますが、現在のところ発表する予定はありません。
今年度の3月に2021年3月期の決算発表を行った時の説明会資料24ページ以降に、成長戦略について、本日の内容と類似したものがありますので、ご参照いただければと思います。
質疑応答:増配の予定について
質問:24円配当が続いていますが、増配することはないのでしょうか?
大亀:増配については、申し訳ありませんが現在のところ考えていません。株主還元については、増配に加えて、自己株式の取得等も踏まえて政策的に検討を進めていきたいと考えています。また、利益創出に向けては生産性の向上が必須だと思いますので、IT活用および新規事業の創出も含めて、全社で取り組んでいきたいと考えています。