logmi Finance
logmi Finance
株式会社メドレー4480

東証プライム

情報・通信業

目次

河原亮氏(以下、河原):株式会社メドレー取締役上級執行役員CFOの河原です。本日はお忙しい中、説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。当社の事業や業績、計画の概要について、資料に沿ってご説明します。どうぞよろしくお願いします。

本日の流れです。はじめに会社および事業の概要、続いて直近の業績、最後に中期目標および資本政策についてもお話しします。

会社概要丨医療ヘルスケアの未来をつくる会社

河原:当社は「医療ヘルスケアの未来をつくる」をミッションに掲げ、全国47万件の医療ヘルスケア事業所のみなさまに各種インターネットサービスを提供しています。日本には約110万件の医療ヘルスケア事業所が存在し、そのうち約4割が当社のサービスをすでにご利用いただいています。

当社の事業は大きく2つあります。スライド左側に示す人材プラットフォーム事業では、医療ヘルスケアの従事者と事業者を結びつけるサービスを提供しています。右側の医療プラットフォーム事業では、事業者向けの業務システムの提供に加え、患者・生活者のみなさまにオンラインでの医療アクセスを提供しています。

大きく2つの事業に分けていますが、医療機関および介護・福祉施設などへのサービス提供という点で共通しており、主に事業者のみなさまから手数料を受領する事業を展開しています。当社の強みである事業者との接点を活かし、利用率の向上と提供サービスの多様化により、顧客当たり売上(ARPU)の拡大を図っています。

市場丨医療ヘルスケアにおけるデジタル活用の必然性

河原:こちらのスライド以降では、医療ヘルスケア市場全体について簡単にお話しします。医療ヘルスケア業界は、現場の負担増大や財政負担の拡大など、さまざまな課題を抱えています。少子高齢化やデジタル技術の進歩といったマクロトレンドの影響を受け、デジタル活用の必要性は日に日に高まっています。

市場丨ディフェンシブな成長領域:景気変動を受けずに増大する社会保障費

河原:こちらのスライドに示している社会保障費は、医療費および介護費を合わせて、2025年は約60兆円となっていますが、今後も景気変動を受けることなく増大し続けると見込まれています。政府が発表した見通しによると、当該費用は2040年に約90兆円まで増加する見込みです。

市場丨安定した高い需要が続く医療ヘルスケア人材市場

河原:当社の人材プラットフォーム事業に関連する医療ヘルスケア人材市場についてご説明します。スライド左側のグラフのとおり、当業界は全産業平均と比べて高い有効求人倍率で推移しており、慢性的な人材不足という課題を抱えています。

点線で示す一般産業界は、有効求人倍率は1倍付近で、かつ景気変動を受けて上下しています。一方、医療ヘルスケア業界は2倍から3倍の水準で高止まりしている状況です。

また、当該人材市場の規模は、現在当社の単価換算ベースで約4,300億円となっており、今後医療費の増大に伴い、2040年には約6,700億円以上の市場規模が見込まれます。

市場丨生成AI技術革新に伴う医療IT市場の成長仮説

河原:続いて、当社の医療プラットフォーム事業に関連する医療業務支援システム市場についてご説明します。スライドのグラフのとおり、これまで合計5,000億円程度で安定して推移してきましたが、先ほどご説明した外部環境を踏まえ、医療従事者の業務軽減に資する医療AI市場が今後急拡大すると考えています。

現状で、国民医療費の約4割にあたる24兆円が人件費です。この業務軽減に効果をもたらすことで、市場にかなり大きなインパクトを与えると想定されます。

後ほど詳しくご説明しますが、当社もすでに医療従事者の業務軽減につながるAIサービスの提供を開始しています。当社が保有する40万以上の事業所顧客網に対し、AI推進や業務効率化を多方面で実現できる点は、当社の独自性を示すものと考えています。

人材PF丨医療ヘルスケア領域における成果報酬型の人材採用システム

河原:当社が運営する事業の概要をご説明します。1つ目は人材プラットフォーム事業です。この事業の大半の売上を占める「ジョブメドレー」は、医療機関を中心に、介護・保育などの周辺事業者も利用する人材採用システムです。現在、当該分野において日本最大級のサービスとなっています。

事業者は50職種以上の求人情報を掲載することが可能で、採用成約時に当社へ成果報酬を支払います。反対に、求人の掲載や応募、面接の段階までは、原則料金が発生しない仕組みとなっています。

人材PF丨ロングテール構造のミドル・テール領域に強み

河原:医療ヘルスケア領域の約1,000万人の従事者のうち、約2割を医師・看護師・薬剤師の3職種が占めています。この分野には多くの競合が存在しますが、残り約8割の職種では競合企業がほとんどいない状況でした。そのため、トップシェアの獲得を目指し、実現することができました。

当社サービスには、50を超える幅広い職種の従事者300万人以上が登録しており、近年では医師・看護師・薬剤師領域でのシェアも拡大しています。また、M&Aを通じてリクルートメディカルキャリア社の全事業を8月から連結し、医師および薬剤師領域を一層拡充していく予定です。

人材PF丨低コスト構造による価格優位性

河原:「ジョブメドレー」では、一般的な人材紹介会社が対面で実施している業務を、Webサービスおよびオンラインサポートに置き換えることで業務効率を高め、業界平均を大きく下回る安価な成果報酬を実現しています。

年収比で計算した手数料率も3パーセントから12パーセントと、人材紹介会社の20パーセントから35パーセントを大きく下回ります。足元では、当社がAIを積極的に活用することで、業務効率をさらに高めています。

人材PF丨顧客事業所数は、計画通り継続成長

河原:このような価格優位性や職種のカバー範囲の広さを踏まえ、顧客数は順調に拡大しており、そのペースは継続しています。

こちらのスライドは、過去10年間の顧客数の推移を示しています。M&Aによって顧客数が大きく増加した2024年を除き、安定的に顧客獲得を実現しており、2026年6月末時点で約47万事業所と契約しています。

人材PF丨人材採用システム:従事者会員基盤は継続拡大し、ダイレクトリクルーティングは伸長

河原:スライド左側のグラフのとおり、従事者数も顧客数を上回る成長率で増加を続けています。右側のスカウト通数についても、事業者のみなさまが求職者へ直接アプローチできるスカウト機能の利用数が高い成長率を維持しています。

人材PF丨継続利用による安定した顧客基盤

河原:顧客獲得年別の売上高です。2009年のサービス開始以降、顧客事業所のみなさまが一度きりではなく、継続的に「ジョブメドレー」を利用いただいていることがわかると思います。

医療PF事業

河原:医療プラットフォーム事業についてご説明します。スライド右側の図が事業構造を端的に示しています。当社は、医科診療所、病院、歯科診療所、調剤薬局に対し業務支援システムを提供しており、中央の患者・生活者向けには「melmo」というアプリを提供しています。

「melmo」を利用することで、当社のシステムを利用する各医療機関にオンラインでのアクセスが可能となります。ただし、ビジネスモデルとしては、基本的に患者からではなく医療機関から利用料を受領するかたちをとっています。

医療PF丨医療機関からシステム利用料を受領する収益モデル

河原:スライドのとおり、各医療機関にシステムを提供した対価として利用料を受領しています。人材プラットフォームの採用業務と違い、顧客ごとに業務オペレーションが大きく異なるため、「MALL」「CLINICS」「MEDIXS」「DENTIS」という個々のサービス名およびシステムを提供しています。

これらの各システムおよび、そこにつながるアプリ「melmo」により、患者ユーザーに対して診療からお薬手帳まで、オンライン・オフラインを問わずスムーズな体験を提供しています。

医療PF丨「MEDLEY AI CLOUD」及び「melmo」を軸とした成長方針

河原:先ほどご説明したとおり、事業者向けには顧客タイプごとに異なるサービス名で提供していますが、それらを束ねるブランド名として「MEDLEY AI CLOUD」という総称を昨年9月に設定しました。「MEDLEY AI CLOUD」では、AI関連機能の実装を主な目的の1つとしており、実際にAI機能の提供や課金が開始されています。

これまでの定額のサブスクリプション型から、定額プラス従量課金型の収益モデルへ転換することで、AI活用が当社の収益にも直結する構造へ転換していきます。また、「melmo」においては対面診療領域を強化し、利用回数を増加させることでネットワーク効果を強化します。

人材プラットフォームで顧客事業者と従事者の双方でシェアを拡大し、プラットフォームとネットワークを確立したように、医療プラットフォームにおいても顧客事業者と患者ユーザーの双方でシェアの拡大を図り、ネットワーク効果を最大化していきます。

医療PF丨導入件数、売上高ともにYoYで増加

河原:医療プラットフォームの顧客数は、2026年6月末時点で約2万3,000件となり、これは対象領域医療機関の約9パーセントに相当します。また、売上高は直近四半期で25億円、成長率はプラス19パーセントです。

医療PF丨サブスクリプション・トランザクション売上高はともにYoYで増加

河原:定額および従量課金型への移行は徐々に進んでおり、当該売上は前年同期比でプラス20パーセントとなっています。また、スライド右側の表のとおり、AI従量課金型サービスの契約状況も開示し、導入の拡大を進めています。

機能としては、録音内容をもとに電子カルテの入力を補助するものや、医療文書の作成を補助するものがあります。

M&A丨シナジーを重視したM&Aにより、医療ヘルスケアのデジタル活用を推進

河原:ここまでご説明した各サービスの概要を示したのがこちらのスライドです。下段にあるのは人材プラットフォームで、「ジョブメドレー」などのサービスは顧客タイプを横断するかたちで提供しています。上段のサービス群は医療プラットフォームで、顧客タイプごとに異なるサービスを提供しています。このうちピンク色のサービスはM&Aを通じて取得したものです。

このように、自社開発およびM&Aによってサービスラインナップの拡張を図ることが当社の方針です。

ハイライト

河原:続いて、直近四半期の業績をご説明します。まず、2026年度第2四半期についてです。当社は12月決算のため、4月から6月期の決算を8月に発表しました。第2四半期の売上高成長率はプラス21パーセントと、期初予想に対して順調に進捗しました。

また、第2四半期のEBITDAマージン、つまり営業利益に償却費用等を加えた本業の利益率は26パーセントで、前年同期の22パーセントから上昇し、期初予想をやや上回っています。

今回発表した内容では、これまで自己株式取得のみを株主還元の方針としていましたが、今期末からは配当を主軸とする方針に変更し、配当を開始する予定です。

全社丨期初予想に対して順調な進捗

河原:今年2月の通期決算で発表した2026年度の通期業績予想における売上高464億円に対し、第2四半期の進捗率は49パーセントとなり、例年と比べても順調に進捗しています。

全社丨高い売上高成長率を継続

河原:2026年第2四半期の売上高は、人材プラットフォームおよび医療プラットフォームが堅調に推移した結果、前年同期比プラス21パーセントの成長率となりました。

スライドのグラフからわかるとおり、当社の業績には季節性があります。人材プラットフォームにおいて成果報酬売上が入職日を基準に計上されるため、4月1日を含む第2四半期に売上が集中する傾向があります。当社の業績をご覧いただく際には、前年同期比の変化にご注目ください。

全社丨黒字事業の利益をもとに積極的な成長投資等を継続

河原:利益についても同様に季節性がありますが、2026年第2四半期のEBITDAマージン、つまり利益率は26パーセントとなり、前年同期比で4パーセントポイント改善しました。

全社丨参考:セグメント別EBITDAマージンの状況

河原:人材プラットフォーム事業と医療プラットフォーム事業の利益率を示しています。人材プラットフォームでは、高い売上高成長率と利益率維持の両立を基本方針としています。季節性による変動はあるものの、年間ベースで平均すると40パーセント前後の水準を維持しています。

医療プラットフォームでは、年間で平均すると、投資フェーズの赤字から黒字化しています。今後は黒字を維持しながら高成長を実現し、医療プラットフォーム事業の利益率改善が全社利益率の改善にも寄与することを目指しています。

医療PF丨病院DXの本格化に向け、「MALLクラウド」をAIネイティブで開発

河原:医療プラットフォーム事業のサービスの1つである、病院向け電子カルテ「MALL」についてご紹介します。

政府は「医療DX令和ビジョン2030」のもと、全国医療情報プラットフォームの構築や電子カルテの標準化・クラウド化を推進しており、本年にはクラウドネイティブ型電子カルテへの初の助成も実施されました。このような市場環境の変化を捉え、当社は病院向け電子カルテ「MALL」のAIネイティブ版の開発を加速しています。

医療PF丨CLINICSのAI提供機能の拡充

河原:続いて、診療所向けに提供しているサービス「CLINICS」のAI機能についてです。これまでは診察の会話を録音し、カルテに必要な情報を整理する「AI要約アシスト」を提供していましたが、今回新たに医療文書の作成を支援する「AI文書アシスト」を追加しました。

これらの機能により、当社の試算では、カルテ入力と医療文書の作成にかかる時間が1日当たり約120分から24分に約80パーセント削減されます。今後も医療従事者の業務軽減に資する機能を継続的に開発し、利用医療機関数および利用回数の増加を図っていきます。

全社丨顧客事業所数とARPUの最大化による高い売上高成長率の継続

河原:最後に、中期目標および資本政策についてご説明します。中期目標の前提として、当社は長期的なフリーキャッシュ・フローの最大化を経営方針とし、顧客提供価値を高めることで、高い売上高成長率の継続を目指しています。高成長の継続に向け、顧客事業所数の最大化および顧客当たり売上(ARPU)の改善を基本戦略としています。

全社丨顧客事業所数及びARPUは堅調に増加

河原:顧客事業所数と顧客当たり売上の推移です。直近12ヶ月では、約45万の事業所から年間9万円弱をいただくことで、約410億円の売上高となっていました。今後も顧客事業所数と顧客当たり売上の双方を伸ばすことで、売上高の成長を実現していきます。

新中期目標に対する進捗

河原:当社は2019年12月に上場し、その直後に最初の中期目標を設定しました。それがスライド左側のグラフです。2025年の売上高230億円という目標を1年半前倒しで達成したため、2024年2月に新たな中期目標を設定しました。それがスライド右側の新中期目標です。2029年に売上高1,000億円、EBITDA200億円を目指しています。

資本配分・株主還元方針のアップデート:FCF及び利益拡大フェーズへ

河原:EBITDA・当期利益・フリーキャッシュ・フローの実績と見通しです。昨年は事業環境要因により、利益やフリーキャッシュ・フローが落ち込みましたが、今期は順調に進捗しており、回復傾向にあります。

これらの進捗や今後の見通しを踏まえ、安定利益成長の蓋然性が高まったことを確認し、資本配分・株主還元方針のアップデートを行いました。

資本配分・株主還元方針のアップデート:詳細

河原:これまでの自己株式取得中心の還元方針を変更し、今期末から配当を開始します。配当性向は当期利益の30パーセントを目安とし、今期の1株当たり配当は18円を予定しています。また、自己株式取得については、上場来10.5パーセント程度を取得してきましたが、発行済株式総数の5パーセントを超過する部分は消却する方針としました。

(参考) 会社概要丨株価推移

河原:上場来の株価推移です。当社は2019年12月に上場し、売上規模は当時の約10倍まで拡大していますが、残念ながら直近3年間は、今回の決算後にはやや反発したものの、株価が下落傾向にあります。

このような状況を踏まえ、2025年以降は合計70億円、約9パーセントの自己株式取得を行いましたが、先ほどご説明したとおり、今後は配当をメインとした株主還元を進めていきます。

以上で私からの説明を終わります。本資料は8月13日に発表した第2四半期の決算説明資料を基に作成しています。ぜひ当社ホームページ等でご確認いただければ幸いです。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:今後のM&A方針と対象事業領域等について

荒井沙織氏(以下、荒井):「御社はM&Aを成長投資の重要な手段と位置づけていますが、今後も積極的に実施する方針でしょうか? 現在どのような事業領域や企業を対象として想定しているのか、案件規模や年間の件数、国内外の別、投資基準、M&Aに充てる資金規模、足元の具体的な案件の検討状況などについて教えてください」というご質問です。

河原:当社のお客さまは、病院、診療所、薬局、歯科、介護施設などであり、当社はこれらのお客さまに対してITサービスやプロダクトサービスを提供しています。同様に、このようなお客さまにサービスを提供している企業が基本的にM&Aの対象となります。年間では、上場以来約7年間で30件弱のM&Aを実施してきました。平均すると年間3件から4件程度となります。

案件規模については、100億円を超えるような当社にとって大規模な案件もありましたが、大半の案件は1桁億円から20億円程度の規模です。基本的には今後もそのような規模を想定しています。

国内・海外の観点では、過去の案件は基本的に国内のみとなっています。将来的には海外案件を完全に否定するわけではありませんが、国内中心とご理解いただければと思います。

投資基準については、利益に対する倍率やバリュエーションは当然ながら、投資の回収が何年間で可能かといった投資回収期間、さらに当社との相性やシナジーを総合的に勘案し、各案件を検討しています。

M&Aに関しては適時開示と併せて説明資料を毎回ご用意していますので、ぜひ過去の案件資料もご覧いただければ幸いです。

質疑応答:人材プラットフォームの成長率維持における重要ドライバーについて

荒井:「人材プラットフォームは、高い成長率と高いEBITDAマージンを両立している印象です。今後も成長率を維持する上で、顧客事業所数の拡大、従事者会員数の増加、ARPUの改善のうち、最も重要なドライバーはどこにあると考えていますか?」というご質問です。

河原:ご指摘いただいたすべてのKPIが重要ですが、1つ挙げるとすれば、スライド左側の従事者会員数です。前年同期比で20パーセント伸びています。全国には約1,000万人の医療従事者がいるといわれていますが、現在当社の従事者会員数はその約30パーセントを占めています。

加えて、このような高いペースで当社の「ジョブメドレー」をご利用いただけると、必然的に当社のクライアントである医療機関や介護施設のみなさまにとっても、多くの候補者からの応募や採用のチャンスにつながります。

そのため、当社としては従事者会員数の伸びにおいて、引き続き高い成長率を維持できるよう、さまざまなマーケティング施策を実施しています。

質疑応答:小規模事業所におけるクロスセルについて

荒井:「人材プラットフォームで築いた顧客基盤を、医療プラットフォームの販売促進にも活用されているとのことですが、実際にクロスセルが進みやすい顧客層やプロダクトはどのような領域でしょうか?」というご質問です。

河原:スライドにも記載の病院や診療所、薬局などの中で、多くの事業所は小規模で個人運営されています。そのような事業所では、オーナーがどの人材サービスを利用するかを決定します。同様に、電子カルテや予約システムについても基本的にはオーナーが決めることが多くなります。

意思決定者が重複するという観点から考えると、小規模事業所では、分類に関係なく、人材プラットフォームの顧客基盤を活かしたクロスセルや販売促進が進みやすい傾向にあると考えます。

加えて、すべてがそのようなわけではありません。介護施設や薬局に関しては、チェーン展開で数百、場合によっては数千の事業所を運営されているお客さまもいらっしゃいます。そのような事業者で「ジョブメドレー」を積極利用されているお客さまが、当社の医療プラットフォームサービスもご利用いただくケースがあります。そのため、個人事業主に限らず、そのような事業者にも着実にクロスセルを進めています。

質疑応答:「ジョブメドレーATS」の概要と利用状況について

荒井:「4月にリリースされた『ジョブメドレーATS』についてです。既存の人材採用サービスとの連携により、顧客単価や利用継続率をどのように高めていく狙いでしょうか?」というご質問です。

河原:当社のリリースなどをご覧いただき、誠にありがとうございます。まず「ジョブメドレーATS」の内容からご説明します。

「ジョブメドレー」は採用活動向けのサービスで、候補者が応募や面接を経て最終的に内定を得るまでのプロセスをサポートします。このサービスは、いわゆる求人メディアやダイレクトリクルーティングプラットフォームとして機能します。最近では「ビズリーチ」というサービスが広く知られていますが、当社のサービスはその医療版と認識いただければと思います。

一方、「ジョブメドレーATS」は、「ジョブメドレー」だけでなく、ほかの求人メディアやヘッドハンティングなどを通じて応募された候補者も含め、多くのプロセスや選考状況を一括で管理できるシステムです。

荒井:「ほかの」というのは「他社の」という意味ですか? 

河原:他社も含まれます。医療機関では、すべての応募が当社経由で行われるわけではないため、候補者がどの経路で応募してきたのか混乱することがあります。そのような確認の手間を軽減するために、「ジョブメドレーATS」を提供しています。

荒井:利用者の事業所の方にとっては、管理が容易になるということですね。

河原:そのとおりです。電話やメール、紙などを確認する手間がなく、一括管理できるサービスです。

一般的な大企業や中堅企業では、そのようなシステムが比較的普及していますが、医療機関、特に小規模のクリニックや薬局では未導入のケースが多く見られます。そのような医療機関に向けて、当社はこのシステムの提供を開始しています。

荒井:複数箇所に散らばっていて煩雑になっていたものが、1箇所で確認できるようになるイメージでしょうか? 

河原:おっしゃるとおりです。一括で管理できて状況を確認できるサービスとして、今年から提供を開始しました。今年の年末までは無料で提供し、来年以降は課金を開始する予定です。

荒井:現在無料で提供していることもあり、利用者数や事業所数が増加しているかと思いますが、反応はいかがでしょうか? 

河原:想定以上に多くの方にご利用いただいています。具体的な数字は開示していませんが、将来的なIRの観点では、売上高に寄与する部分があると思います。

荒井:利用者からの使い勝手に関する反応も良いということですね。

河原:この業界において最大級のサービスであり、「ジョブメドレー」と「ジョブメドレーATS」の連携が万全であることも、使いやすさにつながっていると考えています。

質疑応答:サービス比較における重要ポイントについて

荒井:「顧客が御社と競合の商品・サービスを比較する際、最も重要視するポイントは何でしょうか?」というご質問です。

河原:サービスによるかとは思いますが、メインの「ジョブメドレー」を例に回答します。当社のお客さまである医療機関のみなさまは、人手不足で採用に非常に困っている状況です。求人を出しても応募が来ないケースが多いことから、実際にきちんと応募があり、採用できることが最重要となります。

価格にこだわる前に採用ができなければ、少人数で現場を回さなければならないため、採用が実現するという観点からも、300万人以上が登録し、職種・人数ともに多くの方に当社のサービスをご利用いただいている点が最大のアピールポイントであると考えています。

さらに、成果報酬が他社より安価である点も強みです。実際に採用が可能であること、料金も良心的であることの2点が、当社メイン事業のポイントとなっています。

また、他の医療プラットフォームにおける電子カルテやオンライン予約サービスなどについても、クラウド型で効率的かつ低価格でサービスを提供する点を、当社はプロダクトにかかわらず比較的重視しています。

荒井:医療業界に身を置いた経験がないためわからないのですが、感覚として医療従事者の方々のマッチングは常にうまくいっているイメージがありました。しかし、今のお話を聞くと、うまくマッチングできず困っている事業所も多いのでしょうか?

河原:スライドの有効求人倍率のグラフをご覧いただくと、医療ヘルスケア業界の有効求人倍率は一般産業界の2倍から3倍となっています。点線で示す全産業の有効求人倍率が平均1倍付近であるのに対し、2倍から3倍である状況は、求人数に対して求職者数のマッチングがまったく追いついていないことを意味します。

一般の産業界よりも採用の難易度が高いことから、当社のようなサービスを使って安価に採用できる点を評価いただいているのだと理解しています。

質疑応答:医療プラットフォーム事業のEBITDAとその改善計画について

荒井:「現状では、人材プラットフォーム『ジョブメドレー』が利益のほぼすべてを稼ぎ、医療プラットフォーム(電子カルテ『CLINICS』や『ORCA』)は先行投資フェーズにあると理解しています。医療プラットフォーム事業はいつ黒字化し、全社営業利益にどの程度寄与するイメージでしょうか? 個人投資家が、投資フェーズが計画どおり進んでいると判断するために、四半期ごとにどの数字を見ておけばわかりやすいでしょうか?」というご質問です。

河原:EBITDAについては、四半期ごとの数字を示したスライドのとおり、営業利益に減価償却費を加えた数値はすでに黒字化しています。ご質問では営業利益に触れていると認識していますので、その点においては四半期によって赤字となる部分もあるかと思います。

EBITDAマージンについては、今期のガイダンスとして1桁パーセント程度を予定しています。この数字を四半期ごとにご覧いただければと思いますが、マージンが5パーセント、10パーセント、15パーセント、20パーセントと確実に改善していく姿をお見せできれば、投資家のみなさまにも医療プラットフォームでしっかり利益が出始めたことを感じていただけるかと思います。

中期目標の目安としては、営業利益率ではありませんが、医療プラットフォームのEBITDAマージンを20パーセントに拡大する方針を掲げています。当社がEBITDAを用いている理由は、M&Aに積極的な点にあります。日本の会計基準上、M&Aに伴うのれんの償却がキャッシュアウトを伴わないかたちで発生するため、調整を行う意味でもEBITDAを使用しているという背景があります。

質疑応答:医療プラットフォーム事業の利益率改善への取り組みについて

荒井:「医療プラットフォームは第2四半期のEBITDAマージンが0パーセントで、下半期には黒字化を見込んでいるとのことですが、黒字転換を実現するための主なドライバーは何でしょうか? また、その黒字化は来期以降も継続できる収益構造と考えてよいでしょうか?」というご質問です。

河原:医療プラットフォームの多くの事業は、いわゆるSaaSと呼ばれるサブスクリプション型で、利用料金が売上高に計上されます。

お客さまの数の増加が売上高の増加につながり、それに比例して発生する費用は限定的であるため、売上の増加がそのまま利益率の改善につながります。非常にシンプルですが、お客さまの数を増やしていくことが基本となります。

河原:加えて、当社ではAIに関連する売上高も計上しています。AIの活用により業務時間を約80パーセント削減できれば、その分お客さまの人件費を削減できます。

その削減された人件費の一部を成果報酬としていただくことで、お客さまにとっては人件費を削減でき、当社もその部分の利用料を少しだけいただくかたちで、AIに関連する売上高を積極的に増やしており、今後も拡大する見込みです。

また、社内費用に関してもAIを活用することで、これまで2年から3年かかっていた開発が数ヶ月で完了したり、十数人で行っていた作業が数人でできたりする事例が今年に入ってから数多く発生しています。そのような人件費率や費用率の削減も、医療プラットフォームにおける今後の利益率改善に寄与すると考えています。

質疑応答:中期目標達成に向けた取り組みについて

荒井:「生成AIの普及により医療IT市場が今後大きく拡大し、中期目標達成の前倒しも目指すとされていますが、現時点でどのようなKPIが伸びれば、前倒しが現実的になったと判断されるでしょうか?」というご質問です。

河原:スライドにもあるように、売上高1,000億円という目標は高いハードルであり、もちろん前倒しには挑戦しますが、容易ではないことも事実です。

売上高1,000億円を目指すにあたり、基盤としてのお客さまの獲得が想定よりも早く進むことや、AI機能が多くの医療機関や医師、医療従事者の方々に日常的に活用されるサービスとなることで、顧客あたりの売上高(ARPU)の拡大が見込まれます。そのため、顧客数の拡大とARPUの向上の双方を目指して取り組んでいきます。

これに加え、これまでに約30件実施してきたようなM&Aを、今後もシナジーのあるかたちで進めることで、前倒しを図ることが基本方針となります。

荒井:顧客数の拡大に関しては、クロスセルやアップセルが効くビジネスモデルであることが先ほどのご説明で理解できましたので、非常に力強いと感じています。

質疑応答:電子カルテサービスにおけるAI利用の可能性と顧客特性について

荒井:「『MEDLEY AI CLOUD』でAI機能の従量課金を始めていますが、AI関連サービスが今後ARPUをどの程度押し上げる可能性があると考えていますか? また、業績への本格的な貢献時期についてイメージを教えてください」というご質問です。

河原:例えば、当社が提供している電子カルテサービスでは、月間の利用料は数万円規模です。ここにAI機能を積極的に利用する医師が現れ始めており、定額のサブスクリプション料金を超える従量課金を行う医師もいます。

したがって、少しだけの上乗せにとどまらず、かなり抜本的に増加する可能性があると考えています。ただし、AI機能を利用する医療従事者や医師の数や割合はまだ多くないため、当社としては啓蒙活動を継続して進めていきたいと考えています。

時期については、将来を予測することが難しいものの、中期目標期間中にAI機能による売上増加を実現し、その成果をお伝えしたいと思っています。なるべく早く、可能であれば中期目標期間内を目指したいと考えています。

荒井:従量課金を多く利用する顧客の特性はあるのでしょうか?

河原:例えば、心療内科や精神科の医師は、患者との会話量が多く、かつ重要になるため、AIによるカルテ要約機能を利用されるケースが見られます。これらの診療科に限らず、類似のユースケースが徐々に増えてきています。また、医療文書作成機能も8月にリリースしたばかりですので、今後は特定の診療科での利用が急速に進む可能性も考えられます。

荒井:また進展がありましたら教えてください。

質疑応答:今後の成長投資と株主還元のバランスについて

荒井:「今期から配当性向30パーセントを目安に配当を開始されますが、一方でAI新サービスやM&Aなどの投資機会も大きいと思います。今後、成長投資と株主還元のバランスをどのような考えで判断していくのでしょうか?」というご質問です。

河原:投資バランスについては、事業投資を最優先とし、次いでM&A、次に配当を位置付けています。配当は配当性向30パーセントを目安に毎年実施し、株価の状況に応じて自己株式の取得も行うというのが基本方針です。

金額については、スライドに記載のとおり、今期の利益水準はEBITDAで60億円弱、当期純利益で約18億円、フリーキャッシュ・フローは実績ベースで約30億円となっています。今回の配当額は計算上で約5億円強となります。

毎年生み出されるフリーキャッシュ・フローや利益の大部分を配当に充ててしまうと、他への投資が難しくなる懸念がありますが、この規模感ではそこまで大きな影響はありません。フリーキャッシュ・フローから配当を差し引いた後の資金については、既存事業やM&A、AI分野も含めて積極的に投資していきたいと考えています。

荒井:継続可能な範囲での還元ということですね。

質疑応答:競合に対する差別化要因について

荒井:「『ジョブメドレー』はミドル・テール領域で強いポジションを築き、近年は医師、看護師、薬剤師などのヘッド領域でもシェアを伸ばしているとのことですが、競合が多いこの領域で勝ち切るための最大の差別化要因は何でしょうか?」というご質問です。

河原:今回、M&Aを通じてリクルートメディカルキャリア社の全事業を引き継ぎました。これにより、当社が持っていなかった医師・薬剤師のネットワークや、大病院に強い顧客基盤を取り込むことができました。当社が自前で進めるよりも、M&Aによりその部分を加速できるという利点があります。

当社は以前からミドル・テール領域に強みを持っていましたが、看護師領域については、ここ数年はM&Aを行わずとも成長してきました。人手不足で採用が困難な状況においても、求職者数が増加するほどマッチングが容易になるという基本的な構造は変わらないと考えています。この基本を押さえつつ、M&Aなどを活用しながらさらに進めていきたいと思います。

加えて、この領域において当社はITやAIを最も活用している会社の一つであると自負しています。テクノロジーを使わずヘッドハント型で運営されている会社が多い中で、当社はテクノロジーの活用を通じて競合他社に対して優位性を確保し、シェアの拡大を目指しています。

質疑応答:M&Aの対象分野と重視ポイントについて

荒井:「M&Aを重要な成長ドライバーと位置づけていらっしゃいますが、現在のサービスラインナップなどを踏まえ、今後特にM&Aで補完したい事業領域や機能はどのような分野でしょうか?」というご質問です。

河原:特定の分野はなく、あったとしてもこの場でお話しするのは難しい部分もあるため、可能な範囲で回答します。

こちらのスライドで示す四角の中に入る分野は、当社の既存事業とシナジーがしっかり効く領域です。お客さまも重複しており、「ジョブメドレー」をご利用中のお客さまに他のサービスへの誘導も展開しやすいと考えています。原則として、このスライドの四角の中に入っている企業の中で、当社と親和性の高い会社が対象となります。

また、当社がM&Aで重視しているのは、ニッチ分野であってもトップシェアを持つ会社です。当社の顧客網を活用することでさらなる成長加速を実現した過去の事例もあるため、そのようなM&Aを進めていきたいと考えています。

荒井:すでにM&Aが行われた分野においても、今後増える可能性はあるのでしょうか? 

河原:まったく同じ分野で違う会社やプロダクトは少ないかもしれませんが、このスライドの四角の中に表現しきれていない分野については対象になると考えています。

質疑応答:医療プラットフォームおよび営業注力分野について

荒井:「人材プラットフォームでは、46万を超える事業所との顧客接点を持つ一方、医療プラットフォームの顧客数はまだ相対的に小さいと思います。既存の顧客基盤に医療プラットフォームをクロスセルしていく余地をどの程度見込んでいるのか、また普及における最大のボトルネックはどんなところでしょうか?」というご質問です。

河原:人材プラットフォームは、無料で当社のサービスを利用開始できます。業界最大級のサービスであり、安価に採用活動が可能なため、顧客獲得のペースはこれまで非常に速く、業界の約4割の方々にご利用いただいています。

一方、電子カルテやレセコンに関しては、日本の診療所における電子カルテの普及率が約50パーセントと言われており、残りの約半数の先生方はまだ紙のカルテを使用しています。紙のカルテでも業務が回り、現状それで対応できているためです。

国としては、政府が進めるIT化の助成制度を活用しながら、医療全体の効率化を目指す方向に舵を切りつつあると考えています。そのため、市場の余地としては40万件にとどまらず、さらに拡大できる可能性があると見ています。

一方、電子カルテをはじめとしたサービスは、人材サービスのようにすぐに顧客を獲得しやすいものとは異なり、製品説明など成約までのプロセスが長くなる傾向があります。しかし、一度導入いただければ、同じシステムを継続してご利用いただけるメリットがあります。本日お話ししたAIによる業務軽減なども活用しながら、医療プラットフォームの成長率をさらに高めていきたいと考えています。

荒井:営業面ではどこに最も注力されているのでしょうか? 

河原:人材領域に関しては、正直なところ営業をせずとも十分に展開できている状況です。当社のサービスがほぼ日本最大級で料金も安く、さらにみなさまが困っているという背景があるためです。

一方、医療プラットフォームに関しては、開業医の先生や調剤薬局のみなさまに対して、当社の営業担当者がアポイントを取り、サービスの説明を行うといった一般的な営業活動を行っています。

医療プラットフォームの中でも病院、診療所、歯科、薬局の4つを当社の主な対象領域としていますが、特定の業界に偏ることなく、それぞれを重要視し、すべての分野で成長を目指しています。

河原氏よりご挨拶

河原:本日はお忙しい中、ご視聴・ご参加いただき誠にありがとうございます。当社は上場から約7年が経過した中で、今回初めて配当を開始する意思決定を行いました。個人投資家のみなさまにも当社のことをより知っていただければと考えています。売上・利益ともに現状からしっかりと拡大を目指していきますので、今後ともぜひご注目いただけると幸いです。

facebookxhatenaBookmark