【QAあり】中本パックス、売上高・営業利益は前年を上回り過去最高 IT・工業材関連が伸長、生活資材関連は高採算の自社商品が好調
決算概要
河田淳氏(以下、河田):みなさま、こんにちは。中本パックス代表取締役社長の河田です。本日はお忙しい中、当社の2026年2月期中間決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
また、平素より当社のIR活動をはじめ、さまざまな局面においてご支援・ご協力をいただいていますこと、この場を借りて厚く御礼申し上げます。それでは、さっそくご説明に入ります。
最初に、2026年2月期 中間期の決算概要についてご説明します。売上高は249億8,600万円で前期比2.5パーセント増、営業利益は16億1,100万円で前期比3.2パーセント増の増収増益となり、過去最高を更新しました。
乳製品や農産物を中心としたフードパック・豆腐用包材が好調に推移したことや、国内子会社の貢献により、食品関連分野で増収増益を達成しました。
また、当社の2番目の事業であるIT・工業材関連については、スマートフォン用途や半導体関連、産業資材が堅調に推移した結果、増収増益となりました。
生活資材関連については、利益率の高い自社商品の販売が好調に推移したこと、さらに収納商材や防ダニ関連商材が増加したことが要因となり、増収増益を達成しました。
営業利益増減要因(前期比)
営業利益を前年と比較した増減要因についてご説明します。
原材料や電気、物流費等の値上げにより、製造コストが上昇しました。しかし、新規顧客の獲得などの販売活動や生産効率の改善、IT工業材のスマートフォン分野などの需要増加、昨年連結子会社化した中本アドバンストフィルム株式会社の利益貢献があったことにより、営業利益は前年比5,000万円増加し、16億1,100万円となりました。
中間期決算ハイライト
中間期の決算ハイライトについてご説明します。売上高は249億8,600万円、売上総利益は46億6,300万円、売上総利益率は18.7パーセントです。販管費は30億5,200万円となり、その結果、営業利益は16億1,100万円となりました。
なお、前年同期に計上した外貨建債権等に係る為替評価差益が今期は為替評価差損に転じたため、経常利益は15億6,700万円となり、前年同期比で5,700万円減少しました。親会社株主に帰属する中間純利益は10億5,900万円で、前年同期比で1億8,700万円減少しています。
中間期決算ハイライト
四半期ごとの売上高と営業利益の推移についてご説明します。
先ほどお話ししたように、スマートフォン用途や半導体関連の需要が好調に推移したこと、生活資材の好調などにより、数年前から順調に売上高を伸ばし、昨年からは四半期で100億円を安定的に超える売上高となっています。
今年の第1四半期は過去最高を更新しましたが、第2四半期は第1四半期より増加しているものの、過去最高だった前期第2四半期の10億1,000万円から8億6,000万円となり、減益となっています。
売上高・営業利益増減要因 (前期比)
次に、売上高・営業利益の前年と比べた用途区分別の増減要因についてご説明します。売上高・営業利益は、食品やIT・工業材関連を中心に前年を上回りました。
生活資材関連は、利益率の高い自社商品の販売が好調に推移したことで増収増益となっています。販管費の増加は、広告宣伝費が約5,200万円、運送費が約4,500万円増加したことなどが要因となっています。
売上高・営業利益増減要因 (計画比)
スライドは、計画に対する売上高及び営業利益の増減要因を示したものです。
売上高は、食品関連の無地化の影響によってコンビニ関連が計画を下回って推移しています。一方で営業利益は、先ほど申し上げた生活資材関連において利益率の高い自社商品が好調だったことから、計画を上回って推移しています。
用途別売上高・売上総利益構成比の推移
スライドは、用途別の売上高及び粗利の構成比について、過去5年間の推移を示した棒グラフです。特に食品関連の粗利、つまり売上総利益に注目していただきたいのですが、最初の3年間は利益率が停滞していました。
しかし、中本アドバンストフィルム株式会社が当社グループに加わったことにより、利益が増加しています。特に緑色の部分で示した建材関連は、建材の不況に伴って、売上・利益ともに割合が少しずつ減少していることがわかるかと思います。
用途別状況 食品関連
用途別の状況のうち、食品関連について少し詳しくご説明します。2026年2月中間期の売上高は158億5,900万円、売上総利益は22億9,500万円となり、前年同期比2.8パーセントの増収、9.7パーセントの増益を達成しました。
既存のヨーグルトやチーズなどの乳製品、農産向けのフードパックが好調でした。また、豆腐用包材や惣菜分野も堅調に推移しています。
用途別状況 IT・工業材関連
IT・工業材関連についてです。売上高は46億1,500万円、売上総利益は10億3,500万円で、前年同期比4.1パーセントの増収、7.8パーセントの増益となりました。特にスマートフォン用途、電子部品パッケージ材料、半導体関連、EC関連資材、製造業向け重袋が堅調に推移しています。
用途別状況 生活資材関連
生活資材関連についてです。売上高は23億6,500万円、売上総利益は9億7,700万円で、前年同期比2.3パーセントの増収、9.3パーセントの増益となりました。
先ほどから申し上げているとおり、利益率の高い自社商品の販売が好調に推移したことに加え、収納関連商材や防ダニ関連商材の売上も、商品力と営業活動の推進により増加しています。
用途別状況 建材関連
建材関連についてです。売上高は8億8,900万円、売上総利益は1億2,100万円で、前年同期比11パーセントの減収、22.8パーセントの減益となりました。
新築住宅着工数の減少、特に住宅内装向け建材需要の縮小により、戸建て向けの表面機能コーティングを施した建材や壁紙向け印刷の受注が減少しています。
用途別状況 医療・医薬関連
医療・医薬関連についてです。売上高は8億700万円、売上総利益は1億7,600万円で、前年同期比1.2パーセントの増収、3.2パーセントの増益となりました。病院関連では貼付剤関連が増加し、医療用の包装袋も堅調に推移しています。
資産・負債の状況
資産・負債の状況です。2025年8月末の総資産は、401億6,200万円となりました。受取手形、売掛金及び契約資産の増加により、前期末比1億8,700万円の増加となっています。
ネット有利子負債は9億6,100万円です。長期借入金が6,000万円増加、現預金が3億1,900万円減少したことにより、前期末比約3億2,800万円の増加となりました。
利益については、当社の半期決算において、8月31日が日曜日であったため減少しましたが、9月1日には約4億円を現金化し、増加しています。
キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローについてご説明します。営業キャッシュ・フローは9億4,900万円のプラスとなりました。主な内容は、スライドに記載のとおりです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の売却により2億2,100万円の収入がありましたが、生産加工設備等の固定資産の取得により10億4,200万円の支出が生じ、合計約7億2,000万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払いなどにより4億2,300万円のマイナスとなりました。最終的に、現金及び現金同等物の中間期末残高は、前期末比3億1,100万円減少し、72億4,000万円となっています。
当期の業績見通し(概況)
2026年2月期の業績見通しについてご説明します。まずは概況についてです。
下半期も製造コストの上昇が見込まれますが、さらなる生産効率の改善や石化由来インキの使用量削減などにより、業績への影響を少しでも緩和できるよう取り組んでいきます。
食品関連では、連結子会社化した中本アドバンストフィルム株式会社の売上及び利益貢献を見込んでいます。また、最近コンビニやスーパーなどで増えている冷凍弁当で採用されたラベルレスサーマルトップシールや、「RESC」をはじめとする環境対応包材の受注増加も見込んでいます。
IT・工業材分野では、引き続き半導体関連が堅調に推移する見込みです。さらに、次世代電池といった成長分野のスポット案件もあり、新工場へのテストコーター機の導入や本格稼働に向けた取り組みを強化していきます。
生活資材分野では、利益率の高い自社商品の販売が好調に推移しました。自社設備での製造、開発を行い、引き続き効率化と差別化を図っていきます。
建材関連では、壁紙向けや表面機能コーティングを施した建材の受注が減少しています。世の中は建材に関して非常に逆風ですが、今後も営業活動を強化し、新規案件の獲得に努めるとともに、新機能性建材の取り組みを推進して、利益率の向上を図っている最中です。
医療・医薬関連では、比較的高価格帯の貼付剤関連が増加しています。輸液関連の新規開発案件についても受注が見込まれており、引き続き拡販を継続していきます。
設備投資・減価償却費 計画
設備投資及び減価償却費の年間計画についてご説明します。今期の設備投資金額は19億5,000万円を計画しています。上半期は、埼玉新工場の用地(今年4月に取得済)や、新しく入れ替えたシステムの付帯設備などを購入しました。
下半期は、テストコーター機などの生産設備の購入を予定しています。また、前期に引き続き、基幹システムの改善作業などにも資金を投入し、順次進めていきます。
当期の業績見通し
2026年2月期の業績見通しについてご説明します。これまでと同様、売上高は520億円、営業利益は30億円、経常利益は31億円、親会社株主に帰属する当期純利益は20億1,100万円を計画しています。
今後、経営環境などの変化により業績予想についての見直しが必要と判断した場合は速やかに開示していきます。
2026年2月期の重点取り組み
2026年2月期の重点取り組みについてご説明します。今期の重点取り組みとしては、期初に掲げた6つの目標の推進を進めています。
基盤強化に向けた取り組み
1つ目のトピックスです。2024年5月に当社本体の基幹システムの入れ替えが完了し、現在は当社のグループ会社や子会社への入れ替えも進めています。
このシステム導入の目的は、リアルタイム化、ペーパーレス化、DX化の推進はもちろん、今後の成長の原動力となる生産工場の全体最適化やSCMの推進を実現し、中本パックスグループの飛躍につなげることです。
また、こちらは非常に遅くなりましたが、2025年8月にホームページをリニューアルしました。スマートフォンやタブレットに対応したサイトにすることで、新卒採用の獲得につなげたいと考えています。さらに、企業イメージを高め、求職者や取引先への訴求力向上を図っていきます。
積極的なM&A
2つ目のトピックスです。昨年2月1日に完全子会社化した中本アドバンストフィルム株式会社は、2期目となる昨年も引き続き、売上高と利益に大きく貢献しました。
これから中本パックスグループのお客さまへの拡販も進め、大きなシナジーを生み出していく予定です。今後の数字については非開示ですが、今年12月で2期目が終了します。
3期目は、もともと中本アドバンストフィルム株式会社が50年以上の業歴を持つ会社であることを背景に、過去最高の売上を達成し、超える見込みです。それに伴い、さらなる利益貢献が期待されています。
積極的なM&A (合弁事業)
3つ目のトピックスです。機能性包材の企画・開発・販売を行う合弁会社として、2023年4月3日にRNスマートパッケージング株式会社を設立しました。
現在、さまざまな問題点や立ち上げの難しさを経験しながら、コンビニを中心にラベルレストップシールの採用拡大を進めています。
今年5月には、株式会社シルバーライフの冷凍弁当製造ラインにラベルレスサーマル印刷が初めて導入されました。こちらは、冷凍食品業界で初めて採用された事例です。多様な基材に対応し、トップシールやピロー包装、深絞り包装など、各種包装形態への展開を進めていきます。
また、2023年に『日本経済新聞』から「日経優秀製品・サービス賞 最優秀賞」の表彰をいただき、さらに昨年は公益社団法人 日本包装技術協会の新規創出部門で「木下賞」をいただき、2年連続の受賞となっています。
スライド右側に記載の「RESC」はバリアコート紙で、紙とバイオマス材料の複合品です。酸素バリアやフレーバーバリアを備えた紙包装材料で、食品の鮮度保持を目的とした材料となっています。
今年からはみかん用のダンボールとして、みかんの賞味期限を延ばし、フレーバーを保つ機能を備えたかたちで採用されています。また、海外スーパーマーケットの包材としても拡販を進めています。
新工場用地及び建屋の取得
4つ目のトピックスです。高機能フィルムクリーンコーティング事業のさらなる拡大を図るため、当社は埼玉第一工場に隣接する土地と工場を今年4月末に取得しました。
新工場の土地面積は埼玉第一工場の約2倍となり、既存の建屋の手直しや改造は必要ですが、そのまま利用することが可能です。
今年10月からは、まずは倉庫の一体運用を開始し、付近に3ヶ所あった倉庫をすべて解約しました。これにより、年間約6,000万円のコスト削減を図っています。
成長分野(IT・工業材関連)
テストコーターについてです。これは2次電池の電極を製造する機械で、来年3月までに新工場へテストコーター機を設置し、2026年5月から稼働を開始する予定です。
すでに「この新規のテストコーターまで待てない」というお客さまから既存の機械を用いたテストのご依頼をいただいており、新工場と機械を活用しながら、さらなる分野の取り組みを進めていきます。
具体的には、2026年初頭に2次電池部材向けのテストコーター機を導入します。2027年には量産コーター機の仕様を決定し、自社でコーター機を作成して導入する予定です。
この施策により、2030年までに国内でのポジション確立を目指します。また、電池の海外生産が大きな市場となっているため、海外展開及びさらなる量産を進め、2次電池分野でのコンバーターナンバーワンを目指します。
中期業績目標(中期経営計画2024)
中期の業績目標についてご説明します。2026年2月期は、当社が初めて作成した「中期経営計画2024」の最終年度にあたります。売上高520億円、経常利益31億円を確実に達成していきます。
長期目標としてきた売上高500億円は今期に達成予定であり、経常利益目標の35億円も達成間近です。数字が確定次第、新しい3ヶ年計画と長期目標の見直しを行い、開示する予定です。
これまでにご説明した施策を着実に実施すること、新たな取り組みのさらなる拡販、そして現在検討中のM&Aを実行することで、これまで同様、増収増益のトレンドを継続できる見込みです。
株主還元方針
最後に、当社の株主還元方針についてご説明します。当社は2016年に東証2部に上場して以来、減配を行わず、株主のみなさまに利益を還元してきました。
基本方針と2025年2月期の通期業績を踏まえ、期末配当は前回予想の32.0円から2円増加の34.0円とし、年間配当は66.0円となる見込みです。さらに2026年2月期では、66.0円から2円増配し、現時点では68.0円を予定しています。
質疑応答:今期上期の実績に対する評価について
質問者:上期の実績について質問です。第2四半期の3ヶ月間を切り取ると、おそらく粗利や売上も前年比で少しマイナスとなり、営業利益も15パーセントほど減少しています。
昨年が良かったという要因もあるかもしれませんが、第2四半期の実績を見ると、これまでの増収増益のトレンドからやや減速しているようにも感じられます。この実績について、何が良くて何が悪かっ
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