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日本鋳造株式会社5609

東証スタンダード

鉄鋼

代表挨拶

佐竹義宏氏:本日はご多忙の中、本動画をご視聴いただき誠にありがとうございます。日本鋳造 代表取締役社長の佐竹です。

本日は個人投資家のみなさまへ当社の会社概要、今後の方針についてご説明します。本動画の最後には、事前に投資家のみなさまから頂戴したご質問に回答します。

1920年に設立された当社は2020年に100周年を迎えました。素形材事業、エンジニアリング・建材事業の2つの事業を軸に多様な鋳造品を開発し、さまざまな産業分野に対して鋳造品を供給してきました。

今後とも技術開発と品質向上に注力し、社会のニーズに柔軟かつ迅速に対応してみなさまのお役に立てるよう努力する所存です。

目次

本日の目次はこちらです。

会社概要

まずは当社の概要についてご説明します。

当社は東証スタンダード市場に上場する従業員数294名の会社で、川崎と福山に工場を、横浜・大阪・九州にオフィスを構えています。

事業構成

事業構成については、当社は素形材事業とエンジニアリング・建材事業の2つの事業を柱としています。

素形材事業においては、半導体製造装置や建設機械など多様な産業分野向けに鋳造品を製造し、エンジニアリング・建材事業においては、橋梁の支承や伸縮装置、柱脚などの橋梁に関わる部品の設計・製造を行っています。

なお、支承とは橋桁を支える部材、伸縮装置とは橋桁同士をつなぐ部材、柱脚とは柱を基礎の上に載せる部材で、どれも橋梁や構造物において重要な部材です。

鋳造とは?

鋳造品の製造は溶かした金属を型に流し込むことによって行われ、大きく分けて設計から組み立てまで8つの工程を経て製造されます。

当社の鋳造品は半導体製造装置、建設機械、社会インフラである橋梁、土木、建築などに広く利用されています。

商流

続いて商流ですが、当社は半導体製造装置や建設機械など、さまざまな産業分野の上流に位置する素材メーカーです。

当社で設計・製作した鋳造品を各分野のお客さまに対して販売しています。お客さまは当社から仕入れた鋳造品を加工し、それぞれの顧客へ製品を供給しています。

日本鋳造の強み

ここからは当社の強みについてご説明します。

当社の強みは「技術力」「開発力」「提案力」です。まずは、数多くの革新的な製品を多様な分野に提供してきた「技術力」です。次に強固な研究開発体制や豊富な知識を持つ専門家による「開発力」です。最後に専門知識を持つ人材がお客さまと製造現場をつなぐ技術営業やニーズにあわせた多様なラインナップの「提案力」です。これらを通じて高い競争力を築いてきました。

技術力

まずは「技術力」についてですが、強固な開発体制のもとで蓄積した技術力を活かして、数多くの業界初の試みを実現してきました。世界初のゼロ熱膨張合金である「LEX-ZERO」は特許を取得し、半導体製造装置や航空宇宙などの先端技術分野に大きく貢献しています。

また、「LEX-ZERO」を3Dプリンターで製造することで、納期短縮・軽量化・コスト削減を実現しました。

同技術を活用してJAXAさま等との共同研究を行い人工衛星の部品も開発しました。

エンジニアリング・建材事業における高い技術力

直近ではエンジニアリング・建材事業において、首都高速道路さまとの共同研究により、橋梁の支承における耐震補強技術を開発しました。本技術は国内有数の工学系団体である土木学会より表彰され、業界内で高い評価を得ています。

開発力

次に「開発力」です。

当社は産業の発展に貢献する新技術や新製品を生み出すため、素形材、エンジニアリング・建材、3Dプリンターのそれぞれで開発部門を抱え5名の博士号取得者と15名の研究員による開発体制を備えています。

提案力

最後に「提案力」です。

当社は高い技術力を基に開発した多様な製品と、委託先とのネットワークを基に、お客さまのあらゆるニーズに対応する豊富な製品ラインナップを取り揃えています。

以上のように、当社は「技術力」「開発力」「提案力」の3つの強みを源泉に業界内で高い競争力を培ってきました。

業績 – 売上高(連結)

ここからは、当社のこれまでの業績および株主還元についてご説明します。

当社はこれまで、素形材事業とエンジニアリング・建材事業の2事業を軸として安定的な収益確保を実現してきました。

業績 – EBITDA・営業利益(連結)

利益についても、一過性の損失の影響で営業赤字を計上した年度もありましたが、その他は安定的な利益を実現してきました。

株主還元

続いて株主還元についてですが、当社はこれまで創出した利益を株主のみなさまに安定的に還元してきました。

経営戦略

最後に、当社の今後の方針についてご説明します。

鋳造業をとりまく国内における中長期的な鋳造品の需要減少、物価上昇による資材やエネルギー単価の上昇、人材不足という市場環境の変化に対応するべく、当社は利益率向上のためのスマートファクトリー化の実現を目指します。

スマートファクトリー化を通じて製造工程を自動化、効率化することにより、コスト削減・納期短縮を実現していきます。詳細は後ほどご説明します。

利益率の向上

利益率の向上にあたっては積極的な設備投資によりスマートファクトリー化を進めることで、売上原価に含まれる経費・外注費・労務費・材料費を削減し、利益率の向上を図ります。

スマートファクトリー化

生産工程の自動化のための設備投資により、外注作業の内製化・生産性の向上を図り、将来的には各工程がIoTで連携し、人的負荷を低減させたスマートファクトリーを実現することを目指します。

スマートファクトリー化の取り組み - ① 作業員の動線解析

具体的なスマートファクトリー化の取り組み事例をご紹介します。

まずはAIによる工場作業員の動線解析です。動線に関するデータを取得しAIにより分析を行うことで、生産工程に直接関係する作業とそうでない作業の比率を可視化しました。

可視化された情報を基に動線の改善を図ることで、直接作業の比率が導入前の69パーセントから79パーセントへと改善しました。

スマートファクトリー化の取り組み - ② 押湯切断ロボット

次に、押湯切断ロボットの活用です。

従来は高度な技術を要する作業員が手作業で行っていた作業を、現在は押湯切断ロボット「ACROS」により自動化を進めています。すでに生産工程への適用率は約7割を超えており、今期中に適用率9割の達成を目指します。

スマートファクトリー化の取り組み - ③ 自動溶接補修ロボット

続いては自動溶接補修ロボットです。

従来手作業で行っていた欠陥補修作業も、ロボットを利用し自動化することで、コスト削減を図ります。稼働以降、対応可能な台数と欠陥の範囲を大幅に改善しています。

スマートファクトリー化の取り組み - ④ 3Dプリンター

続いてが3Dプリンターの活用です。

当社は鋳造品の製造に3Dプリンターも活用しています。砂型と金属の2種類の3Dプリンターを活用し、砂型3Dプリンターでは鋳造品の型となる砂型を製造しています。金属3Dプリンターではコバルトや合金等を使わず、安価な鋼材で積層造形を行い、従来よりも高品質な製品を製造しています。コスト削減、量産までの期間短縮も実現しました。短期間での製造かつ製造ロスが出にくい3Dプリンターを活用し、欠陥削減、製造期間短縮、材料の代替等を通じたコスト削減に寄与しています。

スマートファクトリー化の取り組み - ⑤ DX戦略

最後にDX戦略です。

倉庫業務の効率化や工場での使用エネルギーの削減を実現しています。 倉庫業務に関しては無人フォークリフトを導入することで工場内での管理業務を年間4,500時間程度削減しました。

また、エネルギー使用状況を可視化するシステムである「Owlnet」を導入することで、使用電力を1割程度削減させました。

サステナビリティの取り組み

次に当社のサステナビリティの取り組みについてです。

当社は毎年、サステナビリティに関する重要課題を設定の上で達成状況の評価を行っています。

気候変動問題への貢献 - CO2排出量削減

特にカーボンニュートラルに関しては積極的に取り組み、2026年度には本社川崎地区のカーボンニュートラルを達成する予定です。政府が掲げる2030年度までに50パーセント削減する目標を上回るペースでカーボンニュートラルへの取り組みを進めていきます。

業界全体での取り組み

業界再編に向けた取り組みです。

鋳造業界を取り巻く課題に対応するため、他社との技術・業務提携を進めています。直近では、清本鉄工株式会社との業務提携の基本合意、株式会社川金ホールディングスとの協業の検討開始を公表しました。

いずれも当社における売上高向上とコスト削減、研究開発の推進を企図したものです。今後も継続的に再編に向けた取り組みを検討・実行していきます。

質疑応答

以上が当社の概要のご説明となります。

ここからはいくつかのご質問にお答えします。

質疑応答(1/3)

Q: 2025年度の通期業績予想の修正理由及び今後の方針について教えてください。

A:1つ目に通期業績予想の修正に関するご質問です。2025年10月28日に開示のとおり、2025年度の通期業績予想を売上高123億円、営業利益0.6億円、経常利益2.2億円、当期純利益2億円、配当予想20円に修正しました。

トランプ関税の影響などを受けて、半導体製造装置向け・鉱山機械向けの受注が当初予想を下回ったことによる操業度の低下や高利益率製品の受注機会喪失を理由に、当初想定よりも原価率が上昇する見込みとなりました。

下期においてはさらなるスマートファクトリー化を通じて、内製化による外注費削減をはじめとするコスト合理化を進め、利益率の改善を図っていきます。

質疑応答(2/3)

Q: 今後の株主還元の方針を教えてください。

A:2つ目に株主還元に関するご質問です。当社は、経営基盤の強化及び将来の事業展開に備えるための内部留保の充実等を勘案した上で、株主のみなさまへの利益還元を実現していくことを基本方針としており、これまで創出した利益を株主のみなさまに安定的に還元してきました。

業績予想の修正に伴い今年度の期末配当予想を1株あたり20円に修正しましたが、今後もこれまでの基本方針を維持し、配当性向30パーセント程度を確保しながら長期的な視点から安定的・継続的に株主のみなさまへの還元を実施していきます。

質疑応答(3/3)

Q: 鋳造業界全体での協業等の取り組み状況について教えてください。

A:最後に協業に関するご質問です。当社は他社との協業の取り組みを積極的に実施しており、2025年7月23日には清本鉄工株式会社との業務提携の基本合意、2025年7月31日には株式会社川金ホールディングスとの協業の検討開始を公表しています。今後も、人材不足や国内産業の空洞化による需要減少などの業界を取り巻く厳しい環境に対応するため、業界全体で協業等の取り組みを積極的に行っていきます。

佐竹氏からのご挨拶

2025年度の個人投資家向け会社説明は以上となります。日本鋳造はこれからもさらなる成長と発展を目指します。今後ともみなさまのご支援を賜りますようお願いします。ご視聴ありがとうございました。

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