1.当期実績(前期比較)

霜田朝之氏(以下、霜田):みなさま、こんにちは。執行役員経理部担当の霜田です。本日はお忙しい中、当社説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。まずは私から、2025年3月期の決算概要についてご説明します。

当期実績はスライドのとおりです。前期と比較して、ゲスト1人当たり売上高の増やホテル事業の増などにより増収増益となり、過去最高の売上高及び各利益となりました。

1.当期実績(前期比較)-主な増減要因

セグメント別の実績と増減要因をご説明します。テーマパーク事業の売上高は、383億円増の5,521億円となりました。入園者数はほぼ同様となりました。

ゲスト1人当たり売上高は、アトラクション・ショー収入の増などにより、過去最高となる1万7,833円となりました。

アトラクション・ショー収入は、ディズニー・プレミアアクセスの増や東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージの増などにより増加しました。

商品販売収入は、ファンタジースプリングス関連商品が増加したものの、東京ディズニーリゾート40周年イベント関連商品の販売終了により減少しました。飲食販売収入は、ファンタジースプリングス開業に伴う新規店舗オープンなどにより増加しました。

1.当期実績(前期比較)-主な増減要因

テーマパーク事業の営業利益は、減価償却費や諸経費が増加したものの、売上高の増により9億円増の1,404億円となりました。商品・飲食原価率は、飲食原価率は原材料の高騰や一部食材の外部発注などにより増加しました。商品原価率は、在庫状況を鑑みた販売価格の調整による使用原価の増により増加しました。人件費は、賃金改定やファンタジースプリングス開業などに伴う労働時間の増による準社員人件費の増などにより増加しました。

諸経費は、老朽化対策などに伴うメンテナンス費の増や、集客活動の強化による販売促進費の増などにより増加しました。減価償却費は、ファンタジースプリングス開業による新規資産の取得などにより増加しました。

1.当期実績(前期比較)-主な増減要因

ホテル事業です。東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルの開業や客室単価の増などによる宿泊収入の増により、売上高は220億円増の1,104億円となりました。当期のディズニーホテルにおける客室稼働率は、東京ディズニーセレブレーションホテルの修繕の実施により、2.7ポイント減の95.7パーセントとなりました。

平均客室単価は、1万456円増の6万4,886円となりました。営業利益は、売上高の増などにより、56億円増の304億円となりました。

1.当期実績(前期比較)-主な増減要因

その他の事業は、乗降客数の増加に伴うモノレール事業の増加などにより、売上高は4億円増の167億円、営業利益は人件費や諸経費の増などにより1億円減の6億円となりました。

2. 当期実績(10月時点の想定との比較)

10月時点の想定と比較した増減要因をご説明します。入園者数は、リベンジ消費の落ち着きなどによる旅行需要の減、東京ディズニーリゾート40周年イベント終了による減が想定以上だったことによる減、雨天による減などにより下回りました。

ゲスト1人当たり売上高は、ディズニー・プレミアアクセスの増や商品販売収入の増などにより、上回りました。ホテル事業・その他の事業の売上高は、客室単価の増による宿泊収入の増などにより、上回りました。

テーマパーク事業のコストは、諸経費の減などにより下回り、営業利益への影響額は想定を上回りました。

2024中期経営計画の振り返り

2022年4月に掲げた2024中期経営計画の目標はスライドのとおりです。本方針のもと、ゲストの体験価値向上と財務数値の回復に向けて着実に進捗させてきた結果、感染症流行から力強く回復できたと捉えています。

2024中期経営計画の振り返り

各目標の振り返りについて、詳細にご説明します。目標1つ目のゲスト体験価値向上については、感染症流行による人々の価値観の変容や、当社としての新たな気づきを踏まえ、さまざまな施策を着実に実行してきました。1日当たりの入園者数上限を下げながら平準化を推進することで年間の入園者数の向上を目指す施策や、ディズニー・プレミアアクセスの導入による選択肢の提供など、従来にはなかった新たなやり方を模索してきました。

結果的にゲスト満足度は高い水準を維持しており、ゲストの混雑感に対するネガティブ感は感染症流行前より減少しています。

2024中期経営計画の振り返り

目標2つ目の財務数値の回復については、さまざまな施策を講じ、工夫しながらオペレーションを行ってきた結果として、2022年3月期から力強く回復し、2025年3月期には過去最高の営業利益、営業キャッシュ・フローを達成しました。

2024中期経営計画の振り返り

人事戦略は、従業員の働きがいを最大化しながら、持続可能な人員体制へ変化することを目標に掲げてきました。

働きがいの最大化については、エンゲージメント調査を導入しKGIを設定したことで、強みや課題の把握、それを踏まえた多角的な取り組みを実現しています。現時点では、エンゲージメント調査のスコアは上昇傾向で推移しています。

また、省力化や生産性向上の取り組みによって持続可能な人員体制を構築しながら、一人ひとりが安心して働けるよう処遇の改善は継続して行いました。財務戦略は掲げていたとおり、成長投資にキャッシュを優先的に配分しながらも業績の回復に合わせて段階的に増配し、感染症流行前の水準に戻すという目標を達成しました。

2024中期経営計画期間は、感染症流行からの回復と将来に向けたチャレンジの期間と位置づけ進んできましたが、得られた学びを2035長期経営戦略に活かしながら、新たな目標に向けて邁進していきます。

2035年に目指す姿- OLCグループの歩み

高橋渉氏(以下、高橋):高橋です。私から、2035長期経営戦略と2026年3月期業績予想についてご説明します。まずは、2035年に目指す姿をお伝えします。

「絶えることのない人間賛歌の聞こえる広場をめざして」、これは当社が舞浜の土地計画策定時に、全役職員で共有した事業に対する想いです。今回長期経営戦略を策定するに当たり、当社グループの事業や歴史、企業価値についてあらためて深く考えました。開業から今に至るまで、東日本大震災、感染症の流行など、さまざまな困難を乗り越え、累計8億人以上のゲストをお迎えするまでに成長してきました。

年齢、性別、国籍などを問わず、人と人とが触れ合い、共に喜び、笑い、感動し、その声が響き渡る空間と時間を創造すること、これがまさにハピネスの提供であると考えています。

2035年に目指す姿– OLCグループ像

具体的に目指すOLCグループ像はスライドのとおりです。人々の幸福への貢献と持続可能な社会作りへの貢献を両立させることで、従業員が心から誇れる企業にしていきたいという想いを込めて策定しています。これからもハピネス創造のパイオニアとして、大切にしてきた不変の想いを忘れず、事業の拡大や企業価値を向上させる取り組みを強化していきます。

2035年に目指す姿– 財務目標

当社は2035年までの期間で、持続的成長に向けた事業構造の進化と最適資本構成の追求による企業価値の向上を目指します。財務目標としては、2035年度時点で売上高1兆円以上、2029年度時点で営業キャッシュ・フロー3,000億円レベルを掲げます。ROEについては、早期に2024中期経営計画期間より更に上の水準を目指します。

当社グループの更なる発展と進化に向け、長期経営戦略を力強く推進することで、財務面で一段高いステージへ成長させていきます。

2035年に目指す姿- 長期経営戦略の全体像

2035長期経営戦略の全体像についてご説明します。事業戦略としては、「事業を通じた成長」と「企業価値向上に資するOLCグループ独自の活動」を推進していきます。「事業を通じた成長」については、内外環境の機会とリスクを踏まえ、東京ディズニーリゾートの集客基盤を強化・活用することを方針とします。テーマパーク事業・ホテル事業で集客基盤をより強固にし、その集客基盤を活用してクルーズ事業を成長させる好循環を生み出します。

「企業価値向上に資するOLCグループ独自の活動」については、事業活動のみでは成しえない取り組みを進めることで社会的価値を創出し、ひいては当社グループの成長につながるものと位置付けています。加えて、事業のベースとなる人事方針、財務方針も今まで以上に取り組みを強化し、2035年に目指す姿を達成していきます。

事業を通じた成長

事業を通じた成長についてご説明します。今後の国内市場の縮小に備え、東京ディズニーリゾートの集客基盤を強化・活用することを目指します。

既存事業であるテーマパーク事業やホテル事業の成長はもちろん、2029年度時点でクルーズ事業が通年稼働することで、当社グループの成長を加速していきます。

事業を通じた成長– テーマパーク事業

セグメント別の戦略について、テーマパーク事業からご説明します。私たちが目指すテーマパークの姿は、「世の中の想像を超える、ハピネス創造の最高峰」です。そのために、まずはベースとして、あらゆる人々が共に喜び、笑い、感動できる空間と時間を作るため、積極的な成長投資を継続することにより、魅力的なパークを提供します。

その上で、新たな収益モデルの確立に取り組みます。従来は、入園者数やゲスト1人当たり売上高を向上させる施策に取り組んできており、もちろんその施策は今後も重点的に取り組みます。加えて、既存の枠組みにとらわれない新たな収益源を創出します。

事業を通じた成長– テーマパーク事業(成長投資)

成長投資についてご説明します。世の中では新たなエンターテイメントが次々に現れ、社会のみなさまの期待値や求めるものの基準が上がっています。私たちが提供する価値も、社会のみなさまの期待に応えることで磨かれ、向上させていくべきものであると考えています。

そこで、2035年までの開発方針は「東京ディズニーリゾートならではの開発による、世界中のどこにもない感動と驚きの提供」とします。エリア刷新などの大規模開発、アトラクションやエンターテイメントなどへの積極的な投資、新しい体験の提供に向けた取り組みを視野に、テーマパーク用地のダイナミックな再編を行います。

事業を通じた成長– テーマパーク事業(成長投資)

今後開発を予定している大規模投資をいくつかご紹介します。まずは、すでに発表済みのトゥモローランドエリア内の再開発です。

『シュガー・ラッシュ』の世界を舞台としたアトラクションと、開業時から親しまれてきたスペース・マウンテンとその周辺エリア一帯の開発を行います。トゥモローランドエリア内が大きく生まれ変わることとなり、ゲストに新たな体験価値を提供できるよう着実に進捗させていきます。その他にも、現在検討しているエリア刷新の開発構想の例をご紹介します。

テーマパークのエリア刷新の構想イメージ

エリア刷新の構想イメージの1つです。東京ディズニーリゾート内のエリアの1つを、大規模に刷新していきます。みなさまに未来に向けた期待感をお持ちいただけるよう、常に研究開発を進めています。

テーマパークのエリア刷新の構想イメージ

こちらもエリア刷新の構想イメージの1つです。先ほどもお伝えしたように、ダイナミックにテーマパーク用地の再編を行っていきます。今後の発表にご期待ください。

事業を通じた成長– テーマパーク事業(成長投資)

テーマパークは約10年のスパンで開発計画を立て、2つのパークでバランスよく需要を喚起できるよう、常に検討を重ねています。既成概念にとらわれない「夢」を描き、本物へのこだわり、妥協なき強い信念を貫き通し、ハピネス創造へのパイオニアとしての使命を全うしていきます。

事業を通じた成長– テーマパーク事業(入園者数)

入園者数については、「国内ゲストのファン層の拡大」と「海外ゲストの集客強化」を行います。施策の詳細はご覧のとおりです。あらゆる人々が共に喜び、笑い、感動できる空間と時間という目指す姿を踏まえ、国内市場の縮小に備えファン層を拡大します。

加えて、訪日外国人数の増加という機会を踏まえ、海外ゲストの集客強化も行います。詳細化したエリアの特性に合わせた集客活動の実施やOTAとの連携強化などにより、海外ゲスト数を増加させます。

事業を通じた成長– テーマパーク事業(夏期の集客に向けて)

今後の夏期の集客に向けた取り組みの方向性をアップデートします。全体方針は、「夏にしか体験できない特別なパークを創りあげることによる需要喚起」です。パーク内体験においては、スペシャルイベントやコンテンツ規模を拡大し、夏ならではの体験の拡充や、快適性向上を目的とした施策を実施していきます。

加えて、夏のテーマパークの魅力訴求も積極的に行います。魅力のあるパーク環境を創りあげながら、その魅力を徹底的に訴求し、夏期の集客を強化していきます。

事業を通じた成長– テーマパーク事業(ゲスト1人当たり売上高)

ゲスト1人当たり売上高については、多様なニーズに適応し、既存サービスを高度化します。チケット価格戦略については、従来の価格改定方針を維持しながらも、外部環境が事業に与える影響が増幅していることも踏まえ、価格改定方針を追加しています。

また、従来育ててきたサービスもさらなる成長を図ります。ディズニー・プレミアアクセスについては顔数を拡大し、幅広いゲストの体験価値を高めます。対象施設の追加や事前予約制、それらを踏まえた適正価格の検討など、サービスの幅を広げることで多様なニーズに対応します。

東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージについては、特別感、快適さ、確実に体験できる安心感、これらをより提供していきます。

認知向上に向けた取り組みや、新しいコンテンツを活用したプランの組成など、ターゲット別の打ち手を講じ、販売件数を継続的に伸ばしていきます。

事業を通じた成長‐テーマパーク事業(新たな収益源)

こちらは新たな収益源です。ディズニー・プレミアアクセスや東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージは、ゲスト満足度のみならず、収益に大きく貢献するサービスになるまでに成長してきました。今後のさらなるテーマパーク事業の成長のためには、今までの延長ではなく、新たな収益源の創出も必要であると考えています。

そのため、これまでにはない手段やサービス等を大胆に開発し、来園・非来園にかかわらず、新たな収益源を創出します。これにより、テーマパーク事業では入園者数とゲスト1人当たり売上高の枠組みにとらわれない収益モデルを確立します。今後、研究開発を推進し、内容を詳細化した上で発表したく、どうぞご期待ください。

事業を通じた成長 ‐テーマパーク事業(コスト)

今度はコストについて触れます。外部環境などに鑑み、各コストは増加を見込んでいます。そのため、それぞれのコストコントロールを推進し、増加幅を最小限に抑えることで、収益性の維持・向上を実現します。

各コストの方針はスライドのとおりです。特に諸経費については、各活動の質向上による必要コストの最適化に加え、予算管理体制の見直しも行っていく予定です。外部環境の変化に耐えうるコスト構造を目指していきます。

事業を通じた成長‐ホテル事業

ホテル事業についてご説明します。現在、6つのディズニーホテルを有しており、客室数は約3,500室に上ります。既存のディズニーホテルでは、テーマパークとのシナジーを生み出し、ディズニーホテルならではの体験を拡充することで、高い客室稼働率を維持しています。それと並行して、レベニューマネジメントを継続することで、収益の最大化を図ります。

また、海外ゲストの増加という機会を取り込むべく、海外ゲストに向けた東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージの認知向上、販売強化への取り組みを積極的に推進していきます。加えて、高い客室稼働率を維持しているディズニーホテルには、さらなる需要があると認識しています。そのため、今後の成長に向け、東京ディズニーリゾート周辺で新規ディズニーホテルの増設を検討します。

事業を通じた成長‐クルーズ事業

クルーズ事業についてご説明します。2024年7月に、当社グループの新たな挑戦であるクルーズ事業への参入を発表しました。東京ディズニーリゾートで強固にした集客基盤を活用することで、特定のターゲットのみならず、ファミリーや若手層まで幅広いターゲットに体験を提供します。

40年以上、東京ディズニーリゾートを進化・成長させ続けてきた実績を誇る当社グループだからこそ、このファミリーエンターテイメントクルーズを成功に導けると考えており、今までにはない体験を日本市場に提供します。

事業を通じた成長‐クルーズ事業

船内では、1回の乗船では体験しきれないほど豊富で魅力的なコンテンツを用意する予定です。何度も乗船したくなるようなワクワク感の創出により、テーマパーク同様にリピーターを増やし、持続的な成長につなげます。

事業を通じた成長‐クルーズ事業

クルーズ事業は既存事業にはない強みを持つ事業であると考えており、当社グループ全体の収益性の押し上げのみならず、舞浜エリアのみで経営していくことへのリスク低減にもつながります。だからこそ今、クルーズ事業に参入する意義・必要性があると判断しました。

事業を通じた成長‐クルーズ事業

2024年7月に発表した投資額と投資対効果に関する情報をアップデートし、スライドのとおりとなります。収益性については市場調査を基に算出しており、今後売上高のアップサイドを精査していきます。

営業利益率は償却中の就航数年後には20パーセント台後半を目指すことで、テーマパーク事業を上回る収益性となる見込みです。1隻目を着実に成功させた上で、2隻目の就航も検討していきます。

クルーズ事業により当社グループをさらなる進化に導き、事業を通じた成長を成し遂げていきます。

企業価値向上に資するOLCグループ独自の活動

企業価値向上に資するOLCグループ独自の活動についてご説明します。

スライドをご覧ください。1つ目はESG活動を通じた社会的価値の創出です。社内の推進体制や実行状況に合わせて、ESGマテリアリティを再編しました。加えて、2035年に目指す「持続可能な社会作りへの貢献」の活動として、事業活動における環境負荷をできるだけゼロに近づけていく「循環型リゾート」の取り組みを行います。具体的な内容については今後アップデートしていきます。

企業価値向上に資するOLCグループ独自の活動

2つ目は、CVC活動を通じた社会的価値の創出です。従前は幅広い分野への投資を行ってきましたが、今後はOMOと人材・学び・観光の産業へ集中的に投資をしていく方針を固めました。

今後は、ベンチャー企業の人材交流なども継続しながら、新たな成長機会となりうる事業創出へ挑戦し続け、社会的価値を創出していきます。

人事方針

人事方針と財務方針についてご説明します。

2035年に向けた人事方針は「新しい価値を生み出し続ける集団への進化」です。国内全体として労働人口の減少が想定される中、当社の価値の源泉である人材の質と量を担保することは非常に重要です。

人事方針の達成に向けた課題をエンゲージメント調査の観点などから洗い出し、人材の成長基盤、組織力、働く安心感の強化を重点的な取り組みとして設定しました。全従業員が2035年に目指す姿の達成に向けた価値創造の担い手になり、事業競争力を強化していきます。

財務方針

財務方針は「企業価値向上に向けた最適資本構成の追求」です。具体的には、規律ある財務レバレッジの活用、株主還元の強化を行いながら、あわせて資本コストの低減やオーバーハングに課題意識を持ち、放出に対しては最善の方法をとれるよう進めます。

規律ある財務レバレッジの活用については、自己資本比率は現在の格付けレーティングを維持できる水準を下限とし、有利子負債の調達は資金需要に鑑み必要に応じて実施します。

株主還元については、安定配当を継続しながら、2035年までに30パーセントの水準の配当性向とします。加えて、自己株式の取得も実施していきます。結果として、ROEは2024中期経営計画期間のさらに上の水準を早期に目指します。

財務方針‐キャッシュ・アロケーション

5ヶ年のキャッシュ・アロケーションはスライドのとおりです。まずは、成長企業として引き続きキャッシュを成長投資に優先的に配分します。加えて、自己株式の取得や成長投資など、企業価値向上に向けて最善の手立てを講じられるよう、資金需要への機動的な対応枠として3,000億円規模を確保します。

あなたと社会に、もっとハピネスを。

以上が、2035長期経営戦略となります。創立から65年、当社グループが歩んできた道は決して平坦なものではありませんでしたが、どのような環境下でも意見を出し合い、集合知として解を見いだしてきました。

私たちが提供してきたハピネスは生活必需品ではありませんが、人々にとってなくてはならないものであると考えています。私たちが提供するものやサービスを自信を持って磨き続けていきます。常に点検を怠らず、まっさらな目で評価をして、横に連携して改善に努めます。真摯に、まじめに、熱心に、事業に取り組んでいきたいと考えています。

一方、当社グループを取り巻く環境が変化していく中、新たな変革や工夫も必要です。全従業員の想像力と実行力を結集し、短期視点に走らず、目指す姿に向かって成長していきます。

通期予想の前提

高橋:2026年3月期の業績予想についてご説明します。まずは2025年度の位置づけについてご説明します。2025年度は、短期目線ではなく中長期の目線に立ち、長期経営戦略の初年度として、中長期的な成長に向けた基盤固めの年と考えています。

そのため、成長戦略の実現に向けての資源配分を行うべく、中長期的なリターンなどへつながるコストを積み増して投下します。具体的には、働きがいの向上として賃金改定などの人件費や、集客基盤の強化の実現に向けた研究開発費や販売促進費、ゲスト満足度維持・向上のためのエンターテイメント関連費用、システム関連費用などです。

コストコントロールを推進し、コスト削減を並行して行っていくものの、単年度の利益を追求するのではなく、将来に向けての投資を積極的に行っていきます。

通期予想(前期比較)

2026年3月期通期業績予想はスライドのとおりです。当期は入園者数の増加などによる増収を見込んでいるものの、コストの増加などにより減益となる見込みです。

通期予想(前期比較)‐主な増減要因

セグメント別の増減要因をご説明します。テーマパーク事業の売上高は、79億円増の5,601億円となる見込みです。入園者数は、ファンタジースプリングスの通年稼働や、海外ゲスト数の増加などにより44万人増の2,800万人を見込んでいます。

通期予想(前期比較)‐主な増減要因

スライドをご覧ください。ゲスト1人当たり売上高は、41円減の1万7,792円となる見込みです。アトラクション・ショー収入は、東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージの減を見込むものの、変動価格制による高価格帯チケット構成比の増に加え、長期保有株主用パスポートの減による増などにより増加する見込みです。

商品販売収入は、ダッフィー&フレンズ20周年関連商品により増加するものの、ファンタジースプリングス関連商品の減などにより、減少する見込みです。飲食販売収入は、ほぼ同様となる見込みです。

通期予想(前期比較)‐主な増減要因

テーマパークの事業の営業利益は164億円減の1,239億円となる見込みです。商品・飲食原価率は、飲食原価率の賃金改定などによる製造人件費率の増加などにより、約10億円の増加を見込んでいます。

人件費は、前期に計上された業績賞与が減少するものの、賃金改定や人数増などによる正社員人件費の増加などにより、約75億円の増加を見込んでいます。

減価償却費は、既存資産の償却進行による減を見込むものの、ファンタジースプリングスの通年稼働などにより2億円の増加を見込んでいます。

通期予想(前期比較)‐主な増減要因

諸経費の増減要因の詳細をご説明します。諸経費は約155億円の増加を見込んでおり、増減のイメージはスライドのとおりです。約40億円の増については、主に外部環境によって増加するコストです。ファンタジースプリングスの開業コストが減少するものの、メンテナンス費用やシステム関連費用などは外部環境などに鑑み、増加を見込んでいます。

今後は中長期的に抜本的なコストコントロールによる適正化を目指し、増加幅を最小限に抑えます。

それ以外の約115億円の増については、2025年度のみ発生する一過性のもの、もしくは中長期の成長のためのコストによるものとなります。

冒頭にもお伝えしたとおり、成長戦略の実現に向けての資源配分として、中長期の成長のための必要なコストを積み増し、2035長期経営戦略で掲げている財務目標を達成していきます。

通期予想(前期比較)‐主な増減要因

ホテル事業の売上高は、東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルの通年稼働による増や客室単価の増加などにより、68億円増の1,172億円を見込んでいます。営業利益は、減価償却費や諸経費が増加するものの、前期の業績賞与計上による人件費の減などにより、53億円増の358億円を見込んでいます。

通期予想(前期比較)

その他の事業は、イクスピアリのリニューアルに向けた改修工事などに伴う不動産賃料収入の減などにより、売上高は8億円減の159億円、営業利益は8億円減少し、2億円の損失となる見込みです。

株主還元について

配当についてご説明します。通期業績を踏まえ、2026年3月期の年間配当金は、1株あたり14円を予想しています。2035長期経営戦略で発表のとおり、引き続き安定配当を継続しながら、成長投資に優先的に資源配分を行いつつ、2035年までに配当性向30パーセントまで継続的に高めていきます。

2026年3月期業績予想と今後の財務方針を総合的に勘案し、配当金は前期から据え置くこととしました。

特別株主優待の実施

続いて、特別株主優待の実施についてご説明します。

当社グループは今年で創立65周年を迎えます。株主のみなさまに今までの感謝の意を込めて特別株主優待を実施することとし、2025年9月30日時点で100株以上保有していただいている株主のみなさまに、1デーパスポートを1枚配布します。

2035長期経営戦略で発表のとおり、配当性向の向上や自己株式の取得、株主優待の拡充などにより、引き続き株主還元を強化していきます。

株主・投資家のみなさまにおかれましては、これからも成長していく当社グループを中長期的に見守っていただきたく、ご指導・ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いします。私からは以上です。ありがとうございました。