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2025年IPOの質は改善  東証改革で変わるグロース市場

連続増配銘柄のコラムの中で、昨今取り組まれている東証の市場改革が一定の成果を上げているという点に少しだけ言及しましたが、2025年のIPOの全体感で言えば、まさにその効果もあって特にグロース市場のIPOの質が少しだけ上がったという印象を持っています。
背景の1つとしてあるのは、グロース市場の上場維持基準の時価総額項目が現在の「上場10年経過後に40億円以上」から、「上場後5年経過後に100億円以上(2030年3月1日より)」に大幅に引き上げられたことです。もちろんゼロにはなりませんが、いわゆる「上場ゴール」や「小粒上場」という言葉で投資家から批判が起こるようなレベル感の企業は、そもそも上場維持が現実的ではないと考えて相当数が水面下で諦めたはずです(M&Aなどによるエグジットに切り替え)。

IPO件数減少は健全化の兆し  赤字上場も減少

実際、グロース市場でのIPO件数が2024年と比較して4割ほど減ったほか、赤字上場企業の減少がその証左のように思います(※赤字上場=悪というわけではありません)。もちろん、「ユニコーン」と呼ばれるような企業を多数輩出する土壌になるという最終的な東証の目標を踏まえると、まだまだ道半ばで依然玉石混交感は残るため、さらなる事前選別に期待したいところです。2025年も終わるということで、今回は参考までに「2025年IPO」銘柄の一部を紹介します。他にも多数の銘柄があるので、ぜひ調べてみてください。

1.クラシコ(442A)

2025年11月5日にグロース市場に新規上場。「病院から配られたり、市場に売っている白衣は、ペラペラでクタクタのものばかりで、あの白衣を着ても仕事のモチベーションが上がらない」という医師の声をきっかけに創業されました。耐久性、着心地、機能性、美しさを兼ね備えたメディカルアパレルで医療従事者から支持を集めています。今後は海外展開の動向に注目です。
▼クラシコ(442A)の最新記事を読む▼ クラシコ、2度の上方修正後の計画を超過、売上・利益で過去最高達成 構造改革も成功し、26年10月期も増収増益計画

2.技術承継機構(319A)

2025年2月5日にグロース市場に新規上場。製造業・製造関連企業の譲受及び譲受企業の経営支援に取り組んでいる企業です。連続的な譲受を通じて、技術を持つ製造業の強固な企業グループを構築します。ファンドとは違い、譲受した会社の譲渡は想定していないという点も特徴の1つですね。
▼技術承継機構(319A)の最新記事を読む▼ 【質疑応答】株式会社技術承継機構(319A) 新規上場記者会見

3.ミーク(332A)

2025年3月21日にグロース市場に新規上場。ざっくりと言えば、皆さんもよく知る携帯キャリア(通信回線事業者)からネットワーク回線を仕入れ、顧客にモバイル通信とともに各種サービスを付加して販売するビジネスを展開しています。例えばイメージしやすいところで過去の実績を紹介すると、前澤友作氏が率いる会社として話題のカブ&ピース社が提供する「KABU&モバイル」を支援したりしています。他にも防犯・監視カメラ、決済端末など、様々なユーザーを通信の力でサポートしています。
▼ミーク(332A)の企業情報はこちら▼ ミーク株式会社 - ログミーファイナンス

4.ソニーフィナンシャルグループ(8729)

2025年9月29日にプライム市場に新規上場(※過去に親会社のソニーGによるTOB(株式公開買付け)で一旦上場廃止)。字数の関係で割愛しますが、日本で初めて「パーシャルスピンオフ」という手法を使ってソニーGはソニーフィナンシャルグループを分離・独立させました。生損保や銀行などを傘下にもつ金融持株会社です。
▼ソニーフィナンシャルグループ(8729)の最新記事を読む▼ 【質疑応答】ソニーフィナンシャルグループ株式会社(8729) 新規上場記者会見

IPO投資の学びと注意点 オルツ事件の教訓

簡単ながら2025年のIPO総評から入りましたが、そもそもIPO企業は様々な社会構造の変化や技術発展を背景に成長を志向するケースが多く、ビジネスモデルや事業内容も比較的目新しいものが中心です。そのため、市場環境を読み解く力と企業分析力を同時に鍛えられる点は投資家にとってメリットです。
一方で、VC(ベンチャーキャピタル)の保有状況、短期資金の影響による需給主導の株価形成、大口取引先への依存、成長絵図自体の誤りといったIPO特有のリスクも存在します。

2024年10月に新規上場したオルツでは、売上高の最大9割にものぼる粉飾決算が発覚し、約10カ月で上場廃止となりました。これにより東証、監査法人、ベンチャーキャピタル、証券会社等、様々な金融関係各所に対する投資家の信頼が大きく毀損してしまったことは疑いの余地がありません。もちろんそうした企業が最初から排除されていて然るべきというのが前提ではありますが、会社側が強調する強みや成長絵図が本当にリアリティあるものなのか、自分自身の目で見極める力を養うこともIPO投資を通じての1つの到達点なのかもしれません。
(※2025年12月22日執筆)

執筆:RAKAN RICERCA株式会社
国内株式を中心とした投資関連のコンテンツ作成・情報配信、企業分析などを主な事業内容としている。日経CNBCなど各種メディアへの出演、『ダイヤモンドZAi』をはじめとしたマネー誌への寄稿も多数。


※記事内容、企業情報は2025年12月22日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。

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