エグゼクティブサマリー

大西洋平氏(以下、大西):株式会社I-ne代表取締役社長の大西です。これより2024年12月期の決算説明資料に基づき、決算情報についてご説明します。

エグゼクティブサマリーです。今期の業績について、通期の連結売上高は前期比プラス8.1パーセントの450億円、連結営業利益は前期比プラス4.7パーセントの45億8,000万円となり、上場来5期連続の増収増益を達成しました。

また、中国法人撤退に伴う特別損失および累積損失に係る税効果会計を適用したことなどにより、当期純利益は期初業績予想を大きく上回る29億3,000万円で着地しました。

中期方針については、昨今の当社を取り巻くビジネス環境を鑑み、2028年から2030年で売上高1,000億円の実現に向けた戦略と指標を更新しました。詳細については、後ほどご説明します。

2025年度の業績については、主力事業の継続成長に加え新規注力事業の大幅成長により、引き続き増収増益を目指すほか、EBITDAベースでは前期比プラス30.1パーセントの大幅増益を見込みます。

そして、2024年12月期に1株当たり配当金額13円の普通配当を実施しましたが、さらに0.5円増配した13.5円の普通配当を行います。

連結売上高

連結業績のハイライトからご報告します。2024年通期連結売上高は450億円、前年同期比プラス8.1パーセントの増収となり、過去最高の売上高を更新しました。

連結営業利益

2024年通期連結営業利益は45億8,000万円、前年同期比プラス4.7パーセントの増益となり、売上高に加え過去最高の営業利益を更新しました。

連結売上高 四半期推移

連結売上高の四半期推移です。2024年第4四半期単体の連結売上高は136億9,000万円、前年同期比プラス22.6パーセントと、大幅な増収となりました。

主にヘアケア系・美容家電カテゴリーにおける主要ブランドの成長と、第4四半期に取得したトゥヴェール社の売上高が増収を牽引しました。

連結営業利益 四半期推移

連結営業利益の四半期推移です。2024年第4四半期単体の連結営業利益は16億2,000万円、前年同期比プラス22.3パーセントと、大幅な増益となりました。マーケティング投資の最適配分やコストの効率化により、為替影響を受けながらも営業利益率は横ばいの推移となりました。

カテゴリー別売上高

カテゴリー別の売上高についてご説明します。

ヘアケア系に関して、カテゴリー全体のPOSは通期で前期比プラス6.2パーセントと、堅実に成長を継続しています。2023年10月にフルリニューアルした「BOTANISTシャンプー・トリートメント」が発売され、大規模発注による在庫調整の影響が継続し、売上高は前期比プラス3.9パーセントの着地となりました。

美容家電は、前期比プラス15.6パーセントと、中高価格帯の好調が増収を牽引しました。スキンケア他は、複数のブランドが大きく成長したほか、トゥヴェール社の参画もあり前期比プラス35.5パーセントと、大幅な増収となりました。

コスト構造

コスト構造についてご説明します。2024年通期の営業利益率は、前期比マイナス0.3ポイントの10.2パーセントとなりました。

売上原価は、為替やDr.SYUWANの引当等の影響など、増加要因が1年を通してありましたが、OEMパートナーとの継続的な取組みの結果、横ばいを維持した推移となりました。

物流費については、前期比マイナス0.9ポイントと毎期継続的に改善しています。物流費率は上場時である2020年通期の10.8パーセントから6.0パーセントにまで低下しており、マイナス4.8ポイントもの大幅な削減となりました。今後も引き続き、改善に向けた施策を実行していきます。

広告・販促費については、ECチャネルでの売上高好調による販売手数料の増加と合わせた戦略的な投資配分および効率化に取り組みました。固定費については、直近実施したM&Aでのディール関連費用やのれん償却費等の発生により、比率は増加となりました。また、人件費比率の増加要因については、次のスライドでご説明します。

人的資本投資の強化

今後のさらなる成長を見据え、2024年度は戦略的に人的資本への先行投資を実施しました。まず労働市場における競争力強化に向け報酬制度を見直し、平均給与および昇給率を大幅に向上させました。その結果、退職率も大幅に改善しています。

また、ハイレイヤーを中心とした採用も積極的に行い、組織の能力密度が高まっています。グループ全体の社員数は、2023年度末との比較で90名増加しており、今後の成長戦略の実現を牽引する組織の構築および人材配置が順調に進んでいます。

連結BSサマリー

BS(バランスシート)の推移についてご説明します。2024年10月31日にM&Aを2件実施し、同日時点で90億5,000万円ののれんを計上しました。本のれんは決算説明会時点における暫定値であり、2025年12月期第1四半期中に完了予定であるPPA評価の結果に応じて、必要な会計処理を行います。なお、本のれんの償却は2024年11月より開始しており、2024年12月期における償却費用は1億5,000万円となります。

ヘアケア系カテゴリーの進捗

ここからは、カテゴリーの進捗についてご報告します。

ヘアケア系カテゴリーの通期売上高は315億円、前年同期比プラス3.9パーセントで増収となりました。競争が高まるヘアケア市場状況の中でも、メーカー別POSは前期比プラス6.2パーセントと、堅調な成長軌道を維持しています。

「YOLU」は既存品と第3四半期発売のボディケアがともに好調で、売上高は前期比プラス13パーセントと、大幅な成長となりました。「BOTANIST」の売上高においても、第4四半期単体で前年同期比プラス11.5パーセントの成長を遂げ、特に「ROOTH」は第3四半期のリニューアル後の伸長率がプラス158.6パーセントとなり、課題改善を経て大きく成長することができました。

また「BOTANIST」「YOLU」から季節限定品、「WELLP」から第2バリアントを新発売し、商品ラインナップも拡充しました。ヘアケア系カテゴリーにおいては、今後も引き続き主要ブランドの成長と新ブランドのスケールに注力し、積極的な新商品投下およびマーケティングを行っていきます。

美容家電カテゴリーの進捗

美容家電カテゴリーである「SALONIA」についてです。美容家電カテゴリーの通期売上高は106億6,000万円、前期比プラス15.6パーセントの増収となりました。2024年目標をさらに上回る着地を実現させ、「SALONIA」は今期で100億円超えのブランドとなりました。

そして、中高価格帯製品の売上比率増加により、収益構造の改善も進んでいます。中でも「EMSリフトブラシ」が前期比プラス322.7パーセント、「フェイススチーマー」が前期比プラス154パーセントと大幅な成長を続け、増収に貢献しました。

さらに、新商品展開も積極的に行い、定番品の秋冬限定カラーに加え、中高価格帯2製品を新たに発売しました。今後も引き続き、既存商品の成長および新商品の拡充によるさらなる増収を目指し、マーケティング施策等に注力していきます。

スキンケア他カテゴリーの進捗

スキンケア他カテゴリーの通期売上高は28億3,000万円、前期比プラス35.5パーセントと、大幅な成長となりました。第4四半期単体においては、「WrinkFade」が前年同期比プラス8.8パーセントと堅実に成長したほか、「SKN REMED」は前四半期比プラス328.4パーセントと、各施策により成長率が加速し、着実に規模拡大を実現しています。

今期より参画した「TOUT VERT」はECチャネルの売上好調により、トゥヴェール社の創業以来過去最高の売上高を更新しました。

さらに複数販路でECアワードを獲得しており、同ブランドの売上高拡大もスキンケア他の増収に寄与しました。

また、11月に日本初の美容鍼灸発想ブランドである「BiRyu」をローンチしました。今後も新ブランドや新商品の開発・スケールを目指し、中長期のカテゴリー全体の成長実現に向けて取り組んでいきます。

グローバルの進捗

グローバルの通期売上高は13億4,000万円、前期比プラス19.2パーセントの増収となりました。台湾の売上高は、第4四半期単体で前四半期比プラス93パーセントです。また香港では、通期で前期比プラス33.4パーセントと大幅に成長を継続し、連続的な増収を実現しました。

東南アジアにおいては、マレーシアの首都にて「BOTANIST」のローンチイベントを実施するなど、現地での認知向上につながる取り組みを行い、台湾・香港以外の複数販路においても増収となりました。

中国に関しては、市場動向や事業環境の悪化等を踏まえて、現地法人の解散および清算を決定しました。撤退に伴う税効果会計により、当期純利益が期初予想よりも増益となりました。

今後は、既存販路でのマーケティング戦略等の注力に加え、新規販路の開拓などにより、さらなるグローバル分野の拡大・成長を目指します。

4Q 新商品(一部抜粋)

スライドの画像は、第4四半期に発売した新商品および新ブランドの一部です。年間を通じて各カテゴリー、各ブランドから、季節に合わせた限定商品や新規性のある商品を次々と市場に投入しています。今後も強みを活かした新商品開発と効果的なマーケティング戦略の展開に注力し、各カテゴリーでのさらなる成長と企業価値の向上を目指していきます。

4Q 受賞アワード

第4四半期における受賞実績をご紹介します。ECモール関連の複数の受賞に加え、コーポレートサイトや製品デザインなどの幅広い分野において評価をいただきました。

「企業コーポレートサイト賞」のグランプリは、昨年の「企業BtoCサイト賞」に引き続き2年連続のグランプリ受賞です。さらにグッドデザイン賞を受賞した「SALONIA」は、5年連続となります。

Social Beauty Project(2024年通期 サステナビリティの取り組み)

サステナビリティの取り組みについて、いくつかご紹介します。

CFP(カーボンフットプリント)については環境省のモデル事業に選出され、「BOTANIST」の一部製品を対象とし、OEMとともにバリューチェーン全体のCO2排出量を算定しました。

資源利用では、バージンプラスチックの使用削減目標30パーセントを前倒しで達成したほか、FSC認証紙の利用率も100パーセントを維持しています。

RSPOにおいては、環境に配慮したパーム油生産を支援するため、B&C(ブック&クレーム)方式での認証購入を開始しました。その他にもさまざまな取り組みを進めており、今後も企業軸、ブランド軸ともに環境保護と社会貢献の両面で、サステナビリティを推進していきます。

2028-30年売上高1,000億円の達成に向けた成長戦略

2028年から2030年に向けての中期方針についてご説明します。2022年通期決算発表時に、売上高1,000億円をターゲットとした長期ビジョンを発表しましたが、当社を取り巻く昨今のビジネス環境を鑑み、目標と成長戦略を更新します。主な更新は3点です。

はじめに、当社の主力事業であるヘアケア系・美容家電の他に、新たな成長の柱となる事業を育成します。対象となる事業は、これまでにも取り組んできたスキンケアの他、目薬や柔軟剤といった新カテゴリーも含めています。

次に、M&Aを通じた新たな強みの獲得と事業領域の拡張を行います。昨年トゥヴェール社およびArtemis社の2件のM&Aを実施し、目下PMIを進めています。今後もM&Aを成長戦略の1つに据えた上で売上高1,000億円の達成確度を高めていきます。

最後に、目標とする収益指標にEBITDAマージンを追加します。これは、M&Aを成長戦略の1つに据えたことによるものです。収益率の設定根拠については、次のスライドで詳細をご説明します。

成長戦略の実現サイクルと収益率イメージ

今後の成長戦略の実現サイクルについては、スライドの図のとおりです。まず、既存主力事業の収益および生産性を最大化し、そこから生まれた収益を次なる成長に向けての原資とします。

新たに成長の柱となる事業の育成は、社内における新規事業の立ち上げとM&Aの両面から実施します。それらが拡大して主力事業化することで、さらなる成長投資の原資を生み出すというサイクルです。

このサイクルのスタート地点となる既存主力事業からの収益のターゲットは、営業利益率、EBITDAマージンともに約15パーセントから17パーセントです。そこから新規事業の立ち上げにかかるコストを、全社売上高の約1パーセントから2パーセント、M&A関連費用を約3パーセントから4パーセントに設定しています。

これらのコストは、売上高1,000億円およびその先の持続的成長を図る上で必要不可欠な成長投資であり、それらを差し引いた営業利益率は11パーセント、EBITDAマージンは14パーセントとなります。

事業ポートフォリオの変革

事業ポートフォリオの変革についてご説明します。足元における実績および予想では、ヘアケア系カテゴリーの売上高が全体の6割から7割を占めています。今後は、次の成長の柱となる事業の育成を加速させ、継続的にM&Aを実施することで、2028年から2030年においてはヘアケア系カテゴリー以外の売上高が全体の約6割となるよう、事業ポートフォリオを変革していきます。

国内におけるターゲット市場規模

現時点で、新カテゴリーとして検討を進めている事業領域のすべてはお話しできませんが、国内における既存主力事業と新規注力事業のTAMは約5兆2,000億円にのぼり、既存主力事業のみの数字と比較して約5倍の規模となります。

新カテゴリーの選定にあたっては、当社の強みであるブランド創出力、OMO、IPTOSを最大限活用できる市場および製品を厳選します。

当社が「BOTANIST」によって、レッドオーシャンと思われたヘアケア市場で中価格帯のシャンプー・トリートメントという新規市場を開拓してきたように、当社独自の強みを組み合わせた商品をさまざまな領域で展開し、イノベーションの実現による市場の創出と獲得を目指します。

M&A戦略の推進

M&Aの過去実績としてブランド取得や売却を行っており、前期には2件のM&Aを実施しました。今後、M&AやPMIに向けたさらなる組織強化と財務規律を遵守した検討を行うことで、継続的なM&Aを実行していきます。

中期計画の早期達成に向け、M&Aを通じて新たな強みの獲得、双方のシナジー創出による事業領域拡大に努めます。

2025年12月期 業績予想

2025年12月期の連結業績予想についてご説明します。連結売上高は前期比プラス70億円、プラス15.5パーセントの520億円、連結営業利益は前期比プラス4億6,000万円、プラス10パーセントの50億4,000万円とし、営業利益率は9.7パーセントを目指します。

また、先ほど中期方針のパートでご説明したように、今後はM&Aを成長戦略の重点施策の1つとするため、今期よりEBITDAを業績指標に追加しました。連結EBITDAにおいては、前期比プラス15億7,000万円、プラス30.1パーセントの67億6,000万円と大幅増益を目指します。

2025年12月期 業績予想:カテゴリー別売上高

カテゴリー別売上高の業績予想についてご説明します。

ヘアケア系は前期比プラス2.2パーセントの322億円、美容家電は前期比プラス7.9パーセントの115億円、スキンケア他は前期比プラス192.3パーセントの83億円と予想しており、全カテゴリーで増収を目指します。カテゴリーごとの方針は、次のスライド以降でご説明します。

2025年12月期 業績予想:ヘアケア系カテゴリーの注力取組み

ヘアケア系カテゴリーの注力取組みについてです。まず、当社の主力事業の1つである中価格帯ヘアケア市場は昨今、新規参入企業が増加傾向にあります。主力ブランドである「BOTANIST」および「YOLU」の棚の確保、また、新規ブランドの配荷に向けた商談は順調に進んでいる一方、中堅ブランドの継続成長に向けたハードルは高くなっており、ヘアケア系カテゴリー全体での成長率は前期比プラス2.2パーセントと、保守的に設定しました。

外部環境の変化を踏まえた上で、ヘアケア系カテゴリーの安定的かつ持続的な成長を着実なものにするため、さまざまな施策を検討・展開していきます。各ブランドにおけるリニューアルや新製品発売に加え、さらなるオンラインビジネスの強化、オフラインビジネスでは小売店と協業した新規施策を複数実行し、棚および山積み獲得の最大化を目指します。

2025年12月期 業績予想:美容家電・スキンケア他カテゴリーの注力取組み

美容家電・スキンケア他カテゴリーの注力取組みについてです。美容家電においては、新商品の拡充や販路拡大による売上高増に加え、収益構造の改善による利益率の成長を実現します。

スキンケア他カテゴリーにおいて、「TOUT VERT」ではPMIに注力しながらも、ECチャネルでのさらなる伸長や新販路の開拓などに取り組みます。

「TOUT VERT」を除いた他ブランドにおいては、既存ブランドの伸長、そして強みを活かした新カテゴリー製品の展開により、前年同期比プラス83.5パーセントの売上高成長を見込みます。また、例年どおりリスクを織り込んだ上で計画を立てており、業績予想を上方修正できるよう取り組んでいきます。

2025年12月期 コスト構造

コスト構造です。2024年度に取得したArtemis社を通じた商流変更による中間マージンの削減や、OEMパートナーとの原価削減に向けた継続的な取組み等により、売上原価は前期比マイナス3.3ポイントの大幅改善を予定しています。

売上原価改善による収益は、広告費/販促費や人件費等、今後のさらなる成長に向けた投資コストに配分します。

新ブランドや新カテゴリーへの先行投資の影響により、営業利益率は一時的に悪化する想定ですが、EBITDAマージンは前期比プラス1.4ポイントの改善を見込んでいます。なお、2024年に実施したM&A2件ののれんおよびPPAに関する減価償却費については、概算で計上しています。

2025年12月期 四半期イメージ

四半期ごとの収益イメージです。売上高については市場特性もあり、第1四半期は2024年第4四半期比で減収想定ですが、前年同期比では増収を見込みます。営業利益、EBITDAマージンについては、のれんの計上や広告費/販促費等への先行投資の影響から、第1四半期は前年同期比で一時的に悪化想定ですが、第2四半期以降では増収に伴い上昇させていく見込みです。

キャッシュアロケーション方針と株主還元

最後に、キャッシュアロケーション方針と株主還元についてです。以前からお伝えしているとおり、さらなる成長に向けての投資をキャッシュアロケーションの最優先項目としつつ、適宜キャッシュバランスや株価等を鑑みた株主還元施策も実施していきます。

昨年度には普通配当の実施、自己株の取得、株主優待の開始を発表しましたが、2025年度には株主優待の継続に加え、1株当たり0.5円の増配を実施します。引き続き、株主のみなさまのご期待に添えるキャッシュアロケーションおよび株主還元施策を検討していきますので、なにとぞよろしくお願いします。

質疑応答:昨今のビジネス環境とそれに対する打ち手について

司会者:「長期計画の修正の背景にある昨今のビジネスモデル環境について、具体的にどのような状況を指しているか教えてください。また、それに対する打ち手としてどのようなことを考えているか、教えてください」というご質問です。

ここから先は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。

※本登録案内のメールが確認できない場合、迷惑メールフォルダやゴミ箱に自動的に振り分けられている可能性がありますので、今一度ご確認いただきますようお願いいたします。