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政府が2033年に海外市場20兆円を目指すコンテンツ産業

「IP(知的財産)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。IPとアルファベットで表現されると、難しく聞こえるかもしれませんが、実は私たちの生活にも身近なものです。

知的財産には、発明や著作物、商標、ブランド、営業秘密など、幅広い対象が含まれます。このうち、本稿で取り上げる「コンテンツIP」は、キャラクターやアニメ、ゲーム、漫画、小説などの作品や世界観、それらに関連する権利を指します。

日本政府は2002年から「知的財産立国」を掲げ、知的財産の創造、保護、活用に取り組んできました。足元では、高市政権が成長投資の対象として示した「戦略17分野」に「コンテンツ」が含まれています。政府は、複数年度にわたる支援や官民の知見を結集する体制を通じて、コンテンツ産業の海外展開を後押しする方針です。

日本発コンテンツの海外市場規模は、2023年に約5.8兆円となり、半導体や鉄鋼の輸出額を上回り、自動車産業に次ぐ規模となりました。政府は2033年までに、自動車輸出額に匹敵する年間20兆円へ拡大する目標を掲げています。

IPビジネスの魅力は、1つの作品を複数の事業へ展開できる点にあります。例えば、ゲームがヒットした場合、アニメ、映画、グッズ、イベント、海外ライセンス、テーマパークなどへ横展開できる可能性があります。1つのIPを長期間、多方面で活用できれば、継続的な収益源となります。

一方、すべてのコンテンツがヒットするわけではなく、制作費や開発費、広告宣伝費が先行するケースもあります。そのため、IP関連企業の収益性は、権利の保有形態や事業モデル、ヒット作品の有無によって大きく異なります。

近年は、動画配信などのサブスクリプションサービスやSNSが普及し、日本国内だけでなく、世界中へコンテンツを届けやすい環境が整っています。今回は参考として、「IP」をテーマとする関連銘柄の一部を紹介します。このほかにも関連銘柄があるため、ぜひ調べてみてください。

世界的IPを体験価値へ変えるテーマパーク事業

1.オリエンタルランド(4661)

オリエンタルランド(4661)は、「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」を中心とするテーマパーク事業に加え、「ディズニーホテル」などを運営しています。

ディズニーIPは同社の自社IPではありませんが、ウォルト・ディズニー・カンパニーとのライセンス契約に基づき、テーマパークやホテル、商業施設などを展開しています。世界的なIPの魅力を、施設運営や顧客体験を通じて収益化している企業の代表例といえるでしょう。


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複数IPを映画・アニメへ広げるトランスメディア戦略

2.セガサミーホールディングス(6460)

セガサミーホールディングスは、パチンコ・パチスロやゲームの会社という印象が強いかもしれませんが、「ソニック」「龍が如く」「ペルソナ」など、世界的な人気を持つIPを複数保有しています。

近年は、ゲームソフトの販売にとどまらず、映画、アニメ、漫画、音楽ライブ、ライセンスなどへの展開にも力を入れています。既存IPを長期間育成しながら、複数のメディアや地域へ広げる「トランスメディア戦略」を進めている点が特徴です。


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出版起点でアニメ・舞台・グッズへ展開

3.TOブックス(500A)

TOブックスは、ライトノベルやコミックを中心に企画・編集を手がける出版社です。出版に加え、アニメ、舞台、映画、グッズ、イベントなどへの展開を担うコンテンツプロデュース事業を展開しています。

代表作の1つである『本好きの下剋上』は、小説からコミック、アニメ、舞台、グッズ、ドラマCDなどへ展開されています。また、電子書籍も配信しており、紙の出版物にとどまらない収益機会を持っている点が特徴です。

作品を継続的に生み出せるかに加え、出版した作品をアニメやグッズなどへ発展させられるかが、今後の成長を見る上で重要となります。


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約150名のライバーを軸に多層収益化

4.ANYCOLOR(5032)

ANYCOLORは、VTuber・バーチャルライバーグループ「にじさんじ」を運営しています。約150名の所属ライバーが動画配信などを行うほか、リアルグッズ、デジタルグッズ、楽曲、動画、番組、イベントなどを展開しています。

各ライバーのキャラクターや活動が、それぞれIPとしての価値を形成している点が特徴です。配信だけでなく、グッズ販売、イベント、企業とのタイアップ、音楽活動など、1人のライバーを起点に複数の収益機会を生み出せます。

一方、人気ライバーの活動休止や契約非更新、新たな人気VTuberを継続的に生み出せないことは、同社の事業リスクとなります。特定のライバーに依存しすぎず、多数のライバーとファンコミュニティを継続的に育成できるかが重要です。

VTuber市場はファンの熱量が高く、配信以外のグッズやイベントにも消費が広がりやすい点が特徴です。ただし、ファン層の拡大や海外展開の進捗、ライバーの継続的な育成などを確認する必要があります。


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7,064万7,379票が示すキャラクターIPの強さ

5.サンリオ(8136)

サンリオは、「ハローキティ」を筆頭に、「マイメロディ」「クロミ」「シナモロール」「ポムポムプリン」など、長年にわたり国内外で親しまれているキャラクターを展開しています。

毎年開催される「サンリオキャラクター大賞」も恒例イベントとして定着しています。2026年の総得票数は過去最多の7,064万7,379票となり、ファン基盤の厚さを示しました。

近年は、「ハローキティ」だけに依存しない複数キャラクター戦略を進めています。国内外の企業とのライセンス展開や、SNSなどを通じた継続的な露出が業績拡大につながっており、キャラクターIPを長期間育成する力を示しています。

2026年3月期は、売上高、営業利益ともに過去最高を更新しました。海外では、アパレル、玩具、美容関連商品など、幅広いカテゴリーでライセンス事業が拡大しています。


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IP関連企業を見極める6つのポイント

IP関連企業を分析する際は、売上高だけで判断するのではなく、営業利益率、ライセンス収入の比率、地域別売上高、IPごとの収益構成なども確認する必要があります。

特に重要となるのは、次の点です。

  • 新しいIPを継続的に生み出せるか
  • 既存IPを長期間育成できるか
  • 映像、出版、グッズ、イベントなどへ横展開できるか
  • 海外市場でファンを獲得できるか
  • 特定の作品やキャラクターに依存しすぎていないか
  • IPに関する権利をどの程度保有しているか

ヒット作品は事前に予測することが難しい一方、一度ブランドとして定着すれば、10年、20年と収益を生み続けるケースもあります。そのため、足元の業績だけでなく、IPを生み出し、育成し、事業化する仕組みを持っているかが重要です。

政府支援と海外展開が生む新たな成長機会

政府は、ゲーム、アニメ、漫画を中心とする日本のコンテンツ産業が高い国際競争力を持つと評価しています。いわゆるオタク文化や「推し活」の広がりも、日本発のコンテンツやキャラクターを土台とした消費・経済行動の1つと捉えられます。

国による支援体制の強化や海外展開の促進によって、日本のIP関連企業に新たな成長機会が生まれるのか、今後の動向が注目されます。

(※2026年7月17日執筆)

執筆:RAKAN RICERCA株式会社
国内株式を中心とした投資関連のコンテンツ作成・情報配信、企業分析などを主な事業内容としている。日経CNBCなど各種メディアへの出演、『ダイヤモンドZAi』をはじめとしたマネー誌への寄稿も多数。


※記事内容、企業情報は2026年07月17日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。

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