目次
清水竜一氏(以下、清水):代表取締役社長執行役員兼CEOの清水竜一です。ご視聴いただいているみなさまに、心から感謝申し上げます。それではさっそく、スライドの目次に沿って進めていきます。
サマリー
決算概要です。2024年3月期の実績、2025年3月期の連結業績予想の内容については、後ほど詳細をそれぞれご説明します。
2024年3月期 連結業績ハイライト
連結業績のハイライトです。特に第3四半期から第4四半期での変化点についてご説明します。
新型コロナウイルスの出口は見えたものの、いろいろな理由から月の稼働時間はあまり上がらず、先々期とほぼ変わらないレベルとなりました。ただし、単価が単純平均で約2パーセント上昇した結果、売上の伸びにつながり、粗利が改善して利益も伸びています。
スライドの表に記載のとおり、売上高は前期比で6.6パーセント伸びました。売上総利益が0.5ポイント改善し、販管費率も0.1パーセント改善した結果、営業利益は0.7ポイント改善しています。
ご承知のとおり、先期はいろいろなことがたくさん起こりました。昨年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類感染症に移行し、本来であればオートモーティブインダストリー(自動車・EV関連)を伸ばさなければいけないのですが、自動車メーカーにおいてさまざまなトラブルが発生し、結果なかなか稼働が上がりませんでした。
加えて、セミコンダクターインダストリー(半導体・半導体製造装置関連)やエレクトロニクスインダストリー(通信機器・電子部品)の分野も、当初の想定よりも回復が遅れました。
そのような中で、特に検査不正の問題で大幅に収益が下振れるだろうと考え、通期連結業績予想の下方修正を出させていただきました。修正後の営業利益28億円に対して、先期の着地は30億5,800万円と、2億5,000万円強上振れました。
理由として、1点目は第4四半期でオートモーティブインダストリーにおいては、部品メーカーの影響が想定より少なかったことが挙げられます。2点目は、先ほど「回復が遅れている」とお話ししたセミコンダクターインダストリーとエレクトロニクスインダストリーの分野において、3月に稼働が伸び、売上が伸びたことで利益が上振れました。
また、グループ会社において、日総ニフティ社とニコン社との合弁会社であるニコン日総プライム社の収益が、当初の計画に比べて、合わせて1億円近く上振れしたこともプラスに作用しています。
2024年3月期 四半期単位の連結業績
売上高と営業利益の推移です。スライドのとおり、稼働の問題で売上高が第4四半期に下がっています。
営業利益については、やはり下期偏重となりました。後半は特にオートモーティブインダストリーでのトラブル等があったものの、上期と下期を見てみると、今年度も1対2.2という状態です。トラブルがなければ、当初お話ししていた1対2.5という収益の偏りになったのではないかと考えています。
日総グループの事業内容
サービス別の業績についてご説明します。まず、新しい内容として、株式会社アイズが1月末に新しく仲間として加わりました。
アイズ社は、我々と同じような製造領域の人材サービスも行っていますが、ITエンジニアの派遣やIT系の開発受託、工作機械を中心とした製造装置の仕事等、我々がこれから伸ばしていきたい領域の事業も手がけています。
またLeafNxT社はもともとグループにいましたが、この会社の役割が非常に大事になってきます。採用をより効率的に行ったり、採用人数を増やしスケールしていく中において、LeafNxT社の採用支援や人材採用のプラットフォームサービスなどが活きてくると思われるため、これから非常に機能してくると思います。
先ほど少しお話しした介護・福祉サービスについては、増収増益で着地しています。
サービス別売上高
サービス別の売上高です。日総工産を中心とした製造生産系人材サービスのウエイトが非常に高い状況です。今後、エンジニア系人材サービスを増やしていくことが、1つの成長エンジンになってくると考えています。
製造生産系人材サービスについて
総合人材サービスについてご説明します。まず、製造生産系人材サービスについてです。スライド右側のグラフのとおり、先期は在籍人数があまり増えていません。
何度もお伝えしているとおり、インダストリー戦略の中のオートモーティブインダストリーでの不正問題で、特に年度の後半に成長が鈍化したことに加え、セミコンダクターインダストリーとエレクトロニクスインダストリーの回復が遅れたことが影響しています。
在籍人数は、前年同期比で207名増加しています。本来は、この分野では年間1,000名の伸びを1つの目標としており、在籍数の伸びが鈍化したことがこのグラフを見ると非常によくわかると思います。
製造生産系人材サービスについて
一人当たりの月平均売上高と離職率の状況です。スライド上段のグラフのとおり、一人当たりの月平均売上高が第4四半期に前年比で伸びているのは、先ほどお話ししたことが影響しています。
昨年度1年間を見てみると、オートモーティブインダストリーが非常に業績を伸ばし、600名近く伸びています。一番停滞したのはやはりセミコンダクターインダストリーで、年間で350名ほどスケールダウンしました。
エレクトロニクスインダストリーは厳しいと言いながら、新しいお客さまを受注していったことで微増となり、200名程度伸びています。
第4四半期の離職率を3.9パーセントに抑えられたのは非常によかったと考えています。
エンジニア系人材サービスについて
エンジニア系人材サービスについてです。こちらもセミコンダクターインダストリーの装置エンジニアが多いために影響を受けました。特に前半はメモリ分野の事業で在庫調整に手間取ったことから在籍人数が停滞していたものの、ようやく過去最高のスケールまで戻すことができました。
今後も新しい時代に向けて必要な、専門性の高いエンジニアを順次増やしていくことが重要だと思います。
オートモーティブインダストリーは第4四半期に停滞しましたが、スライド左側の売上高のグラフを見ると、第4四半期に急に伸びています。まさに第4四半期の、とりわけ3月に稼働が上がったことが明確に表れています。
エンジニア系人材サービスについて
エンジニア系の一人当たりの月平均売上高と離職率の状況です。まだまだ完全には回復していないものの、特に第3四半期、第4四半期に回復基調になってきたと言えます。第4四半期は2パーセントとなり、前期比で0.1ポイント改善しています。
事務系・その他の人材サービスについて
事務系・その他の人材サービスについてです。以前からお伝えしているとおり、この新しい時代でAIなどに最も置き換わっていくのが、一般事務の領域だと考えています。そのため、在籍人数は減少傾向が続いている状態です。
その他の人材サービスについては、いわゆるプライム人材を着実に増やすことができています。また、特に障がい者の雇用率を意識した中で、障がい者社員数はほぼ横ばいながら微増となっています。
2024年3月期 インダストリー別売上高
総合人材サービスの拡大に向けたインダストリー戦略の実績についてお話しします。それぞれのインダストリーについて、第4四半期の状況をスライド右側の表に記載しています。
オートモーティブインダストリーは右肩上がりとなりました。我々の中で最も取引規模の大きなグループでの認証不正問題などで停滞していましたが、第4四半期には、緩やかながらそれぞれ回復してきています。足元の4月も緩やかな回復基調が続いていることが、非常に明るいニュースかと思います。
先ほど「オートモーティブインダストリーは600名程度増えている」とお話ししたことと、工場の稼働停止等の影響を若干受けているものの、オートモーティブインダストリーの売上高は前期比で14.7パーセント伸びています。
セミコンダクターインダストリーは、人数の減少と前半の稼働状況が非常に低かったことが表れています。エレクトロニクスインダストリーは厳しい状況ですが、ほぼ横ばいから微増になり始めています。
介護・福祉サービスについて
介護・福祉サービスについてです。こちらも以前からお話ししているとおり、神奈川県横浜市を中心に6つの有料老人ホームを展開しています。後ほどご説明しますが、入居率は95パーセント弱と高い水準を維持しています。
在宅介護では、介護ステーションを神奈川県横浜市と福島県いわき市に、通所介護施設を福島県いわき市に2ヶ所展開しています。
人材会社が営んでいる介護・福祉サービスですので、特に質の高い介護を目指して人材育成に注力しています。
介護・福祉サービスについて
入居率の状況と、売上高・売上総利益の状況です。スライドの表のとおり、売上高・売上総利益は微増となり、改善されています。
ここでお伝えしたいことは、神奈川県が進める「ヘルスケア・ニューフロンティア政策」に参画していることです。業界環境として働き手がいなくなって非常に苦労しているということで、いろいろな画像を使った介護テックや介護のDXを推進しています。
日総グループ成長サイクルの実現に向けて
日総グループの成長に向けた取り組みについてご説明します。スライドに成長サイクルのイメージを記載しています。図の両側に記載している8つの切り口から具体的にアクションプランを作り、実行していくことで成長していきます。
総合人材サービスの拡大に向けて(インダストリー戦略)
インダストリー戦略についてです。我々はインダストリーごとに、これから成長が見込まれるメーカーの成長戦略とその課題について、お客さまとしっかり話し合いながら、成長するために必要な課題解決を深掘りしています。
昨今、よく話題になる「人材の量と質、両面の確保をどうするか?」についてお客さまと話し合いながら、そこに先回りして確保するための仕組みを作り、お客さまとともに深堀りを行っています。
特にここでお伝えしたいのは、2026年、2027年にかけて、国内における半導体や、EVバッテリーを中心としたバッテリーの大型プロジェクトが目白押しです。この時に大型受注を確実にしていくために必要な計画の立案および、それをスケジュールに落として着実に実行していくことについて議論を進めています。
戦略の具体例をいくつかお伝えしますと、現在、いわゆる量と質の両方を取るために必要な採用のプラットフォームをデジタル上で作っています。人材会社も含めた複数の方々が参加しているコンソーシアムを数年前から行っていますが、これにより、さらに人材の量の獲得にも向かっていきたいと考えています。
総合人材サービスの拡大に向けて(インダストリー戦略の深化)
総合人材サービスの拡大に向けた、インダストリー戦略の深化についてです。スライド左側の図に「拡大領域」と書いてありますが、我々はこの拡大領域を、高スキルのサービス提供、高付加価値のサービス提供という2軸で捉えています。
その中の特に主だった領域として、先ほどお伝えした、2026年から大きな波がくるという半導体関連の工場やEV向け、あるいは定置型のバッテリー工場のプロジェクトなどの分野があります。我々は人材のニーズだけではなく、いろいろなお客さまのニーズに応えながら進めていきたいと考えています。
参考までにお伝えしておきたいのが、国内は少子高齢化で人手が非常に不足している状況であり、これから出てくる大きな工場などのプロジェクトは、省人化や無人化を相当意識したものだということです。
結果として、従来の製造現場のオペレーター、マシンを動かす方々や車を組み付ける方々に対するニーズは減少する傾向になっていき、装置を保全するロボットのメンテナンスなど、生産技術領域で装置を上手にコントロールしていく方々、つまりエンジニアや専門性の高い方々のニーズが増えていきます。これは確実なことだとお伝えしておきます。
もう1つ、最近大手メーカーのお客さまとお話しして気がついたことがあります。大手メーカーの人事担当の方は、新卒の方々を定期的に採用して育成する体制においては、長年の経験をお持ちです。
ですが、昨今のように、多様な雇用形態の方々、いわゆる正社員以外の契約社員、あるいは外部労働力の派遣や請負、さらに今後は外国人という方々に対しての採用計画や育成計画については、実は困りごとの1つになっていることがわかりました。
実際に、大手メーカーの人事担当の方から「ここをサポートしてほしい」というニーズが、かなり出てきています。そこで我々は、一部すでに今もう始めていますが、この2026年から2027年に向けて、このようなニーズへの対応もさらに強化していきたいと考えています。
2025年3月期 インダストリー戦略動向
今年度2025年3月期の、各インダストリーの戦略動向についてです。今までは「曇」や「雨」ばかりだった天気予報マークが、「晴」、あるいは「快晴」になってきています。今年度はいよいよ、我々の力の見せどころだと感じているところです。
これらを踏まえ、我々としては、今後中長期で確実に成長していくために、今年度は堅実な投資を行って売上を伸ばし、あわせてお客さまが求める人材を十分に育成し、配属していくことが必要だと考えています。
採用の仕組みを強化(人材採用難を新たな取り組みで解決)
採用戦略についてです。先ほども少し触れましたが、「日総グループを中心とした採用コンソーシアムの構築と拡大」についてご説明します。
スライド左側に日総グループのさまざまな人材サービスを、下部に人材ニーズや課題が多様化している状況を示しています。
従来は、日総工産とこれらの人材関連企業がアライアンスを組んで、お互いに人を紹介し合うという態勢をとっていました。今回はもう少し大きく構えて、日総グループ全体で、採用プラットホームを構築・展開しようと考えています。
人的資本経営の実践に向けて
人的資本経営の実践に向けた取り組みについてです。スライドにあるとおり、我々の人材育成モデルにあるさまざまな育成の仕組み、あるいはその方々を支える人事制度など、環境をさまざまなかたちで整備しながら、人的資本投資を継続していきます。
働く方々が、高いサービスを提供しながらお客さまの満足度を上げ、自分たちの給料を上げて収益を拡大していくというサイクルを回していく姿を目指しています。
具体策としては、例えばスライド右側にあるように、ダイバーシティ経営として海外教育機関との提携を考えています。こちらについては、先期は思ったよりコロナ禍からの回復が遅く、海外になかなか行けなかった時期が続いたため、スタートが少し遅れてしまってはいるものの、先期の後半頃からはアジアを中心にさまざまな大学とアライアンスを組み始めています。
今年はこのスピードを上げて、2026年、2027年と続く大型プロジェクトに対応できるように進めていきたいと考えています。
その他にも、各研修施設の拡充や、その研修を工夫するためのVR/AR教育の導入、あるいは今まで培ってきた育成ノウハウを外販していく「Start engineer」といったサイトのオープンなども今進めています。
スライド右端にある、マッチング効率を上げるための人材マッチングサービスは、三菱総合研究所と一緒に進めているもので、「JOBMINEs(ジョブマインズ)」というサービスを活用しながらマッチングの精度を上げていきます。また、そこで働く方々の意欲を引き出すと同時に、最適な処遇に向けてジョブ型への転換を図るような取り組みについても、昨年度から着手しています。
人的資本経営の実践に向けて
人的資本経営の実践に向けた昨年度の研修について、実績はスライドの表のとおりです。昨年度は、エンジニアを育成して配属する相手先企業が、半導体の分野を中心に非常に低迷していたため、2024年3月期の延べ人数実績は増えていません。しかしながら、お客さまのニーズを受け止めて進める以上、この研修を今年度は活発化させていかなければなりません。
その他、今回新しく切り分けている外部社員研修(受託)については、現在大手メーカーの新入社員や、すでに在籍しているメーカーの社員の方々向けの育成を受託し始めています。
この受託は、例えば半導体を作っている大手メーカーが、忙しすぎて研修ができる状況にないため、そこを代替するという、いわゆる人事機能の一部を支援するサービスです。
この受託により、「お客さまが求めている人材育成のカリキュラムをどう開発したらよいのか?」について、丹念に深掘りしていくことで役に立てると考えています。これからますます、「お客さまがどのような人材を求めているのか、そのために必要なカリキュラムはどういう内容なのか」ということを、お客さまとしっかり共創しながら、拡大を遂げていきたいと考えています。
結果として、この外部社員研修は1つのビジネスとして将来は成り立ってくると考えています。そしてここで得たノウハウを、我々の会社の人材育成にも活用していきたいと思っています。
人的資本経営の実践に向けて
スライドは、人的資本経営の実践における研修施設の拡充に関する図です。新しいトピックスとしては、2023年11月から「関西蓄電池人材育成コンソーシアム」に参画し、いよいよ近畿経済局と連携しながら、EV向けの人材育成の仕組みを作っていくということです。3月には滋賀県近江八幡市に、電池向けの設備エンジニアの育成の研修施設「日総EVテクニカルセンター関西」をオープンしました。
その他にも、順次、「北海道半導体人材育成等推進協議会」などの協議会の中で、各エリアの各分野において、どのような人材が必要なのかということをよく把握しながら、研修施設をもう一段拡充し、他社との差別化を図っていきたいと考えています。
【ACTION】日総テクニカルセンター熊本を「増設」します
先ほどもご紹介したとおり、2023年4月に「日総テクニカルセンター熊本」を開所しました。実機を入れて研修を進めており、2024年5月には育成能力が倍の規模となる「日総テクニカルセンター熊本 第二」をオープンします。
なぜ熊本でそこまで偏重するのかについて、この熊本エリアでは、例えばTSMC社の子会社JASMなどもあります。スライドの「熊本研修施設を取り巻く環境」をご覧いただくとわかるように、九州は半導体のいろいろなサプライチェーンが集積されているエリアになってきています。
本来は、熊本エリアの人材育成のために拠点を建てたのですが、このような周辺から旺盛なニーズがあることから、ちょうど中心になる熊本エリアに研修能力を3倍にした施設を用意することにしました。
従来年間100名程度が対象だったものを、300名程度育成可能な研修施設に増設し、お客さまのニーズに応える、あるいはお客さまのリスキリングのお手伝いなどを行っていきます。また半導体以外の分野で活躍していた方々を、半導体の分野で活躍できるように基礎教育を実施して配属していくなど、産官学で連携をとりながら進めていきたいと考えています。
【ACTION】教育研修受託サービスを展開します
先ほど少し触れた、教育研修受託サービスの展開についてです。メーカーの人事の方々が頭を悩ませている問題である、人材の多様化に対応できる研修プログラム、いわゆるOff-JTです。Off-JTが未整備であったり、OJTとOff-JTをうまく連動させた仕組みがないことが、大手メーカーの課題になっています。
企業側としては、昨今の状況から考えると、理系の方々をたくさん採用して育成したいものの、日本には理系の大学が少なく卒業生も少ないことから、文系の人材や他業種の経験者を育成していきたいというニーズがあります。また教育したくても忙しすぎて、残念ながら自社の経験豊かな方々を研修に振り向けることができないという課題があります。
当社は、そのような現状課題に対して、我々が今まで蓄積したノウハウの強みを活かしながら、お客さまのニーズに的確に応えるサービスを提供していきます。これにより、お客さまの満足度をより上げていけるだけでなく、我々のこの教育・育成が、1つの大きな差別化のポイントとなり、ビジネスモデルとしても、これから成長を引っ張っていける可能性のある事業だと位置づけています。
【ACTION】信頼されるパートナーを目指して
我々には、「パートナーのみなさまに選ばれ、信頼される会社になっていこう」という考え方があります。
お客さまに「やはり日総が頼りになるよ」「信頼できるよ」と言われるようになるために最も大事なことは、働いてくれる方々に日総を選んでいただき、「日総の中で活躍していこう」と思っていただくことです。
そのためには、必要な教育システムをさらに拡充していくこと、さらに本人の力を発揮できる環境を整備した職場に配属していくことが必要になります。
さらに昨今は、人材会社を使っているメーカーも非常に心配されている「コンプライアンス上のレベルは大丈夫だろうか」という課題があります。法律がどんどん変わる中で、「コンプライアンス上の課題にも的確に対応してくれる会社なのか?」ということを意識されています。
コンプライアンス上の対策スキルの育成はもちろん、会社としても、実際に窓口で働く職員の方々のスキルアップは非常に重要です。この点も重視して、進めていきたいと考えています。
結果として、これらが地域社会にしっかり貢献し、株主のみなさまにも業績拡大をとおして貢献できると、我々は固く信じています。
トピックス
日総グループのトピックスです。2023年10月にホールディングスが設立されたところから、少し更新しました。
我々としては、ホールディングスを設立した意図に沿って成長力を高めていく方針です。いろいろな新しい仲間たちに参画していただく、あるいは研修を行うための仕組みに投資していただくなどの施策を、これから積極的に進めていきます。
トピックス
そのような中で、先ほどもご説明したとおり、アイズ社のみなさまにグループインしていただき、我々の新しい仲間に加わっていただきました。さらに2024年3月に「日総EVテクニカルセンター関西」を開設したことも、大きなトピックスとして紹介しています。
2025年3月期 通期連結業績予想
今後の見通しについて、先期の状況も踏まえながらお話しします。2025年3月期通期連結業績予想は、売上高1,060億円、営業利益38億円という見通しです。
昨年度はコロナ禍の出口が見えたものの、セミコンダクターインダストリーとエレクトロニクスインダストリーは回復が非常に遅れました。あわせて、本来であれば大きく成長が見込まれたオートモーティブインダストリーについても大変苦戦することとなりました。
本来は、昨年度末にエンジニアを2,000名超のレベルに持っていきたかったのですが、新入社員の配属すらできなかったため、むしろ少し目減りしたという状況です。そのため今期はしっかりと、育成スピードを上げながら投資を進めていきたいということが1つです。
特に、採用のためのコンソーシアム作りやプラットフォーム作り、そして教育の中身をより進めて促進し、より中身の濃い、お客さまに支持されるものに作り直していく等の投資を、今年度は積極的に行っていきたいと考えています。
コロナ禍の影響で、本来実行したかったことが後手後手になり、遅れてしまった投資が今期にずれこんで来ている状況です。現中期経営計画の収益性と比べるとかなり遅れていますが、この遅れを取り戻すため、今年度は将来に向けてしっかり手を打っていきたいと考えています。
NISSO Sustainable Growth for the Future「新中期経営計画」発表予定
新中期経営計画についてご説明します。スライドに記載しているとおり、今期から始まる5ヶ年で、2028年3月期には大型プロジェクトをこなして売上が伸び、収益性も非常に改善されている理想の日総グループを実現するため、いろいろな施策を行っています。
今年度、来年度、そして3年目の2027年3月期あたりからは、投資効果を出しながら収益も加速度的に増やしつつ、投資もまだ行っている状態で2028年3月期に大きな果実を確実に取りたい考えです。
具体的な計画については、今期の比較的早い時期にみなさまにご説明したいと考えています。
株主還元方針
株主還元方針についてご説明します。従来の考え方と大きくは変わりませんが、株主のみなさまに対する利益還元は、企業にとって非常に重要な課題だと位置付けています。
「それでも連結配当性向30パーセントなのか」とお叱りを受けるかもしれませんが、当面はまだ成長戦略のための投資が必要だと判断しています。この投資を行っている間は配当性向30パーセントを1つの基準に置きながら、進めていきたいと考えています。今年度は収益計画に対しての配当性向30パーセントで、22円で予定しています。
財務状況については、今年から新しい財務の考え方を進めていこうと考えています。ここからはCFOの早川よりご説明します。
資本収益性・資本構成(2024年3月期)
早川直規氏(以下、早川):取締役常務執行役員兼CFOの早川です。財務状況についてご説明します。資本収益性・資本構成、先期末の実績はスライドに記載しているとおりです。
営業利益率、ROE、財務レバレッジの3つについては、過去に発信した中期経営計画でKPIとして公表している項目です。先期の実績は営業利益率3.2パーセント、ROE13.2パーセント、財務レバレッジ2.1倍という結果となりました。
まず営業利益率は、中期経営計画で掲げた数字にはまだ隔たりがありますが、今期はこれを3.6パーセントまで持っていきたいと考えています。ROEについても、利益の増加に伴って改善していく所存です。
財務レバレッジについては、先ほど清水から話がありましたように、先期から人材育成に関わる積極的な投資を開始しています。レバレッジの数字は上がってきていますが、まだ掲げた数字には届いていない現状です。こちらも、財務規律を十分に勘案しながら、我々の掲げたところまで到達したいと考えています。
先期から議論になっているコーポレートガバナンスコードでも取り上げられた資本コスト経営について、当社も取り組みを開始しています。
当社のコーポレートガバナンスコード報告書に記載していることは、スライドに記載のとおりです。「当社は、自社の資本コスト(株主資本コストおよび加重平均資本コスト(WACC))を注視し、重要な経営指標を自己資本利益率(ROE)と投下資本利益率(ROIC)とした上で、稼ぐ力の追求と資本効率性の向上に取り組みます。また安定的にROICが資本コスト(加重平均資本コスト(WACC))を上回る構造を実現することで企業価値の向上に努めてまいります」としています。
先期については、ROIC11.6パーセントとなっています。したがって社内のWACCをROICが上回ったかたちで着地しました。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。ポイントはスライド右側に記載したとおりです。製造業人材サービスの稼働人員の拡大により、売掛金および流動負債の未払費用が増加しています。借入金については約定の弁済が進み、長期の借入金が減少しています。
また冒頭に社長の清水から話があった、アイズ社のグループインなどがあります。それぞれの資産および負債が増加しています。
結果として、バランスシート全体では資産合計が4.2パーセント、負債合計が4.8パーセント、純資産合計は3.4パーセント増加となり、自己資本比率は48パーセントで着地しています。
連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フローについては、先ほどの説明のとおりです。特筆すべきは、投資活動におけるキャッシュ・フローは、先期、業務資本提携したAPB株式会社などがあります。また熊本のテクニカルセンターも投資の一環として積極的に進めています。
Point③の財務活動については、先期、我々は持株会社化し、従来あった自己株式を償却したため、先期の後半に自社株買いを行いました。そのようなものがキャッシュ・フロー上に反映されています。