2026年6月期第3四半期決算説明
フリー、個人事業主セグメントの純増ARRが過去最高 確定申告期の獲得好調、AI活用も加速
2026年6月期第3四半期のハイライト

佐々木大輔氏(以下、佐々木):フリー株式会社代表取締役CEOの佐々木です。それでは、2026年6月期第3四半期の決算についてご説明します。
まず、第3四半期のハイライトです。1つ目は、会計事務所向けの統合型AIエージェントとして「freee Agent Hub」のリリースを発表しました。以前、当社のAI戦略として「freeeコックピット」というコンセプトをご説明しましたが、「freee Agent Hub」は専門家にとって正確性とアカウンタビリティを実現するAIとして位置づけています。
イメージとしては、私たちが提供する「Claude Cowork」のようなものであり、特に日本における会計事務所の顧問先業務に最適化したものだとご理解いただければと思います。
2つ目に、個人事業主セグメントでの顧客獲得が順調に進み、過去最高となる純増ARR17億6,000万円を達成しました。このセグメントに関して、私たちにも頻繁に「個人事業主の領域はAIに代替されるのではないか?」とご質問をいただきます。個人事業主の多くの方には複式簿記による帳簿付けが原則として求められており、またAIの活用で、より簡単かつ手軽に確定申告や記帳業務を行うことが可能となります。したがって、強固なブランド構築と継続的な事業成長を実現できる領域であると、あらためて捉えています。
3つ目に、業種別のニーズ対応に関して、こちらも順調に進捗しています。1つは、医療法人向けの会計機能を大幅にアップデートし、「freee for 医療」として提供を開始しました。
また、4月には株式会社ロジクラがグループジョインしました。同社はもともと在庫管理のSaaSを提供していましたが、そのサービスを「freee在庫管理」としてリブランドしました。これにより、在庫管理から会計までシームレスに連携させ、小売りや流通業の業務効率化に貢献します。このように、業種別のニーズ対応をさらに進捗させる見通しが立っています。
それでは、財務の詳細についてCFOの坪井からご説明します。
主要KPI及び財務指標

坪井亜美(以下、坪井):常務執行役員CFOの坪井です。私からは、各財務指標の実績と通期の業績見通しについてお伝えします。よろしくお願いします。
こちらは、主要KPIおよび財務指標を示しています。上段のみを読み上げると、プラットフォームARRが424億円、そのうち法人セグメントは327億円で、前年同期比26.8パーセントの成長となりました。
有料課金ユーザー企業数は71万2,000社、そのうち法人は26万4,000社で前年同期比17.6パーセントの伸長、プラットフォームARPU(平均単価)は5万9,600円、法人は12万3,900円となっています。
プラットフォーム ARR

ここからは、財務指標実績の詳細に移ります。まず、プラットフォームARRについてです。プラットフォームARRは前年同期比23.2パーセント増の424億8,100万円に拡大しました。
内訳として、サブスクリプションARRは、個人事業主セグメントが確定申告期における堅調な顧客獲得により、前年同期比12.4パーセント増となりました。法人セグメントは、新規顧客の獲得がARRを牽引しており、前年同期比24.5パーセントの成長を記録しました。
トランザクションARRに関しては、法人向けクレジットカード事業が引き続き売上を牽引し、前年同期比73.7パーセントという高い成長を維持しています。なお、トランザクションARRは20億円を突破しました。
個人事業主セグメントは確定申告期の獲得が堅調で過去最高の純増 ARRを達成

冒頭で第3四半期のハイライトとして取り上げた個人事業主セグメントのARR進捗について、さらに詳しくご説明します。
佐々木がご説明したように、個人事業主向けのSaaSはAIに代替されるリスクが高いのではないかとの指摘もありますが、純増ARRは年々成長を続けています。今年度は17億6,100万円と過去最高額を更新しました。
特筆すべき点として、獲得効率の飛躍的な向上があります。広告宣伝費に対する獲得ARRで示されるマーケティング生産性は、前年同期比で約2倍に向上しており、強力な収益基盤を構築しています。
さらに、当社ではAIを脅威ではなく追い風と捉え、積極的に活用することで、SORとしての価値に加え、さらなる競争優位性を構築している状況です。具体的には、オペレーションにおけるAI活用として、カスタマーサポートにAIチャットを導入し、その結果、現在AIが90パーセント以上の問い合わせ対応を完遂しており、原価の大幅な抑制を実現しています。
また、提供価値の拡大として、「入力おまかせプラン」を提供しています。こちらは、AIと人のオペレーターを組み合わせた入力・仕訳代行サービスです。今年度よりリリースしましたが、当初の想定を上回る受注を獲得しており、市場の強いニーズを実感しています。
次に、「確定申告AI-OCR」についてです。こちらは、源泉徴収票や控除書類をアップロードするだけで数値や項目が自動入力され、自動計算される機能です。今年の確定申告では、約9万5,000事業所のユーザーに利用されました。
さらに、「ChatGPT」向けのアプリも好調です。こちらは、確定申告に関連した疑問に対し、1万件以上の税理士相談の実際の回答を検索できるアプリです。リリースからわずか2週間で2万件の利用実績を記録しました。
加えて、「freee」のWebサイトへの流入を通じて、有料課金ユーザーへのコンバージョンも発生しており、新たな顧客獲得チャネルとしての可能性を感じています。このように、個人事業主セグメントは非常に強い事業進捗が実績として表れています。
Midセグメント プラットフォーム ARR

MidセグメントのプラットフォームARRは、新規顧客獲得の加速およびクレジットカード事業の拡大により、前年同期比26.1パーセントの成長を達成し、金額としては155億2,200万円まで拡大しました。
有料課金ユーザー企業数及び ARPU (プラットフォーム)

続いて、有料課金ユーザー企業数およびARPUについてご説明します。全社における有料ユーザー企業数は、合計71万2,265社となりました。確定申告期での獲得が進んだ個人事業主セグメントのユーザー数は、前年同期比11.3パーセント増の44万8,155社です。
法人セグメントは、繁忙期の季節性の影響により会計事務所を通じた顧客獲得は想定どおり落ち着いた一方、ダイレクトチャネルでの顧客獲得は伸長し、前年同期比で17.6パーセントの顧客増となりました。
スライド右側の図に示すとおり、ARPU(1ユーザーあたりの平均売上)について、法人セグメントは前年同期比7.8パーセント増、個人事業主セグメントは前年同期比1.1パーセント増となっています。
個人事業主セグメントについては、前年度に実施した価格改定の影響が一巡したことに加え、月額に比べて割安な年額契約の割合が増加したことで、単価の伸びを抑える動きが見られます。一方で、上位プラン比率の上昇を精力的に進めた結果、単価の上昇を実現しています。
個人・法人を合わせた全体で見ると、法人セグメントの比重が高まったことで、ARPUは前年同期比で8.5パーセント成長しました。
売上高

売上高です。第3四半期の売上高は、前年同期比26.8パーセント増の109億100万円と堅調に推移しています。通期業績予想の前年同期比26パーセント成長に向けて、順調に進捗しています。
売上総利益

売上総利益です。第3四半期の売上総利益は90億100万円、売上総利益率は82.6パーセントとなっています。
スライド右側のグラフをご覧ください。括弧内の数値は、ソフトウェア償却費を除いた売上総利益率です。こちらは前四半期比で2.5パーセントポイント上昇し、85.2パーセントとなっています。
この上昇には主に2つの要因があります。1つ目は、実質的な生産性の改善です。特にカスタマーサポートにおいてAIチャットサポートを活用することで効率化が進みました。これにより、前四半期比で約0.4パーセントポイント分の粗利率の改善を実現しています。
当四半期の売上総利益率に影響を与えた2つ目の要因は、管理会計上の費用計上区分の見直しです。当四半期から事業運営の実態に合わせて費用の振替を行っており、具体的には2種類の振替があります。
まず、研究開発目的のAIサービス利用料等について、これまでは全額を売上原価に含めていたものを、実態に合わせてプロダクト開発に使用している費用分をR&Dコストに振り替えています。この影響額は、第3四半期で約1億5,000万円となっています。
次に、プロダクト導入後の利活用支援です。これは、売上を伴わないものの、将来的な継続利用や追加契約につながる顧客維持活動です。この活動に係る人件費のうち、これまで売上原価に含まれていた一部の費用を、S&Mコストへ振り替えています。第3四半期における影響額は約8,000万円となります。
これら2つの振替を合わせると2億3,000万円、原価率で2パーセントポイント強分の振替影響があります。なお、この振替は一時的なものではなく、今後も継続する予定です。
調整後営業利益

調整後営業利益です。第3四半期の調整後営業利益は4億4,500万円、調整後営業利益率は4.1パーセントとなりました。前四半期比で利益率はわずかに低下していますが、これは通期のコストマネジメント計画の範囲内です。費用の内訳は、次のページでご説明します。
販売費及び一般管理費の対売上高比率

こちらは販管費の対売上高比率の四半期推移を示しています。前四半期比・前年同期比とも、対売上高のコスト比率は増加しています。
ただし、全体としてお伝えしたいのは、これらの費用増加はいずれも戦略的な投資によるものだという点です。2027年度以降の売上成長とオペレーティングレバレッジの向上を見込んで、当社は投資を行っています。
ここからは、大きなトレンドを把握するために、前年同期比の数値を示してご説明します。まず、スライド右下のグラフ上、水色のラインで示しているS&M費用の対売上高比率ですが、前年同期比で横ばいとなっています。先ほどご説明したとおり、確定申告シーズンにおける個人事業主セグメントでの広告宣伝投資の効率が大きく改善しています。
一方で、今年度は特に会計事務所とのパートナーシップ強化を目的としたセールスおよびサクセス人員の採用が順調に進展しています。また、売上原価からS&M費用への振替の影響もあり、その結果、人件費の対売上高比率は上昇しています。
次に、R&D費用についてですが、灰色の点線および実線で示しています。実力値として、ソフトウェア資産化の影響を除いた点線のラインにご注目ください。この点線のラインは前年同期比で2.6パーセントポイント増加しています。
これは、開発のさまざまな側面において、特に業種別ニーズへの対応や会計事務所向けプラットフォームの強化、さらにAIプロダクトの強化などに注力する中で、AI駆動の開発体制構築を戦略投資として強化していることによります。この結果、ツールコストは増加していますが、概ね想定の範囲内で推移しています。
また、エンジニア1人あたりのプルリクエスト数で計測している開発生産性は、前年同期比で1.5倍に向上しており、AI投資のリターンが顕在化しつつある状況です。
全体として、人件費を抑制しつつ、プロダクトの拡充およびプラットフォームの付加価値向上を実現できています。
最後に、調整後G&A費用の対売上高比率ですが、前年同期比で微増となっています。コーポレート部門では人件費の抑制を図り、オペレーション効率化を着実に継続しています。一方で、採用人員の増加に伴う採用教育費が増加したため、結果として数値上は微増となっています。
以上をまとめると、S&M費用およびG&A費用の増加は会計事務所向けセールスのための人員増強によるもので、R&D費用は戦略的な開発加速の一環としてAI駆動型の開発環境への投資を行うなど、それぞれ明確な目的を持った戦略投資を実行しています。
これらの投資は、2027年度以降に売上増加というかたちでのリターンや、オペレーティングレバレッジの向上として効果が顕在化する見込みです。
(再掲)調整後フリー・キャッシュ・フロー

調整後フリー・キャッシュ・フローです。当社では半期ごとに実績を開示する方針のため、今四半期での新たな実績開示はありません。こちらのスライドは、第2四半期実績の再掲です。次の半期の実績については、第4四半期決算説明時にご報告します。
通期売上高予想は前期比 +26.0%の41,930百万円

ここからは、2026年度通期の業績見通しについてお話しします。
前四半期にアップデートした売上高予想である、前期比26パーセント増の419億3,000万円の達成に向け、業績は順調に推移しています。利益指標である調整後営業利益および調整後フリー・キャッシュ・フローについても、計画どおり、またはレンジ内での着地を見込んでいます。
(再掲)継続的なコスト効率化と重点領域への成長投資を実行

通期の費用項目別対売上高比率見通しを再掲しています。第3四半期の費用実績は概ね計画どおりに進捗したため、本ページに関しても大きなアップデートはありません。いずれの費用項目についても、こちらに示しているレンジ内での着地を見込んでいます。
(再掲)法人セグメントのポジショニング強化に向けて投資を継続

トップライン成長のドライバーとなる、プラットフォームARRのセグメント別成長見込みについても再掲となります。期初に示した見込みからの変更はなく、概ね期初計画どおりに事業が成長しています。
2028年6月期での Rule of 40 達成に向けたドライバー

ここからはCEOの佐々木より、成長戦略の進捗についてハイライトをお伝えします。
佐々木:中長期的な成長戦略として、4つの領域が重要なドライバーであるとお話ししています。本日の決算説明の中でも、いくつかのハイライトをご紹介したいと思います。
1つ目は、業種別ニーズに対応する点です。
「freee for 医療」と「freee 在庫管理」をリリース 業種別ニーズ対応を加速させ、統合型プラットフォームの提供価値を強化

今回、医療の会計分野において、医療法人での利用を想定し、会計領域における部門別B/Sなど、求められる機能の拡充を行いました。また、病院では通常の決算報告書に加え、厚生労働省への報告資料なども必要とされますが、これらを一括作成できる画期的なソリューションとして「freee for 医療」をリリースしています。
さらに、在庫管理領域ではM&Aを通じて新たに「freee在庫管理」というプロダクトをリリースしました。これにより、在庫管理が会計とシームレスに連携する仕組みを実現します。特に、複数の拠点で在庫を持つECや店舗などのビジネスをターゲットとして展開を進めていく方針です。
引き続き、多様な業種別ニーズに応えるソリューションを、会計のコアプロジェクトや人事労務のコアプロダクトの改善も含めて提供することで、全体的なマーケティングおよびセールス効率の向上を目指していきます。
豊富なPublic APIのアセットとMCPサーバーの提供により AIエコシステムにおける優れたアクセシビリティを実現

次に、冒頭でもご紹介したAI関連のアップデートについてです。「freee」では、リリース当初からパブリックAPIを公開・拡充する戦略を採用してきました。これにより、会計だけでなく人事労務や販売管理など、さまざまな領域において合計343本のパブリックAPIを公開している点が特徴です。
また、今年3月にはこのアセットを活用し、AIからのアクセシビリティを高めるMCPサーバー「freee-mcp」をリリースしました。その結果として、非常に大きな反響を得ています。
例えば、税理士の畠山氏による投稿は、SNSにおいて340万以上のインプレッションを獲得しています。会計事務所という比較的狭い業界でも、このイノベーションが非常に強い注目を集めていることがわかります。
畠山氏の場合は「Claude」から「freee」を利用するかたちでこの投稿の内容を実現していますが、この方法を他のさまざまな会計事務所のみなさまが実践するには、いくつかの課題が存在することもわかってきました。
統合型AI エージェント「freee Agent Hub」のリリースを発表 幅広い会計事務所に向けて業務自動化のソリューションを提供

これらを解決するソリューションとして、統合型AIエージェント「freee Agent Hub」をリリースしました。これは冒頭でもお伝えしたとおり、日本の会計事務所業務に特化した「Claude Cowork」のようなものと位置づけています。
どのようなものかイメージが湧くように、デモ動画をご覧ください。
(動画始まる)
機能1では、チャットの指示だけでAIが実務を自律的に遂行します。例えば「異常値の取引を探して」と入力するだけで、AIエージェントが仕訳データを横断的に分析します。過去の傾向や金額、科目パターンから不自然な箇所を自動検出し、確認すべき仕訳だけをピックアップします。これにより、全件を目視でチェックする手間を大幅に削減し、監査レビュー業務のスピードアップを実現します。
機能2では、税理士会計事務所向けに特化したエージェント「freee Agent Hub」に、顧問ビジネス専用の業務特化型エージェントが標準搭載されています。
その1つが、記帳の効率性を高める自動登録ルール提案エージェントです。対象となる期間や口座を選択するだけで、過去の取引傾向や事務所の記帳ポリシーを分析し、最適な自動登録ルールを自動で提案します。つまり、ユーザーはエージェントに導かれながらチェックを入れ、適用するだけで仕訳ルールの登録・メンテナンスが完了します。
機能3では、顧問先ごとに分離された作業環境を提供するため、混同する心配がありません。「freee Agent Hub」は顧問先ごとに完全に分離された個室のような作業環境を提供します。ログイン情報、作業履歴、ファイルのすべてが顧問先ごとに閉じ込められているため、情報の取り違え事故を構造的に防ぐことができます。
(動画終わる)
佐々木:このようなイメージのものが「freee Agent Hub」になります。あらためて特徴をご紹介すると、こちらはデスクトップアプリとして提供するため、安定した動作が期待できます。加えて、ブラウザに直接アクセスして、他のサイトやソフトウェアとのデータ連携を行うことも可能です。
「freee」自体に最適化されており、「freee」を使用して業務を自動化するプリセットのAIエージェントを今後さらに追加していく予定です。これにより、多くの業務が自動化され、付加価値が高まることが見込まれます。
「freee」のMCPを「Claude」などのAIから活用する際にトークンコストの高さが課題として挙げられますが、プリセットのエージェントを使うことで、トークンを効率的にコントロールできるようになります。
また、「Claude」などを個人の事務所で活用できる場合もありますが、職員を抱える事務所全体のソリューションとして導入する際には、セキュリティ上の課題などから抵抗感が生まれる場合もあります。そうしたセキュリティ面の課題に対して、顧問先ごとに独立したワークスペースを設け、データの取り違いが起きないようにすることは「freee」が担保すべき重要なポイントです。
さらに、大規模な事務所や職員全員での導入においても安心な体制を「freee」として整えることで、AIをMCP経由で活用して「freee」を利用する可能性が大きく広がります。ソリューションが求められる課題に対応することで、私たちはAI活用を一気に進めていきたいと考えています。
現在、さまざまな会計事務所と議論を重ねながら開発を進めているところです。その中で、特にニーズが高そうなエージェントとして、異常値の検出、記帳、外部連携などを選定し、順次開発を進めています。また、その過程で非常に良いフィードバックを受け取っており、「freee Agent Hub」を進めることで、これまでにない非連続的なスピードでニーズに応えることができると確信しています。
会計事務所において「freee Agent Hub」による業務自動化への期待が高まる

特に、先ほどの「freee」のMCPを活用した顧客事例については、現在業界内での認知が非常に高まっています。それにより、さまざまな引き合いがあると感じています。それらのニーズを、当社のソリューションで具体化し提供していく取り組みを進めていきます。
質疑応答:AI関連サービス「freee Agent Hub」のマネタイズ戦略と売上貢献時期について
質問者:AI関連についてです。「freee Agent Hub」は、認定アドバイザーであれば無料で利用できるプロダクトなのでしょうか? AIを活用したサービスのマネタイズ戦略や、いつ頃から売上への貢献を期待できるのかをうかがいたいと思います。
佐々木:「freee Agent Hub」は、まずオープンβとしてリリースする予定です。この段階では、提供できる価値を実感してもらうとともに、当社がフィードバックを受けることを目的としているため、無料で提供します。
その先のフェーズでは、どのような課金体系にするかも含め、サービスを広める観点とマネタイズを進める観点の両方のバランスを取りながら、決定していきたいと考えています。
質疑応答:臨時株主総会における減資の目的と資本政策への影響について
質問者:臨時株主総会の議案として挙げられている減資についてです。80億円程度の剰余金が発生するかと思いますが、これは今期中の資本政策の財源となるのか、それとも来期以降に向けた準備金と考えればよいのかについて教えてください。
坪井:今回、臨時株主総会を開催し、そのタイミングで減資を行います。この減資の目的は、分配可能額を確保することで資本政策の機動性を高めることです。具体的な資本政策のアクションをいつ、どのような規模で実施するかについては、減資の完了後に適切なタイミングで判断し、実施する場合は速やかに開示したいと考えています。
質疑応答:第3四半期KPIの計画比について
質問者:今回の業績について、第3四半期は概ねインラインの進捗だったのでしょうか? 売上高が26パーセント伸びており、上振れているようにも見えます。具体的に、どの程度上振れたのか、御社の想定とのギャップがあれば教えてください。
坪井:社内計画に対しては、概ねインラインで進捗した四半期だったと捉えています。セグメントによっては期待を超えているものもあれば、もう少し伸びてほしかったものもありますが、全社としてはすべてインラインで進捗しています。
質問者:想定以上に伸びたセグメントと、想定よりもう一段の成長が欲しかったセグメントはどこでしょうか?
坪井:想定以上に伸びたセグメントは、個人セグメントと法人Smallセグメントです。一方で、もう一段の成長が欲しかったのは、法人Midセグメントだと思います。
Midセグメントへの期待については、単年で評価するというよりも、3年間で2028年度のRule of 40に貢献するためのさまざまな投資を進めています。
今回のプレゼンテーションで挙げた業種別の開発もその1つですが、これらの投資に対して2026年度中に良いリターンが出てきた場合、それは非常に大きなアップサイドになると考えています。
したがって、その意味では、2027年、2028年に向けて、Midセグメントへの期待をさらに高めていきたいと考えています。
佐々木:Midセグメントの新規獲得社数は順調に伸びており、先行指標として改善すべき点は着実に進捗していると考えています。
質疑応答:第4四半期の投資方針と通期業績予想の着地について
質問者:通期のガイダンスに対して、9ヶ月終了時点では売上・利益とも順調に見えます。一方で昨年度は、利益に余裕が出た局面で投資を積み増し、その結果レンジの下限に近い着地となりました。
今年度は、昨年度と同様に第4四半期で大きく投資する可能性はありますか?
坪井:今年度は、前年度と比べてコストコントロールの精度を高めており、予算執行の後ろ倒し等のトレンドを大幅に抑制できています。
そのため、期初の予算計画に概ね沿って執行を進めています。現時点の見立てでは、第4四半期の調整後営業利益は1桁台後半での着地を見込み、通期でもガイダンスのとおり、調整後営業利益率6パーセントをコミットしています。
そのうえで売上が上振れする場合には、将来の事業成長に向けて最大限投資する方針でコストコントロールを行っています。
質疑応答:来期の採用方針と先行投資の考え方について
質問者:今期の業績はかなり順調に推移しており、会社計画の達成も特に問題なさそうだと思います。そのため、来期の方向性について1点お聞きします。トップラインの動きについて急に大きく変わることはないと思いますが、コストの使い方をあらためて教えてください。
現在進行形で採用を進めている状況だと思いますが、来期は採用人数のモメンタムが落ち着くのか、他の先行投資のコストも含めて、利益回収期に一気に向かうのでしょうか?
あるいは、来期もコストや先行投資がかかり続ける状況になるのか、採用とその他の先行投資に分けて、来期のコストの使い方に関するお考えを教えてください。
坪井:2027年度は、2028年度のRule of 40達成に向けて、売上成長と利益成長のバランスを取る年になると捉えています。
採用については、ご指摘のとおり、現在AI活用を積極的に進めている影響で、全体の社員数のネット純増数は、今年度と比較して来年度は大幅に少なくなる見通しです。
その他の先行投資については、特にAI投資が中心になると考えています。中長期でリターンを見込んでいるため、引き続き2027年度も十分な額を投資しつつ、生産性の改善を図る計画です。モニタリングしながら、予算の配分を行っていきます。
質問者:1点、フォローアップでうかがいます。採用数について効率化が進むとのことですが、今期は期初の想定以上に採用を進めている状況かと思います。
その分の人件費が来期にはフルで寄与するかたちになると予想されますが、その場合、来期に利益面で一気に回収期に向かうようなジャンプアップを期待するのは、少し楽観的で、やはり再来期を中心に考えるべきでしょうか?
坪井:利益の改善幅がより大きいのは、2028年度になるかと思います。
質疑応答:会計事務所連携と業種別開拓について

質問者:御社は創業以来、会計事務所のユーザーを大切にされてきたと思います。生成AIの時代において「freee Agent Hub」などの開発を進める中で、会計事務所との取り組みを深めていく理由を教えてください。

また、20ページに業種別ユーザーの開拓というお話がありました。医療分野を開拓されている理由ですが、会計基準の変更への対応を進めているという認識でよろしいでしょうか? また、医療以外の業種にも高いニーズがあると思いますが、業種別での優先順位の付け方について、お聞かせください。
佐々木:まず、会計事務所の位置づけについてご説明します。「freee会計」をリリースした当初から、会計事務所とのパートナーシップは、一定の投資を行いながら進めていました。プロダクト自体が従来の会計ソフトとは異なり非常にユニークであるといった位置づけだったため、その制約上、イノベーティブな会計事務所を中心にパートナーシップを組み、「freee」を一緒に広めていくかたちで進めてきました。
1つのマイルストーンとしては、コロナ禍が挙げられます。それまでは顧問先でオンラインバンキングを使用している方はごく一部でした。しかし、コロナ禍以降、いろいろな顧問先がオンラインバンキングを使うようになりました。つまり、「freee」のようなソフトを使うほうが効率的だと考えられる事務所がようやく増えてきた背景があります。
そのような中で、「freee」の独特なインターフェースも会計事務所になじみやすいよう調整を進め、「freee会計」を会計事務所向けにフィットさせるための投資をここ数年で行ってきました。
その結果、会計事務所から「『freee』がいいね」と再認識していただき、引き合いが着実に強くなってきました。その中でも、この分野でのAIのインパクトは、頭1つ抜け出ていると思っています。
バックオフィスの効率化そのものは、会計事務所の本業の核になるため、その本業を抜本的に効率化でき、その結果、付加価値を高め、さらなる成長を実現できる機会だと捉える会計事務所が非常に多いと感じています。
また、先ほど共有した「X」での投稿のように、こうした取り組みに対して一気に注目が集まっているという感覚は、私たちも現場で感じています。
したがって、この「freee Agent Hub」は会計事務所向けにAIの価値を届けようと取り組んできたものですが、この取り組みを通じてクラウドシフトをさらに加速できるものとして位置付けています。
これは日本ではまだ時間を要するものの、それ以上のインパクトを「AI×SaaS」で実現できると期待しています。
次に、業種の選び方についてです。医療・福祉業界向けに取り組んでいる理由ですが、「優先的に取り組んでいる」というよりも、いろいろな業種に取り組む中で、直近のハイライトとしてご紹介しているものになります。
大きな流れとしては、「freee」は従来、ITやBtoBのサービス業などで非常によく利用されていましたが、世の中のメインストリームである業種ではまだ浸透が十分ではなく、さらなる拡大が必要です。その中で、メインストリームの業種でも、人事労務は先行して普及が進んでいます。特に医療・福祉分野は、特に私たちの人事労務の強みが発揮できる領域です。
クロスセルの可能性を確保しつつ、より幅広く医療・福祉業界全体に浸透させていくという観点でも、会計機能の強化を組み合わせたパッケージを作って提供していくことの重要性は高かったといえます。このような背景のもとで取り組みを進めています。
今後は、他の業種に向けても、各業界固有の制度・プロセス・ワークフローに対応したソリューションを提供していきます。また、会計や人事労務は業種によってはまだ十分な機能を提供できていない部分もあるため、そこを着実に改善しながら取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:販売管理費の増加要因について

質問者:販売管理費に関する質問です。セールス&マーケティング費用を分解していくと、純粋な広告宣伝費は本当に増えているのか、そして増やす必要が本当にあるステージなのかなどを確認できればと思います。費用別に分解して、四半期ごとの変化を教えてください。
坪井:第2四半期比では、費用付け替えの影響が最も大きく出ています。トータルで見ると、例えば人件費ではそこまで大きく伸びていないかとみています。
また、確定申告期に伴う広告宣伝費の増加も要因です。絶対額で見ると四半期比では増えています。
質問者:広告宣伝費の増加は確定申告の時期によるもので、なにか他のサービスなどに広告宣伝費用を投じているわけではないと認識してよろしいのでしょうか?
坪井:ご認識のとおりです。
質疑応答:AI投資と売上成長の見通しについて

質問者:現在、2027年度の売上高は前年比で20パーセントから23パーセント、2028年度では20パーセント成長を目指されています。
これらの目標を達成するためにさまざまな取り組みを進めているのか、それとも現在の計画を超えて、例えば2027年度も今年度と同水準の25パーセント程度の成長を達成するイメージを持たれているのか、コメントできる範囲で回答をお願いします。
坪井:2027年度の売上成長のイメージは、20パーセントから23パーセントです。一方、2028年度のRule of 40に関しては、売上成長率を可能な限り高いところまで伸ばすことを目指し、さまざまな投資を行っています。
最終的に、例えば売上成長30パーセントを目指せるかというと、それはハイターゲットとして目指す水準になるかと思います。20パーセント台での売上高成長を可能な限り長く維持するという目標を持って、現在の中長期投資を行っています。
質問者:AI関連のサービスをリリースする際に、ユーザーの反応は良くなってきているのでしょうか?あくまで可能性として、一時的に成長が加速するようなことも期待していいのかと思っています。実際には、そこまではまだ至っていないという状況でしょうか?
佐々木:AI関連の引き合いは増えています。特に会計事務所からの引き合いは強いと思っています。ただし、セールスサイクルは長いので、会計事務所の中で十分な導入が進み、業務が変わっていくまでには一定の期間を要します。
AIがあることによって、プロダクトの浸透が今まで以上に進みやすくなるという要素は少なくともありますが、どれくらいの期間で実行していくかは、マネタイズの方法も含めこれから検討しつつ進めていきます。
ユーザーからの反応といった点でも、「freee」がAIで非常に注目されていることが徐々に認知されてきています。例えば「このようなこともできるんですよ」とデモをご覧いただくと、非常に期待していただけるようなケースも増えてきています。
これらの取り組みによって徐々に受注のしやすさが高まっていくような効果は、もちろん一定はあると思います。また、さらにその上に、AIによってダイレクトにマネタイズに結び付けていく道筋を作っていきたいというイメージを持っています。
質疑応答:2028年6月期に向けた利益成長のスピード感について
質問者:来年度に向けた目線についての質問です。2028年6月期に20パーセント増収の600億円の売上高を掲げられています。Rule of 40を適用し、大きなキャッシュアウトがなければ、調整後フリー・キャッシュ・フロー、調整後営業利益いづれも120億円程度になってくると思います。
これもあくまで方向性だけでよいのですが、今年度の調整後営業利益の着地が約25億円、2028年6月期を120億円とした場合、倍々ペースだと25億円、50億円、100億円超といったイメージになりますが、スピード感についてどのようにお考えでしょうか?
坪井:ご指摘のあった利益のスピード感については、概ね私たちもそのように想定しています。
質疑応答:医療分野における拡販チャネルについて
質問者:医療分野を開拓する際、販売先としては、従来からお付き合いがある会計事務所のチャネルなのか、もしくはインターネットのマーケティング、あるいは販売チャネルを持っている専門商社などを活用するのか、どのように拡販していくことをお考えでしょうか?
佐々木:今のところはまず、直販を中心に立ち上げています。そもそもインバウンドでの引き合いもあった領域であるため、それをさらに拡大していくことを足元で進めています。
それから徐々に、おっしゃるとおり、医療法人を顧問先に持つ会計事務所も非常に多くありますので、「このような会社向けにも導入実績がある」という点を訴求していきたいと考えています。
質問者:すでに手応えはあるのですね。
佐々木:おっしゃるとおりです。全般的に幅広い業種において引き合いはあるが、プロダクトが十分対応しきれていないところがやはり多いです。準備が整えば、さらに拡大していくことができると思います。
質問者:当面は、医療機関や病院などの反応を見ながら、機能強化のコストやマーケティング費用もかかりますが、会計事務所向けなどにインセンティブが発生する可能性はありますか?
佐々木:会計事務所向けのレベニューシェアはこれまでにもありますが、非連続的に増えるというようなイメージはないとは思います。
質疑応答:競合他社のセキュリティ事案等による需要影響について
質問者:直近、競合他社の一部で法人カード会社にセキュリティ事案や銀行連携の一部停止といった出来事があったかと思います。商談のリードタイムを考えると、第4四半期の足元で大きな影響は出にくいとは思いますが、需要感が強まっているなど、なにか変化はありましたか?
佐々木:現在のところ、当社で認識している限り、市況感に対する影響はまだ出ていないと考えています。
佐々木氏からのご挨拶
佐々木:本日はありがとうございました。今期も引き続き順調な四半期であったと思っています。今回ご紹介した「freee Agent Hub」については、さらに期待も高まっています。
これによって会計事務所の業務を最適化し、自動化していくという新しいニーズに応えていくことができるため、私自身も非常に期待が高まっています。引き続き、「freee」をよろしくお願いします。
新着ログ
「情報・通信業」のログ





