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フォースタートアップス株式会社7089

東証グロース

サービス業

2026年3月期上期 エグゼクティブサマリー

志水雄一郎氏:フォースタートアップス代表取締役社長の志水です。2026年3月期上期決算説明会を開催します。

エグゼクティブサマリーです。売上高は22億5,800万円で、前年同期比33パーセント増、営業利益は3億2,800万円で前年同期比110.3パーセント増、受注高は26億7,800万円で前年同期比27.9パーセント増となり、過去最高の上期業績を達成しました。好調な事業進捗を背景に、通期業績予想を上方修正することとなりました。

主力のヒューマンキャピタル事業は、営業戦略最適化により、第2四半期の売上高と受注高がともに過去最高を記録しました。

ベンチャーキャピタル事業では、営業投資有価証券評価損として売上原価に9,300万円を計上しています。含み益が出ている投資案件もありますが、会計ルールに則り、損失が先行しています。

総じて、過去最高の業績を達成した点をご認識いただければと思います。

通期業績予想を上方修正

通期業績予想の上方修正についてご説明します。上期業績および人材紹介の受注高が計画を上回る進捗であることを踏まえ、通期業績予想を上方修正しました。

売上高は48億5,000万円、営業利益は8億5,000万円、経常利益は7億7,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は6億1,000万円と、それぞれ上方修正しています。

下期はさらなる生産性向上を目指しつつ、来期以降の業績牽引を担う人材採用を強化していきます。

上方修正の背景

上方修正の背景をご説明します。ヒューマンキャピタル事業における上期の受注状況および業績を反映したものですが、なかでも単価の上昇が大きく寄与している点を踏まえ、下期は当初受注計画の着実な達成を目指す方針です。

単価が上期に向上した点を踏まえた業績予想も考えられますが、単価にはボラティリティがあると捉えているため、保守的に見込んで数値を策定しています。

また、足元の状況をさらに強固にするため、人材採用を強化していきます。営業投資有価証券の減損について、当期の追加計上はありません。

通期業績予想を上方修正

スライドのグラフのとおり、当社は直近の成長停滞を払拭し、過去最高の業績を達成しました。さらに、新たな高い成長を示すフェーズに入ったと自信を持って言える状況になっています。

連結決算サマリー

2026年3月期上期の連結業績についてです。連結決算のサマリーとしては、ベンチャーキャピタル事業の評価損を計上したものの、過去最高の上期業績を達成しました。

減損影響を除けば、第1四半期、第2四半期ともに売上高と各段階利益はほぼ同水準となっています。

セグメント別決算サマリー

セグメント別決算サマリーです。主力であるヒューマンキャピタル事業が大きく成長し、業績を牽引しています。

第2セグメントとなったオープンイノベーション事業では収益性が向上しました。利益は下期に偏重する傾向があるため、昨年度と比較して大きな利益を創出できる状況です。

営業利益増減

営業利益増減です。ヒューマンキャピタル事業が好調に推移したことにより、全体の利益率が改善しています。

連結売上高

連結売上高です。ヒューマンキャピタル事業が牽引し、過去最高の四半期売上高を更新しました。前年同期比で37.3パーセント増の成長となっています。

連結受注高

連結受注高です。受注高は前年同期比39.1パーセント増となり、高成長を遂げています。

その中でも、ヒューマンキャピタル事業の受注高は前年同期比43.3パーセント増と、特に高い成長を記録しました。受注件数の増加に加えて、受注単価も向上しています。

オープンイノベーション事業は、計画どおりに進捗しています。

営業戦略最適化における具体的な取り組み状況

ヒューマンキャピタル事業の営業戦略最適化における、具体的な取り組み状況についてご説明します。

以前より「質から量への転換」を掲げているとおり、さらなる事業成長を目指して、選考移行率(質)を重視する方針から、面談数(量)を重視する戦略へ切り替えてきました。シンプルに求職者との面談数を増やしてきました。また、しっかりと成約につなげるため、取り扱い求人案件も増やしてきました。

その結果、育成スピードが向上し、生産性が改善しています。当社が持つスタートアップ企業と求職者のマッチング精度の強みが最大限に活かされ、単価が維持・向上したまま件数増加につながったという、良い状況となっています。

社員数の状況

社員数の状況です。結果として微減となっています。今期はもともと生産性を重視し、人員を積極的に増やす計画ではなく、現在もその方針に変わりはありません。

その中で、営業戦略の変更などにより、オープンイノベーション事業では一部退職者が増加しました。一方で、ヒューマンキャピタル事業では生産性が向上し、高いパフォーマンスを示しています。

また、第2セグメントであるオープンイノベーション事業においては、マネジメントを担えるメンバーを配置転換し、人材交流を進めてきました。

さらに、当社としてさらなる高みを目指すという方針で高成長を目指している状況の中で、健全な社内競争が起き、一部退職者も発生しました。

そのような中でも、現在の組織状況は非常に前向きな状態です。さらなる高みを目指すために、下期には一部の中途採用を強化していきたいと考えています。

ヒューマンキャピタル事業 | 売上高・受注高推移

セグメント別の状況です。ヒューマンキャピタル事業の売上高と受注高の推移です。前年同期比で、売上高の進捗は37.3パーセントの成長、受注高は43.3パーセントの成長となり、過去最高の成長を示しています。

特に単月では、9月の人材紹介売上高、受注高、KPIが最多となり、これまでの取り組みの成果が表れていると考えています。

ヒューマンキャピタル事業 | 人材紹介サービス売上高構成

ヒューマンキャピタル事業における人材紹介サービスの売上高構成です。入社数のベースを維持しつつ、単価が過去最高を更新しました。

単価は411万円です。内訳を見ると、高年収帯の割合が増加しています。

ヒューマンキャピタル事業 | 主要KPI推移(単体)

主要KPI推移です。新規求職者面談数の水準は前年同期比で90.9パーセント増加しており、高い水準を維持しています。

面接設定UU(ユニークユーザー)数も前年同期比46.1パーセントの増加し、1人当たり決定件数(単体)も前年同期比17.7パーセントの増加となりました。これらが掛け合わさった結果、現在のヒューマンキャピタル事業の成長につながっています。

今後も生産性の向上を果たし、さらなる高みを目指していきたいと考えています。また、私たちの生産性は今後さらに向上の余地があると考えており、ヒューマンキャピタル事業のさらなる成長を期待しています。

オープンイノベーション事業 | 売上高・受注高推移

オープンイノベーション事業の売上高と受注高の推移です。特に「STARTUP DB」および「Public Affairs」が順調に推移しています。また、カンファレンスも受注を積み上げています。

すでに当初計画を上回る進捗を見せており、今後さらなる増収が見込まれる状況となっています。

ベンチャーキャピタル事業 | 会計処理

ベンチャーキャピタル事業の会計処理についてです。フォースタートアップスキャピタルが運営するファンドにおいて評価損が発生する場合、営業損失が発生するものの、出資比率は約20パーセントであるため、親会社株主に帰属する当期純利益段階では損失の約8割が足し戻されるという状況です。

事業環境変化に伴う現時点のセグメント別業績影響

事業環境の変化に伴う現時点のセグメント別業績への影響についてお話しします。スタートアップを取り巻く事業環境はめまぐるしく変化していると捉えています。例えば、東証グロース市場の上場維持基準の変更などが挙げられます。

そのような状況下にあっても、起業家(アントレプレナー)はたくましい存在であり、市場変化や目指す目標が高くなった場合に応じて、必ずそれを達成するというコーポレートアクションにつながっています。

この影響を、当社は存分に受けています。現時点での状況は、当社にとってポジティブであると認識しています。

中期経営方針 | 「成長産業支援プラットフォーム」構想

中期経営方針の進捗です。私たちは中期経営方針において、「成長産業支援プラットフォーム」を目指すことを掲げています。

中期経営方針 | 成長産業支援プラットフォーム実現に向けた取り組み

私たちは、「質・量ともにNo.1のスタートアップHR」を中核とした成長産業支援プラットフォームへの進化を目指すという方針を掲げています。

成長産業支援プラットフォーム実現に向けた取り組みの状況

その進捗についてですが、特に「質・量ともにNo.1のスタートアップHR」の部分において、複数の取り組みが進展しています。

支援件数については特に改善傾向が見られるものの、生産性改善においてはさらなる成長余地があります。また、AIを活用した実務フロー構築を目的として、子会社のアリカタ株式会社を設立しました。

さらに、タクシー内で新番組「Startups Prime」が放送を開始し、当社のブランディング向上にも寄与しています。今後もAIの活用やM&Aによる事業拡張を進め、「質・量ともにNo.1のスタートアップHR」を目指していきます。

事業提携/共創事業の取り組み

事業提携および共創事業の取り組みです。以前から共有しているとおり、三井住友銀行、Deel、GOジョブ、ストライクとのさまざまな取り組みが進展しています。

第2四半期の取組み

新たに第2四半期の取り組みとして、AI人材/キャリアに特化した人材支援子会社であるアリカタ株式会社を設立しました。

また、タクシーメディア「TOKYO PRIME」内で新番組「Startups Prime」の放映を開始しました。MCにはアンミカさまを迎え、挑戦者をフィーチャーした番組を提供しています。

さらに、グローバルスタートアップの企業情報データベースである「Dealroom」と「STARTUP DB」の連携を開始しました。

これにより、最大100万社の米国のスタートアップおよび投資家に関するデータを翻訳して掲載することで、さらなる情報価値の向上を目指す体制が整っていきます。

中期財務方針 | 既存事業の業績目標

中期財務方針です。既存事業の業績目標については、中期目標の初年度である当期の上方修正を行いました。その結果、売上高はすでに2027年3月期の目標下限に近づいており、営業利益は2027年3月期目標の下限を超えている状況です。

さらなる高成長を目指し、来期以降の事業計画では新たに予算値を変更します。新目標の開示は、通期決算公表時を予定しています。引き続き、利益を重視した成長を目指していきます。

中期財務方針 | キャピタルアロケーションの考え方

最後に、中期財務方針およびキャピタルアロケーションの考え方です。引き続き既存事業への投資を優先的に行い、次にM&Aおよび新規事業、そしてその次に株主還元という優先順位に基づいて投資を行い、企業価値の持続的な向上を目指していきます。

ご説明は以上となります。みなさま、ありがとうございました。

質疑応答:スタートアップM&Aサービスの進捗状況について

「新規事業として公表しているM&Aサービスなどの進捗状況はいかがでしょうか?」というご質問です。

スタートアップM&Aのサービスを新規に開始すると公表し、先月より営業活動を開始しています。

現在、スタートアップHRと同じ動きになりますが、ベンチャーキャピタルのみなさまからの情報収集に取り組んでいます。

収集した複数のM&A案件に関して、まずは自社のネットワークを活用してどのようにM&Aを成立させるかを検討しています。また、提携先であるストライク社に協力を仰ぎ、特に中小企業のM&Aに関してはストライク社が強みを持つため、連携を図りながらM&A案件を成立させていきます。

さらに、出口戦略の多様化として三井住友銀行との提携を発表していますが、こちらも含めてスタートアップM&Aを積極的に推進していきたいと考えています。今期中にしっかりと実績を出し、来期以降の予算に組み込めるような力強い成長を実現していきたいと思います。

質疑応答:業績の上方修正の考え方について

「業績予想の修正のコメントについて、上期のトレンドを下期の業績に織り込んでいないように見えますが、保守的な計画だと見てよいでしょうか?」というご質問です。

今回の上期の計画が上振れした要因として、ヒューマンキャピタル事業における単価の上昇が非常に大きく影響しました。ただし、単価は過去最高の400万円台まで拡大しており、これにはボラティリティがあると考えています。

したがって今回は、従来の計画どおりの進捗を前提とした業績見込みを取り入れた通期業績の修正を行いました。そのため、上期のトレンドが下期も続いた場合、さらに上振れする可能性があると考えています。また、足元も非常に好調に推移しており、さらなる成長ができそうだとも期待しています。

今期は過去最高の業績を達成する予定ですが、来期以降の準備も視野に入れ、引き続きしっかりと取り組んでいきます。

質疑応答:生成AIが日本のスタートアップや自社の業績に与える影響について

「過去最高の上期業績達成、おめでとうございます。生成AIを起因とした欧米テック企業のリストラの動向は、ヒューマンキャピタル事業にとって今後のリスク要因になり得ると考えますが、日本のスタートアップにおいて同様の兆候、採用の手控えやリストラはすでに見られますか? また、このトレンドは、貴社の来期以降の業績見通しにどのような影響を与えると想定していますか?」というご質問です。

欧米のテック企業における生成AIを起因としたリストラの動向は、日本のスタートアップには現時点ではそこまで大きな影響を示しているとは思いません。

そのような状況の中でも、私はポジティブに捉えていることがあります。それは、今回誕生した高市政権は、危機管理投資や成長投資17分野において、国を挙げて新産業創出をしっかりと推進していくことを標榜している点です。

具体的には、グラントやSBIRなど、いわゆる政府からの新産業や成長産業、スタートアップへの投資金額が拡張されると思っています。

私たちは、市場を学び、市場の変化についていくことにおいて日本でトップクラスのHR事業を展開していることを踏まえて、しっかりと事業成長につなげていきたいと考えています。したがって、私たちとしては来期以降の数字も前向きに捉えているとご理解いただければ幸いです。

質疑応答:売上高のボラティリティと月別の動向について

「素晴らしい決算内容でなによりです。受注高が四半期対比で拡大し、非常に高い数値を記録し、9月は最多とのご説明がありましたが、月別の動向をもう少し教えてください。また、月別ではボラティリティがあると思いますが、第2四半期はたまたま受注が偏ったということではなく、実力値に近い数値だと理解してよいのでしょうか?」というご質問です。

そのようにお考えいただいて差し支えありません。もちろん、月次で見るとボラティリティは一定程度存在しますが、四半期単位ではそのボラティリティがある程度吸収される状況です。

現在のKPIや受注の進捗状況を月次で確認すると、きわめて高い水準に達しています。例えばヒューマンキャピタル事業においては、早いタイミングで月次決定が100名を超える水準に到達すると信じています。

1人当たり決定件数が0.5件まで拡張したと先ほどご説明しましたが、将来的には、ヒューマンキャピタリスト1人当たり、月次1.0名を目指せるタイミングが来ると考えています。そのため、私たちにはまだまだ圧倒的な伸びしろがあると捉えています。

また、今回お話ししている内容はすべて既存事業の売上と受注のみを対象としており、今後はここに新規事業を加え、私たちが目指しているM&Aなどが組み合わさることで、さらに高い水準を実現できると考えています。ぜひこの点にご期待いただければと思います。

質疑応答:志水氏からのご挨拶

第3四半期にも堅実な業績を上げていきます。また、第3四半期では来期以降の事業計画の策定にも入りますので、しっかりと整理し、堅実な高成長を目指していきます。

引き続き、当社の未来にご期待ください。よろしくお願いします。

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