目指すべき姿

太田栄二郎氏:みなさん、こんにちは。2019年6月末に、正式に社長に就任いたしました、太田でございます。

2019年3月に就任を発表して、2019年5月の前回の会ではご挨拶だけいたしました。そういう意味では今日、ここに立つのは初めてです。これからよろしくお願いいたします。

今日は初めてですので、業績説明の前にスライドを1枚入れました。「目指すべき姿」とありますが、「ありたい姿」と言ってもいいかもしれません。

これは2019年7月頭の就任最初に、従業員全員に私が話したファーストメッセージのなかの一部でございます。

弊社は今年、創業120周年という節目の年を迎えます。ちなみに私は、9代目の社長でございます。

私がまず考える、企業にとって大事なことは何か。たくさんあるかと思います。「利益を出し続けなきゃいけない」とか「社会貢献しなきゃいけない」とか「お客さまに喜んでもらう」とか。

いろいろあるかと思いますが、私ども(の場合)、この120年続いてきた継続性・永続性じゃないか。一つひとつ積み重ねていくことが大切ではないかなと、思っています。

もちろん、成長をし続けないと永続はできません。120年続いてきても、今後の保証はないわけです。多少の浮き沈みあっても、安定的に、継続的に発展ができる。そういう会社を目指したい。そのなかで3つ、「そのためには」という話をいたしました。

まず、創業の精神(理念)です。1800年代、今から120年以上前に、創業者が延べ11年アメリカに渡りました。陶器を売りに行ったのですが売れずに、まともな職に就けないなかで、西洋菓子の製法を学んで、日本に戻ってきた。

「日本の人々に栄養価の高いおいしいお菓子を届けたい」という夢を抱いて創業したのが1899年、今から120年前でございます。日本になかった西洋菓子を広げるという、大変大きなチャレンジをしたわけです。

私は以前、会社がおかしくなるときの理由の1つに、「創業の精神(理念)を忘れたとき」という話を聞きました。創業の精神(理念)を継承し続けるのは大変重要だと思いますが、やはり時代がどんどん変わっていきます。

それをどうかたちにするかは、その時代、時代によって変わっていくと思います。だからこそ顧客視点、お客さま視点。その時代、時代のお客さまに選ばれ続ける、期待に応え続けなければならないと思います。

その期待に応え続けていくためには、ダイバーシティが必須。これは後でご説明します。この3つの根底が全員経営ということで、永続企業、成長し続ける企業を目指して、全社全員でやっていきたいと思っています。

【連結】業績 2020年3月期第2四半期

ここからは数値の話、第2四半期累計です。

おかげさまで増収増益で、売上高が(前期比)22億6,500万円、2.2パーセントの増収。営業利益が129億7,500万円となり、15億3,500万円の増益です。営業利益・経常利益・四半期純利益、各利益とも第2四半期累計では最高益となりました。

右側にグラフがありますが、営業利益で12.1パーセントと、前年同期から1.2ポイントアップをしています。率・額ともに最高益という結果になりました。

【連結】セグメント情報

セグメントですが、当社の場合、食料品製造がほとんどです。

後で詳しく説明しますが、海外で「インドネシアの合弁解消」とあります。これが売上面で、第2四半期累計で約14億円強のインパクトがありました。これをアメリカ・国内主力ブランドでカバーし、菓子食品で増収となっています。

それから、冷菓は価格改定をいたしました。懸念材料も大変にありましたが、堅調に推移しています。

【連結】食料品製造事業 売上高・営業利益の状況

食料品製造は、菓子食品・冷菓・健康と3部門に分けて開示をしていますが、それぞれ増収。利益につきましては、菓子食品と冷菓が大幅な増益になりましたが、健康部門が減益でございます。

国内・海外の売上高では、先ほどインドネシアの14億円強(のインパクト)というお話をしましたが、海外が前年の81.8パーセント。インドネシアを除きますと106.9パーセントという数字ですが、残念ながら構成比を下げました。

【連結】営業利益増減要因

利益の増減要因ですが、原材料の影響1億4,000万円とあります。第2四半期累計では相場と為替で約6億円強のアップ。これをコストダウンで打ち返しています。それから、物流費のアップ。

商品規格の見直し等とありますが、ここに冷菓の価格改定の要素。それから、菓子食品ではプロダクトミックス。ラムネとか「ハイチュウ」が好調に推移いたしました。インドネシアは、売上面ではマイナスですが、利益面ではプラスに貢献しています。

原材料アップ・物流費のアップを、コストダウン、規格の見直し、プロダクトミックス、売上増でカバーして、増益となりました。

菓子食品部門 実績

ここからは個別の中身でございます。菓子食品部門につきまして、売上高変動要因を見ていただきます。

先ほど来お話ししていますインドネシアのマイナスを、アメリカと国内の主力ブランドでカバーして、100.6パーセントという増収になりました。利益面では、昨年より2ポイント利益率がアップして、大幅な増益。

この要因はプロダクトミックスです。これは先ほどお話ししました、ラムネ・「ハイチュウ」の売上増。

それから海外事業の収益とあります。これはインドネシアがなくなることによる利益改善も大きいのですが、後で出てまいりますアメリカの収益改善も大変大きく寄与しています。

冷菓部門 実績

冷菓部門でございます。「最盛期の天候不順」とありますが、2019年7月はご存知のように大変苦戦いたしまして、売上が8掛けの推移でした。

ところが8月が2割増、9月が3割以上の増で、「7-9月」で見ましても、冷菓は107パーセントで売上を伸ばしています。累計でも107パーセントで。

スライドの下を見ていただきまして、ジャンボグループで分母の大きい「ジャンボ」が堅調だったことと、「ビスケットサンド」「アイスボックス」が上乗せ貢献をしています。

利益面では、価格改定をしたにも関わらず、数量で上乗せができていること。広告は、全体では実は広告効率化で下がっていますが、冷菓部門は広告費を増やしています。物流費も7月の在庫増でアップをしています。

利益率が17.9パーセントで、昨年から2ポイント弱アップしている。価格改定・天候要因を跳ね返して、大幅な増収増益になっています。

健康部門 実績

健康部門も、最盛期の天候不順は冷菓同様で、2019年7月は大幅に前年を割りました。8月は2桁増、9月も2桁近い伸びをしましたが、「7-9月」では冷菓までいかず、前年を割ることになりました。

ただ、第1四半期の貯金もあって、102.2パーセントという増収になっています。これは全体の98パーセントが「inゼリー」でございますが、「inバー」、通販の「おいしいコラーゲンドリンク」が堅調に推移して、これをカバーして増収になりました。

利益面では、21.9パーセントと利益率は高いのですが、昨年に比べますと1.7ポイント下がっています。これは「inゼリー」の減収の影響。プロダクトミックス面でも悪く出ています。そして、物流費のアップも効いています。

【連結】2020年3月期 業績予想

2019年5月に発表した業績予想ですが、年間の業績予想の修正はしていません。売上高で2,070億円、営業利益210億円です。

これが達成されますと、営業利益率10パーセントが初めて年間で達成できます。この数字を達成すると、5期連続の最高益、7期連続の増益となります。

年間予想を据え置いたということは、営業利益の進捗がもう60パーセントを超えていることです。下期だけを見ますと、減収減益の見込みをしています。「保守的」というご指摘があるかもしれませんが、1つには原材料の見方があるかと思います。

もう1つは、増税後の不透明さ。菓子につきましては、2019年9月に、業界全体が前年の96パーセントでした。これは、2019年9月は軽減税率の対象品で、日用品・お酒の売場が増えることで、菓子はもともと厳しい見込みをしていました。

私どもは前年を割りましたが、見込みに近い数字でした。しかしながら2019年10月も、市場は菓子全体で前年を割り込んでいます。大変厳しい推移をしていると見ています。

また昨日新聞に、「消費者心理の落ち込みで、街角の景況感が東日本(大震災)直後の水準まで下がっている」とありました。度重なる台風もありましたし、米中の摩擦、あるいは増税ということがあるかと思います。

それから3つ目が、自社ではラムネ・「ハイチュウ」が大変好調に推移をしていますが、ここが一巡してくる。それらを加味しながら、全体の予想を据え置きました。

【連結】2020年3月期 通期 営業利益増減要因

年間の増減要因は上期と同じです。原材料・物流費のアップを、コストダウン、規格の見直し、プロダクトミックス、売上増でカバーをして、約8億円の増益という見込みでございます。

中長期目標実現に向けた経営方針

今後の方向性・成長戦略ですが、冒頭お話ししました「永続企業に向けて」ということと絡む内容でございます。

弊社の今までの中計は3年計画。その先のことは、ほとんど語ってまいりませんでした。これは社内外ともにです。私は取締役になって、2012年の中計から関わっていますが、当初は利益が50億円になりませんでした。

2011年・2012年は、20億円台の利益が2年続いた時だったかと思います。いかに効率化を図りながら構造を変えていくか、という時期でした。

「まずは営業利益100億円を目指そう」ということで、目先3年のみ。余裕がなかったということもあるかもしれません。

ただ、今100億円を超えて、200億円レベルの利益になってまいりました。目先3年だけではなくて、ある程度、中長期の目標を設定すべきと考えています。

スライドに「バックキャスト」とありますが、将来・未来像をイメージしながら、そこから逆算して現在を考える。現在に立ち戻る。

もっと言うと、中長期の目標を設定して、「そこにいくために今、何をやらなければいけないのか」、あるいは「2年後、3年後、あるいは5年後、何をやらなければいけないか」を具体的に考えていきたいと思っています。

「7~10年」という表現をしていますが、これはテーマによって変わってくると思っています。成長戦略であるグローバル、ウェルネス、国内の既存事業、そして非財務の部分もございます。

それぞれある程度、具体的な中期目標を設定していきたいと思っています。体制も変わって、中計自体は来年、再来年度からまたスタートします。現時点では中計3年計画のつもりですが、次の中計に向けて今、さまざまな議論をしています。

既存領域:想定されるコスト上昇への対応

既存のところでは今、国内事業が会社全体を大きく支えています。逆風はうちだけではなく、日本全体が大きな逆風を迎えるわけですが。「構造改革を実施」と書いてありますが、さらに進めていくということだと思っています。

既存領域:主力8ブランドへの注力

国内の既存という意味では、スライドの8ブランドを今年度から選定しています。

右側のジャンボグループ、それから「ハイチュウ」「inゼリー」の上位3つは、売上・利益とも規模の大きな稼ぎ頭、稼ぎの中心になっています。ここをさらに強くする、さらに差別化をしていくことが、第一です。

この3つに続くものが、「森永ビスケット」「チョコボール」「甘酒」。3つを追いかけるイメージで拡大していきたいと思います。

それから、「ダース」「カレ・ド・ショコラ」のチョコレートでございます。ここは生産投資とも絡む話で、基盤強化と位置付けています。売上はもちろんですが、利益改善・利益貢献ができる取り組みをしっかりやっていきたいと思っています。

いずれにしても8ブランドに集中していく。それぞれのブランドを、さらに磨きをかけていくことになります。

既存領域:主力ブランドをより強く①

半年前、「『ハイチュウ』のブランド強化のやり方」のようなかたちで、ご説明をしたかと思います。包装形態やブランドエクステンションです。

「ハイチュウプレミアム」がスライドの上にあります。その横に「ハイチュウミニ」。糖衣がけの商品、そして包装形態。切り口を変えることで、新たな需要を取っていくということです。

上期、「ハイチュウ」については111パーセントと、大きく伸長させることができました。昨年の下期も「ハイチュウ」は108パーセントと、好調を継続しています。

既存領域:主力ブランドをより強く②

今回、「ダース」と「森永ビスケット」だけを(スライドに)出していますが。「ダース」につきましても、ケーキ、クッキー、アイスクリーム、具入りの「ダース」。

「森永ビスケット」も、11月26日新発売というのは、ミニのチョコがけの商品です。「ムーンライト」の半生ケーキ、アイス等、ブランドエクステンションあるいは包装形態を変えて、ブランドあたりの売上拡大につなげていきたい。

まだここには出せませんが、これ以外にも計画しています。菓子についてはこういうやり方で、ブランド全体を膨らませていきたいと思っています。

既存領域:営業戦略

営業戦略をあえてスライドを1枚はさみました。5年前に菓子食品・冷菓・健康と部門を統合して、営業本部が発足し、私が5年間、営業本部長をやらせていただきました。

この5年間で国内の3部門が、売上を300億円強伸ばしています。率で120パーセント以上。ただ、まだやるべきことがあるなというのが、スライドでございます。

とくにドラッグストア。とくに菓子ですが、スーパー・コンビニエンスストアさんのシェアと、ドラッグストアのシェアが大きく離れています。競合の順位で見ても、ドラッグストアにいきますと、2ランクくらい下の位置付けです。

これは今までの歴史もあるのですが、営業政策と商品政策を絡めて、ドラッグストアの攻略をやっていきたい。ディスカウントとありますが、しっかりと取り組むところを、オリジナルの商品も含めてやってまいります。

そして、インバウンドも「塩キャラメル」が、この1年間で1.5倍くらいの規模になってまいりました。スピードを持ってやっていきたいと思っています。

国内は、既存は間違いなく厳しく見ていますが、営業戦略でまだまだ拡大の余地はあると思っていますし、チャネル戦略を強化していきたいと思っています。

既存領域:冷菓部門①

ここからは、冷菓のことを少しお話します。冷菓も、ちょうど10年前、私が冷菓事業本部長をやりまして、5年ほど冷菓の担当をしました。

5年前に全部一緒にして、営業本部はマーケティング本部になったわけでございますが、ご存知のように、冷菓市場は大変伸びていました。

この10年間で、市場が3割増と大きく伸びています。当社が6割ぐらい伸びて、シェアが大変上がってきています。

このシェアの上げる中身も、右のSKUあたりの売上高。他メーカー6社とありますが、だいたい冷菓業界7社でほぼ主要な部分を占めます。この1SKUあたりの売上高が、10年前に4億円ちょっとが、今は6億円を超えています。赤が当社でございます。

SRI上、売上が発生するSKUが、2009年が50品で、今が51品です。この競合6社の平均は100品を超えています。そういう意味では、半分のアイテムで回っている。

SRI上は50品ですが、当社の春夏のパンフレットには14品しか出ていません。この14品で、売上8割を占めているということです。

10年前に、とにかく強みに集中をしようということで、モナカとチョコレート・ビスケットという菓子素材、サブフレーバーは極力出さない。それから、氷も「ICE BOX」に集中して、他の氷はやめる。

そうしてSKUを増やさないということでやってまいりましたが、結果、効率よく売上を大きく上げて、1SKUあたりの力も付いてきたのが冷菓部門です。

既存領域:冷菓部門②

今年の「4-9月」では、7月が大変なマイナス。去年が異常値でよかったこともございますが、この8掛けはこの10年間で過去最悪の前同比でした。

2011年の東日本(大震災)のとき、計画停電もありましたが、2011年3月が前年の89パーセントでした。いかに去年が高かったかということもあるかと思いますが、それを先ほどお話ししました8月・9月でカバーをしたのが、冷菓でございます。

そのカバーの要因は、ビスケット・板チョコ・クレープ。これは、秋冬のものを前倒しました。2019年9月の、130パーセント超えに大変大きく貢献しました。

板チョコについては、次の生産投資の商品でもございます。次世代ブランドの育成でも、順調にいっているところです。

既存領域:ジャンボグループ戦略

冷菓は何よりも「ジャンボ」です。鮮度マーケティングということで、上期の在庫回転日数も、平均で6日台という報告を受けています。この3月期で18年連続、1品で伸び続けて、今期19年目に入りました。上期、前年はクリアしています。

そして、「バニラモナカ」。これは、2011年に地区からスタートして、順次拡大をして、2013年に全国に広げています。

これは発売当初から「カニバリゼーションをするのではないか」、あるいは「チョコに悪影響を及ぼすのではないか」という懸念が大きかったわけですが、「これはサブフレーバーではない」と当時宣言をして、スタートいたしました。

結果、グラフのとおり、チョコがまったく落ちることなく、バニラが乗っかっていっている実績でございます。

とくに今年は、バニラ単体のCMを入れました。去年対比で取扱が10パーセント上がりました。

これは過去最高の取扱で、まだ70パーセント台でございます。「チョコモナカ」はほぼ99パーセントですので、まだまだ拡大の余地はありますが、バニラの貢献も大変大きいということです。

ウェルネス領域:inゼリー戦略①

「inゼリー」でございます。今、シェアという意味では4割弱、37、8パーセントでトップのシェアを誇っていますが、店頭を見ていただいても、競合の参入、他社の参入が大変多くなってきています。

当社としては、この機能別のラインアップと摂食シーンのプロモーションを、広告・販促強化できめ細かく取り組んでいます。

大坂なおみさんと契約をいたしました。オリンピックも来年ありますが、スポーツシーンでの訴求も強化していきたいと思っています。

ウェルネス領域:inゼリー戦略②

みなさんもご存知だと思いますが、例えばコンビニエンスストアさんの棚が2段から2段半・3段と、チアパックゼリーの売場が広がっています。

これは栄養ドリンクが苦戦していることもございますが、やはり競合、商品の数もどんどん増えてきています。

当社もラインアップ強化ということで、さまざまなチャネルも意識しながら、商品ラインアップを強化しています。スライドの下にNEWとありますが、来春に向けても準備しています。

それから片方では、間口を広げたい。右のグラフは、2015年を100としたときの4年後の間口で、全体が上がっていますが、とくに10代、若年層が大きく広がっています。さまざまな取り組みが功を奏していると思っています。

ウェルネス領域:独自技術により新たなニーズを開拓

ウェルネスの商品構成を50パーセントと出していましたが、ラムネ・ブドウ糖はこの3、4年で売上が3倍ぐらいになりました。もう分母も、大変大きな分母になってまいりましたし、利益貢献も大変大きくなっています。

それから「小麦胚芽」、「inバー プロテイン」効果。そしてスライド右側の、独自素材の「パセノール」等の基礎研究等も、継続してまいります。シニア・健康ニーズの高まりに、しっかりと対応していきたいと思っています。

設備投資・工場再編①

設備投資につきましては、半年前に、この3年間の400億円の中身をご説明したかと思います。今回は歴史を少しさかのぼって、2010年まで戻って、設備投資の額と営業利益率の推移をグラフにしています。

いずれにしても、この3年間、400億円という大変大きな生産投資を予定しています。当然、これだけやりますと、償却費も増えてまいります。

先に向けて利益面で厳しくなることもありますが、将来に向けての投資ということで、しっかりやっていきたいと思っています。

設備投資・工場再編②

投資をするものです。すべて市場は伸びていますが、やはり根本は、スライド下にある当社のブランドを、いかに磨いていけるかということかと思っています。ここをしっかりやっていきたいと思います。

グローバル領域:第2四半期実績累計、通期予想

成長戦略のグローバルでございます。先ほどお話ししましたように、今期、アメリカは順調に推移しています。

第2四半期累計で14億円、年間で20億円ちょっとでございますが、インドネシアがなくなります。ここを後半巻き返しますが、年間では構成比が下がることになります。

しかしながら利益につきましては、もともと中計で来期、3年目に黒字化という説明をしていましたが、1年前倒しで今期、アメリカも海外全体も、黒字化が見えてまいりました。

これは、1つにはインドネシアがなくなった利益貢献もありますが、やはりアメリカの収益改善も大きいということになります。

グローバル領域:米国ハイチュウ戦略①

アメリカの市場は大きく、キャンディの市場、コンフェクショナリーの大きい市場のなかで、「ハイチュウ」のシェアは現在まだ0.7パーセントです。

まだまだですが、この大きな市場で「ハイチュウ」の独自価値を出して、アメリカで成功していきたいと思っています。

グローバル領域:米国ハイチュウ戦略②

着実に伸ばしてまいりまして、今期予想62億円。今、これを上回る推移で動いています。着実に全米のチェーンに入ってきて、広告もかけて認知も上がって、現地の消費者調査のなかでもお客さんの支持は、現場もひしひしと感じていると聞いています。

来期については、80億円規模が見えてきたということです。私は来週、アメリカに行ってまいりますので、肌でこのことを感じてきたいと思っています。

グローバル領域:米国ハイチュウ戦略③

これを出すと「すごいな」と思われるかもしれませんが、DIYを除いてすべての全米のチェーンに並んでいるということです。

しかし、まだまだ全体の取扱率では半分以下、認知率も半分以下。それから、1店舗あたりの取扱のSKUも、まだ2品いかないということです。

まだまだ拡大をしなければいけません。全米のテレビCM等をしっかりやっていきますし、ラインアップの拡充とありますが、今は20SKUぐらいです。競合は、この3倍・4倍のSKUを持っています。

そういう意味では、ラインアップの拡充をしながら広げていくわけですが、逆に言いますと、消費者の支持が大変あって、まだこの取扱率・認知率の状態で80億円が見えつつあるということですから、100億円に向けて手応えを感じているというのが、アメリカでございます。

グローバル領域:米国ハイチュウ戦略④

アメリカの利益貢献では、これは毎年、苦労していますという生産の話をしていたかと思いますが、今回は大変黒字化に大きく貢献をしています。

良品稼働率が大幅に上がって、管理体制もしっかりできるようになってまいりました。このことを受けて、来年1月稼働で製造ラインを入れて、3割増産の製造能力の増強をしっかりやっていきたいと思っています。

グローバル領域:新たな事業戦略

グローバル全体ですが、アメリカでは「ハイチュウ」の手応えもありますし、1つの会社として商流ができつつあります。

アメリカでの森永製菓では、次のブランドをしっかり検討していこうということで、今テストもスタートしています。まだ発表する段階にはございませんが、2つ目・3つ目と、アメリカでのプレゼンスをもっと上げていきたい。

それから、スライドの上がグローバルの「ハイチュウ」ですが、2019年5月、タイに現地法人を設立しました。ここから東南アジア・オセアニアということで、現地からオセアニアの可能性の高さの報告を受けています。

また、イギリスの「ハイチュウ」は、これもすでにご報告していますが、テスト販売は大変好調で、MTにも今回入っていくということです。

いずれにしてもグローバルは、行けそうなときに思い切って大きな投資をするという判断が来るかと思います。成長戦略ということで、このグローバル戦略もしっかりやっていきたいと思っています。

資本配分

資本配分は、中間期なので1枚だけスライドを入れました。変わっていませんが、この3年間で、生産体制の再構築で400億円の投資があること。

それからグローバルへの投資では、行けそうなときに大きく踏み込む。ぜひ踏み込む可能性を見出したいと思いますし、そういう時期がぜひ来てほしいと思っています。

そのこともやったうえで、配当性向30パーセントを目標に掲げていますので、ここに向かっていきたいと思っています。

長期的企業価値向上へ:森永製菓のダイバーシティ

先ほど、顧客の期待に応え続けていくためには、ダイバーシティが必須という話をいたしました。

私はこの直近2年間、営業本部長だったのですが、人事総務の担当役員をしていました。そのなかで、今年の初め、まだ社長に就任する前ですが、森永製菓のダイバーシティとは、「一人ひとりの個を活かす」ということにしました。

そもそも、何のためのダイバーシティなのか。どうしても単なる女性活躍とか、女性の管理職比率とか、ハンデキャップで差別をしないとかになりがちです。

もちろんそれもありますが、ダイバーシティはイノベーションを起こすための手段の1つとして、また、組織を時代に合わせて成長させていくために、ということを徹底したいと思っています。

さまざまな人が活躍しやすい職場環境・仕組みを整えること。また、外部の知見を入れて、さらなる知の探索をすることで、人材の多様化はもちろん、それが知の多様化につながり、そこからイノベーションを起こして、新しい価値を生み出していく。

そのことが結果、顧客の期待に応え続けていることになりますし、創業の精神・理念を継承し続けていることになると思います。

ある人が論文に書かれていましたが、「見た目の多様性も必要だが、能力・知見・経験など、目に見えない多様性がもっと大事」ということだと思います。

スライドに「様々な施策」とありますが、弊社は働き方改革を含めて、ある程度進んでいると思っています。しかし、まだまだやるべきことはあると思いますし、さらに進化させていきたいと思っています。

森永製菓創業120周年新聞広告

120周年の新聞広告ですが、就任のバタバタで、2019年7月の終わりぐらいに、8月15日に新聞広告を1紙だけ入れると聞いて、「120年なのに1紙なの?」みたいなことで急遽掲載を増やしました。

すごろくというのも、個人的には「すごろくって終わりやろ」、「120年で会社終わるのか」と言ったんです。小さく「未来へ続く」と書いてあるんですが。

それから、「あまりにもごちゃごちゃしている」と勝手な文句を言っていたのですが、もう変えられないので入れました。

ところが、予想以上に反響が大きくて、あるスーパーの社長から、この広告を見て「この120年をネタに、ロングセラーをアピールして売場を作れ」という指示が出ました。

写真も送られてきましたが、「キョロちゃん」のぬいぐるみ等も飾ってあって、非常にいい売場でした。

その後、私は小売のトップにお会いするときに、必ずこの話をします。大変食いつきがいいんです。歴史もあるし、ブランド・商品の発売した年。それから、エンゼルマークが今、7代目。これは社員も知らないと思いますが。そんな話題になるんです。

一番大事なことは、3世代商品です。おじいちゃん・息子・孫がみんな知っている「チョコボール」みたいなことです。孫に買ってあげたいもののアンケートで、1位は本とか絵本で、2位がお菓子。70パーセント。

孫と一緒にやりたいことの1位は、散歩するとか公園で遊ぶ。2位がおやつを一緒に食べる。これが6割以上で、「3世代で楽しむお菓子」のキーワードがロングセラー。それから子ども菓子、分け与えの徳用袋。

今年、ゴールデンウィーク・夏休みに、子ども菓子の消費が大変堅調に推移いたしました。年末に向けて売場作りをしましょうとお話して、小売業はまったく同意されるわけです。

この話をしていて、うちの財産、120年の重みを感じましたし、まさしく永続性必須だと思いました。

それから、もう1個おまけが、日本新聞協会の2019年8月の「印象に残った広告」。これは3つ選ばれていますが、2020年の東京(オリンピック)の組織委員会と、あるメーカーの8月31日の「野菜の日」と、森永製菓の3つが選ばれました。

これは蛇足・おまけでございますが。そういうことで、しっかり継承をしていきたいと思います。

創業120周年記念事業として

最後になりますが、120年の記念事業として、鶴見工場の中に「エンゼルミュージアム」の「MORIUM」を来年の春にオープンいたします。これは、シアターも完備してあります。

120年の歴史のなかでの、古いパッケージとかお宝です。そんなものも消費者の方に展示をして、また、「ハイチュウ」の教室をやろうとか、いろいろ計画しています。ぜひ、みなさまも一度来ていただければと思っています。

以上ですが、今年120周年ということで、ここで最高益を、きっちり実績を達成して、今後もさらに成長・進化すべく、従業員全員でしっかりがんばってやっていきたいと思っています。

引き続き、今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。