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喜多伸夫氏(以下、喜多):サイオス株式会社代表取締役社長の喜多です。当社2024年12月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は、2024年12月期業績の振り返り、2025年12月期通期業績予想、中期経営計画の順にご説明します。
2024年12月期業績(連結)
はじめに2024年12月期業績を振り返ります。スライド中央の白抜きの数字は2024年12月期の損益です。ご覧のとおり、増収増益で終了することができました。
連結売上高
連結売上高です。2024年度は205億6,100万円となりました。前年同期比29.4パーセント増という結果です。
連結営業利益・EBITDA
連結営業利益・EBITDAです。スライドに記載のとおり、営業利益は前年同期比2億4,300万円の改善・黒字化となりました。EBITDAも同様に2億3,400万円の改善・黒字化となりました。
貸借対照表(連結)
貸借対照表の状況です。スライド右側の表に記載のとおり、2024年12月31日時点の資産合計は80億8,500万円となりました。流動資産は71億7,500万円で、このうち現預金が36億7,700万円となっています。負債合計は65億4,700万円で、このうち有利子負債が1億200万円となりました。
スライド下部に主な増減要因を記載しています。資産については、現金及び預金が10億7,300万円増加したことが主な要因となっています。負債については、契約負債が6億3,800万円増加したことが主な要因となりました。こちらは、お客さまからの前受金を契約負債と表記しています。
キャッシュ・フロー(連結)
キャッシュ・フローについてご説明します。スライドのグラフは、一番右の2024年12月末現金及び現金同等物36億7,700万円に至る推移を示しています。
営業活動におけるキャッシュ・フローは、2023年12月末現金及び現金同等物から8億6,500万円増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、2億9,800万円増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、1億2,700万円減少しました。換算差額3,800万円を加え、2024年12月末に36億7,700万円になりました。
キャッシュ・フロー変動要因
それぞれのキャッシュ・フロー変動要因については、スライドの表に記載のとおりです。
オープンシステム基盤事業
続いて、セグメント別の業績についてご説明します。はじめにオープンシステム基盤事業です。売上高は145億7,300万円、前年同期比47.1パーセント増と大幅な増収となりました。
増収要因として、Red Hat, Inc. 関連商品の好調な増収が挙げられます。また、「LifeKeeper」については、オンプレミス向けの復調に加え、クラウド向けも伸長したことから堅調な増収となりました。
オープンシステム基盤事業
オープンシステム基盤事業のセグメント利益は、2億3,800万円となりました。前年同期比164.8パーセント増と、こちらも大幅な増益になっています。
増益要因として、Red Hat, Inc. 関連商品は大型案件を受注したものの、売上総利益率の低い案件であったため、増益部分への影響は軽微でした。「LifeKeeper」については、増収が寄与して増益となっています。
したがって、オープンシステム基盤事業の増益については、主に「LifeKeeper」関連ということになります。
Elasticとの提携による生成AI関連案件の創出
オープンシステム基盤事業の取り組みとしては、米国Elastic社との提携による生成AI関連の案件創出を、2024年にスタートさせました。Elastic社の日本法人であるElasticsearch K.Kと契約を結び、戦略パートナーとして、Elastic技術を使ったRAG導入から運用までの支援サービスを開始しています。
アプリケーション事業
続いて、アプリケーション事業についてご説明します。売上高は59億8,600万円、前年同期比0.3パーセント増と微増でした。
要因として、APIソリューション事業では、API領域に特化した高い技術力により活況な市場の需要を獲得して好調な増収となったことが挙げられます。SaaS(Software as a Service)製品の「Gluegent Flow」「Gluegent Gate」は順調な増収となっています。MFP(複合機)向けソフトウェア製品も堅調な増収でした。
一方で、金融機関向け経営支援システムの販売は減収となりました。こちらの事業に関しては、2024年末に事業譲渡しています。
アプリケーション事業
アプリケーション事業のセグメント利益は、マイナス2億500万円となりました。前年同期は3億1,100万円の損失だったため、改善が進んでいると言えます。
主な要因として、研究開発費の選択と集中を図ったことにより、セグメント損失が前年同期比で改善されたことが挙げられます。先行投資を抑えたことにより、状況が改善しています。
Gluegent FlowとGluegent Gateの実績
アプリケーション事業の取り組みとしては、SaaSに注力しており、「Gluegent Flow」「Gluegent Gate」を販売しています。ARR成長に向けた各種施策を実施し、この成果により順調に伸びています。
合計ARR推移の具体的な数字はスライドのグラフのとおりです。2024年12月の合計ARRは、前年伸長率13.0パーセント増と順調に伸びています。内訳は、「Gluegent Flow」が34.0パーセント増、「Gluegent Gate」が4.6パーセント増となっています。
Gluegent Flowに生成AI機能を新たに搭載
「Gluegent Flow」については、新たに生成AI機能を搭載したサービスも開始しています。主にユーザーアシスト機能となりますが、こちらを充実させることにより、ワークフローの利便性・操作性が大幅に向上しています。
特に利便性の面では、ワークフローを利用する一般ユーザーに加え、ワークフローシステムを管理する情報システム部門の管理者向けの機能充実により向上しています。
QuickスキャンにAI-OCR機能を搭載
トピックスとして、もう1つの取り組みをご紹介します。複合機向け製品である「Quickスキャン」にAI-OCR機能を搭載しました。これにより、手書き文字・白抜き文字の読み取り精度が大幅に向上しています。
スライド右側の表にあるように、例えば、原稿の黒背景白抜き文字について、今回導入したAI-OCRでは正確にスキャンできていますが、従来OCRでは非認識となっています。斜体文字も同様の結果となっています。
また、手書き文字についても、AI-OCRでは正確に読み取りができています。同様に、手書きの数字についても正確に読み取りできるようになりました。
以上のように、アプリケーション事業の充実にも取り組んでいます。
2025年12月期 通期業績予想
2025年12月期通期業績予想についてご説明します。既存事業を強化し、着実な営業利益伸長を見込んでいます。
スライド中央の白抜き部分が2025年12月期の業績予想です。売上高190億円、営業利益7,000万円、経常利益1億6,000万円の計画です。経常利益は減益となりますが、括弧書きで記載したとおり、予想ではデリバティブ評価損益等を見込んでいないため、減益予想となっています。
具体的には、2024年12月期の経常利益1億8,900万円のうち、5,300万円がデリバティブ評価損益等になります。不確実性が高いことから、今回の予想では見込んでいません。これにより経常利益は若干の減益という状況ですが、営業利益が倍増しているため、着実に利益伸長を実現できると予想しています。
中期経営計画
中期経営計画について、報告セグメントの変更も合わせてご説明します。まずは、中期経営計画の数字面です。セグメントごとに成長戦略を策定し、利益成長と資本収益性の向上を図ります。新たな報告セグメントごとの戦略を確実に実行することで、3ヶ年の数字を実現したいと考えています。
2027年12月期には、売上高225億円、営業利益3億1,000万円、EBITDA3億6,200万円、ROIC10.9パーセントを目標に、ローリング方式ではありますが、中期計画として目指していきたいと思います。
報告セグメントの変更
報告セグメントの変更についてご説明します。成長戦略及び報告セグメントを3つのビジネスモデル軸で明確化しました。報告セグメントごとに策定している成長戦略については後ほどご説明します。
まず、新報告セグメントの内容です。1つ目の「プロダクト&サービス」は、自社開発ソフトウェア製品及びSaaS製品の開発・販売・サポート事業が対象です。
2つ目の「コンサルティング&インテグレーション」は、情報システムの企画から開発・運用にわたるコンサルティング及びシステムインテグレーションサービスを対象とする、主に役務の事業です。
3つ目の「ソフトウェアセールス&ソリューション」は、国内外の先端ソフトウェアの販売とテクニカルサポートに携わります。
各報告セグメントの売上・利益
各報告セグメントの売上・利益についてです。特徴として、セグメント売上の構成は、ソフトウェアセールス&ソリューション(ソフトウェア販売)が一番大きくなっています。
一方で、セグメント利益の構成は、自社製品の利益率が高いことから、プロダクト&サービスが最大になります。今回の変更ではセグメント利益測定方法を変え、事業活動成果での利益がわかるようにしました。全社費用は調整額というかたちにしています。
2024年度実績を新セグメントに当てはめると、スライド左側の表のようになります。一番上のプロダクト&サービスのセグメント売上が62億円で、セグメント利益は4億8,800万円になります。
今ご説明したとおり、セグメント売上ではソフトウェアセールス&ソリューション(ソフトウェア販売)が最大ですが、セグメント利益ではプロダクト&サービスが最大という特徴があります。その他、調整額として全社費用他8億8,300万円がございます。右側は参考として、旧報告セグメントでの開示となっています。
プロダクト&サービスの成長戦略
報告セグメントごとの成長戦略についてご説明します。プロダクト&サービスでは、継続的な機能開発・性能改善と生成AIの活用により、製品の差別化を一層進めていきます。
販売チャネルの拡大・デジタルマーケティングの強化等を通じた顧客開拓、カスタマーサクセスを通じた顧客とのエンゲージメント強化を実施し、グラフのとおり、セグメント売上高・セグメント利益ともに、中期経営計画に基づいて伸長させていきます。
プロダクト&サービスの主な製品
プロダクト&サービスの主な製品について、スライドを時計回りでご説明します。「LifeKeeper」「DataKeeper」はシステム障害対策ソフトウェアです。システムダウンによるビジネス停止をソフトウェアで防ぎ、安心安全を実現します。
「Gluegent Flow」はクラウド型ワークフローのSaaS製品です。組織における申請・承認等の業務をクラウド上で実現するもので、生成AIも利用可能となっています。
「Gluegent Gate」は、クラウド型の統合ID管理を行うサービスです。IDを安全に管理し、シングルサインオンで、アクセス管理をクラウドで実現します。
「Quickスキャン」「Speedoc」は文書管理アプリケーションです。複合機と連携し、ペーパーレスでオフィスの業務効率を劇的に改善するためのソフトウェアとなっています。
コンサルティング&インテグレーションの成長戦略
コンサルティング&インテグレーションの成長戦略についてご説明します。オープンソースソフトウェアによるシステム開発能力拡大で競争優位性を強化し、さらに生成AI活用も強化していく方針です。
生成AI活用強化策は2つあり、1つ目に、導入支援案件の拡大として生成AIを導入したいお客さまの案件を増やしていきます。2つ目に、社内利用拡大による生産性の劇的改善を進めていきます。
また、卓越した企画・開発力と安定した運用支援で顧客エンゲージメントを強化し、お客さまと長く継続的にお付き合いができるよう整備していきたいと考えています。
中期経営計画におけるコンサルティング&インテグレーションのセグメント売上高とセグメント利益はグラフのとおりです。
コンサルティング&インテグレーションの主な領域
コンサルティング&インテグレーションの主な事業領域についてご説明します。まず大きな領域として、金融業界向けサービスを提供しています。証券、銀行、暗号資産取引所などの金融機関向けに、顧客のニーズに合わせて提案からシステム開発・保守までのサービスを提供しています。
文教領域では統合認証ソリューションを包括的に提供しています。医療領域では電子カルテ等の医療システム領域の開発を行っています。API領域ではAPIを起点にビジネスモデルの検討、システム設計構築、エコシステム拡張に至るコンサルティング及び開発支援を行っています。
ソフトウェアセールス&ソリューションの成長戦略
ソフトウェアセールス&ソリューションの成長戦略についてご説明します。こちらはソフトウェアの販売とサポートがメインとなるため、まずはRed Hat, Inc.をはじめとする提携先との取引を拡大していこうと考えています。
また、Elastic社との提携による生成AI関連案件を引き続き創出していきたいと考えています。さらに、品質の高いテクニカルサポートで顧客エンゲージメントを強化し、お客さまと長くお付き合いできるよう取り組みを進めていきたいと考えています。
中期経営計画におけるソフトウェアセールス&ソリューションのセグメント売上高とセグメント利益はグラフのとおりです。
ソフトウェアセールス&ソリューションの主要提携先
ソフトウェアセールス&ソリューションの主な取引先についてご説明します。1社目は、Red Hat,Inc.です。当社は、米国Red Hat, Inc.の日本国内最大のディストリビューションパートナーとして25年以上の販売実績があり、Red Hat, Inc.を中心とした領域において確固たる地位を確立しています。今後も、同社関連商品売上の継続的な成長を実現していきたいと考えています。
2社目は、昨年より取り組みを始めているElastic社です。同社関連サービスの販売とテクニカルサポートを提供しており、オープンソースソフトウェアに対する高い技術力を活かして顧客を支援していきたいと考えています。
本日の説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:金融機関向け経営支援システム売却による今期業績への影響額について
司会者:「金融機関向け経営支援システム売却による今期業績への影響額について、売上、営業利益でどの程度になるか教えてください。また、新事業セグメントで区分すると、どの部門に含まれていたのでしょうか?」というご質問です。
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