2027年3月期第1四半期決算説明
スカパーJSAT、1Qは増収増益で着地 宇宙・メディア両事業が順調に進捗、安全保障領域・光アライアンス事業が拡大
はじめに
米倉英一氏:みなさま、こんにちは。代表取締役執行役員社長の米倉です。本日はスカパーJSATの決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
このたびの熊本での地震により被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興とみなさまの安全を心よりお祈り申し上げます。
業績ハイライト

2026年度第1四半期の業績ハイライトについてご説明します。第1四半期は、宇宙事業とメディア事業の両方が順調に進捗し、増収増益となりました。
連結四半期純利益は前年同期に対し150パーセントにあたる82億円となり、年間見通し270億円の達成に向けて順調なスタートを切ることができました。宇宙事業では、今期よりスタートした防衛省向けの「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を含む安全保障領域の取引拡大が計画どおりに進み、増収増益を達成しています。
メディア事業については、期初にお伝えした今後の成長の軸となる光アライアンス事業が拡大し、メディア事業全体で増収増益に転じています。後ほど、メディア事業のパートでもご紹介しますが、スカパー東京メディアセンターを活用したメディアソリューション事業も、今後拡充を図りながら、部門として安定的に100億円を稼ぐ事業基盤を構築していきます。
決算の詳細については、この後CFOの久保よりご説明します。また、各事業における今後の取り組みについては、宇宙事業、メディア事業それぞれの担当取締役である山下および中川から詳しくご説明します。
連結業績概況

久保勲氏:CFOの久保です。どうぞよろしくお願いします。私からは連結業績概況についてご説明します。
冒頭で社長からご説明しましたが、第1四半期は宇宙事業とメディア事業の両事業ともに、通期予想の達成に向けて順調に進捗しています。営業収益は334億円で前年比12パーセントの増収となり、営業利益は109億円で前年比36パーセントの増益、当期純利益は82億円で前年比49.6パーセントの増益となりました。EBITDAは147億円で前年比24.1パーセントの増加となっています。
セグメント別業績概況:宇宙事業

セグメント別の業績についてご説明します。まず、宇宙事業についてです。
営業収益は175億円で、前年同期比30億円の増収となりました。昨年12月末に受注し、今期4月より開始した防衛省向け「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を含む安全保障領域でのスペースインテリジェンス事業の拡大が主な増収増益の要因です。
営業費用については、増収に伴う原価増などにより前年同期比で18億円増加し、111億円となりました。その結果、営業利益は64億円、セグメント利益は46億円となり、いずれも前年同期比で20パーセント超の増益となりました。
セグメント別業績概況:メディア事業

メディア事業についてです。営業収益は173億円で、前年同期比で4億円の増収となりました。これは、光アライアンス事業における光再送信サービスの料金改定や接続世帯数の拡大により、営業収益が前年同期を上回り、メディア事業全体として増収となったためです。
一方で、営業費用は「ブンデスリーガ」の放送配信終了や、2025年第2四半期でご説明したコネクテッドTVの事業化検証終了の影響などにより、13億円減少して126億円となりました。その結果、営業利益は47億円、営業利益率も前年同期の17パーセントから27パーセントへ大幅に向上しました。セグメント利益は33億円となり、前年同期比で62.4パーセントの大幅な増益を達成しました。
増収に加え、オペレーションの最適化がさらに進展したことにより、事業全体として増収増益の基調を維持しています。
連結キャッシュ・フロー、連結財政状態

連結キャッシュ・フローと財政状態についてご説明します。まず、スライド左側の連結キャッシュ・フローをご覧ください。
営業キャッシュ・フローは167億円となり、営業収益の増加と高い利益率によるキャッシュ創出力により、年度見通しに対して順調に進捗しています。投資キャッシュ・フローは186億円のキャッシュアウトとなりました。これは後ほど宇宙パートにてご説明するKaバンド通信衛星「HYLAS 3」の調達を中心に、将来に向けた積極的な投資を計画どおりに実行したことによるものです。この結果、フリー・キャッシュ・フローはマイナス20億円となりました。
財務キャッシュ・フローは、長期借入金の返済約60億円および配当金の支払い約65億円などにより、128億円のキャッシュアウトとなりました。なお、2026年度の見込みは外部借入を行わない前提となっていますが、市場環境や財務状況を踏まえ、必要に応じて外部借入による資金調達も進めていく方針です。
スライド右側の連結財政状態についてご説明します。先ほどご説明したキャッシュ・フローの影響により、第1四半期は現金及び現金同等物が146億円減少し、430億円となりました。通期見込みの420億円に近い水準ですが、第2四半期以降も設備・事業投資を継続する一方で、営業活動を通じて確実にキャッシュを創出し、3ヶ月を超える定期預金の一部満期到来を見込んでいます。
スライド左側の投資キャッシュ・フローの内訳に示されているとおり、通期での700億円の設備・事業投資に向けて、着実に投資を実行していきます。
安全保障領域における進捗

山下照夫氏(以下、山下):宇宙事業を担当している取締役の山下より、宇宙事業についてご説明します。まず、「HYLAS 3」の取得についてです。
通信関連事業の基盤強化を目的に、Avanti CommunicationsよりKaバンド通信衛星「HYLAS 3」を取得しました。取得の背景としては、安全保障分野における衛星通信需要の拡大が挙げられます。日本のみならず東アジア全体で、防衛や安全保障用途における衛星通信の重要性が高まるとともに、従来のKuバンドに加えて、大容量高速通信を可能にするKaバンドへの需要が増加しています。
防衛衛星通信市場は、2026年から2030年にかけて年平均約18パーセントで成長すると見込まれており、当社としても成長が期待される市場と位置づけています。このような需要に迅速に応えるため、当社はすでに静止軌道上で運用されている「HYLAS 3」を取得しました。新たな衛星の打ち上げを待たず、早期にKaバンド通信サービスを提供できる体制を整えます。
「HYLAS 3」はKaバンドによる大容量通信に加え、マルチスポットビームを備え、日本を含む東アジアで広域なサービス提供が可能です。これにより、従来のKuバンドを中心とした通信サービスにKaバンドを加えたマルチバンド体制を構築し、お客さまのニーズに応じた柔軟で信頼性の高いサービスを提供していきます。さらに、現在調達中の衛星にもKaバンドを搭載しています。
「HYLAS 3」により、安全保障分野のKaバンド需要をいち早く取り込み、今後の衛星フリートを活用してサービス提供能力を拡大することで、通信事業の収益成長につなげていきます。このKaバンドを活用した安全保障通信事業については、2027年度から2036年度までの10年間で200億円以上の収益機会を見込んでいます。
事業拡大を支える拠点戦略

事業拡大を支える拠点戦略についてご説明します。当社では、事業拠点を単なる衛星運用設備ではなく、自社衛星の運用に加えて高付加価値サービスや新たな事業領域の創出を支える事業基盤と位置づけています。
「HYLAS 3」の取得や「JSAT-31」「JSAT-32」など新たな衛星の導入に伴い、フリートは拡大します。また、「Superbird-9」や「JSAT-31」では衛星機能を高度化するため、それを支える地上局の拡張・高度化を進めます。
一方、これらの拠点は自社衛星の支援に留まらず、新たな収益を生み出す基盤として機能しています。具体的には、防衛省、JAXA、QPS研究所向けの衛星運用受託や、KSATとの連携によるグローバルな地上局サービスの提供に加え、7月にはispaceと覚書を締結し、月面着陸ミッションに向けた通信実証の検討も開始するなど、事業領域を着実に拡大しています。
このような事業拡大を支えるため、2030年までに拠点数を現在の6拠点から7拠点へと拡大するとともに、既存拠点の機能強化を進め、敷地面積も約1.5倍に拡大します。横浜衛星管制センターの拡張や熊本ネットワーク管制センターの新設など、2030年までに400億円を超える地上インフラへの投資を計画しています。
この拠点戦略により、自社フリートの競争力を高めるとともに、衛星運用受託や地上局サービス、さらには月や深宇宙分野へ収益機会を広げ、持続的な成長につなげていきます。
メディアソリューション事業

中川大介氏(以下、中川):メディア事業を担当している取締役の中川です。メディア事業では、放送事業を安定収益の第1の柱、光アライアンス事業を第2の柱と位置づけています。そして、本日ご説明するメディアソリューション事業を第3の成長領域として育成することで、2030年度に向けた事業ポートフォリオの転換を進め、増収増益を目指しています。
メディアソリューション事業は、「スカパー!」が30年間培ってきた放送・配信に対応した技術基盤、運営ノウハウ、豊富なライブ中継などの映像伝送実績、そしてスカパー東京メディアセンターの高品質な設備を活用して展開する事業です。
当社はこれまで、プロ野球やサッカーをはじめとする国内外の主要スポーツイベントを中心に、1万5,000件以上のライブ・イベント制作を手がけてきました。また、スカパー東京メディアセンターを経由するライブの映像伝送実績は、プロ野球やサッカー、音楽、高校スポーツ、公営競技を中心に、年間1,500イベント、2万5,000時間を超えています。これらの豊富な制作・映像伝送実績を通じて培った設備、技術、運営ノウハウが当社の競争優位性となっています。
スカパー東京メディアセンターの設備や拠点といった有形資産に加え、30年にわたり培ってきた運営ノウハウという無形資産を活用することで、新たな大規模投資を行うことなく事業拡大を図ることができます。そのため、資本効率の高い成長が期待できる事業モデルとなっています。
第1四半期においては、スポーツ・エンターテインメント関連事業者、公営競技運営事業者、会員組織・団体など幅広いお客さまに加え、「DAZN」や「ABEMA」といった配信プラットフォーム事業者とのライブ取引も開始しました。「DAZN」については、先日開催されたサッカーの世界大会に関連する取引です。
今後もスカパー東京メディアセンターのアセットを最大限に活用し、新たなお客さまの獲得と提供サービスの拡充を進めることで、収益基盤の強化に取り組んでいきます。
営業収益については、2026年度に75億円を達成し、2030年度には100億円以上を目標としています。メディアソリューション事業をメディア事業の第3の柱として成長させ、持続的な成長につなげていきます。
質疑応答:宇宙事業におけるKaバンドの需要先について

質問者:先ほどご説明があった、宇宙事業におけるKaバンドの需要についてです。10年間で200億円の収益機会を見込んでいるとのことで、単純計算では年間20億円となります。この需要は東アジアでの政府向け安全保障需要を指しているのか、それとも日本も含まれるのでしょうか? また、民間需要も含まれるのか、そのあたりの需要先について教えてください。
山下:Kaバンドの需要については、主に安全保障用途となります。特に東アジア地域において、移動体向け通信などの需要が非常に高まっています。そのため、当社は現在調達中の衛星よりも前にサービス提供を開始し、さらなる収益拡大を目指していきます。その累計が10年間で200億円以上に達する見込みです。
質疑応答:横浜と熊本の衛星管制センターへの投資規模と完成時期について

質問者:地上局の件ですが、横浜と熊本の新しい衛星管制センターについて、投資規模と完成時期を教えてください。
山下:横浜と熊本の投資規模は約100億円を予定しています。また、工事は今年度から来年度にかけて着手し、2028年の竣工を目指す予定です。
質問者:両方の合計で約100億円ということでしょうか?
山下:おっしゃるとおりです。
質疑応答:光学衛星10機および「Superbird-9」の打ち上げスケジュールと影響について

質問者:今回の衛星スケジュール、フリートの表を見ると、光学衛星10機は2027年から、「Superbird-9」は2027年から2028年と記載されています。「Superbird-9」は1年遅れとなり、光学衛星も今年中には打ち上げないということで、少し遅れていると思います。この光学衛星10機の今後のスケジュールについて、「Superbird-9」による影響はあるのでしょうか?
山下:フリートに関して、まず光学衛星の「Pelican」10機についてですが、当初は2026年12月の打ち上げを予定していましたが、若干遅れが生じています。その理由としては、開発の遅れというよりもロケットのスケジュール調整が主な要因であり、2027年前半での打ち上げ、さらに2027年度中に10機を打ち上げる計画で進めています。ほぼ予定どおりといえる状況です。
一方で「Superbird-9」については、2027年から2028年に打ち上げを1年ずらした理由があります。要因は2点あり、1つは一部の搭載機器の開発に若干時間を要していること、もう1つは打ち上げのスケジュール調整が必要となり、2028年の打ち上げを予定しています。
この2028年に打ち上げ予定を変更したことによるフリートプランへの影響は特にありません。
質疑応答:メディア事業の増益要因と「スカパー!」
契約数減少への対応について
契約数減少への対応について

質問者:メディア事業についてうかがいます。経費効率化の効果は今期業績によく表れていますが、「ブンデスリーガ」に関連する費用削減は第2四半期以降には一巡するという理解でよろしいでしょうか? 一方で、光再送信サービスの値上げは昨年11月に行いましたので、その値上げ効果は今後も継続するのでしょうか? また、「スカパー!」の契約数の減少が少し大きいように感じますが、今後の状況はいかがでしょうか?
中川:おっしゃるとおり、「ブンデスリーガ」については、第1四半期で配信終了となります。また、光再送信サービスの値上げについては昨年12月に実施しており、その影響により11月までは前年比で大きくプラスに出てきます。
契約数の減少に関しては、ご指摘のとおり解約が多い状況です。その対策として基本プランのキャンペーンなどを実施しています。また、事業者と協力し、編成の強化にも取り組んでいます。
質疑応答:宇宙事業におけるグローバル・モバイル分野の収益増の背景について

質問者:宇宙事業のグローバル・モバイル分野についてです。今回、為替を除くと前期比プラス5億円と好調でしたが、これは前期の第1四半期で実績が少し低かったからなのか、あるいは事業環境でなにかポジティブな動きがあったからなのか、背景について教えてください。
山下:グローバル・モバイル分野については、市場環境は引き続き厳しい状況です。一方で、今期第1四半期には一過性の収益増があり、その影響で前年に比べ収益が上振れしている要因があります。とはいえ、楽観視はしておらず、引き続き非常に厳しい環境の中で、サービス提供を継続できるよう営業を推進しています。
質疑応答:「HYLAS 3」を含むKaバンドの収益見込みについて

質問者:「HYLAS 3」は来期初頭から運用開始予定とのことですが、10年で200億円超の収益機会を見込んでいるのは、単純計算で年間20億円の収益寄与を来期から見込めるということでよろしいでしょうか? もしくは序盤は少し償却費が先行する局面もあり得るのでしょうか?
山下:来期からの運用については、お話しいただいたとおり、初期はやはり立ち上がり期間となるため、平均して20億円ではなく、徐々に増えていくことを予定しています。また、200億円以上という数字については、「HYLAS 3」だけではなく、「JSAT-31」「JSAT-32」にもKaバンドのミッションを搭載しており、これらKaバンドの商権全体で200億円以上という目標を掲げています。「HYLAS 3」の売上が立ち、その後「JSAT-31」「JSAT-32」が加わることでさらに増収を図り、200億円以上を達成していきたいと考えています。
質問者:2030年度に安全保障向け通信関連の売上高として200億円を計画されていますが、そのうち2030年度の断面では、Kaバンドはどの程度の売上イメージを計画されているのでしょうか?
山下:2030年度におけるKaバンド単体の数値については公表していませんが、通信関連の200億円のうち数十億円程度と推計していただければと思います。
質疑応答:Kaバンド需要とフリート計画の見通しについて
質問者:Kaバンドの需要については、防衛省による無人機の調達計画に伴い、回線需要の高まりが期待できると考えています。しかし、2030年度に数十億円規模の売上達成を目指すにあたり、現在発表されているフリートだけで対応可能なのか、それとも追加投資が必要になるのか、今後のフリート計画の見通しを教えてください。
山下:現時点では、今回調達した「HYLAS 3」および「JSAT-31」「JSAT-32」のKaバンドで、数十億円規模の売上を達成する見込みです。我々としては、これらの商権にはまだ拡張の余地があると考えています。そのため、さらなる増収に向けて新たな設備投資を行う可能性もあります。現在決定しているものはありませんが、今後決まり次第、このような場でお知らせしていきたいと思います。
質疑応答:Kaバンドのキャパシティと今後の成長余地について

質問者:Kaバンドについて、この売上高200億円という金額は、御社の現状のフリートキャパシティによってかなり制限されているのか、それともキャパシティの観点から、さらに上振れを目指す余地があるのか教えてください。
山下:Kaバンドのキャパシティについては、一部まだ余力があります。さらなる上積みに向けて、さまざまな施策を講じたいと考えています。通信需要については、約5年で1兆円を超えるレベルで予算計上されると見込んでおり、この需要を確実に収益につなげていきたいと考えています。200億円以上の成果を目指し、新たな施策も加えながら、さらなる成長を目指す方針です。
質疑応答:Kaバンドへの投資効率について
質問者:Kaバンドは10年間で売上高200億円の見通しとのことですが、今後の固定費増加などを考慮した場合、投資効率の観点でこれまでの通信ビジネスと比較すると、どのような位置づけになるのでしょうか? 現状のKaバンドにおける「HYLAS 3」と、今後予定されている「JSAT-31」「JSAT-32」を含めて具体的に切り分けることが可能かはわかりませんが、Kaバンド全体の観点で見ると、これまで打ち上げた通信衛星や「Pelican」の事業と比較した際に、ROIの観点から現状どのように見ているのかをお聞かせください。
山下:投資効率の観点かと思いますが、今回の「HYLAS 3」については、通常の当社の衛星調達とほぼ同規模、同効率の投資で取得しています。一方、「Pelican」については事業分野の違いも考慮しており、効率は当然同じか、もしくはそれ以上を目指しています。
質疑応答:宇宙事業におけるグローバル・モバイルの競争環境と新衛星の競争力について

質問者:宇宙事業におけるグローバル・モバイルの競争環境についてです。競争環境は引き続き厳しいとご説明がありましたが、具体的にどのような状況なのでしょうか? SpaceXの直近の決算では、航空機向けが好調であると強調されていました。顧客のリプレイスが一部起きているのか、単価交渉が激しいのか、またどのようなプレイヤーに対して競争環境が厳しいのかについても補足をお願いします。
山下:グローバル事業の競争環境については、ご指摘のとおりです。これはIFC(In-Flight-Connectivity:航空機向け通信)に限らず、航空機向けの取引においても価格競争が非常に厳しい状況です。その要因として、SpaceXの「Starlink」や、今後立ち上がると予想される「Amazon Leo(アマゾンレオ)」といった単価の低いプレイヤーとの競争の中で、当社は商権を維持・拡大しようと非常に厳しい環境で営業活動を行っています。
質問者:そちらに対して、御社が新たに打ち上げる衛星や今回取得される衛星がどれほどの競争力強化につながるのでしょうか? 定性的でもかまいませんので、補足でコメントをいただけないでしょうか?
山下:現在調達しているフルデジタル衛星と呼ばれる「Superbird-9」「JSAT-31」は、大容量化が進み、1つの衛星に積めるキャパシティが10倍以上に増加しています。それにより、単価の競争力が向上しています。この2つの衛星で十分に戦えると判断し、営業活動を進めています。
質疑応答:防衛省の概算要求と注力分野への期待について
質問者:月末の防衛省の概算要求についてです。来年度以降の安全保障需要を考える上で、重要な論点の1つと整理しています。御社としてなにか予算拡大の期待値の濃淡や、どのような領域に期待されているかなど、可能な範囲でコメントをいただけますか?
山下:予算については、期待を込めて待っているというのが現状です。防衛省の注力分野には宇宙が含まれており、特に情報収集能力である画像や衛星データに対する予算の確保や、宇宙環境を把握するための宇宙状況監視といった分野への新たな予算配分を非常に期待しています。
私どももこれに備え、SDSの衛星打ち上げなどの取り組みを進めており、このような分野への期待を大いに寄せています。
質疑応答:中古衛星・設備の活用によるCAPEX削減の可能性について

質問者:「HYLAS 3」関連についてです。今回、Avanti Communicationsがかなり苦しい状況だったのではないかと見ており、そこから衛星を取得できたのだと想像しています。最近では、ヒューズ・サテライト・システムズも破綻し、今後、LEOとGEOの衛星市場がさらに激化するのではないかという話の中で、良い中古衛星を安価に購入できる機会が増えるのではないかと思っています。そのような状況は御社のCAPEX削減につながるのではないかと考えていますが、その点についてどのように捉えればよろしいでしょうか?
山下:ご指摘のとおり、「Starlink」をはじめとするLEOとの競争が非常に激化しており、特に衛星を利用したインターネット接続サービスの競争が著しい状況です。そのような中で、Hughes Network Systems(HNS)のチャプター・イレブンの話もありましたが、私たちは、もし安価に取得可能な資産があれば、もちろん自社のフリートに加える方針です。
これは必ずしも宇宙事業に限らず、地上設備などについても安く購入できる機会があれば、それを活用してCAPEXを抑え、さらなる利益拡大を図ることを検討しています。この環境をうまく活用することが、我々にとって1つの施策であると考えています。
質疑応答:Kaバンド需要への手応えについて
質問者:今日のお話をうかがい、Kaバンドの需要が非常に強いという印象を持ちました。Kaバンドの需要の旺盛化が、防衛を中心に盛り上がるという内容であれば、昨日の段階では「新しい衛星を調達してもよいのでは?」と思っていました。
早さの観点が重要であることは認識しつつも、中古の衛星を調達しているのは、需要が不透明なためリスクを抑えたい意図なのかとも感じました。ただ、Kaバンドの需要が伸びる方向にあることは理解できました。ここに向けての手応えとして、自信があるのかないのか、少し不明確な部分があります。その点についてどのように理解すればよろしいでしょうか?
山下:中古の衛星を取得した一番の目的は、時間を稼ぐことです。Kaバンドのミッションについては、当社が現在調達している「JSAT-31」「JSAT-32」にも搭載していますが、それに先駆けて、この中古衛星を活用し、製造を待つことなく早期にサービスを展開したいと考えました。そして、ここからさらに「JSAT-31」「JSAT-32」によって収益規模を拡大していくことを狙っています。このため、リスクの観点よりも、需要が高まる中でいち早くサービスを提供することを優先し、取得を決定しました。
質問者:「HYLAS 3」の取得については、中期経営計画にすでに織り込まれている話なのか、今回新たに出てきた話で中期経営計画に含まれていないのか、どちらのイメージですか?
山下:こちらは中期経営計画に織り込み済みです。
質問者:御社としては、想定どおりということですね。
山下:そのとおりです。
質疑応答:中長期的なフリート最適化の方向性について

質問者:今回、中古の衛星を調達されるとのことですが、中古の衛星であるため寿命が相対的に短いのではないかと思います。また、アストロスケールと寿命延長に関する話などを行っているのではないかとも考えています。さらに、次世代衛星において容量が大きくなるといった点も含め、これらの要素を踏まえると、フリート再編に向けて動き出している印象を受けました。
これらの一連の取り組みは、御社の長期的なフリート戦略に基づいたものなのでしょうか? それとも個別の取り組みが結果として多様な動きにつながっているという話なのか、どのように理解すればよいのか教えてください。
山下:いわゆる寿命延長サービスについても、私たちとしては1つの選択肢と捉えています。フリートは適宜最適化を図りつつ整備を進めています。中長期的な視点で最適なフリートを実現するために、常に検討を重ねているところです。
そのため、現在調達している衛星以降のフリートプランについても、すでに検討を進めており、ご指摘のあった寿命延長サービスなどを活用しながら、より効率的なフリートを形成し、利益を上げていきます。これが私たちの考え方です。
質疑応答:航空機向け通信市場におけるマルチオービット化の影響について
質問者:IFCに関して、数ヶ月前にボーイングがSESのマルチオービットアンテナをラインフィットしたという話と、JALがSESのマルチオービットアンテナを「ボーイング737」などに導入するといった話もあったと思いますが、JALやANAは御社のエンドユーザーとして重要な顧客だと考えています。このような重要な顧客の中で、GEOとLEOの競争のような状況に発展しそうな雰囲気を感じ取っていますが、そのような理解でよろしいでしょうか?
山下:マルチオービットアンテナは、LEOとGEOの両方が利用できるため、採用が拡大しています。その理由として、要求されるキャパシティが大幅に増加していることが挙げられます。「Starlink」に加えてGEOも使い、GEOに加えて「Starlink」も利用するような用途を各航空会社が検討されています。
このような状況の中、当社としても従来のGEOを提供するとともに、競争力を高めてLEOにも対応していきます。この需要拡大に向けて、大容量キャパシティの整備を進めて対応を図っていきます。マルチオービットアンテナの搭載は、当社にとってメリットやアドバンテージになると考えています。
質問者:御社にとってのメリットについてですが、LEOで提供できるキャパシティについては、現時点では「Amazon Leo」などで収益を上げるといった話があるのは理解しています。あまりメリットがなさそうな印象を持っていますが、この点についてどのように理解すればよろしいでしょうか?
山下:LEOで提供するというよりは、GEOで確実にサービスを提供できるアンテナだということです。もし「Starlink」専用アンテナが設置されると、当社にとって対抗や競合などの競争が非常に制約される状況になります。そのような中で、各航空会社はマルチオービットアンテナにより、GEOのキャパシティも活用できる体制を整えています。これは、当社にとってアドバンテージであると考えています。
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