4年で市場33%拡大の少額短期保険で【業界トップ】、連続増益のネット保険
国内の注目銘柄を紹介する新連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」がスタート! ビジネスモデルやファンダメンタルズの分析を通じて、中長期で保有できる優良銘柄の見極め方が身につく実践的シリーズです。今回は、SBIインシュアランスグループを取り上げます。
4年で33.6%拡大した少額短期保険市場で業界シェアトップ
SBIインシュアランスグループ(7326)は、保険金額が比較的少なく期間も短い代わりにペット・家財など日常の小さなリスクに備える「少額短期保険」で存在感を高めています。
少額短期保険業界全体の収入保険料は、2020年3月期の1,074億円から2024年3月期の1,435億円へと増加し、この4年間で33.6パーセント拡大しました。小口・生活密着型の少額短期保険は景気に左右されにくく、ストック収益の積み増しに効果的な商品であるため、保険各社で注力分野となっています。
少額短期保険で存在感を高めているのがSBIインシュアランスグループ(SBIIG)です。同社は損害保険会社、生命保険会社、少額短期保険会社6社などを束ねる保険持株会社で、2020年3月期から収入保険料と経常収益の増加が続いています。
収入保険料ベースの事業構成は、損害保険が約54パーセント、生命保険が約26パーセント、少額短期保険が約20パーセントとなっています(2025年3月期)。少額短期保険は6社体制で展開しており、収入保険料シェアは業界全体の14パーセントと、少額短期保険業界でトップの地位にあります。
ローコスト運営とグループシナジーで割安な保険料を実現
ビジネスモデルの核は、インターネット完結型を中心としたローコスト運営とグループシナジーです。人員を最小限に抑え、Webとコールセンターで直接販売することで事業費率を低く保ち、割安な保険料を提示できます。さらにSBI証券や住信SBIネット銀行、SBI新生銀行などグループ各社の顧客基盤や地域金融機関との提携、テクノロジー活用により、商品開発と販売効率の両方を高めています。
「生活動線に組み込んだ販売」で契約数の伸びを期待
今後は、拡大が続く少額短期保険市場での収入保険料の積み上げが期待されます。SBIIGは、得意とするインターネット販売に加えて、不動産仲介会社・家賃保証会社・保険代理店・ペットショップなどとの提携を通じて、入居契約やペット購入の場面で自然と保険を案内できる販売網を整えています。こうした「生活動線に組み込んだ販売」が、同社の少額短期保険の契約数の伸びを支えると見られます。
中計目標は2028年3月期に純利益40億円(2023年3月期比3倍)
同社はこのような背景をもとに、少額短期保険のラインアップ拡充と住宅ローン向け団体信用生命保険、ダイレクト自動車保険のシェア拡大を柱とする成長戦略を取っています。中期経営計画では2028年3月期に経常収益1,600億円、純利益40億円(2023年3月期比3倍)を目標に掲げます。
株主還元では、2026年3月期の年間配当予想40円(前期比17円増)に加え、暗号資産XRPがもらえる株主優待を2026年3月末基準で新設しました。足元の配当利回りは約2.0パーセントですが、配当性向は40パーセント程度への引き上げを目指しており、ネット保険と少額短期保険の成長に乗りながら、増配と優待が期待できる中長期投資候補になりそうです。
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執筆者プロフィール
執筆:西田哲郎ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。『神の手』の某社で大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。
※記事内容、企業情報は2025年11月23日時点の情報です。
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