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野村不動産マスターファンド投資法人3462

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2025年8月期決算説明

増子裕之氏:みなさま、こんにちは。野村不動産投資顧問株式会社、執行役員NMF運用グループ統括部長兼ファンドマネジメント部長の増子です。本日は決算説明動画をご視聴いただき、誠にありがとうございます。

J-REIT市場は、資金需給の改善や、好調な不動産マーケットなどを背景に、少しずつ回復の兆しが出てきています。本投資法人としても、運用は好調であり、まずは本年4月に掲げた、分配金の中期目標の進捗状況からご説明します。

分配金に関する中期目標の進捗

左側に記載のとおり、半年前に「3年間で一口あたり分配金を8パーセントから9パーセント成長させる」という定量目標を掲げました。なお、売却益等を除く、巡航分配金の引き上げを重要視する姿勢に何ら変わりはありません。

その進捗について、右側をご覧ください。2025年8月期の実績については後ほど触れますが、2026年2月期予想では、一口あたり分配金が3,624円と、年率5パーセントの成長を示しています。

2026年8月期は、ご案内のとおり、新宿野村ビルから野村不動産グループが退去予定であるため、その影響については内部留保で対応するものの、売却益等の一部剥落により分配金は3,606円となります。

次のスライドで、具体的な取組状況をお伝えしますが、成長を加速する下地は整ってきており、持続的な売却益の計上と好調な内部成長により、分配金目標の早期達成を目指していきます。

中期目標達成に向けた取り組み

まず、資産入替です。2025年8月期も約230億円の物件売却により、33億円の売却益を計上しました。スライド下段は、売却益相当分による投資主への還元実績、ならびに今後の予定です。継続的な資産入替により、2,836億円という含み益の一部を顕在化させ、上積みしていきます。

また、観光立地で変動賃料を含む形態のホテルを4物件、ブリッジにて確保しており、ホテル比率をまずは5パーセントまで引き上げたいと考えています。

次に内部成長です。全セクターで賃料は上昇基調となっており、右端に記載のとおり、月額賃料は入替や改定を通じて、大きく伸長しています。

セクターごとに見ていきますと、居住用施設は、2025年8月期に過去最高水準の賃料上昇率を達成しており、今後も継続していきます。

オフィスは、マーケット空室率の低下が続き、今後賃料成長がより加速していく見通しです。

物流については、今後契約満了を迎えるテナントとの再契約機会が生じることから、年間1億円以上の増収を目指します。

商業についても、賃料上昇は持続しており、積極的にCPI連動条項の導入実績も出てきています。

なお、新宿野村ビルの詳細は後述しますが、こちらも旺盛な賃貸需要を背景に、想定を上回るスピードと賃料水準でリーシングが進捗しているため、早期収益寄与にご期待ください。

それでは、2025年8月期の運用実績に移りますので、8ページをご覧ください。

25年8月期 決算ハイライト

1口あたり分配金は、一番左の前期3,453円からプラス89円の3,542円となりました。

続いて、主な差異要因です。左から2列目の既存物件における賃貸事業収入は、既存物件の賃料・共益費が全セクターで増収となり、149円のプラスとなりました。オフィスは早期リースアップやフリーレントの解消、商業は中座くいだおれビルの開業、住宅については入替や改定時、賃料増額の積み上げが主因となります。

一方で、賃貸事業費用においては、修繕費が減少するものの、公租公課や減価償却費等の増加により78円のマイナスとなっています。そのほか、支払利息等の増加により27円のマイナス、資産入替を通じた23円のマイナスがありますが、売却益等141円の上積みにより、分配金は3,542円と2.6パーセント上昇しています。

なお、紺色部分である2025年8月期の売却益等を除いた巡航分配金が、一番右の当初予想と比べて若干マイナスで着地していますが、賃貸住宅の入替件数が増えたことが主因であり、一過性のものとの認識です。

資産入替の継続実施(25年8月期)

11ページをご覧ください。このスライドでは、資産入替をまとめています。2025年8月期も、成長余地が限定的である地方中心の住宅13物件と、築52年のオフィスを売却し、右下に記載のとおり、売却益33億円を計上しています。

一方で、スポンサーからキャッシュフローの成長が期待できる住宅2物件と、サービス付きオフィス2物件、そして、外部から博多のホテルを取得しています。

売却益については、4期に分割分配する予定であり、ポートフォリオの質的向上と投資主への還元を、両立した取り組みを継続推進しています。

ホテル・オフィスセクターへの投資(25年8月期)

前期決算説明以降に取得した物件のご紹介です。左側は、福岡県博多市の祇園駅至近に位置する&HOTEL HAKATAです。東アジアを中心としたインバウンド需要も強く、国内外の底堅い需要が期待できます。客室としては、ダブル、ツイン、ファミリータイプと、多様なニーズに対応可能であり、賃料形態としては、固定プラス変動賃料となっています。

右側は、ビジネスと流行が共存する青山にて、サービスオフィスで、2棟目の取得となる、H1O青山です。神宮外苑をはじめ、周辺ではさまざまな再開発が予定されており、注目度が高いエリアです。

サービスオフィスは、テナントにとって、賃貸スペースを効率化できるほか、初期コストやランニングコストを抑えられるといった利点があり、需要は拡大基調です。

契約形態は、原則2年間の定期借家契約を締結する方針であり、インフレに適応すべく、キャッシュフローを上昇させていきたいと考えています。

オフィスセクターの運用状況

次は、各セクターの運用状況についてご説明します。まずは、オフィスです。テナント需要はますます強まっており、2025年8月期末の稼働率は98.5パーセントとなりました。2026年2月期末は新宿野村ビルで野村不動産グループの退去があるため、一時的に96.5パーセントと低下する想定をしていますが、早期にリースアップが可能と楽観視しています。

右上の賃料ギャップをご覧ください。マーケット賃料の上昇により、東京圏、地方ともに大きく拡大しています。

左下はテナント入替による賃料増減です。2025年8月期はプラス4.6パーセントとなりました。今回も一部、新宿野村ビルで、好条件テナントの退去による入替が生じており、過去からのトレンドという意味では、新宿野村ビルを除く、プラス7.7パーセントが参考になるかと思います。

また、右下の賃料改定においても、2025年8月期はプラス2.5パーセントと勢いは増しており、月額賃料が1,190万5,000円増加しています。

オフィスセクターの運用状況

賃貸住宅における成功事例を踏まえ、オフィスにおいても未設定であった26物件に対し、PMに対する改定時インセンティブ報酬を5月に新設しています。今回新設分については、賃料増額率が高いほど報酬が増える仕組みを導入しており、増額幅が拡大することを企図しています。なお、本年5月の新設以降、18件で6パーセントの賃料上昇率を実現しており、前のページで触れた改定時増減率2.5パーセントを大きく上回っています。 下段は2026年2月期のリーシング進捗状況です。地方がけん引しているものの、PMOを含む東京圏でのオフィスにおいても、賃料上昇が拡大基調であることがおわかりいただけます。

オフィスセクターの運用状況(新宿野村ビル)

16ページは、みなさまが注目している新宿野村ビルのリーシング状況です。

結論からお伝えしますと、好調な賃貸マーケットを背景に、野村不動産のリーシング力と差別化戦略により、想定を大幅に上回るスピードと賃料水準にてリーシングが進捗しています。

半年前にお伝えしたとおり、解約区画の貸室整備工事は、資材の搬入や人的リソースの兼ね合いで、2期に分けて推進していきます。背景がオレンジ色の部分は2025年12月から順次貸出可能な第1期工事、白色の部分は2026年9月以降順次貸出可能な第2期工事と定義します。

真ん中になりますが、第1期分は賃貸可能面積1,452坪中、すでに81.6パーセントの稼働に目途がついており、賃料単価も平均で3万円前半となっています。小規模区画においては、4万円を超える事例も出てきており、第2期分を含め、今後はより高い賃料水準を目指したリーシングを展開していきます。

右下のグラフをご覧ください。賃料収入は2026年8月期を底に、早いスピードで回復していく見通しです。もちろん、現在もリーシングを継続していますので、グラフの賃料収入をさらに伸長させるつもりです。

半年前に本収支影響を2026年8月期で約8億円、2027年2月期で約4億円、のマイナスとお伝えしましたが、それぞれ7.3億円と2.7億円まで縮小しており、さらに縮小させていきます。

物流セクターの運用状況

17ページをご覧ください。物流は、変わらず満床稼働を維持しています。右上の賃料改定において、2025年8月期の賃料増減率はプラス7.1パーセントとなりました。

右下は、2026年2月期に契約満了を迎えるテナントとの再契約状況です。Landport八王子で3年の再契約を締結し、プラス3.7パーセントの増額、物件は非開示となりますが、他のLandportにおいて、15年の再契約となり、2.7パーセントの増額とともに、3年ごとのCPI連動条項を導入する予定で、中長期的にインフレに適応できる内容となっています。

左下に契約満了テナントの分散状況をお示ししていますが、毎期一定程度の再契約機会が到来するため、物流セクターで年間1億円以上の増収を目指した交渉をしていきます。

居住用施設セクターの運用状況

18ページは住宅です。入替、改定において、過去最高水準の実績となりました。

左上のグラフで示したとおり、2025年8月期の入替賃料増減率は、プラス12.4パーセントとなりました。前期から加速するかたちで、月額1,560万円を超える賃料増額を実現しています。

また、右上の改定時賃料増減率についても、2025年8月期はプラス3.8パーセントと大幅に上昇し、月額880万円を超える賃料増額につなげることができました。

単純計算ではありますが、入替と改定で年間約2.9億円の増収になります。

居住用施設セクターの運用状況

従前から本投資法人は投資効率を踏まえ、東京圏のファミリーやコンパクトタイプなどに厳選して、専有部リニューアル工事を推進しています。2025年8月期は8戸で工事を推進し、39.9パーセントの賃料増額を実現しています。

具体的に、左下では深沢ハウスHI棟の成果をお示ししています。3LDKのファミリータイプとなりますが、専有部リニューアル工事により、プラス33.2パーセントの賃料増額を実現しています。

右側は、順次進めている共用部リニューアルです。PRIME URBAN 東中野コートにおいて、1階共用部リニューアルに加え、居住者へのアンケートを経て、シェアモビリティの新規導入やカーシェア設置の再周知を行いました。その後、契約期間中での改定交渉を行い、賃料増額につなげています。

商業セクターの運用状況

20ページは商業セクターです。右上のグラフをご覧ください。2025年8月期に固定賃料は増加しているものの、売上歩合賃料が縮小して見えます。これは、ユニバーサル・シティウォーク大阪において、あるテナントの変動賃料を年に1度の計上から、毎月計上に変更し、毎期平準化したことが主な要因です。

下段の入替及び改定時の賃料増減率は、いずれも前期の特殊要因が剥落していますが、前々期と比較しても増額率は拡大基調です。

商業セクターの運用状況

21ページをご覧ください。左側はGEMSシリーズにおける、2025年8月期の入替・再契約の状況をまとめています。入替時は13.5パーセント、再契約時は1.9パーセントの賃料増額を実現しています。

GEMSシリーズにおいても、基本的には賃料の交渉機会を確保すべく、契約期間の短縮化を志向しており、長期契約になる場合には、CPI連動条項の導入に努めています。最下段ですが、2025年8月期では7件の導入実績となっています。

右側は札幌のシンボル物件であるnORBESA(ノルベサ)です。資産価値を上げる取り組みを続けることによって、テナントの理解も進み、大幅な賃料増額を実現しています。

ホテルセクターの運用状況

ホテルにおいては、博多のホテルを取得したことにより、8物件の保有となりました。現在4件のホテルをブリッジにて確保しており、まずはホテル比率を5パーセントまで引き上げていきたいと思います。

左下では、変動賃料を導入している7物件の年間運営状況をお示ししています。それぞれ個別事情はあるものの、インバウンド需要の増加等により、Rev PARは前年同期比で大きく上振れしています。

本年7月から8月にかけて少し弱含んでいますが、震災発生の風評や、猛暑の影響による一過性のものと理解しており、9月以降は回復しています。

鑑定評価の状況

24ページをご覧ください。鑑定評価額については上昇が継続し、含み益は2,836億円まで拡大しています。右上の表をご覧いただきますと、鑑定キャップレートはほとんどの物件で横ばいとなっており、キャッシュフローの上昇が鑑定評価額上昇の主要因になってきています。

今後もキャッシュフローを引き上げて、投資主価値である一口あたりNAVの上昇につなげていきます。

財務状況

26ページは財務状況です。2025年8月期は約380億円のリファイナンスを行いましたが、変動借入比率や借入年限の調整により、金利上昇影響を抑えています。

今後2期分の返済予定は右上に記載のとおりですが、業績予想上、政策金利が現状より25ベーシス上がる想定をしています。

下段に有利子負債の状況をまとめていますが、平均残存年数は3.5年から4年、固定金利比率は70パーセントを目安にリファイナンスを推進し、金利上昇に柔軟に対応していきます。

26年2月期・26年8月期 業績予想

29ページは業績予想です。2026年2月期は、賃料共益費やその他収入の増加により、既存物件で90円のプラス、入替の影響で11円のプラス、支払利息等の増加で30円のマイナスとなります。そこに売却益等151円が加わり、前期比プラス2.3パーセントの3,624円の増配を予定しています。

なお、2026年2月期の野村不動産グループの退去による収支影響は、ネットするとイーブンになります。

次に、2026年8月期については、賃料共益費の増加や修繕費の減少により、既存物件で79円のプラス、野村不動産グループの影響で157円のマイナス、支払利息等の増加で38円のマイナスとなります。そこに売却益等の92円と内部留保の157円を加え3,606円の減配を予想しています。

現時点では減配予想となっていますが、ポートフォリオのクオリティ向上を目的とした資産入替は継続していきますので、今後の分配金の上積みにご期待ください。

ESGへの取り組み(E:環境)

続いて、ESGの取り組みについてご紹介します。環境分野においては、温室効果ガスの削減状況をアップデートしています。

右下に記載していますが、本年8月に取得したH1O青山は木造ハイブリッド構造となっています。建築時に、CO2を約21トン削減、木材が成長する過程でCO2を19トン吸収しており、環境に配慮したオフィスビルです。

ESGへの取り組み(E:環境 S:社会)

33ページの左側は、環境面におけるマテリアリティの進捗です。右側では、地域貢献と障がい者支援を目的とした、活動の一部をご紹介しています。

nORBESAでは、不動産や観光に資する人材育成等を目的に、札幌市内の小学生を対象とした社会科見学を実施し、約100名の児童が参加しています。

また、下段ですが、一般社団法人障がい者自立推進機構が活動するパラリンアートのゴールドパートナーとなり、障がい者のアートを通じて、社会との接点を支援する取り組みをはじめています。手始めに、PRIME URBAN 東中野コートの共用部リニューアル後のELVホールに作品を展示しています。

資産運用会社のサステナビリティへの取り組み

野村不動産グループは、2022年から奥多摩町において、つなぐ森を保有し、産学連携した生物多様性の研究に取り組んでいます。資産運用会社では、生物多様性や循環型社会を学ぶ目的で、社員研修としてつなぐ森を体感してきました。今後もREIT事業を通じて、持続可能な社会構築に貢献できるよう取り組んでいきます。

最後となりますが、運用状況は総じて好調に推移しており、内部成長に十分な手応えを感じています。加えて、ポートフォリオの質的向上を目的とした資産の入替を継続し、売却益等についても引き続き投資主に還元していきます。

これらの施策を通じて、分配金の中期目標を前倒しで達成したいと考えていますので、引き続きご支援のほど、よろしくお願いします。

ご清聴、誠にありがとうございました。

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