FY25/10 2Q決算ハイライト
八木智昭氏(以下、八木):取締役CFOの八木です。私から決算のご説明として主に数字のお話をした後、代表取締役CEOの小川から中期成長戦略の進捗をご説明します。
第2四半期の決算ハイライトです。累計では、売上高はYoY32.2パーセント増の164億円、営業利益はYoY89.9パーセント増の32億円と、高い成長率とYoYでの大幅な増益を達成しています。
KPIです。平均テイクレートは29.0パーセント、稼働率は86.2パーセントと、引き続き高い水準を維持しています。流通総額、アクティブアカウント(AA)、AA当たり流通総額についてはスライドのとおりです。詳細は後ほどご説明します。
FY25/10 2Q決算概要及び3Q業績見通し
スライドは第2四半期単体および第2四半期累計の数字の詳細です。あわせて、第2四半期単体のKPIと第3四半期の見通しを記載しています。
第2四半期単体については、売上高はYoY28.0パーセント増の78億1,700万円、営業利益はYoY60.8パーセント増の18億5,100万円です。営業利益率は23.7パーセントと過去最高となり、利益については大幅な成長を実現しています。
累計については先ほどご説明したとおりです。KPIについても後ほど詳しくご説明します。
第3四半期の見通しについては、売上高は84億円から85億5,500万円のレンジで、成長率は27.8パーセントから30.0パーセントです。営業利益は17億3,000万円から17億7,700万円、成長率は61.1パーセントから64.8パーセント、営業利益率は20.6パーセントから20.7パーセントとなっています。第3四半期についても成長率は引き続き高い水準を維持し、利益についてはYoYで大幅な増益を見込んでいます。
FY25/10 2Q単体 業績見通しと実績の差異について
スライドは、前四半期に開示した第2四半期単体の業績見通しと実績の差異をまとめています。売上高はレンジの下限を少し下回ってしまいました。主な要因としては、従来ご説明している不正利用対策の影響と、第2四半期は2月から4月で一般の会社の決算期末にあたるタイミングであることです。特に飲食業界において、顧客の決算期末のタイミングにおいて、今までもあった利用抑制がより強化され、売上高が想定よりも鈍化しました。
一方で営業利益については、レンジの上限を大幅に上回る18億5,100万円となっています。こちらについては、募集数減少に応じてマーケティングコストを中心としたコストも減り、その中で従来の規律ある投資とコストマネジメントを行った結果です。
ご参考:営業利益の増減要因(2Q単体計画対比)
スライドには参考として、各項目の振れ幅を分解して記載しています。
FY25/10 3Q業績見通し
第3四半期の業績見通しは売上高、営業利益とも引き続き堅調に推移し、大幅な増益を見込んでいます。
業績推移(売上高・営業利益)
決算の詳細です。通期業績予想に対する進捗率は、売上高については46.1パーセント、営業利益については48.7パーセントと高い水準で成長しています。
利益については、第1四半期が繁忙期であることからコストが大幅に増えるため、利益率についても下期に偏重します。そのような中、上期が終わったタイミングとしては堅調に推移していると思っています。
FY25/10 2Q 業界毎のトレンド
今回から各業界のトレンドを文章でまとめています。物流については、従来と変わらず今四半期も比較的堅調に推移しています。昨年から受入負荷軽減プロジェクトを続けており、トライアルを含めてしっかり取り組んでいる中で、実績が徐々に出てきています。下期に向けた良い兆しが出ているところです。なお、平均テイクレートについては、キャンペーンによって前四半期に一時的に下がりましたが、キャンペーンが期限内に終わり、第2四半期については戻っています。
飲食については、第2四半期のYoY成長率がマイナスになっています。要因は先ほどお話ししたとおりです。従来、飲食業界はなかなか厳しく苦しんでいたのですが、継続的な営業フォロー、新規開拓を続けており、足元では反転し始めてきています。加えて、4月にリリースしたワタミとの提携によって、新しいモデルでの飲食の開拓も始まっています。
小売業界については、物流と並んで堅調に推移しています。コンビニ、スーパーでの利用に加えていろいろなサブインダストリーがあり、順次開拓を進めているところです。
その他についてはホテル、介護が堅調に推移しています。特に介護は繁閑の波がなく、毎四半期しっかり積み上げができていると思っています。
深刻な人手不足を背景とした順調な流通総額の拡大
流通総額については飲食がマイナスで、物流および小売は堅調に推移しています。具体的な数字については、次以降のスライドでご説明します。
物流業界の平均テイクレートが戻り全社では29%台に回復
平均テイクレートについてです。第1四半期は29パーセントを下回ってしまいましたが、第2四半期は29.1パーセントと、29パーセント以上にしっかり持ち直しています。スライド右側のグラフのとおり、物流でテイクレートを持ち上げているところが要因です。
安定した平均テイクレートに裏打ちされた順調な売上高の拡大
売上高については、流通総額とほぼ同じトレンドになっています。
飲食業界のYoY成長率は初めてマイナスとなるも足元では反転の兆し
飲食がマイナス成長になった点についてです。要因としては、2023年10月期に大幅に増えた反動として、2024年10月期の特に後半から若干軟調になっています。主な理由はコストの高止まりで、それによってコストの抑制をしなくてはいけない中で、利用控えが進んでいます。
一方で、YoY成長率に反転の兆しが出てきています。引き続き人手不足はなくなっていない中で、継続的な営業提案とフォローアップを続けており、新規開拓もしています。そこが徐々に結果につながっています。
また、1年経って成長率の鈍化が一巡したことも要因の1つとなっています。これは良い兆しであり、下期にしっかり成長率を改善できるように、会社全体としてフォーカスしているところです。
各主要業界で順調なアクティブアカウント数の積み上げを実現
AA数はいずれも伸びています。特に物流および小売が引っ張っているところは、従前から変わりません。
継続的な営業フォロー強化によりAA当たり流通総額のYoY成長率は改善傾向
AA当たり流通総額も良い兆しが出ています。YoYでは従来マイナスになっており、今回も4.1パーセントのマイナスですが、マイナス幅については小幅にとどまっています。
スライド右上のオレンジ色のチャートで示したYoY成長率は、ここ1年ぐらいで改善に向かっているところです。
拠点ごとの流通総額を上げるために今後も継続して営業活動をしっかり行い、AA当たり流通総額をYoYでプラスに持っていければと思っています。
コアワーカーの拡大による安定した稼動の実現
コアワーカーについて、大きなトレンドは変わっていません。稼働総数に占めるコアワーカーの割合は55パーセントで、過去最高の水準に達しています。
安定して高い稼働率を実現
稼働率についても過去最高の水準で、87.9パーセントに達しています。YoYでは0.4ポイント改善しており、良い状態に保てていると思っています。
YoYで見たコスト比率の改善で安定した営業利益の創出を実現
コストの内訳と対売上高比率です。利益率が大幅に改善していることの裏返しで、HR費用はYoYで0.5ポイント改善しており、生産性の改善がしっかり実現できていると思っています。
マーケティングについても全体としてYoYで改善しており、規律ある投資をしっかり行っているところです。割合については、ワーカーマーケティングを増やし、クライアントマーケティングは不正利用対策の影響を鑑みて減らしています。
業務委託料については、前期はトライアルとしてコストをしっかりかけていたところ、エコノミクスを見ながら残すものは残す、やめるものはやめるという対応により、YoYで1.3ポイント改善しています。
内需メインの顧客基盤によりトランプ関税の影響は限定的
「タイミー」のビジネスについて、トランプ関税やそれが進捗して景気が後退した場合に、どのような影響があるかをスライドにまとめています。結論としては、関税の影響はほぼありません。「タイミー」の顧客基盤は物流、飲食、小売と基本的には内需メインで、大きなエクスポージャーはないと思っています。利益も同様です。
景気後退については、売上高には影響が出ると思います。ただし、業界はかなり分散しています。例えば、外食が減った場合は家で食べるということでスーパー、いわゆる小売が増えます。このように業界分散が効いているからこそ、影響は一部相殺できると思っています。
利益についても、募集数が減少すればワーカーマーケティングはその分減り、売上高に影響が出たとしても利益は安定的に積み上げることができると見ています。
FY25/10 戦略方針(再掲)
小川嶺氏(以下、小川):代表取締役CEOの小川です。中長期成長戦略の進捗をお話しします。弊社は非連続的な成長にするために、スライドのタテ・ヨコ・ナナメの方針を掲げています。
まず「タテ」として、AA当たり流通総額を増やすために現場に深く入り込んでいます。「ヨコ」としては、AA数を増やすためにインダストリーの拡大や、既存企業の中での拡大、つまりいろいろな拠点で使っていただこうと広げている状況です。また、「ナナメ」は稼働率で、しっかりと人が集まるために非常に重要だとしてコミットしています。
この3つの柱を用いることによって非連続的な成長を生み出し、そしてそのアセットを用いて新規事業を多く作っていくことが、弊社の中長期成長戦略です。
新規参入企業の増加の中でも圧倒的な業界プレゼンスを確立
そのような中で、さまざまな競合が参入してきていると認識していますが、引き続き高いポジションを築くことができています。
優位性としては、「タイミー」に最も人が集まる、すなわち稼働率が高いことや、ワーカーの働きぶりが良いことがあります。今まで蓄積されてきた「Good」「Bad」のレビューがあり、それらを基に働きぶりの良い方がマッチングするのです。
さらに、手厚い営業サポートがあります。全国に676名の営業を配置しており、業界に特化した人員が寄り添ったサポートをしています。
それらの結果として、スキマバイトサービスの中で圧倒的なポジションを築くことができています。
AA数 ワタミとの業務提携 ー “フルタイミー”でのサブウェイ店舗運営を開始
今回、ワタミと業務提携を結びました。ワタミにはもともと居酒屋でご活用いただいていたこともあり、「サブウェイ」の日本法人のライセンスを取得されたという点で、協業していこうと本提携に至っています。「サブウェイ」は、将来的には国内3,000店舗に向けて勢いを増し、拡大していくと計画されている状況です。
そもそも「サブウェイ」と何をしていくのかについては、弊社もミナデインと共同で新橋に飲食店を構えており、そこでの実績がもとになっています。
AA数 「THE 赤提灯」で得た大きな実績
弊社はミナデインとの協業で、「THE 赤提灯」という飲食店を1店舗運営しています。「アルバイト全員がスポットワーカー」というコンセプトで、約2年間運営している状況です。
新橋は人が非常に集まりづらいエリアにもかかわらず、マッチング不足による営業時間・客席の減少は1日もなく、平均稼働率も94パーセントと非常に高くなっています。
また、半分近くがリピートスポットワーカーで、毎回同じ人が来てくれます。それだけではなく、1回来た働き手の「Good」率、つまり「また働きたい」と思っている割合が99パーセントという、受け入れのフォーマットとしてのマニュアル作りの成功があります。
また、赤提灯のお気に入りリストにいるスポットワーカーの数は192人となっています。
AA数 タイミー×ワタミが取り組む店舗運営モデル
その成功事例を用いて、今回ワタミとパターンA、パターンB、パターンCという組み方をしています。まず、通常の「タイミー」の利用がパターンCです。従業員はスポットワーカーと長期アルバイトです。いずれもワタミグループの直接雇用というかたちで、店長などはワタミグループの社員です。
パターンBは従業員全員がスポットワーカー(雇用主はワタミグループ)で、まさに「THE 赤提灯」モデルです。店長はワタミが担い、それ以外のスポットワーカーはすべてタイミーアプリを通じてマッチングされるというかたちです。
パターンAが新しいモデルで、店長、社員、従業員すべてが「タイミー」というかたちです。雇用主はタイミーで、「フルタイミー」を実験しています。
このような取り組みを行う中で、SNSの投稿などで、スポットワーカーだけで店舗を回していくことを不安に思うお客さまもいたことが見受けられました。実際にはタイミーによる研修設計を相当細かく行っており、「THE 赤提灯」で行ってきたノウハウを入れ込んでいます。
研修でしっかりスキルを習得いただいた方が、「サブウェイ」とマッチングしていくかたちになっています。そのため、スキルがまったくない人がいきなり「サブウェイ」で働くのではなく、しっかりとナレッジを持った方々が必ずいます。
初めてのスポットワーカーが担う業務、経験者のスポットワーカーや社員が担う業務を明確化することによって、このモデルは成り立っています。実際に働きに来た働き手の満足度が99パーセントを超える店舗も出てきている状況で、その部分についても今のところ非常にうまくいっていると思っています。
このようなモデルが、YoYで減少傾向にある飲食業界においての新しいモデルになっていくのではないかと思っています。AA当たり募集人数をしっかりと増やしていくことにもつながりますし、何より飲食業界として、人手がおらず24時間営業したいのにできないなど、売上毀損につながっている部分に「タイミー」が貢献できるところは多いと思っています。
AA数 ホテル・介護業界:物流、飲食、小売に次ぐ第4の柱に向けて順調に進捗
続いて、「ヨコ」に広げていくことに関して、ホテル・介護業界についてお話しします。ホテル業界については第2四半期は閑散期で、流通総額のYoY成長率は少し低いように見えるかもしれませんが、それでも28.6パーセント増と順調に推移している状況です。
一方で介護業界については、繁忙期・閑散期があまりなく堅調な推移になっています。YoYで165.5パーセントの成長と、もっとも伸びている業界です。
今回から流通総額の金額も開示しました。今後、飲食、物流、小売に次ぐ業界として、ホテル・介護にしっかりと入り込んでいくと思います。タイミーとしても、さまざまな業界に広げていくことをミッションとして、社内で体制を作っている状況です。今後の業界の拡大にも注目いただけたらと思います。
AA数 エリア/小規模クライアント戦略:獲得手法の多様化とエコノミクスの改善
エリア戦略としては自治体連携を強めており、23道府県46自治体で展開している状況です。沖縄では地域経済活性化を目指して、地場の企業と包括連携協定を結んでいます。自治体連携では、まさに地場に根づくという意識を持ちながら成長戦略を築いています。
それに伴い、小規模クライアントの拡大においては、戦略商圏の一部エリアで集中して架電や営業を行うことによって、街中で「タイミー」が使われている状況を実現することにコミットした部隊を作っています。
また、獲得だけでなく、既存フォローとして架電フォロー部隊、テックタッチ部隊を用いています。日本の90パーセント近くを占める中小企業に対するサポート体制として、なるべく属人化しないかたちで生産性を上げることにチャレンジしています。
AA数 蓄積データを活用したユーザーの利便性を追求するプロダクト開発
プロダクトも進化しています。そのような中での特徴的なリリースとして、企業内共有グループ機能が挙げられます。
今まで、A店舗、B店舗、C店舗で「タイミー」を使っていた場合、そこには1度以上働いた方のプールができています。その企業が100店舗、200店舗のチェーン店を持っている場合、まだ「タイミー」を使ったことのないD店舗も、A店舗、B店舗、C店舗で1度以上働いて良い評価のワーカーに限定して募集を出すことができる機能です。
今までは、「タイミー」を初めて使うD店舗は初めてマッチングするワーカーのみで、ミスマッチがあったりなかなか活躍できなかったりして解約してしまうことがありました。チェーン店であればワーカーのプールを既に持っているため、「タイミー」を使ったことのない店舗も、この機能によって安心して使うことができるのです。
蓄積されたワーカーデータを用いた求人公開のバリュエーションが、非常に増えてきていると思っています。今後も企業内、業界内で人材共有ができるような取り組みを行っていきたいです。
AA当たり流通総額 受入負荷軽減プロジェクト:莫大なポテンシャル
堅調な推移をしている物流業界についてです。以前からお話ししている受入負荷軽減プロジェクトが、非常にうまくいっています。
1拠点で毎日100名などの募集を出す場合、なかなか受け入れができません。どこにトイレがあるか、安全教育をどうするかといったことを社員がするのは難しく、AA当たり募集人数が増加しませんでした。
受入負荷軽減プロジェクトは、例えば管理体制を強化するようなリーダー社員を弊社から派遣し、その方がスポットワーカーの受け入れや教育などを行うことで、その拠点の負荷を下げるという挑戦です。
今までのスポットワーカーの活用のみならず、リピーターを活用することで生産性を改善する、スポットワーカーを受け入れサポーターとして採用する、リーダー社員を派遣することによって、1拠点当たりの「タイミー」浸透率を高めていくことに挑戦しています。
AA当たり流通総額 受入負荷軽減プロジェクト:今上期の実績を基に大きく拡大へ
実際に取り組んでみた結果が出始めています。例えば大手物流企業Aの拠点では、YoYの1拠点当たりの募集人数が約3.8倍に成長しており、1日で最大330名のスポットワーカーの受け入れに成功しています。今までであれば、そこまで呼んでしまうと誰が受け入れるのかという問題がありましたが、今回の仕組みによって突破できました。
また、大手物流企業Bの拠点については、閑散期にもかかわらずYoYで2.0倍成長となっています。今まで「タイミー」を使うことができなかったレーンに関しても、「この座組であれば教える人がいるから任せるよ」と、しっかりと開拓が進んでいる状況です。
多くの物流企業において、ニーズが多岐にわたっています。既に40拠点程度から方針の大枠について合意をいただいており、約20拠点から正式合意をいただいています。この施策が物流業界の堅調な推移に寄与するとわかった四半期でもありました。
質疑応答:従業員数増加のトレンドについて
質問者:従業員数の推移について、第2四半期のHR・コーポレートはQoQで51名増えています。この状況は続くのでしょうか?
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