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株式会社キングジム7962

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エグゼクティブサマリー

木村美代子氏:キングジムの決算説明動画をご視聴いただきありがとうございます。社長の木村美代子です。

2025年6月期の決算についてご説明します。エグゼクティブサマリーです。前期2024年6月期は赤字決算でしたが、2025年6月期は増収増益を実現し、黒字転換しました。

第11次中期経営計画初年度の施策は概ね計画どおりに進行し、2年目に向けた基盤を構築することができました。

INDEX

2025年6月期の通期実績、2026年6月期の業績予測、第11次中期経営計画初年度の進捗について順を追ってご説明します。

連結損益計算書概要

2025年6月期の通期実績についてご説明します。連結売上高は396億3,900万円で、前期比0.2パーセント増収となりました。

売上総利益率や販管費率の改善により、営業利益は5億3,700万円、経常利益は8億3,600万円、当期純利益は4億2,400万円と増益、黒字転換を果たしました。

なお、今期は特別利益として、政策保有株式の売却に伴う投資有価証券売却益を、特別損失としてラチュナ事業に係るのれん減損などを計上しています。

連結売上高

連結売上高についてです。左側の棒グラフをご覧ください。ライフスタイル用品事業のグループ会社各社の成長が後押しし、前期比で0.2パーセントの増収となりました。

一方、右側のグラフの計画比では3.3パーセントの未達となっています。

連結利益額

連結利益額についてです。左側の対前期グラフをご覧ください。営業利益、経常利益、当期純利益のすべてで増益を達成し、黒字で着地しました。右側のグラフに示された計画比では、営業利益と経常利益が計画を達成しています。

増益の主な要因として、価格改定や評価減の減少など複合的な要素により売上総利益率が1.3ポイント改善したこと、さらに販管費率が改善したことが挙げられます。

連結営業利益増減要因

営業利益の増減要因についてご説明します。グラフの左側をご覧ください。2024年6月期の営業利益は2億4,100万円の赤字でした。

これに対し、売上増に伴う売上総利益の増加がプラス3,100万円、売上総利益率の向上がプラス5億1,700万円、販管費の減少がプラス2億3,000万円と増益要因になりました。

その結果、2025年6月期の営業利益は5億3,700万円の黒字となっています。

セグメント別売上・営業利益

セグメント別の売上高と営業利益についてご説明します。当社の事業は、「キングジム」ブランドによる文具事務用品事業と、国内グループ会社5社によるライフスタイル用品事業の2つのセグメントで構成されています。

左側のグラフをご覧ください。売上高は251億7,800万円となりました。「テプラ」やラインナップを拡大している防災用品の売上は増加しましたが、厚型ファイルをはじめとするステーショナリーの売上減少を補うには至らず、前期比0.6パーセント減の減収となっています。

右側のグラフでは、営業利益についてご説明します。価格改定や評価減の減少による売上総利益率の改善に加え、「物流コスト削減プロジェクト」による販管費の減少など、利益構造の強化が進みました。

その結果、前期比で8億4,900万円の増益となり、黒字額は3億8,200万円で着地しました。ただし、計画比では1.9パーセントの未達となりました。

セグメント別売上・営業利益

ライフスタイル用品事業です。左側のグラフをご覧ください。売上高は144億6,100万円で、前期比1.7パーセントの増収となりました。

要因としては、ライフオンプロダクツ株式会社と株式会社アスカ商会が好調に推移したことに加え、株式会社ラドンナにおいて主力ブランド「Toffy」の新コレクションやハンディファンなど季節家電の売上が大きく伸長したことが挙げられます。

一方、右側の利益面では、円安や原材料価格の高騰による売上総利益率の低下に加え、株式会社ぼん家具における販管費の増加が影響し、営業利益は1億3,100万円にとどまりました。その結果、前期比32.3パーセント減となりました。

連結貸借対照表および自己資本比率推移

連結バランスシートおよび自己資本比率の推移についてご説明します。総資産は現金および預金の増加により、前期比4億8,800万円の増加となりました。負債は、借入金や買掛金の増加により、前期比7億3,700万円の増加となっています。

純資産は、為替換算調整勘定および退職給付に係る調整累計額の減少により、前期比2億4,900万円減少しました。自己資本比率は67.5パーセントとなり、前期比で1.6ポイント低下しましたが、引き続き十分な財務体力を維持しています。

連結キャッシュ・フロー推移

連結キャッシュ・フローの推移についてご説明します。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費などを含め、14億6,800万円となり、前期比ではプラスとなりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、新物流管理システムなど固定資産の取得による支出により、マイナス8億2,500万円となっています。

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増減により1億7,500万円となりました。

株主還元

株主還元についてご説明します。当社は配当性向の基準を40パーセントとしていますが、安定配当を重視し、中間配当7円、期末配当7円、年間合計で14円を予定しています。

なお、期末配当については、2025年9月18日開催の定時株主総会にお諮りする予定です。

2026年6月期 通期業績予想

2026年6月期の業績予想についてご説明します。通期の業績予想は、連結売上高420億円、営業利益15億円、経常利益16億円、当期純利益10億円を見込んでいます。なお、こちらの業績予想は、現在の社内レート151円で算出しています。

2026年6月期 第2四半期業績予想

第2四半期の業績予想についてです。当社は6月決算のため、7月から12月が上期となります。セグメント別では、文具事務用品事業が赤字予想となっていますが、これは文具事務用品の需要が年度末や年度初めに集中し、需要期となる下期に売上が伸びる構造であるためです。

次のスライド以降で、より詳しい業績の見込みについてご説明します。

2026年6月期 連結売上高の増減見通し(対前期)

連結売上高の増減見通しについてご説明します。連結では23億6,000万円の増収を見込んでいます。

文具事務用品事業では、国内での新製品投入やEC事業の強化、主力商品「テプラ」の販促施策に加え、海外でのマーケットイン商品投入などの施策により、11億2,100万円の増収を見込んでいます。

ライフスタイル用品事業は、好調なキッチン雑貨やシーズン品の展開に加え、グループ各社による新製品投入や新販路開拓などにより、12億3,800万円の増収を見込んでいます。

2026年6月期 連結営業利益の増減見通し(対前期)

連結営業利益の見通しについてご説明します。売上増加および価格改定の浸透による売上総利益の増加、さらに売上総利益率の向上により、前期比9億6,200万円の増益を見込んでいます。

売上増加に伴い、販管費は増加する見込みですが、引き続きコストダウンを継続的に実施する予定です。

2026年6月期 セグメント別営業利益の増減見通し(対前期)

営業利益についてセグメント別にご説明します。文具事務用品事業では4億8,700万円、ライフスタイル用品事業では4億8,800万円の利益改善を見込んでいます。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。左側の折れ線グラフに示される株主資本コストは、3パーセントから4パーセント程度を想定しています。

2024年6月期には最終赤字となったものの、2025年6月期には黒字化によりROEが回復し、現在は1.8パーセントとなっています。しかし、株主資本コストを上回るROEには至っていないため、引き続き収益力の改善が課題です。また、PBRは1倍を維持しています。

今後も「第11次中期経営計画の遂行による収益力向上」「戦略的投資」「株主還元とIR推進」「資本効率化」の4つの取り組み方針に沿って、各種施策を進めていきます。

第11次中期経営計画:経営数値目標

第11次中期経営計画初年度の進捗についてご説明します。2027年6月期の連結売上高は520億円、経常利益は28億円、経常利益率は5.4パーセント、ROEは8.0パーセントを目標に、各種施策を実行しています。

下段の注記に記載していますが、文具事務用品事業の2027年6月期売上高は、第11次中期経営計画策定時の2024年6月期から50億円の上積みを見込んでおり、その内訳は、海外事業25億円、EC事業10億円、サービス事業15億円です。

第11次中期経営計画:骨太の方針と戦略

第11次中期経営計画では、「既存ビジネス強化」「4つの資源」「骨太の方針」の戦略に沿って、各種施策を展開・実行しています。

第11次中期経営計画達成に向けた施策進捗

基盤となるキングジムの文具・事務用品事業は、主力商品の販売促進、新製品の開発、新たな販路の開拓を通じて、さらなる進化を目指します。

また、「カテゴリ領域の拡大」「エリア領域の拡大」「サービス領域の拡大(モノからコトへ)」の3つの成長戦略を基軸に、ライフスタイル分野や海外展開、新たなニーズに対応するサービス事業を拡充し、時代やお客さまに合った独創的な価値の提供を目指します。

事業ポートフォリオ

事業ポートフォリオです。ステーショナリーの売上高を維持しながら、重点領域であるライフスタイル用品や電子・生活環境用品の売上を伸ばすため、事業別の成長方針を明確にし、持続的な成長を目指していきます。

開発領域

既存ビジネスの開発領域では、社会の変化に応じて、働く現場や暮らしに寄り添った商品開発を推進します。

開発領域

スライド左側の「働く現場(BtoB)」では、生産性の向上、現場環境の支援、防災・安全の観点から現場をサポートする商品を展開しています。

例えば、視認性の高いユニバーサルデザインフォントや、医療・建設の専門用語の変換辞書を搭載した「テプラ」PRO SR-R560、「排気が熱くないポータブルスポットクーラー」、扉の向こうに人がいることを知らせる「扉につけるお知らせライト」などがあります。

特に注力しているのは、左下の防災用品群です。こちらは賞味期限が迫った備蓄品を容易に差し替えられる「差し替え式 災害対策セット」です。中を開けると、差し替え式の備蓄品が出てきて、この部分だけを交換することが可能です。

このように、さまざまなニーズに対応した多数のラインナップを展開しており、8月には防災ブランド「KOKOBO(ココボ)」をリリースしました。

「災害時に何を備えたらよいかわからない」のような声にもお応えし、手にしたその日から防災が日常の一部となるような、身近で続けやすい防災用品を提供していきます。これを皮切りに、今後もさらなる拡充を進めていく予定です。

スライド右側のBtoC向けは、暮らしを便利にしたり、彩りを与える商品や、学びや趣味を応援するアイテムを多数開発しています。特に、ミニチュア文具「キングミニ」シリーズなどが大変人気です。

デザイン

デザインにも注力しています。「デザイン力で企業価値向上」という目標のもと、社長直轄のクリエイティブセンターを発足しました。

製品デザインやブランディング体制の構築に加え、社内向けセミナーの開催など、幅広い新規活動を実施しており、今後も継続していきます。

販売戦略

販売戦略については、既存の通販・ECチャネル、文具・事務用品チャネル、量販チャネルに加え、電材・ネットワーク関連の商品を提供するインダストリーチャネルの拡充を進めています。

また、マーケットインの商品開発を行う営業・開発一体型部門であるDCC(デマンドチェーンクリエーション)部の新設を通じて、お客さまや商品の特性に合った販売チャネルの構成に努めています。

販売戦略(メイン商材の販促)

基盤事業では、メイン商材である「テプラ」に対し、大規模な販促施策を毎年実施しています。

3年目にあたる今年は、「Look Up!TEPRA」という社内呼称のもと、オフィスから働く現場までターゲットを広げ、主要用途の拡大を目的に新たな取り組みを開始しています。

前期に展開した「テプラ」で職場のさまざまな課題を解決するWebCMシリーズ「#おねがいテプラ」は、第62回ギャラクシー賞で選奨を受賞し、反響も上々です。

ライフスタイル分野の拡大

骨太の方針に掲げている「ライフスタイル分野の拡大」では、グループ各社の成長とグループシナジーの強化に注力しています。

ステーショナリー事業からの拡大として、土地勘のある「隣の土地」を開拓するために、グループマネジメントコミッティで各社のノウハウを共有するとともに、M&Aによるさらなるジャンル拡大にも取り組んでいます。

ライフスタイル分野の拡大

グループ会社各社のシナジーを最大化するため、グループマネジメントコミッティに加え、コスト削減や工数低減、製品開発および販路開拓を目的とした「グループ相乗効果推進プロジェクト」を開始しました。

キングジムの製造拠点やグループ各社の特性を互いに活かした製品製造や相互販売が進んでおり、今後はグループ全体に波及させていきます。

海外事業の強化

海外事業の強化においては、マーケットインによる商品開発を推進しています。拠点がある中国やベトナムを中心としたASEAN諸国を最重要地域と位置づけ、現地に開発体制を整え、ローカライズされた商品の企画・デザインを行っています。

さらに、海外販路を強化するために、戦略的なM&Aの実施を検討しています。

海外事業の強化

昨年度発売した商品の紹介です。中国では、上海に新設した開発拠点に開発担当者を派遣し、現地のスタイルやトレンドを反映した提案を中心に商品開発を進めています。

日本で人気の機能性が高いステーショナリーを中国のトレンドデザインにアップデートしたシリーズや、精神的な満足感を重視する新たな消費動向に合わせた、ぬいぐるみポーチシリーズ「BAOMe」などが好調です。

ベトナムでは、自社工場などの資産を活用し、現地のニーズや課題に合わせた商品を開発・展開しています。

また、デジタルメモ「ポメラ」の米国向けモデルをアメリカで販売開始するなど、海外事業のさらなる進化に向けた挑戦を続けています。

サービス事業への展開

サービス事業への展開についてです。デザインとデジタルを活用した新サービスのローンチに向けて準備を進めており、2026年の事業開始を予定しています。

「テプラのキングジム」から「ビジュアルコミュニケーションのキングジム」へ脱皮し、「表示」に関するお客さまのニーズを分析することで、新たな価値の創造を目指します。サービスには積極的にAI技術も取り入れていきます。

海外工場の活用

海外の自社工場では、グループ会社と連携し、それぞれの強みを活用した新製品開発を立案・実行しています。

インドネシア工場では、木材資源が豊富な同国の強みを活かして木製組立家具を製造し、株式会社ぼん家具で販売しています。

ベトナム工場では、株式会社ラドンナで販売しているキッチン雑貨や収納製品に加え、キングジムのファイル以外の新商品の生産にも着手するなど、各工場の特性を活かした生産を進めています。

ファンとのコミュニケーション展開

ファンとのコミュニケーション展開も進めています。キングジムの強みであるSNSやECを活用し、ファン目線でのブランディングや商品開発を推進していきます。

ファンとのコミュニケーション展開

6月には、キングジム本社で「キングジムファンミーティング2025」を開催し、抽選で選ばれた約20名のファンのみなさまに、ワークショップや開発担当者との交流を楽しんでいただきました。

また、有明GYM-EXで開催された「文具女子博トーキョー」には5年ぶりに出展しました。女子博限定商品の販売やEC限定商品の先行販売を行い、多くのお客さまにご来場いただきました。今後も、このような積極的なファンコミュニケーション施策を継続していきます。

人的資本経営

人的資本経営の観点から、キングジムと社員がともに成長し、挑戦し続ける組織を目指し、人材育成やDE&Iの推進、従業員エンゲージメントの向上など、さまざまな施策を実施しました。

6月20日時点での障がい者雇用率は2.96パーセント、女性管理職比率は13.80パーセントです。

従業員エンゲージメント向上においては、やりがいを持って働ける環境を構築するため、従業員満足度を可視化するエンゲージメントサーベイを導入しました。

全社、人事部、各部門でアクションプランや施策を策定し、継続的にサーベイを実施するとともに、スコア向上に向けた全社的な取り組みを進めています。

サステナビリティ

サステナビリティについても継続的に取り組んでいます。詳しい取り組みについては、当社Webサイトのサステナビリティページをご覧ください。

事業ノウハウの連携による企業価値向上の取り組み

事業ノウハウの連携による企業価値向上への取り組みです。

文具事務用品事業、ライフスタイル用品事業、海外事業、サービス事業など、それぞれの事業で蓄積されたノウハウを連携・強化し、経営資源を活用して相乗効果を創出することで、企業価値の向上を図っていきます。

投資戦略

投資戦略についてです。「成長分野への戦略投資の拡大」と「効率化のためのDX投資」の2つのテーマに基づき、中期経営計画初年度も多くの投資を実施しました。

2027年度の目標達成に向けて、中期経営計画の施策と併せ、今後も計画的な投資を進めていきます。

M&A戦略テーマ

M&Aについては、「海外販路の強化」「事業の拡大」「新ジャンルへの進出」の3つの軸で進めていきます。

現時点で具体的な内容については申し上げられませんが、広い視点で鋭意検討を進めています。

キングジムは時代の変化をチャンスと捉え、独創的なクリエイティブ集団であり続ける

キングジムは、時代の変化をチャンスと捉え、独創的なクリエイティブ集団であり続けます。開発部門にとどまらず、全社のあらゆる部門で創造性を発揮できる組織を目指していきます。

最後までご視聴いただき、ありがとうございました。引き続き、株式会社キングジムをよろしくお願いします。

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