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中嶋汰朗氏:みなさま、本日はご多忙な中、当社の決算説明にご参加くださいまして、誠にありがとうございます。ROXX代表取締役社長の中嶋汰朗です。
本日は、まず業績ハイライトをご説明させていただいた上で、2025年9月期通期業績予想、そして、2025年9月期第3四半期業績と今後の成長戦略をご説明します。最後までどうぞよろしくお願いします。
本日のプレゼンター
株式会社ROXX代表取締役社長の中嶋汰朗です。当社は私が大学在学中の2013年に設立し、現在12期目の会社となります。元々はミュージシャンを目指してバンドをやっていましたが、諦めかけていた大学3年の時に大学の講義で起業家の方々のお話を聞く機会があり、それが転機となり、音楽ではなく事業で大きなものを作りたいという思いで、同級生を集めて立ち上げたのが創業のきっかけです。
創業当初は、身近な友人の就職先を探すというところから、この会社を始めており、その後も何度も事業転換をしながら、試行錯誤を重ねる中で、主に年収200万円台の方に向けた転職プラットフォームという成長領域を見つけて、直近の6年で大きく事業を成長させてきました。
業績ハイライト
2025年9月期第3四半期の業績ハイライトのご報告です。
まずはじめに、2025年9月期の通期業績予想について、前回の決算説明でも可能性について言及しましたが、売上高、営業損益を下方修正します。一方で、当期純損益はback check事業の譲渡に伴い、上方修正をすると同時に、来期以降のさらなる成長投資のために財務基盤強化を実施しています。
また、第3四半期の業績について、過去最高の四半期売上高と、四半期での黒字化も達成しました。要因としては、配置転換および組織体制の強化が功奏し、パフォーマンス収入が前年同期比で約69パーセント成長へと回復したことと、ユニット・エコノミクスの健全化が進捗していることによるものです。
今後の成長戦略としては、back check事業の譲渡により財務基盤の安定性を確保し、当該譲渡益を原資に、引き続きZキャリア事業の人員増加ならびに生産性の改善に尽力していきます。
2025年9月期通期の業績予想
あらためて、2025年9月期通期の業績予想についてご説明します。
まず、売上高を約45億2,000万円、営業損失を約7億4,200万円へと下方修正します。最大の要因は、昨年10月に開始した人材紹介事業部の分業化に伴う生産性の低下です。特に上期の生産性が想定以上に低下したことで、下期に大きく成長する見込みであった前回予想には届かないと判断しました。
一方で、第3四半期の生産性は回復し、四半期での黒字化を達成しています。RPO(採用代行)により一定カバーしつつも、人材紹介事業の持続的な成長を実現するために、さらなる生産性の改善と組織の強化に注力します。
次に、当期純損益は約11億5,600万円へと上方修正します。注力領域から外れていたback check事業をエン・ジャパンさまに譲渡し、財務の健全化を実現するとともに、来期以降のZキャリア事業への投資の原資とする見込みです。
2025年9月期第3四半期の業績サマリー
こちらが第3四半期の業績サマリーです。
売上高は、分業化の施策がようやく寄与し始めたことに加え、4月入社が増加する季節性もあり、前年同期比で約41.0パーセントの増加、約12億9,500万円となっています。
売上総利益は、前年同期比で約41.6パーセントの増加、約11億1,300万円となっており、売上総利益率も約85.9パーセントまで回復しています。
こちらはback check事業におけるエンジニアの費用を一時的に販管費に振替えた影響もありますが、その影響を除いた場合でも約84.9パーセントと、目指すべき水準に戻っていると理解しています。
また、営業損益は前年同期比で営業損失約7,200万円から営業利益約4,000万円に転じ、四半期での黒字化を達成しました。
業績(四半期)の推移
続いて業績の推移です。
売上高は、修正後の通期業績予想に対する第3四半期の進捗率が約72パーセントとなっています。前期、前々期における第3四半期の進捗率は、それぞれ約70パーセント、約71パーセントです。
繰り返しになりますが、営業損益は四半期の黒字化を達成しています。
売上高(四半期)の推移
次に、売上高の推移です。
売上構成別に見ていきますと、「Zキャリア」のパフォーマンス収入は、濃い紫色の部分になりますが、前年同期比で69.2パーセントと約70パーセントの増加となっています。
こちらは、求人企業が支払う当社経由での手数料、パートナー紹介会社の採用事務手数料とその他手数料を合計した売上です。第3四半期は、求人企業向けに提供しています「Zキャリア AI面接官」および「RPO(採用代行)」の売上も含まれています。「Zキャリア AI面接官」はまだ事業開発の立ち上げ期であり、求人企業さまにチケット制でご利用いただくものとしての売上という観点から、今回はこちらに記載させていただいています。
中段のパートナー紹介会社が支払うプラットフォーム利用料のリカーリング収入においては、前年同期比で約1.3パーセントの増加となっています。第2四半期はパートナー紹介会社への求職者送客サービスが伸び悩み、前年同期比で約5.9パーセントの減少となっていましたが、需要そのものには大きな変化はなく、オペレーションの改善によってプラスに転じたものとなります。
GMV及びテイクレート(四半期)の推移
GMVおよびテイクレートの推移です。
当社ではご紹介した方の転職成約時に、求人企業さまからいただく成約手数料の総額をGMVと呼んでいます。
そのGMVを当社の人材紹介事業部経由および社外のパートナーエージェント経由、それぞれで表したものがこちらのグラフです。濃い紫色が当社経由、薄い紫色が社外エージェント経由での手数料となっています。
グラフ上部にある黄色の折れ線グラフはテイクレートです。当社経由のテイクレートは、平均成約単価である約61万円の100パーセントが当社の売上となります。一方、社外エージェント経由のテイクレートは、平均成約単価である約61万円に対して約17パーセントにあたる、約10万円が当社の売上となります。
つまり、当社経由の成約が増えるほどテイクレートが上昇していく仕組みとなっており、第3四半期は当社経由の成約が過去最高となったことから、テイクレートも約49.7パーセントと再び上昇しました。
こちらも前述のとおり、「Zキャリア」のパフォーマンス収入に「Zキャリア AI面接官」および「RPO(採用代行)」の収入も含まれていますが、一過性の当該収入を除いたとしてもテイクレートは約41.3パーセントと第2四半期から大きく回復しています。
GMVの主要なKPI
主要なKPIにおいては、求職者登録数は約51万人と、前年同期比で約43.3パーセントの増加となりました。こちらは「Zキャリア」に登録したユーザーのうち、実際に転職意向を確認できた求職者さまをカウントしていますので、より本質的なKPIとなります。
成約単価については、年に1回の開示としているため、アップデートはありませんが、足元の動向も同水準です。
売上総利益(四半期)の推移
続いて、売上総利益の推移です。
当社は、プラットフォームというかたちで、当社以外にも約400社のパートナー紹介会社さまが、「Zキャリア」のプラットフォームを通じて、求人企業さまと求職者さまのマッチングも行っています。
そのパートナー紹介会社さまからプラットフォームの利用料として、毎月約22万円と、パートナー紹介会社さま経由で成約した際に、1件あたり約10万円が当社の売上となることから、売上の大半は、固定費に依存しない、原価率が非常に低いビジネスモデルとなっています。
第3四半期の売上総利益率は、ガイダンスどおり、約80パーセントの目安水準を再び超えて、約85.9パーセントまで回復しています。
back check事業において、新しいプロダクト開発を目的とした研究開発を一時的に実施した影響により、通常売上原価に計上されていたエンジニア費用のうち、研究開発に係る部分が販管費に計上されたことも一因となります。
ただ当該影響を除いても、売上高が回復したことにより、売上総利益率として約84.9パーセントまで回復しており、今後も約80パーセント前後で推移する見通しです。
販売費及び一般管理費(四半期)の推移
続いて販管費の推移です。
売上高の成長に加えて、販売費および一般管理費の適正化が進み、前年同期比で10.6ポイント減少と大きく改善しています。
第2四半期はマス広告の開始に伴い、広告宣伝費が大きくなりましたが、第3四半期については認知広告の抑制と、通常の広告の最適化により、集客数を順調に伸ばしながらも、費用を抑えることができました。
従業員数と構成比
最後に、従業員数の推移です。
第3四半期の従業員数は359名、前年同期比で約25.1パーセントの増加となりました。離職率についても想定範囲内であり、採用については総じて計画どおりの推移となっています。
新卒で採用したメンバーも着実に戦力化しています。今後は中途採用と新卒採用のバランスを見定めながら、組織を拡大していきたいと考えています。
全体の振返り
ここからは人材紹介の改善についてご説明します。
こちらは前回の第2四半期の発表時のスライドをアップデートしています。期初段階で想定していた生産性に届かなかった要因としては、人材紹介事業部のオペレーションにおける、面談実施率と内定獲得率が想定に達しなかったことです。
背景としては年初のマス広告の開始に合わせて、短期間で分業化を推進した結果、オペレーションの最適化が想定より遅れたことで、特に上期の生産性が大きく落ち込みました。
足元の第3四半期ではようやくその成果が出始め、過去最高だった前年度下半期を少し超える水準になってきてはいるものの、上期の遅れを取り戻すに留まる内容となっています。新たな問題が出てきている訳ではありません。
参考:オペレーション
さらに一段掘り下げた説明となりますが、要因は前回お伝えしたものと変わりはありません。一度下がってしまった面談実施率と内定獲得率が、過去の水準までようやく回復しました。
また、ハイパフォーマーのやり方を型化して浸透させるといったオペレーションの改善のみならず、転職者さまにご利用いただくプロダクトそのものの改善も実行していく予定です。
本来下期で実現したかった水準に向けて、引き続き改善を継続していきます。
再掲:市場環境
こちらは前回の再掲ですが、市場動向および競合環境です。
ノンデスク領域における有効求人倍率は引き続き高い水準で推移しています。加えて、求人企業さまにおける選考開始から内定獲得率のトレンドにおいても、直近1年間で大きな変化はなく、安定的に高い水準を維持できています。
当社の領域においては、現時点では市場動向に大きな変化はないと認識しています。
また競合他社の参入に関してもモニタリングを実施していますが、現時点においても大きな変化は見受けられません。
back check事業の概要
ここからは、今後の成長戦略に関するご説明をさせていただきます。
この度、back check事業はエン・ジャパンさまに事業譲渡を行いました。
簡単にback check事業の概要をお伝えいたします。「back check」は、2019年に開始したオンライン完結型のコンプライアンスチェックおよびリファレンスチェックの調査サービスです。主に中途採用をされる企業さまにおいて、候補者と一緒に働いたことのある同僚や上司と言った第三者からの評価の取得から、過去の犯罪歴や破産歴と言ったコンプライアンスに関する調査を行うSaaSツールです。
事業としては大きく成長していますが、ホワイトカラーの年収上位層の採用において活用されることが多く、ノンデスク領域向けの採用支援を行うZキャリア事業とは、ターゲットが大きく異なり、事業シナジーは極めて限定的でした。
back check事業の直近の売上については、第3四半期までの累計で4億8,400万円となっており、全体売上に占める割合は約14.8パーセントとなります。
全社費用配賦後の事業利益は赤字、前年同期比では約14.3パーセントの売上成長となっており、ROXX社全体から見た場合における今後の影響は比較的小さいと考えています。
事業譲渡の概要と狙い
次に、本日公表した事業譲渡の概要と狙いです。
先ほども少し触れましたが、主力のZキャリア事業とのシナジーが薄れていることに加え、高い成長率を念頭に置きつつ、営業利益率の改善を目指す上で、短期および中長期的に考えても、ROXXとしての経営資源は祖業でもあるZキャリア事業に集中投下することが最適であると考えています。
そこで、back check事業をより積極的に事業投資いただけるベストオーナーに委ねることで、成長機会と価値最大化に繋がると考え、競合サービスである「ASHIATO」を提供するエン・ジャパンさまと約19億5,000万円での事業譲渡を合意しました。
こちらの譲渡により、第4四半期において、約19億4,800万円の特別利益が発生する見込みです。
狙い(その1):資本健全性の向上
back check事業の譲渡における狙いの1つ目は資本健全性の向上です。
第2四半期には純資産が約1億300万円、自己資本比率が約3.9パーセントまで減少していましたが、簡易的に「2025年9月期第2四半期末時点の賃借対照表」に当該譲渡に伴う特別利益を足した「2025年月期第4四半期末時点で想定する貸借対照表」においては、純資産が約20億5,100万円、自己資本比率が約44.8パーセント近い水準まで、回復する見込みです。
したがって、財務基盤の安定性が大きく増し、この後ご説明します、その基盤を活かした「Zキャリア」への成長投資はもちろんのこと、金融機関から資金調達等においてもその金額や金利等をはじめ、今後大きなメリットを得られると考えています。
狙い(その2):投資の余力を確保
back check事業の譲渡における狙いの2つ目は「Zキャリア」への投資の余力を確保することです。こちらはZキャリア事業における成長ドライバーを記載しています。
弊社はマッチング・プラットフォームになりますので、求職者さまの集客コストを下げ、成約率、成約単価を高め、またその業務を担う従業員数を増やすことで、成長するビジネスです。
マーケットおよび競合等の外部環境は、これから加速する人材不足により追い風になると考えています。
人材紹介事業部のオペレーションについては、前半の構造転換により生産性の低下に苦しみましたが、足元は生産性が底打ちし、再びより高い水準を目指せる状態になってきていることから、成長ドライバーでもある従業員数、従業員あたりの成約人数への投資を積極化していきたいと考えてます。
人材紹介ビジネスの難しいポイントは、成長率を上げるためには、採用、人への継続的な投資が不可欠となることから、採用コストと育成コストが常にかかり続けてしまう点にあります。
今後は今回得られた資金を活用し中長期での成長を着実に実現していきたいと考えています。
参考:直近のトピックス 1/3
最後に直近のトピックについてご説明します。
1つ目は「Zキャリア 履歴書」です。
集客チャネルの拡大を目指して、潜在的な求職者が履歴書の作成からコンビニ印刷までをスマートフォン1つで完結できる「Zキャリア 履歴書」の提供を開始しました。
当社の求職者の約7割がパソコンを所有しておらず、転職活動を実施する際の課題になっていることがあり、少しでもハードルを下げることができたらと考えています。
参考:直近のトピックス 2/3
次に、「Zキャリア AI面接官」です。
こちらは求人企業の面接担当者の代わりにAIが求職者さまとの面接をスマホのブラウザから実施できる新規サービスとなります。
AI面接の活用により、求人企業さまにとっては、面接にそもそも時間がかからなくなること、そして選考辞退率の低下、求職者さまにとっては、24時間365日いつでもどこでも面接が受けられます。もちろんそれに伴い、パートナー紹介会社および当社にとっては選考期間が短縮することで成約率の上昇が期待できます。
「Zキャリア」の領域では選考のリードタイムが伸びると、選考の無断キャンセルが増える傾向にありますので、非常に親和性が高いものと考えています。いくつか今後に期待ができる事例も増えてきていますので、引き続き尽力していきたいと思います。
参考:直近のトピックス 3/3
最後に「Zキャリア」をご利用いただいて実際に転職された方の事例をご紹介させていただければと思います。
こちらの方は山口県で中学卒業後に漁師として働かれていた方でして、天候によって収入が安定しない時期がある中で、首都圏で働いて収入を上げたいという思いで「Zキャリア」をご利用いただきました。
特に今回は仕事柄なかなか面接の日程を調整するのが難しい、スーツも持っていないという中で、AI面接があったから選考が進み、無事に転職が決まったという事例です。
実際に年収も大きく上がることになり非常に喜んでいただけました。こうした事例をもっと増やしていけるように、あらためて努めていきたいと思います。
説明は以上となります。
以上をもちまして、株式会社ROXX2025年9月期第3四半期決算説明会を終了とさせていただきます。みなさま、ご参加いただき誠にありがとうございました。