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銀行を取り巻く環境は変化していく

12月1日に日本銀行の植田総裁が、「(12月18日、19日開催予定の金融政策決定会合で)利上げの是非について適切に判断したい」と発言したことを各種メディアが報じました。これにより、日銀の利上げ可能性が高まったとの見方が強まり、12月初日の日経平均は前営業日比950.63円安の49303.28円となりました。

さて、そんな東証プライム市場の8割近い銘柄が売られていた中で買われていた業種の1つが銀行株です。単純化した説明にしてしまいますが、2024年にようやく解除されたマイナス金利政策は、それまで銀行株が稼ぐことを難しくしていました。しかし、これが解除され、スピード感は別にしても徐々に利上げ方向に向かっていく中で、銀行株にとっては追い風が吹くことになるため、それを見越して買われているという構図になります。

また、直近で銀行を巡る話題としては、年内に金融庁が「地域金融力強化プラン」を策定するというものがあり、足元で様々な施策や規制緩和が検討されているようです。最終的な内容については正式な公表を待つ必要がありますが、じわじわと銀行の身動きが取りやすい方向に向かっていく流れであることは間違いないでしょう。そこで参考までに、今回はテーマ「銀行」に属する銘柄の一部を紹介します。他にも沢山の銘柄があるので、ぜひ調べてみてください。

1.セブン銀行(8410)

2005年に現在の「株式会社セブン銀行」に社名変更し、2008年に上場しました。なお、セブン&アイ・ホールディングス(3382)の完全子会社のセブン‐イレブン・ジャパンが依然として同社の筆頭株主ではありますが、2025年6月に持分法適用会社となり、連結子会社からは除外されています。協力関係は変わりませんが、より自律した経営体制を確立しています。なお、2025年9月には伊藤忠商事(8001)と資本業務提携を締結しています。

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2.山陰合同銀行(8381)

40にのぼる銀行を源流としています。島根・鳥取両県を中核に、山陽、兵庫・大阪をカバーする広域な店舗ネットワークを有しており、特に地盤の山陰両県における同行のシェア(2024年9月期)は、預金が49.7%、貸出金が50.0%となっています。また、野村證券と包括的業務提携を結んでいます。

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3.ゆうちょ銀行(7182)

  いわゆる郵政民営化によって2007年10月に誕生した、日本郵政グループの一員である銀行です。通常貯金口座数約1.2億口座、貯金残高約190兆円(※いずれも2025年3月末)と国内最大級の顧客基盤・ネットワークを有しています。

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4.しずおかフィナンシャルグループ(5831)

静岡銀行を軸に、証券・リースなどの23社(持分法適用会社を含む)で構成されています。同社がマネックスグループ(8698)の筆頭株主であることは、あまり知られていないかもしれません。異業種企業との連携にも積極的です。
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5.トモニホールディングス(8600)

  香川銀行と徳島大正銀行を傘下に置く広域金融グループです。銀行業務を中心にリースやカード業務などの金融サービスを展開しており、徳島県、香川県、大阪府を主要な基盤としています。

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再編の思惑や配当株としての魅力も

様々なテーマが生まれては消えを繰り返し、株式市場がその都度大いに盛り上がる中でも、銀行株は蚊帳の外であることがほとんどで、誤解を恐れずにハッキリ言ってしまうと、長らくつまらない株の筆頭格だったように思います。しかし、近年は「地銀再編」も1つの有望テーマになっています。実際、2025年9月29日には千葉銀行(8331)と千葉興業銀行(8337)が経営統合に向けて基本合意したと発表し、大きな話題になりました。

また、やはり何と言っても、近年の東証による市場改革の流れの中で、PBR1倍割れからの脱却を目指して、株主還元を軒並み強化してきたことで、配当株としての魅力が増していることも投資家にとっては大きなポイントでしょう。規制・規則、慣習に縛られてアップデートが進みにくい業界だからこそ、逆にAIによる業務変革で今後利益体質を強化できる余地も大きいことを踏まえると、単純に目先の金利動向という意味に限らず、先行きから目が離せませんね。

(※2025年12月2日執筆)

執筆:RAKAN RICERCA株式会社

国内株式を中心とした投資関連のコンテンツ作成・情報配信、企業分析などを主な事業内容としている。日経CNBCなど各種メディアへの出演、『ダイヤモンドZAi』をはじめとしたマネー誌への寄稿も多数。


※記事内容、企業情報は2025年12月2日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。

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