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上野吉昭氏(以下、上野):サカタインクス代表取締役社長執行役員の上野です。本日はお忙しい中、ご視聴いただき誠にありがとうございます。

それでは、2025年12月期第2四半期の決算についてご説明します。

本日のご説明は、ご覧のとおりの内容となっています。

2025年12月期 第2四半期(中間期)決算要点(長期ビジョン 基本方針)

はじめに、私から第2四半期決算の要点をご説明します。

今期は、事業拡大と収益力強化の期間と位置付ける「中期経営計画2026」の2年目であり、この第2四半期決算はちょうどその中間点でもあります。

2025年12月期 第2四半期(中間期)決算要点

まず、業績については、主力であるパッケージ用インキが米州を中心に業績を牽引、アジアにおける営業利益の増加も寄与し、増収増益となりました。また、昨年11月に買収したCoatings & Adhesives社(以下、C&A社)についても、想定どおり好調に業績に寄与しています。

通期業績予想については、インフレに伴う人件費上昇、トランプ関税などの不確定要素はあるものの、引き続き成長地域での戦略製品拡販により、3期連続の増収増益を目指していきます。

株主還元については、年間配当を90円とし、さらに、自己株式取得枠10億円を設定して、現在取得を進めています。これらにより、2026年までに総還元性向50パーセント以上の達成という目標を、1年前倒しで達成できる見込みです。

今回の重要なトピックスであるトランプ関税については、当社への影響は少ないと見込んでいます。また、新規取り組みとして、コーティング剤事業への拡大、ブランドプロテクションサービスの展開、基盤技術を活かしたエレクトロニクス分野への進出などにより、新規分野での売上増につなげていきます。

これらについては、次のスライド以降で詳しくご説明します。

サカタインクスのビジネス(地産地消型ビジネス)

まず、我々のビジネスの基本として、生産や販売が、地産地消であることをご説明します。当社は「20」を超える国と地域に進出し、世界各地に生産拠点を構えています。

これらは基本的に、各国の内需に対応したものとなっており、為替や関税による業績への影響が、輸出入産業に比較するとかなり軽微であると言えます。

これらを踏まえた上で、次のスライドより、当社におけるトランプ関税の影響をご説明します。

アメリカ通商政策における関税の影響

トランプ関税については、先ほどご説明したとおり、地産地消ビジネスを展開していますので、直接関税を支払うようなビジネスモデルではありません。

なお、アメリカで調達しているインキ原材料については、年間で約1,700万ドル程度の影響が出ると試算しています。

その対策としては、前回のトランプ関税の経験を活かし、いち早く、仕入先やお客さまと交渉を行い、サプライチェーン全体の中で価格改定を進めています。その他の対策として、特に影響の大きい中国産の材料については、他の地域からの調達や、代替材料の検討なども行っています。

これらの施策の結果、関税影響による、原材料の価格上昇に対応できており、今後も業績への影響は軽微と見込んでいます。

次に、当社グループの成長戦略の1つである、新規事業に向けた取り組みについてご説明します。

新規事業に向けた取り組み

新規事業に向けた取り組みとして、C&A社を買収し、当社事業と非常に親和性の高いコーティング剤事業の拡大に向けた取り組みを進めています。昨年11月に買収しましたが、すでに売上、利益に貢献しており、今後さらなる収益拡大が期待できます。

近年、模倣品による被害が増えていく中で、セキュリティビジネスの重要性が増しています。サカタブランドソリューションズによる製品認証事業やオンラインブランド保護事業を通じて、ブランドオーナーの企業価値を守ることに貢献していきます。

新規事業に向けた取り組み

また、当社が培ってきた基盤技術を応用し、エレクトロニクス分野への展開に注力しています。6月に行われた展示会では、オープンイノベーションによる製品開発の成果を披露し、業界のキープレイヤーとの接点をつくり、今後の事業展開に向けた貴重なフィードバックとネットワークを得て、現在複数の企業とサンプルワークに取り組んでいます。

次のスライドより、業績、通期予想、各セグメントの概況と投資について、福永よりご説明します。

第2四半期(中間期)連結業績

福永俊彦氏:福永です。私からは、業績と通期予想、そしてセグメント別の概況と投資についてご説明します。まず、業績についてご説明します。

上期の世界経済は、インフレと地政学的リスクが依然として懸念される状況が続いています。加えて、アメリカの通商政策に伴う貿易関税の影響や、中国経済の長期的な停滞も重なり、全体としては低成長にとどまりました。

このような環境下において、米州におけるパッケージインキの拡販や、堅調な飲料缶需要に支えられ、売上が増加しました。また、昨年11月にアメリカで買収したコーティング事業も、売上に大きく寄与しています。

アジア地域では成長がやや鈍化したものの、前年並みの水準を維持し、欧州ではパッケージインキの拡販が順調に進んでいます。インクジェットインキについては、需要の増加に加え、衣食住分野への新製品展開が奏功し、販売が伸長しました。

一方で、円高による決算時の為替換算影響により、予想には届かなかったものの、売上高は1,263億円、前年同期比4.4パーセントの増加となりました。

営業利益は、米州におけるパッケージインキおよびメタルインキの販売、コーティング剤事業の順調な推移に加え、アジア・欧州での原材料価格の安定、日本およびアメリカでの販売価格の改定効果もあり、76億円、前年同期比5.4パーセントの増加となりました。

2025年12月期 第2四半期(中間期)前年同期比 要因別増減

続いて、売上高および営業利益の増減要因についてご説明します。

まず、売上高は、日本における構造改革の一環として、情報メディア関連の機材販売を終了したこと、ならびに、円高による為替換算影響がマイナス要因となりました。

一方で、アメリカにおけるコーティング剤事業の買収効果、米州でのインキ販売数量の増加、日本およびアメリカにおける価格改定の進展、さらに機能性材料分野におけるインクジェットインキの堅調な販売が寄与し、前年同期比で53億円の増収となりました。

次に、営業利益は、アメリカのコーティング剤事業買収に伴う人員増加に加え、インフレ影響により製造経費および販管費が上昇しました。

しかしながら、コーティング剤事業の買収効果、米州でのインキ販売の拡大、アジアでの共同購買によるコスト低減、日本およびアメリカでの価格改定などの効果がこれを上回り、前年同期比で3.9億円の増益となりました。

2025年12月期 第2四半期(中間期)前年同期比 セグメント別 営業利益増減

セグメント別の営業利益の増減はご覧のとおりです。米州の増加要因の内訳としては、アメリカのC&A社買収により、3.5億円のプラスになりました。

セグメント別 実績(売上高・営業利益)

各セグメントの実績について、全体の概要はご覧のとおりです。詳細は後ほどご説明します。

連結貸借対照表

連結貸借対照表については、ご覧の結果となりました。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書については、ご覧のような結果となりました。

通期連結業績予想

次に、通期予想についてご説明します。

売上面では、期初予想時よりも円高を想定しており、為替換算による一定の押し下げが予想されますが、パッケージインキおよび機能性材料の拡販、新規事業の立ち上げを推進することで増収を見込んでおり、予想数値は変更していません。

利益面では、成長に向けた事業投資の拡大に加え、将来の基盤構築に向けた基幹システム導入費用の増加、世界的な人件費の上昇を見込んでいます。一方で、パッケージインキ、インクジェットインキ、画像表示材料などの拡販、事業構造改革による効率化、日本およびアメリカでの価格改定などにより、増益を見込んでいます。

以上のことから、売上高2,680億円、営業利益155億円、経常利益160億円、親会社株主に帰属する当期純利益108億円と予想しており、期初予想時からトランプ関税の発生という環境変化はあるものの、当社ビジネスにおいては変動の想定内と判断し、通期予想は変更していません。

セグメント別 予想

セグメント別の予想については、ご覧のとおりとなります。

印刷インキ・機材(日本)

続いて、セグメント別の概況と投資についてご説明します。

はじめに、日本セグメントですが、売上高については、事業構造改革に伴う不採算品目の是正の一環として、情報メディア関連の機材販売縮小が影響しています。

営業利益については、人財への投資やデータドリブン経営を見据えた基幹システムへの投資が増加している一方で、価格改定が進展した結果、4億円となりました。

通期予想については、価格改定がもう一段効果を発揮することや、情報メディア事業を始めとした構造改革の効果により、営業利益15億円の達成を目指します。

印刷インキ(アジア)

アジアセグメントについてご説明します。売上高については、昨年の第1四半期に中国のオフセットインキ事業を譲渡したことに加え、円高による為替換算などの影響を受け、減収となりました。

営業利益については、生産の効率化、共同調達の取り組み等に加え、原材料の安定が寄与し、31億円となりました。

通期予想については、引き続き、主力地域を中心とした拡販を進めるとともに、アジア統括会社による購買・生産・販売の連携強化を図ることで、期初予算の達成を目指していきます。

印刷インキ(米州)

米州セグメントについてご説明します。売上高の大幅な増収要因として、昨年11月に買収したコーティング剤事業による約60億円の上乗せ効果、メタルインキの想定を上回る実績に加え、新規拡販によるパッケージインキの販売好調などの要因があげられます。

営業利益については、人件費が依然として上昇していますが、販売数量が増加した結果、30億円となりました。

通期予想については、引き続きインキとコーティング剤の販売数量が拡大することで、米州セグメントとして初めて売上高1,000億円に到達し、営業利益は57億円となる見込みです。

印刷インキ(欧州)

欧州セグメントについてご説明します。売上高については、前年同期比で減収となりましたが、これは一部製品における関係会社間取引の終了によるものであり、実質的には増加しています。

利益面では、昨年第1四半期に発生した一時的な買い込み影響との比較により減益となりましたが、今期は安定して利益を計上した結果、前年並みの約2億円となりました。

通期予想については、環境配慮型製品としての優位性を活かしたパッケージ用インキの拡販を進め、営業利益3億円の達成を見込んでいます。

機能性材料

最後に、機能性材料セグメントについてご説明します。主力の産業用インクジェットインキにおいて、新規分野として注力している衣食住の分野で新製品の拡販や、新規プリンターでの採用などにより拡販が進んでいます。

また、画像表示材料については、市場の中心である中国において、ブラックマトリクスの現地生産を強化したことにより、販売数量が大きく伸びました。

一方で、人件費や物流コストの上昇や、一部原材料が高騰しているため、価格改定を進めていますが、まだ十分に反映できていません。その結果、売上高は97億円、営業利益は10億円の増収減益となりました。

通期予想については、インクジェットインキは、欧米での販売がやや低調なものの、新規分野も含めた拡販を進めることで、販売数量の増加を見込んでいます。画像表示材料は、市況が落ち着いていくと見込むものの、既存製品の拡販や高品質な新製品の採用、その他開発を進めている、センサー用途の販売を狙っていくことで、期初予想の達成を目指します。

次に、今期の設備投資についてご説明します。

投資実績および予定額(非連結含む)

まず、米州セグメントですが、ブラジルの新工場が完工し、順調に稼働を開始しています。アメリカでは、当初計画していた新工場の建設を一旦見直し、既存工場の生産効率化を優先して取り組んでいます。そこで得られた知見を活かした上で、新工場の建設を進めていく予定です。

アジアセグメントにおいては、フィリピンの新工場も順調に稼働しており、ベトナムでもパッケージ用インキの設備増設を実施しました。来年にはインドおよびタイにおいてもパッケージ用インキの設備増設を予定しています。また、今後、アジア統括会社が中心となってERPシステムの導入を推進していきます。

機能性材料セグメントにおいては、上海において、ブラックマトリクス製造設備の増設を計画しています。

次に、戦略的投資のご説明となります。

投資実績および予定額(非連結含む)

戦略的投資としては、昨年、アメリカでのコーティング会社買収に続き、オセアニア地域でのパッケージインキ販売強化を目的として、ニュージーランドおよびオーストラリアの販売代理店を買収しました。

また、欧州セグメントでは生産・販売体制の見直しを進めているほか、新たな生産拠点の設置も検討しています。

政策保有株式の縮減

上野:最後に、資本政策と株主還元について、再び上野よりご説明します。

資本政策の一環として、3月に、新たな政策保有株式の縮減方針を決議しました。明確な定量目標として、2025年末までに50パーセント以上の縮減、2026年以降にはゼロを目指します。

6月末時点では、すでに約20パーセントの縮減を実施済みであり、今期末までに50パーセント縮減の目標を達成できる見通しとなっています。

株主還元 〜株主還元目標の早期達成〜

株主還元についてご説明します。半年前の決算発表時にお知らせしたとおり、好調な業績を踏まえ、年間配当については昨年の70円からさらに増額し、90円を予定しています。

また、機動的な自己株式取得の方針に基づき、現在10億円規模の自己株式取得についても進めています。

これらの施策により、2026年までの達成目標として掲げている「総還元性向50パーセント以上」については、1年前倒しで達成できる見通しです。

今後も、株主のみなさまに対して、着実に還元を進められるよう、企業価値の最大化に向けて取り組んでいきますので、何卒よろしくお願いします。

以上で、2025年12月期第2四半期(中間期)決算のご説明を終了します。ありがとうございました。