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2026年3月期Q1 経営評価とサマリー

谷郷元昭氏(以下、谷郷):みなさま、本日は弊社決算説明会のためにお時間をいただき、ありがとうございます。本日の進行については、2026年3月期第1四半期決算概況、サービス分野別の事業展開、中期目標の達成に向けた今期施策の進捗の順にご説明します。

2026年3月期第1四半期の売上高は前年同期比50.1パーセント増の約96億円、営業利益は16.5パーセント増の約10億円となりました。この四半期は例年どおり季節性の影響があり、前四半期比では業績がやや落ち込みましたが、想定の範囲内で着地したと考えています。

トレーディングカードゲーム事業の規模拡大が寄与し、前年同期比では大幅な売上成長が見られました。一方で、米国関税の影響を受け、その他マーチャンダイジング商品のEC売上進捗には一時的な減速が見られます。

事業進展についてです。第1四半期はイベント数の少なさと前年度におけるタレント卒業の影響により、前四半期比では配信収益がやや調整されたものの、新興タレントの集客増や海外タレント向けのコンテンツの施策強化により、前年同期比では集客成長が続いています。

また、地方都市でのイベント開催や公式店舗のオープンを通じて、首都圏以外でもファンコミュニティの醸成を進めています。ライセンス分野では、グローバルで人気の高いモバイルゲームタイトルや海外地域における外食フランチャイズとのコラボ展開が進み、収益面とブランド認知の両面で拡大が進展しました。

投資の進捗等についてです。物流拠点の一元化を通じた納期短縮による顧客体験の改善と、コスト効率化を推進しています。テレビ向け制作スタジオなど、外部制作環境における表現技術の改善を進めることで、よりリッチな表現が可能になっています。

「ホロアース」ではタレント自身がアバターを用いてプレイできる環境整備を進めた結果、集客モメンタムが向上しました。

人員採用、再配置、登用に関わる制度改革を推進し、組織の効率化も着実に進んでいます。

決算ハイライト 2026年3月期Q1のサマリー

金子陽亮氏(以下、金子):ここからは業績の詳細についてご説明します。第1四半期業績の詳細はスライドのとおりです。マーチャンダイジング分野では、前年度第2四半期から売上計上が始まっている「hololive OFFICIAL CARD GAME」が第1四半期における前年度上乗せ分となり、同分野は前年同期比でプラス99.2パーセントと大きく成長しました。

一方で、表現技術やソフトウェアなどの研究開発、物流改善、海外事業開発に関する先行投資的支出が営業利益率を短期的には押し下げていますが、第1四半期は全体として前年同期比では増益となっています。

第2四半期にかけての展開については、スライド右下に記載のとおりです。まず、配信を中心とした夏季企画「ホロナツパラダイス」の実施により、夏季期間中のコンテンツ増、連動したイベントの実施、関連グッズの展開を予定しています。

イベント分野では、当社主催の中型国内コンサート2件の実施、さらに7月から12月にかけてのワールドコンサートツアーの実施を発表しています。

ゲーム関連では、7月に「AbemaTV」と共催の大型イベント「超超超超ゲーマーズ2」も実施しました。

マーチャンダイジング分野においては、米国関税の海外事業への影響が引き続き懸念される状況ですが、EC上での夏季企画に連動したグッズ販売やキャンペーンの実施を通じ、需要拡大を図っています。

トレーディングカードゲームでは、英語版の一般販売を開始します。

また、ライセンスやタイアップ分野においては、北米やアジアでの案件拡大により継続的な成長を見込んでいます。さらに、ドジャースとの大型コラボの実施を通じて、ブランド認知の拡大を企図しています。

売上・売上総利益の推移

売上及び売上総利益の推移はスライドのとおりです。各分野の売上には下半期に拡大しやすい季節性があり、第1四半期は例年、前四半期比で調整される傾向があります。

スタジオ運用の拡大などにより、粗利率は前年同期比でやや調整されているものの、第1四半期では相対的に収益性の低いイベント分野の売上構成が低下したため、前四半期比で粗利が改善する状況となっています。

売上原価・販管費の推移

原価及び販管費の推移はスライドに記載のとおりです。スタジオ運用に係るコンテンツ制作原価の上昇やライブコンサートの増加により、前年同期比で原価水準は上昇しています。

前年同期比での販管費率の上昇については、事業開発に係る人件費やソフトウェア償却費、海外拠点費などの固定費増が要因となっています。

限界利益・営業利益の推移

限界利益及び営業利益の推移はスライドに記載のとおりです。スタジオ運用の拡大やコンサートイベントの実施により、限界利益率は前年同期比で調整しました。一方で、収益性の高いトレーディングカードゲームの売上拡大により、限界利益水準は増加基調で推移しました。

表現技術やソフトウェアの研究開発、物流改善、海外事業開発等に関わる先行投資的支出が営業利益率を押し下げていますが、営業利益水準は前年同期比で増益しています。

事業分野別の進展 配信/コンテンツ

谷郷:サービス分野別の事業展開をご説明します。配信コンテンツ分野の進展についてです。配信収益は季節性や卒業タレントのYouTubeメンバーシップ収益減少の影響により、短期的には調整局面となっています。

一方で、新興タレントや海外タレントによるコンテンツの拡大が進み、持続的な成長を支えるヒットの再現性構築にも注力しています。

スライドの右側に示しているように、YouTube配信ではオンラインライブコンサート、「轟はじめ生誕祭2025」、大型ストーリーイベント「ENigmatic Recollection:The Chains of Fate」が実施されました。これらは、いずれも大きな同時接続数を記録し、SNSトレンドでの反響がありました。引き続き、ファンコミュニティの拡大とエンゲージメントの強化が期待されています。

事業分野別の進展 ライブ/イベント

ライブ・イベント分野の進展についてです。当社はライブコンサートでの新規演出手法を積極的に導入し、ファン体験価値の向上に取り組んでいます。これにより、ファンエンゲージメントの強化とブランド認知の促進を図り、今後の収益機会の拡大を目指しています。

5月に開催された猫又おかゆ 2nd Live「ぺるそにゃーりすぺくと」では、現地で8,000人超、配信で約1万人を集客し、当タレントのファーストライブ比で現地が410パーセント、配信が138パーセントと大きな成長を記録しました。

首都圏外でのコミュニティ形成を目的に、北海道、宮城県、埼玉県、愛知県、大阪府、福岡県の6都市でイベント「hololive SUPER EXPO 2025 後夜祭 ~bonus stage~」を展開しました。

このような試みにより、都内のイベントに足を運ぶことが難しい地方の若年層コミュニティの形成も推進しています。

事業分野別の進展 マーチャンダイジング

マーチャンダイジング分野の進展についてです。2025年6月から2026年春までの期間限定で「hololive production Official Shop in Osaka Umeda」の運営を開始しました。関西のファンとのリアルな接点作りを強化しており、好調な反響を得ています。

一方、第1四半期には米国関税の影響を受け、米国消費者からの単月EC売上が一時的に前年同期比で半数に落ち込む場面も見られました。足元では回復基調にありますが、今後も注意が必要な状況です。

マーチャンダイジング売上全体としては、グラフで示されているとおり、TCGの継続的な貢献により前四半期比でも高水準を維持しています。今後も通商政策の動向を注視しながら、北米向けECの展開など、持続的な事業成長に向けた施策を検討していきます。

マーチャンダイジング Q1におけるカード施策

カード関連施策の取り組みについてご説明します。通年を通じた店舗キャンペーンや大型トーナメント大会の開催が奏功し、プレイヤー数が継続的に増加しています。

第1四半期において、新商品売上が堅調に推移し、カード分野別売上は過去最大の四半期売上を更新しました。

4月から6月にかけては、複数の店頭イベントや「ホロカフェス2025」「ワールドグランプリ2025」などの大型大会を開催し、ユーザーの参加機会を拡大しました。

2024年度で最も販売数の多かった新規TCGシリーズとして、「hololive OFFICIAL CARD GAME」が「Media Create New TCG Award」を受賞しました。このシリーズは親しみやすく、敷居が低いルールに加え、人気VTuberを起用したキャラクターグッズとTCGの相性の良さが評価されています。

7月から英語版の販売を開始し、北米を中心とする海外市場への展開が本格化しています。第2四半期以降は、海外イベントを通じてさらなる普及拡大を見込んでいます。

事業分野別の進展 ライセンス/タイアップ

ライセンス及びタイアップ分野の進展についてご説明します。当分野では、ライセンシー経由でのフィギュア販売が引き続き好調で、グローバルな需要の高まりを背景に、再販も続いており、安定的な収益拡大に寄与しています。また、5月にはライセンシー11社が参加する「hololive FIGURE EXHIBITION」が開催され、堅調な販売が継続しています。

海外での認知拡大施策として、Netease社のモバイルゲーム「荒野行動」とのインゲームコラボを実施しています。グローバル展開タイトルとの連携により、新規ファンの獲得と海外でのブランド認知向上に貢献しています。

売上推移を見ると、第1四半期は11億8,000万円で、前四半期からは季節性の影響により調整されていますが、前年同期比では高水準を維持しています。今後も国内外のタイアップ施策を通じた安定成長が期待されています。

中期目標の達成に向けた事業拡大の進捗状況

中期目標の達成に向けた今期施策の進捗についてご説明します。こちらのスライドでは、中期目標の進捗状況を成長ドライバーごとに整理しています。

1つ目の「共創によるコンテンツ供給の強化」では、大型ゲーム大会「獅白杯3rd」が実施され、恒例イベントとなっています。今回は有名ストリーマーや複数のスポンサーを巻き込み、カプコン社の公式コラボによって延べ同時接続数10万人以上を記録する成果を上げました。

簡易モーションキャプチャ技術の研究開発が進み、スタジオのキャパシティに縛られないタレント活動の多様化に向けた技術が進捗しています。

TVアニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」のエンディングテーマ歌唱や「2025大阪・関西万博」への出演などを通じて、ブランド認知拡大が加速しています。

2つ目の「グローバル収益基盤の確立」では、北米現地ECの開発に向けた協業スキームの構築が進行中です。また、海外営業の拡充により、ライセンス及びタイアップ分野の海外取引社数は前年同期比で60パーセント以上の増加となりました。

5月にはラスベガスで開催された「Licensing Expo」に参加し、3日間で130件超の商談を実施しました。これにより、北米での外食系大型コラボレーションにもつながっています。

東アジア圏のゲーム企業との連携により、現地市場でのブランド認知拡大も進展しています。

3つ目の「新規事業領域の収益拡大」では、英語版TCGの7月の一般販売に向けた商品の製造流通が始まっています。今後は2ヶ月から3ヶ月ごとに新商品を投入し、ティーチングイベントや大会施策を通じて、欧米・アジアでのプレイヤー数拡大を目指します。

ゲーム分野では「holo indie」ブランドや、他社とのライセンス協業によるタイトルのNintendo Switchでの展開も開始されました。

「ホロアース」では、タレントが自身のアバターを通じてファンと交流できるようになるなど、体験価値の向上が進んでいます。

4つ目の「人的資本の高度活用」では、採用強化や部門間の異動、新規採用に関する社内ルールの見直しが進められているほか、組織運営や人材評価制度の見直しに向けて、引き続き課題の棚卸しと中長期的な最適配置が進められています。

先行投資的支出に係る進捗状況 表現技術等の技術開発

表現技術分野における先行投資の進捗についてご説明します。まず、大規模な設備を必要としない簡易モーションキャプチャ技術の活用が進んでいます。これにより、テレビ番組の撮影現場等の外部環境でのVTuber支援や、他の出演者との双方向コミュニケーションが可能となりました。

大規模スタジオのキャパシティに縛られず、簡易的な設備での撮影が可能となることで、タレントに対してより多くの3Dコンテンツ制作機会をコスト効率的に提供することが可能です。

並行して、「UNREAL ENGINE」を活用したバーチャルライブの高度表現技術の研究も継続的に行っています。カメラの露出や時間帯による演出の変化をリアルタイムで反映し、没入感と実在感のあるバーチャルライブ空間を構築することが可能です。

高度モーションキャプチャ設備や企画・開発・制作・オペレーションを一貫して行える組織体制といった会社資産を活用することで、このような前例のないプロジェクトも短期間で実現することが可能となっています。

先行投資的支出に係る進捗状況 物流関連

物流領域における先行投資の進捗状況についてご説明します。当社はトランスコスモス社と協力し、6月から新たな物流センターの本格運用を開始しました。

これは、これまで複数に分散していた倉庫拠点を集約するものであり、VTuberの人気拡大に伴い増加・多様化する商品取り扱い量に対応するための重要な転換点となります。この取り組みにより、在庫管理や入出荷オペレーションの柔軟性が向上し、データと商品フローの単純化・可視化が進みます。

結果として、サプライチェーン全体の効率化と品質管理の強化が図られ、将来の事業成長に備えた基盤強化とコスト削減が可能となります。

先行投資的支出に係る進捗状況 ホロアース

スライドは、「ホロアース」における先行投資の進捗状況についてのご説明です。2025年6月下旬より、タレント自身が自らのアバターで「ホロアース」にログインする企画を実施しました。

こちらは、ユーザーとタレントが同じ3D空間内で直接触れ合える体験を提供するもので、他のプラットフォームにはない独自のファンエンゲージメント施策として機能しています。

この取り組みは、ユーザーによるUGC制作の増加を促進し、ユーザー体験の質的向上に貢献しています。その結果、コミュニティ全体の熱量や継続参加意欲を高める構造が形成されつつあります。

「ホロアース」は、タレントとファンが共に作る体験の価値をより一層高める場として、今後も開発と実装を進めていきます。

経営構造改革その他の進捗

スライドは、経営構造改革等に関する第1四半期時点での主な取り組みについてのご報告です。まず、「人事制度及び組織体制の見直し」として、4月からの新しい執行役員体制のもと、部門間連携を強化するための組織改編を実施しました。あわせて、評価制度・採用・登用・異動フローの整備など、人的資本戦略の強化を進めています。

「タレントサポート強化」においては、個別面談やグループ面談、タウンホール・ミーティングを継続的に実施し、タレントとのコミュニケーション内容を踏まえたサポート体制の構築や課題解決、オペレーション改善を進めています。

「コスト最適化」では、SaaSやPC機器などの棚卸及びコストの見直しにより、第1四半期時点で2,500万円を削減し、年間で7,000万円規模の改善効果を見込んでいます。また、発注管理フローを強化することで、仕入・製造原価の最適化も図っていきます。

「プロジェクト・ガバナンスの強化」では、プロジェクト単位での進捗管理体制を強化するとともに、戦略の進捗に応じた柔軟なリソース再配分を目指した仕組みの構築に取り組んでいきます。ご説明は以上です。

質疑応答:利益進捗と先行投資費用の消化状況について

質問者:利益の進捗についてのご質問です。第1四半期は想定の範囲内の着地とおっしゃっていましたが、上期の計画から第1四半期の実績を引くと、第2四半期は約40パーセントの減益という計画になっています。第2四半期はイベントの数も多いため、少し保守的な計画だと感じています。米国の関税影響などによるリスクを踏まえて、保守的に設定されているのかにつ

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