エイチ・ツー・オーとの業務提携について
司会者:ありがとうございました。それでは質疑応答に移らせていただきます。ご質問については、決算および中期3ヶ年計画に内容を絞っていただければと思います。
記者1:日経新聞のカワカミです。井阪社長にお尋ねします。エイチ・ツー・オーとの提携について、いつから・どちらから・どのように進められたのかをうかがいたいのと。
今回、「選択と集中」ということで、とくに百貨店で一歩踏み込んだ取組みをされるわけですけれども、これは従来体制ではできなかったのか、もしくは従来体制だからできなかったのか。なにが壁だったのか。それをうかがえますか?
井阪隆一氏(以下、井阪):エイチ・ツー・オー様との業務提携につきましては、7月中旬頃から私どものほうからお願いをいたしました。
エイチ・ツー・オー様につきましては、先ほどご説明したように、私どもとしては非常に、品質であるとか、店舗運営に対する高い能力をお持ちだということを前々から思っておりました。そういう意味を込めてラブコールをさせていただきました。
前の体制でできなかったかどうかについては、私が答える内容ではないと思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。
記者2:朝日新聞です。今の提携に絡んで2点うかがいます。1点目が提携、これは3パーセントの株の持ち合いということですけれども、今、見えているのが百貨店事業における提携ですが、例えば、エイチ・ツー・オーもスーパー事業などを展開しています。こういったところへも提携効果というのは波及するんでしょうか。この3パーセントの意味合いについて教えてください。
2点目が撤退エリアでのパートナーシップという考え方なんですけれども、もう少し補強してもらえないでしょうか?
井阪:今回の業務資本提携でお話し合いをしてる内容につきましては、今の段階では百貨店と、それからコンビニエンス事業における、先ほど申し上げましたような、ポイント連携、そして商品の留め置き等のお話し合いをしております。
3パーセントの意味合いにつきましては、やはりこれから業務を一緒にやっていくにあたってできるだけ円滑に、スムーズに、スピーディに運べるよう、お互いが信頼関係をもっと構築できるよう、3パーセントの持ち合いとしております。
ただしパーセンテージは私どもが先方様の株式は3パーセント程度、だいたい55〜56億円ぐらいになると思いますけれども、先方様はその額で私どもの株式を持っていただくと、そういう意味でございます。
それから……なんでしたっけ? 撤退したエリアで……。
記者2:撤退エリアはもう撤退するわけですから、そこでパートナーシップを結んでなにを得ようかということに関して。
井阪:今、申し上げたように、撤退したエリアでも2府4県で2,500店のセブン−イレブンのお店がございます。このお店も、例えば今、カタログギフトで全国のセブン−イレブンではそごう・西武の商品なんかも多くお取り扱いをさせていただいておりますので、そういったサービスが途切れないように、セブン−イレブンの店舗に対して商品の提供・供給をしていただくということになろうかと思います。
ニッセン完全子会社化による再建計画
記者3:流通ジャーナルのカトウです。2つおうかがいしたいんですが、今、中期計画のなかでお触れにならなかった、例えば通販事業や外食、このへんの取組みについてまずどうされるのか?
それから2点目は、これもお話のなかになかったんですが、アメリカ以外の海外、中国でかなり事業展開されておられますけれども、このへんの方向性はどのようにになっているのか?
井阪:まず通販ですが、ニッセンさんを完全子会社化させていただきました。9月27日の株主総会、ニッセンさんの総会でご承認をいただきました。
今、ターンアラウンド計画を練っている最中でございますが、ニッセンの再建につきましては、カタログをベースにした通販というところを、もう1回ゼロベースで考え直そうということで打ち合わせをしています。
基本的にはニッセンさんの強みとしては、「SMILELAND」というラージサイズのお洋服が強くて、全体のシェアでいうと20パーセント近くを、10何パーセントもっていると承っていますので、そこを伸ばしていきたいと思っております。
またニッセンさんのファンクションとしましては、ささげ機能とか、あるいは物流機能、これをもっておりますので、私どものネット通販のシェアード機能としての有効活用はできないかということも考えてございます。
外食につきましては、デニーズ、今、苦戦はしていますが、食の外部化ニーズというのはこれからもずっと、日本社会は大きな需要として育んでいけるマーケットだと認識しております。
したがいまして、もう1回、どうやったらデニーズのブランドを輝かせることができるのかということで、今1to1ミーティングを毎月、デニーズの大久保恒夫社長をはじめ、経営層とやっております。
すかいらーくさんが営業利益率7パーセントを超える状況でがんばっていらっしゃいますし、サイゼリアさんも非常に高い営業利益率を誇っております。
そういう意味ではデニーズ、これからやることをやればまた復活できると思っていますので、そういう視点でがんばっていきたいと思っております。
中国につきましては、今年に入って日中の関係が少し緩和されたこともあって、今年に入ってから数字は今改善傾向にございますが、苦戦しておりますのはヨーカドーの北京でございます。ここにつきましては、今、撤退も含めて事業の清算を考えてございます。
セブン−イレブン事業につきましては、各地区、ライセンシーとより強固な関係を築きつつ、店舗を今順調に伸ばしている。そういう状況でございます。
そごう3店舗(神戸・西神・西武高槻)の経営譲渡について
記者4:NHKのカトウです。2点ほど質問があります。
今回、そごう・西武のエイチ・ツー・オーさんとの連携だったんですけれども、店舗自体は神戸も入っていて、基幹店も1つ入っています。ほかは業態複合店でやっていたと思うんですが、決して売上的には小さくない3店舗だと思うんです。改めて、それを譲渡するというのはどういうところが必要だったからとお考えなんでしょうか?
井阪:神戸店につきましては確かに売上も非常に大きい、400億円強の売上がございますし、利益も若干ではありますが出ています。ただ、築82歳という非常に店舗年齢を重ねて、最も今老朽化している店舗になります。
これから構造改革をやってもう1回ブランドをしっかり維持していくためには、大規模な改修が必要となると考えています。
そういう意味においては、やはりエイチ・ツー・オー様が考えている関西ドミナントで、やはり神戸のエリアということをお考えでしたので、そこで方向感・価値観がぴったり合って、引き継いでいただくというかたちになりました。
鈴木時代の“負の遺産”をどう処理するか
記者5:日経ビジネスの記者のフジムラといいます。井阪さんにお聞きします。2つあるんですけど。
今回の発表は、鈴木敏文さんの時代にM&Aなどで膨らんだ、いわば負の遺産を処理する意思表示だと受け止められるかと思うんですが、この点について、井阪さんどう思っていらっしゃるのか。これからもこういった負の処理は進めていかれるのかということを教えてください。
もう1つ、あと今日の内容は鈴木敏文さんにはもうすでにご報告されたのか、という点についても教えてください。お願いします。
井阪:あの、決して……今の段階では負の遺産と言われるかもしれませんが、百貨店事業を傘下に入れてお客さまのあらゆるライフシーンに対応しようとお考えになった前執行部の考え方を僕は間違っていたとは絶対に思いません。
ただ、やっぱり買収後にリーマンショックがあったり、いろんな経済環境・外的環境の変化があったりして、非常に苦しい状況で経営されていたんだろうなということを改めて勉強させていただいたと思っています。
また変化によっては、これからいろんな処理をしていかないといけない事業も生まれてくると思いますけれども、やはり将来を考えて、必要な処理は必要な処理としてやっていかなければならないと思っております。それから鈴木前会長へこの件を報告したかどうかについてですが、報告はしておりません。
記者5:ありがとうございます。
首都圏食品戦略の見通し
記者6:日本食糧新聞のカワサキと申します。よろしくお願いします。
井阪:よろしくお願いします。
記者6:中期経営計画のなかで、17年に首都圏食品戦略をスタートされて、18年度には稼動させるというご説明がありましたけれども、どういったイメージをされていらっしゃるのか、もう少し説明していただけますか?
井阪:今、私どもの事業会社のなかに、イトーヨーカ堂の食品を扱っている部門と、それからヨークマートと、それからそごう・西武の傘下にシェルガーデン。この3つの食品を扱うスーパーマーケットがあります。
それぞれがんばってはいるんですけれども、やっぱり「一緒にやったほうがいろんな効果が生まれるんじゃないか」みたいなことも思っておりまして。
例えば福島県で言いますと、ベニマルがスーパーマーケットで食品全体の20パーセントぐらいのシェアをもっていらっしゃいます。それから、セブン−イレブン・ジャパンが12パーセントぐらいの食品のシェアがございます。そして、イトーヨカドーとかデニーズを合わせると、34パーセントぐらいの、福島県のなかで、食品のシェアをいただいているという、そういう状況があります。
そういったことを見ますと、これから人口が増えていく首都圏・関東圏で、食品スーパーに対してもっと俯瞰的な見方をして、いろんな取組みをすれば、事業のチャンスは広がるんではないかと、お客さまにもっと我々の良さを体験していただけるんじゃないかと、そのような考えを今持っております。
セブン&アイのオムニチャネルの強み
記者7:テレビ東京のオオハマです。今後の成長戦略についてもうちょっと具体的なところ2点おうかがいしたと思います。
例えば、GMSでの衣料品事業なんですが、いわゆる商品力ということでいうと、今後どういったかたちで商品力高めていこうと考えていらっしゃるのか。場合によっては今後、衣料品からは撤退・縮小ということも選択肢に入ってくるのかどうか、というのが1点。
もう1つが、コンビニとスーパーそれから百貨店の相乗効果についてなんですが。おそらくこれからの方向性というのは、オムニチャネルがその相乗効果の最大のステージになるかと思います。
今日のご説明だと、ポイント制を導入するとか、いろいろありましたけれども、そもそもの商品の広がりであったりアイテム数であったり、ここのところでやっぱりまだ既存の、例えばAmazonや楽天と比べたときに使い勝手が悪いという見方もあると思います。
例えば、専門店をここに引っ込んでくるとか、ヨーカ堂グループ、セブン&アイ・グループ以外の商品を入れてくるとか、そういったこともこれからありえるんでしょうか?
井阪:ありがとうございます。GMSの衣料品事業についてでございますが、やはり商品力というのは絶対鍵になると思います。商品力をしっかり上げられる、そういう体制をもう1回再構築しようと。
そのためにはやはり死に筋を排除して、しっかり伸ばせる強みのあるブランド、そしてジャンルに1回は縮まないといけないかもしれません。だけど、衣料品から撤退するということは考えておりません。
それから2点目の、CVS、百貨店、スーパーマーケットでカバー仕切れないジャンルの商品についてどう考えるかですが、これにつきましてはやはりオープンプラットフォームという考え方をとって、外部の企業さんとの提携もこれから視野に入れて、可能性を追求していきたいと思っております。
記者7:既存のeコマースと比べたときの、いわゆるオムニチャネルの強みというのはどこになってくると捉えていらっしゃるんですか?
井阪:既存のお客さまに対して焦点を当てるという部分につきましては、私どもとしてはCRMを強化してまいりたいと思っています。
どういうお買い物をされてるお客さまなのか、どういう思考をお持ちなのかということをお客さまと対話をしながらお客さまに提案をしていく、そんな事業に私どものオムニチャネルはしていきたいと、このように考えております。ありがとうございます。
業績不振店の閉鎖計画
記者8:産経新聞のオオヤナギです。店舗の削減について、百貨店については、採算を検討した結果、切り離しを決めたかと思うんですが、GMSに関して、前経営陣が決めた昨年2020年2月期までに40店舗閉鎖するというところから踏み込んでいないんですが、このへんについてはどのように検討されて、店舗閉鎖について深掘りしなかったのか、改めて教えてください。
井阪:私もまだ全店回っているわけじゃないんですが、数10店舗、30〜40店舗、首都圏のヨーカドーを訪問しまして、意外とすばらしい立地にたくさんあるなということを改めて思いました。
店舗年齢は古いです。高砂店とかは築年齢50歳とか、40歳以上の店もあるんですけれども、駅の本当に至近にお店がございます。
これを商業施設としてだけ考えたら閉店という選択肢しかないかもしれないけれども、もしかしたらそこに住居と商業施設と、例えば託児所とか、あるいは高齢者用のマンションとか、いろんなポートフォリオでその不動産価値を押したら、事業としてまだまだ活用できる、すごく優良な資産が多いなということを考えました。
だから、GMSとして再生することが難しくても、やっぱり不動産価値として、もう1回世の中に対してお役に立てるような活用の仕方があるのではないかなと考えております。
その結論として、不動産の活用・活性化の新機能・新会社を設立して、しっかり外部のデベロッパーの方たちの知恵もお借りしながらやっていきたいと思っております。
記者9:共同通信のハマヤと申します。質問2つあります。まず、イトーヨーカ堂は中国から撤退するのでしょうか? それから、そごうの広島店・徳島店、西武の大津・福井・秋田店といった地方店は今後どのようにされるお考えでしょうか?
井阪:ヨーカドーについては、北京は非常に厳しい状態にありますが、成都についてはまだお客さまからお支持をいただいておりますので、そこについてはしっかりまたビジネスを続けていきたいと思っております。
そごう・西武の地方店、今、ご質問のあったお店については、さしあたっては継続をする意向でございます。
記者10:繊研新聞のタムラです。よろしくお願いします。ヨーカ堂の衣料品なんですけれども、いったん縮むという話なんですが、衣料品の規模、2020年の段階でいったら、今のどのぐらいの水準を見込まれていますか?
井阪:イメージとしては、売場面積としては2割から15パーセント減ぐらいのイメージで今考えています。売上がそうなるかどうか別にして、売り場面積としてはそのようなかたちを今考えております。
北米コンビニ事業の成長戦略
記者11:ウォール・ストリート・ジャーナルのフジカワと申します。2点よろしくお願いいたします。まず北米のコンビニ事業について、具体的な戦略を教えていただきたいと思います。
買収などによって単純に店舗数を増やされたいということなのか、それとも日本のコンビニのビジネスモデルのようなものをもっていかれて強化されるということなのか、というところと、店舗数を増やされる場合は具体的にどれぐらいの店舗数まで増やされたいというイメージがあるのかという点と。
もう1点、井阪の社長のことをかねてより支持されている投資ファンドのサード・ポイントさんは、以前からデパートやスーパーなどの事業の再編について、かなり強く呼びかけられていたと思います。
今回の事業戦略を作られるなかで、そういった声というのはどのように反映されているのでしょうか。よろしくお願いします。
井阪:SEIの成長戦略については、M&Aもやりますけれども、先ほど申し上げましたように、フレッシュフードを徹底的に底上げして1店舗あたりの売上も高めながらやっていこうと思っています。
したがいまして、1店舗あたりの成長については日本流のやり方をしっかり取り入れてやっていきたい。
日本のコンビニはフランチャイズですから、なかなかM&Aというのはそぐわないんですが、アメリカについては1人のオーナーで50店とか60店持っていらっしゃるところが多いということがありますので、エリアごとにやっていけば、既存のFCさんを傷つけずにM&Aができるということでございます。店舗の開発につきましては、オーガニックとM&Aを併用してやっていきたいと思っております。
それから、サード・ポイントさんの件ですが、こういう個別の投資家さんについてのコメントは差し控えたいと思います。
本日説明させていただいた不採算事業に対しての対応というのは、すべてのステークホルダーさんに納得がいけるものだと思って、自分たちなりに考えて出させていただきましたので、投資家様のみなさまにもご理解をいただけるものと信じております。
eコマースはレッドオーシャン
記者12:通販新聞社のカワニシと申します。オムニチャネルについてお聞きしたいと思います。最初に、当初の計画とお変わりした状況になったというお話があったと思うんですけども、こうなった最大の要因というものを、井阪社長はどう分析していらっしゃるか、ということが1点。
もう1点が、今後はパーソナライズをかなり強化されていくというお話なんですが、例えば「スマホからすぐ買えるよ」というような感じでECを中心にしたほうがやりやすい部分もあるのかなと思うんですけれども、今後のオムニ7の位置づけというものについて、もう少し詳しく教えてください。
井阪:今のオムニチャネル、eコマース中心にやってきたわけですけれども、はっきり言うとレッドオーシャンと言いますか、Amazon、楽天、その他いろんなそれぞれの専業カテゴリーが林立するなかで、やはりeコマースという不特定多数のお客さまに向けたアプローチをしてきたところ、それからシステム起点で考えすぎたところが失敗の要因かなと思っています。
今日ご説明したようにお客さま視点、今2,500万人本当毎日ご利用いただいていることお客さまにワクワクするような、毎日見たくなるようなアプリケーションなり情報なりをご提供することで、お客さまとの接点を増やして、お客さまとの対話を増やして、商品に結びつくようなご提案をしていきたいと考えております。
社会保険の厳格化、沖縄進出の可能性
記者13:テレビ朝日のカヤと申します。今月から社会保険料が発生する額が、御社のような501人以上の企業の場合130万円から106万になりました。このことは、今後の経営にとって負担になりうることなんでしょうか? そのあたりのお考えをお聞かせいただけますか?
井阪:やはり社会保険の厳格化というのは、これはもうしっかり企業として対応していかないといけないことだと思います。一人ひとりの働くみなさまの働きやすさということをしっかり勘案して、労働時間を伸ばしたい方あるいは縮めたい方、それぞれのリクエストに応じてうまく組み換えて対応していきたいと考えております。
記者14:コンビニエンスストア速報のシミズです。中期3ヶ年計画のセブン−イレブンのところなんですけれども。
ちょっと前に沖縄に進出するという噂が出てました。沖縄に出ることによってセブン−イレブンは名実ともにナショナルチェーンになると。これは今回の3ヶ年計画のなかに沖縄進出織り込んでいるのかどうか。この点についてお願いします。
井阪:沖縄に出るタイミングについては、この3ヶ年計画で特段考慮しておりませんが、沖縄に出店する方向感というのは、事業会社のセブン−イレブンと共有しておりますので、サポートしていきたいと考えております。
司会者:ありがとうございました。それではお時間となりましたので、以上をもちまして第2四半期決算及び中期3ヶ年計画の発表を終了させていただきます。本日はありがとうざいました。
井阪:どうもありがとうございました。