2025年3月期決算説明
常盤和明氏(以下、常盤):おはようございます。リケンテクノス株式会社、代表取締役社長執行役員の常盤和明です。本日は大変お忙しい中、私どもの決算・新中期経営計画説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。
本日の説明会では、はじめに2025年3月期の決算をご説明した後に、本年4月よりスタートした新中期経営計画についてご説明していきます。
2025年3月期 連結業績サマリー
2025年3月期の決算についてご説明します。
2025年3月期の連結業績サマリーです。連結売上高は1,281億4,100万円で、前期比24億200万円の増収となりました。営業利益は104億8,800万円、前期比17億1,300万円の増益です。経常利益は105億8,700万円で前期比10億4,300万円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は73億7,000万円で、前期比4億9,000万円の増益となっています。
売上高、各段階利益は4期連続で過去最高を更新しています。ROSは前期比1.2ポイント上昇の8.2パーセントでした。ROSも過去最高です。
セグメント別売上高推移
セグメント別の売上高推移です。まず自動車、鉄道、船舶市場等のトランスポーテーションセグメントの売上高は411億円で、前期比11億円の増収でした。医療、生活資材、食品包材市場等のデイリーライフ&ヘルスケアセグメントの売上高は368億円で、前期比28億円の増収となりました。
エネルギー、情報通信、IT機器市場等のエレクトロニクスセグメントの売上高は246億円で、前期比4億円の減収です。住宅、建築資材、土木市場等のビルディング&コンストラクションセグメントの売上高は254億円で、前期比12億円の減収となりました。セグメントごとの詳細については、後ほどご説明します。
地域別売上高推移
地域別の売上高の推移です。
日本は628億円で前期比2億円の減収、アジアは444億円で前期比14億円の増収、北米は204億円で前期比12億円の増収となりました。
地域別の売上高構成比は、日本が49.1パーセント、アジアが34.7パーセント、北米が15.9パーセント、その他が0.3パーセントです。なお海外売上高比率ですが、前期より1.1ポイント上昇し50.9パーセントでした。
営業利益 前期比増減要因分析
営業利益の前期比増減要因分析です。2024年3月期の営業利益は87億7,500万円でした。まず主な増益要因です。原料価格、運賃、副資材価格の上昇、事業維持コストの上昇分を製品価格に転嫁した値上げと価格改定の期ズレにより、19億6,800万円の増益となりました。
また製造コスト削減の取り組みで3億2,500万円、為替が前期より円安に進んだ影響により3億1,900万円、販管費の削減で1億1,300万円の増益となっています。
一方で減益の要因は、研究開発費を積極的に使用した影響により8,200万円、物流コストの上昇が2億4,300万円、人件費の増加が2億9,900万円となっています。また、販売数量は残念ながら前期比で約3パーセント減少し、その影響で3億8,800万円の減益となっています。
これらを合わせて2025年3月期の営業利益は、前期比17億1,300万円増益の104億8,800万円となりました。
営業利益 予想比増減要因分析
期初の営業利益予想に対する増減要因分析です。2025年3月期は期初の営業利益予想を92億円としていました。
この予想に対して、まず販売価格の適正化・期ズレにより13億2,600万円、為替が円安になった影響により4億2,600万円、販管費の削減で2億6,300万円の増益となりました。
減益要因としては、中国・北米市場での販売が予測数量まで届かなかったことにより、7億2,700万円の減益となりました。
これらを合わせて、2025年3月期の営業利益は期初予想比12億8,800万円の増益となりました。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。資産合計は1,164億6,900万円と、前期末比で8億1,900万円の増加となりました。負債合計は406億8,900万円と、前期末比で9億4,400万円の減少、純資産合計は757億8,000万円と、前期末比で17億6,300万円の増加となっています。
なお、自己資本比率は55.7パーセントとなっています。
連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローは115億4,700万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは31億5,200万円となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは65億1,200万円です。合わせて現金同等物の期末残高は、前期比25億9,500万円増加の244億4,700万円となっています。
Transportation
2025年3月期のセグメント別の概況です。まずはトランスポーテーションセグメントの売上高です。2025年3月期の実績は411億2,000万円と、前期比11億1,600万円の増収でした。
国内ではエラストマーコンパウンドの拡販に加え、高騰した原料価格の価格転嫁が進み、増収となっています。海外では、ASEAN市場での日系自動車生産は減少しましたが、北米での日系自動車生産は増加しています。加えて高騰した原料価格を製品価格に転嫁したことにより増収となりました。
セグメント利益は48億6,900万円と、前期比12億2,200万円の増益です。
国内でのエラストマーコンパウンドの新規拡販と、国内外で販売価格を適正化したことにより増益となっています。
当セグメントの重点分野の状況です。まず1つ目はワイヤーハーネス分野です。市場の状況として、日系ワイヤハーネスメーカーのコンパウンド使用量が自動車生産台数の減少に伴い、前年より5パーセント減少しています。
当社材の当分野に対する材料の売上高は、2025年3月期は197億円でした。日系顧客を確実に取り込んだことと、非日系顧客への新規拡販により前期比で4億円の増収となっています。
重点分野の2つ目は自動車用成形部材です。市場の状況として、2025年3月期の日系自動車メーカーの世界の生産台数は2,370万台で、前期比で5パーセント減少しています。私どもの自動車成形部材用のコンパウンド売上高は136億円となっており、シール部材、機能部材のコンパウンドを新規に拡販したことで前期比8億円の増収となりました。
Daily Life & Healthcare
デイリーライフ&ヘルスケアセグメントの状況です。2025年3月期の売上高は368億900万円で、前期比27億5,300万円の増収でした。国内では小巻ラップ製品、生活資材向けエラストマーの販売が増加し、増収となりました。海外では医療・生活資材向けの塩ビコンパウンドの販売が増加し、増収となっています。
セグメント利益は35億2,200万円と、前期比7億8,700万円の増益です。
小巻ラップ製品、海外での医療・生活資材向け塩ビコンパウンドの販売増加に加えて、販売価格の適正化により増益となっています。
当セグメントの重点分野の状況です。まず1つ目は医療用の塩ビ材料(PVC)です。私どものメインターゲットである世界の透析回路市場は2025年3月期も順調に推移し、前期比で9パーセント増加しています。私どもの医療用塩ビコンパウンドの売上高は88億円で、日系顧客への販売が増加したことと非日系顧客への拡販が進み、前期比9億円の増収でした。
重点分野の2つ目はゴム代替材料です。私どものゴム代替コンパウンドの2025年3月期売上高は19億円でした。輸液栓用のエラストマーコンパウンドの販売が増加したことと、キャップシール材の新規顧客への販売がスタートしたことにより、前期比3億円の増収となっています。
Electronics
エレクトロニクスセグメントの状況です。2025年3月期の実績は246億8,900万円と、前期比3億3,200万円の減収でした。
国内では機能性コンパウンドおよび機能性フィルムの販売が減少し、減収となりました。海外では、中国・米国・タイ国市場向け塩ビコンパウンドの販売が増加し、増収でした。セグメント利益は9億7,800万円と、前期比2億8,400万円の減益となりました。
重点分野の状況です。まず1つ目は電力・産業電線です。市場の状況として、日本国内の電力・建設電販市場は本年も減少し、前期比で5パーセントダウンしています。
その中で、私どもの同分野に対するコンパウンドの販売は123億円と、前期比1億円の増収です。国内では主要顧客への販売を進め、前年並みを確保しました。海外では米国・タイ国向けの販売は増加した一方、インドネシア国向けの販売が減少し前年並みとなっています。
2つ目は情報通信です。市場の状況として、情報通信市場は前年比で6パーセントダウンしています。その中で、私どもの同市場でのコンパウンドの2025年3月期売上高は86億円となりました。
インドネシア国での情報通信分野、中国でのロボット・FA/機器電線分野への拡販により、増収となっています。
重点分野の3つ目は光学フィルムです。私どもの光学用フィルムの2025年3月期売上高は15億円で、前年比2億円の減収となっています。新規製品の立ち上がりの遅れやASEAN地域で日系の自動車販売が低迷したこともあり、減収となりました。
Building & Construction
ビルディング&コンストラクションセグメントの状況です。
2025年3月期の売上高は254億5,000万円と、前期比11億5,000万円の減収でした。国内では樹脂サッシ用の塩ビコンパウンドの特需が落ち着いたことにより販売が減少したこと、建材用のフィルムの販売が減少したことにより、減収となりました。海外では、米国での建材市場向け塩ビコンパウンドの販売が減少し、減収となっています。
セグメント利益は10億1,100万円と、前期比4,300万円の減益です。国内外での建材市場向け塩ビコンパウンドの販売減少により、減益となっています。
重点分野の状況です。まず1つ目は建装用フィルムです。市場の状況として、日本国内での非住宅での着工床面積は2025年3月期も低調に推移し、10パーセントダウンしています。この市場における私どもの建装用フィルムの売上高は86億円で、ほぼ前年並みを維持しています。
2つ目は住宅・建築資材です。私どもの住宅・建築資材向けコンパウンドの2025年3月期売上高は111億円です。国内外で販売が減少したことにより、前期比1億円の減収となりました。
2026年3月期 連結業績予想
2026年3月期の業績予想です。売上高1,340億円、営業利益105億円、経常利益103億円、親会社株主に帰属する当期純利益58億円と予想しています。
販売数量は前期比約8パーセント増加させていきます。売上高・営業利益は過去最高を予想しています。
2026年3月期(予想)営業利益 増減要因分析
2026年3月期の営業利益予想との増減要因分析です。2025年3月期の営業利益は104億8,800万円でした。主な増益要因として、販売数量を約8パーセント増加させることにより9億3,100万円、価格改定および期ズレにより5,500万円を見込んでいます。
減益要因としては、販管費増加による7,400万円と、積極的に投資する研究開発費で1億600万円、人件費増加による1億8,300万円、物流コストの増加による2億6,600万円を見込んでいます。
なお、想定している為替レートは1ドルに対して140円です。この円高要因により3億4,500万円の為替影響を見ています。
これらを合わせて、2026年3月期の営業利益予想は前期比1,200万円の増益となる105億円です。
前3ヵ年中期経営計画 概要
本年3月に終了した前3ヵ年中期経営計画の総括と、本年4月よりスタートした新3ヵ年中期経営計画についてご説明します。まず、前3ヵ年中期経営計画の結果についてご説明します。
前中期経営計画の概要はスライドのとおりです。「Challenge Now for Change New 2024 変革への挑戦」を経営方針として、従来の事業を伸ばすための戦略として「グローバル経営の深化とシナジー」「顧客の期待の先を行く」、今後の成長のための戦略として「新規事業/新製品への挑戦」「環境/社会課題解決への貢献」を実践してきました。
前3ヵ年中期経営計画 総括(計数)
前中期経営計画で掲げていた最終年度の計数および結果は、先ほどご説明したとおりです。売上高は計画未達となったものの、各段階の利益、ROEについては計画を上回り、最高益を更新することができました。
4つの戦略の成果
前中期経営計画で取り組んだ4つの戦略の成果についてご説明します。まず戦略1つ目の「グローバル経営の深化とシナジー」です。各本部によるグローバル横串運営は大きく進展しました。設備面では、タイ国・ベトナム国・米国に新ラインを増設しました。またグローバル購買体制を構築しました。
戦略2つ目の「顧客の期待の先を行く」では、営業情報を共有化するシステムを構築し、市場ニーズを見据えた顧客への提案型営業を進めてきました。さらにコンパウンド開発とフィルム開発の融合による配合技術を強化してきました。
4つの戦略の成果
戦略3つ目の「新規事業/新製品への挑戦」では、中期経営計画初年度に新規事業開発準備室を設置し、産学・産産・産学官連携によるオープンイノベーションを進めてきました。また「Natural RIKEBIO」や車載用遮熱フィルムの新製品開発が進展しました。
戦略4つ目の「環境/社会課題解決への貢献」においては、サステナビリティ委員会を設置しました。女性活躍推進プロジェクトを発足したほか、人権デュー・ディリジェンスを開始しました。さらに、TCFDに基づく情報開示を行いました。
前3ヵ年中期経営計画 総括(投資)
前3ヵ年中期経営計画期間中に実施した設備投資/システム投資です。3ヵ年合計で193億円を投資しました。最終年度である2025年3月期の実績はスライドのとおりです。総額で82億円の設備投資を実施しました。
新3ヵ年中期経営計画
本年4月よりスタートした新3ヵ年中期経営計画についてご説明します。経営方針は「One Vision, New Stage 2027」としました。スライドのロゴマークは、全社一丸となって共有するグローバルな長期ビジョンと、10年後のありたい姿に向けて、ステージを変えてさらなる高みを目指していく姿を示しています。
長期ビジョン
中期経営計画の策定に当たり、長期ビジョンの見直しを役員だけではなく、部長職、課長職、係長職、各層で議論してきました。その結果、従来掲げてきた長期ビジョン「すべての生活空間に快適さを提供するリーディングカンパニーを目指して」を引き続き追求することに加え、10年後をイメージしたありたい姿を設定しました。
市場顧客に対しては「新しい発想とアプローチで、『ものづくり』と『価値創造』を実現する」、社会に対しては「社会・環境の変化に柔軟に対応し、サステナブルな社会に貢献する」、従業員に対しては「従業員一人ひとりが『やりがい』『誇り』を持ち、共に『成長』する」を定めています。
新3ヵ年中期経営計画 概要
新3ヵ年中期経営計画の概要についてご説明します。「成長/稼ぐ力」の伸長と「永続/サステナビリティ」を2本の柱として注力していきます。
「成長/稼ぐ力」の3つの戦略です。戦略1つ目を「Global One Company」、戦略2つ目を「顧客の期待の先を行く」、戦略3つ目を「新規事業/新製品への挑戦」としました。
これらを支えるさまざまな投資も積極的に実行し、「成長/稼ぐ力」をさらに向上させていきます。加えて企業を永続して存続させるために、「サステナビリティ」「ガバナンス」「リスクマネジメント」にも確実に対応していきます。
新3ヵ年中期経営計画 経営指標
新3ヵ年中期経営計画の経営指標です。最終年度となる2028年3月期の計画はスライドのとおりです。売上高1,500億円、営業利益・経常利益120億円、当期純利益65億円としています。
「稼ぐ力」の戦略 ①Global One Company
「稼ぐ力」の戦略についてご説明します。まず戦略1つ目の「Global One Company」です。以前より推し進めている「グローバル経営の深化とシナジー」からさらにステージを一段上げて、「Global One Company」としてグローバル一体運営を目指していきます。ASEAN重視の方向性は継続しながら、日本国内の成長投資にも積極的に取り組み、グローバルポートフォリオのさらなる最適化を進めていきます。日系顧客のみならず、非日系顧客への販売拡大にも注力していきます。
またグローバル人材の育成、確保をさらに進めていきます。さらにグローバルでのシステム、ネットワークの統一を進めていきます。
「稼ぐ力」の戦略 ②顧客の期待の先を行く
戦略2つ目の「顧客の期待の先を行く」では、本年4月より技術・製造・品質管理・購買がより一体となって、最適かつ迅速にお客さまに対応するため、「ものづくり統括本部」を立ち上げました。お客さまにとって最適な製品を迅速に提案・提供できるよう、一丸となって取り組んでいきます。
またAI、DX等の活用による業務の効率化や、情報収集力、分析力の向上、さらに人材の育成をいっそう強化し、自ら仕掛けていく組織・人材への転換を図っていきます。
「稼ぐ力」の戦略 ③新規事業/新製品への挑戦
戦略3つ目の「新規事業/新製品への挑戦」です。前中期経営計画において、新規事業のテーマとして「資源循環」「環境農林水産」「電磁気」に産学連携を中心に取り組んできました。これらの取り組みの中から、今中期経営計画期間に新たな事業を立ち上げたいと考えています。
また新規事業においては、新規製品の売上高比率の向上を目指して具体的な目標値を設定し、市場が求める新製品開発をこれまで以上に進めていきます。
知財戦略に対しては、IPランドスケープの実践の深化、特許出願、権利化による競争力の維持強化を進めていきます。
事業ポートフォリオ
各セグメント別の3ヵ年中期経営計画のポイントです。まず事業ポートフォリオについてご説明します。各セグメントの重点分野を中心に、さらなる成長を図っていきます。特にトランスポーテーションセグメントの重点分野である車両用電線、自動車用成形部材を拡大していきます。
デイリーライフ&ヘルスケアセグメントにおいては医療用、食品包材を、エレクトロニクスセグメントにおいては情報通信/モビリティ/ロボット・FA、ASEANでの電力・産業電線を、ビルディング&コンストラクションセグメントにおいては住宅・建築資材と建装用フィルムを拡大していきます。今後とも最適なマーケティングを追求することで、ポートフォリオの最適化を図っていきます。
Transportation
各セグメントの詳細です。まずはトランスポーテーションセグメントの戦略です。車両用電線において、日系顧客を確実に取り込んでいきます。非日系顧客では新規アイテムを獲得していきます。
自動車用成形部材では、新規シール部材の獲得とグローバル展開をさらに進めていきます。EV車普及に伴う要求特性の変化による素材転換を進め、機能部材向けに拡販していきます。
中期経営計画2028年3月期の計画値は売上高491億円と、2025年3月期に比べて80億円の増収を計画しています。営業利益は53億円と、2025年3月期比で4億円の増益を狙っていきます。
Transportation
当セグメントの重点分野です。まず1つ目は車両用電線です。世界での自動車生産の増加により、当該市場は今後も順調に推移すると予測されています。
当社の車両用電線のコンパウンドとフィルムの販売計画として、2028年3月期には250億円と、2025年3月期比で43億円の増収を計画しています。ASEAN、北米地域を中心に私どものグローバル品質、対応力を武器に、市場拡大を超える拡販を狙っていきます。
2つ目の重点分野は自動車用成形部材です。日系自動車の世界での生産台数は、2025年3月期の2,370万台から、2028年3月期には2,557万台に増加する予定です。
その中で、当社の自動車用成形部材向けのコンパウンドの売上高は196億円と、2025年3月期と比較して60億円の増収を計画しています。日本で採用となった材料を、ASEANや北米を中心に横展開し、拡販していきます。またEV車普及に伴う、要求特性の変化による素材転換を進めていきます。
Daily Life & Healthcare
デイリーライフ&ヘルスケアセグメントの戦略です。医療・生活資材でグローバル展開している日系顧客へのさらなる拡販を進めるとともに、医療・生活資材用途の素材をゴムからエラストマーへの素材転換を進めていきます。
食品包材用途では、小巻ラップ市場で製品企画力を強化することによって拡販を進めていきます。業務用ラップ市場では、アウトパック市場への拡販を進めていきます。
中期経営計画最終年度の販売計画は388億円と、2025年3月期比で20億円の増収、営業利益は35億円を計画しています。
Daily Life & Healthcare
当セグメントの重点分野です。1つ目は医療用(血液回路・シングルユース)です。私どもがメインターゲットとしている透析回路の世界市場は、今後も順調に推移すると予測されています。私どもの医療用PVCコンパウンドの売上高は108億円と、2025年3月期比で12億円の増収を計画しています。
日系顧客のシェアを拡大することと、非日系顧客への拡販を行っていきます。またシングルユース製品のゴム部材をエラストマー素材に転換することにより拡販していきます。
重点分野の2つ目は食品包材(小巻・業務用ラップ)です。国内の食品包材のラップ市場については、今後は人口の変化により若干の減少が予想されています。
私どもの食品包材のラップの売上高は131億円と、2025年3月期比で9億円の増収を計画しています。家庭用ラップ市場では塩ビラップの性能や使いやすさを武器にしたシェア拡大を、業務用ラップでは加工センター等のアウトパック市場への拡販を狙っていきます。
Electronics
エレクトロニクスセグメントの戦略です。電力・産業電線では、ASEANでの建設電販市場への拡販を進めていきます。情報通信/モビリティ/ロボット・FAでは、グローバルで機能材料を拡販していきます。機能性フィルムでは、遮熱性等の機能を活かしたフィルムを拡販していきます。
中期経営計画最終年度の販売計画は290億円と、2025年3月期比で43億円の増収、営業利益は13億円と、2025年3月期比で3億円の増益を見込んでいます。
Electronics
当セグメントの重点分野です。1つ目は電力・産業電線(ASEAN)です。ASEANでの電気使用量は、今後も経済成長により確実に伸びていきます。この市場に対して、電力・産業電線の塩ビコンパウンドの2028年3月期の売上高は41億円と、2025年3月期比で18億円の増収を計画しています。
ASEAN各国での電線規格に対して、性能・品質で差別化することで拡販していきます。加えて、高難燃や高耐熱等の特殊電線の新規拡販も進めていきます。
重点分野の2つ目は、情報通信/モビリティ/ロボット・FAです。国内の情報通信機器等の状況としては、AIデータセンターの新設や合理化投資等により、2025年3月期比で7パーセント伸びると予想されています。
2028年3月期の当社のコンパウンド売上高は112億円と、2025年3月期比で26億円の増収となる計画です。市場の伸びを確実に捉えることで、ロボット・FAケーブル等の機器電線を拡販していきます。
Building & Construction
ビルディング&コンストラクションセグメントについてご説明します。まず戦略ですが、建装用フィルムでは、機能・デザインを武器に市場ニーズを捉え、拡販していきます。住宅・建築資材では、付加価値のある材料を提案することで拡販を進めていきます。
中期経営計画最終年度である2028年3月期の売上高は294億円と、2025年3月期比で39億円の増収、営業利益は19億円と、2025年3月期比で9億円の増益となる計画です。
Building & Construction
ビルディング&コンストラクションセグメントの重点分野をご説明します。1つ目は、建装用フィルムです。市場の状況として、国内の非住宅の着工床面積は今後も横ばいで推移すると見込んでいます。
当社の建装用フィルムの販売計画は、2028年3月期に58億円と、2025年3月期比で5億円の増収となる計画です。市場ニーズを捉えた製品開発を行うこと、印刷適性に優れた印刷用基材フィルムの拡販を進めていきます。
重点分野の2つ目は、住宅・建築資材です。国内建築市場の投資額は今後も横ばいで推移すると見込んでいます。
2028年3月期の当社のコンパウンド売上高は156億円と、2025年から21億円の増加を狙っています。お客さまのニーズに応える技術力・提案力で差別化し、拡販していきます。
投資/財務戦略
財務戦略とサステナビリティについてご説明します。新中期経営計画における財務戦略としては、稼ぐ力の伸長と、重点分野の拡大を支える各種投資を積極的に行っていきます。
3年間で稼ぎ出す営業キャッシュフローに加えて、Cash Conversion Cycleの改善や政策保有株式の圧縮等のバランスシート改革によって捻出した資金を、基盤投資や成長投資/研究開発費、戦略投資/株主還元に活用していきます。
新中期経営計画期間中の設備/システム投資は、国内を中心に大幅に増加させる予定です。なお、具体的な投資の内容については、正式な意思決定を踏まえて、今後発表します。
IT/DX投資については、製造プロセスの改革に注力していきます。
財務戦略-価値創造するバランスシートへの改革-
価値創造するバランスシートに向けた改革に積極的に取り組んでいきます。価値創造に貢献しないアセットを見直し、必要以上の株主資本を持たない効率的なバランスシートに向けた改革を進めていきます。
人的資本投資
人的資本については、新中期経営計画の戦略を確実に実行できる人材を確保するために、積極的に投資していきます。多様な人材が活躍できる風土の醸成、仕組みづくり、経営理念の浸透を進めます。
チャレンジメーカーにふさわしい人材の育成、従業員エンゲージメントの向上、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進に対して、それぞれ新たに目標を設定し、具体的な取り組みを進めていきます。
サステナビリティへの取り組み
サステナビリティへの取り組みについてご説明します。市場が求める環境対応製品の開発、情報開示の拡充、従業員のサステナビリティ意識の醸成をさらに進めていきます。
気候変動への対応については、現在目標に掲げているとおり、2030年のCO2排出量を2019年比で46.2パーセント削減することを目指します。2050年までにグループ全体でカーボンニュートラルの実現に向け、省エネ設備への更新、太陽光発電の増設等、具体的な取り組みを進めていきます。
サステナビリティへの取り組み/ステークホルダーコミュニケーション
ガバナンスについては、グループ経営管理の高度化と、サステナビリティガバナンスの強化に取り組んでいきます。リスクマネジメントについては、事業継続マネジメントの高度化と、サプライチェーンマネジメントの強化を進めていきます。
ステークホルダーコミュニケーションについては、すべてのステークホルダーのみなさまに対する施策を実施し、適切な情報開示と関係強化に努めていきます。
持続的成長と企業価値向上
以上の戦略を確実に実行することで、新中期経営計画においても、ROE10パーセント以上を維持し、PBR1.0倍以上の早期達成を目指していきます。なお、全社ROICの推移、および当社が認識しているWACCの推移は、スライド右側のグラフのとおりです。
資本政策/株主還元
資本政策/株主還元についてご説明します。当社の配当方針ですが、連結配当性向35パーセント程度を1つの目途とした上で、今後の事業投資と自己資本の充実等も勘案して、安定的な配当を行うことを掲げています。
2025年3月期も継続して増配予定で、前期比9円増配となる1株当たり41円を予定しています。発行済株式総数のうち8.1パーセントの自己株式取得を決定しており、取得した株式はすべて消却予定です。自己株式取得も含めた総還元性向は81.1パーセントとなります。
ご説明は以上です。リケンテクノスグループは、これからも「すべての生活空間に快適さを提供するリーディングカンパニーを目指して」邁進していきます。
ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:設備/システム投資による生産能力増強について
質問者:新中期経営計画の投資について、設備/システム投資に304億円とのことですが、この使い道に関心があります。特に生産能力増強に向けて、どのようなものを検討しているか教えてください。
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