Voicy「ログミーFinanceの株式投資ラジオ」
オープニング
荒井沙織氏(以下、荒井):「ログミーFinanceの株式投資ラジオ」をご視聴いただき、ありがとうございます。今回の放送の司会を担当します、荒井沙織です。
この番組は、個人投資家、アナリスト、ストラテジストなどの方々へのインタビュー、対談などを通して、みなさまとともに投資の知見を深めていくための、ログミーFinance主催のラジオ番組です。
「ログミーFinanceの株式投資ラジオ」、記念すべき第1回目は、“Bコミ”こと坂本慎太郎さんをゲストにお招きし、過去のアメリカ大統領選挙を振り返りつつ、きたる2024年11月の大統領選挙についてもうかがっていきたいと思います。それでは放送スタートです。
ゲスト・坂本慎太郎氏の自己紹介
あらためまして、今回のゲストをご紹介いたします。元ファンドマネージャー、元ディーラーで、株式評論家としてもご活躍されている坂本慎太郎さんです。本日はよろしくお願いいたします。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):はい。坂本でございます。よろしくお願いします。今日は第1回ということで、緊張しているんですけど。
荒井:はい(笑)。
坂本:ストラテジストとかアナリストとか、著名な方がこの後たぶんお話しされるんですけど……。なんか、何だろう。僕でいいのかなとか思っちゃいますけど。
荒井:第1回目のゲストですから、華やかに飾っていただきたいと思います。ではさっそくお話を進めていきたいんですが、まずは坂本さんの自己紹介としまして、投資に初めて触れたきっかけから、今までの投資歴やご活動などについて簡単に教えていただけますでしょうか?
坂本:はい。僕が最初に株式に触れたのってけっこう昔で、小学校の頃からずっと興味がありました。
荒井:小学校ですか?
坂本:そうなんですよ。いろいろなところでよく話すのでみんな知っている話かなとは思うんですけど。新聞とか読んでいると、数字が並んでいる欄があるじゃないですか。「これ、何?」と興味を持って、親に「これ、何ですか?」と聞くと「株です」という話で。そこからちょっと興味を持ちまして。
親が株をやっているわけじゃなかったんですよ。自分で独学。何で学んだかというと、ファミコンのソフトが当時あったんですよ。
荒井:ファミコン。ゲームですね。
坂本:ゲームね。もちろん買えないんだけど……。(正確に)言うと、システムを使うと証券会社にアクセスできて買えた、「ファミコントレード」みたいなのもあったのよ。
荒井:すごい。本格的。
坂本:それは普通のゲームで。『松本亨の株式必勝学』っていうゲームなんですけど、ちゃんと株価が動くんですよ。もちろん何千銘柄とかはないけど、100とか200とか銘柄があって、ちゃんと動いて、チャートとかもちゃんと出るんですよ。あのファミコンの時代に。
荒井:日足とかで出るんですか?
坂本:出る、出る。
荒井:すごい(笑)。
坂本:出るし、ザラ場も動いてるんだぜ。そんなのがあって。信用取引とかもちゃんとできるんですよ。ルールが若干異なるんだけど。
僕は小学校3年生の時にそれをやって、「信用取引って、自分が持っているお金以上で株を買えるんだね」ということを学んだのが子どもの時、みたいな……。
荒井:子どもの時に信用取引なんていう概念を知ること、なかなかないですよね。
坂本:そう。「これ、持っているお金以上に株が買えるんじゃん」みたいな、そういうアレなんですけど。その後、いろいろ興味があったりなかったりして。子どもの頃って、たぶん意外と興味は分散するんですよ。
今でも投資以外はそうですけど、その中で興味があったりなかったりを繰り返しながら大学生になって、アルバイトをするじゃないですか。でも、時間がもったいないんですよ。単純作業が多いし。
だから「ある程度はやっておけばもう社会勉強になって(良いけれども)、それ以上のものって、もう自分の労働時間を提供している、時間を提供してお金をもらっているだけだよね」って思って。
だったらその時間ほかのことをしたいなと思いまして。「あぁ、なんだ。株式投資をやればいいじゃん」というふうに思い出して、そこから子どもの頃と違う、大学生、大人になってからの勉強を始めてみたというのが大きいなと思っています。
荒井:その後はどんなふうに投資歴を重ねてこられたんでしょうか?
坂本:大学2年生の時に株式を初めて買ってから始まって、それから(大学)4年ぐらいになると、学費と食費と生活費は株式の利益で全部払っているところまで来て。
就職の時、証券会社に入っても運用職になる確率って低くて、ほとんどが営業とかなので、普通に一般の企業に入って株式投資をしたほうがいいだろうと思ってそのパターンで仕事をしていたんですけど、半年ぐらい経って「つまんねぇな」みたいな感じになっているところで、株式ディーラー、証券ディーラーの募集がありました。
そこでディーラーになって短期売買をだいたい5、6年やって、その後に今でいうFIREをそこでしたんですね。
荒井:かなり早い段階ですよね。
坂本:26、7歳の時。
荒井:うわぁ(笑)。夢のような話ですね。
坂本:その時は歩合だったので、一番いい時は月収が3,000万円ぐらいあったんですよね。
荒井:月収ですか⁉
坂本:そう。歩合なので。
荒井:うわぁ、すごいですね(笑)。
坂本:それでFIREした後、0を増やしたい人が多かったんですけど、僕は「若いし、勉強したいし、知識のほうがたぶん価値があるだろうな」と思って株式会社かんぽ生命に入って、債券と株の運用をしていました。
荒井:今はフリーランスでいらっしゃるんですよね?
坂本:そうなんですよ。35歳で独立して、自分の今までの知識で、今までの資産を転がしておけば食えるかなと思っていたんですが……。
このログミーさんの仕事もそうなんだけど、IRの仕事とか、あとは雑誌とか、ラジオとか、いろいろなメディア取材とか受けていると、意外と評論家っておもしろいし、35歳で評論業をしている人っていないよねと。
もちろん会社に就いているアナリストとかはいます。株式会社フィスコにもアナリストとかはいるんだけど、独立してやっている人ってほぼいないから。
周りを見渡すと高齢の方が多いので、意外と長く活動できて、意外とおもしろい。あと、高齢の方で自分で投資されている方は少ないので、おもしろい切り口になるかなと思って始めました。それで10年ぐらい経って今に至るという感じです。
荒井:本当に投資に関しては知らないことはないんじゃないかという、いろいろな経験を重ねられている坂本さんですが、では、ここからは今回のメインである、アメリカの大統領選挙のお話にまいります。
2016年・2020年のアメリカ大統領選挙のポイント
まずは過去のアメリカ大統領選挙について振り返っていきたいと思います。2016年、そして2020年の大統領選挙では、それぞれどのような点がポイントになっていたでしょうか?
坂本:この大統領選挙を語るにあたって、たぶん投資家の人は基本的に「銘柄はどうだ?」とか「どっち勝つんだ?」「どっち勝ったらどうなるんだ?」といういうのが気になるかなと思うんですけど。
これって、結局はどっちが勝っても株式がそれなりに動くというところなんですが。2016年に関してはトランプさんが当選されたんですが、「トランプさんが当選したらとんでもないことになるぞ」みたいな話になっていて、トランプさんが当選された瞬間、株価が一瞬暴落しましたよね。
荒井:はい。もう世界の終わりかと思いました。
坂本:その後すごい勢いで戻ってきて、結局それからずっと高いみたいな状況で。「じゃあ、トランプさんで何がいけなかったんですか?」っていう。(そういう意味でいうと)何やるかわからないっていう不確実性なんじゃない?
ただ何やるかわからない中で実績を積み上げてきた。何があるかわからなかったり、ぐじゃぐじゃになりながらも、ちゃんとアメリカの国益と、ある意味世界平和って言ってもいいのかな。今の民主党政権から考えると言っていいのかもしれないですけど(笑)。
そのあたりのリーダーとしての活動をずっとやっていて、伝統的な政策でもあるんですが、トランプ減税というものをやって、今も残っていますけど。
あとはリーマンショックの後だったので、銀行への規制がやはり厳しかったというのもあったので、金融の規制の緩和に動いたりとかが、一番鮮明だったのかなと思っていますね。
あとは、労働者からの支持もあるので、ブロック経済っていうと良くないですけど、国益にかなうような、政策で誘導していくようなかたちになって、関税の調整とかを中国とかなりやっていました。このあたりが意外とトランプさんの功績というか、政治の特徴だったのかなというところですね。
金融はそうですが、「仲がいい」というよりも「親和性がある」って言うのかな。エネルギーとかが、かなり経済活動をしやすいような状況だったのかなと思っていますね。
荒井:では、2020年の時はどうでしたでしょうか?
坂本:その時はバイデンさんが勝利になったんですが、トランプさんの政治が駄目だったのかっていうとそうでもなくて、「もう少し違う部分を見たいな」っていう投資家がいたのかなと思っていて。
ただ、トランプさんの時もバイデンさんの時も議会がねじれたりしていたので、ちょうどいい状況で進んだなと。党がやりたいものをずっとやっていくかたちじゃなくて、折衷案の中でいろいろな政治をやってきたというのが1つのパターンです。
バイデンさんの政治の基本は、民主党ということで考えると、セクターは環境がやはり一番(影響が)大きいかな。あとは逆に金融の規制とかもあるし、ITがその分ちょっと伸びたというのがありますね。そのあたりが1つの特徴だったのかなと思っています。
米国のIT企業、ハイテクと言われている企業はこの時期伸びました。まだ任期は終わっていないですが伸びましたし、あとは環境の規制がやはり世界的に根付いてきたなと思っていて。
あとからお話ししますが、トランプさんというよりも共和党なのかな。「ここの環境規制をもうちょっと緩めたほうが経済は成長するぞ」みたいな話もあったりとか、あとは党が金融政策を決めるというわけじゃないですが、FRB(Federal Reserve Board)の手綱をうまく取って、株式も経済もずっと伸び続けたというような状況の中で、インフレとの戦いもやっていました。それを乗り越えて、株価はほぼ一番高いところにあります。
あとは、経済が崩れずに今までやってこれたというのは1つの成果だったんじゃないかなとは思いますけどね。
2016年・2020年のアメリカ大統領選挙では株価指数にどのような動きが出たか
荒井:では、その2016年と2020年の大統領選挙の前後から、その後の1年から2年にわたっての期間、それぞれの株価指数にどのような動きが出ていたのか、振り返りをお願いします。
坂本:選挙の前後、特に前は株価が上がりやすいっていいますよね。これはリップサービスとか減税を含めた財政支出が、サービスじゃないですが、選挙前なのでやはりありがちですよね。その部分もあって株価が上がるのかなと思っています。期待もあるんでしょうけどね。
指名されてからはいろいろあると思います。ただ、この足元の4年間弱は本当に株式市場が上昇したというところで、インフレも当然あったと思うんですけど、企業業績がやはりすごく伸びていると。この高金利の中でさらに伸びたというのは、やはり経済の環境は良かったのかなというところですね。
米国はたくさんグローバルに強い企業がありますから、強い企業がさらに強くなった、その部分があるのかなと思っています。
荒井:では、選挙の前から、そしてその後も少し強い状況が続くということですね。
坂本:そうですね。あとは、選挙が終わった後の演説とか、現状まだしっかりとした政策が見えてきていなくて織り込めていない部分があるので。それが見えてくると、プラスでもマイナスでも織り込み始めるということで。過去の例からすると上がるパターンが多いかなというところですかね。
荒井:株価指数で言うと上がっているということですが、セクターに偏りはあったんですか?
坂本:民主党政権はハイテクが強かったです。あとは環境関連とかも意外と強かった。そのあたりの政策が株価につながる部分は少なからず米国はありますよね。
日本人からすると、国のテーマが株式市場を牽引するようなことはなかなかないかなと。規制の緩和とか、そういう全体のプラスになれば指数は上がりますけどね。「このセクター」っていうものは、最近日本にはないかな。利上げが進んでくると「金融株」とていうふうになるのかなとは思っていますけど。
荒井:では、政策として打ち出しているもの、そのセクターが純粋にそのままきれいに上がってくれるっていうことですね。
坂本:そうですね。ただ気をつけなきゃいけないのは、期待で上がってしまっている可能性があるので、その後も続くかどうかは政策を見ながらっていうところになるので。闇雲に「上がります」とはなかなか言いづらい部分はありますね。
荒井:実際に投資をするかどうかとなると、そこはタイミングが難しいのかなという印象を受けましたけれど。
坂本:そうですね。そこは2024年の(大統領選挙の)話のところで言えればなと思っています。
2016年・2020年のアメリカ大統領選挙で投資家はどのような動きをしていた印象か
荒井:過去、2016年と2020年の2回の時は、実際の選挙結果などを受けて投資家の方はどのような動きをされていたのか気になるんですが、坂本さんはどんな印象でしたか?
坂本:そうですね。2016年は先ほどお話ししましたが、もう10年近く前だから忘れている人もいるかなと思うんですけど、トランプさんを本当にあり得ない人だと思って、ショートをずっと我慢してめちゃくちゃやられた人がいましたね。
「なんだなんだ」みたいな。「しかも中国と常に摩擦を起こしているじゃないか」とか「こんな政治の仕方はあり得るのか」という、“トランプ劇場”みたいなところがありました。あれで一瞬は下がるんですけど、すぐ戻っちゃうんですよね。それは、やはり国益が一応なんとかなるようなかたちで着地をしていると。
トランプさんを思い出してもらうといいんですが、中国にもドンと経済的なミサイルみたいなものを打ち込むわけですよ。何ていうんですかね……。
荒井:制裁といいますか。
坂本:そう、制裁とか。あとは「関税をなんとかしろ」みたいなもの。制裁ですけどね。そうすると中国も「ふざけんなよ」となって「じゃあ、報復します」とかになるんだけど、実は裏で「このぐらいにしようぜ」と言って手を握っていると。
ここがやはりトランプさんのうまいところだと思っていて、現在の米中関係は、すぐに戦争するとかではないと思うんですが……。僕のイメージですけど、共和党の時より意外とコミュニケーションがうまく取れていないんじゃないかなと思っているんですよ。だから中国の孤立はこの4年間で深まったんだと僕は思っていますけどね。国内の状況があまり良くないというのも当然あるんですけど。
2024年11月のアメリカ大統領選挙を追う上で投資家として意識しておきたいこと
荒井:それでは、ここからは今回の大統領選挙についても触れていきたいと思うんですが、きたる2024年11月の大統領選挙を追う上で、投資家として意識しておきたいことはどんなことでしょうか?
坂本:まずは「もう織り込まれている」ということを1つ考えたほうがいいです。ただ、この織り込みは「どっちが勝つか」っていうところで織り込まれるっていう一番簡単なものだと思っていて。
現状、トランプさんが撃たれちゃったじゃないですか。悲惨な事件があったんですけど。それで「『もしトラ』が『ほぼトラ』だよ」みたいな、「トランプさんが勝つんじゃないか」って(雰囲気に)なったんですが、僕は「選挙までの時間がありすぎるぞ、そんな楽観でいいのか」と。
意外と人間って忘れやすいじゃないですか。アメリカ人はわからないですが日本人はそうだから、たぶんアメリカ人もそうだろうなと思っているんですけど、意外と忘れやすいので、撃たれたことも忘れてしまって。
亡くなっていたらもっと(影響が)長くなったかもしれないですが……。亡くなればいいというわけでは当然ないんですが……。撃たれて、そのことが忘れられて、その後にまたちょっと票読みが変わってくるかもしれないなと思っていて。足元現状(9/26収録時点)では、一応ハリスさんのほうが若干優勢みたいになっているというのがありますね。
なので、トランプさんが勝利した際に恩恵を受けるようなセクターであろう金融、特に銀行ですね。これがハリスさんの票読みが良くなった時に、ものすごく暴落したりしているんですよね。
ということは、いったんハリスさんが負けると思った人が、「いやいや勝つよ」となって、ポジションが変わっちゃったパターンが意外とあるんじゃないかなと思ってます。だから逆に環境関連とか、IT、ハイテクは最近はまた強いですから。そっちに資金が再シフトしているような状況なので。
これって、ずっと揺れ動くと思います。揺れ動くし、どこで(どちらが勝つかを)判断するかというと、世論調査みたいなものがあります。あとは選挙。予備選ではないですが、その中で「どっちが勝ちますか」というような票読みは常に行われていて、(予想が)何回もひっくり返るというのは、僅差なので今回はあると思うんですよね。
そのたびにバタバタポジションを動かしているとけっこう面倒くさいと思うし、「じゃあどこで取ったらいいんですか?」って言うと、「もうぶらさないよ」「俺はこっちが勝ちだ」と決めている人であれば、好きなポジションをどっちかに取ってもいいと思うんですけど。
先ほど言ったセクター、勝つと思うほうのセクターでも取ればいいと思うんですが、そうじゃなければじっくり政策を見てからがいいかなと思います。
じゃあ僕はどう思っているかというと、どっちが勝つかは別にどっちでもいいんですよね。「勝ってから決めりゃ良くない?」っていう話で。勝ってからでも株価は動きますから、今回みたいに「いいな」「優勢だ」と思っていても、逆転したら一気に損になりますから、今の選挙戦は先回りをすべきじゃないと思うんですよ。
だから、決めかねている人も絶対いるし……。あと、ハリスさんの政策が、なんかモヤッとしているんですよね。だから、どんなことを考えている人かがまだわからなくて。民主党の中ではちょっと左に寄っている人であると僕は認識しているんですが、そういう人が考える政策は……。住宅の補助の話とかがありましたけど、もっともっと財政をビシッと使わないといけないとか、使いすぎて成長をストップさせてしまうような政策を打ち出してくる可能性もあるので、そこはリスクですね。
ただ、上院・下院がねじれていたりとか、あとは民主党内での右・左・中もありますから。そこのバランスなどがあるので、ハリスさんの考えが全部が全部通るとは思わないんですけど、そこはリスクにはなるのかなと思っていますね。
荒井:ありがとうございます。
演説・討論会がある段階になってから投資戦略を考える理由
坂本さんは、「演説がある段階になってから投資戦略を考える」とうかがったんですが、それはいつなのか、そしてその理由を教えてください。
坂本:演説というか討論会を含めてですが、繰り返しありますし、広報の演説は常に行われるので、そこで何を言っているかが大事だなと思っています。
トランプさんは意外と演説に力がないというか。僕が危惧しているのは、ちょっと老いを感じる部分があって、前回のバイデンさんまではいかないですが、ちょっとお年を召されたイメージがあるので、そこは集票に影響が出るんじゃないかなと僕は思っていますけどね。だからそこはネックかな。
ハリスさんのフレッシュさみたいなところに惹かれる人は出てくるんじゃないかなと思います。トランプさんは2回目ですからね。ただ、トランプさんには熱狂的な支持層がいますから、そこはいいと思うし。
あとは「民主党ってこれだけ株価を上げたんですよ」と言うと……。インフレと言うと印象は悪いんですけど、みなさんの暮らしも良くなっていると思うので、そのあたりも1つ判断の材料に入れる人が絶対出てくるんじゃないかなと思っています。
荒井:では、動きが見えてから株式投資は動いたほうがいいということですね。
坂本:そうですね、はい。
荒井:ありがとうございます。
アメリカがどのような状況の時により日本市場に大きな影響をもたらすか
では、最後に日本の株価への影響についてもうかがっていきたいと思います。大統領選に限らずアメリカの動きは日本の株価にも大きな影響を及ぼしますが、傾向としてどのような状況の時により日本市場に大きな影響をもたらしているでしょうか?
坂本:難しいね。大統領選に限らずっていう話なので。でも、連動しているということは、「大きく米国株が下がれば日本株も下がるんじゃない?」という話になるし、「上がれば上がるんじゃない?」っていう話になるので。
直近、大きく動かす要因はやはり業績なのかなと思うので、そこじゃないですかね。次の業績の発表があるのが10月末から11月なので、そこの部分の動きですよね。どのくらいの業績が出ているかっていう。
あとは「利下げしたから業績はいいだろう」と思う人がいるかもしれないけど、それは次の四半期の発表の時なので。すぐは出てこないから、そこに読み違いがあると意外と調整もあるかもしれないです。
あとは、みんなS&Pとかナスダックばっかり見ていますが、NYダウの銘柄類ってかなり業績がいいので。ダウの強さって、ただのナスダックの調整だからっていうわけじゃなくて……。Intelはちょっと微妙ですが、非常に強い動きが続いているので、本当にダウ構成銘柄の業績がいい。ということは、世界的に消費を含めて経済環境が守っているんだろうなというところもあります。
なので、(日本市場に大きな影響をもたらすのは)業績ということにしておきますかね。イベントで株価の上下は一時的にはするんですが、長期的にするとは僕は思っていないので。イベントで株価の方向性が本当に決定してしまうのであれば……。何か悪材料があるイベントがあれば、株価って戻ってこないじゃないですか。
今はもう株価がほぼ最高値のところにあるわけですから、業績と景気が良かったから現状が叶っていると。チャイナショックとか、ブレグジットとかトランプさんの当選とかコロナとかいろいろあったんですが、株価は戻っていますよね。
だから、この上昇相場はイベントでは終わらないと思います。業績の頭打ちと景気の頭打ちが一緒に来る時に、株価が暴落する。本格的な調整に入ると思っているので、結局は「業績と景気を見ておきましょう」っていうのが結論になろうかと思います。
荒井:業績なり景気なり、何に影響を受けるかというのは、どこまで自分が先取っていきたいかにもよってくるんでしょうか?
坂本:先取りに関しては、僕はそんなに無茶な先取りってしなくていいと思います。ただ、すぐ業績と景気が調整されるかというとそうでもないので、ある程度調整と投資はできる環境にあると思うんですが、どうせ買うなら押し目で買えたらいいよねっていうのはありますよね(笑)。
だから、この前のNVIDIAが調整した時とか、あとは、コロナはちょっと古すぎるかもしれないですけど、日本もこの前1万円ぐらい日経平均の調整がありましたが、ああいう時に買えるようにしておくのがいいんじゃないかなと思います。だらだら持つのも駄目とは言わないですけどね。
2024年11月のアメリカ大統領選挙中の“押し目買い”はアリなのか
荒井:大統領選挙、トランプさんになるかハリスさんになるかわからないという状態で、先ほどまだまだ演説を聴いてバタバタ世論がひっくり返り続けるとおっしゃっていましたが、そこでそれぞれ押し目買いっていうのはありなんでしょうか?
坂本:(押し目買いしようと思っても)そんなに下がらないんじゃない? みんなある程度の株式の経験者で、「わからないよね」ってなると思うので。一番良くないのが、みなさん投票権がないくせにっていう言い方は良くないですけど(笑)。
荒井:本当にそうですね(笑)。
坂本:僕が今何を言うか、荒井さんはたぶんイメージが湧いたと思うんだけど。
荒井:はい(笑)。
坂本:投票権がないくせに、「どっちが勝つ」とか「勝ってくれ」というのって、何の意味もないと思うんですよ。もっと言うと、自分の1票では日本は何も変わらないと僕は思っているんですよ。
だから、「評論家の人がもっと高市さん(高市早苗氏)を支持してくれれば、高市さんが勝てるかもしれないですよ」と言われても、僕、まったくそんなの興味ないんですよね。だって、僕も(持っているのは)1票だから。みんなを誘導しても意味ないし、みんなにとって何が大事かっていうと、「決まった後ちゃんと考えてください」ということで、決まる前に盛り上がってんじゃねえよっていう話なんですよ。
そうすると今日のこの話は全部ぶち壊している感じになると思うんですけど、でも、本当に意味がない行動だから。だって、接戦と言われているところでトランプさんの銘柄を買って、(その後)いきなりハリスさんが優勢になったら、損するんだぜ。だから、本当に「先回り投資って何の意味があるの?」っていう。
圧勝の時に急いで買うのが一番いいんだよっていう話だし。となると、今までのこの時間が全部無になるので、「もし買いたい人がいたら、押し目の時に買いましょうね」っていう結論にしておくといい。
覚えておいてほしいのは、お祭り的な感じになってなんとなく買っちゃう人が多いからね。
荒井:わかります。
坂本:僕は自分で投資する人なので、みなさんの気持ちは痛いほどわかるんですよ。お祭り気分で買って、変なところのポジションを取ったりしやすいから、そこは気をつけようと。
たぶんこの後(ラジオに出演される)、いろいろな先生、先生というかアナリストとかの方のお話とかがあると非常に理論的でわかりやすいと思うんですけど。
今後もみなさん、たぶんこのラジオを聞いていくと思うんですよ。初回から言っておくけれど、そういうありがたい話を聞いたって、結局は感情で銘柄を決めてしまうことって多いから、ちょっと立ち止まって、「先生って何を言っていたのかな?」ということを自分の頭で要約して、あとは行動ですよね。
「決まってから踏み出せばいいじゃん」というのが僕の考え方だし、変なポジションを取らない一番の理由だと思うので。頭でどういうふうになるかを理解しておいて、決まってからいくか、押し目で買うかが、このイベント投資の成功しやすい1つの例なのかなと思っています。
荒井:意外と飛びついてはいけないというお話をいただきました。
坂本:荒井さんは飛びつくのが大好きなので、荒井さんのために言ったところがちょっとあるんですけどね(笑)。
荒井:はい、ありがとうございます(笑)。ちょっと今自分に牽制球を投げたところです。大統領選挙が終わった後に、その後の動きを見て、また坂本さんに戦略なんかも教えていただく機会があったらいいなと思います。
坂本:ぜんぜんいいですよ。
荒井:それではお時間になってしまいましたので、本日はこちらで締めたいと思います。あらためまして、本日のゲストは、元ファンドマネージャー、元ディーラーで、株式評論家としてもご活躍されている坂本慎太郎さんでした。ありがとうございました。
エンディング
今回は“Bコミ”こと坂本慎太郎さんをゲストにお招きし、過去のアメリカ大統領選挙を振り返りつつ、2024年11月の大統領選挙についてもうかがいました。みなさま、いかがでしたでしょうか? 本放送については書き起こし記事も公開されますので、気になる方はログミーFinanceのWebサイトをぜひご覧ください。
なお、書き起こし記事内では、次の放送テーマや出演者のリクエスト募集も行う予定です。「こんなテーマを聞いてみたい」「この人に出演してほしい」など、ご希望がありましたらぜひご意見をいただければと思います。
それでは今回は以上になります。また、次回の放送でお会いしましょう。さようなら。