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半導体・AI関連株の下落で見直されるSaaS・ソフトウェア株

6月終盤から足元にかけて、再び日経平均は非常に大きな値動きを見せており、心穏やかではない投資家もいるかもしれません。

さて、少し前まで株式市場では「SaaSの死(SaaS is dead)」という刺激的な言葉が広がっていました。「SaaSの死」にもいくつかの観点があるため、あくまで大まかな説明になりますが、生成AIやAIエージェントが、従来は業務ソフトが担ってきた作業を代替し、企業が複数のSaaSに料金を払い続ける必要がなくなるのではないかというものです。こうした趣旨の警戒から、国内外のSaaS・ソフトウェア株は、業績の良し悪しを問わず大幅に売られる場面が目立ちました。

2026年もまだ前半しか終わっていませんが、AIのこの1年間の急速な進化は、多くの人の想像を超えている部分もあるため、そうした懸念が出るのはもっともです。

一方、実務的な目線で冷静に見ると、AIが機能を代替できても、特に大手企業の基幹業務に組み込まれたデータ、セキュリティ、法令対応、他システムとの連携まで一気に置き換えるのは容易ではありません。

「SaaSが消滅する」というより、AIを取り込み、業務基盤として価値を高められる企業と、単機能にとどまる企業の選別が進むと考えるほうが自然です。

半導体・AI関連株からの資金循環

さて、話を現在に戻しますが、足元で株式市場における資金の流れが変わってきています。これまで相場をけん引してきた半導体・AI関連株に対し、巨額の設備投資が本当に十分な利益を生むのかという疑問が強まり、利益確定売りが拡大しています。

その一方で、食料、鉄道、医薬品などの内需・ディフェンシブ株が相対的に底堅く推移しています。つまり、市場の資金を吸い上げていた半導体・AI関連株から、逃避資金が別のセクターに向かっているという構造です。

この動きの中で、冒頭で触れたSaaS・ソフトウェア株にも、その一部が向かっています。今回は参考として、テーマ「SaaS・ソフトウェア」に属する銘柄の一部を紹介します。このほかにも関連銘柄があるため、ぜひ調べてみてください。

オプロ(228A)、「帳票DX」「カミレス」の2サービスがISMAP登録 公共機関向けに信頼性を訴求

1.オプロ(228A)

帳票DXや電子申請、販売管理などのクラウドサービスを展開しています。

例えば、同社のクラウド帳票サービス「帳票DX」、公共機関・金融機関向けの電子申請AIプラットフォーム「カミレス」は、日本政府の定めるセキュリティ評価制度「ISMAP」に登録されています

ISMAP登録は、セキュリティ要件が重視される公共機関向け案件において、サービスの信頼性を示す材料になります。こうした特徴を強みに、行政・金融機関向けDXやAI機能の実装が今後の成長材料になります。


▼オプロ(228A)の最新記事を読む▼ オプロ(228A)、2Qは売上高13.3%増・営業利益18.8%増 公共系案件の受注が増収に寄与、AI新製品投入で成長へ

ヌーラボ(5033)、2025年5月にMCPサーバーを公開 「Backlog」をAIエージェントのインフラへ

2.ヌーラボ(5033)

プロジェクト管理サービス「Backlog」が主力です。

「SaaSの死」で問題になる「シートベースの収益モデルの崩壊」や「参入障壁の低下・コモディティ化」などに対して、決算説明会資料の中で真正面から、わかりやすく自社の立ち位置を説明しています。「SaaSの死」問題を理解する一助にもなるため、一読の価値があります。

MCP(Model Context Protocol)サーバーを2025年5月に公開しており、AIエージェントが利用するインフラとしての「Backlog」という構造をつくり上げています。


▼ヌーラボ(5033)の最新記事を読む▼ ヌーラボ(5033)、収益構造改善 「SaaSの死」論を乗り越え、ユーザ無制限モデルとAI戦略で27年3月期は過去最高益更新見通し

フリー(4478)、「freee Agent Hub」を2026年5月に提供開始 会計事務所業務をAIで支援

3.フリー(4478)

会計・人事労務を中心とするクラウド基盤を展開しています。

同社は、統合型AIエージェント「freee Agent Hub」を2026年4月に発表し、同年5月中旬から提供を開始しました。税理士・会計事務所向けに設計されたサービスで、顧問先ごとに分離された環境において、記帳や確認、決算・申告などの業務をAIエージェントが支援します。


▼フリー(4478)の最新記事を読む▼ フリー(4478)、個人事業主セグメントの純増ARRが過去最高 確定申告期の獲得好調、AI活用も加速

Sansan(4443)、名刺・経理・契約データを統合 AI活用を支えるデータ基盤を展開

4.Sansan(4443)

名刺データベースで知られている企業です。

このほか、経理AXサービス「Bill One」、AI契約データベース「Contract One」も手掛けており、社内に分散するデータを統合・高品質化するサービスを提供しています。


▼Sansan(4443)の最新記事を読む▼ Sansan(4443)、調整後営業利益が前期比+137.0%となり過去最高 十分な成長投資を実施、売上高も+24.4%と堅調

野村総合研究所(4307)、基幹システム構築とAI実装に強み 第1四半期は2桁営業増益

5.野村総合研究所(4307)

野村総合研究所(4307)は、シンクタンク機能を持ち、コンサルティングとITソリューションを展開する企業です。同社の特徴の1つとして、企業変革や業務改革に関する知見に加え、大規模・複雑な基幹システムの構築力や、セキュリティを考慮したAI実装力を持つ点が挙げられます。

AIによるビジネス変革も進めており、7月30日に発表した第1四半期決算でも、2桁の営業増益での出だしとなっています。


▼野村総合研究所(4307)の企業情報はこちら▼ 株式会社野村総合研究所 - ログミーファイナンス

資金循環だけで飛びつかず、継続課金・解約率・AI付加価値を確認

ただし、1点注意が必要なのは、決してSaaS・ソフトウェア株そのものがディフェンシブ株になったわけではないという点です。

基本的には将来の成長期待で評価されるため、金利上昇や業績未達には弱く、そうした状況に直面すれば、当然株価の変動も大きくなります。

現在の買いは「安全資産への逃避」というより、あくまで、これまで上昇しすぎた半導体株から、売られすぎたソフトウェア株への資金循環という側面が強いでしょう。

資金循環だけを理由に飛びつくのではなく、

(1)継続課金収入の伸び

(2)解約率

(3)AIが脅威ではなく付加価値につながっているか

などを冷静に確認したいところです。

(※2026年7月30日執筆)

執筆:RAKAN RICERCA株式会社
国内株式を中心とした投資関連のコンテンツ作成・情報配信、企業分析などを主な事業内容としている。日経CNBCなど各種メディアへの出演、『ダイヤモンドZAi』をはじめとしたマネー誌への寄稿も多数。


※記事内容、企業情報は2026年7月30日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。

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