新田ゼラチン、収益性が改善し利益面が好調に推移 法人税等調整額計上で当期純利益予想を上方修正、年間配当も増配へ
目次

竹宮秀典氏:みなさま、こんにちは。新田ゼラチン株式会社、代表取締役社長の竹宮です。
本日は、2026年3月期中間期の決算概要、中期経営計画の見直し並びに通期連結業績予想及び期末配当予想の修正、長期経営構想の策定について、ご説明します。
2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算説明資料

まずは、2026年3月期中間期の決算概要です。
決算ハイライト

まず、決算ハイライトです。
売上高については、日本や北米での販売が減少したことから、全体で減少となりました。
一方で、収益性は引き続き好調を維持しており、営業利益及び経常利益は、前年同期、期初予想の両方を上回りました。
また、北米の持株会社ニッタゼラチンホールディングについては、本年7月にニッタゼラチンユーエスエーを清算したことにより、傘下にあるのが販売会社であるニッタゼラチンエヌエー1社のみとなりました。このため、今後は日本から直接管理するほうが効率的であると判断し、本年8月に解散を決議しています。同社の清算手続きに伴い、法人税等調整額を計上したことから、親会社株主に帰属する中間純利益が大きく増加しました。
次のスライドから、詳しくご説明していきます。
連結損益計算書【前期比】

2026年3月期中間期の連結損益計算書について、まず前期比でご説明します。
売上高は、前期比マイナス6.3パーセントの、184億9,900万円となりました。日本や北米での販売が減少しました。
一方、営業利益は、前期比プラス9.2パーセントの、23億2,400万円となりました。北米をはじめ、グループ全体の収益性改善が進捗し、増益となりました。
経常利益は、前期に計上していた為替差損が減少したことにより、前期比プラス21.2パーセントの23億8,800万円となりました。
そして、親会社株主に帰属する中間純利益は、前期から13億9,400万円の増益となる、22億1,400万円となりました。ニッタゼラチンホールディングの清算手続きに伴い、法人税等調整額、約10億円を計上したことにより、大幅な増益となりました。
連結損益計算書【期初予想比】

次に、期初予想との対比でご説明します。
売上高は、期初予想比マイナス5億円となりました。日本などでの販売が計画を下回りました。
一方、営業利益、経常利益は、いずれも期初予想を上回りました。
また、親会社株主に帰属する中間純利益は、法人税等調整額の計上により、期初予想を大きく上回る結果となりました。
連結売上高増減要因

続いて、連結売上高の増減要因についてご説明します。
売上高全体は、前期から12億3,600万円の減収となりました。北米での在庫販売分の減少や、日本での写真用販売の減少などにより、ゼラチン販売が減少したことが主な要因です。
製品区分別販売概況

ゼラチンは、前期比でマイナス7.3パーセントとなりました。日本では食品用とカプセル用が引き続き堅調に推移したものの、写真用の販売が減少しました。北米では、前期の第1四半期に、ニッタゼラチンユーエスエーの生産停止後の在庫販売分があった影響などにより、減少となりました。インドでは、ソフトカプセル用、ハードカプセル用が共に好調に推移しました。
コラーゲンペプチドは、前期比でマイナス2.1パーセントとなりました。日本では、当社製品を使用した顧客商品の販売が減少しましたが、北米ではプロテインバー向けの需要が引き続き旺盛で、販売が好調に推移しました。インド及びアジア市場は、引き続き堅調でした。
食品材料は、前期比でマイナス6.9パーセントとなりました。収益性の向上を目的とした商品構成見直しの進展に伴い、減収となりました。
バイオメディカルは、前期比でプラス11.6パーセントとなりました。日本では、主要顧客での生産量低下により販売が減少しましたが、海外向けの販売が伸長しました。
四半期別連結業績推移

四半期別の業績推移についてご説明します。
2026年3月期第2四半期の営業利益は、10億7,000万円となり、第1四半期との比較では減益となりましたが、依然として高い利益水準を維持しています。
連結貸借対照表

次に、連結貸借対照表についてご説明します。
固定資産は、前期末から12億9,400万円増加しました。ニッタゼラチンインディアでの増産工事の進展や、ニッタゼラチンホールディングの清算手続きに伴う繰延税金資産の増加、並びにERPの導入などが要因です。
負債は、短期借入金の減少などにより、1億200万円減少しました。また右のグラフのとおり、有利子負債の削減も順調に進んでいます。
このほか、好調な業績を受け、純資産が大きく増加したことから、総資産合計は、前期末から19億円増加の423億1,300万円となりました。
連結キャッシュ・フロー計算書

キャッシュフロー計算書についてご説明します。
営業活動によるキャッシュフローでは、好調な業績により税金等調整前中間純利益が増加しました。
投資活動によるキャッシュフローでは、ERPやインドにおける増産投資などにより、支出が増加しました。
財務活動によるキャッシュフローにおいては、引き続き、借入金の返済を進めました。
[参考資料]連結業績推移

参考資料として連結業績推移です。
[参考資料]為替換算レート

為替換算レートです。
2026年3月期中間期の決算概要についてのご説明は以上です。
中期経営計画の見直し並びに通期連結業績予想及び期末配当予想の修正について

続いて、中期経営計画の見直し並びに通期連結業績予想及び期末配当予想の修正について、ご説明します。
1. 2024-2026中期経営計画目標の見直し

まず、現行の中期経営計画の目標見直しについてご説明します。
グループ内の収益性改善が進み、足元の営業利益が当初の目標水準を上回っている状況を踏まえ、中計最終年度である2027年3月期の目標を上方修正します。
営業利益は、当初の35億円から10億円の上方修正となる45億円を目標とします。
また、資本効率の指標についても、ROEは9.0パーセントから10.0パーセントへ、ROICは7.0パーセントから9.0パーセントへ、それぞれ目標を引き上げました。
あわせて、株主還元を強化すべく、最終年度のDOEを、2.0パーセントから3.0パーセントに引き上げることとします。
2.通期業績予想の修正

次に、今期、2026年3月期の通期連結業績予想の修正についてご説明します。
北米の持株会社であるニッタゼラチンホールディングの清算手続きに伴い、この第2四半期に法人税等調整額、約10億円を計上しました。
これに伴い、親会社株主に帰属する当期純利益の予想を、期初予想の21億円から10億円の上方修正となる、31億円とします。
その他の予想値については、期初予想を据え置いています。中計最終年度となる次期の営業利益目標45億円の達成に向け、まずは今期の利益目標40億円を確実に達成します。
3.配当予想の修正

配当予想の修正についてご説明します。
親会社株主に帰属する当期純利益の通期予想を上方修正したことに伴い、年間の配当予想を、当初予定の1株当たり24円から、6円の増配となる30円とします。これにより、今期のDOEは2.5パーセントとなる見込みであり、中計最終年度の目標である3.0パーセントに向けて、その水準を引き上げていきます。
中期経営計画の見直し並びに通期連結業績予想、及び期末配当予想の修正についてのご説明は以上です。
長期経営構想の策定について

続いて、長期経営構想の策定についてです。
目次

長期経営構想の策定に伴い改定した「企業・経営理念体系」と、2033年3月期をターゲットとする長期経営目標、並びにその実現に向けた成長戦略について、ご説明します。
1. 企業・経営理念体系の改定

まず、当社は、長期経営目標の策定と同時に、企業・理念体系を改定し、今後の向かうべき方向性を明確にしました。改定の目的は3つあります。
1つ目は、「未利用資源と副産物を自社の技術やサービスで価値あるものに変える」という当社の原点に立ち返り、これを今後の指針とすることです。
2つ目は、当社を取り巻く厳しい環境を全社一丸となって乗り切るために、目指すべき「ありたい姿」を明確にすることです。
そして3つ目は、これまで混在していたさまざまな理念・方針を整理し、向かうべき方向性を明らかにすることです。
1. 企業・経営理念体系の改定

今回新たに策定した理念体系図の全体像がこちらです。当社の存在意義から日々の行動指針までを包含する、ピラミッド型の構造で構成されています。
最上位のパーパス(私たちの存在意義)は、「UPCYCLING for the Future.」、ビジョン(私たちのありたい姿)は、「Lead in Asia. Challenge the World.」です。
そして、このビジョンの実現に向け、バリュー(私たちの価値観)に、「Connect・Create・Challenge」という3つの「C」を掲げ、それを具体的な行動へ落とし込むための行動指針であるプリンシプルを策定しました。また、この体系図全体を支える揺るぎない土台として、「社是」を位置づけています。
1. 企業・経営理念体系の改定

今回策定したパーパス、「UPCYCLING for the Future.」は、「未利用資源と副産物に新たな価値を与え、磨き続けていく」という、当社の事業の根幹を表しています。新田ゼラチンは、このアップサイクリングの力を通じて、人々の暮らしをより良いものへと変えていくことを目指します。
1. 企業・経営理念体系の改定

新たなビジョンである「Lead in Asia. Challenge the World.」には、私たち新田ゼラチンが、ゼラチン・コラーゲン業界における売上高アジアNo.1を目指すという強い意志を込めています。革新と事業拡大によって従来にない飛躍的な成長を遂げ、品質と信頼をもってアジアをリードし、さらには世界にも挑み続けていきます。
1. 企業・経営理念体系の改定

バリューである、「Nitta Gelatin 3C Value」は、「Connect (つなげる)」、「Create (創造する)」、「Challenge (挑戦する)」の3つです。そして、これらのバリューを具体的な行動に落とし込むために、10項目の行動指針を策定しています。「Nitta Gelatin 3C Value」と、それに基づく具体的な行動指針を日々の羅針盤とし、ビジョンに掲げた売上高アジアNo.1の達成を目指していきます。
2. 長期経営目標 ~経営指標~

続いて、長期経営目標についてご説明します。
先にお示ししたビジョンにあるとおり、当社はゼラチン・コラーゲン業界で売上高アジアNo.1、すなわち「Lead in Asia.」の企業となるべく、成長戦略を強力に推進します。
その挑戦的なゴールとして、2033年3月期に、連結売上高800億円、営業利益100億円という長期の目標を設定しました。これは、今期、2026年3月期の予想に対し、売上高で2倍のプラス400億円、営業利益は2.5倍でプラス60億円と、大幅な成長を目指すものです。営業利益率も12.5パーセントへと高めます。
事業の収益性・効率性の改善も進め、ROEは13.0パーセント、ROICは12.0パーセントに向上させる計画です。
2. 長期経営目標 ~経営指標~

2033年3月期の目標達成に向けた成長イメージがこちらです。現在進行中の中期経営計画のテーマに掲げた収益力の強化は順調に進んでおり、これをさらに推し進めることで従来にない飛躍的な成長の実現を目指します。
2030年3月期の売上高500億円、営業利益50億円は、すでに公表している2030年ビジョンでお示ししている目標ですが、次の中期経営計画を策定する際に、その内容とともに新たに設定する予定です。
2. 長期経営目標 ~ありたい姿~

2033年3月期の目標達成に向けて、地域別及び製品別のポートフォリオを大きく変革します。地域別では、特に成長が見込まれる海外市場での販売を拡大し、売上高を倍増させる方針です。現在のポートフォリオから、インドを含むアジアの比率を大幅に高めることを目指します。
製品別では、引き続き市場の成長が見込まれるゼラチンとコラーゲンペプチドを成長の柱とします。さらに、バイオメディカルや新規事業を「新たな成長の柱」と位置づけ、売上高80億円を目指します。
3. 基本戦略 ~価値創造ストーリー~

長期経営目標を実現していき、私たちが社会に創出する価値をまとめたのが、こちらのスライドにある価値創造ストーリーです。
「海外市場の規模拡大」や「海外安価ゼラチンへの対応」といった外部環境のもとで「信頼性、顧客対応力、安定品質」といった当社の強みを活かし、海外市場での販売力強化と供給能力の拡大及びアライアンスの活用を進めることで、競争力を強化していきます。
これにより、ビジョンに掲げる売上高アジアNo.1のポジションと、売上高800億円・営業利益100億円の実現を目指し、「食・健康・医療への貢献」や「持続的な成長と株主還元」といった価値を創出していきます。
詳細について、次のスライドからご説明します。
3. 基本戦略 ~当社の強み~

私たちの強みは、大きく3つに集約されます。
1つ目は、お客さまとの間に築き上げてきた「信頼性」です。具体的には、「安全・安心な商品」の提供、「安定供給」の継続、そして「100年超の歴史あるブランド力」と考えています。
2つ目は、「顧客対応力」です。高い技術力に裏付けられた、「顧客ニーズへの柔軟な対応」は、お客さまにご評価をいただいています。ハラルやコーシャといった認証も、海外での強みとなっています。
3つ目は、当社の根幹を支える「安定品質」です。当社は、厳格な品質管理体制のもと、原材料の受け入れから最終製品に至るまで、すべてのプロセスで高い工程管理能力を備えています。品質要求水準の高い日本だからこそ、培うことができた技術だと考えています。これらの強みを海外市場に展開することで売上拡大を実現していきます。
3. 基本戦略 ~競争力の強化~

そして、こうした強みをベースに、さらに競争力を高めていくための戦略が、こちらの3点です。
1つ目は、「海外の販売体制・仕組みの強化」です。ゼラチンについては、日本での競争優位性をアジアへ展開するための直販体制を、コラーゲンペプチドについてはブランド力を強化し、グローバルな販売代理店網を、それぞれ構築します。グローバル人材の育成と活用も不可欠です。
2つ目は、「コストダウン・供給能力の拡大」です。競争力のあるインド拠点を最大限活用すべく生産能力を拡大するとともに、さらなる生産拠点の新設も検討します。また、牛骨原料の最適化や大阪工場のボトルネック工程改善によるコストダウン・生産能力拡大も進めます。
3つ目は、「アライアンスの活用」です。販売においては、自社生産を基本に、アライアンスを活用した拡販戦略を進めます。また、原料調達におけるバリューチェーン全体での連携や、生産面でのアライアンス先への技術支援も視野に入れ、パートナー企業との連携を深めていきます。
3. 基本戦略 ~グローバル化の加速~

次に、売上高アジアNo.1達成に向けた、グローバル化を加速させるための戦略についてご説明します。
私たちはまず、日本と、インドを含むアジアでは、顧客対応力やコスト競争力をさらに磨き、圧倒的なシェアを獲得することを目指します。
また、最大規模の市場である北米や欧州においても、競争環境が変化する中、当社の強みを活かすことで一定のポジションを確保することが可能だと考えており、これを実行していきます。
各地域における環境認識、当社のありたい姿とそれを実現するための方針の詳細は、ご覧のとおりです。
3. 基本戦略 ~バイオメディカルおよび新規事業~

次に、バイオメディカル及び新規事業の領域では、中長期の成長ドライバーとなる新たな事業を育て、将来の収益機会を確実に捉えていく方針です。
当社の技術開発の結晶であるコラーゲンマイクロファイバーの早期事業化に注力し、2033年3月期において売上高80億円の達成を目指します。
[補足]コラーゲンマイクロファイバー(CMF)の展開用途について

ここで、「コラーゲンマイクロファイバー」について補足します。人間の生体組織は無数のコラーゲン繊維からできています。当社は、このコラーゲン繊維と類似したナノ構造をもつコラーゲンマイクロファイバーの量産化技術を世界に先駆けて開発しました。
この技術が実用化されれば、皮膚や骨などの欠損部分に対する足場材としての利用や、損傷した腱や靭帯の強度を高めるための補強材としての利用など、医療分野でのさまざまな用途への展開が期待できます。
4. 財務戦略 ~キャピタルアロケーション~

続いて、「財務戦略」についてご説明します。
まず、成長戦略を実現するために、主にグローバル化を加速するための供給能力の拡大を目的とする戦略投資を大幅に拡大します。加えて株主還元についても、現行の中期経営計画で目標としているDOE2.0パーセントを2033年3月期までに4.0パーセントに引き上げます。
ここでお示ししている、左の図は現行の中期経営計画、右の図はそれ以降、2033年3月期までの6年間のキャピタルアロケーションです。収益力の強化により累計の営業キャッシュフローは410億円と現在の水準の1.4倍になります。戦略投資は250億円と2.9倍になります。株主還元も80億円と2.2倍にします。
5. 経営基盤強化 ~人的資本~

長期経営目標達成のためには、人的資本の強化が不可欠です。人材にかかるポリシーを制定し、経営戦略と連動した人的資本経営を推進します。そして、ビジョンに掲げるアジアNo.1の企業となるために、グローバル本社機能の強化、グローバル人材の育成・活用、現地での人材強化等グローバル対応を強化していきます。
5. 経営基盤強化 ~サステナビリティ経営~

最後に、サステナビリティ経営ですが、当社はパーパスで掲げた「UPCYCLING for the Future.」を目指し、未利用資源から新たな価値を創出するアップサイクル型ビジネスを引き続き追求していきます。
まずは環境、調達、ダイバーシティといった、当社が特定したマテリアリティ(重要課題)について取り組みを推進することで、社会課題解決への貢献と、企業価値向上につなげていきます。
以上、2026年3月期中間期の決算概要、中期経営計画の見直し並びに通期連結業績予想及び期末配当予想の修正、長期経営構想の策定について、ご説明しました。
本日は、ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
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