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オープングループ株式会社6572

東証プライム

サービス業

2026年2月期第2四半期(中間期)連結業績

高橋知道氏(以下、高橋):オープングループ株式会社代表取締役の高橋です。2026年2月期第2四半期の決算についてご説明します。

連結業績です。2026年2月期第2四半期は、インテリジェントオートメーション事業およびアドオートメーション事業が堅調に推移しました。売上高は前年同期比11.5パーセント増の38億6,400万円、営業利益は前年同期比49.8パーセント増の4億1,800万円、経常利益は3億9,900万円と前年同期比で増益を記録し、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比1.3パーセント増の2億5,400万円となり、増収増益を達成しました。

通期業績予想に向けた進捗

通期業績予想に向けた進捗状況です。下期偏重の通期業績予想に対して、売上高・営業利益ともに順調に推移しています。

インテリジェントオートメーション事業ハイライト

事業ごとの概況についてです。まず、インテリジェントオートメーション事業についてご説明します。

インテリジェントオートメーション事業では、「BizRobo!」「RoboRobo」ともに導入企業が順調に増加し、売上高は堅調に推移しました。また、「BizRobo!」「RoboRobo」ともに増収増益となりました。

売上高は前年同期比19.7パーセント増の27億1,800万円、セグメント利益は前年同期比91.6パーセント増の4億3,100万円でした。「RoboRobo」のプロダクト開発を中心とした先行投資を継続しましたが、ストック収入の増加とコストコントロールの強化により、利益率が改善しました。

インテリジェントオートメーション事業ハイライト:導入企業数

インテリジェントオートメーション事業の各KPIについてです。「BizRobo!」「RoboRobo」ともに導入企業数は引き続き順調に増加し、2025年8月末時点で累計4,293社に導入されています。「BizRobo!」の解約率も、導入企業が増加している状況の中で、0.86パーセントという非常に低い水準を維持しています。

インテリジェントオートメーション事業ハイライト:ストック収入

インテリジェントオートメーション事業のストック収入です。前年同期比プラス9パーセントと、収益基盤をしっかりと積み上げることができています。

以上が、インテリジェントオートメーション事業の2026年2月期第2四半期の概況です。

アドオートメーション事業ハイライト

アドオートメーション事業についてご説明します。アドオートメーション事業は、業績のボラティリティを高めていた案件の事業整理を進めたことによる減収の影響があり、売上高は前年同期比マイナス18.7パーセントの6億4,000万円となりました。

一方、セグメント利益は、取扱いシェアを高めた領域で手数料率の改善を進めたことや、コストコントロールを強化したことが要因で、大幅に改善しました。前年同期比で20.1パーセント増の3億3,600万円の増益となりました。

以上が、アドオートメーション事業の2026年2月期第2四半期の概況です。

当社グループの今後の成長戦略

当社グループの成長戦略についてご説明します。私たちはこれまで、RPAを軸に企業や自治体の業務自動化を支援してきました。

その代表例が「BizRobo!」です。すでに3,000社以上に導入され、手作業の業務を代替するツールとして広く活用されています。

ただし、2015年に提唱されたRPAという概念は、近年では一昔前の技術と思われがちかもしれません。しかし、私たちはRPAが本質的にはAIの進化と結びついており、その未来形が現実のものとなる時代が来ると確信していました。

実際に、2018年の東証上場時には「ロボットトランスフォーメーション」という戦略を掲げ、ソフトウェアロボットの能力を最大限に活用し、業務構造そのものを見直す取り組みを開始しています。

そして、AIの進化を見越して、今回の戦略の中核となるワードである「AIトランスフォーメーション」という商標も取得しています。

当社オープングループにとって、「AIトランスフォーメーション」は単なるスローガンではなく、構想と実装の両面から入念に準備を進めてきた中核戦略です。「AIトランスフォーメーション」は業務効率化だけでなく、産業構造そのものの変革を目的としており、それによって日本の労働力不足問題を解決することを目指し、日々の業務活動に取り組んでいます。

私たちの考える産業の再定義とは、単に「BizRobo!」や「RoboRobo」といったツールを提供するだけではありません。私たち自身が広告代理店、給与計算代行業者、オンライン医療事務代行業者といった事業主体となり、オートメーションを活用して業界の構造やあり方そのものを変革していくというアプローチです。

単なる支援ではなく、自らがプレイヤーとして市場の形を変えていきます。それが当社の考える産業の再定義です。

私たちは、あらゆる産業をオートメーションによって再定義することを目指しています。すでに広告領域では、当社の自動化技術と業務設計ノウハウにより、業界のあり方を根本から変革する成果を上げてきました。

さらに、そこで得た技術・知見・運用体制を活用し、労働力不足やDX推進力不足といった構造課題を抱える他の産業領域にも本格的に展開するフェーズに入っています。これからも私たちは、労働力不足に直面する日本社会のさまざまな業界に対して、自動化による変革と持続的な成長を提供していきます。

産業の再定義の横展開による高い蓋然性のある成長

産業の再定義について、もう少し詳しくご説明します。当社グループのアドオートメーション事業は、ハイパーオートメーション技術を最大限に活用し、私たち自身が広告代理店業務の事業主体となることで、産業の再定義を実現・実証した第1弾となりました。

成果報酬型広告業界において、ハイパーオートメーションにより既存の広告代理店業務を自動化し、競合他社の2倍から3倍を超える生産性を実現しています。これにより、広告主の出稿や成果分析などのタスクを大幅に削減するとともに、メディア側にとっての送客品質も向上し、短期間で取扱高トップを視野に入れるまで成長しています。

これまでのRPAプラットフォームとアドオートメーションで得られた技術やノウハウに、AIを掛け合わせたハイパーオートメーションプラットフォームにより、単独でDX推進が困難な労働集約型産業に対して、産業の再定義を横展開する戦略を進めています。

短期的には、給与計算(ペイロール)業界と医療事務(メディカル)業界の2つの領域において、産業の再定義を推進しています。

ペイロール業界では、既存の給与計算業務をハイパーオートメーション化する「RoboRoboペイロール」を武器に、すでに圧倒的な生産性向上と業務効率化を実現しています。

地方を中心に、中堅・中小企業向けに給与計算代行サービスを提供している企業は、労働集約的な業務でありながら深刻な人材不足に直面し、当社がターゲットとする売上1億円から3億円の代行業者は、DX投資に回す余力も乏しく、事業継続すら困難な状況にあります。

これに対し、当社は「RoboRoboペイロール」の提供にとどまらず、積極的なM&Aを推進することで、業界全体の再定義を進めています。また、当社自身が給与計算代行市場でシェアナンバーワンを目指しています。

次に、メディカル業界についてです。医療機関、特に在宅クリニックや訪問看護ステーションの多くは、地域密着型の中小規模事業体であり、労働集約的な業務構造を維持したまま、2040年には約96万人の人材不足に直面すると厚生労働省の白書で予測されています。

当社がターゲットとする国内の約1万5,000施設の在宅診療所は、DX投資の余力が非常に限られており、その結果、経営課題が深刻化しています。当社は、ハイパーオンライン医療事務サービスの提供に加えて、M&Aを含む戦略的なアプローチを通じ、この領域においても産業の再定義を進めていきます。

インテリジェントオートメーション事業

各事業の成長戦略の詳細についてご説明します。まず、インテリジェントオートメーション事業ですが、エンタープライズ企業800社を含む累計3,000社の顧客基盤という当社の強力な資産を活用し、従来のRPAから、より付加価値の高いハイパーオートメーションサービスへのアップセル・クロスセルを展開していきます。

ターゲットとするハイパーオートメーション市場は、2030年に7,000億円規模の巨大な市場となる見込みです。この市場で2028年2月期を目標にシェアナンバーワンを獲得し、さらに2028年までの3年間で営業利益の平均成長率30パーセントを達成することを目指しています。

インテリジェントオートメーション事業トピックス:大手金融機関における契約処理プロセス事例

こちらのスライドは、RPAからハイパーオートメーションへの進化がもたらす価値を具体的に示した、大手金融機関の事例です。

スライドの左側に示している従来のRPAでは、定型業務の一部を自動化するにとどまり、自動化率は20パーセント、業務削減効果は20人月にとどまっています。

一方、スライドの右側に示しているハイパーオートメーションでは、プロセス全体を可視化・最適化し、定型業務に加えて非定型業務まで自動化の範囲を広げています。

オートメーション化の領域を広げた結果、自動化率は80パーセントに向上し、削減効果は4倍となる80人月に達しました。これが、ハイパーオートメーションの付加価値の大きさを示す一例です。

ハイパーオートメーション市場の展望と当社プロダクト

ハイパーオートメーション市場は、グローバルで年平均16.5パーセントの成長が見込まれ、2030年の日本における市場規模は7,000億円に達すると予測されています。

この有望な市場において、当社のハイパーオートメーションツール「Tungsten TotalAgility」は、グローバルの調査会社Everest Groupから市場のリーダーとして高く評価されています。

この世界トップクラスの製品を既存の「BizRobo!」ユーザー3,000社に展開することで、着実な成長を目指します。

アドオートメーション事業

アドオートメーション事業についてご説明します。成果報酬型広告業界は、市場規模が4,000億円以上あるものの、非効率的な構造が依然として残っています。

当社は、この業界にハイパーオートメーション技術を導入することで、競合企業の約3倍という圧倒的な生産性をすでに実現しています。

この生産性の高さが顧客にとって魅力的な手数料率を可能にし、当社の競争力の源泉となっています。こうした強みを活かし、2028年2月期を目途に年間取扱高300億円、シェアNo.1を目指していきます。

PRESCOの取扱高の拡大

こちらのスライドの表は当社のサービス「PRESCO」の取扱高推移です。ご覧のとおり、年平均成長率は29.8パーセントと非常に高い成長を維持しており、すでに競合からのリプレイスとシェア拡大という好循環に入っています。

こうした点から、目標達成の可能性は高いと考えています。今後は取扱高の拡大と並行し、手数料率の見直しなどを通じて、さらなる収益性の向上を追求していきます。

ペイロールオートメーション

ペイロールオートメーションについてご説明します。当社は、給与計算業務の自動化サービスを提供し、中堅・中小企業マーケットで業界No.1を目指しています。

この市場の潜在的な規模は、将来的に1兆円以上と見込まれており、非常に広大です。当社は、ハイパーオートメーションによる高い生産性を武器に、買収企業の価値を向上させつつ、M&A市場において連続的な買収実績を持つストロングバイヤーとしての地位を確立しつつあります。最終的に、2028年2月期を目途に売上高30億円、業界No.1を目指していきます。

ペイロール領域での積極的なサービス展開とM&Aの推進

給与計算のアウトソーシング市場規模は現在3,300億円ですが、潜在市場規模は7,000億円以上と推定されており、合計1兆円規模への拡大が見込まれています。当社がM&Aのターゲットとする売上高1億円から3億円規模の事業者は、全国に推計約700社存在しています。

これらの事業者の多くは、人材不足やDX化の遅れに悩んでおり、当社のM&A戦略が認知されて以降、多数の引き合いが寄せられています。現在も複数のM&A案件が進行中であり、この戦略の高い実現性を示していると考えています。

今後の展開として、給与計算代行サービスを全国に広げ、その後、バックオフィス全般のシェアードサービス展開を予定しています。

ペイロール領域での積極的なサービス展開とM&Aの推進

こちらのスライドにペイロール領域でのM&Aによる買収効果を示しています。すでに数件が実現しており、当社のデジタルBPOサービス「BizRobo!」ペイロールを導入することで、買収先企業の生産性が劇的に向上しています。

スライド左側に示されている既存のBPOモデルは、顧客ごとに業務プロセスが異なり、属人化しやすい労働集約型モデルです。一方で、スライド右側の当社のデジタルBPOでは、業務プロセスをデジタル化・標準化し、継続的な自動化を進めています。

これにより、スキルを持つ個人への依存から脱却し、サービス品質の標準化と生産性の飛躍的な向上を同時に実現しています。

具体的な効果として、成長率は105パーセントから120パーセントへ、1人当たり売上高は1,000万円から3,100万円へ、営業利益率は20パーセントから40パーセントへと大幅に改善しました。

産業の再定義・メディカルオートメーション

最後に、産業の再定義の具体的な取り組みの1つとして、メディカルオートメーションをご紹介します。当社は、日本全国の在宅医療クリニックや訪問看護ステーションを対象に、医療機関で発生するレセプト業務などのミドル業務、および請求入力、スケジュール管理といったバックオフィス業務を完全リモートで代行する「ヒト×AI」のハイブリッド型BPOサービスを構築・提供しています。

これは通院医療から在宅医療へと移行する「医療4.0」、医療から健康責任へのシフトが進む中で、次世代型のサービスインフラとして不可欠な存在になると確信しています。

私たちオープングループは、この領域においてNo.1のポジション確立を目指し、日々活動しています。2019年に当社が設立を主導したメディカルRPA協会を起点とし、全国約1,000機関の医療機関とのネットワークを保有しています。すでに300機関超の既存ユーザーとの取引実績もあります。

RPAプラットフォームを通じて培った技術やノウハウ、実績にAIを掛け合わせて生まれた当社独自のソリューション開発力は、今後の市場形成における競争優位性の源泉となります。

今後は、医療事務業務のアウトソーシングにとどまらず、医療法人や関連事業者とのM&A共創モデルを通じて、この領域の産業の再定義をさらに加速していきます。

現在、3年後に200機関への「ハイパーオンライン医事サービス」の導入を目標に掲げ、医療業界の構造課題に対する持続可能な解決策を提供していきます。私たちは広告業界で実証した成果を基盤に、他業界への横展開を進め、AIトランスフォーメーションによる持続的成長と社会課題の解決の両立を目指します。

OASIS INNOVATION社がグループジョイン

最後に、メディカル領域では、今年8月にOASIS INNOVATION社がグループに加わりました。OASIS INNOVATION社は、15年以上前からリモート医事BPOサービスの提供を開始し、離島での遠隔リモート対応を可能としています。同社はクリニックを中心とする各種医療機関から着実に実績と信頼を積み上げられており、在宅診療とリアルタイム処理が求められる外来の双方において、医療事務業務の遠隔請負業務を運営する稀有な企業の1つです。

当社が業務効率化からマーケティング領域まで長期的に伴走支援を行うことで、売上の加速およびサービスの横展開を推進し、業界No.1のハイブリッド型BPOサービスの構築・提供に取り組むという構想に共感をいただき、M&Aのかたちでグループジョインいただく運びとなりました。

OASIS INNOVATION社のグループジョインを起点に、「ヒト×AIのハイブリッド型リモートBPOサービス」の構築と全国展開を通じ、医療経営の根幹であるレセプト領域を中心とした高品質で専門性の高い医療経営インフラ化を目指していきます。

以上をもって2026年2月期第2四半期の決算説明を終了します。

質疑応答:ハイパーオートメーションの進捗状況について

質問者:『BizRobo!』の今後の戦略として、タスクの自動化からプロセスの自動化、ハイパーオートメーションへの進化ということでしたが、今期のハイパーオートメーションの現在の進捗について教えていただけますでしょうか?

高橋:ハイパーオートメーションの進捗については、国内の金融、製造業、小売、サービス、情報通信といったさまざまな業種の大手企業を中心に引き合いが非常に多く、営業案件は順調に積み上がっている状況です。

一方で、国内における導入事例は依然として不足しており、「ハイパーオートメーション」という言葉の浸透もまだ不十分な状況です。このため、対象業務領域の選定や検証、製品比較、検討などに多少時間がかかっている現状があり、想定よりもPoCまでのリードタイムが必要となっています。

しかしながら、大手企業からの関心は非常に高く、市場予測にもあったように、将来に向けた大きな手応えを感じています。今後も、アカウント営業の強化、コンサルティング会社やSIerなどのパートナーとのエコシステムの構築を通じ、この取り組みを強力に推進していきたいと考えています。

質疑応答:生成AIに関する取り組みとプロダクト開発について

質問者:各社で生成AIに関する取り組みは活発になっていますが、あらためて御社での現在の取り組みについて教えていただけますでしょうか?

高橋:生成AIに関する弊社グループでの取り組みについては、生成AIが非常に盛り上がっており、我々も引き続き事業での活用、プロダクト開発、そしてもちろん社内での活用にもしっかりと取り組んでいます。

代表的な例としては、RPA製品の「BizRobo!」が挙げられます。こちらは、自然言語で入力するだけで簡単にロボットを開発できる「BizRobo! AI Apps」として、昨年末にクローズドベータ版の形で一部のお客さまに展開しています。

自然言語で入力するだけで、さまざまな開発画面でのアクションや変数の定義をAIが自動で行う仕様となっています。現在、クローズドベータ版でのフィードバックを踏まえ、パブリック版のリリース準備を進めている状況です。

また、今年10月8日から10日に幕張メッセで開催された「第6回 AI・人工知能EXPO【秋】」にも出展しており、そちらでAIエージェントサービスの「OroSee(オロシー)」と「Mention Me(メンションミー)」を初公開しました。

「OroSee」は業務の整理・可視化から改善ターゲットの特定までを自動化するAIエージェントです。従来、膨大な時間と人的リソースを要していたヒアリング作業を、AIが代替してデータドリブンかつ客観的な業務分析を行い、最短・最安で業務改善を実現するAIエージェントツールとなっています。

「Mention Me」はユーザー個々の状況に合わせたカスタムAIエージェントを、短期間で低コストに構築できる基盤フレームワークです。複数のLLM・社内外データ・業務ツールをつなぎ、企業固有のニーズに応える高度なAIソリューションを構築するツールです。自社利用から受託開発まで幅広い用途に対応し、「作る・育てる・使う」を一気通貫で実現します。

「AI・人工知能EXPO」は先週終了したばかりですが、多くの来場者から関心を寄せていただきました。これからはユーザーにおいて仮説検証を進め、本格的な事業開発を進めていく予定です。

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