事業内容「エンタープライズDX支援」について

司会者:それではグロースエクスパートナーズ株式会社の記者会見を始めたいと思います。

まず、当社のメンバーを紹介いたします。中央にいるのがグロースエクスパートナーズ株式会社代表取締役社長、渡邉伸一です。

渡邉伸一氏(以下、渡邉):渡邉です。よろしくお願いします。

司会者:みなさまより向かって右側が、取締役 コーポレート統括本部、本部長、河西健太郎です。

河西健太郎氏(以下、河西):河西です。よろしくお願いします。

司会者:本日はこちらの2名で質疑応答をいたします。よろしくお願い申し上げます。

ではまず、弊社の概要を渡邉から紹介いたします。よろしくお願いいたします。

渡邉:本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。当社のビジネスは、なかなか一言で簡単にご説明するのが難しいので、お手元の資料に沿ってご説明します。

当社は「エンタープライズDX支援」という事業をしていますが、この「エンタープライズDX」というものは、いわゆる大手企業向けのコンサルティングとシステム開発を組み合わせて、組織変革とIT変革というふうに、企業に自ら事業を創造していくような力をつけていただく。それを支援することそのものを、我々は「エンタープライズDX支援」と呼んでいます。

主要な取引先

渡邉:すでにこちらにあるような企業群が、当社の主要な取引先です。

売上高1,000億円以上、創業50年以上の企業が、当社のメインのお客さまなので、約8割が大手企業が顧客です。

「出島型アプローチ」について

渡邉:当社のご説明です。我々はコンサルもしているのですが、いわゆる一般的なITコンサル、あるいは戦略コンサルとは違います。(スライドを示して)こちらの向かって左側にありますが、戦略コンサルなどは、コンサル企業側がベストプラクティスを持っていて、それを顧客企業にご提案して当てはめていくというアプローチが多いのですが、我々はどちらかというと、ワークショップで顧客自身に自らの事業価値を再定義していただくこことで、価値を、一緒に再定義することからスタートします。

その上で、自らビジネスモデルをどう変革していくかを、自分たちで考える力をつけていただくというのを、DXコンサルティングと称して実施しています。

そのため、コーチングに近いような考え方で事業をしています。

例えばお客さまがエンタープライズグループで、1,000億円、数千億円、数兆円の売上を達成できていると、なかなか自ら既存の事業を変えていくことは、難しい場面があります。

新しいことに取り組もうとすると、「なんでそんなことするのか」みたいな、いわゆる反対勢力的な方々がいたりとか、あるいは、組織の壁がかなり縦割りになっていて、その組織を超えてコラボレーションすることが難しかったりとか。

そういった課題がありますので、DXへの取り組みをするために、小さな組織を一緒に作りましょうというところから、我々はスタートしています。

我々の社員と、お客さまの社員とでチームを作って、先ほどお話ししたようなコンサルをしながら、自らの企業価値を再定義して、その中で強みをさらに伸ばすためのビジネスを作ったり、あるいは弱みを克服するためのビジネスを作っていくことを一緒に考えながら、そこでシステムの企画をしつつ、かつ、お客さま自身で開発ができるように力をつけていただくようなことも一緒にやりながら、1つずつ小さな成功を体験していただく。

その成功を持って、少しずつ本体の組織に適用していくような段階的なアプローチを、我々は「出島型アプローチ」と呼んでいます。

それの発展系として、(スライドを示して)こちらにあるように、ニプログループあるいは三越伊勢丹グループで、DXを推進している会社の形まで作って、そこに我々の方メンバーを派遣して、お客さまからもメンバーを出していただいて、本体に向けたDXの事業をどんどん拡大していく。そういったビジネスモデルを、我々は1つの強みとしています。

「データ駆動型プラットフォーム」について

渡邉:もう1つ、我々が強みとしているのは、「データ駆動型プラットフォーム」です。

これは我々が自社で開発したものです。先ほどもお話ししたとおり、エンタープライズ企業だと、既存のいわゆるレガシーシステムがあります。悪い意味ではなく、長年事業を支えてきた強大なシステムが必ずあります。それを活用して、何か新しいことをやろうとすると、システム改修であるとか、非常に時間がかかったりします。

あとは当然、ちょっとシステムを直すだけで数億円かかるということが、ざらにあります。そういったことを回避するために、この「データ駆動型プラットフォーム」というものを提案しています。

既存のレガシーシステムがある場合、データを抽出して、新しいことに活用して、当然データを戻す必要があると思いますが、まさにプラットフォームとして、間にかませることによって、新しいデジタルサービスを立ち上げるのを容易にするという仕組みになっています。

こちらも顧客事例があります。三越伊勢丹グループや大成建設さんですね。こういったことを我々の事業としています。

繰り返しになりますが、まず、DXのコンサルティングから入り、出島型の組織を一緒に作って、既存のレガシー資産を活用するようなシステムを一緒に考え、それをアジャイルに開発するということを、一連のサービスとして提供しています。

それによって、最終的にはお客さま自身が、ご自身で新しいビジネスを自ら開発していけるような力をつけていただく。

そういったことを、全体を通して、我々は「エンタープライズDX支援」と言っています。

今言ったようなかたちで、コンサルから入って、実際に「出島型アプローチ」をして、「データ駆動型プラットフォーム」を活用していただくということで、当社の子会社は3社ありますが、それぞれ分担して、これを実行していきます。

なかなか難しいかもしれませんが、当社のビジネスモデルは、今言ったようなかたちです。

質疑応答:「データ駆動型プラットフォーム」について

司会者:では、これより質疑応答に移ります。

質問者1:2問おうかがしたいと思います。「データ駆動型プラットフォーム」について、今後、同じ業界内で水平展開していくという戦略があるということなのですが、プラットフォームというのは、何か業界や領域ごとに種類があるものなのでしょうか。それともかなり汎用的に使えるものなのでしょうか。

渡邉:「データ駆動型プラットフォーム」そのものは、特に何業向けというような、特定の産業向けの機能がついてるものではありません。

どちらかというと、エンタープライズ企業が必要とするセキュリティとか、システムガバナンスとか、必ず大企業では必要な機能が実装されています。業務に特化したような機能は特に実装されていないので、今後、非競争領域に関しては一緒に展開していくという話をお客さまとしているところですね。

質疑応答:BtoBtoC、BtoBtoBのプロダクトの展開について

質問者1:わかりました。もう1点ですが、人件費がそれほどかからないで展開できていくBtoBtoC、BtoBtoBのプロダクトを今後広めていきたいということでしたが、これは具体的にどういったものなのでしょうか。

渡邉:(スライドを示して)左側の自社開発プロダクトの「GxDiste」が、データ連携をする一番下のレイヤーをつかさどる機能で「データ駆動型プラットフォーム」のコアになる機能となっています。

この上にエンタープライズ企業向けの標準的な、セキュリティやシステムガバナンスの機能が実装されています。なので、ライセンスをお客さまに提供するということはすでにやっています。

向かって左側の「GxWagora」も自社のツールで、Well-beingなどDX組織で働いている人たちの生産性を向上していくためのモニタリングをする機能が実装されていて、この2つを自社プロダクトとして今展開しています。

これ自体がお客さまに展開するものなのですが、こういったものを使って作られたものを、その先のお客さまに売っていくというのが、我々の共創型DXというものです。

質疑応答:成長戦略について

質問者2:成長戦略についてお尋ねしたいと思います。かなりいろいろ盛り込んでくださっていますが、定義的なところも含めて、ポイントをいくつか教えていただけませんでしょうか。

渡邉:正直に言いますと、我々は何か飛び道具を持っているようなビジネスではないので、やはりこれまで着実に伸ばしてきている既存事業の伸びをより加速するというのが、対成長戦略の1つ目の柱になります。

そのためのベンチマークとして、資料の40ページの上に17社から20社と書いてありますが、売上高が1,000億円、創業50年以上の企業数というのを毎年3社程度伸ばしていくということを指標としつつ、その進捗をご報告しています。

あとは、取引金額が年間1億円以上の顧客数を、着実に伸ばしていく。

さらにその先に2億円以上、あるいは5億円以上と、1つ1つの顧客との取引をどんどん拡大して深掘りして、売上を伸ばしていく。それによってまず既存のビジネスのトップラインを伸ばしていきます。

資料40ページの下は、利益に貢献する話だと思いますが、サービス提供力ですね。要は、我々の人財戦略ですが、社員数を増やしつつ、その生産性を上げて、利益率をどんどん上昇させていくということに取り組んでいます。

今後もエンジニアの数の伸びと、それによる生産性を、1人あたり売上高などの指標で定量的にモニタリングして、みなさんに開示していく予定です。それが1つの戦略です。

あとは、新規顧客の開拓です。今まではどちらかというとお客さまからお客さまをご紹介いただくなど、あまり営業せずともここまでビジネスを伸ばせてきました。

今後はこの上場を機に、より高い成長力を株主の方が期待されているという中で、我々自身に営業力をたくさんつけるというよりは、資料の42ページの左下に「共創アライアンス」と書いてあるのですが、例えば日本マイクロソフトさんの場合、「Azure」というクラウドのプラットフォームがあるので、これに我々の「データ駆動型プラットフォーム」などを連携させてビジネスをする。

例えば、先ほど大成建設さんを事例として出しましたが、大成建設さんは実はマイクロソフトさんが営業してくれて取って来たお客さまで、こういったいわゆる外部のベンダーに営業を手伝っていただくというか、マーケティングをともにやって、彼らのソリューションと組み合わせることによって、新規の顧客とのタッチポイントを増やしていく。

その下にも日本IBMさんや日本ヒューレット・パッカードさんなど、日系のベンダーはあまりないのですが、こういった企業と営業協力を持って、彼らのソリューションと我々のDXのビジネスを組み合わせる……補完関係にあるものが多いので、我々のパワーを彼らに営業してもらう。

営業の社員を増やすというよりは、共創アライアンスの営業企画力やマーケティング力を強化するということによって新規顧客の開拓をしていくというのが、新規顧客開拓の1つ目の柱になります。

あとは、既存の顧客とのビジネスになりますが、海外出身社員を増やしています。我々の顧客の場合、やはり日本市場における伸びに限界がある中で、すでに海外に展開しているものを、よりグローバルサウスの領域で伸ばしていくというのを計画されていることが多いので、我々も現地で伴走するような取り組みをすでに始めています。

そういった時に、海外出身人財は言葉の面でも非常に活躍し始めているので、海外出身人財を採用することによって、当社自身の人財の補強をするだけではなく、お客さま自身のビジネスを海外で伸ばすことに我々が強力にサポートできるようなことを今後考えていくことで、さらに既存顧客の基盤を拡大していきます。

成長戦略の既存技術を伸ばしていく、という考え方については以上です。

あとは、最近MUFGさんが地銀のシステムを統合していくという記事が出ていましたが、やはり業界のリーダーたる企業が我々のお客さまには多いので、そういった競争しなくていい領域に関しては、お客さま向けに作ったものをその先のお客さま向けに展開して、ライセンス収入を得るようなビジネスを強化していく。

共創型事業の拡大ということで、実際にすでにニプロさんとかには、我々が作ったソフトをニプロのブランド名で病院に売っていただいたりしています。そういったことをより増やしていくということが、次の共創事業というものになります。

この既存事業の拡大と共創型の事業の拡大で、よりトップラインを伸ばし、かつ、共創型の事業に関しては人依存がより低減されるものなので、それで利益率を改善していきます。

質疑応答:初値・終値に対する受け止めについて

質問者2:ありがとうございました。2点目です。今日の初値が1,841円で、終値が1,916円となっていましたが、初値・終値に対する受け止めについて教えていただけないでしょうか?

渡邉:株価に関しては我々が決められる話ではないのですが、投資家の方々に非常にご評価いただけているかな、というのが率直な感想です。やはり、この株価をさらに上げていける、あるいは株主の期待に応えられるように業績を伸ばしていくことで期待に応えていくしかないと思いますので、今日の時点では、非常にありがたい評価をいただいていると考えています。

質疑応答:株主還元方針について

質問者2:ありがとうございます。最後の質問です。株主還元方針について教えてください。

渡邉:当面は、先ほどから申し上げているような成長戦略に投資をするので、事業全体のボリュームを利益とともに伸ばしていくことに集中したいと思います。それによって企業価値を上げて、まずは株主の期待に応えるというのが最優先かと思います。

その先で、例えば配当や自社株買いを検討するタイミングがあれば、検討していきますが、グロース市場ということもあるので、まずは当社の成長に期する投資を優先して、企業価値を上げることによって、株主のご期待に応えるというのが最優先かと思っています。

質疑応答:「出島型アプローチ」について

質問者3:2つ質問があります。1つ目が出島型アプローチですね。これは他の会社さんでは取り入れにくいものなのでしょうか?

渡邉:よくSESと混同されて、単純に何人かお客さんのところに常駐させるということと間違えられるのですが、我々は、バーチャルな空間だろうがリアルな空間だろうが、お客さまのメンバーと我々のメンバーがともに、対等な立場で、同じプロジェクトに取り組むということを、出島型アプローチと呼んでいます。

お客さまが「これをやってください」「あれをやってください」と言うことを、下請け的にやるために派遣するということとはまったく違います。他社がよく言っている「お客さんに人を出しています」とは、本質的にはぜんぜん違うことだと我々は考えています。

質疑応答:ベンチマークしている企業について

質問者3:わかりました。もう1点ですが、意識される競合はどのあたりになってくるのでしょうか?

渡邉:正直今までは、お客さまの紹介でご指名でいただくことが多く、実際コンペになることはあまりないので、そういう意味ではそんなに意識したことはないですが、この上場というタイミングでは当然、ベンチマークしている企業はあります。

だいぶ先輩の企業になりますが、ウルシステムズさんですね。彼らはテクノロジーを中心にしてコンサルしながら、利益を追求するということをやられているのですが、こういった事業規模や利益率の高さは、意識しているというか、そういった企業の仲間入りができるようにがんばりたいという意味では、ベンチマークしています。

あとは、同じように最近上場した企業という意味においてはフレクトさん。ここも事業内容はぜんぜん被らないのですが、エンタープライズユーザーをターゲットにしているという意味においては、非常に近しいターゲット層に対してビジネスをやっているので、意識しています。

ただ、くどいようですが、競合というよりは、ともに切磋琢磨できるような関係になれるように、という意味で意識しているイメージです。

質疑応答:競合について

質問者4:上場、おめでとうございます。

渡邉:ありがとうございます。

質問者4:ざっくり言った時に競合になるのは、どういう会社ですか? 

渡邉:そういう意味では、ぜんぜん足元にもまだ及んでいませんが、やはりアクセンチュアさんとかNRIさんですね。彼らのほうが圧倒的に規模が大きいので、いわゆる大手への戦略コンサルをやりつつ、実際はITの部分でかなりお客さまに入り込んでいるという意味において、お客さんの前で入札になってコンペになる、ということはないのですが、コンサルから入ってシステムまで、あるいは場合によっては、お客さまと一緒に作るという点では、似たような部分をやっています。

そういう意味において、我々の出島戦略とすごく似ている取り組みをやられているので、コンペティターと言うにはおこがましいですが、ビジネスモデル的には似ているかなと感じています。

質問者4:なるほど。今おっしゃった、入札でよく出会うところというと、どんなところでしょうか。

渡邉:正直に言うと、入札で「どっちが安い」みたいなプロジェクトは、お断りしていることのほうが多いんですね。

例えば、大手企業なので当然、相見積もりを取らないと社内のプロセス上まずい、ということがある場合、出会う会社さんはもちろんあるのですが、我々を何かの基準で選んでもらうというようなところに、好んで参入しようとすることは今まではしてこなかったというか、それをやらなくてもおかげさまで、他の仕事で目一杯だったんですね。そういったコンペの引き合いの場合、当社が本当にそこで勝てるような状況であれば行くことはありますが、あまりないというのがこれまでですね。

質疑応答:M&Aなどに対する考えについて

質問者5:基本的にはオーガニックに成長していくのでしょうか? 事業内容を見ると、「なんか似ているな」と思う会社もあるのですが、M&Aなどはお考えになっていたりするんでしょうか?

渡邉:資金使途に関しては、既存のビジネスを強化するという意味で書いているのですが、おかげさまで自社としてきちんと利益を出せる体力がついていて、当然、手元資金もあるので、そういったものは今後、M&Aであったり。

あとは、実は我々の提携先でもあるIT-Farmさんという会社が、株主にも入っていて、彼らはかなりアーリー段階のスタートアップ、特に海外、シリコンバレーなんかを中心とした企業にけっこうコンタクトがあるので、実はそういった企業のシードの段階で、ビジネス上の協業をすることが多いんですね。

今後は、場合によってはそういったところに投資をして、我々が持っていないテクノロジーを持っている会社にグループに入っていただいて、そこの事業をてことして、我々の事業を伸ばす、あるいはそういった企業がIPOをした場合に、キャピタルゲインが得られるというようなことも当然、考えてはいます。

まだ具体的に何かが決まっているということではなくて、業績をさらに大きく伸ばしていくようなことにもチャレンジはしていこうとは考えています。

質問者5:ありがとうございました。

渡邉:あとは、くどいですが、当然、オーガニックなビジネスを伸ばすにも、やはり人がキーになってくるので、同業と思われる会社を我々の仲間に入れていくという意味のM&Aも検討したいとは思っています。