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DIC株式会社4631

東証プライム

化学

ハイライト

池田尚志氏(以下、池田):本日は、DIC株式会社の2026年12月期第2四半期決算説明会にご参加いただきありがとうございます。代表取締役社長執行役員の池田です。まず、私から全体的な状況をハイライトとしてお伝えします。

上期全体の総括として、売上高は5,930億円で、前年同期比13.3パーセントの増収となりました。特に注力しているケミトロニクス事業が25.5パーセントの大幅な増収を達成し、好調です。その結果、営業利益は前年同期比92.2パーセント増の518億円となり、過去最高益を達成しました。

下期を含めた年間の見通しでは、各セグメントで高付加価値製品の拡販が引き続き進捗する見込みです。一方で、上期には中東情勢に伴う在庫の積み増しや、一部前倒しの受注などの影響があり、これらの反動が見込まれます。

こうしたリスクを織り込んだ上で、年間の営業利益も過去最高益を見込んでおり、前年同期比49.4パーセント増の780億円を予測しています。さらに、当期純利益も480億円に上方修正しました。こちらも過去最高益となる見通しです。

スライドに記載している年間全体の見通しを踏まえ、特に当期純利益の見通しが大幅に上振れしていることを受け、総還元性向40パーセント以上という方針に基づき、当初計画から追加となる増配と自己株式取得を決定しました。

これにより、1株当たり年間配当は150円、自己株式取得は100億円となる予定です。これに伴い、総還元性向は50パーセントとなる見通しです。

中東情勢の当社事業への影響について

今お話しした中東情勢についてです。上期から非常に注視し、最善を尽くして取り組んできました。

スライド上段は、第1四半期の発表時にお伝えした内容です。これを踏まえ、今回は下段に現時点での見解をまとめています。

第1四半期と比較すると、調達制約のリスクはかなり低減したものの、最近は再び緊迫化している部分もあり、予断を許さない状況です。先行きについても、引き続き緊張感を持って推移を見守っています。

ただし、原料の確保については、ある程度目途が立っている部分もあり、サプライチェーンの取引先やお客さまと連携して対応しています。全体として、安定供給への要請が非常に高まっている状況です。

特にアジアや日本では、一時期、原料供給が非常に逼迫していたため、私どもも原料確保を最優先課題とし、価格よりも物の確保を重視して奔走しました。

その結果、お客さまにこうした事情をご説明し、これまでより早いペースで原料コスト上昇への理解を得て、価格対応を進めることができました。

物の流通や販売面では、なんとかうまく乗り越えることができました。しかし、当然ながら、無理をした部分の反動もあり、下期には高コストの製品在庫の出荷によりスプレッドの縮小が見込まれます。ただし、年間を通じては、ある程度高いレベルの営業利益率を確保できる見通しです。

四半期営業利益推移

四半期ごとの営業利益の推移をまとめています。2026年は第1四半期から非常に好調に推移しています。

背景には、旺盛な需要があるケミトロニクス事業で利益が大幅に増加したことが挙げられます。また、早期に原料コスト上昇に見合う価格対応を進められたことも影響し、営業利益および営業利益率はいずれも好調な推移を見せています。

一方、第1四半期には一時利益59億円が含まれていましたが、それを除外しても第2四半期は第1四半期を上回る伸びとなっています。

スライド右側に記載のとおり、ケミトロニクス以外でも、高付加価値製品であるジェットインキ、セキュリティインキ、ディスプレイ用顔料などの製品群が拡販に成功し、利益貢献を果たしました。

さらに、顔料に代表される私どもの中核事業でも、収益性の維持・改善が計画どおりに進んでおり、四半期ごとに良い状況が続いています。

2026年~2030年累計のキャッシュアロケーション

この2月に、2026年から2030年にかけてのキャッシュアロケーション計画を策定しました。

特にキャッシュ・アウトについては、得られるキャッシュ・インの使途として、戦略投資・株主還元・有利子負債の3つの柱を掲げています。

現在、ある程度前倒しでキャッシュを生み出している部分もあるため、特に成長投資として、半導体・バッテリー・フィジカルAIへの投資を着実に進めていきたいと考えています。また、フィジカルAIに関しては、独自のファンドを立ち上げ、有望なスタートアップへの戦略的な働きかけをすでに開始しています。今後はさらに注力していきたいと思います。

そして今回、総還元性向40パーセント以上の方針に基づき、増配と自己株式取得による追加還元を決定しました。

財務面では、ネットD/Eレシオ0.8倍以下を維持しており、財務の健全性を確保しています。

株主還元額の推移

株主還元額の推移です。2025年度は、120円に加え特別配当80円により、総還元性向が高い水準となりました。

2026年度は、増配と自己株式取得を組み合わせて株主還元を図る予定です。中間配当は計画どおり70円、期末配当は10円増配の80円とし、年間では合計150円を予定しています。

また、8月12日から上限100億円の自己株式取得を実施します。スライドに記載のとおり、結果として2026年度の総還元性向は50パーセントとなる見通しです。

続いて、浅井より決算の詳細をご説明します。

連結損益計算書

浅井健氏(以下、浅井):財務経理部門担当、グループCFOの浅井です。それでは私から、第2四半期決算の詳細について、スライドに沿ってご説明します。

こちらのスライドは、上期の連結損益計算書です。売上高と営業利益は、先ほど池田よりご説明したとおりです。

営業利益以下については、営業外での持分法投資損益がプラスとなり、為替差損益も前年に比べ改善しました。持分法投資損益については、当社関連会社である太陽ホールディングスの業績向上が要因です。一方、為替差損益については、2025年にいわゆるハイパーインフレーション会計により、トルコやアルゼンチンなどの通貨安の影響でマイナスが発生しましたが、今期は通貨が安定しており、前年に比べ改善しています。

その結果、経常利益は523億円で前年同期比320億円増となり、こちらも過去最高となりました。

その他、特別利益および特別損失が計上され、親会社株主に帰属する中間純利益は372億円となりました。前年と比較して241億円の増益、184.1パーセント増と大幅に増加しています。

特別利益および特別損失の明細はスライド右側をご覧ください。特別利益に美術品売却益28億円が含まれていますが、第1四半期から増加はありません。

財務体質

財務諸表における財務体質を示す主要KPIについてです。まず、ネット有利子負債は2026年6月末時点で3,828億円となり、2025年期末比で66億円削減されています。

一方、自己資本は5,100億円で、前期末比で392億円増加しました。スライド右側には主な増減要因が記載されています。1つは利益剰余金の増加です。当期利益の増加から前期末の配当を差し引いた残額が、プラス229億円となっています。

加えて、今回は円安による為替換算調整勘定の増加も大きな要因となりました。スライド右下の期末レートを見ると、2025年期末の1ドルあたり156円60銭が162円30銭となり、約6円の円安です。この影響で、為替換算調整勘定は177億円のプラスとなりました。

その結果、ネットD/Eレシオは前年末の0.83倍から0.75倍へ改善しました。自己資本比率も、38.3パーセントまで改善しています。

営業利益増減要因

上期6ヶ月間の営業利益の増減、いわゆる営業利益のブリッジについてです。左端の2025年上期270億円を起点に、さまざまな要因を経て、最終的に518億円となっています。

左から順に見ていきます。まず、数量・品目構成です。ここで営業利益はプラス83億円となっています。主にケミトロニクスなど高付加価値製品の出荷が好調だったことが、増益要因です。

次に、原料価格と販売価格です。ネットでプラス105億円となり、価格ギャップの改善が大きく進みました。原料価格の高騰による影響はあるものの、先ほど池田が説明したとおり、お客さまへの販売価格の改定が順調に進行しました。また、この上期の製品原価には高騰した原料価格がまだそれほど反映されていない点も、価格ギャップのプラス要因となっています。

さらに、顔料の分野ではリストラや構造改革が予定どおり進行しており、コスト管理も計画どおりです。加えて、為替については円安の影響が寄与しています。

そして、第1四半期に計上された一時利益59億円がワンタイムで発生し、最終的に518億円となりました。

セグメント別業績

事業部門ごとのセグメント業績についてです。スライドには左に売上高が、右に営業利益が示されていますが、いずれも概ね増収増益の傾向となっています。

なお、この売上高と営業利益には円安の影響が含まれています。円安の影響を除いた増減については、現地通貨ベースで記載したとおりです。詳細は、次のページ以降でご説明します。

パッケージング&グラフィック

パッケージング&グラフィックについてです。数量は前年に比べてやや増加しました。特に中東情勢の不安要因により、一部のお客さまで前倒し需要が見られました。その影響を受け、数量は堅調に伸びています。

一方、価格については、原料価格の高騰分を販売価格に転嫁できました。日本に限らず全世界各地域で反映できた結果、増収となりました。

営業利益は、販売価格や価格ギャップの改善に加え、高付加価値製品であるジェットインキやセキュリティインキ等の販売数量が非常に好調だったことから、大幅な増益となりました。

スライド左下には、四半期ごとの営業利益と営業利益率を記載しています。直近の第2四半期では、営業利益は134億円、営業利益率は8.3パーセントと非常に高い数値を示しています。これは、先ほどご説明したとおり、価格ギャップが大幅に改善した結果です。

カラー&ディスプレイ

顔料を中心としたカラー&ディスプレイについてです。売上高は1,425億円で、前年比プラス8.6パーセントの増収となりました。ただし、この増収には円安による為替影響が大きく含まれており、為替影響を除くとわずかな増収にとどまります。

スライド右下には主要製品の売上高推移を示しています。顔料製品の中で最も高付加価値を持つ製品であるディスプレイ用カラーフィルタ向け顔料は、前年比8パーセント増となりました。また、プラスチック用途も前年比7パーセントの伸びを記録しています。一方、その他の用途は売上高が前年に比べてやや伸び悩みました。

なお、営業利益は、第1四半期に計上した一時利益59億円に加え、構造改革やリストラの推進によるコスト削減効果が寄与しました。さまざまな収益性の改善に取り組んだ結果、前年を上回っています。

ファンクショナルプロダクツ

ケミトロニクスを含むファンクショナルプロダクツについてです。エレクトロニクスやケミトロニクス関連を中心とする高付加価値製品の出荷が、非常に好調でした。

スライド右下には主要製品の売上高推移を示しています。左側のエポキシ樹脂、工業用テープ、UV硬化型樹脂はいずれもケミトロニクス関連製品で、前年に比べていずれも2桁の増収となっています。

また、それ以外のファンクショナルプロダクツ製品では、スライド右下の表の右半分にあるコーティング用樹脂が非常に好調でした。コーティング用樹脂は、先ほどのインキを取り扱うパッケージング&グラフィックのところでもご説明しましたが、中東情勢を背景としたお客さまの前倒し需要が多く寄せられたことで、売上高の伸びにつながりました。

その結果、スライド左下の四半期営業利益と営業利益率をご覧いただくと、第1四半期から第2四半期にかけて営業利益が着実に増加し、直近の第2四半期では営業利益率が14.5パーセントに達していることがわかります。

ファンクショナルプロダクツ 補足資料

こちらは、ファンクショナルプロダクツに含まれるケミトロニクスの業績を抜粋したものです。売上高は376億円で、前年に比べて25.5パーセントの増収となりました。

営業利益は81億円で、前年の2.5倍となっています。さらに、営業利益率は2025年上期の10.9パーセントから、2026年上期には21.6パーセントへと大きく改善しました。特に、AI半導体需要を背景にエポキシ樹脂の出荷が非常に好調だったことが寄与しています。

また、工業用テープなど、スマートフォンをはじめとするモバイル機器向け需要が着実に伸びました。その結果、利益率が改善し、増収増益となりました。

2026年度の業績見通し

年間の見通しです。2026年の年間売上高は1兆1,400億円で、前年比8.3パーセントの増収を予定しています。

その右側の前回見通しの列は、第1四半期の5月に公表した時点の見通しで、今回はそれと比べて上方修正しました。

営業利益は780億円、経常利益は730億円、親会社株主に帰属する当期純利益は480億円となり、売上高・利益ともに過去最高を更新する見通しです。

また、スライド右側に主要財務KPIを示しています。ROICは現在の見通しで6.4パーセント、ROEは10.1パーセント、ネットD/Eレシオは0.8倍となっています。

ネットD/Eレシオは、先ほどお話しした100億円の自己株式取得を反映させた後でも、0.8倍以下を維持する計画です。年間配当は当初計画から10円増配の150円とし、その結果、総還元性向は50パーセントとなっています。

2026年上期から下期への営業利益増減益見通し

営業利益のブリッジを、上期・下期に分けて分析した内容のまとめです。左半分は先ほどお話しした上期の増減についてのため、割愛します。

スライド中央に記載のとおり、2026年上期の営業利益518億円で、右端の下期は261億円です。上期と下期の差が大きいため、その要因を分析しています。

まず、上期の第1四半期に計上した一時利益59億円がなくなるため、59億円のマイナスとなります。

次に大きい要因として、当社のカラー&ディスプレイセグメントの顔料事業があります。顔料事業は、今期に限らず毎年、上期と下期の季節要因により、売上高や営業利益に大きな差が生じる事業です。この影響で、現時点では約50億円の減少を見込んでいます。

また、さまざまな影響を「中東情勢反動リスク等」として示しています。先ほどお話しした、インキやコーティング用樹脂の一部における、お客さまの前倒し需要の反動が下期に見られ、利益のマイナス要因となります。

加えて、在庫や製品原価の影響もあります。具体的には、値上がりした分の在庫が下期に出荷されることで価格スプレッドが縮小する影響がマイナスとして表れると見ています。さらに、経費などが上期から下期に少しずれ込んでいます。これらを含め、現時点では約120億円のマイナスを見込んでいます。

さらに「為替前提等」に28億円とありますが、これは上期の実績為替レートが1ドルあたり158円32銭だった一方、年間見通しでは当社が150円で計算しているため、上期分の円高補正の影響が28億円ほどのマイナスとして反映されています。

通期の為替レートがどうなるかは現時点では不明ですが、保守的に見積もっています。

営業利益増減要因

年間営業利益の増減要因を示したブリッジです。傾向としては、上期の動きをそのまま延長したようなかたちです。

2026年度のセグメント別業績見通し

部門別の明細です。上期の傾向をそのまま引き継いだ内容となっていますが、総じて上期に比べ、下期の利益見通しはやや保守的です。

ファンクショナルプロダクツ 補足資料

ケミトロニクスの状況を記載しています。年間の営業利益率の見通しは、2025年の12パーセントから、2026年は18パーセントとなる見通しです。上期の21.6パーセントからは低下しますが、この水準は最低限維持できると見ています。

私からのご説明は以上です。

質疑応答:通期営業利益予想と実力ベースの見通しについて

質問者:通期の営業利益予想が780億円とのことですが、一時的な利益を除くと720億円程度ではないかと思います。これに関連して、さまざまな特殊要因や中東情勢の影響による前倒し分を除いた、実力ベースの利益はどの程度の水準になるとお考えでしょうか?

池田:状況の見立ては難しいのですが、ご指摘のとおり、上期・下期それぞれにさまざまな要因が含まれています。その上で、足元の実力値は確実に上がってきていると考えています。

上期・下期の差のうち120億円を中東情勢等の影響と見ていますが、前倒し需要や原料安が先行している分について、在庫影響を含めて約100億円あると見ています。

これを、年間を通じて本来発生すべき数字として平準化すると、半期で約50億円になる計算です。そのため、下期は現状261億円と見ていますが、平準化すると310億円程度は通常出る数字ではないかと考えています。

これらを踏まえ、上期分の調整なども加味すると、ケミトロニクスなど好調な要素はあるものの、当初は2026年度の年間計画として営業利益を560億円ベースで見ていました。そこから、実力ベースでは50億円から100億円程度は上がっていると見ています。

すなわち、600億円から650億円程度は、当社の基礎的な実力として見込めるのではないかと考えています。この中には、成長分も一定程度含まれています。また、実需以上に上乗せされている部分の影響を正確にお答えするのは難しいのですが、概ねこのような見立てです。

質疑応答:原料価格上昇に対する価格転嫁のスピードについて

質問者:実力ベースの利益が50億円から100億円と想定以上に上がっているのは、ケミトロニクスが予想以上に伸びていることと、製品価格への転嫁が予想以上に進んでいるためだと思います。

中東情勢の影響がなくても、今後は原料価格の上昇に対して、これまでよりも速やかに価格転嫁できる需給構造になったという理解でよろしいでしょうか?

池田:おっしゃるとおりです。加えて、顔料事業の構造改革が進み、その部分のベースアップを図れていることも付け加えておきます。

ご指摘のとおり、当社の事業は今もシクリカルな影響を受けます。大きな課題は、原料価格上昇をいかにタイムリーに製品価格に転嫁するかということでしたが、現在は非常に速やかに条件を提示できるようになりました。

これは単にラグがなくなったということだけではありません。競争環境の中で、当社には製品を安定的に確保し、品質なども含め、どのような状況下でもきちんと提供できるという強みがあります。そのサービスの価値をご理解いただき、それに見合う適正な価格をしっかりと受け止めていただいています。

中核事業では、タイムリーに価格を調整するとともに、当社の強みを活かしてポジションを強化し、利益を確実に得られる体質への転換もできていると思います。

質疑応答:ケミトロニクスの成長見通しについて

質問者:ケミトロニクスについてです。今回の通期見通しは、売上高が780億円強、営業利益が140億円とのことです。ケミトロニクスには、エポキシ樹脂以外の部分も含まれていると思います。今後、エポキシ樹脂の増設も予定されており、ケミトロニクスの3年後の見通しは非常に明るいと考えていますが、どのような数字を視野に入れていますか?

また、今回の通期または上期の増益について、エポキシ樹脂以外で大きな増益要因があれば教えてください。

池田:コアとなるエポキシ樹脂では、半導体関連が全体の3割を占めています。フォトレジスト用ポリマーやUV関連製品、工業用テープも今後の成長が見込まれます。さらに、ケミトロニクスには含まれていませんが、ファンクショナルプロダクツには、半導体製造装置向けに超純水の帯電防止に寄与する中空糸膜モジュールが含まれており、こちらも非常に好調に推移しています。

前工程・後工程を含めてさまざまな製品を供給しており、いずれも来期以降の見通しを非常に前向きに捉えています。お客さまのサプライチェーンの見通しも日々向上しており、状況は順調です。

このような状況下で正確な見通しを示すことは困難ですが、確実にプラスの方向へ進んでいることは明らかです。当社の課題は、その動きに的確に応えられる生産体制と品質をいかに盤石化するかであり、設備増強を含む取り組みが求められます。

これらを確実に実行することで、2030年に向けたケミトロニクスの数値目標を前倒しで達成できる可能性があると考えています。ただし、先ほど述べた見通しの精度などを踏まえると、現時点で具体的な数値を示すことは難しい状況です。

質疑応答:上期から下期への営業利益の増減分析と反動減リスクについて

質問者:資料16ページの上期から下期への営業利益の増減分析についてです。特に、中東情勢に伴う反動減リスク等によるマイナス120億円について、もう少し詳しくご説明ください。

さらに、ここに含まれていない要素として、高付加価値製品の数量増があると思います。上期から下期にかけて数量増を期待できないかについても、コメントをお願いします。

浅井:ブリッジについて補足説明します。右側にある「中東情勢反動リスク等」によるマイナス120億円の主な内訳についてです。

上期に発生した原料受払差の反動によるマイナス影響は、120億円のうち50億円に相当します。

次に、上期にお客さまへの出荷が増えた前倒し需要の反動があります。この数量減により、30億円から40億円程度の影響が出る見込みです。それ以外に、経費などが上期から下期にずれ込むことによる影響が10億円から20億円程度あります。

下期に数量増の可能性がないのかという点についてですが、現在の前提では、お客さまの前倒し需要の反動による数量減の部分以外は、上期と同程度で見込んでいます。そのため、年間見通しには下期の数量増を織り込んでいません。

ただし、先ほど池田がご説明したとおり、ケミトロニクス、特にエポキシ樹脂などを含めた半導体関連は依然として需要が強い状況です。このため、現在の見通し以上に出荷される可能性があります。ただし、現時点では数量増を見通しに織り込んでいないことをご理解ください。

質問者:追加で質問です。年間の数量見通しを変更していないとのことですが、上期に前倒しで出荷された分が、そのまま下期の減少につながるという理解でよろしいでしょうか? 特に、エポキシ樹脂などの高付加価値製品を除き、駆け込み需要で上期に多く出荷されたものは、実際に下期で減少してしまうのでしょうか? 現時点で、すでにそのような動きは見られますか?

浅井:地域によっては、一部でそのような動きが見られます。例えば、アジアや中国では若干の数量減が現時点で確認されています。ただし、現時点で確認している7月単月の状況では、想定していたほどの反動は出ていません。前倒し需要が多かったインキやファンクショナルプロダクツのコーティング用樹脂などについても、現時点では出荷が減少していない状況です。

質疑応答:セグメント別の利益率と今後の見通しについて

質問者:セグメント別の利益率について、お考えをうかがいます。上期はどのセグメントも利益率がかなり高かったように思います。一方で、前倒し需要や在庫受払差、カラー&ディスプレイにおける一過性の会計上の利益などが影響し、出来過ぎの面もあるのではないでしょうか? 会社予想では下期は利益率が下がる見通しとのことですが、セグメントごとの強弱について教えてください。

また、パッケージング&グラフィックの下期の営業利益率は5.5パーセント程度と予想されています。この水準は来期以降も続き、在庫受払差を除けば、このあたりが巡航速度と考えてよいでしょうか?

次に、カラー&ディスプレイの下期の営業利益率は1.5パーセント程度とされています。季節要因で下期が弱いことを踏まえると、来期上期には改善すると考えてよいでしょうか? また、顔料事業の構造改革の効果も見込まれる中で、来期通期では従来の5パーセント弱程度まで戻るとの期待を持てるでしょうか?

最後に、ファンクショナルプロダクツの下期の営業利益率は8.3パーセントと、上期から大きく下がる見通しです。上期が出来過ぎだったことや、在庫受払差が押し上げ要因となったことを踏まえると、下期はこの水準まで下がると考えてよいでしょうか? また、来期以降も8パーセント程度が続く見通しでよいのか、利益率の考え方を教えてください。

浅井:パッケージング&グラフィックとファンクショナルプロダクツについては、2025年度の水準より改善することは間違いないと思います。ただし、今年上期の水準がそのまま続くことはありません。下期に若干補正されるとしても、通期では2025年より高い営業利益率が、今後の標準的な巡航速度になると考えています。

最も注目すべきはカラー&ディスプレイです。ご指摘のとおり、第1四半期には一時的な利益が発生してややイレギュラーなかたちとなり、利益率に若干のゆがみが生じています。それを補正したとしても、昨年の第1四半期・第2四半期と比べて利益率は改善しています。

来期以降は、今期に実施した構造改革の効果がさらに加わります。また、ディスプレイ用途については、今年前半に不十分だった部分がようやく改善傾向を見せ、出荷も回復してきています。来年以降に数量が増加すれば、利益率の高い製品であるため、これまでより高い利益率を達成できる見込みです。通期で4パーセントから5パーセント近くまでの改善を目指し、取り組んでいきます。

質疑応答:インキの値上げ状況と製品別の進捗状況について

質問者:インキの値上げ状況についてお尋ねします。御社は4月時点で、グラビアインキを30パーセント以上、商業オフ輪インキ(商業オフセット輪転用インキ)を15パーセント以上、UVインキを10パーセント以上値上げすると発表されていたかと思います。4月から6月にかけて、どの程度進捗したのでしょうか?

実際の値上げ幅が発表時の想定より低かったのか、それとも高かったのかについても教えてください。

池田:個別の具体的な結果については回答を差し控えますが、おおむね順調に受け入れていただき、値上げは計画どおり進捗したと認識しています。

先ほども回答したとおり、値上げを非常に前倒しで進めた背景には、まず供給できるものをしっかり確保するという目的がありました。そのための原料確保では、当社も相当苦労しました。確実にお届けすることを前提とした値上げであり、実際にそれをきちんと果たしたということです。単に値上げができたかどうかだけでなく、総合的に数量の確保にもつながったと理解しています。

質疑応答:PPWRを契機としたインキ市場における日系企業のシェア拡大の可能性について

質問者:中長期的な観点から、御社を含む日系企業がEUのPPWR(包装・包装廃棄物規則)を契機にインキ市場でシェアを高める可能性についてお尋ねします。

PPWRでは、ニトロセルロースを一定程度使用すると適合しない状況になると認識しています。欧州系のインキ企業は一般に、ニトロセルロース系インキを強みとして広く使用しています。一方、アジアなどではウレタン樹脂系インキが強みとされています。

PPWRを背景にニトロセルロース系インキが使用されなくなり、ウレタン樹脂系インキを扱う御社のような企業が欧米で市場シェアを高める可能性はありますか?

浅井:欧州では、環境面から脱ニトロセルロース系製品への需要が高まっています。

ご指摘のとおり、当社は主力製品であるウレタン樹脂系インキなどで代替を進めており、この外部環境は今後、当社にとって追い風になると考えています。特にヨーロッパでは、当社にとってプラスになると見ています。

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