2021年3⽉期2Q累計 連結業績

岸村治良氏:岸村でございます。それでは資料に沿ってご説明申し上げます。今年度上期の実績につきまして、連結業績全体、営業利益の業務別内訳、海外営業利益の地域別内訳、次に下期の連結損益計画、最後に株主還元の順にご説明いたします。ご説明の中での増減は、前年同期比の増減とご理解いただければと存じます。

3ページの連結業績からご説明いたします。売上は国内の落ち込みが海外を上回り、減収となりました。販管費は販売費・宣伝費・諸経費等が減少しましたが、結果的にはA列4行目のとおり26億円の営業赤字を余儀なくされました。

特別損益につきまして、利益として雇用調整助成金、損失として店舗の臨時休業やテーマパークの臨時休園関連損失が含まれております。

2021年3⽉期2Q累計 事業別業績

業務別営業利益でございます。国内・海外ともに苦戦を強いられました。国内ライセンスはコロナ禍対応商品は伸長しましたが、アパレルや食品が減益となりました。国内物販は観光立地の店舗が苦戦する中、eコマースやライブ関連商品が好調に推移いたしました。

2021年3⽉期2Q累計 テーマパーク業績

テーマパークの業績についてご説明申し上げます。臨時休園等の影響が大きく、入場者は大幅に減少しました。一方、物販や飲食の単価はピューロランド、ハーモニーランドともに伸長いたしました。

2021年3⽉期2Q累計 海外地域別業績

次に9ページの海外地域別業績でございます。引き続き苦戦中の欧州・北米に加え、アジアも景気減速を受けて減益のため、海外合計でF列11行目のとおり、49パーセントの減益という結果になりました。

2021年3⽉期通期 連結損益計画

続いて11ページの連結損益計画でございます。国内外ともに減収の計画となっており、結果は46億円の営業赤字を見込んでおります。純利益も同額の赤字予想となっております。ただし、10月単月は単月ベースで黒字化が出るなど、少しずつ明るい材料が出ているのも事実です。

下期に入り、中期経営計画の策定に取り掛かっており、期末決算発表時に公表する予定です。

2021年3⽉期通期 事業別損益計画

事業別損益計画につきまして、ご説明申し上げます。国内ライセンスはマスク等のコロナ禍対応商品、及びデジタルコンテンツ事業に加え、「Beatcats(ビートキャッツ)」等の新キャラクターの開発と育成に注力してまいります。

国内物販は新商品の開発に力を入れるとともに、引き続き好調なeコマースや郊外の販路を伸ばす計画でございます。

2021年3⽉期通期 海外地域別損益計画

続いて海外地域別損益計画でございます。15ページにお進みください。キーワードは「デジタル」でございます。欧州はゲーム、北米はeコマースのさらなる伸長に努めてまいります。欧州は経費削減策にも着手いたします。

東南アジアは、新会社のスムーズな立ち上げが最大の使命となります。中国は中期経営計画の大きな柱になるため、デジタル分野を中心に短期的な収益機会を捉えつつ、中長期的な施策を講じてまいります。

2021年3⽉期⽬標とする経営指標と株主還元

次に、株主還元についてご説明申し上げます。現時点では無配予想でございますが、期末配当を目標に今後とも収支改善に努めてまいります。

最後に、資料に記載はございませんが、事前にご質問があった最近の主要株主の移動についてご説明します。主要株主のセガサミーホールディングス株式会社が保有する弊社株式の売却を表明されたことを受け、弊社では11月初旬に、自己資金にて60億円相当の自社株式取得を行いました。

取得した株式の今後の使途等につきましては、基本的に資本効率向上の中で方針を決める予定ですが、中期経営計画策定の中でも議論を重ねてまいります。セガサミーホールディングス株式会社とは今後とも資本関係に捉われず、友好な関係を維持・継続してまいります。ご説明は以上でございます。

今後のビジネス

辻朋邦氏:私から今期・来期の展望について、ご説明させていただきます。上期につきましては新型コロナウイルスの影響もあり、物販事業のショップが閉まっていたり、テーマパークが休園しているなど、さまざまな影響があったとともに、コロナ禍での我々の戦略不足も影響して営業赤字が出てしまい、みなさまにはご心配をおかけしております。

しかし、下期には国内の物販事業、さらにライセンス事業も徐々に売上が回復しており、中国のビジネスについても、売上が少しずつ戻ってきている状況でございます。そのようなかたちで、下期には目の前の課題をしっかり解決し、来期・再来期に向かった新中期経営計画を策定していきたいと思っております。

新中期経営計画について、前回の中期経営計画はマーケティングを軸にした意識改革を主軸としており、多少の遅れはあるものの、社内ではマーケティングの意識がかなり強く、コロナになる前までは物販事業も好調でありました。ライセンスもマーケティングを主軸とした契約が取れたり、非常にうまく動いていたと思っております。

ただ、前回の中計にある海外事業に関しては、我々自身、市場の伸びを多少甘く読んだところもあり、戦略不足の部分があると感じております。それをふまえ、来年2021年5月に新中期経営計画を発表させていただきたいと思います。

そこには4つのフォーカスポイント「中国・アジアビジネス」「組織風土改革」「欧米でのビジネス基盤の再構築」「行動改革」があり、これらをポイントに中計を始めさせていただきたいと思います。

最初に挙げた「中国・アジアでのビジネス」について、我々はライセンスビジネスで利益の大半を獲得していますので、この伸びが今後のビジネスにおいて利益の軸になってくることは間違いありません。

しかし、最近はこのデジタル化の流れが速く、ライセンスの中でも広告化権、商品化権といったライセンスビジネスがありますが、今後はデジタル商品化権やデジタル広告化権など、かなりデジタルに寄ったビジネスモデルが構築されてくると思っております。

eコマースも含めて、ここ5年ぐらいの間にデジタルとリアルのバランス感覚がフィフティーフィフティー、もしくは60パーセント・40パーセントくらいの割合で、デジタルに傾いてくると読んでおります。

その中でもデジタル先進国である中国をはじめとしたデジタルビジネスを、日本や欧米に広げていきたいと思っております。

現在、国内においてもeコマース事業が好調でございまして、当然コロナの影響で増えた部分もありますが、それ以外にも、7月にローンチさせていただいた「Sanrio+(サンリオプラス)」が好調に動いております。

「Sanrio+」は顧客データを一元化するとともに、テーマパーク・物販、そしてeコマースを連携させたポイント制度になっております。ローンチはサービス開始が3ヶ月遅れましたが、7月10日にサービスを開始させていただきました。当初は2020年度3月末で50万人を目標にしていたところ、わずか4ヶ月で登録者、ユーザーが57万人を突破しています。eコマースでの最初のクーポンがかなり影響しているとともに、新規での会員の獲得にもかなり力を入れております。

目標も修正し、2020年度3月末には65万人、その先は100万人を目指して少しずつサービスの内容も充実させていきたいと思っております。

その他、デジタルビジネスに関しては、サンリオのIPをデジタル化させていくとともに、新規IPも開発していきたいと思っております。

現状の既存キャラクター「ハローキティ」「マイメロディ」などをはじめとしたキャラクターと、新規IPのブランディングの方法とはまったく異なるものと認識しており、例えば、アニメを通じて各配信会社とのコラボレーションし、キャラクターをブランディングするようなものは「ハローキティ」や「キキララ」には合わなかったりしますが、新たに開発するIPは、そういうものが適していると思っております。

「マイメロディ」は、例えばプラットフォームである「Tik Tok」との相互関係性がよいので、今後のデジタルビジネスは国内・海外を含め、大手プラットフォーマーと組むことが重要だと認識しており、そのようなビジネスを構築させていきたいと思っております。

またアジア圏でのビジネスとして、先日発表させていただいたエイベックス・アジアとのジョイントベンチャーについてです。現状、今までは香港から東南アジアを見ていたのですが、拠点をシンガポールに移し、東南アジアで経験のあるエイベックス・アジアの知識と人材をうまく活用し、今まで東南アジアで取れていなかった利益を、確実に取っていきたいと思います。

東南アジアの市場規模は、この先もかなり伸びていくと読んでおりますので、利益がこぼれないように、しっかり取っていきたいと思っております。

続きまして、組織風土改革についてです。7月の社長交代から4ヶ月経ったところですが、社員との対話であったり、会社の状況を把握し、これまでの「スモールギフト、ビッグスマイル」「みんな仲良く」といった企業理念など、すばらしいものは継続させていきたいと思っています。

当然、さまざまな面で長短があり、さまざまな問題点があることも事実だと認識しております。例えば、今後デジタル化させていく上での新規ビジネスへの投資や新しいチャレンジ、また、部分最適感の意識が強く全社最適ができていない、そういった風土を改革していきたいです。

こちらに関して、本来中期経営計画の中に入れるか悩みましたが、会社を進化させていく上では全社で目標値を持ち、改革していくことが重要ですので、人事制度を含め、しっかり変革させていきたいと思っております。

続きまして、欧米の再構築です。2014年から少しずつ欧米での利益が減少しており、その原因は当時「ハローキティ」の一本足に頼っていた部分と、それが落ちてきた時のブランディング不足がかなり響いてきているかと思っております。

そこに気づいてはいたものの、この7年間、ブランディングとしてあまりよいものができていなかったのが1つの問題点だと認識しており、この4月にグローバルマーケティングチームを作成し、一丸となって新たな「ハローキティ」をはじめとしたキャラクターや、「ハローキティ」以外のキャラクターも、しっかりとブランディングさせながら欧米の種まきをしていきたいです。

その準備をしながら、現在進んでいる映画も順調に進んでおりますので、そこがフックになることで、欧米での利益改善に尽くしていきたいです。

中計の最後は、構造改革の部分です。現在、ライセンスビジネスの伸長により利益を取っていくのが1つ、また、利益の出ない体質や新しいキャラクターIPの開発部分について、非常にネックになっている部分の構造はしっかり変えていきたいと思っております。

例として、物販事業もしっかりと改革していきたいと思っております。大きく分けて、経費と売上の伸長を重要視し、経費については既存店で黒字店舗・赤字店舗がある中の出退店の計画や、ビジネスプロセスの再構築、組織の適正化、商品部分のマーチャンダイジングの適正化をコストの部分として、しっかりと取り組んでいきます。

続きまして、売上伸長について、現在のリテールショップではなく、新しいかたちのデジタル送客を中心としたNewリテールショップの開発、それをふまえたEC事業、ここは物流の問題点もかなりあると思いますが、そこを改善していきます。さらにホールセール事業の拡大を求め、現在の物販事業の利益改善に努めていきます。

これらをふまえ、来年5月に新中期経営計画発表させていただき、今回ご説明したことよりも、さらに詳しいかたちで発表できるかと思っております。

このように今後のサンリオビジネスを展開させていきたいと思いますが、現状のビジネスのモデルはかなり難しい状況であることは間違いないです。

そんな中、コロナ禍でサンリオのビジネスをどう生かすのかについては、間違いなくデジタル化が中心となります。また、サンリオのキャラクターIPはすばらしいものですので、人々に与える影響もかなり大きいと思います。

ですので、デジタルを通して幅広いお客さま、現在サンリオのファンと言われている顧客よりもさらに大きなお客さまを獲得し、会社の価値を広げていきたいと思っております。このような状況下ですけれども、社員一丸となってがんばっていきますので、ぜひご支援のほうよろしくお願いします。ありがとうございました。