2026年5月期(第29期)決算説明
アクティビア・プロパティーズ投資法人、内部成長によりEPU成長目標を年3%以上、DPU累進配当を年3.6%以上に上方修正
エグゼクティブサマリー

上川原学氏:東急不動産リート・マネジメントの上川原です。本日は、アクティビア・プロパティーズ投資法人2026年5月期、第29期の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。それではこれより、2026年5月期の決算についてご説明します。
エグゼクティブサマリーです。2026年5月期決算は、内部成長の進捗によりEPUが予想を2.0パーセント上回って着地しました。オフィスについては、改定時/入替時の賃料増額率ならびに增額面積割合が高水準で着地しています。
商業施設については、戦略的なリーシングプロセスにより、将来の内部成長の確保が進んでいます。また、新たに成長性の高いホテル/A-FLAG京都四条の取得を決定しており、ポートフォリオの10パーセント程度の資産入替は順調に進捗しています。
次にEPU/DPU戦略です。力強い内部成長実績を踏まえ、2029年5月期までのEPU成長目標について、第31期以降の成長率を3パーセントに上方修正します。EPU成長目標の上方修正に伴い、DPU累進配当についても年率3.6パーセントに上方修正します。
DPUサマリー(2026年5月期決算 業績予想比)

2026年5月期決算におけるEPU実績は、オフィスの賃料増額や商業施設の歩合賃料の上振れ等により、対予想比プラス2.0パーセントの2,969円となりました。DPUについても、業績予想を1.1パーセント上回る3,204円で着地しています。
DPUサマリー(業績予想)

続いて、業績予想です。2026年11月期の予想分配金は3,278円です。
当期は戦略的ダウンタイムやキュープラザ心斎橋のテナント入替に伴う解約違約金収入等の影響で増減が発生するものの、支払利息の増加を上回る賃料収入の増加を見込み、加えて神戸の売却益計上により、対前期増配となる計画です。
2027年5月期の予想分配金は3,279円です。当期についても支払利息の増加を上回る賃料収入の増加を見込んでおり、翌期以降の大幅な賃料増額を伴う戦略的ダウンタイムを組み込むことでEPUは一時的に低下しますが、神戸の売却益計上により対前期増配となる計画です。
なお、戦略的ダウンタイムや未定空室損失といった一時要因を除くポートフォリオの実力値を示したEPUは3,041円となり、目標として掲げる年平均成長率2パーセントを実質的に上回ってEPU成長が進捗している状況です。
戦略的ダウンタイムの詳細(業績予想)

業績予想期間において、記載の4物件にかかる戦略的ダウンタイムを見込んでいます。戦略的ダウンタイムの中には、用途変更に伴う設備工事や入替工事にかかる空室期間に加え、工事費用やリーシングマネジメントフィー、京都四条の取得に伴う一時借入利息を含んでいます。
2026年11月期はマイナス69円、2027年5月期はマイナス255円の戦略的ダウンタイムを業績予想に組み込んでいますが、これらの戦略的ダウンタイムを見込む区画については、すでに新テナントとの間で契約締結済みであり、業績予想期間以降期当たり計170円超の賃料収入増加を確定させています。
一時的なマイナス影響を伴いながら、将来の賃料成長を追求する取り組みをアクティブに推進しています。
EPU成長目標と累進DPU戦略

EPUについては、2期先の2027年5月期において年平均成長率2パーセント以上を実質的に達成できる見通しがついたため、2027年5月期以降の成長率を3パーセント以上に上方修正します。また、DPUについてはEPU成長目標の上方修正に伴い、年平均成長率を3パーセントから3.6パーセントに上方修正します。
DPUの累進配当ラインは、2025年7月の目標開示以降、2期連続での上方修正となります。
EPU成長の方針(2025年5月期から2029年5月期までのEPU成長率シミュレーション)

内部成⾧の進捗や金利上昇の状況を踏まえ、半年毎にEPU成⾧率シミュレーションを更新しています。償却後NOIについては、オフィス・商業施設の力強い賃料成⾧実績を踏まえ、年平均成⾧率をプラス3.2パーセントからプラス4.4パーセントへと上方修正しています。
加えて、金利上昇に伴う支払利息増加の影響をもう一段織り込んだ上で、2027年5月期以降のEPU年平均成⾧率を3.0パーセントに上方修正しています。さらなる内部成⾧および資本施策によるプラスアルファを通じたEPU成⾧を目指していきます。
資産入替の進捗

神戸の2回目以降の売却回収資金を先行活用するかたちで、A-FLAG京都四条の取得を予定しています。簿価回収までの間は短期借入金の活用を予定しているためLTVは一時的に上昇しますが、簿価回収のタイミングで順次返済を進めていく計画です。
なお、神戸に続く次なる売却活動に着手しており、残り300億円程度の売却を計画的に進めていく考えです。
オフィスの運営状況

ここからは物件の運用状況について、ご説明します。はじめに、オフィスです。
オフィスの運営状況を表す主要数値を記載しています。2026年5月期は、賃料増額率・増額面積割合ともに高水準を達成しました。当期に開始した契約にかかる賃料ギャップ充足率は108パーセントとなり、賃料ギャップ以上の賃料増額を実現しています。
マーケット賃料の上昇継続により、賃料ギャップはマイナス23パーセント、実額としては期当たり18億6,000万円まで成長余地が拡大しています。
さらなる賃料成長に向けた今後の賃料改定方針です。定借区画および入替については、マーケット賃料を上回る賃料増額を目指していきます。普通借区画については、多様な交渉メニューにより定借化を進めていく方針です。
東京オフィスの改定入替動向

東京オフィスにおける2026年5月期の改定時増額面積割合は70パーセントを超過し、賃料増額率は8.1パーセントと前期からの高水準を継続しています。現在進捗している2026年11月期の改定時増額賃料は、当期を大幅に上回る見通しです。
テナント入替時の増額面積割合は100パーセントとなりました。入替時賃料増額率26.8パーセントのうち、広域渋谷圏オフィスの増額率が34.5パーセントとより高い水準となっているのは、スポンサーのリーシング協力の効果によるものです。
アクティビア・アカウントオフィスの改定入替動向

アクティビア・アカウントのオフィスについては、改定時增額面積割合が71パーセントと前期から大幅に上昇しました。増額面積の88パーセントを普通借区画が占めており、普通借区画においても力強い賃料增額を実現しています。
オフィスの増額事例(広域渋谷圏)

広域渋谷圏ではスポンサーのリーシング協力により、マーケット賃料を上回る水準でのテナント入替を継続して実現しており、その背景をスライド右側の図で示しています。
アクティビアの保有オフィスのマーケット賃料成長率は渋谷区全体よりも高く、そこにスポンサーのリーシング協力の効果が加味されることで、マーケット賃料を上回る賃料成長を実現しています。
スポンサーが持つ広域渋谷圏の強固なネットワークを背景とした精緻なマーケットリサーチ力を活用し、今後も持続的なアウトパフォームを狙っていきたいと考えています。
オフィスの増額事例(広域渋谷圏を除くエリア)

広域渋谷圏以外でも、1,000坪前後の大型区画や、大阪・名古屋エリアの普通借区画など、広範なエリア・多様な区画において賃料増額が進んでいる点は、当期の特徴的な動きとなっています。
また、汐留ビルディングではテナント入替を通じてプラス46パーセントの大幅な賃料増額を実現しており、2029年5月期までに到来する約19,000坪の契約満了面積の賃料成長余地が拡大している状況です。
商業施設の賃料成長

ここからは商業施設について、ご説明します。左側にはアクティビアのリーシングプロセスを示しています。多様なテナントニーズを取りこぼさないため、契約満了の3年程度前からリーシング活動に着手しています。
戦略的に構築されたリーシングプロセスにより、2026年11月期以降についても複数のテナントとすでに契約を締結しており、将来の内部成長を着実に積み上げている状況です。
東急プラザ表参道「オモカド」の内部成長

次に、商業施設の内部成長を牽引する東急プラザ表参道「オモカド」の取り組みについてご説明します。路面区画の入替を進める中で、Google Storeの米国外初の実店舗を誘致しました。また、当期は路面3区画目の新規契約を確定させたことで、路面全3区画において大幅な賃料増額での新規契約締結が完了し、取得時との比較では平均賃料が38パーセント上昇するかたちとなりました。
加えて、中層階においても体験価値の高いテナントへの入替を進めたこともあり、歩合賃料収入は約2.5倍に増加する見込みです。
これらの内部成長取り組みの結果として、鑑定評価額は前期から68億円上昇し、JREIT商業物件No.1となる795億円となりました。
商業施設の内部成長事例

商業施設の内部成長を実現する好機と捉え、積極的なテナント入替を進めています。キュープラザ恵比寿では設備改修工事を伴う戦略的な用途変更を実施し、賃料負担力の高いテナントへの入替によりプラス66パーセントの大幅な賃料増額を実現しました。
4.5億円のリニューアル投資に対するROIは30パーセント超となり、高い投資効率を実現しています。キュープラザ心斎橋では、周辺エリアでの新規施設開業に伴う通行量増加の機会を捉え、プラス93パーセントの大幅増額でのテナント入替を実現しました。
ホテルの内部成長

ホテルについては、インバウンド需要の取り込みによるさらなるアップサイド獲得を目指した取り組みを推進しています。
A-FLAG札幌では、東急リゾーツ&ステイへのオペレーターチェンジにより、長期滞在などの多様なニーズへの対応力を高め、インバウンド需要のさらなる獲得を進めていきます。
なお、オペレーターチェンジに際して、テナント負担による客室・エントランス等のリニューアル工事を予定しており、賃料は入替前後で24パーセント増加する想定です。
また、ネストホテル那覇久茂地、A-FLAG京都四条といったインバウンド比率が高く変動賃料が付帯するホテルを取得することで、アップサイド余地を拡大し、さらなる賃料成長を追求していきます。
資産入替方針

ここからは、外部成長についてご説明します。2029年5月期までを目途に、ポートフォリオの10パーセント程度の資産入替を進め、ポートフォリオのEPU成長力の向上を図っていきます。
資産入替に際しては、成長性の高い物件を取得し、成長性が限定的な物件を売却する方針です。
取得物件(A-FLAG京都四条)

インバウンド需要の見込まれる京都中心地の宿泊特化型ホテルである「A-FLAG京都四条」の取得を決定しました。神戸との資産入替による取得として位置付けており、入替前後で償却後利回りは0.7パーセント改善する見込みです。
将来のアップサイド追求のため、物件取得と同時にオペレーターチェンジを実施し、リブランドにかかるリニューアル工事を実施した上で、2027年2月の開業を見据えています。
新オペレーターは豊富なホテル運営実績を有するソラーレホテルズアンドリゾーツを予定しています。
取得方針

続いて、取得方針です。中長期的なNOI成長が見込める物件として、オフィス、変動賃料が付帯するホテル、都市型商業施設を優先的に取得検討していきます。
また、相対的に収益性が高く安定的なNOIが見込める物件と組み合わせた物件取得により、収益の拡大と成長余地の獲得をバランスよく実現していく考えです。
右側にはスポンサーの主な事業エリアを図示しています。スポンサーの事業エリアに沿った物件取得により、グループの運営力を活用した取得後の内部成長を推進していく考えです。
パイプライン

スポンサーパイプラインを含め、取得方針に沿ったパイプラインを確保しています。安定したDPUマネジメントの元で、将来のEPU成⾧に資する取得施策を検討していきます。
堅実な財務運営 〜LTVマネジメントとコストコントロール〜

財務運営についてご説明します。まずLTVですが、2026年5月期末時点の実績は47.1パーセント、鑑定LTVは38.5パーセントとなりました。内部成長の進捗により鑑定評価額が上昇したことを受け、鑑定LTVが前期に続き低下しています。
また、借入の平均残存年数は3.8年、平均金利は0.88パーセントとなりました。業績予想期間の平均金利については、第30期が0.97パーセント、第31期が1.09パーセントを想定しています。
変動比率30パーセント程度を上限として、変動借入の活用によってコストコントロールを実施していく考えです。
ESGの取り組み 〜これまでの主な取り組み〜

ここからは、ESGの取り組みについてご説明します。当期は資産運用会社において、マテリアリティの改定を実施しました。「ガバナンスの徹底」、「気候変動対応」、「人財開発とウェルビーイング」、「ステークホルダーとの共創」を新たなマテリアリティとして設定しました。
ESGの取り組み 〜E(Environment):環境KPI〜

最後に、環境KPIの進捗状況についてご説明します。再生可能エネルギー電力の導入については、2026年5月期において100パーセント導入を達成しました。目標達成を受けて、今般新たな目標を設定しています。
新目標は、再生可能エネルギー調達の継続実施に加え、2030年までのCO2削減目標をスコープ1からスコープ3までそれぞれ設定しました。上場から14年が経過しましたが、多くのみなさまによって支えられ、今回の決算も無事に終了することができました。これも、みなさまの変わらぬご支援のおかげと考えています。
金利上昇を上回る賃料成長を継続し、成長目標を上回るEPU成長を追求・実現することを通じて投資主価値の向上を図っていきます。以上、私からのご説明とします。ご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答(要旨)①

Q:今回の商業施設やホテルでの戦略的ダウンタイムは、2029年5月期の目標達成に向けた一過性のものなのでしょうか? あるいは、今後も強い内部成長を維持するために恒常的に続けていく手法なのでしょうか?
A:2029年5月期に向けた主な取り組みは、今回挙げた4案件と、今後予定している札幌のオペレーターチェンジに伴うフリーレント期間で一区切りとなります。しかし、将来の賃料成長を追求する上で戦略的ダウンタイムを伴う施策は必要不可欠と考えており、今後も継続して機会を追求していく方針です。
質疑応答(要旨)②

Q:資料23ページに記載の取得方針にオフィス、ホテル、商業施設が並んでいますが、特に注力するのはどれでしょうか? また、「安定的なNOI物件」の位置づけを教えてください。
A:オフィスを最優先としています。それに次いでホテルや都市型商業施設です。
一方で、「安定的なNOI物件」は補完的な位置づけであり、将来の成長性は高いが現時点の利回りが低い物件を取得する際、ポートフォリオ全体の収益バランスを整えるために組み合わせて取得することを想定しています。
質疑応答(要旨)③
Q:金利上昇局面で、成長期待が低い物件(固定賃料物件等)を鑑定価格に見合う水準で売却できるのでしょうか?
A:過去の神戸の物件売却事例では固定賃料割合が極めて高かったのですが、入札の結果、鑑定価格を大きく上回る価格で成約しました。この実績から、成長性が限定的とされる物件であっても、市場には一定のニーズと価格提示のポテンシャルがあると考えています。
質疑応答(要旨)④
Q:東京オフィスの賃料ギャップ充足率について、163パーセント(注:従来の賃料ギャップを100とした場合、そのギャップ分をさらに63パーセント上回る条件で成約)という数字はマーケット賃料を大幅に超えているように見えますが、その背景を教えてください。
A:賃料ギャップ充足率は「2025年5月期末時点のマーケット賃料」との比較で算出しています。リーシングには1年程度の期間を要するため、交渉開始から契約締結までの間のマーケット賃料の上昇分も含まれています。
質疑応答(要旨)⑤
Q:A-FLAG京都四条について、供給が多い京都のホテル市場で、どのようにRevPARを伸ばすのでしょうか?
A:取得直後にソラーレホテルズアンドリゾーツ社へのオペレーターチェンジとリブランド、一部改修を実施します。ターゲットをインバウンドの個人・グループ客に設定し、コストパフォーマンスを重視する層を戦略的なマーケティングで取り込むことで、成長を追求していきたいと考えています。
質疑応答(要旨)⑥
Q:電気料金収支について、業績予想には燃料費上昇などのリスクが含まれているのでしょうか? また、今後の収支改善は期待できますか?
A:第30期・31期の予想には、燃料調整費の増加リスクを考慮し、直近の実績よりも悪化する前提で一定のバッファーを持たせています。改善策としては、テナントへの費用転嫁だけでなく、契約電力の見直しや、大阪府中之島の物件で行っている個別空調改修による空調電気使用量の有償化等、多角的なコスト管理を積み上げて2029年までの収支改善を図ります。
質疑応答(要旨)⑦
Q:現在の金利環境下で、巡航速度に戻った後のLTV水準をどう考えているのでしょうか? 上げる余地はあるのでしょうか?
A:京都四条の取得で一時的にLTVは上昇しますが、売却回収資金で順次返済し、元の水準に戻す計画です。金利上昇局面ゆえに極端なLTVの引き上げは想定していませんが、内部成長によって鑑定LTVは継続的に低下しており、40パーセント程度の目線を持ちつつ、この余地を活用する可能性はあります。ただし、金利リスクに対しては慎重かつ規律を持って検討・対応します。
質疑応答(要旨)⑧

Q:リーシング活動について、資料16ページに契約終了の3年前から着手という事例が載っていますが、外部テナントの需要はそれほど強いのでしょうか?
A:資料記載の事例には既存テナントとの増額改定も含まれており、入れ替えのみを志向しているわけではありません。
ただ、ハイストリートの区画は空きがなく、テナント側から「空いたら入りたい」と1年以上前からアプローチを受けることが常態化しています。このような情報を早期にキャッチし、最適なテナント構成を練るのが我々の手法です。
質疑応答(要旨)⑨
Q:東急不動産ホールディングスグループの「再生建築ファンド」などが物件売却の受け皿(出口)になる可能性はあるのでしょうか?
A:広域渋谷圏オフィスのスポンサーによるリーシング協力や、東急リバブルの仲介による那覇のホテル取得など、グループ連携は多角化しています。再生建築ファンドとの連携実績はまだありませんが、ポートフォリオの築年数が経過する中で、建て替えか、あるいは再生建築の手法で長寿命化させるかといった判断が必要になる場面が今後出てくることが想定されます。
その際、スポンサーの持つ再生建築手法の活用や再生建築ファンドとの連携は、今後の有力な選択肢に入っています。
※質疑応答部分は、企業提供の要旨になります。
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