個人投資家向けIRセミナー
トピー工業、収益基盤強化の取り組みが大きく寄与 2030年に向けた構造改革と成長への種まきを推進するフェーズ
会社概要

石井博美氏(以下、石井):トピー工業代表取締役社長の石井です。こちらのセミナーに登壇するのは3回目です。今回は投資家のみなさまに、当社の成長戦略の内容と進捗をご説明し、当社が目指す成長の方向性についてのご理解を一層深めていただきたいと考えています。本日はよろしくお願いします。
まず、会社概要です。当社は主に鉄鋼や自動車用ホイールの製造を行っています。東証プライム市場に上場しており、従業員は約5,000名、売上高は3,000億円程度の会社です。創業は1921年で、105周年を迎える100年企業です。
1921年に鉄鋼事業を開始し、1964年に自動車用ホイール製造を行っていた会社など4つの会社が合併することで、現在の体制となりました。「トピー」という社名の由来は諸説ありますが、各事業分野でトップを目指すという思いを込めていると聞いています。
事業概要

石井:事業概要についてです。鉄鋼セグメントでは、電気炉を用いて鉄の製鋼・加工を行っています。建設、造船、産業機械用の鋼材を生産する他、社内向けに建設機械用ホイールや足回り部品などの素材の提供を行っています。また、リサイクル事業としてスクラップの回収・選別も行っています。
自動車・産業機械部品セグメントでは、自動車用ホイールや、油圧ショベルなど建設機械用の足回り部品に使用される履帯・履板を製造する他、工業用ファスナーと呼ばれる精密薄板バネなどの部品を製造・販売しています。
その他では、化粧品素材となる合成マイカの製造も行っています。このように、モノづくりを基盤とした多彩な事業を展開しています。
事業構成

石井:スライドは、当社グループの事業構成として売上高構成比を示しています。自動車・産業機械部品セグメントが全体の68パーセントを占めています。内訳としては、乗用車用ホイールが30パーセントと最も大きく、続いて建設用機械足回り部品、バス・トラック用ホイール、建機用ホイール、工業用ファスナー等と続きます。一方、鉄鋼セグメントの比率は全体の30パーセントです。
このように、特定の事業に偏らない、バランスのとれた構成であることがおわかりいただけるかと思います。
当社グループの強み その①

石井:当社グループの強みを2点ご紹介します。1つ目は、ビジネスモデルにおける強みです。素材部門と加工部門を持ち、一貫生産による競争力の高い製品を生み出しています。また、これらの製品が役目を終えて廃棄物となった後も、回収して電気炉で再度溶かし、再び鉄鋼製品に生まれ変わらせる、いわゆる循環型事業である点も特徴の1つです。
当社グループの強み その②

石井:もう1つの強みは、独立系の総合ホイールメーカーとして、ほぼすべての国内自動車メーカーと長期にわたり安定した取引関係を築いている点です。これまでの信頼の積み重ねにより、乗用車用スチールホイールで国内47パーセント、バス・トラック用スチールホイールで国内86パーセントの高いシェアを有しています。
さらに、建設機械メーカーとの連携も強固で、油圧ショベル用足回り部品(履板)は国内外でトップシェアを有しています。加えて、鉱山で稼働する巨大ダンプトラック向けの超大型ホイールでも、グローバルで90パーセントのトップシェアを誇っています。
1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):個人投資家1UP投資部屋Kenです。国内・海外ともにトップシェアの製品がいくつもありますが、それらが他社製品に切り替えられにくい理由を教えていただけますか?
石井:現在、国内のスチールホイールメーカーは、大規模企業という意味では当社を含めて2社が残るのみです。かつては他社との競争がありましたが、品質、コスト、納期対応の優位性を着実に高め、顧客からの信頼を積み重ねてきました。
自動車用ホイールについては、ほぼすべての自動車メーカーとまんべんなくお付き合いすることができており、高いシェアにつながっています。
Ken:わかりました、ありがとうございます。
業績サマリー

石井:業績についてご説明します。2025年3月期は自動車の認証不正問題等に伴う自動車生産の減少などの影響で減益となりましたが、2026年3月期には利益回復を果たしました。2027年3月期も増益を見込んでいます。
前期の利益回復については、後ほどお話しする収益基盤強化の取り組みが大きく寄与しました。この取り組みの効果は一過性にとどまらず、今期の業績を下支えする確かな成長として表れています。
足元では、鉄鋼セグメントにおける原材料価格の高騰や中東情勢の影響を受けているものの、通期での増益達成に向けて着実に取り組みを進めています。
Ken:業績について質問させてください。先ほど、売上の約7割が自動車・産業機械部品セグメントとのお話がありましたが、その中でも特に利益貢献が大きい部品を教えていただきたいです。また、製品ごとの利益率も差し支えない範囲で教えていただけますか?
石井:まず、当社製の鋼材を用いて製造する油圧ショベル用の足回り部品と鋼材機械向けの超大型ホイールは、素材から製品まで一貫生産を行っているため、利益への貢献度が高いです。
また、前期まで進めてきた構造改革に加え、持続可能な販売価格の形成に取り組んでおり、特に乗用車用ホイールとバス・トラック用ホイールで成果が見られました。これらの製品は販売数量が大きく、自動車生産の好不調に影響を受けやすいですが、価格形成を進めたことで収益構造が安定し、収益基盤が一段と強化されています。
個々の利益率については割愛します。
Ken:わかりました、ありがとうございます。
中期経営計画“TOPY Active & Challenge 2027”の概要

石井:ここからは、当社の成長戦略である中期経営計画の内容とその進捗についてご説明します。2026年3月期から2028年3月期を実行期間とする本中期経営計画は、2030年に向けた収穫・成長を実現するための「構造改革」と「種まき」を推進するフェーズとして位置づけています。
まずは、構造改革を通じて事業環境の変化に左右されない強固な事業基盤の構築を進めます。あわせて、当社の強みを一層磨きながら、2030年の成長に向けた種まきを並行して推進していく方針です。
中期経営計画の進捗状況

石井:中期経営計画初年度である2026年3月期は、持続可能な販売価格の形成が進展するなど、国内外での構造改革が順調に進捗しました。収益性の向上に寄与し、外部環境の影響を受けにくい事業基盤が確立しつつあります。また、これらの取り組みと並行して、将来の収穫・成長に向けた種まきの施策も着実に推進しています。
国内構造改革

石井:主な取り組みについてご紹介します。まず、国内の構造改革についてです。農業機械用スチールホイール事業を2026年3月末に譲渡しました。国内のホイール装着率は、スチールホイールに代わりアルミホイールが伸長しています。そのため、需要に見合ったスチールホイール生産体制の構築を進めており、今回の譲渡を契機としてさらなる構造改革が進みました。
一方、成長が見込まれるアルミホイール事業は強化が必要です。高付加価値アルミホイールを製造する子会社を事業の中核を担うマザー工場として位置づけ、グループ内の連携強化を図りました。
海外構造改革

石井:海外の構造改革についてです。米国事業では収益性の改善が進みました。労務費の上昇や生産性の悪化などにより経営不振が続いていた米国子会社のトピーアメリカについて、現地メーカーへの拡販、生産性の向上、持続可能な販売価格の形成などの取り組みによる事業再構築を図り、損益の改善が進展しました。
また、中国のホイール事業を再編しました。中国市場では日系自動車メーカーのシェアが減少し、中国生産縮小の動きが見られます。それに対応するため、広東省広州市にあるスチールホイール生産拠点を閉鎖し、福建省にある拠点へ集約することとしました。今後は、福建省の拠点で中国事業の再建を図っていきます。
持続可能な販売価格の形成

石井:持続可能な販売価格の形成についてです。2025年3月期は自動車の認証不正問題の影響などにより販売数量の減少に直面しましたが、下期以降販売価格を見直し、2026年3月期にかけて大きく進展しました。構造改革によるコスト抑制と並行して施策を進め、当社製品の価値を評価していただいたことで収益基盤が確実に強化され、今後の安定した業績につながる成果となりました。
Ken:先ほど「世界的にシェアが高い製品がいくつもある」というお話がありましたが、これらの製品を有しながらも、価格形成に苦戦された面もあるかと思います。なかなか価格転嫁できなかった理由を教えていただけますか?
石井:これまでは国内の自動車メーカーからの原価低減の要求が厳しく、構造改革や徹底したコスト削減など可能な限りの自助努力を尽くしていても、収益を確保するのが難しい局面が続いていました。
しかしながら近年はパートナーシップ構築宣言などの社会的な追い風もあり、メーカー側も真摯に協議に応じてくださる姿勢が見られるようになったと感じています。その結果、当社としては、製品の価値をあらためて提案・訴求し、評価を得られる環境が整ってきたと考えています。
Ken:他の業界でも同様の傾向が見られると思うのですが、価格交渉が比較的通りやすくなっている印象があります。また、インフレの世の中ということもあり、最終消費者も「多少の値上げは仕方がない」と通りやすくなっているような変化が見られるということですね?
石井:はい、そのように考えています。
Ken:利益成長についてもおうかがいします。価格形成を今後もしっかりと進めていくことが想定される一方で、数量や製品ミックスにも変化があるのではないかと思っています。利益成長という部分では、どこが中心になると考えていますか?
石井:ベース価格の改定については、2026年3月期に大きな成果を上げました。中東情勢などの影響もあり、今後は各種コストがかなり上昇してくると考えています。それを滞りなく販売価格に転嫁することが課題になると思っています。
数量面では、国内市場はすでに成熟しており、大幅な伸長は見込みにくい状況です。自動車分野では、海外、とりわけ新興国で拡大する需要を着実に取り込んでいく必要があります。
また、鉄鋼セグメントについては国内では数量拡大が望めないため、数量を優先するのではなく、利益率の高い高付加価値製品の拡販に注力していく方針です。
Ken:わかりました、ありがとうございます。
海外アライアンスの強化

石井:2030年の成長に向けた種まき施策についてご紹介します。まず、海外アライアンスの強化についてです。自動車生産台数の増加が見込まれる海外市場での成長を目指し、特に今後の装着率の向上による成長が期待できるアルミホイール分野で、既存のアライアンス先との連携を強化しています。
当社はすでに中国やタイにアルミホイールの海外製造拠点を持っていますが、それに加えてアライアンス先との連携を強化することで、市場における当社のプレゼンスを向上させ、欧米やインド、ASEANなどの新市場開拓を図っていく戦略です。
Ken:スチールホイールからアルミホイールに装着率が向上していく、置き換わっていくというお話だと思いますが、今後はどのような背景で進んでいくのか教えていただけますか?
石井:当社の調べによると、現在の国内におけるスチールホイールの装着率はおよそ35パーセントです。もともとのスチールホイールとアルミホイールの装着比率はおよそ7対3でしたが、ここ10年ほどでおよそ3対7へと完全に逆転しました。
径が小さいものはスチールのほうが強度かつ軽量であることから、軽自動車では引き続きスチールホイールの需要が見込まれます。小さいタイヤや意匠性をあまり求めない場合などの需要から、スチールホイールの装着率は一定水準で下げ止まるのではないかと考えています。
Ken:アルミホイールのメリットや、スチールホイールから置き換わってきた理由を教えていただけますか?
石井:アルミホイールの強みはやはり軽さです。先ほども述べたように、小さな径ではスチールのほうが軽いですが、大きなホイール、例えば高級車に装着されているさらに大きなタイヤでは、軽さが求められるため、アルミホイールが選ばれています。近年の車両は全体的に重量が増す傾向にあり、とりわけバッテリーを搭載するバッテリーEVでは燃費向上のために軽量化が非常に重要視されています。したがって、それらの車両や大径ホイールでは、スチールに比べてアルミのほうが比重が軽いことなどで優位性があります。
また、アルミは溶かして鋳造で固めて製造するため、複雑で凝ったデザインや意匠性を実現しやすいです。このような外観の良さも、アルミホイールが選ばれる理由の1つと考えています。
Ken:新興国にもさまざまな投資をされていくと思いますが、新興国でもスチールホイールの比率が高かったものが日本や他の先進国に追いつくようなかたちでアルミホイールの比率が高まっていくという狙いでしょうか?
石井:現在、インドではスチールホイールがおよそ7割、アルミホイールがおよそ3割です。
Ken:以前の日本と同じですね。
石井:まさに10年前の日本と同じ状況です。インドについては、この数年間で生産量や車の台数が倍増し、かつスチールホイールからアルミホイールへの置き換わりが進むことで、二重の変化が起こってくると考えています。具体的に何年間となるかは予測が難しい部分もありますが、確実に需要を捉えていきたいと考えています。
Ken:よくわかりました、ありがとうございます。
パコアクイナ(インドネシア)への出資

石井:この7月にインドネシアのアライアンス先への出資を実行しました。PT.PAKOAKUINA(パコアクイナ)社はインドネシアの大手アルミホイールメーカーであり、当社とは1980年代以降、技術提携による協業実績があります。
今回の出資により、従来の協業関係から資本関係を持つ戦略的パートナーシップへと格上げしたいと考えています。そして、日本のマザー工場、中国、タイの製造拠点に加えて、新たな拠点として位置づけることで、競争力の強化やASEAN域内の内需獲得を図っていきます。
また、欧米への高付加価値製品の販路拡大に向けた供給・提案拠点としても活用したいと考えています。
ホイールズインディア(インド)との技術提携

石井:インドのWheels India(ホイールズインディア)社との技術提携についてご説明します。高成長が続くインド市場でのプレゼンス向上を狙い、ホイールズインディア社とアルミホイール製造に関する技術援助契約を締結しました。
インドの自動車生産は堅調であり、特に今後はアルミホイール需要の拡大が見込まれています。今回の技術援助契約締結により、従来のスチールホイール分野に加え、アルミホイール領域にまで協業の範囲を拡大し、インドを含むアジア地域へのさらなる進出の足がかりとしていきます。
コアコンピタンスを生かした新製品

石井:当社のコアコンピタンスを活かした新製品についてです。昨年の「Japan Mobility Show 2025」で、独自技術を活かした高付加価値ホイール18点を発表しました。
そのうち、22インチ大径超軽量アルミホイールは、当社グループの軽量化技術により、高い意匠性と鍛造製品同等の軽量化を両立させた鋳造製のアルミホイールです。また、切子調・絵柄掘り込みホイールについては、社内にデザイン部門を持つ当社ならではの外観意匠で、高いデザイン性が会場でも注目を集めていました。
コアコンピタンスを生かした新製品

石井:2023年に公表した「TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY」という、走行中に生じるホイールのひずみを利用して発電する技術を活用した2種類のホイールを開発・公表しました。発生させた電気とセンシング技術を融合させたものや、ホイールのIoT化といったさまざまな可能性を追求したホイールです。
今後も高付加価値ホイールを開発し、新たな価値を創造し続け、競争力強化につなげていきます。
商用車用鍛造アルミホイールの販売開始

石井:商用車用鍛造アルミホイールの販売開始についてです。今年5月の「ジャパントラックショー2026」で発表し、販売を開始しました。当社は商用車用ホイールのトップメーカーですが、新たに高付加価値アルミホイールをラインナップに加えることで、商用車用ホイールの総合メーカーとしてのプレゼンス向上を図っていきます。
また、汚れの付着を防ぐ新しい塗装技術によって、車両清掃の負担を軽減するなど、物流業界の課題解決にも貢献できると考えています。
リサイクル事業の高度化

石井:リサイクル事業についてです。社会的にリサイクル需要が拡大していますが、当社はもともと鉄スクラップの回収・選別事業を行っており、リサイクルの知見を有しています。その知見をさらに高度化させることで収益化を図ります。
具体的には、非鉄金属選別ラインの能力を増強し、アルミや銅などの高価な非鉄金属の販売収益拡大を見込んでいます。また、電気炉ダストから亜鉛を再生する新技術について、キノテック社と共同研究を進めており、実用化に向けた検討を行っています。
以上、成長戦略の一環である中期経営計画の主な進捗をご説明しました。
Ken:御社は鉄鋼セグメントや一貫体制を強みとしていますが、リサイクル事業を伸ばしていくうえで、他社との競争を勝ち抜くための競争優位性について教えていただけますか?
石井:1つ目の優位性は、スクラップをリサイクル事業で高品質な鉄スクラップに分別し、鉄鋼セグメントに供給することです。2つ目は、不純物である非鉄金属を精度高く選別・販売することで収益性を高めていることです。さらに、分別後に残るシュレッダーダストを電気炉の燃料として活用しており、まさに循環型ビジネスを体現していると考えています。
リサイクル事業は、単独で伸ばしていくというよりも、当社の原点ともいえる鉄鋼セグメントと一体となって推進することに意味があることをご理解いただければと思います。
Ken:ちなみに、リサイクル事業のポイントは、やはりいかに自社で鉄を回収できるかということになってくるのでしょうか?
石井:スクラップを高度に分別することで高品質のスクラップとして回収し、電気炉で活用できるようになります。また、不純物も分別精度を高めることで純粋な銅などを取り出すことができ、それらの製品価値を高めることができます。このように、一度価値が下がったものを再び価値のあるものに変えるという点で、強みがあると考えています。
Ken:最近は銅価格の上昇もあるため、それらの販売なども可能となっているというイメージでしょうか?
石井:そうですね、そのとおりです。
Ken:よくわかりました、ありがとうございます。
成長投資の加速

石井:成長投資についてご説明します。成長戦略を実行するにあたっては、成長投資が不可欠です。これまで当社は、非鉄金属選別ラインの増強など、リサイクル事業の高度化に向けた設備投資や、海外アライアンス先への出資を実行してきました。
今後は、構造改革の推進に加えて、リサイクル事業のさらなる高度化、高付加価値製品の競争力強化、DX関連の成長投資を計画しています。引き続き成長投資を加速させ、成長戦略を着実に実行していきます。
また、株主還元については計画以上に進捗しています。2027年3月期は、増配に加えて8月5日には13億円の自己株式取得を行いました。
政策保有株式の縮減

石井:政策保有株式の縮減状況についてご説明します。資本効率の改善を目的に、継続的に政策保有株式の縮減を推進しており、2020年以降、実質7割程度の縮減を実現しています。2027年3月末には、連結純資産の10パーセント未満まで縮減することを目標に、引き続き縮減を進めていきます。
株主還元方針

石井:株主還元方針についてご説明します。今中期経営計画期間中は、配当額を減額せず、増額または同等額とする累進配当の方針を掲げています。業績の変動に左右されることなく、より安定的な配当を実施することで、株主のみなさまのご期待に沿う還元を行いたいと考えています。
また、これまで以上に資本効率を意識して、配当額はDOE2.5パーセント程度とする方針です。2026年3月期は過去最高額となる1株当たり130円を実施しましたが、2027年3月期はさらに5円増配し、1株当たり135円を予想しています。
また、自己株式の取得についても機動的に行う方針を掲げています。
Ken:株主還元についておうかがいします。今後さらに利益率の改善に取り組まれ、キャッシュフローがより回るようになり、成長投資に使用しても余剰資金が積み上がる段階になった場合、株主還元のさらなる強化について議論の余地はありますか?
石井:今中期経営計画における株主還元の方針は、DOE2.5パーセントを意識した累進配当と機動的な自己株式取得と考えています。この方針は、中期経営計画期間中に推進する構造改革と成長に向けた種まきの両立と、いわゆる市場の期待などを勘案して、バランスを取って決定したものです。
今後もこの方針に沿った株主還元を継続する考えですが、今月にも13億円の自己株式取得を実施し、2027年3月期にも増配を予定するなど、還元は計画を上回るペースで進んでいる状況です。
次期中期経営計画では、これまでの成長に向けた種まきが収穫・成長のフェーズに入ることで得られる成果を原資に、さらなる株主還元をお示しできるよう取り組んでいきたいと考えています。
Ken:わかりました、ありがとうございます。
株主優待制度

石井:最後に、当社のユニークな株主優待制度をご紹介します。当社は自動車部品を製造していることから、株主のみなさまに「交通の安心」をお届けしたいという思いで、優待として交通傷害保険を付帯しています。3月末または9月末に1単元を保有していただくことで、自動付帯される仕組みであり、車の事故だけでなく、自転車や電車の駅構内でのケガなどにも備えることができるものです。
また、交通傷害保険に加えて、300株以上を保有する株主さまには通院特約を、1,000株以上を保有する株主さまには3,000円分のオリジナルクオカードを贈呈しています。
さらに、2026年3月末からは長期保有株主さまを対象とした優待も追加しました。具体的には、3年以上保有する株主さまに、保有株式数に応じたオリジナルクオカードを年に1回贈呈しています。
当社株式を長期間にわたって保有いただくことで、当社事業の成長を見守っていただければと思います。
以上でご説明を終了します。
質疑応答:今後成長させたい事業・製品について
荒井沙織氏(以下、荒井):フリーアナウンサーの荒井沙織です。「自動車・産業機械部品セグメントなど既存市場の需要変動に左右されにくい収益構造を構築するため、今後成長させたい事業・製品は何でしょうか?」というご質問です。
特に伸ばしていきたいものや収益に直結するものなどについて、あらためて教えてください。
石井:先ほどもご説明しましたが、販売数量の拡大が確実に見込める海外アルミホイール事業が挙げられます。
また、鉱山機械用の直径1.6メートルほどあるホイールについては、OEMシェアで90パーセントを占めています。ただし、OEM市場とアフターマーケット(市販市場)がありますが、実はアフターマーケットのほうが大きな市場です。したがって、アフターマーケットの販売拡大が極めて大きな効果をもたらすと考えています。
OEM市場で90パーセントのシェアを獲得しているということは、品質、コスト、デリバリーが確実に評価されている証拠です。このため、アフターマーケットでのシェア拡大が非常に重要だと思っています。
現在、交換作業の工数を大幅に削減できるような高付加価値製品、具体的には「Evolution Type SGOR」という大型ホイールの製品を展開しており、販売拡大策を着実に進めています。鉱山事業者への直接営業などを通じて、さらなる販路拡大を図っていきたいと考えています。
なお、資料には記載していませんが、新規事業の推進も極めて重要だと考えています。現時点では具体的にご説明することはできませんが、新たな柱となる事業ができればと考えています。
荒井:このような場でお知らせいただける機会を楽しみにしています。
質疑応答:海外戦略について

荒井:「海外戦略についてです。タイやインドネシアだけでなく、他の東南アジア諸国への進出も考えているのでしょうか?」というご質問です。
先ほど、ASEANの内需も取り込んでいきたいというお話がありました。インドについてもお話しいただき、スライドでは海外アライアンス強化のマップも拝見させていただきましたが、海外拠点数・体制としてはこれで完成となりますでしょうか?
石井:基本的には現在の拠点・体制で完成したと考えています。具体的には、インドネシアの連携先であるパコアクイナ社と連携し、ASEAN地域での展開を進めており、特にマレーシア市場に注力していきます。また、この戦略パートナーシップを起点に、欧米市場まで展開し、高付加価値製品の販売拡大に取り組んでいきたいと考えています。
インドでは、ホイールズインディア社とアルミホイールの技術援助契約を締結しました。今後10年で自動車生産台数が倍増以上と見込まれる市場を背景に、プレゼンスを高め、将来的にはジョイントベンチャーで新たな工場を建設することも視野に入れ、連携を強化していきたいと考えています。
荒井:ASEAN地域でのシェアが拡大した場合、このまま1拠点でカバーすることは可能なのでしょうか?
石井:基本的には可能と考えていますが、難しい場合は、より大規模なジョイントベンチャーで工場を建設することなども検討します。基本的に120万本程度の規模で1工場を標準としているため、同規模の受注を獲得できるようであれば1工場設置するという方針で考えています。
質疑応答:為替感応度について
Ken:「為替の感応度を差し支えない範囲で教えてください」というご質問です。
石井:円安が1円進むと連結で月あたり500万円程度の影響があります。ただし、円安によるスクラップ価格の上昇などの影響もあるため、実際にはそう単純にはいきません。
Ken:スクラップ価格が原価に大きく影響すると思うのですが、先ほどご説明いただいたリサイクルの部分がさらに進化すると、その部分も変わってきたりするのでしょうか?
石井:それが1つの目的です。スクラップは選別を強化することで高価なスクラップに変えることができるため、リサイクル事業を強化しています。そのようなところで、スクラップ価格の変動や円安や円高といった為替の変動があっても対応できるようになると考えています。
質疑応答:リサイクル事業の優位性について
Ken:「リサイクル事業では競合が多いと思うのですが、どのような優位性があるのでしょうか? 国内・海外とも伸ばす余地は大きいですか?」というご質問です。
石井:リサイクル事業において、長年にわたり分別精度を向上させる取り組みを続けてきた結果、国内でもトップクラスの分別精度を誇ると思っています。したがって、まずは量を増やすという意味で、昨年リサイクル施設の増設を進め、非常に効果を上げています。
また、亜鉛に関してはキノテック社と共同で進めています。これまでの亜鉛回収の技術としては、非常に高温にして分別する手が一般的でしたが、キノテック社は高温にする必要がなく、低CO2で分別可能な技術を開発しており、この技術を用いたパイロットプラントでの試験結果はかなり良好です。今後は、実用化に向けて工場化を図っていきたいと考えています。
質疑応答:M&A計画について
Ken:「国内外の他社との連携やシナジーを強化しているとのことですが、M&Aは計画しているのでしょうか?」というご質問です。
石井:明確にお答えできることはありません。
大きな観点でいうと、ご存じのように日本の鉄鋼生産量は、過去の1億トンから8,000万トンに減少し、さらにはこの先は6,000万トン程度まで落ち込むのではないかといわれています。すなわち、単純に考えれば、国内の鉄鋼会社の稼働率は6割で十分ということになります。そのため、可能であれば、もっともシナジーを発揮できる企業とM&Aのような取り組みを検討していきたいとは思っています。
質疑応答:海外進出先について
Ken:「海外の進出先は日本車のマーケットシェアの大きいところなのでしょうか? それとも、あまり関係ないのでしょうか?」というご質問です。
石井:かつては、日系メーカーと海外に進出するビジネスモデルが当たり前でした。しかし現在では、例えば中国では日系の自動車メーカーのシェアは低下しています。トピーアメリカの販売先は、8割程度が北米メーカーによるものです。基本的には、現地メーカーに販売するというかたちに大きく変化したと考えています。
Ken:逆にいえば、現地でもシェアを取れるということですね?
石井:はい。日系だけを追い続けても結局は縮小に向かってしまうのが現状で、現地に対応したかたちで進めなければいけないと思っています。
質疑応答:OEMとアフターマーケットの利益率について
Ken:先ほど「海外アルミホイール事業において、大型ホイールのOEMシェアは約90パーセントを占めている」とのお話がありましたが、直販が可能になった場合、OEMとの利益率の差は大きくなるのでしょうか?
石井:実は、OEMよりもアフターマーケットのほうが、若干利益率が高い傾向にあります。ただし、当社の場合は基本的にOEMに特化して設計されているため、アフターマーケットのシェアをいきなり大きく獲得できるかというと、そのようなわけではありません。そのため、必要に応じて現地で半製品を組み合わせて市販品を製造・販売し、市販品の市場を広げていくという戦略を考えています。
OEM製品と異なり、市販品の市場販売数はそれほど多くなく、種類も非常に多いため、あらかじめ在庫として生産しておいても売れないリスクがあります。そのため、注文を受けてから迅速に製造・販売できる体制を強化するべきだと考えています。
Ken:需要を見極めたうえで、迅速に対応できる体制を整えていくということですね?
石井:そのとおりです。実は市販向けの大規模企業はほとんど存在せず、数多くの小規模な会社が各々で強みを持つ製品を製造・販売している状況です。このような市場で大企業が「全部市販をやるぞ」と取り組むのはなかなか難しいのが現状です。
石井氏からのご挨拶
石井:トピー工業についてご存じなかった方も多いかもしれませんが、乗用車のスチールホイールでは2台に1台、商用車スチールホイールでは10台に9台が当社製品を利用しており、非常に身近な会社だとご理解いただければと思います。どうか末永く応援いただければと思います。
成長の道筋についても確実に進めてきましたので、成果が出ると信じています。温かく見守っていただければ幸いです。よろしくお願いします。
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