2025年度第1四半期 連結業績サマリー
端羽英子氏:みなさま、こんにちは。ビザスク代表取締役CEOの端羽です。本日はビザスクの決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。
連結業績サマリーです。1点目に、2025年第1四半期の業績は、連結取扱高が35億円、連結営業収益が24億円となりました。
グローバルENS海外事業の取扱高減少の影響が大きく、またナレッジプラットフォーム事業も想定を下回ったことから、前年同期比で連結取扱高がマイナス4パーセント、連結営業収益がマイナス3パーセントとなっています。この結果に対して非常に不甲斐なく感じており、これからしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
一方で、海外については期初に発表した業績予想にすでに織り込み済みであり、第1四半期連結全体としては、業績予想に対して概ね想定どおりの着地となりました。両事業とも改善傾向にあり、社内の雰囲気も明るく、がんばっているところです。業績予想についても修正の予定はありません。
2点目に、2029年度に取扱高300億円を目指すという中期経営計画を発表していますが、成長投資も順調に進捗しています。なかでも、ナレッジプラットフォーム事業の目玉として「ビザスクdirect」というプロジェクトを準備し、本日プレスリリースを発表しました。後ほど詳しくご説明します。
ENS事業については国内外ともに同じプラットフォームを使用する予定であり、テクノロジー投資を進める中でAI投資も順調に進んでいます。
3点目に、調整後EBITDATAは2億円、当期純利益は0.8億円で着地し、通期業績予想に対する利益水準も概ね想定どおりに推移しています。
Contents
本日のアジェンダです。スライドには、2025年度の成長施策および2024年4月に公表した中期経営計画も再掲していますが、本日は2025年第1四半期の業績のみのご説明とします。
2025年度第1四半期業績および連結業績予想
2025年度第1四半期業績の数字については、ハイライトでお伝えしたとおりです。
前年同期比で減収となったことは非常に残念に思っていますが、業績予想には織り込み済みです。進捗率をご覧いただければその点をご理解いただけるかと思います。取扱高と営業収益の進捗率は23パーセントに達しており、業績予想どおりの着地となっています。
取扱高推移
スライド左は、事業部ごとの年間実績を積み上げたグラフと、今期の全社取扱高予想です。スライド右は、全社の四半期ごとの取扱高を積み上げたグラフです。
2025年度:重点施策の概要と、その進捗
2025年度の重点施策の概要と進捗について、少し詳しくご説明します。3事業に分けて、ご説明済みの2025年度の重点施策と、それに対する進捗状況についてコメントしています。
ナレッジプラットフォーム事業に関しては、顧客特性に応じた戦略を昨年度から実行しています。なかでもBtoB領域における調査ニーズが大きいと考えられる超大手企業98グループを「ターゲット企業」と定めています。
詳細は後述しますが、一部の企業において3月の需要に変化があったことが大きく影響し、想定を下回る着地となりました。しかしながら、4月以降は復調傾向にあります。
ナレッジプラットフォーム事業の項目に、「セルフマッチング:大規模アップデートを2025年9月にリリース予定」とありますが、こちらが本日発表した「ビザスクdirect」に該当します。プロダクトの開発は順調に進んでいます。
Global ENS日本事業については、おおむね想定に沿った進捗となっています。
Global ENS海外事業については、不透明な外部環境の影響を受けましたが、業績予想の想定に織り込んでいます。また、3月以降は改善傾向にあったため、想定どおりの進捗となっています。生産性を意識した施策も確実に実行しています。
ナレッジプラットフォーム事業:業績推移
ナレッジプラットフォーム事業の業績推移です。取扱高と営業収益について、スライド左に年間の推移を、スライド右に四半期ごとの推移を示しています。
当第1四半期の取扱高は、3月に大手顧客数社で需要の変化があった影響で、前年同期比でほぼ同水準の着地となりました。この点については後述します。
一方、付加価値の高いインタビューが順調に成長した結果、営業収益は前年同期比で4パーセント増加しました。この点はインタビューの成長を、我々としては非常に重視しています。なぜならインタビューは、すべての商材の中でエントリー商材として位置付けられ、ユーザー基盤を広げる非常に重要な役割を果たすからです。
アカウントが開かれたとしても実際に利用していただける方が増えなければ、取扱高の中期的な成長は見込めません。そのため、付加価値の高いインタビューの成長は、我々にとって極めて重要なポイントです。
一方で、大型のサーベイやレポートの需要が減少した影響もあり、第1四半期の取扱高は前年とほぼ同水準となりましたが、営業収益は前年同期比で4パーセントの成長となりました。
ナレッジプラッ トフォーム事業:主要KPIの推移(顧客特性に応じた営業体制)
ナレッジプラットフォーム事業のKPIについては、今期から開示方法を変更しました。当社内で使用している数字にできるかぎり近いものを基にご説明したいと考え、開示方法を工夫しました。
ターゲット企業、グロース企業、セルフマッチングプロダクト「ビザスクlite」について、四半期ごとの取扱高の推移を示しています。
前年同期比では、グロース企業がプラス5パーセント、「ビザスクlite」がプラス2.5パーセントだったのに対して、ターゲット企業はマイナス4パーセントとなっています。ターゲット企業のうち数社において、3月に大型サーベイ・レポートの需要が減少したことが、想定を下回った主な要因です。
ナレッジプラットフォーム事業:ターゲット企業の状況
ターゲット企業の状況について詳しくご説明します。当社では、BtoB領域で調査ニーズが大きいと考えられる超大手企業98グループを、ターゲット企業と定義しています。この企業群の深耕・深掘りを、当社の中期経営計画上、重要な施策として位置づけています。
このターゲット企業については、新規アカウントの獲得が重要です。これは企業そのものというよりもアカウント単位の話です。超大手企業群であるため、社内で多くのアカウントが存在します。
また、既存アカウント内でユーザーの増加を図ることも重要視しています。このターゲット企業群を対象に、営業やマーケティングを個別に実施しています。
スライド下部のグラフは、ターゲット企業を上位10社とそれ以外に分けた、取扱高の推移です。特に上位数社においては、お客さまの状況により、繁忙期である3月の需要が減少し、大型のサーベイやレポートの受注が軟調となりました。
このような状況がターゲット企業の上位10社の一部で発生した結果、ターゲット企業上位10社の取扱高は、前年同期比でマイナス23パーセントとなりました。
一方で、上位10社を除くターゲット企業顧客については、前年同期比プラス29パーセントとなっています。先ほども申し上げたとおり、我々は、ターゲット企業への営業をしっかりと推進することが重要な施策だと考えています。この施策が功を奏した結果、上位10社を除くターゲット企業顧客については、第1四半期の取扱高が前年同期と比べて大きく伸びました。
したがって、今回の状況は、超大手企業で、特にサーベイやレポートなどの大きなプロダクトにおける需要が軟調だったことが要因だとご理解ください。
また、特定の顧客に依存しすぎないように、上位10社を除くターゲット企業に対してもしっかりと顧客を広げていくことが非常に重要だと考えています。
一方で、この上位10社は非常に大きな規模のお客さま群です。そのため、たとえ既存アカウントにおけるサーベイやレポートといった比較的大きな商材の需要が軟調だったとしても、この企業群の他の部署でご利用いただくケースも十分にあります。
さらに、期ずれで発生した需要を確実に捉えることも重要です。その中で、この大手10社のうちの数社については需要が回復する可能性もあり、規模の大きなお客さまであることから、アカウントをしっかりと横展開することで利用用途のさらなる拡大が見込まれます。
実際に営業を強化しており、第1四半期の3月から5月の中で、4月、5月にかけては復調傾向にあるとご理解ください。
ナレッジプラットフォーム事業:プロダクト開発
ナレッジプラットフォーム事業のプロダクト開発状況です。このスライドは、前回ご提示したものと同じです。
2025年6月には、「ビザスクtech」の提供が始まりました。「ビザスクtech」は、「ビザスクpartner」とほぼ同じ業務委託の領域で、ITエキスパートに特化したサービスです。
「ビザスクinterview」は、基本的に1時間のインタビューであり、既存商材である「ビザスクpartner」は、業務委託の領域に該当します。具体的には、1ヶ月、3ヶ月、半年など、一定期間にわたって特定のエキスパートが支援するという既存のサービスです。
この中で、昨今のDXやさまざまなIT投資など、お客さまの取り組みが進む中、IT領域は非常にニーズの高い分野です。
ビザスクのデータベース上ではIT領域に対応可能なエキスパートがすでに存在しているにもかかわらず、「ビザスクがIT領域に強い」というポジショニングをしっかり確立できていない状況があります。
そのため、専任のチームを設置し、「ビザスクtech」という名称を付けて提供を開始しました。この取り組みは順調に立ち上がっています。
今回発表したのが「ビザスクdirect」で、スライド一番下の領域に位置します。これにより、当社は中途採用の領域への進出を図ります。中途採用の領域では、業務委託やインタビューの後に採用へ至るケースがあり、これまでもアドホックに対応してきました。
当社は創業以来、多様な方法で個人のビジネス知見を機会や企業の挑戦につなぐという、ナレッジプラットフォーム事業を展開してきました。その中で、多様な活躍の方法の中に中途採用というピースが欠けていました。
この分野をビザスクらしい方法で、世の中のトレンドにも合わせながらどのように展開するかを、昨年中期経営計画を設定した時点から社内で検討を進めてきました。
ビザスクliteを人材マッチングサービス「ビザスクdirect」へ
その検討の中で生まれたサービスが、「ビザスクdirect」です。本日プレスリリース発表しましたが、みなさまにもあらためてご説明します。
「ビザスクlite」というセルフマッチングの商材を、総合的な人材マッチングサービス「ビザスクdirect」へ大幅にリニューアルしました。
もともとビザスクのセルフマッチング領域では、インタビューしか対応していませんでした。一方で、当社が仲介する「ビザスクlite」以外の商材については、業務委託の「ビザスクpartner」や、あるいは随時フォローするかたちで正社員採用などをお手伝いしていました。
そしてこのたび、「ビザスクlite」を、多様な働き方と多様な人材の見つけ方を可能にするプラットフォーム「ビザスクdirect」へと大幅にリニューアルしました。この結果、「ビザスクdirect」は、正社員から副業や業務委託、さらにはインタビューに至るまで、雇用形態や活躍の形式を問わずマッチングすることが可能になります。
本日、この後に記者会見も予定していますが、このサービスの注目すべき点をお話しします。社会全体がジョブ型雇用を推進する中で、中途採用がいよいよ本格的に活発化しています。必要なスキルの明確化が進む中で、企業における人材リスキリングの取り組みももちろん大事ですが、即戦力となる人材を外部から調達する必要性も非常に高まっています。
このような流れの中で、必要なスキルを基盤とし、必要な「知見」を有する人材を採用したい場合、「ビザスクdirect」では、従来の会社名や年齢、年収などといった情報に加えて、「何ができる人なのか」というスキルベースで人材を見つけることができます。
また、高スキル人材は採用競争が非常に激しいため、正社員では見つからない場合でも、副業や業務委託という形態まで広げることで見つかる可能性があります。「ビザスクdirect」は、雇用形態の壁を越えて、必要なスキルを持つ人材を見つけることができるサービスです。
我々も新サービスを立ち上げるにあたり、「ビザスクinterview」を用いてさまざまな調査を行うなどして、どのようなかたちであればまだ満たされていない課題を解決できるのかを検討しました。
そして、ジョブ型雇用やジョブ型中途採用が進む中での新たなかたちとして、副業、業務委託、正社員など雇用形態を問わず、高スキル、必要なスキルを持つ人材を見つける仕組みを構築し、本日の「ビザスクdirect」の発表に至りました。
先行してリリースしましたが、さまざまな準備やプレマーケティングが必要となるため、正式なローンチは9月を予定しています。これを通じて、私たちの中期経営計画に基づく成長戦略の1つが実現に向けて進んでいることをご報告します。
Global ENS 日本事業:業績推移
Global ENS日本事業の業績推移です。第1四半期の取扱高は前年同期比プラス2パーセント、営業収益はプラス6パーセントと、想定どおりに推移しています。Global ENS日本事業についてのご報告は以上です。
Global ENS 海外事業:業績推移
スライドは、Global ENS海外事業の円ベースでの業績推移を示しています。当第1四半期は、外部環境の不透明感が影響し、前年同期比マイナス11パーセントと低調に推移しました。1月と2月は厳しい状況でしたが、3月以降は改善傾向が続いています。
引き続き外部環境に左右されず利益を確保できるよう、生産性を意識した施策を実行しています。
調整後EBITDAの事業別内訳の四半期推移
調整後EBITDAの事業別内訳の四半期推移です。我々は「事業部貢献利益」という言い方もしますが、これは事業別の調整後EBITDAの内訳のことです。
Global ENS海外事業では、生産性を重視した運営を行っています。減収幅は一定ありましたが、それに比べて調整後EBITDAの減少幅は小さく抑えることができています。生産性をより高めた事業運営を実現していることがご確認いただけるかと思います。
Global ENS国内事業およびナレッジプラットフォーム事業については、成長施策を継続しているため、利益においては前年同期比で減益となっています。これは成長投資をしっかりと行っている結果だとご理解ください。
営業収益は前年同期比で、ナレッジプラットフォーム事業がプラス4パーセント、Global ENS国内事業がプラス6パーセントとなっています。これは、エキスパートに謝礼を支払った後、当社が得る直接的な収益である営業収益がいずれもプラスとなっていることを示しています。
一方、減益については成長投資を継続している影響によるものだとご理解ください。
事業別の人員数
事業別の人員数についてです。スライドのグラフ左は期間平均における推移を、右は期末時点での人員比率を示しています。
ナレッジプラットフォーム事業において成長投資を続けているものの、人数に関しては想定人数に比べてやや未達の状況だと考えています。
連結調整後の全社共通費用構造
全社共通費用の構造についてご説明します。スライド左には、人件費と事業に帰属するコストを除く営業費用の内訳を、右には事業部に帰属しないコーポレート部門の人件費を示しています。
全社共通費用についてですが、昨年の一時的なコストの影響がなくなったことなどから、前年同期と比べて金額が減少しています。この一時的なコストは、全社費用ではありますが、主に日本国内に関連するものです。
調整後EBITDAの算出過程と損益計算書補足説明
このスライドは前回と同じフォーマットになりますが、補足情報として、引き続きColeman社のソフトウェア処理が複雑化しているため、調整後EBITDAの算出過程についてご説明しています。また、営業利益以下の詳細についても記載しています。
第1四半期では特段新しい動きはありません。
調整後EBITDAは、営業利益を起点に、株式報酬費用と減価償却を足し戻し、そこからColeman社で計上したソフトウェアの減損計上額を差し引いて算出しています。
これは、我々がソフトウェアに投資している金額を、日本と同じように全額費用として計算した場合にどのような結果となるかを示すための処理です。この計算方法は、利益を大きく見せる意図ではなく、公正で比較可能なものとして、調整後EBITDAの計算を行っています。
連結でのバランスシートの状況
連結でのバランスシートの状況です。スライドに記載のとおり、前期末から大きな変化はありませんが、主に当期純利益と為替換算調整勘定の計上により、純資産額は9億3,000万円に増加しました。
2025年度第1四半期業績についてのご説明は以上です。
新取締役就任
株主総会でみなさまにご選任いただき、新しい取締役が3名就任しました。
Global ENS事業の日本と海外共通のプロダクトを統括している七倉、そしてナレッジプラットフォーム事業を統括している宮崎の2名の執行役員が、今回、社内から取締役に就任しました。
昨年は社内出身の取締役は私1人だけであり、リスクへの完全な対応が十分ではありませんでした。そのため、今回、社内執行役員の2名が取締役に加わってくれたことを、非常に心強く感じています。
私は、執行と監督のバランスが非常に重要だと考えています。一方で、安定的な経営体制も同様に重要な要素であるため、2名が新たに加わりました。
さらに、社外取締役として平栗氏が就任し、監査等委員も兼務していただいています。平栗氏は、開発責任者および上場企業の取締役として両方の経験をお持ちで、非常に稀有な人材です。我々としても、開発戦略や開発組織の強化を取締役会でしっかりと議論するために、平栗氏にご参画いただいたことを大変心強く思っています。
現在、社外取締役は4名、社内取締役は3名となっており、執行と監督のバランスを保ちながら、経営体制の強化を進めることができると考えています。
私からのご説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:Global ENS海外事業の取扱高について
「Global ENS海外事業の3月から5月の取扱高は、前年比11パーセントでしたか?」というご質問です。
当社の海外事業は決算期が異なっており、1月から3月が当社の連結でいう第1四半期にあたる期間となります。
先ほど「海外は低調でしたが想定どおりでした」とご説明しましたが、これは連結業績予想を出す時点で、第1四半期に含まれる海外の1月から3月の期間が低調であることを把握していたためです。この点については、期ずれがあることをご理解いただければと思います。
なお、この1月から3月の取扱高は前年比マイナス11パーセントで、3月以降は改善傾向にあります。
質疑応答:Global ENS海外事業の取扱高の改善施策について
「Global ENS海外事業において、どのような施策が取扱高の改善につながったのですか? また、その改善傾向の最近の手応えについて教えてください」というご質問です。
我々はさまざまな施策に取り組んでいます。ただし、私どもの施策で改善できる部分もある一方で、不透明な外部環境、つまりプロジェクト数といった非常に難しい要因もあります。特に1月から2月はプロジェクト数の点で低調だったと認識しています。そのため、スライドには「不透明な外部環境等」と記載しています。
3月以降の改善傾向については、プロジェクト数の回復が1つの要因ではありますが、それだけでなく、プロジェクトが存在すること、そして当社の施策を通じてそのプロジェクトから着実にインタビューをマッチングできることの両方が重要です。
特別な施策として挙げられるのは、すでにご説明したAI投資です。この施策はしっかり進めており、グローバルな視点で見ると、AI投資の活用が最も進んでいるのはアメリカにおける機関投資家向けやプライベート・エクイティ向けなどの金融セクターだと考えています。
この領域で、AI投資の成果が最も現れており、チームでの活用も進んでいると感じています。その結果、プロジェクトからインタビューへのマッチングが確実に行えるようになり、3月以降の改善傾向を支える要因となっています。
やはり、AI投資によって一人ひとりの可処分時間が増加します。AIが個々のオペレーションを補助することで、可処分時間が増え、その時間を活用してお客さまとの接点が増えます。これにより、お客さまの本当のニーズやニーズの変化を深くうかがうことが可能となります。
また、エキスパートが本当にその知見を有しているか、具体的な課題に対応できるかといった確認の時間も増えるため、AI活用が進んでいる部分において改善傾向が見られます。このほか、案件数のトレンドも影響していると考えています。
質疑応答:「ビザスクtech」と「ビザスクdirect」の強みについて
「『ビザスクtech』および『ビザスクdirect』について、差別化ポイントや強み、顧客獲得や利用促進に向けた具体的な施策があれば教えてください」というご質問です。
「ビザスクtech」については、差別化ポイントというよりも、そもそも、データベース上ではIT領域に対応可能なエキスパートがすでに存在しているにもかかわらず、十分なプロモーションができていなかったために、「ビザスクがIT領域に強い」というポジショニングをしっかり確立できていないという課題がありました。
言うまでもありませんが、優秀でITに優れた人材のニーズは高い状態にあります。重要な点は、当社にそのようなエキスパートがいることを、どのようにして知っていただけるかにあると考えています。
差別化ポイントとしては、当社には「ビザスクinterview」やその他の商材があり、比較的大企業の商流に強いことが挙げられます。
特に大企業で新規事業に取り組んでいる方々の間では、ITのニーズやプロジェクトマネジメントのニーズが顕在化しています。そのような方々に対して、当社が持つIT関連のエキスパートがいることを積極的にお伝えしていくことが重要な施策となっていきます。
「ビザスクdirect」は新しいサービスです。先ほどご説明した内容とやや重複しますが、知見やスキルを基に人材を探すことができる点が重要な差別化ポイントです。
もう1つの特徴として、フルタイムの転職に限定しないプラットフォームであることが挙げられます。多様な働き方の壁を越えて人材を見つけることが可能です。
例えば、「フルタイムでは働きたくないが業務委託であれば可能」といったニーズや、「フルタイムの高スキル人材は予算的に難しいが別の形態なら採用可能」といった企業のニーズに対応できます。
お互いのニーズに合った働き方の中で、スキルを基にマッチングできる点が最も重要な差別化ポイントです。
こちらの顧客獲得や利用促進については、高スキル人材が見つからない、あるいは見つかってもなかなか採用できないという点が大きな課題となっています。また、「ビザスクlite」をすでにご利用中の方や「ビザスク」をお使いいただいている方にも、そのようなニーズが強くあります。
既存のお客さまを通じて、まずは「ビザスクdirect」という存在を知っていただくことが、最も重要な顧客獲得の方法だと考えています。
質疑応答:人的資本の強化について
「2029年度の取扱高300億円を目指す中期経営計画において、人的資本の強化について、特にどの領域で採用や育成に注力するのでしょうか? また、その実現のために、定量的にどの程度の人数が必要になると考えていますか?」というご質問です。
我々が開示している情報、開示していない情報がありますが、まずは定性的にご回答します。「ビザスクdirect」を構築することやAI投資を行うことにおいて、エンジニアの採用が非常に重要であると考えています。
エンジニアのキャパシティが限られている場合、優先順位を慎重に考える必要が生じます。そのため、テクノロジーの領域は非常に重要な分野です。また、テクノロジー領域では、対応力を高めるだけでなく、1人ひとりのメンバーのスキルを向上させ、生産性を上げることも重要です。
具体的には、プロジェクトマネジメントを行えるようになること、さらに英語対応が可能になることなど、多方面でのスキルの向上が必要です。技術的なスキル向上においては、外部からの採用とともに、社内メンバーのスキルアップの両方が重要と考えています。
一方、ビジネス領域においては、営業や提案能力、ロジカルシンキングなどを備えることで、お客さまとの会話が深まり、ニーズを的確に把握し、より適切な解決策を提示することが可能になります。
当社では、顧客対応力やロジカルシンキングを磨くための社内育成を進めると同時に、これらを得意とする人材を外部からも採用したいと考えています。
人的資本を充実させるためには、育成と採用の両面の取り組みが必要です。具体的には、提案力、ロジカルシンキング、顧客とのコミュニケーション能力を持つ人材を育成し、また外部からも積極的に採用を進めていきたいと考えています。
定量的な面についてはご説明していない部分もありますが、基本的に人数がどんどん増えていくのは、日本が中心になると考えています。一方で、海外では外部環境が不透明であっても、生産性を考慮しながら特定の職種を増やしていくことで、しっかりと利益を上げられるように進めていく方針です。
質疑応答:事業に対する生成AIの影響について
「ここ半年ほどで生成AIの性能が急激に向上し、業界内ではプロフェッショナル水準の回答が可能になっています。ナレッジ需要が一部、生成AIに代替されるケースも見られるように感じています。生成AIの性能向上によって、事業にどのような影響が出てくると考えていますか?」というご質問です。
このようなご質問をいただく際に、アメリカの事業を持っていて良かったと感じます。日本よりも先にこのような動きが進展し、最先端の市場で自分たちの事業について考える際に非常に役立つ部分があるからです。
アメリカでは、生成AIが登場したことによって、インタビューの需要が減ったわけではありません。特にコンサルティング会社の領域では、議事録サービスはありますが、そのサービスすら利用されていません。
言語化されていないもの、個人の意見や、複数の人々がどのように考えているのかに価値があり、そこから解を探ることに重きを置いているコンサルティング会社では、他者のインタビュー議事録すら必要とせず、むしろインタビューの需要が増えています。
そのため、生成AIの精度が向上したとしても、インターネット上にある既存情報から類推した解よりも、個人の知見に基づいた「このような考えがある」という情報を収集するインタビューのニーズは変わらないのではないかと考えています。
もちろん、「この業界について迅速に教えてほしい」といった要望に対応する場合には、生成AIに代替される可能性もあるかもしれません。
しかし、1時間のインタビューにはある程度のコストがかかることを考えると、そのような簡単な情報収集のためにインタビューが利用されるケースは少なく、むしろインターネットでは得られないプラスアルファの情報を探求するために利用されています。したがって、そのようなインタビューの需要は、生成AIによって代替されることはないと思います。
その中でどのような影響があるかというと、AI投資は生産性を向上させるとお話ししているとおり、我々にとっては非常にプラスの部分があります。
それぞれのお客さまが異なる業種を調査されるため、当社のスタッフ全員がすべての業界に精通するのは難しい状況です。その中で、適切なエキスパートを探す際のサポートとして、生成AIは非常に有効だと考えています。
それから、お客さまの生産性を向上させるために、当社としても生成AIをプラットフォームの中にどのように取り込んでいくかを検討しています。我々自身の生産性、そしてお客さまの生産性を高めるために、生成AIはビジネスチャンスと捉えており、しっかりと取り組んでいます。
ただし、インタビューが生成AIに置き換えられるかという点については、そもそもインターネットではなかなか見つからない情報を探すのがインタビューの役割であるため、完全に置き換わることはないのではないかと考えています。
端羽氏からのご挨拶
冒頭お話ししたとおり、この第1四半期の数字は決して満足できる結果ではありませんが、社内は明るく、復調の傾向を感じながら、さらに大きな成長に向けて取り組んでいるところです。
今後も事業の成長に向けた準備に努め、社員一同がんばっていきますので、ご支援いただければ幸いです。ありがとうございます。