【QAあり】ランドネット、長期目標達成に向けてファミリー向けや戸建て・アパート等のビジネスモデル拡張と直接販売の増加を狙う
経営理念/企業理念/企業目標
榮章博氏(以下、榮):ランドネット代表取締役社長の榮です。2025年7月期決算についてご説明します。よろしくお願いします。
当社の経営理念は、「全従業員の心物両面の幸福を追求すると同時に、人類・社会の進歩発展に貢献する」です。この経営理念はどの企業にも合致する内容かと思いますが、その中で当社は不動産に関する企業理念として、「最新のテクノロジーと独自のデータベースを活用し、不動産を流通・再生・運用し、世界を変える」を目標としています。
後ほどもご説明しますが、日本の中古不動産は全体の不動産取引のうち、42パーセントから43パーセントほどです。
一方で、アメリカやイギリスでは全体の70パーセントから80パーセントほどです。当社は中古不動産のマーケットで、流通・再生・運用し、世界を変えていきたいと思っています。青森の物件も、四国の物件も、すべて扱うことが当社の目標です。
企業目標は、「お客さまから見た場合どうなるのか?」という視点で策定しており、「お客様のライフプラン(人生の目的)を実現する不動産運用顧問(Private Realtor)でありたい」です。「Private Realtor」とは、プライベートバンカーを念頭に置いた造語です。
具体的には3つあり、まず1つ目は「不動産オーナーに寄り添い、潜在的なニーズに応える」です。
2つ目は「不動産を住まいと、暮らしを支える資産(もう一つの収入源)と考える」です。当社は実需と投資用不動産の両方を扱っています。今は人生100年時代です。60歳を過ぎてから、自分の住まいが投資に変わることもあり得ますので、住まいと資産の両方を取り扱っていきたいと考えています。
3つ目は「不動産の資産価値を維持・拡大し、相続まで提案する」です。この3つの目標を達成するため、毎年悪戦苦闘しています。2025年7月期の状況についてご説明します。
会社概要
榮:当社の企業概要です。1999年に、不動産データを中心に活動する不動産流通・不動産DXの会社を設立しました。中古不動産の流通・再生・運用において、市場NO.1を目指しています。
スライド右下の丸い円グラフは事業構成を示しています。不動産売買事業が98.7パーセント、不動産賃貸管理事業が1.3パーセントとなっています。不動産売買事業の中には、物件を買い取り、リフォームして販売する事業も含まれています。このような2つの事業、または3つの事業で世界を変えていくことが当社の目標です。
沿革
榮:当社の沿革です。1999年9月に創業し、2010年6月に稲盛和夫さんの「盛和塾」に入塾しました。このことは当社にとって大きな出来事です。2013年7月には台湾と香港に現地法人を設立しました。2016年2月に横浜支店を開設し、2021年7月には東証スタンダード市場に上場することができました。
過去10年間の売上平均成長率は27.7パーセントです。2021年7月に上場していますので、2022年7月期から4年間の売上平均成長率は22.8パーセントとなっています。
経常利益も4年間で30パーセント近く伸びていますので、この成長を続けていきたいです。目標は、先ほどお話しした企業理念である「不動産を流通・再生・運用し、世界を変える」です。日本の中古不動産市場において、何か貢献したいというのが当社の目標となっています。
事業概要
榮:企業目標を達成するための取り組みについてご説明します。端的に言うと、まず事業を支える不動産データベースを構築しました。日本のすべての住宅を扱いたいと思っていますが、まず現時点で区分所有マンションの物件情報は集まったという状況です。
それにプラスして、戸建て・アパートにも広げています。最終的には、1棟のビル・1棟のマンションまで拡大していきたいと思っています。
構築したデータベースをもとに、直接仕入・直接販売を実現しようとしています。直接仕入についてはかなり順調ですが、直接販売はもう少し努力が求められる状況です。
扱っている不動産は、スライドの一番右にある区分マンション、ファミリータイプの築古・築浅マンション、ワンルームの築古・築浅マンションです。現在は戸建て・アパートにも広げてきています。
ビジネスモデル DX→システム開発のスピードと拡がり
榮:どうしてこのような取り組みができるのかについてご説明します。スライド中央の「初期のIT開発」の下に記載していますが、私自身が、「Windows95」の「Microsoft Office」の 「Access」というソフトを使用し、当社の業務システムをすべて作り直しました。
おそらく上場する前までそれを使っていたかと思いますが、この経験ゆえに、その後のシステム開発に関しても、要件定義にはほとんど私自身が携わっています。
しかしながら、私の知見はそれほど高くないため、100名ほどの開発担当者といろいろ打ち合わせをしながら売買、賃貸、リフォーム・リノベーションの業務システムを着実に作っています。
現段階で一番重視しているのは、物件の仕入れです。物件の仕入れに関してはどこの会社にも負けないように取り組んでいます。
簡単に言うと、過去の取引事例や賃貸事例などの情報がすぐに出てきて、いくらで買えばよいのか、いくらで売却すればよいのかがわかるような仕組みをすでに構築しています。そのようなシステム開発により、営業環境を整えることができています。
当社の強み 基幹システム「RCP」による業務の効率化
榮:基幹システム「RCP」による業務の効率化についてご説明します。まず、お客さまに対するDXとして、電子媒介、電子契約、「LSEEDクラファン」、「LSEED不動産投資」があります。
「LSEEDクラファン」は1年が経過して軌道に乗ってきましたが、「LSEED不動産投資」はまだリリースされたばかりですので、これからより活用していくことでダイレクト販売につながると思っています。
従業員に対してのDXとしては、スライドの仕入のところに記載していますが、日本全国、北は札幌から南は石垣島まで、築年数を問わず5万7,000件の取引実績から抽出したデータベースを活用し買取と売却ができるようになっています。
独自のデータベースから、売却を考えている物件オーナーに直接アプローチしています。例えばダイレクトメールを送ったり、電話営業をしたりして営業活動をしています。加えて、一括査定など、ネットやSNSも活用しています。
当社の強み 不動産データベース
榮:もう少し不動産データベースの話をします。スライドの右側に記載していますが、公開情報から収集した安全なデータや、登記情報をはじめとする不動産売買に有用な情報を取得しています。
また、内製のデータ更新部隊による最新データの蓄積を行っています。市町村の合併による住所変更や、登記情報等を取得した後、売却したり、相続したり、名義変更など、いわゆるデータの差異というところも追加で蓄積しています。
区分マンションのデータは全国を網羅しました。そこに戸建て・アパートなども追加している最中です。スライドの左側に、「374万件の不動産データを保有」とありますが、先期は業績を追い求めながら、データも十分に増やしてきました。ですので、今期に飛躍するための先行投資は確実にしています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):不動産データは御社のビジネスの中でかなりの強みになっていますが、2024年7月期と比較すると、170万件ほど増えていると思います。これはどのような物件の種類が多いのか教えてください。
榮:最近は、先ほどもお話ししたように戸建てとアパートを増やしています。マンションはなかなか取り方が難しいのですが、1棟50部屋あった場合の総戸数は50戸になります。一方で、アパートの場合は1戸取っても1棟です。
坂本:名義がオーナーさんだけということですね。
榮:おっしゃるとおりです。したがって、戸建てとアパートは1棟1棟の規模がマンションのように50戸とかはないですし、アパートは総戸数が6部屋あったとしてもやはり1棟です。
どちらにしても、戸建てとアパートをしっかり増やしているということです。具体的に「何を何件か?」と言われると、競争もあるものですからそこまではお話ししていません。
坂本:データが増えるということは競争力が高まるということですし、整備が進んでいるということですからね。
榮:後でご説明しますが、当社は仕入広告宣伝費と販売広告宣伝費を分けており、仕入広告宣伝費がしっかり増えてきています。これは、名簿を取得する費用や作業を行う人件費になっています。
当社の強み ダイレクト不動産
榮:創業以来蓄積してきた不動産データベースを用いることによって、スライド図の左側にあるように、不動産所有者から直接不動産を買い取ったり、直接媒介契約を結んでいただいたりする「ダイレクト不動産」という仕組みを強化したいと考えています。
さらに、右側にあるようにダイレクト販売として、個人・法人の方に物件を直接販売できることも当社の強みとなっています。
当社の強み ダイレクト仕入の実現
榮:当社の仕入におけるダイレクト仕入の割合は全体の72パーセントです。直接売主さまから物件を買い取ったり、当社と媒介契約を結んでいただいたりしています。これにより、スライド上部のレ点の2つ目にあるように、仲介手数料等を省くことで当社・現所有者の両者にメリットのある価格での取引が可能となります。
仲介手数料を払う必要がないため、売主さまにとってはより高く、買主さまにとってはより安く物件を購入できるような仕組みを実現したいと思っています。もちろん業者さまとのお付き合いもありますので、それを維持しながら、一番目標には「ダイレクト不動産」を置いて仕事をしています。
当社の強み 安定的な仕入力と早い在庫回転率
榮:グラフ左側の販売用不動産の推移を見ますと、2024年7月期の第4四半期が166億1,900万円だったのに対し、2025年7月期の第4四半期は227億6,300万円と、順調に販売用不動産が増加しています。
もちろん高い値段で購入したり無造作に購入したりしてしまうと物件が売れ残る可能性もあるため、慎重に仕入れを行いながら、順調に227億円まで増加しています。さらに、スライド右側にありますが、他社さまと比較して在庫回転日数が早いということは、仕入れた物件が順調に販売できている証拠であると考えています。
当社は、在庫の金額をある程度しぼるためのさまざまな工夫をしています。過去には、買取契約の決済を延長することで、段取りや準備は乱雑になりますが、それでも売上を伸ばしたことがあります。
また、各部や支店の中で買取金額の目標を決めたことがあります。しかしながら、部長や支店長もそれぞれ個性や、それぞれ独自の判断基準があります。
結局は、90日ほどで物件をすべて販売することを目標にしている中で、それでも270日や300日売れていない物件が出てくるため、その金額をコントロールすることによって、在庫の合計金額がコントロールできるようになりました。このことが非常に大きいと思っています。今期はその知見のもと、がんばりたいと考えています。
坂本:繰り返しになりますが、販売用不動産が非常に積み上がっています。在庫回転日数が短ければ、在庫がはけているという認識でよいのでしょうか? スライドのグラフは平均になりますので、おそらく売れ残りがあると思います。そこの処理というとよくないですが、金利を付けるなど、売れ残らないような工夫があれば教えてください。
榮:端的に言うと、当社はダイレクト販売を目標としていますが、不動産会社さまとの取引も4割ほどありますので、最終的には不動産会社さまに購入してもらっています。当社としては割に合わないし赤字が出たとしてもご購入いただいています。
坂本:購入した時に値付けを間違ってしまったものに関しては、長く在庫を持たないようにするということですね。
榮:社員の教育として、会社の資金を使用しているわけですから、ある程度のところで売る必要があります。今は不動産価格が高騰しているため、長く所有することで高く売れるかもしれませんが、それだと資金をみんなで使おうという社内モラルに反してしまいます。
したがって、300日以上、もしくは270日以上売れ残っている物件はすべて売却するようにしています。そうすることで、資金をコントロールし、不動産会社さまとのお取引を強化する部分もあります。
当社の強み 即時の情報共有と営業フォロー体制による早期戦力化
榮:「RCP」を通じた即時の情報共有とチーム制による営業フォローで、新入社員の早期戦力化を実現しています。これは一番重要です。よくお話をするのが、大阪出身の大学生が東京で当社に入社し、「原宿のマンションがかっこいいので扱いたい」と思い、当社のパソコンをたたくと、過去の成約事例、売り出しの事例、賃貸成約の事例など、すべての情報が手に入ります。
投資用不動産があるため、いくらで賃貸されていたのかも実は重要なポイントになります。加えて、物件の総戸数や間取り、過去に当社の営業マンがお客さまとどのような交渉をしてきたのかもすべて見ることができます。
その上で、不動産所有者の方とお話をする時には、「初めてお電話するのではなくて、過去にもお電話したことがあるのですが」という切り口で入れるため、新入社員であっても早い段階で戦力化します。
そうは言っても、最近は新卒の新入社員数が増加しているため、教育に関しては工夫しながら実施しているところです。結果として、スライドのグラフの一番右側に記載のように、営業部社員1人あたりの売上高は2億900万円を維持することができています。
市場環境 拡大する不動産流通市場
榮:拡大する不動産流通市場についてです。日本の既存住宅流通比率は42.3パーセントと、80パーセントを超える欧米に比較して、既存住宅の活用が不十分です。1945年に戦争に負けて国中が焼け野原になりましたが、その後、新築の戸建てやマンションがたくさん建てられました。これまでは新築住宅が主流でしたが、良い建物もたくさん残っていますので、それをどう扱っていくかということです。
現在の既存住宅流通費率は約42パーセントですが、これが50、60、70パーセントとなる時に、当社はそこの中心にいたいというのが目標です。
北は札幌から南は石垣島まで、すべての区分マンション、戸建て・アパートを取り扱っている会社は、私は聞いたことがないです。また、ここが当社の特長になっています。
坂本:地域を限定しているところが多いですからね。
市場環境 首都圏の中古マンション成約坪単価と成約件数の推移
榮:もう1つお伝えしたいのは、首都圏の中古マンション市場についてです。この市場は本当に強いです。スライドの青色の折れ線グラフは坪単価を、縦のオレンジ色の棒グラフは成約件数を示しています。安倍政権が発足以降、一本調子で坪単価は向上しています。新型コロナウイルス感染症拡大以降は、さらに角度が上がっています。
なおかつ、成約の件数自体も、普通は価格が上がると減少するはずなのですが、中だるみはあったものの、現在は再び増加しています。
この市場に当社が身を置いているということは、非常に成長性があるのではないかと思っています。
坂本:こちらは新築の話ですが、中古価格も上昇しているのでしょうか?
榮:新築の坪単価は非常に上がっています。土地の価格が上がっていることと、素材である鉄骨なども上がっているためです。それに引き上げられるかたちで中古価格も上昇しています。
市場における当社のポジショニング
榮:市場における当社の立ち位置についてです。スライドの右側にあるように、大手企業グループもさまざまな会社がありますが、基本的な発想は、これは私が思うところで彼らに聞いたわけではないですが、自分たちが作った戸建てや新築のマンションが、20年、30年経つと中古となって出てきます。それを、特定の部署が中古不動産として取り扱っています。
当然、グループの中では物件やお客さま情報がすべてわかった上で営業活動をしているため、非常に有利な立場に立っています。しかしながら、やはりその範囲に限られます。
一方で、当社はそのような範囲がありません。登記などの情報を集めて仕事をしているため、制約がなく、何をしても、どこで営業活動を行ってもかまわないわけです。
大手が造る物件だけでなく、個人が造る戸建て、アパート、マンションなども、全体の4割か3割かはわかりませんが、当社はすべて扱っています。したがって、商品の市場が大きく違います。なおかつ、戸建てやアパートもすべて含まれます。
さらに、スライドの右下にあるように、中小企業系に関しても、地域限定や取扱商品も築浅のワンルームなどに限定していますが、当社はすべて取り扱うという点で、まったく立ち位置が違います。
坂本:競合するところとしては、大手企業や物件を専門で扱っている会社ということですが、そこは御社が保有するデータを活用しながら展開していき、それ以外のところでは強みをさらに発揮できるというイメージで合っていますか?
榮:おっしゃるとおりです。このビジネスモデルで資金力がけっこう出てきているものですから、「ランドネットさんに相談すると何らかの答えが出る」と思われているようです。
坂本:ラストリゾートではないですが、相談は乗ってくれるということですね。
2025年7月期通期業績 売上高と経常利益 上場来推移
榮:2025年7月期通期業績です。売上高は年平均成長率22.8パーセント、959億円を達成しました。1,000億円を目指していたのですが、今期に持ち越したかたちになっています。経常利益は年平均成長率33.6パーセント、33億1,100万円を達成することができました。
坂本:非常に成長率は著しいですが、不動産市況が一服しても成長を維持することができるのか、イメージを教えてください。
榮:スライドのグラフを見ればおわかりいただけるかと思いますが、2023年7月期の経常利益だけ少しへこんでいます。こちらは、先ほどお話しした在庫の取り扱いや、銀行のさまざまな借入が主な要因です。
一方で、売上は順調に伸びていますので、経常利益もそれに追いついてきていると見ています。おっしゃったように、感覚としてはしっかりデータベースを作って、営業の社員を育てていけば、当社のビジネスモデルは伸びると思っています。
仕入れから入りますので、市場価格が悪くなった時にはその分仕入価格を下げ、下げ切らなければ業者さまにご購入いただいて、また新たな相場観で物件を仕入れていけばよいと考えています。
坂本:それが御社の営業員の増員にもつながってくると思いますし、コミットメントラインのお話などがあれば後ほどお願いします。
2025年7月期通期業績 一株当たり配当金(株主還元)
榮: 1株当たりの配当金は、当初予想は19.55円でしたが、20.00円に増配しています。純利益は4年間で平均35.7パーセント、1株当たり年間配当金は35.4パーセントほど伸びています。
2025年7月期通期業績 連結損益計算書 概要(P/L)
榮:具体的なP/Lで見ていきます。前年同期比で見ると、売上高は123.4パーセント、経常利益は131.5パーセント、税引前利益は129.5パーセント、純利益は129.5パーセント、それぞれ伸びています。したがって、2025年7月期の期末配当は若干の増加となりました。
2025年7月期通期業績 連結貸借対照表 概要(B/S)
榮:連結貸借対照表です。ポイントとして、販売用不動産が、2025年7月期の第1四半期は約196億円でしたが、第4四半期には約227億円と順調に伸びています。2024年7月期の第1四半期は約135億円、第2四半期は約132億円でした。ここが順調に伸びていかないと、売上のところで苦しくなりますので、今後も順調に伸ばしていき、なおかつ売り残りを作らないことが当社の基本であると思っています。
スライドに無形固定資産とありますが、2025年7月期の第1四半期は7億5,100万円だったものが、第4四半期には8億4,100万円になっています。当社の柱は、データベースを増やすこと、営業を確実に育てることです。そしてもう1つは、システムです。システム投資を十分に行いながら、今後もさまざまな仕組みを改善していきたいと考えています。
2025年7月期通期業績 販管費推移
榮:スライドグラフのピンク色の部分は仕入広告宣伝費です。2025年7月期第1四半期が2億5,300万円、第2四半期が3億2,300万円、第3四半期が3億4,800万円、第4四半期が3億7,700万円と、データベースは着実に拡充しています。
当社は、日本全国の不動産、北は札幌から南は石垣島まで、すべて取り扱うことを目標としていますので、今後もその目標を実現していきます。
2025年7月期通期業績 当座貸越枠と売上高の推移
榮:当座貸越枠と売上高の推移です。売上高を伸ばしながら、当座貸越枠も堅調に伸ばしています。
2025年7月期通期業績 区分マンション(1R/ファミリー)件数・粗利割合
榮:当社が取り扱っている物件の種類ですが、スライド左側のグラフをご覧いただくとおわかりのとおり、件数自体は拮抗しました。
坂本:ワンルームが減少したといいますか、それ以外が増えてきたということですね。
榮:そのとおりです。ワンルームが減少しているといいますか、ファミリータイプが増加し、件数自体は拮抗しました。スライド右側の粗利ベースでは、72.2パーセントがファミリータイプになっています。ですので、当社はワンルームを主体とする投資用不動産を扱っている会社ではなくなってきているのではないかと思っています。
成⻑戦略とKPI 取扱種別の拡大
榮:現在は区分マンションに一生懸命取り組んでいます。一番伸びているのは、スライドの区分マンションの一番上にあるファミリータイプの築浅物件です。
最近では、3億円で買って4億円で販売するなど、「本当か?」と思うことがあります。
坂本:おいしい話ではありますね。
榮:7億5,000万円で買って10億円で販売するなどの話が、もちろん、まだ成約されたわけではありませんが来ています。当社としては、「1億円から3億円くらいまでであれば実需だろうから良いですよ。しかし、3億円を超える物件に関しては注意しましょう」という話をしています。
さらに、戸建てやアパートの契約件数を今、一生懸命増やしている最中です。
荒井:3億円ぐらいの物件は、かなり数も多くなっているのですか?
榮:はい、多くなっています。1億円以上の物件は売れ残ると大変なことになるため、一応、別管理で毎週確認していますが、増えています。1棟のビルやマンションであればわかりますが、普通の区分マンションで3億円や7億円というのはわかりません。
荒井:今はもう、その水準ということなのですね。
サービス/保証「あんしん保証」
榮:「あんしん保証」についてです。
中古不動産でも築浅のファミリータイプは関係ありませんが、築古のファミリータイプやワンルームもすべて扱っていますので、お客さまに安心して買ってもらうためにこのような保証をしています。
また、当社は不動産流通業界のトップシェアを誇りたいと考えているため、このような取り組みをしています。契約不適合責任に関しては、普通は2年間のところ当社は3年間責任を負っています。
一般的に物件引き渡し後の設備にはあまり保証しないのですが、当社は、保証対象の設備に対し、一定の金額を上限に3年間修理費用を負担しています。また、「引渡日から3年間以内」に家賃滞納が発生した場合、最大6ヶ月分まで当社が滞納保証しています。
成長戦略とKPI 地域別取引件数の割合
榮:地域別取引件数の割合についてです。スライドグラフの一番濃いオレンジ色は首都圏を示しており、2025年7月期が58.8パーセントと相変わらず取引件数が多い状況です。
確かに、近畿圏や九州も増えてきています。しかし、やはり首都圏で戦うことが生命線だと考えていますので、しっかり取り組んでいくつもりです。後でご説明しますが、渋谷に支店を出しているのも、「首都圏をより強化したい」という表れになります。
サービス/保証 管理戸数推移/入居率
榮:管理戸数の推移です。賃貸管理の売上は1.3パーセントと少ないのですが、賃貸物件をお客さまに購入していただいた後は、きちんと賃貸管理をして、きちんと家賃収入を振り込むということを行っています。
今は区分マンションがメインですが、これから増えてくるアパートや1棟のビル、1棟のマンションの賃貸管理もすべてしていきたいと思っているため、これからも着実に管理戸数を増やしていきたいと考えています。
成長戦略とKPI 従業員数推移
榮:従業員数の割合です。事業部門が少しずつ増えてきており、反対に事務部門がじわじわと減ってきています。システム部門はずっと一定です。これは、システムがあるが故に業務効率化ができているため、事務部門の人数をそれほど増やさなくても済むと考えているからです。
例えば、月末には1日に500件の決済があります。500件だと2,000件ほどの入出金があります。それを全部、手作業で探すのではなく、すべて突合して機械的に行っています。これは、すべてシステムが中にあるからできることです。
坂本:御社は、システム部門の人員がかなり多いのが特徴で、データ整備を含めて力を入れているかと思います。営業部門の人員も増やされているという話はずっとうかがっていますが、こちらの離職率はどのぐらいですか? 業界平均のようなものがあれば、ご教示ください。
榮:業界平均は、おそらく20パーセントを超えていると思いますが、当社は10パーセントを切っていると思います。
坂本:それはやはり、営業のしやすさやシステムの整備などがあり、他の会社に行くと、御社のシステムが使えなくなり不便だからでしょうか?
榮:実は、営業にとって一番重要なのは「ネタ」だと思います。一番「種」になるものです。一生懸命取り組めば、この「種」になるものを作る「ネタ」は山ほどあります。
他の不動産会社さまから当社に移ってきた社員に「最初からこの会社に来ればよかった」と言われたことがあり、本当にうれしかったです。
業務効率化を非常に図っているため、完全週休2日は維持できていますし、残業に関しても1時間から2時間ほどで済んでいます。
成長戦略とKPI 渋谷支店の新規開設
榮:渋谷アクシュ内に渋谷支店を開設しました。こちらも大きなトピックになります。
2026年7月期業務予想① 連結損益計算書 概要(P/L)
榮:連結損益計算書についてです。こちらは来期の目標になりますが、固めに見ています。もう少し高めの予想値を出そうと思ってはいるのですが、今まで堅実に取り組んできたため、スライドのような数値になっています。
ただ、後でご説明しますが、今回は中期経営計画も少し入っているため、売上高は1,105億9,800万円、経常利益は39億7,100万円と、前年比で119.9パーセント伸ばしていきたいと考えています。
2026年7月期業績予想② 重要な指標(KPI)営業人員
榮:営業人員に関してです。経常利益は前年比約120パーセントの伸びですが、営業人員は前期末比プラス125パーセントの伸びを考えています。
経常利益は、できれば前年比125パーセントから130パーセントに伸ばしていきたいのですが、そこは少し固めに見ています。一方で、営業という売上を支えていく人員は増やしていきたいと考えています。前年比120パーセントはしっかり達成して、より上にいきたいと考えています。
2026年7月期業績予想③ 重要な指標(KPI)賃貸管理戸数
榮:賃貸の管理戸数も、今期はようやく1万件を超えそうです。何度も言いますが、お客さまに購入していただき、当社が家賃を回収して、お客さまに振り込みます。お客さまに本当に喜んでもらえる不動産会社でありたいため、管理戸数はしっかりと増やさないといけないと考えています。
中期経営計画概要
榮:長期ビジョンおよび中期経営計画についてです。売上高に関しては、今期は1,105億9,800万円、来期は1,324億4,700万円、再来期は1,654億700万円を目指していきたいと考えています。
これは、1棟のビル、1棟のマンションはまだそれほど多くはありませんが、北は札幌から南は石垣島まで、すべての区分マンションや戸建て、アパートを全部取り扱っていきたいと考えているためです。
ですので、市場はかなりあると思っています。以前にもお話ししましたが、実際に、戸建てなどにダイレクトメールを打ったり電話営業をしたりすると、「無人の野を行く」ような感覚になります。
四国や青森といった場所にも営業活動をしていきます。ただ、今の日本のインフレ傾向を考えると、そのような地域もやはり価格が上がってくると思っています。
地価上昇や不動産価格の上昇を念頭に置いているわけではありませんが、不動産を動かすことやリフォーム、また、運用することによって、なんらかの社会貢献ができると思っていますので、ここは真摯に行っていきます。
経常利益に関しては、今期は39億7,100万円、来期は47億3,300万円、再来期は57億1,100万円と、20パーセントずつ伸びていますが、先ほども申し上げたように、これ以上の数字が出るような努力をし続けたいと考えています。
今回、初めて中期経営計画を発表しました。この中期経営計画をしっかりとやり切った上で、またローリングがあった際に、良いご報告ができればと思っています。今期の中期経営計画では、スライドに記載の数字を目指していきたいと考えています。
成長戦略 採用・育成の強化
榮:私は、増加する営業人員をどのようにしっかり育てるかが一番重要だと思っており、今まさに、その部分に着手しています。
坂本:御社はやはり、システムがあるという部分も、非常に育成の強みになっているかと思います。意外に感覚で覚えるようなところが業界にはあったのかと思いますが、データでそこを突き詰めるのが、特に今の若い人は得意だと感じています。
新卒で業界未経験の方や、中途で未経験の方々も入ってこられるかと思います。御社は、成長スピードが速いということですが、どのぐらいでこの一連の作業、つまり仕事ができるようになるのでしょうか? 独り立ちという意味でもよいのですが、今まで他社さまと比較して、どのくらい成長スピードが速いのかを教えてください。
榮:まず、6ヶ月ほどで損益分岐点は超えると思っています。しかしながら、その方が本当に不動産のことをわかっているのかと言われると、「手付けって何?」「ローン解約って何?」というように、理解できていません。
なぜわからないのかと申しますと、理解できていない社員に対して、先輩たちが全員で成約のためのフォローの努力をするという社風だからです。お客さまの関心を引いた社員がいれば、全員が協力してなんとかまとめようとします。私は、お客さまの関心を引くことが一番重要だと思っていますので、2年ぐらい経って初めて営業活動が染み込んできます。なぜ関心が引き付けられるかといったら、「ネタ」がたくさんあるためです。
坂本:一連の流れを1回把握しておくことで、一気に成長するわけですね。
榮:おっしゃるとおりです。1回では無理で、2回、3回、5回、6回ぐらいで初めて理解できてくると思っています。
それをOJTのような実地の中で、畳水練ではなく水の中に放り込んでいます。しかし、放り込んでも何も掴むものがないわけではなく、掴むものがたくさんある中で、悪戦苦闘しながら成長していると考えていますので、この手法をもう少し続けたいと考えています。
成長戦略 人的資本投資の拡大
榮:宅地建物取引士の資格取得を真剣に行っています。また、外部講師を招いての研修なども実施しています。
成長戦略 ダイレクト販売の拡大
榮:ダイレクト販売をしっかり拡大していくことが、当社の課題です。
その他施策 販管費見通し
榮:販管費に関しては、この中期経営計画の3年間は、同じような比率を維持していきたいと考えています。
システム開発に関しては、人の教育など全部を含めて、この3年間は思い切りがんばっていきます。その先にある4年目、5年目は、システム投資を少し縮小できるかもしれません。
また、他の事業が見えてくるかもしれませんが、この3年間、とりあえず不動産業界に関して、徹底的に取り組んでいきたいと考えています。
財務戦略 経営指標
榮:経営指標についてです。当社のROE(自己資本利益)は23.9パーセントと非常に高い水準にあります。業界平均の中でもかなり高いです。したがって、20パーセント以上を維持していきたいと考えています。
株主還元については、1株当たりの配当金として、純利益の10パーセントで配当しています。しかしながら、「いや、それでは少ないのでは?」という意見も聞いています。
ただ、上場してからの4年間は、「どこまでうちはがんばれるのか」ということを見てきました。配当もそうですが、「社長が持っている株をどのぐらいで売るのか」とも言われています。両方とも、株価を上げるための株主さまからのお話だと思いますので、真剣に考えながら、計画を持って動いていきます。
将来に向けてのビジョン
榮:最後に、当社の長期目標です。
今中期経営計画の最終年度時点で1,654億円の売上高を5,000億円、57億円の経常利益を200億円というところまで持っていきたいと考えています。では、「長期目標とはいつまでなのか?」というお話になると思います。
資料にはその期限を記載していたのですが、記載しないほうがよいのではないかというお話もあり、記載していません。
今回初めて中期経営計画を発表しましたので、さまざまな問い合わせや、いろいろなご批判や叱咤激励も受けると思います。中期経営計画に慣れてきた段階で、どのようなタイミングでどのように変えていくかを検討したいと考えています。
何度もお話ししていますが、北は札幌から南は石垣島まで、すべての区分マンションや戸建て、アパートまで取り扱っていきたいと考えています。戸建てとアパートに関しては、本当に「無人の野を行く」ような感覚をどこか持っています。
1棟のビルや1棟のマンションに関しても、取り扱っている会社はいろいろあります。しかし、例えば、秋田の物件や沖縄の物件を買おうとすると、「どこの金融機関でお金を借りられるのか」といったさまざまな問題も発生するため、東京にいる私たちが買いに行くことは、実は大きなチャンスです。
したがって、5,000億円の売上高を上げる市場は絶対にあると考えています。それがもう少し上かもしれませんので、これからもう少し見極めていきます。がんばりますので、よろしくお願いします。以上で、私からのご説明を終わります。
質疑応答:最も手応えを感じている指標について
荒井:「現在、業績
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