会社概要

齋藤政利氏:サクサ代表取締役社長の齋藤政利です。サクサグループの説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。本日はサクサグループの将来性をご理解いただき、新たな株主となっていただけるようご説明します。どうぞよろしくお願いします。

はじめに、会社概要についてご説明します。サクサは東証スタンダード市場に上場しており、連結従業員数は昨年度末時点で約1,200名です。

昨年度末時点の株価は3,080円で、当期予想PERは11.8倍、実績PBRは0.57倍、予想配当利回りは7.7パーセントとなりました。現状、昨年度末の株価より上昇しているため、バリュエーションもこれらの数値より高くなっています。

サクサグループ フォーメーション

サクサグループのフォーメーションについてです。サクサを含む6社の企業グループで構成されています。

通信技術に強みを持つ親会社のサクサ、映像とAIを組み合わせたソリューション提供に強みを持つシステム・ケイ、有機ELデバイス(OLED)を提供するソアーという3つの事業会社に加え、ソフトウェア開発を行うサクサシステムエンジニアリング、マザー工場のサクサテクノ、NTT商品の販売を担うサクサビジネスシステムという3つの機能会社で構成されています。

サクサグループの株主還元

事業の詳細説明に先立ち、現在サクサグループが強化している株主還元についてご説明します。この点は、みなさまの関心が高い事項であると考えています。

現在、サクサグループでは3つの株主還元施策を実行しています。1つ目は普通配当として、2026年度まで135円の配当を実施する方針を掲げています。2つ目は特別配当です。固定資産売却による190億円のキャッシュインに伴い、2030年度まで105円の配当を実施する予定です。3つ目はサクサグループで導入している株主優待制度です。

これらの結果、2025年度の配当総額は合計240円、昨年度末の株価を基準に株主優待を加えた総還元利回りは8.7パーセントという非常に高い水準になります。それぞれについては、次のページでさらに詳しくご説明します。

配当方針および普通配当の実績および計画

配当方針および普通配当の実績についてです。2021年度から2024度まで、業績の回復によるEPSの増加に加え、特別配当を実施することで、連続増配を続けてきました。

配当方針としては、本中期経営計画期間中は普通配当を最高益時の配当額である135円に固定し、株主のみなさまに安定的な配当を行う計画です。

特別配当の実施

続いて、5月に発表した特別配当についてです。現在賃貸中の相模原の土地売却をこの5月に決議し、約230億円の売却益を2026年度に計上する予定となっています。税金等控除後のキャッシュインは約190億円となり、その一部を株主のみなさまへ還元する方針です。

還元方法については、2025年度から2029年度の5年間にわたり、総額30億円の特別配当を行うこととしました。1株当たりの配当金としては、中間配当が50円、期末配当が55円の合計105円となります。

株主優待制度について

弊社は株主還元策の一環として、株主優待制度を導入しています。保有株式数に応じて商品と交換可能なポイントを付与する仕組みであり、その商品の中には、サクサグループの拠点がある米沢、八戸、札幌の名産品もあります。

また、投資家のみなさまに弊社をより深くご理解いただくため、優待付与対象の弊社株主のみなさまおよび「プレミアム優待倶楽部」の会員さまを対象に、弊社のマザー工場であるサクサテクノおよびソアーの工場見学会を実施します。今回は記念すべき第1回の開催であり、当日は経済アナリストの馬渕磨理子氏にもご参加いただく予定です。多数の応募をいただいており、投資家のみなさまの関心が大変高いイベントとなっています。

中間配当制度の導入

3つの還元施策に加え、今年度から中間配当を実施します。先の株主総会で定款変更が承認されたことにより、弊社は中間配当を実施できるようになりました。この施策により、株主さまへの利益還元機会が増えるだけでなく、権利獲得前後の株価のボラティリティを最小限に抑えることができ、株主さまが株を保有しやすくなると考えています。

サクサグループのビジネスモデル

ここからは、サクサグループの事業についてご紹介します。まず、ビジネスモデルについてです。

サクサグループの事業は大きく4つに分類されます。サクサブランド事業では、販売店を通じた弊社商品の間接販売を主流とするビジネスを展開しており、主に中小企業をターゲットとしています。

OEM事業では、メーカーとしてのサクサグループの強みを活用し、他社ブランド向けに製品の企画・設計・製造を行っています。

システム事業は、サクサブランド事業とは異なり、中堅企業以上のお客さまが主な対象となります。映像機器とAI技術を組み合わせたソリューションの提供などを行っています。

その他事業は、本中期経営計画期間中にM&Aで取得したソアーの事業を指しています。

各ビジネスモデルの売上高構成比率

これら4つの事業の売上高構成比率と、それぞれの事業が提供する製品についてです。サクサブランド事業では、キャッシュカウとなるビジネスホンに加えて、UTM(サイバー攻撃から企業を守る機器)を提供しています。

OEM事業では、サクサブランド事業で培った技術を活かし、他社ブランドとしてビジネスホンなどを提供しています。

システム事業では、グループ企業であるシステム・ケイが中心となり、ソリューションを提供しています。

その他事業では、グループ企業のソアーが主体となり、主に有機ELデバイスの提供を行っています。

2024-2026 中期経営計画の位置づけ

ここからは、5月29日に公表した2024-2026中期経営計画進捗レビューについてご説明します。中期経営計画では、2030年度のありたい姿に向けて、2024年度から2026年度を「Charge」、2027年度から2029年度を「Launch」として取り組みを進めています。

2024-2026中期経営計画「基本方針」

2024-2026中期経営計画「Charge」では、「共に創る未来」をテーマとして定めています。基本方針は3つの構成要素から成り立ち、その中核となる「成長戦略」が事業成長において最も重要な戦略と考えています。

その「成長戦略」をDX、資本、人財の3本柱による経営基盤で支え、その土台には社会的責任であるサステナビリティへの取り組みを据えています。

「成長戦略」

「成長戦略」を実現する事業変革のタイトルには「モノづくり as a Service」を掲げ、事業ポートフォリオの変革による新たな価値提供を実現すべく、推進しています。

「モノづくり as a Service」については、エンジンをイメージした共創を進めています。このエンジンを回していくための駆動力として、お客さまに価値を提供するために事業のかたちを整える「バリューチェーン変革」と、広い視野でイノベーションを考える「オープンイノベーション」が重要だと考えています。

現在の進捗については、バリューチェーン変革の一環として、サクサホールディングスとサクサを統合し、経営と事業を一体化しました。さらに、モノづくりの洗練化に向けて、製造プロセス全体の最適化とグループ内シナジーの強化に取り組んでいます。

特に大きな進展があったのは、昨年グループに加わったソアーと、従来生産機能を担ってきたサクサテクノとの連携です。この2社の役割分担と技術融合により、ODM/EMS事業の強化と、グループ資産の有効活用を通じた効率化を推進しました。

続いて、オープンイノベーションの取り組みについてです。「コミュニケーション」「ワークスタイル」「サイバーセキュリティ」など複数の重点領域において、数十社に及ぶパートナー企業との共創活動を開始し、実現可能性の検討、いわゆるフィジビリティスタディを進行中です。また、環境負荷低減に向けた技術やAIを活用し、省人化技術の研究を開始しています。

米沢アドバンスドファクトリー構想

今後のバリューチェーン変革については、米沢地区において、ソアーやサクサテクノの各拠点、外部倉庫との機能分担を明確化し、物流の効率化や在庫の最適配置、さらに人員や設備の稼働率向上を目指した再編を進めていきます。これらが一体となり、「モノづくり as a Service」の中核となる体制を築いていきます。

また、東京地区では、経営効率の観点から本社・支社機能の集約と再配置を進めており、7月1日に公表した本社移転を実施しました。重複機能の見直しやIT基盤の強化を通じて、よりコンパクトで機動的な体制への変革を図っています。あわせて、全国に展開するグループ会社についても最適化を検討しています。

株式会社テリロジーホールディングスとの資本業務提携

今後のオープンイノベーションについてご説明します。近年のDX推進に伴い、サイバーセキュリティの分野においては、企業の情報セキュリティ対策の重要性がますます高まっています。

そのため、情報セキュリティ領域における取り組みとして、テリロジーホールディングスとの資本業務提携を行いました。中堅・中小企業向けに最適化されたサイバーセキュリティサービスをテリロジーグループと共同で提供することで、他社との差別化を図り、事業の拡大を目指します。

今後も、戦略的パートナーシップを通じて、DXの基盤となるセキュリティ領域においてもお客さまに安心・安全を提供していきます。

サクサコミュニケーションイニシアティブ構想

コミュニケーション領域における取り組みとして、「サクサコミュニケーションイニシアティブ構想」をご紹介します。

中堅・中小企業では近年、コミュニケーション手段の多様化に対応した仕組みや運用の高度化が求められています。そこで弊社は、チャットボットや音声対話、クラウドPBX、自動翻訳AIなど、さまざまなDX・AIツールを保有する共創パートナーと互いの強みを活用し、お客さまへの価値提供を最大化することを目的とした取り組みを行っています。

現在、複数の共創パートナーと連携し、それぞれの強みを活かしたシナジー創出に取り組んでいます。これらのパートナー企業とは、技術的な連携に加えて資本面での支援も視野に入れ、より強固な協力関係を築いていきます。

これは、まさに「共に創る未来」の象徴ともいえる取り組みです。サクサの技術とパートナー各社の発想・技術力を組み合わせることで、中堅・中小企業のDXを支える新たな価値を創造していきます。

キャピタルアロケーションの方向性

2024-2026中期経営計画におけるキャピタルアロケーションの方向性についてご説明します。キャッシュインについては、営業キャッシュフローの拡大、有利子負債の計画的活用、保有資産の有効活用を3本柱として位置づけています。このうち営業キャッシュフローについては、事業利益率の改善、在庫の適正化、コスト削減、運転資金の見直しなど、現場起点の改善活動によってキャッシュ創出力の強化を目指します。

有利子負債の活用に関しては、財務健全性とD/Eレシオを考慮しながら、最適な資本構成と資本コストのバランスを図っていきます。

保有資産の有効活用については、政策保有株式の縮減を含め、「眠れる資産」を資金に転換し、成長投資に再配分していきます。本中期経営計画期間中に政策保有株の銘柄数を20パーセント縮減する計画です。

一方、キャッシュアウトについては、企業価値向上に資する攻めの投資を軸に据えています。特に、大きな金額を要する成長・育成領域への投資では、次世代事業、AI、IoTなどの領域を重点対象として投資を進めます。また、成長・育成領域の設備投資においては、米沢アドバンスドファクトリー構想を含む固定資産への投資を行います。株主還元については、普通配当および特別配当を含め約60億円を予定しています。

資本コスト・株価を意識した経営の実現

弊社の経営における資本効率と市場評価についてご説明します。現在、企業価値を高める上で極めて重要なものは、資本コストを上回る収益性の確保と市場からの適正な評価です。

弊社はこの点を強く意識し、2つの重点指標の改善に向けた取り組みを進めています。1つ目は資本収益性の改善です。2027年度以降も持続的なROE8.0パーセントの達成を目指し、経営基盤の確立に取り組みます。具体的には、営業利益率向上、コスト最適化、在庫適正化、M&Aによる収益源の拡充を推進します。

2つ目は市場評価の向上です。成長投資と株主還元のバランスを保つことで、企業価値の再評価とPBRの引き上げを図ります。さらに、中期経営計画に基づいた着実な実績の積み上げにより、市場との信頼関係を強化していきます。

資本市場全体の動向として、株主資本コストの上昇が見込まれる中、弊社は財務の健全性を確保しつつ、有利子負債を適切に活用して資本構成の最適化と資本コストの低減に取り組んでいきます。

数値目標

2024-2026中期経営計画における主要な業績目標、そして2030年度に向けた長期目標についてご説明します。弊社は本中期経営計画を、質の高い成長と企業価値の持続的な向上を両立させる挑戦と位置づけています。

まず、売上高についてです。2024年度は440億円を達成しました。しかし、商流変更などの影響により、2025年度は430億円と一時的な減少を見込んでいます。ただし、2026年度には500億円までの回復を目指しています。この回復は、成長分野への投資、新規事業の立ち上げ、既存事業の選択と集中による成果が反映されたものです。さらに、2030年度には売上高750億円という高い目標を掲げています。

次に、営業利益についてです。2025年度は投資の拡大などにより22億円、営業利益率5.2パーセントまで一時的に低下するものの、2026年度には27億円、営業利益率5.4パーセントまで回復を見込んでいます。これは単に売上を拡大するだけでなく、収益性の質を重視した戦略の結果です。

2030年度に向けて、既存事業への依存を減らし、多角的かつ強靱なポートフォリオへの転換を図りつつ、中期経営計画の3年および長期的な視点で、現実的かつ意欲的な数値目標を設定しています。

IRメール配信サービスに関するご案内

最後に、IRメール配信サービスのご紹介です。投資家のみなさまにサクサグループのIR関連情報を共有するためのメール配信サービスで、適時開示情報に加え、説明会への出演情報やメディアへの登壇情報などもお伝えしています。この機会にぜひご登録ください。

本日のサクサグループのご説明は以上です。ご清聴誠にありがとうございました。