2022年3月期決算説明会
和佐見勝氏(以下、和佐見):みなさま、こんにちは。本日は決算説明会にご出席いただきまして、心からお礼を申し上げます。誠にありがとうございます。
「2022年3月期 決算数値」については藤田より説明させていただきます。その後、私から「中期経営計画2025」についてご説明します。何卒よろしくお願いいたします。
2022年3月期 実績
藤田勉氏(以下、藤田):2022年3月期の決算の概略をご説明します。最初に2022年3月期の実績についてです。売上高が1,330億円、営業利益が86億4,900万円で利益率6.5パーセント、経常利益が91億3,900万円で経常利益率6.9パーセントです。親会社株主に帰属する当期純利益は61億2,500万円で、利益率4.6パーセントです。前期対比では、売上高が118.6パーセント、営業利益が107.8パーセント、経常利益が110.6パーセントです。
スライド下部には5年間の売上高と経常利益のグラフを記載しました。売上高の年平均成長率は15.6パーセントです。経常利益の年平均成長率は17.8パーセントを達成しています。
物流事業ドメイン別 売上高構成比①
各事業ドメイン別の売上高です。まず、EC・常温物流事業は、前年対比で46.1パーセント増、212億2,000万円増です。
私どもはラストワンマイルからサプライチェーンの上流へと上って物流業務を受託しており、幹線輸送に加え、ソートセンターあるいはフルフィルメントセンターの受託というかたちで業績を伸ばしています。このEC・常温物流が、私どもの大きな成長のエンジンになっています。
物流事業ドメイン別 売上高構成比②
食品物流事業です。残念ながら、売上高は前年対比0.8パーセント減となっています。これは昨年度に、コロナ禍による大変な物流増があり、その反動減によるものです。
物流事業ドメイン別 売上高構成比③
私どものコアのビジネスである医薬・医療物流事業です。売上対比は前年対比0.1パーセント増で、ひとえにインバウンド需要の剥落の影響を受け、物量が減少しております。ただし、今期については政府が発表しているとおり、インバウンドが徐々に規制緩和されてきています。
また、マツモトキヨシホールディングスは昨年10月1日に経営統合されて、マツキヨココカラ&カンパニーとなりました。私どもはマツキヨココカラ&カンパニーの総合物流の担い手であり、将来的に非常に成長が期待できるところだと思っています。
2022年3月期 経常利益増減分析
経常利益の増減分析です。前期の82億6,200万円に対して、今期は91億3,900万円となっています。こちらは、先ほどお伝えしたEC・常温物流における、幹線やソートセンター、またフルフィルメントセンターなど既存取引先の拡大、さらに、昨年グループに入った日本物流開発の新規連結増加の2億9,000万円が計上された結果です。
2022年3月期 損益計算書
2022年3月期の損益計算書です。売上高が1,330億円、売上原価が1,185億9,000万円、売上総利益が144億1,000万円となっています。
2022年3月期 売上原価分析
売上原価分析です。1,185億9,000万円の売上原価の内訳です。人件費は304億2,800万円で構成比が25.7パーセント、また諸経費が881億6,100万円で構成比は74.3パーセントとなっています。
諸経費の内訳はスライド下段に記載のとおり、傭車費が49.1パーセント、外注・業務委託費が10.3パーセント、燃料油脂費が1.3パーセント、その他が13.7パーセントです。
今、物流業界を取り巻く環境はかなりのコストアッププレッシャーがあります。我々と同じ長距離運送の会社は、燃料油脂費の大幅アップにより大変なことになっていると思いますが、とりわけ私どもは「運ばないを科学する」会社ですので、燃料油脂費は原価の1.3パーセントに留まり、その点でまだ影響は少ないと思っています。
2022年3月期 貸借対照表
貸借対照表です。総資産合計が859億900万円、負債合計が561億7,300万円、純資産が297億3,500万円となり、自己資本比率は33.7パーセントになります。
2022年3月期 キャッシュフロー計算書
2022年3月期のキャッシュフロー計算書です。2021年4月1日の現金及び現金同等物の期首残高は264億8,200万円で、2022年の3月末では294億4,200万円に増加しました。
内訳は、営業活動によるキャッシュ・フローが60億8,700万円、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナス52億4,000万円、財務活動によるキャッシュフローが7億9,900万円、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額が13億1,200万円です。
2023年3月期 業績予想サマリー
2023年3月期の業績サマリーについてお話しします。売上高が1,715億円で、前期対比128.9パーセント、営業利益が111億3,000万円で前期対比128.7パーセント、経常利益が115億2,200万円で前期対比126.1パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益が73億8,000万円で前期対比120.5パーセントと計画しています。
事業ドメインの区分け変更
2023年3月期から、事業ドメインの区分けを変更しています。これは以前から検討していたことで、資本コストを意識したROIC経営を行うため、セグメントをよりわかりやすく区分けしたものです。
従来は、物流事業とその他事業と大きく2つに分け、さらに物流事業を「EC・常温物流」「食品物流」「医薬・医療物流」の3つの領域に分けていました。2023年3月期からは、輸配送事業として「ラストワンマイル事業」と「EC常温輸配送事業」に、また、3PL事業として「EC常温3PL事業」「低温食品3PL事業」「医薬・医療3PL事業」に分けています。
2023年3月期 売上高増減分析(予想)
2023年3月期の売上の増減分析です。
2023年3月期 経常利益増減分析(予想)
経常利益の増減分析予想では、23億8,300万円の増加を見込んでいます。
設備投資
設備投資のグラフです。3年後の2025年に、首都圏から25キロメートルの位置にある埼玉県松伏町に、最新鋭のハイブリッドなセンターを作ることを計画しており、その土地取得代金として約60億円かかる予定です。
また、本日の日経産業新聞に掲載されたとおり、私どもにグループインした日本物流開発が、茨城県土浦市に新センターを建設するにあたり、開発費用として15億6,000万円、さらに、DXも含めたシステムおよびマテハンなどの機器として、10億4,000万円の設備投資額を予定しています。
株主還元
株主還元についてです。2014年4月8日上場の時から「連結配当性向は30パーセント以上を目指す」としています。2023年3月期は、投資家のみなさまに、我々の成長を配当として還元したいということで、1株あたり年間4円50銭の増配を予定し、連結配当性向は40.0パーセントを計画しています。
前中期経営計画の振り返り①
和佐見:中期経営計画から事業戦略について、私からお話しします。まず、中期経営計画の中で2022年の振り返りを少しご説明します。
2019年3月の売上高が855億円で、2022年の3月には1,330億円という実績数値を出しました。年平均成長率は15.8パーセントとなっています。
前中期経営計画の振り返り②
ドメイン別の年平均成長率として、EC・常温物流が32.1パーセント、食品物流が7.1パーセント、医薬・医療物流が1.6パーセントという結果です。ECが非常に成長している理由としては、やはり、コロナ禍における巣ごもりの需要があったためと思っています。
コンセプト
「中期経営計画2025」の説明に入ります。コンセプトとして「事業の拡大・開拓」があります。
まず最初に「人財の確保と育成」についてです。コロナ禍の収束にあたって、必ず人手不足になると考え、5年間で新卒採用3,000名、中途採用2,000名、合わせて5,000名の人材を確保します。現在の正社員数からおよそ倍増となる計画です。
次に「DXの推進と適用」についてです。これからの時代は、AIやIoT、そして物流センターの省人化・ロボット化と、本格的なローコストのセンター作りが進みます。
「経営資源の適正配分」は、我々は拡大を続けていくので、日々の管理体制を十分にするために、日次決算的なものを本格的に行っています。
最後に「ESGの経営の実践」ということで、こちらもやるべきことをしっかりとやっていく時代が来ていると思っています。
数値目標
数値目標についてです。2022年3月期の決算実績は、売上高が1,330億円、営業利益が86億円で営業利益率が6.5パーセント、経常利益が91億円で経常利益率が6.9パーセントでした。
2023年3月期の売上高は1,715億円と、前年対比で28.9パーセントと非常に高い成長を目標にしています。ファイズホールディングスが我々のグループ会社となり、その売上が計上されるため、2023年の伸び率は高いです。
営業利益が111億円で前年対比28.7パーセントとなり、営業利益率としては6.5パーセント、経常利益が115億円で前年対比26.1パーセントとなり、経常利益率としては6.7パーセントとしています。
2024年3月期は、売上高が2,000億円で前年対比16.6パーセントの成長を目標としています。営業利益が136億円で前年対比22.2パーセント、営業利益率としては6.8パーセント、経常利益が140億円で前年対比21.5パーセント、経常利益率としては7.0パーセントが目標です。
中期経営計画の最後の年である2025年の3月期の目標は、売上高が2,400億円で前年対比20.0パーセントとしています。営業利益が171億円で前年対比25.7パーセント、営業利益率として7.1パーセント、経常利益が175億円で前年対比25.0パーセント、経常利益率として7.3パーセントの成長を計画しています。
この中期経営計画は目標数値が非常に高いですが、必ず実現できるというかたちで計画していますので、よろしくお願いします。
ラストワンマイル事業
ラストワンマイル事業についてです。私どもとしては、ラストワンマイルは「成長」をキーワードとして、成長するマーケットや成長する顧客に目を向けて、事業拡大に取り組んでいます。ラストワンマイルの年平均成長率は23.6パーセントと、非常に高い成長を見込みます。
売上高は2023年3月に385億円、2024年3月に466億円、2025年3月に566億円と予想し、ともに20パーセント以上の成長を目指します。
EC常温輸配送事業
EC常温輸配送とは、センターからセンターの、専門的に言うと「横持ち」と呼ばれている幹線輸送のことです。年平均成長率は23.9パーセントを目指します。
売上高は2023年3月期に490億円、2024年3月期に600億円、2025年3月期に750億円と予想し、やはり前年比20パーセント以上の成長が目標です。ラストワンマイルの各センターと全国の幹線輸送の数値があるため、成長を見込んでいます。
EC常温3PL事業
EC常温3PL事業です。3PLはフルフィルメントセンター等の、物流センターの事業です。売上高は、2023年3月期に430億円、2024年3月期に502億円、2025年3月期に580億円、年平均成長率は33.1パーセントが目標です。
物流センター事業は1つのセンターの売上が非常に大きく、事業所が1つオープンすると年間40億円、50億円、60億円という規模感になるため、大きな成長を見込めるのが特徴です。
低温食品3PL事業
低温食品3PL事業です。売上高は2023年3月期に203億円、前年比8.3パーセント増、2024年3月期に217億円、前年比6.9パーセント増、2025年3月期に238億円、前年比9.7パーセント増、年平均成長率は8.3パーセントが目標です。
一般的に各業界の年平均成長率は4パーセントから5パーセントのため、8.3パーセントでもそれなりの評価を得られると思っています。
医薬・医療3PL事業
医薬・医療3PL事業は、マツモトキヨシを中心とした事業ですが、メーカー分のプラスもあります。売上高は2023年3月期に196億円、前年対比1.7パーセント増、2024年3月期が204億円、前年対比4.1パーセント増、2025年3月期に255億円、前年対比25.0パーセント増が目標です。
マツモトキヨシとココカラファインの統合により、本格的に共同配送が開始する時期に、伸び率が25パーセントに伸びるという計画になります。拠点となる物流センターは、最初は九州と東海に拠点を作ります。それに伴い、医薬・医療3PL事業の数値が成長していく見込みです。
EC物流①
事業戦略についてご説明します。まずはEC物流です。TOBにより子会社化したファイズホールディングスが、3月29日に丸和グループに入りました。ファイズホールディングスは、どちらかというと物流センターを中心とした会社です。
一方、我が社も小売業に特化した3PL業者としては物流センターが強い企業です。ファイズホールディングスが拡大できないものは、丸和がグループとして支えるかたちで拡大する考えです。
EC物流②
成長著しいEC市場の事業拡大としては、連結子会社の日本物流開発が茨城県土浦市にEC専用のセンターを建設することが決定しました。市内初の物流総合効率化法の認定も受けています。
場所は土浦インターから車で3分ほどのエリアです。設備投資は約32億円で、2023年6月から工事に入ります。2025年には、日本物流開発全体で売上100億円が目標です。
日本物流開発は、丸和とは異なり中堅のECマーケットを手掛けています。私どもは大手を狙っているため、日本物流開発には中堅などほかの市場を担当してもらう考えです。
低温食品物流①
低温食品物流についてです。先ほど、東埼玉の松伏に小売業チェーンの物流センターを建設することをご説明しました。低温食品専門のセンターとして、日本で最大の投資になると思います。
大規模な投資をした以上は、我々も拡大策をとっていきたいと考えています。このセンターは、投資家のみなさまにもご案内できるように計画しています。
低温食品物流②
今、一番大事な安全・安心を徹底するため、HACCP(ハセップ)の技術をもったセンター作りをしていく考えです。
低温食品物流③
丸和のDXシステム(MDX)を開発して、ほぼ完全にロボット化を図れるセンター作りをする方針です。
物流センターは5階建てで、屋上に乗用車が1,000台駐車できるスペースがあります。ワンフロアの規模が想像できるかと思います。
首都圏25キロ圏内に位置するため、都心の低温食品の配送を本格的に行う予定です。
東埼玉道路という高速道路が完成するため、都心には約30分から40分、夜間は20分台で入れます。日本橋から約25キロという最高の立地条件でセンター作りを計画しています。
松伏町のセンターでは、当日収穫した野菜を当日販売する産直の仕組みを作ろうと計画中です。昨年、ANA Cargoと共同で、北海道の十勝・帯広エリアのトウモロコシを朝4時に収穫し、千歳空港から羽田空港、伊丹空港を経由して、東京のスーパーで当日販売する初めての試みを行いました。非常に人気が高く、即完売しました。やはり鮮度が大切であることを実感します。通常は野菜が収穫されて市場から店舗に並ぶまでには3日かかります。
我々は、京都府綾部市の農業法人で作った京野菜を朝収穫して、昼までに関西のスーパーマーケットに届けています。今はほかのベンダーは扱っておらず、当社のみが実施しているサービスです。今後はこのようなことに力を入れていきたいと思っています。
医薬・医療物流
医薬・医療物流についてです。マツキヨココカラ&カンパニーとの共同配送により、だいたい1.6倍から1.7倍の物量になります。季節によって異なるものの、我々が今持っているマツキヨココカラ&カンパニーの専用センターでは間に合いません。今後は拡大のために新センターを作っていく考えです。
人財の確保と育成①
機能戦略についてです。人財の確保として、新卒採用3,000名、中途採用2,000名を計画しています。
人財の確保と育成②
企業のみなさまが頭を痛めているのは離職です。我が社も離職がないとは言えません。そこで、徹底した教育を図り、離職防止対策をとる計画です。せっかく縁を深めた人たちが、長期的に勤務できるように、環境の整備をしっかり実行していきます。
人財の確保と育成③
採用と教育も重要ですが、当社で働きたくなるように、福利厚生などすべての面で、他社が整備していないところを整備していきたいと思っています。
DXの推進・活用①
DXは本格的に推進していく方針です。現在、東京大学とドローン関係や自動運転などで一緒に研究開発に取り組んでいます。
DXの推進・活用②
DXによってセンターの業務などは大きく変わり、効率性が高い職場環境に変わります。
経営資源の適正配分(ROIC経営)
経営資源の適正配分についてです。各事業ドメインで売上高の成長率を計るには、今までの取り組みに対しての改善、改革、時代に即応する戦略、マネジメント、そのようなものを変えていきたいという考えです。
ESG経営の実践
ESG経営の実践についてです。SDGsは、運送業界ではCO2への対策が注目されますが、今後は車両も低公害のものになってきています。
また、現在力を入れているクールコンテナや鉄道輸送でもSDGsに貢献していきます。鉄道輸送でクールコンテナを持っているのは当社だけです。温度管理は遠隔操作で可能です。
BCP物流①
BCP物流についてです。今、地球の温暖化、異常気象によって大変な被害が出ています。地震、台風、豪雨、豪雪などいろいろありますが、BCPへの対策について都道府県や市町村と協定を締結します。将来的には全自治体と締結することが目標です。
BCP物流②
BCP物流の事業拠点として、AZ-COM東北支部の「仙台長町共創センター」を4月6日にオープンしました。センター内には「AZ-COM BCPギャラリー」を設置しています。これをもって全国的にBCPの事業を拡大していくビジネスモデルを考えています。
備蓄関係も整備し、万が一災害が起きた時に避難所となるスペースも設けています。仙台市、東北大学、フクダ・アンド・パートナーズ、丸和運輸機関の4者間で「仙台長町未来共創センター」を活用する防災協定を結びました。
今後は各地域にセンターを作って、BCP対策に取り組んでいく考えです。特に力を入れたいのは備蓄の問題です。我々が管理すると5年から6年保管できますが、自治体が管理するとだいたい3年に1回処分します。
自治体では温度管理できていませんが、我々は温度管理をします。そのようなBCP対策をもって管理し、ローコストの仕組みを作っていきたいと思っています。
AZ-COM丸和・支援ネットワーク
AZ-COMネットの現在の会員企業数は1,730社です。2025年には3,500社の会員獲得が目標です。その後は5,000社、2040年には10,000社を目指します。当組織があればこそBCP、または事業の拡大が図れるわけです。
100台の車を自社で集められる会社は今の日本にはありません。当社も、AZ-COMネットがあればこそ、20パーセントや30パーセントの成長率が実現するわけです。AZ-COMネットは、我が社にとって大きな武器であると理解いただければと思います。