【QAあり】グローバル・ワン、 DPUは予想比+3.5%の4,271円に上振れ、福岡Kスクエア取得で成長路線を継続
目次

山内和紀氏(以下、山内):本日は、グローバル・ワン不動産投資法人の第44期決算説明会にご参加いただきありがとうございます。資産運用会社グローバル・アライアンス・リアルティ代表取締役社長の山内です。みなさまには、日頃より本投資法人に対しご支援とご理解を賜り、誠にありがとうございます。
それでは決算説明資料の3ページの目次をご覧ください。まず私のほうから、資料に従い、Ⅰの「はじめに」では、直近の実績と中期成長戦略の進捗状況についてご説明します。その後、投信業務部長の山崎からⅡの「決算」ならびにⅢの「運用状況」の詳細をご説明します。ご説明が終わり次第、質疑応答に移ります。
1.直近の実績:着実な外部成長及び内部成長

資料の5ページをご覧ください。まず、2025年5月に公表した中期成長戦略で掲げたKPIの実績です。
DPUは当初予想比プラス3.5パーセント、145円増の4,271円と、DPUの最低ラインである3,200円を大幅に上回りました。また、NOIは前期比プラス4,900万円、巡航EPUは前期比プラス5円の1,913円となり、内部成長と資産入替の効果により、収益力は着実に向上しました。
内部成長については、ポートフォリオ稼働率は前期比マイナス0.6ポイントの98.3パーセントとなりましたが、6期連続の賃料増額を達成しました。月額賃料では、2021年9月期以来最大規模の490万円の賃料増額を実現しました。
右のグラフは、賃料改定における増額の実績と見通しを示していますが、好調なオフィス賃貸市場を背景に、粘り強い賃料増額交渉が奏功し、着実に平均増額率を伸ばしてきました。また、直近の賃料増額の成功事例では、上野の普通借家契約のテナントに対して、プラス6パーセント・分配金換算で7円の賃料増額を実現しました。
さらに、賃料上昇局面における定期借家契約の優位性を活かし、需給がタイトな大阪の新ダイビルやさいたまで、プラス22パーセント・13パーセントといった高水準の賃料増額率の事例も出てきています。
外部成長では、10月30日に公表した福岡Kスクエアを11月7日に取得するとともに、新たに大阪の賃料アップサイド追求物件をパイプラインに追加し、内部成長とともにNOI年平均成長率3パーセントを実現するために資産規模拡大に努めました。
財務については、ローンのリファイナンスで返済期日を短期化し、一部変動借入について金利スワップにより金利の固定化を図り、コストの削減に努めました。
最後にESGですが、「2025年GRESBリアルエステイト評価」で「5スター」、開示評価で「Aレベル」を取得し、6年連続の最高評価となりました。
2.中期成長戦略(2025年4月~2028年3月)の進捗状況

続いて、中期成長戦略の進捗状況についてご説明します。6ページをご覧ください。
第45期の巡航EPUは1,911円を予想していますが、福岡Kスクエアの取得とともに今回パイプラインに追加した大阪の賃料アップサイド追求物件の取得を計画しており、さらなる積み上げを予定しています。
また、第46期は1,964円を予想していますが、45期中に取得予定の大阪の物件がフル寄与することに加え、港区のブリッジ案件とプラスアルファの物件取得により、巡航EPUの積み上げを計画しています。
当面はローンや投資法人債のリファイナンスの都度、金利コストは上昇していきますので、こうした外部成長の取組みに加えて、インフレを含めたコスト増分を既存物件における力強い賃料増額で打ち返し、できる限り早期に巡航EPU2,400円以上を実現します。
2.決算概要(2025年9月期)(1)予想比較

山崎弦氏(以下、山崎):続いて、Ⅱの決算より、山崎がご説明します。9ページをご覧ください。
当期決算の予想との対比です。当期44期の分配金は、予想比プラス145円の4,271円となりました。
右の表に増減益分析の要因を記載していますが、不動産売却益と賃貸事業損益が予想よりも上振れ、営業利益は4,400万円・DPU換算で44円のプラスとなりました。
また、自己投資口の消却により発行済投資口数が2万6,278口減少したため、これが分配金を112円押し上げました。
2.決算概要(2025年9月期)(2)前期比較

10ページは、前期43期の実績との比較です。
当期は、賃貸事業収益が4億4,200万円減少する一方で、不動産等売却益が前期比10億5,200万円上振れたため、営業収益は80億8,800万円と前期比6億1,000万円の増収となりました。さらに賃貸事業費用の減少により営業費用が2億4,500万円減少したため、当期純利益は46億1,300万円と8億円の増益となりました。
右側の表の賃貸事業損益をご覧ください。賃貸事業損益は、物件売却による減価償却費の減少をはじめ、賃貸事業費用の減少による増益要因がありましたが、資産売却に伴う期中収益の減少を主因として、トータルでは1億7,200万円の減益となりました。
一方、当期の不動産等売却益は、大手町と品川の売却益剥落や錦糸町の売却持分の減少による減益要因がありましたが、横浜の売却益が大きく貢献し、トータルでは前期比10億5,200万円の増益となりました。
このように、賃貸事業損益のマイナス分を不動産売却益で大きく打ち返したことにより、営業利益は8億5,600万円・DPU換算で857円の上振れとなりました。
2.業績予想(1)2026年3月期

11ページは、45期、2026年3月期の業績予想です。
今期は、営業収益73億8,800万円、当期純利益38億3,100万円と、減収減益を見込み、横浜の売却益のうち3億9,300万円を内部留保し、分配金は44期比721円マイナスの3,550円を計画しています。
右の表をご覧ください。賃貸事業損益は、さいたま・御堂筋・豊洲等のテナント退去による4,800万円の減益要因がありますが、賃料増額改定やフリーレント解消による増益要因に加え、錦糸町と横浜の売却による期中収益の減少を梅田と福岡の取得による期中収益の増加で大きく打ち返すことで、トータルでは1億2,400万円のプラスを見込みます。
さらに、利益連動の運用報酬の減少による増益要因がありますが、横浜の売却割合が25パーセントから15パーセントに減少するため、不動産等売却益は7億8,000万円下振れ、営業利益は前期比6億300万円の減益を見込みます。
2.業績予想(2)2026年9月期

12ページは、46期、2026年9月期の業績予想です。
来期は、営業収益68億9,400万円、当期純利益31億5,800万円と、減収減益を見込み、横浜の売却益のうち4,700万円を内部留保し、分配金は45期比350円マイナスの3,200円を計画しています。
右の表をご覧ください。賃貸事業損益は、豊洲等のテナント退去による4,500万円の減益要因がありますが、福岡の取得効果により賃料等収入は2億700万円増加します。一方、物件関連費用で、減価償却費の増加や、梅田・福岡の固都税費用化による減益要因があるため、トータルでは1億2,000万円のプラスを見込みます。
また、利益連動の運用報酬の減少による増益要因がありますが、錦糸町の売却益剥落により不動産等売却益が7億2,400万円下振れることが大きく影響し、営業利益は前期比5億8,800万円の減益を見込みます。
1.内部成長(1)稼働の状況

続いて、Ⅲの運用状況について、ご説明します。内部成長についてです。15ページの稼働の状況をご覧ください。
当期の保有物件の稼働率は、総じて高止まりしていますが、稼働率95パーセントの梅田を取得したことも影響し、ポートフォリオ全体では前期比0.6ポイントマイナスの98.3パーセントに低下しました。
1.内部成長(2)テナント入替の状況・マーケットでの大規模移転事例

次に、当期の空室の埋戻し状況と、マーケットの大規模移転事例についてご説明します。16ページの左側のグラフをご覧ください。
当期は、平河町のテナント退去影響が響き、全体では646平方メートルの退去超となりましたが、埋戻しは順調に進展しました。
また、大規模移転事例に関しては、拡張移転・新規開設が5件、グレードアップ移転が5件と、過半を占めており、こうした前向きな需要が好調なオフィス賃貸市場を牽引しています。
1.内部成長(3)テナント入替・賃料改定による月額賃料変動

次に、17ページのテナント入替と賃料改定による契約ベースの月額賃料変動についてです。
当期のテナント入替は、少額の入替減額と入替増額がありました。また、賃料改定では、好調なオフィス市況を追い風に賃料増額改定は順調に進み、月額490万円の賃料増となりましたが、退去防衛や館内増床ニーズ取り込みのための戦略的な賃料減額があったため、テナント入替と賃料改定を合わせると、月額賃料はネットで430万円の増加となりました。
1.内部成長(4)賃料改定 ①現在の状況

続いて、18ページと19ページで賃料改定の状況についてご説明します。
44期の実績は、改定対象76件のうち、増額44件、据置30件、減額2件で、平均増額率は6.3パーセント・平均増減率では4.8パーセントのプラスとなりました。
45期は、改定対象34件に対し、10月末時点で、すでに19件の増額があり、残りは据置6件、減額1件、交渉中8件の状況で、平均増額率は7パーセント・平均増減率ではプラス5.2パーセントと、7期連続で賃料増額を達成する見込みです。
1.内部成長(4)賃料改定 ②今後の見通し

賃料改定の今後の見通しについてです。
当期は順調に賃料増額を実現してきましたが、東京と大阪の物件を中心にマーケット賃料はさらに上昇したため、現行賃料よりもマーケット賃料のほうが高いネガティブ・レントギャップの割合は、前期の63.9パーセントから当期は74.8パーセントに拡大しました。
南青山と豊洲の2物件を除きすべての物件がネガティブ・レントギャップの状況になっており、マイナス幅も2.6パーセントから6パーセントに拡大し、賃料の増額余地がさらに拡大しました。
当期もマーケット賃料が横ばいだった豊洲においても、足元ではマーケット賃料を大幅に上回る水準で賃料増額交渉を行っており、インフレや金利上昇分の賃料への転嫁を強く意識して賃料増額交渉を強力に進めていきます。
1.内部成長(5)マーケット賃料の状況

20ページでは、保有物件のマーケット賃料の状況をご確認いただけますが、賃料上昇が加速し、東京・大阪の物件を中心にマーケット賃料が上昇していることがわかります。
2.外部成長(1)外部成長への取組み

続いて外部成長についてです。21ページをご覧ください。
錦糸町と品川の物件売却により資産規模はいったん縮小しましたが、10月30日に公表した福岡Kスクエアの取得によって、ようやく2,000億円程度まで回復しました。
また、ソーシング活動の結果、大阪の賃料アップサイド追求物件が新たにパイプラインに追加され、資産規模目標2,500億円に向けて着実に進展しています。
2.外部成長(2)福岡Kスクエアの取得

22ページをご覧ください。今回取得した福岡は、将来の改修工事費の負担増大により収益性の低下が懸念されたため、2024年10月より3期にわたって売却した錦糸町アルカセントラルの入替物件の位置づけとなります。
築浅のため償却負担がやや重い物件ではありますが、錦糸町を上回る償却後利回りを確保しており、ポートフォリオの質の向上に貢献します。
2.外部成長(3)取得物件の概要

本物件が所在する呉服町・川端エリアは、天神エリアや博多駅エリアに比べて、立地競争力は劣るものの、割安な賃料と高い交通利便性を背景に、幅広い業種のテナントが集積しています。
中でも、本物件は、幅広いBCPニーズに対応する最新の物件スペックを有するほか、リフレッシュラウンジやルーフトップガーデンなどを備え、テナントサポートも充実しています。
また、最寄り駅から徒歩3分に立地し、地下鉄空港線を使用すれば博多駅まで約5分、福岡空港には約10分でアクセス可能であり、交通利便性の高さを評価しています。
本物件に関する詳細については、スライドをご確認ください。
3.財務(1)財務運営の推移

これより財務についてご説明します。24ページをご覧ください。
当期は、過去最大規模の自己投資口取得・消却を実施するとともに、物件売却資金を活用して借入金の期限前返済を実施したため、当期末の簿価ベースLTVは44.4パーセントの横ばいとなりました。これにより、簿価ベースLTV55パーセントまでの調達余力は約460億円を確保しています。
3.財務(2)直近の資金調達

25ページは、直近に実施した資金調達の内容です。9月末に実施したリファイナンスは、借入年限の短期化によりコストアップを抑制しました。
福岡取得のための資金調達は、総額115億円を6つのトランシェに分けて、返済期限の分散とコスト抑制を図りました。変動金利借入28億円については金利スワップにより実質固定金利で調達を行い、通常の固定金利借入に比べて7ベーシスポイント低く、分配金換算で1円程度コストを抑えることができました。
3.財務(3)返済期日の分散状況(2025年11月7日現在)

直近の資金調達を反映したマチュリティラダーの状況は、26ページをご覧ください。
4.ESGへの取組み 当期のトピックス

最後にESGへの取組みについてです。当期に実施したESGに関する各種取組みについては、28ページにまとめていますので、以降のページと併せて、後ほどご確認ください。
以上でご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:物件のリーシング状況及びマーケット動向について
質問者:物件のリーシング状況とマーケット動向について教えてください。特に、退去が発生した平河町や、稼働率の上昇余地がある豊洲のリーシング状況はいかがでしょうか? 例えば、退去した区画よりも高い賃料でリーシングが可能な見込みはありますか?
山崎:平河町は都心5区のタイトな賃貸マーケットからすると、需要が足踏みをしている状況です。ただし、足元でリーシング活動をしている中では、館内増床を含めて手応えを感じています。具体的には、退去したテナントの賃料水準によって入替増額ができるか変わってきますが、追い風が吹いている現在のオフィスマーケットで、入替増額につなげていきたいと考えています。
豊洲については、時期は未定ですがミライト・ワンが退去予定のため、現在リーシングの準備を進めています。実際のマーケット賃料をはるかに上回る水準で賃料増額交渉を行っており、その水準感でリーシングすることを基本方針としています。
以前は豊洲エリアの需要は低調でしたが、都心5区の空室率が大幅に低下し、広い面積の床を確保できる物件が見つかりにくくなっていることから、豊洲エリアにも需要が波及してきています。このような状況ですので、賃料の増額は十分に狙えると考えています。今後の稼働率については、いったん満室稼働となる見込みですが、計画上は第46期にミライト・ワンが退去することを織り込んでいます。
質疑応答:豊洲やオフィス売買マーケットの進捗状況、レバレッジ方針について
質問者:豊洲の現在の状況とオフィス売買マーケットにおける追加の物件ソーシングの進捗状況、レバレッジの活用方針について教えてください。
山内:前期のIRでは、当初、福岡と港区の2物件をパイプラインとして取得予定である旨をお伝えしましたが、今回はその計画を変更し、2物件を同時取得せず、福岡のみを取得します。加えて、大阪の賃料のアップサイドを追求する物件をパイプラインとして新たに追加し、こちらを先行して取得する計画です。
これまで、錦糸町や品川の売却を先行して進めており、その資金にて返済を進めた結果、LTVは低水準まで改善しています。基本的にはレバレッジを活用して物件を取得していく方針から、大きな変更はありません。
一方、港区の物件については引き続きブリッジし、現在ソーシング中の追加物件とセットで取得するか、あるいは分離して取り組むかを検討している状況です。これについては、これまでとは異なる資金調達方法を検討することになると見込んでいますが、最終的な方針については、現時点では未定です。
現在の売買市場については、価格の高騰が継続しており、昨年と比較してさらに厳しい取得環境にあるものと認識しています。そのような状況ではありますが、賃料のアップサイドを確保できる可能性のある物件を中心に、積極的にソーシング活動を進めています。
質疑応答:賃料増額の要因について

質問者:新ダイビルとさいたまで大幅な賃料増額ができた要因についておうかがいします。こちらは、ネガティブ・レントギャップへの対応策によるものか、あるいは大規模な床需要やエリアの人気の高まりによるものなのか、教えてください。
山崎:大阪・さいたまは空室率が極めて低く、それに伴いマーケット賃料も上昇していることから、新ダイビルとさいたまのいずれの物件においても必然的にレントギャップが拡大しています。
先ほどお伝えしたとおり、新ダイビルとさいたまのテナントは定期借家契約ですので、賃料上昇局面において強気の交渉に臨んで、賃料増額を実現しました。
また本物件は、駅近で利便性がかなり高く、オフィスのテナントさまにとっても居心地の良い優れた物件である点も、賃料増額につながったと考えています。
質疑応答:福岡の物件における今後の賃料の伸びしろについて

質問者:今回取得した福岡の物件について、満室稼働で高利回りという状況ですが、天神ビッグバンや建築費高騰による供給制約、競合状況などを踏まえ、今後の賃料の伸びしろについて、どのようにお考えですか?
山崎:福岡については再開発による新規供給が限定的である一方、需要は依然として強く、マーケット賃料の上昇が期待されます。そのため、取得後間もない新築物件ではありますが、賃貸借契約更新のタイミングで賃料増額の余地があると考えています。
山内:当該物件は築浅であるため賃料改定には時間を要する可能性がありますが、マーケット自体は賃料上昇傾向にあり、伸びしろがあると考えています。
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