目次
内田海基夫氏:第一建設工業株式会社、代表取締役社長の内田です。2025年3月期の決算概要、2026年3月期の業績予想、株主還元政策、当社の取り組み等についてご説明します。
1. 2025年3月期 決算概要
2025年3月期決算ハイライトについてご説明します。2025年3月期は、売上高が580億円、営業利益が71億円となり、3期連続で増収増益を達成しました。
配当については、2024年5月9日に公表した1株当たり80円から50円増配の130円を予定しています。また、2025年度における自己株式の取得予定額を含めた総還元性向は、100.9パーセントを予定しています。
1. 2025年3月期 決算概要
2025年3月期の決算概要についてご説明します。売上高は、建設事業において受注高の増加を主因に、前年同期比40億1,200万円増収の580億500万円(7.4パーセント増)となりました。
利益については、売上高の増加に加え、工事採算性の改善等により、営業利益が前年同期比34億2,100万円増益の71億9,300万円(90.7パーセント増)、経常利益が前年同期比35億800万円増益の76億400万円(85.7パーセント増)、当期純利益が前年同期比24億5,000万円増益の52億4,200万円(87.8パーセント増)となりました。
この結果、期末決算において売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、3期連続の増収増益となりました。
1. 2025年3月期 決算概要
セグメント別売上高です。建設事業売上高は、受注高の増加を主因に、前年同期比39億 5,300万円増収の569億2,800万円(7.5パーセント増)、不動産事業売上高は、賃貸用不 動産の売上高が増加したことにより、前年同期比5,800万円増収の10億7,600万円(5.8 パーセント増)となりました。
建設事業売上高の内訳については、土木工事397億2,100万円(前年同期比16.5パーセント増)、建築工事が172億700万円(前年同期比8.9パーセント減)です。
1. 2025年3月期 決算概要
売上高構成比です。売上高の部門別の内訳は、土木工事が68.4パーセント、建築工事が29.7パーセントとなりました。不動産事業は1.9パーセントとなりました。
発注者別内訳は、土木・建築・線路に関連する鉄道工事の合計が80.0パーセント、一般民間工事が15.6パーセント、官公庁工事が4.4パーセントとなりました。
1. 2025年3月期 決算概要
業績の推移については、期末決算において売上高、営業利益、経常利益、当期純利益ともに3期連続の増収増益となりました。
1. 2025年3月期 決算概要
貸借対照表です。流動資産は、期末施工高の増加による完成工事未収入金の増加や現預金の増加等により、前期末比20億8,000万円増加の488億9,700万円(4.4パーセント増)となりました。
固定資産は、賃貸用不動産の取得や線路メンテナンス工事用大型保線機械の取得等による有形固定資産の増加等により、前期末比9億1,700万円増加の350億4,400万円(2.7パーセント増)となりました。
これにより資産合計は、前期末比29億9,800万円増加の839億4,100万円(3.7パーセント増)となりました。
負債合計は、繰越工事の増加による未成工事受入金の増加等により、前期末比6億8,000万円増加の122億8,400万円(5.9パーセント増)となりました。
純資産は、当期純利益を主な要因として、前期末比23億1,700万円増加の716億5,700万円(3.3パーセント増)となりました。
この結果、自己資本比率は前期末比0.3ポイント減少の85.4パーセントとなりました。
1. 2025年3月期 決算概要
キャッシュフロー計算書です。営業活動から得られた資金は、59億8,100万円となりました。これは、税引前当期純利益の計上等によるものです。
投資活動により使用した資金は、37億9,700万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出等によるものです。財務活動により使用した資金は、28億4,300万円となりました。これは、配当金の支払いや自己株式の取得による支出等によるものです。
その結果、2025年3月期の現金及び現金同等物の期末残高は、前年同期比6億5,900万円減少(3.6パーセント減)の173億6,100万円となりました。
2. 2026年3月期 業績予想
来期の売上高については、受注高の減少により前期比1.7パーセント減の570億円を見込んでいます。
利益については、売上高の減少や工事損失引当金の反動により、営業利益は前期比13.8パーセント減の62億円、経常利益は前期比13.2パーセント減の66億円、当期純利益は前期比14.1パーセント減の45億円を見込んでいます。
売上高については、新規顧客の開拓及び官公庁工事の拡大を目指すとともに、利益については、働き方改革、DX推進、コスト削減などにより利益の最大化を目指します。
配当金については、1株あたり130円を予定しています。
設備投資、人的資本投資の強化を図ること、売上高・利益の向上を目的に目標数値等の見直しを行います。
3. 株主還元政策
2024年度の期末配当については、前期の1株当たり80円から50円増配し130円、配当性向46.8パーセントを予定しています。
自己株式については、資本効率の向上および株主還元の充実を図ることを目的として130万株または28億5,000万円を上限に取得する予定です。その結果、総還元性向100.9パーセントとなる予定です。
引き続き、株主還元と企業価値の最大化を目指し、取り組んでいきます。
4. 当社の取り組み 建設事業~技術開発への投資~
ここから当社の取り組みについてご紹介します。
当社では、技術開発を強力に推進しています。当社が単独で開発した「D-flip(ディーフリップ)工法(任意深度定着型仮締切り工法)」は、河川内の橋脚工事において、大幅な工期短縮・コストダウンが期待できる工法です。
この技術は、特許を取得しているほか、国土交通省によって運営されるNETIS(ネティス:新技術情報提供システム)に登録しており、本工法による事業領域拡大に取り組んでいます。
4. 当社の取り組み 健康経営
健康経営への取り組みについて、ご紹介します。当社は、2021年4月「健康経営宣言」を制定しました。
「健康経営」とは、会社が、社員とそのご家族の健康管理を経営課題と捉えて、それぞれの健康の保持・増進するために戦略的に実践することです(参考:経済産業省ホームページ)。
当社は、健康経営を通して、社員が心身ともに健康で、働きがいに満ち、一人ひとりの能力が十分に発揮されて、活き活きとした職場環境の実現を目指しています。
当社が「健康経営」を推進するうえで、特に重要にしていることは、「健康経営」を社会貢献活動の1つと位置づけていることです。
「健康経営」の推進は、会社の業績向上による社会貢献はもとより、従業員と家族の「健康寿命」の延伸や生涯を健康で活き活きとした生活を送ることで社会保障費の削減につなげることも目的にしています。
4. 当社の取り組み 環境経営
環境経営への取り組みについて、ご紹介します。
当社は、2022年11月に「環境経営宣言」を制定し、同時に、「第一建設工業 環境計画 ~カーボンニュートラル・チャレンジ2050~ 」を策定し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。
主な取り組みとしては、脱炭素社会の実現として、事業所照明のLED化の推進、2022年7月にZEBプランナー制度、2023年7月にはZEHデベロッパー制度に登録し、ZEBおよびZEH-Mの普及に取り組んでおります。
自然共生社会の実現として、当社が管理する123台の大型保線用機械で使用する生分解性作動油を100パーセント導入しています。
4. 当社の取り組み 2024年度 下期トピックス
2024年度下期のトピックスです。
2025年3月15日に新潟県の越後線白山・新潟間に新駅、上所駅が開業しました。当社は、本工事において上下線ホーム及び駅舎の新設、本工事に伴う軌道整備を担当しました。
2023年8月の工事着手から、1年半にわたる工事期間、周辺住民のみなさまの工事へのご理解とご支援のもと、東日本旅客鉄道さま、協力会社のみなさま、当社と一丸となり取り組み、無事故で完遂することができました。
篠ノ井線の長野県松本市に位置する村井駅の橋上化工事が2025年2月に完成しました。本工事は、駅利用者の交通利便性や安全性向上を図るとともに、交通結節点の機能強化を目的として計画されたものです。
当社は、本工事において東西自由通路、上りホームの新設および橋上駅舎の建設を担当し、周辺住民のみなさまの工事へのご理解とご支援のもと、東日本旅客鉄道さま、協力会社の皆さま、当社と一丸となり取り組み、約4年にわたる工事を無事故で完遂することができました。
4. 当社の取り組み 2024年度 下期トピックス
2024年度は、当社の施工エリアに位置する秋田県北部、新潟県上越地域、長野県北部など各地において例年を大幅に上回る積雪に見舞われました。このような状況の中で、列車の安全かつ安定的な運行を確保するため、昼夜を問わず徹底した除雪作業を実施しました。今後も、鉄道の安全安定輸送に尽力し、地域社会の発展に貢献していきます。
秋⽥県東能代駅と⻘森県川部駅を結ぶ五能線において、東日本旅客鉄道さま、エアロセンスさま、当社を含む3社共同で、高速⾶行ドローンによる鉄道設備の⻑距離点検の実証実験を行いました。この実験は、広範囲な鉄道設備を迅速かつ効率的に点検することで、災害発生時等の初期対応の時間短縮、および⻑距離区間の点検効率化を目指しています。
4. 当社の取り組み 2024年度 下期トピックス
当社では、環境負荷低減の取り組みの一環として、2024年11月より訓練用のMCR4型軌道モータカーでバイオ燃料の使用試験を開始しました。本試験で使用するバイオ燃料(B100)は、化石燃料と異なり植物由来の廃食油から精製されるディーゼル用燃料であり、植物が成⻑過程において吸収したCO2が燃焼時に再び大気中に戻るだけなので、大気中のCO2総量は増えないとされています。
将来的には、営業線での活用を視野に入れ、今後も詳細な検証を進めていきます。
4. 当社の取り組み 2024年度 下期トピックス
経済産業省と日本健康会議が推進する「健康経営優良法人認定制度」において、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。
「健康経営優良法人認定制度」とは、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」、すなわち従業員の健康状態や健康増進施策の効果、健康課題などを客観的に把握・数値化して表現することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから評価を受けることができる環境を整備することを目的に、2016年度に経済産業省が創設した制度です(参考:経済産業省ホームページ)。当社では、健康経営を社会貢献活動と位置付け、積極的に取り組んでいます。
今後も健康経営を推進し、「社会とともに発展し続ける会社づくり」を目指していきます。
(参考)会社概要
最後に、簡単に会社概要についてご説明します。
当社は、新潟に本社を置く、鉄道工事を基盤とした総合建設業です。主たる事業エリアは信越・東北・関東地方で、事業所数は38ヶ所です。
(参考)会社概要
当社の創業から現在までの沿革です。1942年の創業以来「鉄道工事」を基盤として、社会資本の整備に貢献してまいりました。
2004年12月にジャスダック証券取引所に上場、2022年4月に東京証券取引所スタンダード市場に上場しました。また、同年11月に東日本旅客鉄道さまの持分法適用会社となりました。
(参考)会社概要
事業内容についてご説明します。当社は、土木事業、建築事業、線路事業、不動産事業の4つを展開しています。
土木事業については、鉄道橋の架替え工事・耐震補強工事、防災・減災対策工事、鉄道近接工事、コンクリート構造物の補修などを行っています。
建築事業については、駅の新築工事、鉄道関連施設の建設工事、マンション、店舗、施設、工場、事務所の新築・修繕工事などを行っています。
線路事業については、線路の修繕や新設工事、線路の除雪などを行っています。
不動産事業については、不動産開発・販売・賃貸などを行っています。
免責事項
本日のご説明は以上となります。
今後とも変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いします。