目次
家﨑晃一氏(以下、家﨑):代表取締役社長の家﨑です。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
本日のご説明内容はスライドのとおりです。
ヒューマンテクノロジーズとは
当社の事業概要についてご説明します。
企業にとって最も重要な経営資源は「ヒト(人材)」です。その最も重要な資産である「ヒト」の「時間」をベースとした「人時生産性」を向上させることが、企業にとって大切であり、当社の社会的役割としても重要だと考えています。
Corporate Mission
私たちが目指すのは、ルーチンワークをなくし、データに基づく気づきによってお客さまの生産性を飛躍的に向上させ、それをワンクリックで実現することです。
そして、日々生み出されるさまざまな「気づき」を、幅広い業種・業態のお客さまに届け、人時生産性の改善に向けた創造的な業務を支える強力なエンジンになりたいと考えています。
KING OF TIME サービス概要
「KING OF TIME」は、クラウド型勤怠管理市場で10年連続シェアナンバーワンを誇る勤怠管理システムです。
主力の「KING OF TIME 勤怠管理」を中心に「KING OF TIME 人事労務」「KING OF TIME 給与」「KING OF TIME データ分析」「KING OF TIME システムログ」など、人事・労務領域を一元的にカバーする多彩なサービスを展開しています。これらの機能を、1人当たり月額300円のワンプライスで提供しています。
また、2025年2月にリリースした「KING OF TIME 電子契約」は、「KING OF TIME」の利用顧客に有料オプションとして提供しています。「KING OF TIME」との連携により、雇用契約書の締結や経費精算業務のさらなる効率化を目指します。
主要KPI
スライドには、当社の現状を示した数字上のトピックスを掲載しています。
特にお伝えしたいのは、他社に先駆けて最も早くサービスを提供していたため、すでに多くの利用企業を抱えていることです。さらに、ローコストオペレーションを確立しているため、SaaSのみで利益を生み出している企業となります。
主たるクラウドサービスである「KING OF TIME」のKPIについてです。SaaS売上のARRは約57億5,000万円となり、すでに6万社を超える利用者数、約400万の利用ID数を抱えています。
2025年3月期 決算ハイライト
2025年3月期の決算概要です。売上高は前年比20.3パーセント増の60億5,500万円、営業利益は前年比79パーセント増の9億3,000万円となりました。
売上高については、引き続きアナログ管理からの導入が多く、依然として開拓余地が大きいです。また、労務管理の高度化に対する関心は引き続き高まっており、勤怠管理システムの導入が進んでいます。
営業利益については、売上成長とコスト管理の徹底の相乗効果や、リリース遅延による電子契約システムの開発にかかる資産計上額が増加して営業利益を押し上げた結果、通期計画に対する達成率は126.8パーセントで大幅増益となりました。
また、バックオフィス業務全体の効率化を支援する新サービスのリリースも進み、勤怠管理領域にとどまらない価値提供に向けた大きな一歩となりました。
2025年3月期(累計)連結前年比較
各段階利益は、スライドに示したとおり高水準な増益となりました。売上高に関しては、基幹事業であるKOT SaaS売上が前年比21.2パーセント増の53億6,100万円となり、その他の売上と合わせると60億5,500万円で着地しています。
原価と販管費を合算したコストについてご説明します。社員数は前年比で12名増加し、318名となりました。その結果、人件費は前年比13.8パーセント増の22億8,000万円となっています。
外注費は、前年比13.7パーセント増の9億2,300万円です。これは給与計算システム開発費の一時的な減少と電子契約システムの資産化により、売上高外注比率が16.1パーセントから15.3パーセントへ低下したことによるものです。
そのほか、販促費が前年比20.1パーセント増の3億7,600万円となりました。
四半期売上高・営業利益推移
四半期別の売上高と営業利益の推移です。売上高は、引き続き堅調に右肩上がりで成長しています。主力サービスの「KING OF TIME」を軸に、その他売上では有償サポートや端末販売も好調に推移しており、安定した事業基盤を維持しています。
営業利益の変動についてです。当第4四半期は前第4四半期と同様に、決算賞与、追加の開発費、販売促進費が発生し、営業利益は約3,200万円となりました。
当社は利益を確保しながら成長を図る方針のため、上期の業績を見極めた上で下期に成長投資を強化する傾向があります。そのため、今後についても、第4四半期の営業利益率は他の四半期と比べて低くなる可能性があります。
2025年3月期(累計)通期予想比達成率
2025年3月期は、電子契約システムのリリース遅延が営業利益を押し上げる要因となり、通期予測を大幅に上回る126.8パーセントで着地しました。
2025年3月期(累計)連結貸借対照表
バランスシートの状況です。2月にリリースした電子契約サービスにかかる費用については、約4億5,000万円をソフトウェアとして資産計上しており、今後5年間で均等償却していく予定です。
利用ID数、利用社数、課金ID数、月次換算解約率
利用ID数、利用者数、課金ID数、解約率の推移です。利用ID数と課金ID数はそれぞれ順調に増加しており、解約率においても引き続き低位で推移しています。
ARR
ARRにおいても、勤怠管理の需要増による安定的な伸びが続いており、前年同期比で20パーセントとなりました。
2026年3月期 業績予想
2026年3月期の業績予想についてご説明します。収益拡大フェーズに突入する当期の売上高は72億6,500万円を見込んでおり、前年比で12億900万円増、20パーセント増となる計画です。
営業利益は12億8,500万円と、前年比で3億5,400万円の増益を計画しています。営業利益率は17.7パーセントと、前期の15.4パーセントから2.3ポイントの増加を見込んでいます。最終的な当期純利益は8億8,800万円と、継続的な高成長を見込んでいます。
このように、当社は売上成長と収益性の両立を引き続き実現しながら、中期目標である営業利益率30パーセントへの到達に向けて着実に進捗しています。
各事業トピックの背景と全体像
2025年3月期の事業トピックについてご説明します。「顧客基盤の拡大」と「顧客体験のさらなる向上」を両軸に、KOTサービスの提供価値を高める取り組みを推進しました。
顧客基盤の拡大では、販売パートナーやOEM連携、士業ネットワークの活用を通じて、新規顧客の獲得を図っています。また、顧客体験のさらなる向上では、給与計算のワンクリック実現やプレミアムサポートの強化など、導入後の継続利用や顧客満足度にも注力しています。
さらに、新しい付加価値の提供として、プレミアムサポートや「KING OF TIME 電子契約」といった付加価値サービスを段階的に展開し、単価向上と顧客定着を目指します。次ページ以降で、当期における事業トピックスについてご説明します。
TOPIC① OEM提供
顧客基盤のさらなる拡大に向けた取り組みとして、「KING OF TIME 勤怠管理」を弥生株式会社へ「弥生勤怠 Next」としてOEM提供しました。会計・給与領域で強い顧客基盤を持つ弥生との協業を実現し、中小企業・スモールビジネスのバックオフィス業務の課題解決を目指しています。
当社単独ではリーチが難しい顧客層に対し、弥生を通じてサービスを届けることが可能になります。
TOPIC② サービス連携
顧客基盤のさらなる拡大に向け、親和性の高い外部サービスとの連携を強化しています。直近では、給与計算アウトソーシング大手の株式会社ペイロールと販売代理店契約を締結し、API連携に向けた協議を開始しました。これにより、新たな顧客層へのアプローチが可能となります。
この他にもすでに200を超えるサービスと連携しており、今後も積極的にサービス連携を拡大し、共創による価値提供を進めていきます。
TOPIC③ 新機能リリース
顧客体験のさらなる向上に向けた取り組みとして、「KING OF TIME 給与」にて、給与計算がワンクリックで完了する新機能をリリースしました。
この機能は計算対象の選択や実行ボタンの操作を不要とするもので、「オペレーションからの解放」という当社のコンセプトをより強く体現しています。これにより、業務の効率化はもちろん、属人化リスクの低減も見込まれます。
また、「KING OF TIME」上の従業員情報が自動で給与に連携されることで、入退社から年末調整までの給与業務を一気通貫で完結できる点も大きな特徴です。
給与支払いの自動化に向けた大きな一歩として、今後もプロダクト進化を通じ、真のバックオフィスDXの実現に貢献していきます。
TOPIC④ 新サービスリリース
新しい付加価値の提供として、「KING OF TIME 電子契約」を正式リリースしました。本サービスは、契約書の締結・保管、領収書等の書類を保管できるオプションサービスで、「KING OF TIME」シリーズとの連携により契約業務や経費精算業務のDX化を後押しするものです。
「KING OF TIME 電子契約」は、署名・タイムスタンプを押し放題とし、お客さまが使用しているMicrosoft社の「Microsoft365」やGoogle社の「Googleドライブ」に書類を保管・保存できるのが特徴です。業務で発生するすべての契約書や社内書類・領収書・請求書にタイムスタンプを付与し、自社で利用しているストレージに保管できます。
TOPIC⑤ 各種受賞について
「KING OF TIME」は、勤怠管理領域において外部より高い評価をいただいています。
課金体系変更の進捗
2023年10月から段階的に行っている課金体系変更の進捗についてです。これまでは実際の打刻ベースで課金してきましたが、登録ベースへの変更を進めています。
スライドに記載のとおり、販路別に新規顧客から随時実施しており、昨年時点で直販と販売店の新規顧客については変更済みです。直近では、この4月に直販・販売店の既存顧客の課金体系を変更し、OEMに関してもOEMごとに4月から随時登録ベースに変更中です。
本変更に伴う課金ID数への影響については、2026年3月期第1四半期の実績を踏まえて、適切なタイミングで進捗状況を報告する予定です。
成長ポテンシャル
当期における成長戦略についてご説明します。日本の就業者数から見ると、当社のシェアは依然4.5パーセントで、拡大余地は大きいと考えます。人事労務、勤怠管理、給与計算までを1ID300円で提供するワンプライス戦略により、就業人口の10パーセントのID獲得を目指しています。
スライドには、マーケットポテンシャルを表しています。HR領域の市場規模は、現時点で8,000億円程度と捉えています。当社SaaSサービスの提供に加え、その他HR関連SaaSの販売とサポート、そこから派生する給与計算業務を中心とするBPO業務も、将来的な潜在市場だと考えています。
また、給与計算までを300円で提供することにより、東南アジア市場もターゲットにできます。
成長戦略
成長戦略についてです。当社は勤怠管理を足がかりに、HR領域でのマルチソリューションベンダーを目指します。
収益拡大の基本戦略は、課金ID数の拡大とARPUの拡大です。そのために、顧客数の拡大と顧客1社当たり付加価値の拡大を図っていきます。
マルチソリューションベンダーへの進化
サービス開始にあたり、全従業員データと組織データの入力が必須である点から、企業がDX化を検討する上で第1候補となる重要な「クラウド利用への入口」だと考えています。
当社は「KING OF TIME」を中心に、顧客とパートナーをつなぐプラットフォームとして連携を拡大することにより、HR領域全般にまたがるマルチソリューションベンダーとなることを目指します。
このプラットフォームを、サブスクリプション・マネジメント・プラットフォーム、通称「SMP」と名付けました。「KING OF TIME」を入口として、お客さまに必要なサービスを販売・サポートしていきます。
お客さまが利用中のサービスからも厚みを増したデータを収集・分析し、人事生産性向上につながる気づきも提供していきます。
収益顕現イメージ(2025年度~2027年度)
スライドの図は、収益と利益構造の変化イメージを示しています。あくまで参考イメージになりますが、2025年3月期までは「KING OF TIME」機能拡張に伴う先行投資フェーズ、現在の2026年3月期からはいよいよ収益拡大フェーズに入ったと捉えています。
収益拡大フェーズは、これまでの投資を回収しながら、売上・利益ともに成長を加速させていく期間です。具体的な中期目標として、年間20パーセントの売上増と営業利益率30パーセントの実現を目指しています。
この実現に向けて、単なる機能追加や拡販だけではなく、より付加価値の高いサービスの提供や戦略的パートナーシップの深化、データとAIを活用した継続的な価値提供の強化を図っていきます。
今期を収益拡大の起点として、持続的成長が期待されるフェーズへと確実に移行していくことが、私たちの描く成長ストーリーです。
株主還元
株主還元についてです。当社の配当方針については5月15日に発表したとおり、2025年3月期の業績結果を受け、配当を1株当たり20.5円とします。
当社は株主利益の最大化を重要な経営目標の1つと認識しており、配当性向30パーセントを目途に、経営成績に応じた配当を実施していく方針です。今後も利益成長に応じた持続的な配当を目指し、株主のみなさまへの期待に応えていきます。
以上でご説明を終わります。ありがとうございました。
質疑応答:今後の開発案件について
司会者:「『KING OF TIME 給与』『KING OF TIME 電子契約』をリリースしましたが、今後の開発案件について教えてください」というご質問です。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。