目次
千光士敦是氏(以下、千光士):株式会社アートネイチャー経営企画部IR室長の千光士です。本日はよろしくお願いします。
冒頭にCMを流しましたが、社名は知っているものの、上場していることは知らなかった方が多かったのではないかと思います。本日は銘柄についてしっかりお伝えしたいと思います。
本日の目次です。当社概要、4つの特徴、5つの競争優位性、中期経営計画、通期業績見通し、株主還元の流れでご説明します。
会社概要 -総合毛髪企業-
千光士:会社概要をご紹介します。アートネイチャーの設立は1967年で、今期が59期目になります。「オーダーメイドウィッグ」を中心とした総合毛髪企業です。髪でお悩みの方々を笑顔にさせるという意味を込めて、「ふやしたいのは、笑顔です。」を当社のモットーとしています。
事業内容としては、オーダーメイドウィッグや増毛商品の製造・販売をはじめ、さまざまなサービスを提供しています。従業員数は、国内単体では約2,400名、連結ベースでは約3,900名となっています。店舗数は全国で282店舗、既製品ウィッグを取り扱う「ジュリア・オージェ」というブランドは90店舗です
子会社については海外子会社のみご紹介します。工場関連では、オーダーメイドウィッグをフィリピンにある自社工場2社で生産しています。販売関連では東南アジアを中心に3社の子会社があります。
沿革
千光士:沿革です。当社は業歴約60年の老舗のウィッグメーカーです。最初は男性市場から始まり、そこから女性市場「レディースアートネイチャー」が出来上がりました。さらに2000年代に入ってからは「ジュリア・オージェ」を展開し、女性向け既製品市場へ進出しています。
直近では、ウィッグの子会社の買収や、医薬品販売事業に着手するなど、さまざまなことに挑戦しています。
商品・サービス別売上
千光士:商品・サービス別の売上をご紹介します。スライド左側の円グラフは、商品・サービス別の売上高割合です。ご覧のとおり、売上高の約51パーセントがオーダーメイドウィッグとなっています。
次いでアフターサービスが多く、お客さまのカットやセット、ウィッグのメンテナンスによる収入が約16パーセントを占めています。既製品ウィッグと増毛商品はそれぞれ約10パーセントの割合となっています。
円グラフの中央に記載しているとおり、前年度の売上高は433億円です。お伝えしたいポイントは、そのうち約7割の300億円相当がリピートの売上になっている点です。
スライド右側の円グラフは、男女別に新規とリピートの売上割合を示しています。男性はリピートの売上が大半を占めているのが特徴かと思います。
オーダーメイドウィッグとは
千光士:ここからは、当社の主力商品であるオーダーメイドウィッグについて簡単にご紹介します。お客さまの頭の形や分け目、つむじの位置、白髪の割合は人それぞれです。オーダーメイドウィッグとは、その特徴に合わせて製作されたウィッグを指します。
また、男性向けと女性向けで特徴が分かれています。男性は大半がお悩み層となっているため、生え際から薄い部分をしっかりカバーするような商品が中心です。自然さやフィット感などが特徴的な商品となっています。
一方女性向け商品では、お悩み層もいらっしゃいますが、おしゃれ層も相応にいます。常日頃着けているわけではなく、外出やイベントの時のみ着けていただく方に適した商品も展開しており、そのような意味では、着けやすさや軽さなどが特徴となっています。
参考としてスライド右下にグラフを載せています。既製品ウィッグとは、すでにサイズやスタイルが決まっている商品です。現在は既製品ウィッグの売上が伸びてきています。
増毛商品とは
千光士:続いて増毛商品もご紹介します。冒頭のCMでも流しましたが、ウィッグのように頭に装着するものでなく、お客さま一人ひとりの自毛に人工の毛髪を結びつけ、増やしたい部分を増やしたい量だけ増やす商品となっています。
増毛商品の特徴についてです。スライド右側の画像のように、自分の髪の毛に人工の毛髪を結びつける際、結び目が気になる方が非常に多いため、そのような点を解消すべく、結び目の部分だけを細く加工しています。
また最近では、結び目の部分だけ色を抜く処理を施し、本当に結び目が見えないようにするなど、細かい部分にもかなり力を入れて展開しています。
特徴としては、30代から40代の、比較的まだ自身の髪の毛がある方々に向けた商品となっています。長く通っていただくお客様の中には、オーダーメイドウィッグへ移行される方も数多くいらっしゃいます。
収益構造
千光士:収益構造についてご説明します。スライド左側の円グラフにまとめているとおり、売上高に占める各項目の割合を示しています。最も大きな割合を占めているのは売上原価で、全体のおよそ3割です。こちらにはお客さまの商品原価に加え、商品を納品する際に発生するスタイリストの人件費なども含まれています。
次に多いのが、オレンジ色で示している広告費です。後ほどもご紹介しますが、私たちは新規顧客の獲得において広告にかなり力を入れており、売上高の約14パーセントを占めています。
次いで、当社は労働集約型の事業であり、スタイリストのほか、販売スタッフなどさまざまなスタッフが在籍していることから、人件費は全体の15パーセント程度となっています。それ以外の経費も含めた利益ベースに関しては、前年度で5パーセント程度となっています。
市場規模(国内ヘアケア市場規模推移)
千光士:市場規模について簡単にご紹介します。まずは国内ヘアケア市場規模の推移です。こちらは外部機関による推計データですが、グラフの青色部分が私たちの属する毛髪業市場、オレンジ色が発・育毛剤市場、緑色が植毛市場、灰色がヘアケア剤市場となっています。ご覧のとおり、現在は発・育毛剤市場の伸びを中心に増加傾向にあります。
市場規模(国内毛髪業市場規模推移)
千光士:今回は、先ほどのグラフの青色部分にさらにフォーカスしたグラフを準備しています。国内毛髪業市場規模の推移です。ご覧のとおり、市場規模は1,200億円前後となっています。特に、コロナ禍が直撃した2020年度に市場規模が大きく下がっています。その後、緩やかに回復してきてはいるものの、まだコロナ禍前の規模には戻っていないのが現状です。
男性向け市場について
千光士:男性向け市場の特徴について、定性的な文章でご紹介します。トップメッセージにもあるとおり、国内毛髪市場において、男性向け市場ではトップシェアを維持しています。
顧客動向については、概ねメインとなるお客さま層は40代から60代となっています。ただし、現在は定年延長もあり、60歳以上でも継続して利用している方が多い印象です。
今後の市場展望に関しては、発毛剤・育毛剤など隣接市場による影響などあるものの、ウィッグや増毛はそのような部分で明確に差別化できている点もあるため、引き続き底堅いニーズがあるのではないかと考えています。
女性向け市場について
千光士:女性向け市場についてです。女性向け市場では、市場シェア第2位となっています。スライド中央に顧客動向について記載があるとおり、現在は比較的手に取りやすい価格帯である既製品ウィッグの普及が進んでいます。
今後の市場展望に関しては、高齢化が進んでいく中、女性の方々は60代以降に髪の悩みが増えてくる傾向があります。そのような方々に対して私たちが訴求できるのではないかということから、市場自体はこの先も拡大していけるのではないかと考えています。
川合直也(さんまのIPO)氏(以下、川合):9ページの市場の推移を見ると、やや縮小傾向にある毛髪業市場に対し、発毛剤市場やヘアケア市場が伸びています。毛髪業とヘアケア、発・育毛剤で対比した場合、効果の強さや価格、あるいは心理的ハードルなどがあるかと思います。これらの強い点や弱い点についておうかがいできますか?
千光士:まず、効果に関しては、ヘアケア剤はいわゆる医薬部外品であるため、医薬的な効果は認められていません。対して、発毛剤は医薬品に該当するため医薬的効果があります。
一方で、発毛剤は増やしたい部分を増やせるかというとそうではなく、副作用などもあります。その点、ウィッグや増毛は副作用がなく、着実に増やしたいところが増やせる点が効果の違いかと思います。
価格面では、ヘアケア剤や発毛・育毛剤は1ヶ月あたり数千円程度で購入できるのに対し、ウィッグや増毛は高価格かと思います。投資家のみなさまにご説明しているベースで言えば、オーダーメイドウィッグはだいたい50万円から60万円です。
既製品ウィッグにはハイエンドなものとスタンダードなものがあり、ハイエンドは10万円から20万円、スタンダードは5万円から10万円と、幅広い価格帯で取り扱っている点が違いとなります。
心理的ハードルについては、ヘアケア剤や発毛剤などと比べると、ウィッグや増毛は心理的ハードルが高いのではないかとは思います。ただし、発毛剤・育毛剤を継続使用することで、副作用と向き合うタイミングなども出てくると思います。そのようなところも含め、検討が必要になるのではないかと思います。
川合:今後は毛髪業やウィッグがシェアを奪い返していく必要があるかと思いますが、その施策についてもおうかがいできますか?
千光士:具体的な施策をお伝えするのは難しいのですが、私どもは経営理念の中で「毛髪文化を創造する」と掲げています。そのようなところに向けたトライは続けていくべきではないかと思っています。
例えば、先ほど男性のお客さまはお悩み層が中心であると説明しましたが、おしゃれ層に向けた訴求もあるのではないか、また、現在はシニア層が中心ですが、若年層に向けた展開はどうするのかなど、まだ創造できる余地はあるのではないかと思っています。
現在取り組んでいるのは、シニア層向けにはなりますが、より高付加価値のある商品を定期的に投入し、お客さまに満足いただくことです。それを提供するにあたってはスタイリストの技術もしっかり高めていかなければならないため、そのようなところに取り組んでいます。
川合:発・育毛剤市場が伸びているかと思いますが、そこへの参入によって売上を確保していく考えはありますか?
千光士:冒頭の沿革でも触れたように、私どもは2019年に発毛剤の取り扱いもスタートしており、幅広いお客さまに向けて対応しています。
川合:発・育毛剤市場の拡大について、インターネットを使っている中でも、AGA(男性型脱毛症)関連の広告がかなり多いと思っています。こちらは拡大に寄与しているのでしょうか?
千光士:そのとおりだと思います。
川合:AGAについては、オンライン診療の広告がかなり多い印象です。ウィッグ市場においても、オンラインで診療することもあり得るのではないかと思いますが、いかがですか?
千光士:現時点では、お客さまにご来店いただき、商品やサービスを提供することが基本ではありますが、今後高齢化が進み労働人口が減少していく中で、私どもとしては、SDGsの取組みでも目標として掲げている新しいサービス体制の構築において、お店にこだわらないサービスをいろいろ模索しています。後ほどDXなどに関する説明パートでご紹介します。
川合:国内毛髪業市場規模は、1,400億円から1,200億円程度に減少しています。その中で御社のシェアや売上自体は拡大しているかと思いますが、他に伸びているプレイヤーがあるのか教えてください。
千光士:外部機関の情報によると、私どもアートネイチャーと、もう1つの大手であるアデランス社があります。この2社で市場の約6割を占めている傾向は、この数年まったく変化がない状況です。ただし、最近ではスヴェンソン社がCMで新しいキャラクターを使うなど、広告に力を入れている印象があります。
川合:新興メーカーやブランドのうち、「ここがかなりきている」と感じるところはありますか? 千光士:現時点ではそのような動きは見られません。
業績推移(売上高)
千光士:ここからは、業績推移について簡単にご説明します。スライドのグラフは売上高の推移で、10年以上の流れを載せています。以前は400億円程度まで売り上げている時期もありましたが、スライド下の矢印にも記載のとおり、中小事業者の低価格商品なども普及してきたことで、売上が下がっていった経緯があります。
そのような中、緩やかではあるものの回復してきたところで、コロナ禍によって大きく下がってしまいました。ただし、現状はコロナ禍を経て確実に回復傾向にあり、売上高も前年度は上場以来最高を更新しています。
業績推移(経営指標推移)
千光士:こちらのスライドは、経常利益やROEの推移をまとめたものです。経常利益に関しては2014年3月期が最も高く、それ以降ずっと低下していますが、やはり私たちの事業の中で最も利益率が高いのは男性向け事業です。
一方、売上が拡大してきているのは女性向け事業や既製品事業であり、これらを増やしていった経緯があります。女性のお客さまは、イベントを開催したり、販促を展開したりなど、男性以上にコストを費やす場面があり、そのような背景から利益率が少し変化してきています。
また、売上とあわせて、コロナ禍の影響で利益率が一時的に大きく下がった時期もありました。そこから回復はしてきていましたが、昨今の為替や物価高の影響を受け、停滞している状況です。
特徴① ニーズに対応したラインアップ
千光士:ここからは、4つの事業の特徴をご紹介したいと思います。1つ目は、ニーズに対応したラインナップです。やはりアートネイチャーは、ウィッグを扱う会社というイメージが強いのではないかと思います。
こちらのスライドに示すとおり、お客さまのニーズは「髪を増やしたい」だけでなく、さまざまなものがあります。そのようなニーズに対し、さまざまな提供サービスがあるという点を特徴としてご紹介しました。
特徴② 製造小売業
千光士:2つ目の特徴です。当社は、スライドの赤枠で囲っている、いわゆる一般的な理美容業と同内容に加え、主力商品であるオーダーメイドウィッグに関しては商品の企画・開発から製造・販売までをグループ内で完結させる製造小売業という形態をとっています。
そのため、お客さまのニーズに合致した商品を定期的に投入できる体制が整っています。男性向け、女性向けに年2回は新商品を投入しており、9月や3月頃のタイミングで展開しています。
特徴③ 反響営業とリピート営業
千光士:3つ目の特徴です。スライドでは、どのようにしてお客さまになり得るのかについてまとめています。
私たちの会社は、足を使って営業するわけではありません。お客さまになり得る層としては、髪にお悩みの層、おしゃれをしたい層などです。
このような方々に向け、テレビ、新聞、インターネットなどさまざまな方法で広告を展開し、アプローチを行います。そこから当社にコンタクトを取っていただくのがきっかけとなっています。
そこからは営業職にバトンタッチし、カウンセリングや試着体験などで気に入っていただければご契約となります。この流れを私どもは「反響営業」と表現しています。ここでしっかり新規の導入を増やしていくことが課題となっています。「リピート営業」については次のスライドでご紹介します。
特徴④ ストック型ビジネス
千光士:私たちのビジネスでは売って終わりではなく、お客さまとの信頼関係構築を前提としたストック型ビジネスになっています。
スライド左側に記載のとおり、お客さまが導入した際は、まずは担当のスタイリストが必ず付きます。定期的に来店いただき、自分の髪のカットやウィッグのメンテナンスなどを担当スタイリストが実施することで信頼関係が構築されます。
ウィッグも定期的に使っていると摩耗していくため、適切なタイミングでリピートの商品を購入していただく流れになっています。
冒頭で売上の7割がリピートの売上であるとご説明しましたが、このような技術スタッフの信頼関係構築があるからこそなせる流れとなっており、今後はいかにアートネイチャーのファンを増やすかが鍵となっています。
当社の競争優位性
千光士:弊社の5つの競争優位性について一つひとつご紹介します。
アートネイチャーブランドの知名度
千光士:1つ目は、ブランドです。アートネイチャーは60年以上事業に取り組んでおり、ブランドとして名前を知っている方は多いかと思います。加えて、国内の毛髪業の中で唯一の上場企業となるため、社会的信用の高さは業績拡大の推進力になっているのではないかと思っています。
業界をリードする「商品開発力」
千光士:次に、商品開発力です。先ほど弊社事業の特徴で製造小売業についてご説明しましたが、お客さまのニーズを組み入れ、独創的な商品をスピーディに投入できる体制が出来上がっています。
冒頭のCMでもご紹介したとおり、3月に発売した「ジャスミー ラウンドフィット」という商品があります。こちらは現在、女性向けの新規受注において前年を上回る受注をいただいています。
ウィッグに触れていない方にはなかなかわかりにくいかと思いますが、スライドに記載のとおり、周囲360度に装着できます。普通のウィッグは留め具のようなもので部分的にパチパチと付けるのですが、360度装着することで、地肌とウィッグの空間がよりフィットするかたちになっています。
オーダーメイドウィッグの特徴でもありますが、装着感が非常に良く、既存のウィッグを使っている方にも大変好評で、現在は既存の方にも売れている商品となっています。このようなところが開発力の強みです。
川合:オーダーメイドでは、頭の形をすべて測るのでしょうか?
千光士:おっしゃるとおりです。お客さまの頭に合わせて作ります。スライド画像の黄色い部分で装着するため、一人ひとりに必ずフィットする商品となっています。
川合:新しく買われる方には、基本的にこちらをご案内しているのでしょうか?
千光士:もちろん新商品はご紹介させていただきますが、お客さまとのカウンセリングの中でニーズに合わせてご案内しています。
全国をカバーする店舗ネットワーク
千光士:3つ目の優位性は、店舗ネットワークです。すでに全都道府県にアートネイチャーの店舗が展開されており、これにより全国どこでも同じクオリティのサービスが提供できるようになっています。
全国展開している企業は、おそらく当社とアデランス社のみです。そのような意味では、参入障壁は非常に高いと思っています。
専門技術をもった数多くの理美容資格取得者を保有
千光士:4つ目の優位性は、国内従業員の約8割にあたる1,800名が理美容資格の取得者であることです。髪を触るためには資格が必要で、その資格を大多数の方が保有していることが強みになっています。これは新たに中途入社される方々も同様です。
スライド左側に専門技術を記載していますが、その中には街の理美容室では行われていない技術も含まれています。例えば、ウィッグの洗い方、ブローの仕方、セットの仕方などは、入社してから半年以上かけて研修でしっかりと習得した上で、店舗で接客しています。
これらの技術を十分に磨くことで、当社の高付加価値商品を、お客さまの手元に完全な状態で届けることができます。
強固な財務状況
千光士:最後の優位性は、強固な財務体質です。スライド左側にキャッシュフローをご紹介していますが、営業キャッシュフローに関しては毎年20億円以上を確保できている状況です。
一方、フリーキャッシュフローは、直近2年ほどは少しマイナスになっています。これは、新工場の取得やDX推進に伴う投資などが主な要因です。ただし、自己資金には余裕があるため、銀行融資に頼らず投資できています。
このような強固な財務体質で、業界トップシェアを維持しています。
当社の目指す姿
千光士:ここからは、中期経営計画に関してご説明します。内容はボリュームが大きいため、今回は一部のみのご紹介となります。詳細はIRサイトにも資料を掲載していますので、興味のある方はご覧ください。
はじめに、当社の目指す姿についてです。2017年から10年間の長期ビジョンとして、「新しい未来を切り開く10年、Open the Future」を掲げています。こちらを実現すべく、3年ごとの中期経営計画でファーストステップ、セカンドステップが終わり、現在はサードステップのステージに進んでいます。
中期経営計画「アートネイチャー Advance プラン」概要
千光士:次代を切り拓くアートネイチャーの飛躍に向けた「アートネイチャー Advance プラン」の概要です。このプランはすでに進行しており、現在、表右側の「中計」の列にあるとおり、売上高は500億円、経常利益率は2桁を目指す計画を掲げていました。しかしながら、直近の決算状況を踏まえ、最終年度の計画を見直しました。こちらは後ほどご紹介します。
中期経営計画主要テーマの進捗
千光士:中期経営計画の主要テーマです。当社は主要テーマを「価値創造」「サステナビリティ推進」「市場との対話」の大きく3つに分けて進行しています。
簡単にご説明すると、「価値創造」に関しては国内のマーケットリーダーとしてのポジションの確立を目指しています。冒頭に市場動向をご説明しましたが、その中でも着実に売上を伸ばしてきている状況です。ただし一方で、新しい領域へはまだ進出できていないことが課題となっています。
「サステナビリティ推進」に関しては、持続可能な社会の実現、持続的な企業価値の向上をテーマに、さまざまな取組みを行っています。最近はバングラデシュに新工場を建設中で、DX推進などにも取り組んでいます。
「市場との対話」に関しては、追加の株主還元を検討しているところです。今回の中期経営計画の初年度には配当方針も設定しました。詳しくは後ほどご紹介します。
サステナビリティ推進
千光士:今回は、ウィッグの会社とDXにどんなつながりがあるのか、ぜひお伝えしておきたいと思いスライドを準備しました。当社は、労働集約型の事業を行っています。そのため、企業価値を持続的に向上させていくためには、人的資本とともに一人ひとりの生産性や効率性の向上が重要となっています。
スライド下部には、さまざまな取組みの一例を紹介しています。例えば、「HAIRの部屋」という取組みでは、当社のクローズドの情報を活かした高性能AIのチャットブースを男性向けに設け、オンラインで相談できるようになっています。
「AIシミュレーション」では、商談時にお客さまの髪を増やせるイメージを、ウィッグのみでなく、増毛では段階的にどのように増やせるのか、ツールを活用してお伝えしています。さらに、お客さまには利便性を高めるアプリも活用していただいています。このように、現在はさまざまな領域でDX施策を推進しています。
資金計画
千光士:資金計画です。当社は、手元資金と営業キャッシュフローを活用した投資を行っています。
事業投資は、女性向け事業への積極的な投資を中心としています。また、全国展開している既存店舗に関しては、老朽化に伴う移転リニューアルなどに随時対応しているほか、システム投資も実施しています。
株主還元については、従前から安定配当の継続に取り組んでいます。さらに、現在は追加の還元策を検討中です。
新領域の獲得に向けては、まだ具体的な実現には至っていませんが、余剰分を活用していきたいと考えています。
2026年3月期 通期連結業績計画
千光士:ここからは、今期の業績見通しをご説明します。スライドは今期の業績計画です。2026年3月期の計画に関しては、各事業の収益構造を改善させることで増収増益を計画しています。当社のトップである五十嵐も、利益率の低下をかなり懸念しており、現在、全社一丸となって各事業の収益構造の改善に注力しています。
2026年3月期 連結経常利益計画の増減要因
千光士:今期の業績計画の詳細をご説明します。スライドのグラフは、2026年3月期の経常利益の増減要因をまとめたものです。一番左側が2025年3月期の経常利益で、黄色のグラフは利益のプラス要因を、紫色のグラフは利益のマイナス要因を示しています。
黄色のグラフについては、ご覧のとおり、女性向け事業の売上をしっかりと伸ばしていく方針です。こちらは後ほど売上計画のページでご紹介します。
赤枠で囲っている「その他売上の増加要因」については、中期経営計画でお伝えした、新しい事業への進出に関するものを含んでいます。
一方、紫色のグラフの赤枠で囲っている部分には、売上と同額のコストも新領域として含めています。そのため、万が一新領域が実現しなかったとしても、利益には影響は及ぼさないかたちで現在の計画を組んでいます。
その他の部分としては、原価については物価高の影響があるため、そのような要素も計画に織り込んでいます。また、労働集約型の事業のため、従業員のベースアップなどを含めた処遇改善も計画にしっかり織り込んでいます。これにより、前期比5億円プラスの28億円を目指して取り組んでいます。
2026年3月期 商品・サービス別売上計画(単体/男女計)
千光士:売上計画です。スライドの表では、縦軸に各商品を記載し、横軸にそれに対する今期の計画を示しています。まず、オーダーメイドウィッグを安定的に成長させていき、既製品ウィッグである「ジュリア・オージェ」を大きく伸ばしていく計画です。
オーダーメイドウィッグに関しては、右側の主要施策に記載のとおり、高付加価値商品の投入が非常に重要となります。ウィッグには底堅いニーズがあるため、より魅力的な高付加価値商品があれば、販売にもプラスとなります。そのため、この分野を着実に開発していく方針です。
新しい販売チャネルの開拓については、女性向け、男性向けの事業でそれぞれ取り組んでいます。現在、男性向け事業では新規顧客が少し上向いてきている傾向があります。
女性向け事業については、「ジャスミー ラウンドフィット」という商品が好調に推移しています。これをいかに反響営業で獲得していくかに加え、反響営業以外の経路も注視し、現在模索しているところです。
さらに、「ジュリア・オージェ」は2桁の成長を目指して取り組んでいます。現在、「ジュリア・オージェ」は90店舗を展開していますが、未出店エリアもまだあるため、出店の余地は十分にあると認識しています。店舗を着実に増やしていくことで売上を拡大するとともに、社内の販売体制もさらに強化していきたいと考えています。
川合:ウィッグの中でも、カスタムがほぼ横ばいになっており、既製品がかなり伸びていると思います。この2つはカニバリゼーションの関係にあるのでしょうか?
千光士:当社ではカニバリゼーションは起きていないという認識です。女性向けの市場においても、比較的値頃感のあるウィッグを手に取る層は相応に存在しています。このような層から、当社の「ジュリア・オージェ」は十分な反響を得られています。そのような層に向けて発信し、商品を手に取ってもらう機会を増やすことで、「ジュリア・オージェ」を拡大していきたいと考えています。
川合:カスタムオーダーを利用されていた方が既製品を購入するという流れは、あまり起こりにくいのでしょうか?
千光士:おっしゃるとおりです。実は価格面ではカスタムオーダーのほうが安いため、経済状況によってはそちらに移行される方もいますが、オーダーメイド商品を一度装着していただくとクオリティの違いを実感できることから、そのような流れは起こりにくいと考えています。これは実際に装着したことがある人でなければなかなか伝わりづらい部分ですが、継続していただいている方が多い状況です。
川合:区分別の売上が載っていますが、先ほどの説明では、オーダーメイドよりも「ジュリア・オージェ」のほうが伸びているというお話だったと思います。利益率は「ジュリア・オージェ」のほうが高いのでしょうか?
千光士:決算短信などで開示しているセグメント利益で見ると、女性向けの既製品事業の利益率が高く見えるかと思います。開示していませんが、販管費まで含めた事業利益ベースで見ると、やはり男性向け事業が最も高く、次いで女性向け事業、そして女性向け既製品事業というかたちになっています。
川合:36ページ右側のプライスの欄に、「価格改定の検討」と記載があります。表内の商品について、過去の価格改定の推移や今後の検討状況を教えてください。
千光士:今までも、2023年、2024年とオーダーメイドウィッグや既製品ウィッグの価格改定、既存モデルの価格改定を実施しており、そのような価格改定は今後も継続的にあり得ると思っています。なお、新商品に関しては、その都度、その時の原価を踏まえた価格設定を行っています。
川合:過去モデルについて、昨年と一昨年は何パーセントぐらい価格を上げましたか?
千光士:数パーセント程度です。やはり2桁まで増やすことは難しく、あくまでも材料費や物価高の値上げ相当分に対するカバーとなっています。ですので、決算を見ていただくと、商品原価に関してはまだ上がっていることがわかります。すなわち、従業員の待遇改善まではカバーできていないような価格改定になっています。
川合:数パーセント程度の上昇は、つまり1桁の前半ぐらいということですか?
千光士:おっしゃるとおりです。
川合:36ページ右下に記載されているプロモーションは、インバウンド向けのプレス配信などを行うのでしょうか? すでに実施されていることがあれば教えてください。
千光士:インバウンド向けの施策として、当社では銀座などに店舗を展開しています。銀座に来るお客さまは、相応の割合が外国人の旅行客と聞いています。
旅行客にも需要があるのではないかという観点から、最近取り組んでいる事例をご紹介します。中国人旅行者に向けた取組みとして、中国の旅行会社が提供する旅行者用アプリに、当社のウィッグの割引情報を掲載していただいています。
これにより、日本を訪れた旅行者にウィッグを購入してもらうという取組みを、現在トライしているところです。
2026年3月期 商品・サービス別売上状況(単体)
千光士:今期の売上状況です。単体ベースではありますが、当社は毎月中旬頃に、月次の売上状況と前年同月との売上比較をホームページで開示しています。スライドの赤枠で一番下の総売上高を見ていただくと、4月の数値は前年同月比89.9パーセントで、前年を大きく下回っています。
「売上を伸ばすと言っていたが、さっそく下回っているではないか」と思われる方は非常に多く、実際に機関投資家の面談でもよく質問されます。参考として、右側には今年の1月から3月の売上速報の抜粋を載せています。ご覧のとおり、3月は前年3月に比べて109パーセントの売上でした。
これは何が言いたいかというと、右端に表の見方を書いていますが、男性のお客さまも女性のお客さまも、主力商品であるウィッグを契約していただいてからフィリピンの工場で製造するため、お客さまの手元に届くまでに2ヶ月から3ヶ月を要します。
そのようなタイムラグがあることに加え、お客さまの都合で、例えば「やはり新年度の4月から新調したいので、3月中になんとかしてほしい」などのご要望があったり、夏場などは、当社のお客さま層に60歳以上の女性が多いこともあり、猛暑や台風で来店をキャンセルされたりすることもあります。
一度キャンセルされると、すでに予定が入っているところを調整しなければならず、そのようなずれ込みも発生するため、売上を前年同月比で見ると凸凹が生じてしまうことは避けられない部分だと考えています。
そのため当社では、この資料をご覧いただく際は、必ず表の一番右側にある「累計」の部分をご確認くださいとお伝えしています。
株価推移
千光士:株主還元などの情報をご説明します。まず、株価の推移については、2013年12月の東証1部への上場後と、市場変更したタイミングをピークに、残念ながら下降し続けている状況です。
最も下降した時期は、新型コロナウイルスの影響を受けたタイミングになっており、ここを底に下げ止まり、今は緩やかながら回復しつつあります。直近は3月の暴落に合わせて下がっているものの、今はこちらに示しているとおり740円から750円あたりで落ち着いています。
株主還元
千光士:株主還元の情報です。株主還元については、従来から安定配当を継続するという基本方針がありましたが、今回の中期経営計画の初年度で配当方針を新設しました。
スライドに記載のとおり、連結配当性向40パーセント以上を基本に、現状の年間28円を下限として、今後は連結業績に応じた配当水準の向上を目指します。ただし、ROE10パーセントを超えるまでは、連結配当性向は50パーセント以上を基本とする方針です。
2026年3月期は、ROE10パーセントをまだ満たしていないため、配当性向50パーセント以上、1株当たりの配当金は下限である28円以上という設定になっています。今後はこの方針を基準に設定していくことになります。
本日のまとめ
千光士:今回のセミナー内容をまとめています。お伝えしたい点は大きく5つあります。
1つ目に、アートネイチャーはオーダーメイドウィッグを中心に展開する総合毛髪事業で唯一の上場企業であり、男女合算では国内シェアNo.1を達成しています。
2つ目に、当社の売上の約7割はリピートのお客さまの売上となっています。これは、お客さまとの信頼関係の構築を前提としたストック型ビジネスであることが要因です。
3つ目は、当社の強みである開発力・技術力・接客力についてです。これらの強みにより、他社からの参入障壁は高いと考えています。
4つ目は、今期の業績に関してです。新規売上の回復に注力するとともに、各事業の収益構造を改善させることで前期比増収増益を目指します。
5つ目は、配当方針についてです。配当性向40パーセント以上を基本に、年間配当28円を下限として配当水準の向上を目指します。
お知らせ
千光士:最後にお知らせです。現在、当社はログミーのセミナーを定期的に行っており、そのアーカイブがホームページにまとめられています。こちらは決算説明だけではなく、ウィッグの特徴や先ほどお伝えしたDXの内容なども詳しくまとめています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
また、8月7日には第1四半期決算についてもセミナーでお伝えする予定です。さらに、手探りではありますが、今年から「X」での情報公開も始めています。今後もこのような情報開示を着実に行っていきますので、ぜひご覧いただければ幸いです。
私からの説明は以上となります。
質疑応答:海外販売関連会社の業績について
荒井沙織氏:「海外での販売について、シンガポール、マレーシア、タイの海外子会社3社の状況を教えてください」というご質問です。
千光士:現在は、国内の「ジュリア・オージェ」のブランドをその3ヶ国に展開しています。まだ開示できるレベルではありませんが、直近の年度では3社とも黒字を計上できています。今後に向けては認知拡大に向けた取組みを強化しているところです。
質疑応答:今後のDX構想について
川合:31ページでDXの取組み事例をいくつかご紹介いただいていますが、これをさらに進め、例えば測定部分や接客部分にAIを導入する予定はありますか? これらの部分は、人件費の固定費の比率が重めのビジネスかと思います。そこでの生産性の向上はあり得るのでしょうか?
千光士:例えばオーダーメイドウィッグの測定という部分に関しては、現在、3Dスキャナーを使って計測しています。これは店舗への来店時に実施していますが、技術の開発は常に進んでいるため、今後、例えば自宅で測定できる可能性はゼロではないと思います。
そのような余地がある部分については、引き続き最新技術の動向を見ながら検討していくことになると思います。
川合:他社では「ZOZOSUIT」のように、ボディースーツを着て測定するサービスがありましたが、あのような技術は何かに使えそうですか?
千光士:おそらく、多少の余り部分を容認できる服とは違って、ウィッグはそのような部分がなかなか容認できないと思います。そのため、そこは慎重に検討するべきところになるかと思います。
川合:人の手でしっかりと測る必要があるということですね。
千光士:今のところはそのようになっています。
質疑応答:今後の商品開発で注力予定のジャンルや方向性について
川合:「ピンで留めないウィッグ」という新しい発想の商品も印象的でした。今後の商品開発で注力していくジャンルや方向性があれば教えてください。
千光士:当社は今後、男性向け事業、女性向け事業ともに、高品質で高付加価値なものを作り続けていきます。これは当社のトップが繰り返し従業員に言っている内容でもあります。ウィッグという分野では、男性向け・女性向けをまんべんなく開発していく方針は継続していく予定です。
千光士氏からのご挨拶
本日はお忙しい中、ご視聴いただきありがとうございました。社名はご存じでも、上場会社としては認識されていない方が多かったのではないかと思います。今回の機会を通して、少しでも当社について伝わっていれば幸いです。
私どもは「ふやしたいのは、笑顔です。」をモットーに掲げています。これは従業員やお客さまのみではなく、さまざまなステークホルダーに向けてのメッセージでもあります。企業価値をしっかりと高め、ステークホルダーのみなさまに貢献し、笑顔を増やせればと思っています。本日はどうもありがとうございました。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:株主優待は実施しないのでしょうか。
回答:追加的な株主還元施策の選択肢の1つと認識していますが、今後については、内外環境を勘案したうえで慎重に検討していきます。
<質問2>
質問:配当性向の引き上げは検討しないのでしょうか。
回答:2024年3月期に配当方針を新設しました。まずは新たに制定した配当方針に基づいた株主還元を継続していきたいと考えています。
<質問3>
質問:自社株買いは検討しないのでしょうか。
回答:株価対策の一助となることは認識していますが、流動性低下などのデメリット面、当社の今後の業績推移等を勘案し、機動的に対応していきたいと考えています。
<質問4>
質問:少子高齢化に伴って御社の業績は右肩上がりに増収増益が継続しているはずです。ですが、確認すると業績は横ばい、中計は下方修正となっています。物価が上昇している昨今では、数量が減少しているのでしょうか? 月次のYoYは若干改善傾向がみられるものの、微々たるものだと感じます。市場規模が拡大しているにも関わらず、御社の業績がまずまずな理由は競合他社にシェアを奪われているからでしょうか?
回答:発毛剤・育毛剤などの隣接市場との競合激化の一方で、国内毛髪業市場内においては競合他社にシェアを奪われているという認識ではなく、マーケットリーダーとしての位置付けを確立しつつあるという認識です。ただし、売上高が当初想定より伸びなかったのは事実です。こちらは女性向け事業に向けたプロモーションや販促等の諸施策が不振であったため、新規販売が苦戦したことが主因です。一方、女性向け既製品事業は堅調に推移しており、ウィッグ利用者の裾野は広がっているという認識です。また、男性向け事業では新規販売が3年ぶりに増収に転じました。
<質問5>
質問:オーダーメイドウィッグの安定成長が続いていますが、今後注力していきたい商品やサービスはありますか?
回答:引き続き、オーダーメイドウィッグを中心に高付加価値商品の販売増強に向けた取組みに注力していきます。
<質問6>
質問:年代ごとの薄毛の人の割合に変化はありますか? 若年層の薄毛率が上がってきているなど、変化はありますでしょうか?
回答:市場調査では、男性における薄毛悩みが若年化している傾向はみられますが、当社男性向け事業における主要顧客層は40歳から60歳と大きな変化はありません。
<質問7>
質問:前期も前々期も期初予想に対し下振れて着地しました。今期予想も未達懸念が拭えません。資料37ページにもあるように好調の3月が前期に含まれ、反動減の4月が今期に含まれるのならば、業績の下方リスクが高いのではないでしょうか。
回答:下方修正が連続していること、大変申し訳ございません。非開示ではありますが、お客さまからの受注状況は昨年度から前年を上回る進捗で推移していますので、4月のマイナス影響は上期中に解消されるという認識です。引き続き、目標達成に向けて全社一丸となって取り組んでいきます。
<質問8>
質問:新領域の事業とは、具体的にどのような事業でしょうか?
回答:本業と隣接した「美と健康」に係る事業を獲得したいと考えています。
<質問9>
質問:ストック型ビジネスとしてリピート売上が多いのが強みと感じました。今後この基盤をさらに強化する施策があればうかがいたいです。
回答:当社ビジネスは定着率が非常に高いため、いかに新規導入の数を増やしていくかが顧客基盤拡充のポイントになります。男性向け事業では、薄毛の悩みをもつ潜在層からの需要獲得を増やすこと、女性向け事業および女性向け既製品事業では、事業間の連携を強化し、機会損失を防止していくことで、事業全体の顧客基盤を拡充していきたいと考えています。
<質問10>
質問:過去の株主総会招集通知を見ればわかりますが、2020年から毎年、光通信が大量に株買い増しを行っています。株価はこれで上がっているだけで、投資家が評価しているわけではありません。
回答:株価については、当社に対する現在の市場評価と真摯に受けとめ、業績の拡大、事業の成長を図ることで、株主価値、企業価値向上に努めていきたいと考えています。
<質問11>
質問:店舗展開やリニューアルも進められているようですが、今後の出店戦略やデジタルシフトの展望について教えてください。
回答:オーダーメイドを取り扱う店舗は、すでに全国に店舗網がありますので、今後も老朽化等に伴う移転リニューアルが中心です。既製品ウィッグを取り扱う店舗は、未出店エリアを中心に増やしていく計画です。デジタルシフトの展望ですが、今後の高齢化の進展や労働人口の減少を鑑み、店舗のあり方や商品・サービスの提供方法を検討していきます。