参加者の自己紹介
司会者:まずお名前と、投資手法をお1人ずつおうかがいできればと思っています。
ロコロコ氏(以下、ロコロコ) :ロコロコと申します。2014年から投資を始めて、今は専業でやっています。スタンスとしては業績がいいところ、かつ株主還元をしっかり充実させている企業に注目しています。最近でいうと、PBR1倍割れ対策とかは見てはいるのですが触ってはおらず、基本は業績というところでずっと投資をしています。
O氏(以下、O) :Oと申します。投資は2018年の秋ぐらいから始めました。最初の頃は図書館に通って自分で勉強していました。個人投資家さんの集まりに参加して勉強しています。
まるのん氏(以下、まるのん):まるのんと申します。兼業投資家で、サラリーマンをやりながら片手間で投資をしています。すごくふわっとしているのですが、中長期的に見て、いいなと思う会社にただ投資している感じです。株主総会に行くのがけっこう好きで、銘柄に惚れてはいけないと言われているのに銘柄に惚れて、うだつが上がらない投資をしています。まず社長さんが言っていることや、社員さんの動き方を観察して、ずっと伴走していきたいなと思う会社を長く持つという投資をしています。
DAIBOUCHOU氏(以下、DAIBOUCHOU):DAIBOUCHOUです。ログミーさんとはセミナーへの登壇などで、けっこうお付き合いさせていただいています。このオフ会も何度か参加させていただいて、Oさんがいた塾にも入っています。今は小型株の超分散投資です。
司会者:まるのんさんは、総会に参加してやはり社長を見る感じですか?
まるのん:社長さんもそうですし、周りにいる取締役の方の動き方とかを見たりしていますかね。
O:私も見ますね。経歴や考えなどを参考にします。
まるのん:取締役の方とか、場合によっては執行役員の方などが、しゃべるかしゃべらないかとかが社風を表したりすることもあります。また、質問の応対対応の方法も、逐一、事務局からペーパーもらって答弁されるケースもあれば、社長がお一人で活発にお話をされるケースもあります。他にも、周りの取締役を指名して多くの取締役の方に発言機会を与えた上で、自分が捕捉する会社もあったりで、けっこうスタイルが分かれるかなと思っています。
日頃の取締役会とかでも、こんな感じで議論しているのかなと想像してみると、だから安心できるというわけではないですが、これだったら託してもいいかなと思えるというのはあるかもしれないですね。
銘柄紹介:コスモスイニシア(8844)
司会者:では、DAIBOUCHOUさんから銘柄を紹介していただいてもいいでしょうか?
DAIBOUCHOU:はい、コスモスイニシア(8844)です。マンションデベロッパーっぽいですが、ほとんど利益はホテルの運営と売却です。あとソリューションビジネスという投資家向けの物件売却と仲介。最近だと、PER、PBRはマンションデベロッパー相応のすごく割安な感じです。不動産ではありがちですが、ちょっと理解されていないんじゃないかなと思っています。
あと、第2四半期ですごく進捗が良くて、上方修正しているのですが、もう少し上振れ余地あるんじゃないかなという感じもしています。
次に、第2四半期時点のセグメント別ですが、ソリューションと宿泊の利益が圧倒的です。マンション分譲のレジデンシャルの利益は少ないです。ただマンションは分譲の竣工は下期に多いので、おそらく下期に利益が乗りやすくなるかなと思っています。ソリューションと宿泊、特に宿泊は開発ばかりではなく、運営でストックのものも多くあるので、安定性もあるかなと思っています。
前期通期ではより顕著で、宿泊がほとんどの利益を稼いでいます。前期はコロナなどもあって赤字です。コロナの最中はずっと赤字だったのですが、ようやく儲かるようになりました。宿泊施設として日本人にほとんど知名度がないのは、利用者が外国人ばかりだからです。96パーセントが外国人という、ちょっと極端な数字になっています。自社開発のホテルを売って、その売ったものを運営してという感じでやっています。
宿泊のセグメント別の利益ですが、すごい勢いで利益を稼げるようになっています。ソリューションも最近、機関投資家を含めてマンションを買う人もいっぱいいる感じですね。
今までの経緯についてお話しします。普通にマンションデベロッパーとしてやっていたのですが、リーマン・ショックで潰れそうになって、大和ハウス(1925)がいったん資本を入れて傘下になりました。その後、共立メンテナンス(9616)に大和ハウスの一部、25パーセントぐらいの株を売却しました。大和ハウスと共立メンテナンスのほぼ2社が株を持っていて残りが上場して売買されている感じです。
38パーセントが大和ハウス、25パーセントが共立メンテナンスという感じです。大和もダイワロイネットホテルをやっていて、共立はご存じのとおりドーミーインを運営しているので、持分法ですが、ホテルには非常に強みがある会社の子会社という状況です。こんな感じでホテルがメインになったのも、最近ではあります。コロナの最中はとてもじゃないですが、ホテルやっている場合ではなかったので、最近になってホテルの事業が増えている感じです。
ソリューションはちょっとわかりにくいんですよ。投資家向けにいろいろやっています。 宿泊事業では、運営と開発。アウトドアリゾートもありますが、それはちょっと比率が小さいので、そんなに気にしないでいいかなと思います。宿泊は右肩上がりで伸びていて利益が増えています。宿泊事業の良いところは、売った時も売却益を得るのですが、売った後も運営はこのコスモスイニシアがやるので、運営の利益も得られるところです。
霞ヶ関キャピタルの「FAVホテル」が投資家にはすごく有名ですが、実は、アパートメントホテルのシェアトップは「MIMARU」というコスモスイニシアがやっているところなんですね。私も最近まで、「MIMARU」というホテルが日本にあることすら知らなかったのですが、おそらく外国人には有名なのかな。アパートメントホテル4,000室のうち、「MIMARU」が1,400室なので、けっこうなシェアですね。
コンセプトはほとんど「FAVホテル」と同じです。利用者は圧倒的に外国人で、宿泊も平均4日とすごく長く、グループばかりです。一般的に、ホテルの利用者は2名以下が多いと思いますが、「MIMARU」の宿泊者はほとんどがグループです。単価も5万円なので、そこそこ高いのですが、グループなので、1人当たりではそんなに高くない。長期滞在がけっこういる感じですね。
最後に、これはリアルゲイト(5532)と同じで、開発して売る場合、デベロッパーで終わってしまうのですが、売った後にマスターリースで借りて運営をしているんですね。借りる賃料がコストとしてかかりますが、ホテルの賃料、ホテルの値段、単価、稼働率が上がると、その分売上が伸びます。もちろん成果報酬で、賃料が増える部分はありますが、稼働が増えると儲かりやすい。そして、開発すればするほど、この賃借と売上が増えていくので、ストック性もある。そのため、自然と成長性が期待できる。
コスモスイニシアが一括して借りるので、買い手の投資家には、空室リスク、維持管理、運営、手間などがかからない。一括で借りて、何パーセントかの利回りで金利をもらえるので、「じゃあ、買うわ」という話で、資金潤沢な投資家が、リース会社とか、ファンドとか、Jリートとかを買っています。コスモスイニシアは、この開発売却での売却益だけじゃなく、運営の収益ももらえます。
「MIMARU」がどんどん開発されて、数が増えるとなれば、「MIMARU」が外国人に認知されて、ブランド価値も上がりますし、より付加価値が生まれて、売却とかの利益も得やすくなるし、運営もしやすくなる。売却しないで自分で持ちながら運営するのも1つの手ではありますが、コスモスイニシアはそこまで資金が潤沢というわけでもないし、有利子負債が無限に増えていくと終わっちゃうので、そうならないように物件を回転しながら、開発した物件のストックは、賃借と運営で増えていく感じになります。だから非常に割安な株価評価なのですが、中身を見ると、非常に成長性と安定性が保たれるビジネスをしているんじゃないかと思います。
司会者:「MIMARU」の出店の計画については、おっしゃっているのでしょうか。
DAIBOUCHOU:今、1,400室ですが、2030年ぐらいには3,000室にするということです。5年で1,500室。毎年、200室から300室、増やしていく感じですかね。
司会者:なるほど。ホテル利用者の95パーセント以上が海外の人たちというところもずっと続きますもんね。
DAIBOUCHOU:一応、東京と京都と大阪と、けっこう場所は絞っているんですけど、大阪は万博もあるし、おそらく利用者が増えるんじゃないかな。
まるのん:3地域に絞られているのは何か理由はあるんですか。
DAIBOUCHOU:たぶん、外国人が長期滞在したくなる魅力があるのだと思います。
まるのん:インバウンド需要というと、最近では北海道をはじめ、地方においても需要が創発されそうですよね。なので、出店の余地もまだまだありそうな気がしますね。
DAIBOUCHOU:そうそう。出店余地はあると思いますね。実際、「FAVホテル」も、長崎とか、いろいろなところに作っているので、余地はある。ただ、3都市に出店を絞っているのは何か理由があるのでしょうね。
資料を見ると、大阪と東京はまだ増やせる余地があると書いてあります。京都は供給がすごくいっぱいあるのはわかっているけれど、需要もいっぱいあるから、バランスがとれたというニュアンスで、まだ東京・大阪で増やしていく余地があるイメージですかね。あとは投資家側の希望もあるんじゃないですかね。東京・大阪のほうが買うにしても間違いがないというか。そういうところもあるかなと。
司会者:「MIMARU」って知りませんでした。
DAIBOUCHOU:私も、他の人からコスモスイニシアが「MIMARU」の宿泊事業をやっているよと聞くまでは知らなかったので、本当に日本人向けには一切広告とか、何もしてないんだなという感じですね。
日本人でもグループで旅行する人はいっぱいいると思うので、多少、知名度増やしてもいいんじゃないかなって思うんですけどね。コロナが明けて、ようやく黒字化して、バッと増えた感じなので、安定してからかなという感じですね。
「FAV HOTEL」をやっている霞ヶ関キャピタル(3498)は今、PERが15倍とかですが、コスモスイニシアのPERは5とか6ですからね。霞ヶ関キャピタルがやっている投資家向けのビジネスと似たところもありますしね。
銘柄紹介:クラシコム(7110)
司会者:では、次に行きましょうか。まるのんさんお願いします。
まるのん:クラシコム(7110)についてお話しします。この会社は2022年8月にグロース市場に上場しています。兄弟で経営しているのですが、資金調達を一度もせずに上場していて、上場時には、その兄妹だけが株を持っていたというすごく珍しい会社です。
事業内容は何かというと、D2C事業です。要するにECで、雑貨やアパレルを売っているお店を運営しています。主に女性がターゲットになっていて、「北欧、暮らしの道具店」というECサイトを運営し、北欧らしい映えるものがいっぱい売っています。最近では、スキンケアとかコスメとか、商材を拡大してきています。
もう1個、ブランドソリューション事業というものがあります。「北欧、暮らしの道具店」というものを運営する中で、そのマーケティング手法の秀逸さには定評があり、大手のメーカーやナショナルブランドが、ブランディング構築の手法に魅力を感じて注目を集めています。自社の製品をブランド化するというソリューションを顧客企業に提供しています。誰しもが聞いたことのある、あるいはふだん日常で使われているような大手メーカーさんの商品のマーケティング活動を支援する(商品動画を作るなど)販促支援を手掛けています。
ビジネスモデル上で注目している2つの軸があって、1つは、商材の展開と顧客接点です。ECをやっている会社なので、この2つが重要なのですが、商材の展開のところでは、SKUの数を絞っています。小売業の場合、在庫管理などの面で非常に大事なのですが、同社では同業他社と比べても圧倒的に少ないSKUで運営されています。
本来SKUの数を増やしてさまざまな商品を提案して購入機会を増やすことが一般的ですが、それを敢えて抑えているというのが非常にユニークです。このSKU数を維持しながらも、商材の種類を工夫をしながら拡充していって、その中でPBや他社とのコラボ商品を企画して、多くのユーザーに支持されているというのが、今の状況になっています。
もう1点、顧客接点のところでも特徴があります。物を売る会社は、販促をかけてクーポンを発行したり、頻繁にセールを行うなどすることが一般的なのですが、この会社はそのような販促にできるだけ頼らずに、自社で読み物だったり、映画だったり、短編ドラマだったりを制作し、そのコンテンツを通してファンを作って、その世界観で上手く顧客と接点を持って、お買い物に繋げていくという、広告宣伝をできるだけかけないやり方で、今まで運営されてきています。
足元では、メディア露出の効果なども踏まえつつ、新たな顧客接点を創造するためにいろいろと試行しながら、試験的にやっていたマーケティングを本格化することで、さらに効果がありそうだと踏んで、今期、大きく投資を行うグリッチになっているというのが、今の状況です。
業績推移はどうかというと、先ほどお話ししたとおり、売上は順調に伸ばしているのですが、今期の利益水準は投資先行となり下がっています。株価のチャートは上場した時が最も高く、その後下がって、上方修正をしたり、いろいろなことがあって、株価は戻っていたのですが、直近、投資に踏み切るというところで株価が下がっています。
バリュエーションですが、現状はだいたいEPSが70円ぐらい出ていて、PERが17.5ぐらい。時価総額が80億円ぐらいになっています。この会社は中計を出していて、アクセルを踏んだ後にどうなるのかというところで、自分の中で悲観と楽観でEPSを見積もってみると、だいたい120から150ぐらいになりそうという判断をしています。
時価総額のシミュレーションですが、比較的ネットキャッシュを豊富に持っているというところもあって、今、87億円の時価総額に対して40億円超のネットキャッシュを有している点も考慮に入れています。今後、営業キャッシュフローがどんどん積み上がっていく中で、よりキャッシュも潤沢になっていることを踏まえて、時価総額として悲観のシナリオ130億、楽観シナリオ220億の中央値ぐらいに来るかなと見ているところです。
投資判断についてです。現状からそんなに飛躍して成長するビジネスでもないのですが、今は一時的にグリッチになっていながらも、その投資効果が出ていることを踏まえると、EPSも回復すると思いますし、PERも改善するんではないかと見立てています。
O:クラシコムなどEC系は気になっています。AIを活用した物流系とのコラボ。
まるのん:そうですね。コラボといえば、連結子会社にアパレルを1社迎えて、今、ちょうど物流改革も一緒にやっています。この会社は、基本的に送料を全ユーザーから取っています。
会社の開示内容や株主総会、IRの方の発信内容などを見ていると、物流会社にもきちんと利益がいくようにすごくコントローラブルに運営されていて、フェアに儲かることをすごく考えられていて、お客さんにも理解してもらっているので、自社の成長のために、近視眼的にいいことをするんだという感じではないところが素敵だなと思っています。そういうことをしちゃうと、一気に信用が失われてしまうので、そういう顧客基盤に支えられてるというのも、非財務的な資産かなと思っています。
DAIBOUCHOU:グリッチ過ぎたら、EPSは150ぐらい? 中計だと120くらいですが。
まるのん:そうですね、中計どおりだとすると120ちょいくらい、自分の楽観的な目線でみると150くらいまではEPSの伸長余地があるかなとみています。
銘柄紹介:良品計画(7453)・東京メトロ(9023)など
司会者:次は、Oさんお願いします。
O:私は相場循環を意識しています。政治経済や為替、金利、CPIなど最初はまったく知らなかったのですが、関連書物を読むようになってから意識するようになりました。そこから恩恵を受ける業種、業界を見ていく感じです。
自分がどこのプールで泳いでいるのか、規模感はやはり大切だと思っています。バブル時代は世界の株式投資の運用額の約50パーセントが日本株でした。現在日本株は約5パーセントで、アメリカ株が約50パーセントになっています。
私は時価総額で企業を見ています。マグニフィセント7は、今7社で2200兆円で、アメリカ株全体の時価総額が7500兆円なので、もうその3倍まで膨らんでいます。アメリカのGDPから見ると、2倍に膨らんでいて、少しバブっているなと感じています。
日本だと、上場している企業の時価総額が約900兆円。2024年8月に1000兆円を超えました。時価総額で考えた時に、これが2倍、3倍になっていくかというイメージを持つようにしています。
ドル円と投機的なポジションについて、私はわりと日経平均をドル建てで計算しています。2024年の夏も投機的なポジションが積みあがっていました。あとは、金利ですね。ずっとデフレ、ゼロ金利政策だったものが2パーセント手前まで上がってきています。アメリカの金利が30年もので5パーセントに迫る勢いです。そうするとやはり株安に動くので、ポジションを調整しています。
銘柄を選ぶ時に見ているのは、大きなテーマと好業績と材料です。エントリータイミングは、チャートや板の強さなど見て判断しています。外部環境や地合いも意識しています。2024年は大統領選挙が多く、政策方針など参考にしています。他に各省庁が出している予算案を見ています。
日経平均はあまり見ておらず騰落レシオを見ています。騰落レシオは市場の体温計なので。
決算や中計を見ながら銘柄を選んでいます。ログミーさんの記事を参考にしたり、直接IRにうかがったりしています。
7453の良品計画です。この会社は祝日に株主総会を開催していて、個人投資家を大切にしてくださっているなあと感じました。昨年社長が交代したので、今後の経営戦略も注目しています。
気候的にエルニーニョ現象もあり、空調関連も見ています。木村工機(6231)が株価を戻してきており、ログミーさんで紹介されていた三機工業(6231)は、今年創業100周年になりますので、記念配当を期待しています。
昨年上場した9023の東京メトロはロックアップ0パーセントで、株主が財務大臣と東京都です。PERを比較するとJR東日本(9020)が15.8、JR西日本(9021)が12.1で妥当水準かなと思いました。人口が首都圏に集中してきていることと、タワーマンションの最寄り駅効果を期待しています。株主優待もあり、個人投資家を呼び込みやすいかなと思いました。
まるのん:良品計画の株主総会は祝日にやっていて、子ども連れて行けるし、子どもも株主なので一緒に行きました。ファンミーティングも含めて、いい関係性を築いてる会社だなといつも感心しています。
ふだん触れることのない、マクロの話がうかがえて大変勉強になりました。GDPから見て何倍になっているかという視点って、ふだんあまり触れることがないので。
日経のBPSがどうとか、PERがどれぐらいの水準になっているから、アメリカPERと日本のPERを比較してという話はよく聞くんですけど、GDPに対して、よりマクロの視点でお話しされていたので、おもしろいと思って拝聴していました。
騰落レシオを使っているという話だったんですけど、この会社いいなと思ってエントリーしても、騰落レシオって、外部環境でいきなり上がったり下がったりするじゃないですか。
中長期とかで、この会社いいなと思っても、騰落レシオが上がってきたりすると、どこかでポジションを縮小しなければいけないという判断をくださなけらばいけなくなると思うんです。そういうのには、自分の調べてきたこととかのサンクコスト的なことにとらわれずに、機動的に対応できるものですか。
O:過去のチャートの動きを見ながら考えています。昨年から資産を減らさないようにポートフォリオを組むにはどうしたらよいか考えるようになりました。
なので、金(ゴールド)も持っています。資金が少ない時は決算プレイや回転売買をしていましたが、振り返った時に金利や為替など、どっちに振れても転ばないようにするにはどうしたらいいのか考えました。他に、外国人投資家動向は見ています。
まるのん:ありがとうございます。
銘柄紹介:東京海上(8766)
ロコロコ氏(以下、ロコロコ):私の発表は保険の東京海上(8766)です。
今年は万博が開かれたり、生成AIだったり、いろいろなテーマがあるんですけど、個人的には、業績に直結するテーマ2つに注目しています。今日もちらっとニュースになっていましたが、日銀の金利上昇。2025年は金利が上がってくるというのが1つ。あともう1つは、政策保有株式の削減。積極的に政策保有株式の削減を進めていくというテーマで、東京海上が注目されるのかなと思っています。
事業構想はまさに保険です。グローバル保険グループへの成長というところで、2002年度の利益は、海外が3パーセントで、国内が97パーセントだったのが、2023年度の利益は、国内が25パーセントで、海外で75パーセントの利益を稼ぎ出したというところに変わってきています。
2023年は、利益の75パーセントを海外で取っているのですが、それでもまだ、北米のシェアで見ると、約1パーセントしか取れていない。日本では、本当にトップの保険会社ですが、グローバルで見るとまだまだです、これから世界に打って出る。
私はこういう企業が大好きです。これから10倍のシェアを取っても、北米シェアの10パーセントなのでおもしろいなと思います。
内部成長とポートフォリオの見直しにより資本を創出し、ROE向上に対する事業投資に充てる。良質な案件に恵まれなければ、株主還元を実行すると宣言しています。
そして2025年の政策保有株式の縮減を見た時に、どこが1番徹底的にやっているのかなというところで、たぶん東京海上が注目されるかなと思っています。個人投資家で話題の井村さん(井村俊哉氏)が、雑誌やネット記事のインタビューで地銀に対して、政策保有株式の縮減をしっかり進めてくださいということを言っていました。
保有目的を政策保有から純投資に変えるという、目的を変えるだけでずっと保有を続けてしまうのはやめてくださいね、とも言っているのですけど。東京海上の資料を見ていくと、政策保有株式の縮減のところでラベル替えを行わないとしっかり明言しています。
DAIBOUCHOU:政策保有株式の安易なラベル替えは行わないって、おもしろいな。
ロコロコ:かつ、これから2029年まで6年間で、東京海上が今まで何十年にわたってずっと積み上げてきた政策保有株式を全部放出しますと言っています。
どこかのバリュー投資家が「開かない金庫を開ける」と表現していましたが、これから金庫の解放が6年間続く。そしてこのキャッシュが入ってくるメリットが非常に大きいと思っています。
配当施策も、持続的な利益成長と連動した累進的配当です。昨今、日本は配当投資家がけっこう増えていますが、東京海上もしっかり増収・増益・増配を続けていく、配当性向50パーセントの企業です。今の配当利回りは3パーセントぐらいというところです。実際にパフォーマンスのところでも、昨年はトピックスや銀行業を上回っています。
最後に今年は銀行や保険など、金利上昇が追い風になるセクターが強いのかなと思っています。その中でも、この株価上昇による値上がり益と、配当金を合計したトータルで東京海上がいいんではないかなという感じです。
まるのん:私、政策保有のことについて疎いので、もし良かったら教えてもらいたいんですけど。政策保有と言っているからには、いいことがあるから持っていたという要素もあると思うのですが、保険会社が保有しているメリットというのはどういうものなのでしょうか。
ロコロコ:メリットはあったと思います。冗談半分の話で、毎年談合で不祥事でやらかしましたというのが、だいたい保険業界だったりしていたので。
例えば、自賠責保険や地震保険って、どこの保険会社でも同じ保障内容、同じ保険料だったりします。しがらみによるシェアがある中で、政策保有株式を持っていることによって、すごくメリットがあると思います。だから、開示資料でも政策保有株式の縮減と徹底的に掲げていますが、それがなかなか進まない。わざわざ開示しないと進められないというのが理由の一つだと思っています。
まるのん:逆にそういうメリットがあっても、それを乗り越えてやらなければならないという覚悟で、こういう開示が出ていると受け止めればいいのでしょうか。
ロコロコ:そうですね、個人的にはそう思っています。
まるのん:縮減していくトレンドができてくると思うんですけど、どんどん手放そうとすると、その株式は放出されていくわけじゃないですか。みんなが放出してしまう場合、それの受け皿はどういう考え方になるんですかね。
ロコロコ:困っている企業もあると思います。ただ、自社株買いをする余力がある企業は逆に株価反発するところもあります。逆に売り出しだけで終わってしまう自社株買いする余力がないところは下がってしまう。たぶん、千差万別だと思います。売られるほうは困ってしまうと思うんですけど。売る方からすると、キャッシュが入るので、今まで自由に使えない資産でしかなかったものが、キャッシュとして入ってくる。
キャッシュって、企業の可能性を変えるというか、いろいろな成長戦略に変えたり、株主還元に使えたり、企業が変わる、ものすごくいいきっかけになるはずなので、変化があるのかなと思っています。ちょっとどうなるかまだわからないですけど。
まるのん:勉強になりました。ありがとうございます。
DAIBOUCHOU:SOMPOホールディングス(8630)とかMS&AD(8725)とか、損保株はけっこういろいろありますけど、その中でも東京海上がいいというのは何か理由があるんですか?
ロコロコ:先ほどのお話にもあったとおり、海外の機関投資家って、グッドカンパニーを買ってくると思っていて、日本の保険会社の中で三菱グループの東京海上なのか、MS&ADなのか、損保なのかという時に、おそらく東京海上が選ばれるのかなと思います。
例えば、防衛でどこが買われるのかという時に、三菱重工(7011)という日本の基幹産業というか、そのトップがわかりやすく選ばれるのかなと思います。
防衛も、時価総額が数十億円の小さいところはあまり買われないですからね。3年前の海運、一昨年の総合商社、去年の防衛みたいに、トップの企業って、それまでの指標の概念を覆すというか。三菱重工がPER30倍とか、三菱商事(8058)の配当利回り2.5パーセントとか、たぶん5年前とかだと、いや絶対買わないですよ、みたいになっていたと思うんですけど。
よっぽど握力が強い人たちを除いて、多くの人が商社を手放したし、海運を手放したし、三菱重工を手放したし、もしかしたら政策保有株式の縮減というテーマに乗って、保険にも期待できるのかなと。
(次回につづく)