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大成温調株式会社1904

東証スタンダード

建設業

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目次

池田仁久氏(以下、池田):みなさま、こんにちは。本日は、大成温調株式会社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。上席執行役員の池田です。本日はどうぞよろしくお願いします。

本日の決算説明会は、前半の2026年3月期決算概要については池田から、後半の新中期経営計画については代表取締役社長執行役員の水谷からご説明します。

連結業績サマリー

2026年3月期決算の概要についてご説明します。連結業績サマリーはスライドのとおりです。

売上高は前期と同水準となりました。受注環境は極めて良好であり、その中で収益性の比較的高い案件を多く受注できたことや、全社的な利益率や生産性向上の取り組みが寄与し、売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも4期連続で増益となりました。

売上高は前期比1.3パーセント減の617億1,900万円、完成工事高は前期比0.3パーセント減の601億3,800万円となりました。

一方で、営業利益は前期比27.8パーセント増の39億8,000万円、経常利益は前期比32.0パーセント増の45億9,700万円となっています。また、当期純利益は前期比42.7パーセント増の35億4,900万円となりました。

財政状態およびキャッシュ・フロー

財政状態の概要およびキャッシュ・フローの推移についてです。

財政状態についてですが、総資産は前期末比11.8パーセント増の518億9,200万円、純資産は前期末比11.2パーセント増の307億3,100万円となりました。また、自己資本比率は59.2パーセントとなっています。

キャッシュ・フローの概要です。営業活動による獲得資金は97億1,600万円で、これは主に税金等調整前当期純利益や、品川区庁舎をはじめとする大型物件の工事受注に伴う未成工事受入金の増加によるものです。

投資活動に使用した資金は5億4,800万円で、主にシステムやIT関連を中心とする支出になります。財務活動では34億700万円を使用しており、主に短期借入金の返済によるものです。

結果として、現金および現金同等物の期末残高は前期末に比べて58億2,500万円増加し、184億4,800万円となりました。

事業セグメントについて

事業セグメントについてご説明します。当社グループは、設備工事事業を基盤とした、日本、米国、中国、オーストラリアという4つの地域別セグメントで構成されています。

日本セグメントについては、当社およびウッドテック株式会社、温調エコシステムズ株式会社が担当し、日本国内で主に空気調和、給排水衛生、電気設備などの設備工事事業を展開しています。2023年5月にグループ化したウッドテック株式会社は、消火設備分野に強みを持ち、豊富な実績と専門的な知識を有しています。温調エコシステムズ株式会社は、設備工事事業に加えて、冷暖房機器の販売なども行っています。

米国セグメントでは、ALAKA'I MECHANICAL CORPORATIONが、ハワイにおいて空調および設備工事関連事業を展開しています。

中国セグメントでは、大成温調建築工程(上海)有限公司が、建築事業および設備工事事業を行っています。オーストラリアセグメントでは、不動産関連の事業を展開しています。

連結セグメントには含まれていませんが、ベトナムでは、日本における設計積算や施工図作成事業の一部を受託しています。

当社は国内外で多様なプロジェクトに参画し、社会インフラの構築を支えています。

セグメント別売上高

セグメント別売上高についてご説明します。連結売上高は、前期比1.3パーセント減の617億1,900万円となりました。

日本セグメントは、良好な受注環境を背景に、売上高は前期比0.3パーセント増の475億2,600万円となりました。

米国セグメントは、大型コンドミニアム案件の工事進捗や依然堅調な不動産および建築市場の影響を受け、前期比0.1パーセント増の123億5,000万円となりました。

中国セグメントは、中国経済の成長鈍化に伴い、予定されていた工事が着工できずに遅れる、着工延期の影響を受けた結果、前期比34.6パーセントの減の17億9,300万円となりました。

オーストラリアセグメントは、不動産業務に関する収益が中心となっています。

セグメント別利益

セグメント別利益についてご説明します。連結営業利益は前期比27.8パーセント増の39億8,000万円となりました。

日本セグメントでは、大成温調単体での受注利益率が上昇し、工事もおおむね順調に進みました。また、ウッドテック株式会社の収益性が2026年3月期に極めて良好だったことが寄与し、これらを合わせた結果、前期比39パーセント増の34億5,600万円となっています。

米国セグメントでは、ALAKA'I MECHANICAL CORPORATIONにおいて、工事の順調な進捗や円安の影響などにより、前期比55.1パーセント増の過去最高益を達成し、営業利益は8億2,100万円となりました。

一方、中国セグメントでは、プロジェクトの延期や新規受注・売上の鈍化があり、2億4,600万円の損失となっています。

オーストラリアセグメントでは、不動産運用関連の配当収入などの利益が計上されています。

個別完成工事高

個別完成工事高の状況です。工事高の内訳は、新築工事と改修・保守修理等に分かれています。今期の個別完成工事高は、前期比0.5パーセント増の435億4,000万円となりました。

新築工事については、大型案件の増加に加え、前期および前々期に受注した案件の進捗により増収となりました。

一方、改修・保守修理等の工事は、人的リソースの制約があったため減収となりましたが、今期に受注した案件の進捗も完成工事高に寄与しています。

個別受注工事高

個別受注工事高の状況です。今期の個別受注工事高は、前期比8.3パーセント増の509億4,500万円となりました。品川区の新総合庁舎の設備工事を受注したことなど、大型新築案件の受注が寄与しています。

当社の方針としては、新築工事だけでなく、改修・保守修理などの受注拡大を非常に重要視しています。しかし近年、新築工事案件の引き合いが多いことから、改修・保守修理などの案件は若干低調であるのが現状です。

個別次期繰越工事高

個別次期繰越工事高の状況です。今期の個別次期繰越工事高は、前期比17.6パーセント増の494億3,100万円となりました。受注環境が良好であり、また受注案件の大型化も進んでいることから、次期繰越工事高は引き続き増加傾向にあります。

また、前期に比べて大型新築工事の受注が顕著であり、改修工事よりも新築工事の伸びが大きくなっています。

2027年3月期 連結業績予想

2027年3月期の業績予想についてご説明します。売上高については、繰越工事量を含む受注が非常に豊富であるため、連結ベースで増収を見込んでいます。

一方、利益面では、資機材価格および人件費の上昇や、近年の地政学的要因からさまざまなコスト増が想定されます。また、2026年3月期においては、ハワイのALAKA'I MECHANICAL CORPORATIONとウッドテック株式会社の業績および利益が非常に好調でしたが、進行期においてはそれらが若干平準化することが予測されています。

加えて、中長期的な成長のために、人的投資を含む約10億円の追加投資を計画しており、こうした要因により連結営業利益および経常利益は減益を見込んでいます。

しかしながら、今年8月に本社ビルを移転する予定です。当社は現在、大井町に自社ビルを構えていますが、大井町駅に隣接するビルへ移転し、その後、現在の本社ビルを売却する契約を締結しており、すでにプレスリリースを発表しています。

こちらの売却益が約40億円計上される予定となっています。そのため、最終的な当期純利益については大幅な増益を見込んでいます。

LIVZON DREAM 2030「2nd half!」

水谷憲一氏(以下、水谷):代表取締役社長執行役員の水谷です。よろしくお願いします。これより、新しい中期経営計画LIVZON DREAM 2030「2nd half!」についてご説明します。まず内容に入る前に、少しプロローグ的なお話をさせていただければと思います。

本計画は、2030年に向けた長期経営ビジョンの後半5年間に位置づけられるものです。後ほど簡単に振り返りますが、当社はこれまでの5年間、LIVZON DREAM 2030「1st half!」に取り組んできました。

その中で、各種の業務改革やDX、人財投資を進めた結果、「1st half!」で掲げたすべての財務ターゲットをクリアすることができました。前半戦は、稼ぐ構造そのものを作る5年間だったと考えています。

今回から始まる後半戦の5年間は、「1st half!」で作ったその構造を今度は大きくスケールさせていく5年間であるとご理解いただければと思います。それでは、ご説明に移ります。

計画サマリーとコンセプト

今回の中期経営計画の概要です。「『技術』をコアとして『人財とデータ』で成長を加速する」がキーコンセプトとなっています。

スライド左側に5つのボックスが並んでおり、そのうち上段3つが成長戦略を示しています。1つ目が「高度エンジニアリング領域の拡大」、2つ目が「ストック収益の最大化」、3つ目が「生産性の向上」で、これら3つを主な成長ドライバーとして位置づけています。

その成長を支える基盤として、下段に位置する「人的資本」と「データ・AI活用」の2つの要素があります。この5つのボックスの詳細については、後ほど個別にご説明します。

また、「『技術』をコアとして『人財とデータ』で成長を加速する」というコンセプトのもと、2031年3月期には連結営業利益70億円規模を目指す方針です。

「1st half!」の振り返り

前中期経営計画「1st half!」を振り返ります。

結論から申し上げると、「1st half!」では、掲げたすべてのKPIを達成しています。スライドの左側には「1st half!」の財務ターゲットとして営業利益率、ROE、EPS、DOEの各目標値が記載されています。その右側の青い数字が2026年3月期、つまり前中期経営計画の最終年度の数値であり、すべての指標を達成しました。

ただし、このような数値目標の達成以上に重要であると考えるのは、定性面の成果です。この5年間、スライド右側に記載があるように、受注案件審査の強化や原価管理の高度化、DX・データ活用基盤の整備、現場支援体制の拡充、人財投資などに全力で取り組んできました。

設備工事業は、景気の波や大型案件の影響を受けやすい業種ではありますが、当社がこの5年間で目指したのは、一過性の利益ではなく、継続的に利益を生み出せる構造を作り上げることでした。

今回の「2nd half!」の目標は、「営業利益70億円以上」という水準ですが、過去5年間で構築した「稼ぐ構造」があるからこそ、実現可能なものだと考えています。

ただし、向こう5年間にはまだ多くの課題が残っているのも事実です。その点については、次のページでお話しします。

今後の経営課題

今後の経営課題についてです。当社は中期経営計画を5年ごとに区切っており、前中期経営計画「1st half!」の5年間でさまざまな施策を進めてきました。しかし、その間に当社を取り巻く事業環境は大きく変化しました。これを踏まえ、向こう5年間の成長戦略をアップデートする予定です。

スライドでは、外部環境の変化として大きな要素を3つ挙げています。1つ目は、「高付加価値市場の拡大」です。

近年、データセンターや半導体関連施設をはじめとした次世代型産業の需要が急速に拡大しています。「1st half!」期間中には、この分野への対応が十分に行えなかったという反省点があります。

2つ目は、「ストック需要の高まり」です。昨今、建築費の高騰がさまざまなニュースで取り上げられています。これにより、建物を壊して新しいものを大規模に建設することも一定程度は考えられますが、どちらかといえば既存の建物を活用し、より長寿命化させていく考え方が増えてくるのではないかと感じています。

また、エネルギーコストそのものが上昇している中で、設備の効率的な運用が今後ますます求められるようになります。そのため、既存建物の改修や更新を伴う、いわゆるストック需要がさらに高まることが見込まれます。

3つ目は、「施工能力制約の拡大」です。日本全体に言えることですが、慢性的な人手不足の問題に加えて、働き方改革の定着により施工能力を確保するのが非常に難しい局面になっています。そのため、人員一人ひとりに焦点を当て、1人当たりのパフォーマンスをいかに向上させるかがより重要になってきます。

したがって、当社としてはスライド下部に記載の「高付加価値・ストック・生産性の3軸で収益構造を再構築」する必要があり、これらが今後の大きな経営課題となります。この経営課題に対応するための成長戦略について、次のページ以降でお話しします。

成長戦略 ①高度エンジニアリング領域の拡大

成長戦略は3つあります。1つ目は「高度エンジニアリング領域の拡大」です。前述のとおり、今後の設備工事会社においては単純に施工量を増やすだけでは成長には不十分です。そのため、この戦略は受注量を追うのではなく、付加価値を追求する内容となっています。

具体的には、スライド右側の主要施策に記載されているとおり、データセンターや半導体、医薬、GX関連を重点領域として位置づけています。

これらの分野では、高効率空調、冗長設計、また極めて高い精度の温湿度・清浄度管理といった高度な専門技術が求められています。当社はこれまで、医療施設や産業用施設など、一定の品質や安定性が求められる分野において、十分な実績を積み重ねてきました。

これらの分野で培った技術力やマネジメント力は、今後の成長市場においても、十分に競争力を発揮できるものと考えています。

さらに、成長スピードを加速させるために、必要に応じてM&Aや外部パートナーとのアライアンスの活用も視野に入れています。

KPIとしては、高度エンジニアリング領域の受注比率を20パーセント以上とする目標を設定し、これを実現するために取り組んでいきます。

成長戦略 ②ストック収益の最大化

成長戦略の2つ目は「ストック収益の最大化」です。当社はこれまで保守メンテナンスや修理といったストック型サービスに注力してきました。そのため、ストックビジネス自体は決して新しい取り組みではありません。

しかし、今回の中期経営計画では、そのストックビジネスの質を大きく進化させることを目指しています。そのキーワードは「データ」です。

スライド右側にいくつか記載がありますが、当社では設計・施工業務を通じて蓄積した建物や設備のデータをフルに活用し、保守メンテナンスの高度化や改修・更新提案の精度向上につなげていきたいと考えています。従来は経験や勘に依存する部分が多かった提案も、今後はデータに基づく提案へ進化させていきたいと考えています。

また、建築費が高騰しており、エネルギーコストも非常に高くなっている現状から、建物をより長く、そして効率的に使うニーズが今後さらに高まると考えられます。

このようなお客さまの課題に対し、当社はこれまで「工事を売る会社」というスタンスでしたが、今後は「データを活用し、建物価値を高め続ける会社」へとサービスを高度化させていきたいと考えています。

KPIとしては、保守・改修領域の受注比率を50パーセント以上に引き上げることを目指し、この戦略を進めていく方針です。

成長戦略 ③生産性の向上

成長戦略の3つ目は「生産性の向上」です。スライドのリード文にあるとおり、「DX・標準化・外部活用で業務にレバレッジをかけ、人財投資と両立しながら付加価値創出を最大化」することです。

前述の「高度エンジニアリング領域の拡大」や「ストック収益の最大化」を実現するためには、それを支える実行力が必要です。

一方で、マンパワーや人手不足の問題は、今後さらに深刻化する可能性があります。そのため、従業員一人ひとりが生み出す付加価値をいかに高めるかが、今後ますます重要になると考えています。

具体的な取り組みとして3つ挙げられます。1つ目は「分業・外部活用」です。例えば当社では、私も先日訪問しましたが、現地ベトナムにおいて、日本のプロジェクトに対してエンジニアリングサービスを提供するオフショア拠点を設けています。このような戦略的なアウトソーシングを積極的に進めていくことが1つの取り組みとなります。

2つ目は「データ連携の実装とAI活用の推進」です。こちらは後ほど詳しくご説明します。「LIVZON サイバープラットフォーム」とは、当社が開発したデータプラットフォームのことで、AIと組み合わせながら活用していくものです。

3つ目は「設計・施工の標準化(BIM、ユニット化)」です。これまで現場で生産していたものを事前に工場で生産し、その後現場に納入するだけにするオフサイト施工やユニット工法を推進しています。これにより、生産プロセスを標準化・ユニット化し、生産性の向上を図る取り組みです。

人財の増加も今後非常に重要な要素ですが、それ以上に、一人ひとりの力を最大限に発揮できる収益構造や事業構造を構築することが重要であると考えています。

KPIとしては、中規模以上のプロジェクトにおけるオフサイト施工採用率を80パーセント以上に引き上げることや、1人当たりの売上高を30パーセント以上増加させることを目標に掲げ、この戦略を推進していきます。

成長戦略を支える経営資源

今まで、スライド上段に記載された3つの戦略についてご説明しました。そして、これら3つの戦略を実現するために重要なリソースが、下段に示された「人的資本」「データ・AI活用」です。

いくらすばらしい戦略を描いたとしても、それを実行する人財がいなければ実現することはできません。また今後、データを上手に活用できる企業とそうでない企業の間で、明確な差がますます生まれると考えています。

そこで当社は、「人的資本」「データ・AI活用」の2つを二大経営資源として位置づけ、その上にある3つの成長戦略をしっかりと支える構造にしたいと考えています。

経営資源 ①人的資本

経営資源の1つ目「人的資本」についてです。当社では、「組織パフォーマンス」をスライド上段にあるように「人件費効率」という内部指標で管理しています。

これは、スライドの左下に言葉の定義が記載されていますが、「創出付加価値÷投入人件費」で算出されるものです。これを最大化するために、スライドに掲げているさまざまな施策に取り組んでいく方針です。

「人的資本」については、個人的な考え方ですが、その構成要素として重要なものが3つほどあるのではないかと思っています。

1つ目は社員数、すなわち人数です。2つ目は、一人ひとりの質、言い換えればスキルです。3つ目は、一人ひとりのマインドだと考えています。「人数×質×マインド」が当社の場合、「人的資本」の大部分を構成しているのではないかと考えています。

まず、「人的資本」の重要なポイントの1つ目である社員数、人数についてです。スライド左側の「採用強化」に記載のとおり、厳しい状況にあるとはいえ、採用活動は継続して進めていきます。人財採用を事業投資と同じ視点で捉え、採用の仕組みそのものへの投資を進めていきたいと考えています。

具体的には、採用活動に個別に注力するというよりも、その基盤となる「構造づくり」に投資するという方向性です。例えば、採用チームの増強やSNS活用、あるいは採用パートナーやアライアンスを通じて、人財が継続的に集まる仕組みを構築することを目指します。これは採用マーケティング的な取り組みの一環として進めていきます。

このように、仕組みや構造への投資を集中させ、人数の数量的な拡大を図っていくことが主な方針です。

2つ目の質やスキルについてです。スライド左側の「育成・リスキリング」に記載のとおり、技術教育やリーダー育成、資格取得支援など、教育にAIを活用して生産性を高めながら実行していく方針です。これにより、一人ひとりの専門性や提案力の向上につながる取り組みを進めたいと考えています。

3つ目のマインドについてです。これは、エンゲージメントに関わる内容であると考えています。優秀な人財がどれだけ多く揃っていても、そのマインドセットによって成果は大きく変わっていきます。

そのため、当社では評価制度や処遇を継続的に改善し、より良い方向に進めることを目指しています。

また、多様な働き方や価値観に対応する柔軟なシステムを構築し、エンゲージメント向上への取り組みを進めていきます。

なお、業務執行を兼務する取締役の評価指標には、エンゲージメントスコアの数値が目標値として含まれており、それを基に評価される仕組みがあります。このように、会社全体としてエンゲージメント向上に取り組んでいく考えです。

経営資源 ②データ・AI活用

重要な経営資源の2つ目である「データ・AI活用」についてです。前ページでは、「人的資本」の数や質、マインドの向上を通じて、人件費効率を高めるというお話をしました。

今度は、その実現を支える重要なパートナー、あるいは基盤として「データ・AI活用」があると考えています。

近年、AIへの注目が非常に高まっていますが、より重要なのは、その前提となる「データ」だと思います。

当社では、新しいERPを中心に、各システムを接続した「LIVZON サイバープラットフォーム」という仕組みを導入しています。「LIVZON サイバープラットフォーム」は当社独自の名称であり、詳細はスライド左下に記載されています。

この新ERPを基盤として、各ビジネスプロセスアプリケーションを接続し、多角的にデータ連携させる仕組みです。当社のプロセスで言うと、営業、設計、積算、施工、メンテナンス、バックオフィスといった分野において、これまで分散して活用されてこなかったデータを一元化して連携できるようになっています。この仕組みが「LIVZON サイバープラットフォーム」と呼ばれるものです。

さらに、これにAIを組み合わせることで、新たな次元の価値を創出できるのではないかと考えています。

経営面では、意思決定の迅速化、高度化、精度向上につながります。また、現場業務においては、業務の効率化や品質向上が可能になります。加えて、お客さまに対してより高度な提案やサービスの提供が実現します。

つまり、技術、人財、データの3つを融合し、そこにAIの圧倒的な効率を掛け合わせることで、従来にはない高い付加価値を創出できる会社になれると考えています。私自身、非常に楽しみにしています。

今後、「LIVZON サイバープラットフォーム×AI」にさらなる投資を行い、生産性を一層向上させていきたいと考えています。

キャピタルアロケーション

キャピタルアロケーションについてご説明します。

スライドの左側が今後5年間のキャッシュイン、右側がキャッシュアウトを示しています。

当社は今後5年間で、スライド左側に記載の営業キャッシュフローの創出に加え、固定資産の売却を行います。これは先ほど池田からもご説明がありましたように、本社移転に伴う旧本社ビルの売却が含まれています。

また、手元資金水準の最適化に配慮しつつ、スライド右側に記載の、成長投資と株主還元を両立させる資本配分を進めていきます。

成長投資については、技術、人財、AI/DX、M&Aなど、今回ご説明した成長戦略の実現に必要な分野への積極的な投資を進めていきたいと考えています。

一方で、株主還元については、これまでと同様にDOEを通じた安定的な還元を継続し、必要に応じて自社株買いなども併せて検討しながら、資本の最適化を進めていきます。

成長への投資をしっかりと行いながらも、バランスよく株主還元を実施することで、持続的な企業価値向上につなげていきたいと考えています。

リスクマネジメント・サステナビリティ

今まで成長戦略や投資といった、いわば攻めの方針を中心にお話ししてきましたが、こちらのスライドでは守りの視点についても考えなければならないという点を示しています。

これはコインの裏表のようなものとも言えるのですが、当社では「リスクマネジメント」や「サステナビリティ」を経営基盤の重要な要素として位置づけています。

具体的には、リスクマネジメントとして、毎年高まっている気候変動リスクや自然災害への対応、さらには昨今多くのニュースで取り上げられるサイバーセキュリティ対策などが挙げられます。

また、サプライチェーンについても、イラン情勢など具体的なリスクが浮上しており、多様化するリスクに備えるための社内体制を整備しています。

一方、サステナビリティについては、脱炭素や省エネに関する取り組みです。これらは単なる社会的要請にとどまらず、当社にとっては大きな事業機会でもあります。

具体的には、省エネルギー化やZEB(Net Zero Energy Building)化の提案、設備の更新需要への対応を通じて、お客さまへの提供価値を高めるとともに、事業成長にもつなげていくという位置づけです。これらの取り組みが、当社の新たな事業機会となっています。

成長投資に加えて、リスク管理と持続可能な取り組みを続けることで、企業価値の向上を実現していきたいと考えています。

成長目標(KGI)

中期経営計画の目標についてお話しします。スライドでは左下から右上に向かって丸が大きくなっています。

順を追ってご説明すると、当社は2021年3月期「1st half!」の開始時点では、営業利益が13億円からのスタートでした。

その後、2026年3月期の「1st half!」終了時点では、さまざまな施策を進めた結果、また、外部環境の好転もあり、営業利益を39億円という水準まで成長させることができました。これは約3倍の成長となります。

そして、今回の「2nd half!」では、スタートラインである営業利益39億円からさらに成長させ、KGIとして2031年3月期には営業利益額70億円以上、ROE12パーセント以上、EPS810円以上、DOE4パーセント以上を目標としています。

特に営業利益額については、根拠なく設定した数字ではなく、本日ご説明した3つの成長戦略や「人的資本」、さらに「データ・AI活用」といった投資効果を着実に積み上げたシミュレーションにより導き出された数字です。

当社はこのようなかたちで、技術をコアに据え、人財やデータ・AIを活用しながら、2030年度に「総合たてものサービス企業」へと進化を遂げていきます。

究極的には、持続的な成長と企業価値の向上を通じて、すべてのステークホルダーのみなさまのご期待にお応えしたいと考えています。

最後にお伝えしますが、今後5年間の外部環境は、大きく変化しやすいと思います。そのため、外部環境や事業環境の変化に臨機応変に対応し、必要であれば成長投資額をさらに積み増す一方、不況局面になれば守りの体制にも入ります。

今回の中期経営計画は、あくまで現時点でのメインシナリオとしてお示しするものです。今後の進捗や環境変化に応じて見直しが必要となる場合には、決算説明会などの場を通じて、随時アップデートしていきたいと考えています。

以上で、私からのご説明を終了します。ありがとうございました。

質疑応答:AI活用について

司会者:「昨今のAI投資による御社への恩恵はどのような部分でどの程度あるのでしょうか? また、今後の見立てやお考えを可能な限り教えていただきたいです」というご質問です。

水谷:AIに関するご質問について、私からお答えします。

先ほどのご説明で、AIの一般的な使い道についてはお話ししましたが、あらためて見直すと、さまざまな用途に活用できると感じています。個人的には、どんどん導入や投資を進めていきたいと考えています。

ただし、AIがいきなり人間に取って代わるようなことは、すぐには起こらないと考えています。我々の業務の一つひとつを見てみると、営業活動、設計業務、積算業務、施工管理、サービス業務など、バックオフィスを含む多様な分野がありますが、おそらく最初はAIアシスタントのようなかたちで業務が効率化していくと考えています。

例えば、営業ではAIアシスタント営業、施工管理ではAIがアシストするかたちで、人間がより高いパフォーマンスを発揮したり、負担を軽減したりする方向に進むと思います。将来的には、これらがさらに自動化されるといったことも期待しています。

現在もそうした未来を楽しみにしながら、さまざまな研究を進めています。我々は幸い、海外には中国やベトナムなどAI研究が進んでいる国々に拠点があるため、情報交換を行いながら、多様な使い道を模索している状況です。

質疑応答:中期経営計画の成長ドライバーについて

司会者:「2031年3月期の営業利益70億円以上という目標は、今期の約40億円から約75パーセント増となります。成長ドライバーにストック収益、保守メンテナンスと高度エンジニアリングがありますが、それぞれの営業利益寄与の内訳見通しがあれば教えてください」というご質問です。

水谷:今回の中期経営計画で掲げた目標70億円のうち、高度エンジニアリング領域やストック収益がどれだけ貢献するのかということですが、結論から申し上げると、5年間のシミュレーション内で、個別の内訳を細かく計算することは行っていません。

5年間という長期で見ているため、細部まで詳細に計算すると、前提条件が急に崩れる可能性があります。そのため、セグメントごとの詳細なシミュレーションは実施していません。

ただし、最近のニュースにもあるとおり、半導体やデータセンターといった大型案件への投資は非常に多く見られる状況です。また、建築費の高騰も各地で報告されており、取り壊し予定だったビルが活用されるケースも増えています。このような分野において市場は確実に伸びていくと考えており、我々としてはこれらの領域に注力することでパフォーマンスを向上させていきます。

次に、目標水準に関してですが、「1st half!」開始時点の営業利益は13億円であり、終了時点では39億円と3倍の営業利益を確保できています。この実績を踏まえると、今回掲げた70億円の目標は3倍には届かないものの、十分挑戦可能な水準であると認識しています。

質疑応答:中東情勢によるナフサ不足や物価上昇の影響について

司会者:「最近の原油価格高騰、ナフサ不足、金利上昇、その他の諸物価上昇について、御社の2027年3月期以降の業績に与える影響を教えてください。また、これらの諸要因を中期経営計画ではどのくらい織り込んでいるか、差し支えない範囲で教えてください」というご質問です。

水谷:特に最近の中東情勢によるナフサ不足は大きな問題になっていますが、足元では、それほど大きな影響が出ているわけではありません。

ただし、アイテムごとに資機材が入ってこないものがあり、そのような材料の値段がかなり上がってきています。これについては現在、我々のできる範囲で対処できているものの、今後の影響としては、我々だけでなく建築業界全体に影響が及ぶと考えています。

そのため、場合によってはプロジェクトの遅延や引き渡しの遅れが発生し、年度内の進行基準も含めた完成工事の進捗がスローダウンすることで、業績の悪化リスクがあると考えています。

このリスクについて定量的に評価し、具体的に業績がどの程度下がるかを見積もる段階には至っていないのが現状です。しかしながら、今期の業績見通しについてはこれらのリスクファクターを考慮し、やや保守的に見積もった上で発表しています。

今後について、現時点では予測が難しい状況であり、引き続き市場の動向を注視していきたいと考えています。

質疑応答:本社ビル売却の理由について

司会者:「本社ビルを活用ではなく売却された理由を教えてください」というご質問です。

池田:現在の本社ビルは、大井町の2つのビルで合計10フロアほどに分かれています。これを1つのフロアに集約し、会社として大きなまとまりを作りたいというのが、従来からの目標でした。

そのような時に、大井町に隣接する「OIMACHI TRACKS BUSINESS TOWER」というビルが完成し、そちらに移転することは、当社の今後の成長を見据える上で非常に重要だと考えました。

残った大成温調ビルの活用についてですが、建設後40年以上が経過しているため、いくつかの選択肢を検討しました。具体的には、ある程度改修して賃貸に回す方法、解体して新しい賃貸オフィスや賃貸マンションを建設する方法、そして、純粋に売却しその資金を成長投資や買い替え特例を活用した不動産投資に充てるという方法の3つです。

最終的には、今後の成長に向けた経営資源の最適配分と、成長投資の選択肢を確保する観点から売却を選択しました。この過程で、好条件のお話もいただいたため、売却に至った次第です。

質疑応答:データセンター事業の実績と将来の展望について

司会者:「データセンターに関連する案件の実績はありますか? また、この分野への展開を考えていますか? 考えているとしたら、どのような方法で拡販される予定ですか?」というご質問です。

水谷:まず、実績についてですが、海外では若干の事例がありますが、国内ではサーバールームなどはあるものの、いわゆるデータセンターとしての実績は限定的です。

現在、さまざまな情報ソースを頼りに案件の選別を進めているところです。データセンターに関しては、新しい冷却方式の導入や、従来とは異なる建築形式、例えば平屋ではなく都市型などが登場しており、一律の競争条件が続くわけではなく、フェーズごとに新しい競争環境がリセットされると理解しています。

我々は参入がやや遅れ気味ではありますが、この新しいフェーズの切り替わりを狙い、参入していきたいと考えています。

ただ、大規模なプロジェクトが多く、プロジェクト期間も長いことから、業績に反映されるのはまだ少し先になるのではないかと考えています。

質疑応答:中期経営計画における配当方針について

司会者:「2031年3月期の目標としてDOE4パーセント以上とあります。その数値を維持するとなると、現時点の財務水準を踏まえると、配当戦略以外の株主還元が見えてきません。自社株買いなどは実施する予定はないのでしょうか?」というご質問です。

水谷:中期経営計画ではDOE4パーセント以上を基本的な配当方針としていますが、ご指摘のとおり、これだけを意味するのかどうかについては、検討の余地があると思います。

スライドの「2nd half!」目標の「ROE12.0パーセント以上」の右上に小さく米印が付いています。この内容として、右下をご覧いただくと「自社株買いを除く」との記載があります。

したがって、適切なタイミングがあれば、また、当社として株の評価が適正にされていないと感じた場合に、自社株買いを検討することは当然の選択肢だと思っています。ただし、これを現時点で前提として織り込むのは適切ではないと考えています。

加えて、「すでにROE12パーセントを達成しているにも関わらず、なぜ新しい目標も12パーセントなのか」という点については、まさに先ほどお話しした内容に関連しています。

自社株買いが適切なタイミングと金額で実施されれば、ROEの向上も期待できます。ただし、自社株買い自体は現時点では計画の中に組み込んでいません。そのため、タイミングを見極めつつ、企業価値向上に資するような場面があれば実施し、みなさまのご期待にお応えしていきたいと考えています。

水谷氏からのご挨拶

本日は貴重なお時間をいただき、当社の決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございました。

そして、長年にわたり当社の資産価値にご注目いただき、応援してくださった株主さまに心より感謝申し上げます。

今回の中期経営計画をご覧いただき、ご説明した中で、将来の成長性についてこれまで十分にPRできていなかった点を反省しています。

また、設備工事業界も従来とは異なる新たな動きが出てきている状況です。今後は、新しい成長に向けた筋道をぜひご評価いただき、新たな投資にご参画いただければ幸いです。

どうか長い目で応援いただけますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

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